(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024065094
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】レーダー信号処理
(51)【国際特許分類】
G01S 7/35 20060101AFI20240507BHJP
G01S 13/931 20200101ALI20240507BHJP
【FI】
G01S7/35
G01S13/931
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023184684
(22)【出願日】2023-10-27
(31)【優先権主張番号】10 2022 128 752.1
(32)【優先日】2022-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】599158797
【氏名又は名称】インフィニオン テクノロジーズ アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Infineon Technologies AG
【住所又は居所原語表記】Am Campeon 1-15, 85579 Neubiberg, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】アンドレ ロジェ
(72)【発明者】
【氏名】マークス ビヒル
(72)【発明者】
【氏名】リュドミル アナスタソフ
【テーマコード(参考)】
5J070
【Fターム(参考)】
5J070AA05
5J070AB18
5J070AC11
5J070AD06
5J070AF03
5J070AH31
5J070AH35
(57)【要約】
【課題】レーダー信号処理。
【解決手段】以下のとおり第1のレーダーユニットでレーダー信号を処理することが示唆される。(i)少なくとも1つの受信アンテナを介してレーダー信号を受信し、(ii)レーダー信号の部分、または、レーダー信号に基づくデータの部分をさらなる処理のために選択し、(iii)減少したデータ量を第2のレーダーユニットに伝達し、減少したデータ量は、レーダー信号の部分、または、レーダー信号に基づくデータの部分に基づく。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のレーダーユニットでレーダー信号を処理するための方法であって、前記方法は、
-少なくとも1つの受信アンテナを介して前記レーダー信号を受信するステップと、
-前記レーダー信号の部分、または、前記レーダー信号に基づくデータの部分をさらなる処理のために選択するステップと、
-減少したデータ量を第2のレーダーユニットに伝達するステップと、
を含み、
前記減少したデータ量は、前記レーダー信号の前記部分、または、前記レーダー信号に基づくデータの前記部分に基づく、
方法。
【請求項2】
前記第1のレーダーユニットは、レーダーセンサ電子制御ユニットである、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2のレーダーユニットは、中央電子制御ユニットである、
請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記レーダー信号の前記部分、または、前記レーダー信号に基づくデータの前記部分は、
-ランダムに、
-疑似ランダムに、
-決定論的選択スキーム、
のうちの少なくとも1つに基づいて選択される、
請求項1から3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記レーダー信号の前記部分、または、前記レーダー信号に基づくデータの前記部分に関する情報は、前記第2のレーダーユニットに伝達される、
請求項1から4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記レーダー信号の前記部分、または、前記レーダー信号に基づくデータの前記部分の選択は、
-チャープの選択、
-FFT結果、特に、第1段FFT結果の選択、
-少なくとも1つの受信チャネルの選択、
-アナログ信号の選択、
-デジタル信号の選択、
のうちの少なくとも1つを備える、
請求項1から5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記レーダー信号の前記部分、または、前記レーダー信号に基づくデータの前記部分は、干渉検出の出力データを備える、
請求項1から6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
レーダー信号を処理するためのデバイスであって、
前記デバイスは、処理ユニットを備え、前記処理ユニットは、
-少なくとも1つの受信アンテナを介して前記レーダー信号を受信し、
-前記レーダー信号の部分、または、前記レーダー信号に基づくデータの部分をさらなる処理のために選択し、
-減少したデータ量を第2のレーダーユニットに伝達する、
ように構成され、
前記減少したデータ量は、前記レーダー信号の前記部分、または、前記レーダー信号に基づくデータの前記部分に基づく、
デバイス。
【請求項9】
前記デバイスは、第1のレーダーユニットである、
請求項8に記載のデバイス。
【請求項10】
デジタル処理デバイスのメモリ内に直接ロード可能なコンピュータプログラムであって、前記コンピュータプログラムは、請求項1から7のいずれかに記載の方法のステップを実行するためのソフトウェアコード部分を備える、
コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、レーダー信号処理に関するものであり、特に、この種の信号処理を可能にするかまたは利用するユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
この点に関して、レーダー信号処理は、特には、センサまたはアンテナによって受信されるレーダー信号を意味する。各センサは、複数のアンテナを備えてもよい。
【0003】
いくつかのレーダー異型は、さまざまな用途のための車において用いられる。例えば、レーダーは、ブラインドスポット検出(駐車支援、歩行者保護、クロストラフィック)、衝突緩和、車線変更支援および適応走行制御のために用いることができる。レーダー機器のための多数の使用事例のシナリオは、異なる方向(例えば、後ろ、横、正面)、さまざまな角度(例えば、方位角)および/または異なる距離(短い、中間または長い距離)に向けられてもよい。例えば、適応走行制御は、±18度に達する方位角を利用してもよく、レーダー信号は、車の正面から放出され、これにより、最高数百メートルの検出範囲が可能になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
目的は、既存の解決策を改善し、特に、分散した構成要素を有するレーダーシステムの効率を上昇させることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この問題は、独立請求項の特徴に従って解決される。さらなる実施形態は、従属請求項から生じる。
【0006】
本願明細書において示唆される例は、特に、以下の解決策のうちの少なくとも1つに基づいてもよい。特に、以下の特徴の組み合わせを利用して、所望の結果に到達することができる。方法の特徴は、デバイス、装置、システムまたはコンピュータ製品の任意の特徴と組み合わせることができ、逆もまた同じである。
【0007】
第1のレーダーユニットでレーダー信号を処理するための方法が示唆され、方法は、
-少なくとも1つの受信アンテナを介してレーダー信号を受信するステップと、
-レーダー信号の部分、または、レーダー信号に基づくデータの部分をさらなる処理のために選択するステップと、
-減少したデータ量を第2のレーダーユニットに伝達するステップと、を含み、減少したデータ量は、レーダー信号の部分、または、レーダー信号に基づくデータの部分に基づく。
【0008】
それゆえ、この方法は、第1および第2のレーダーユニットの間の制限されたバンド幅接続に効率的に対処することを可能にする。
【0009】
一実施形態によれば、第1のレーダーユニットは、レーダーセンサ電子制御ユニットである。
【0010】
一実施形態によれば、第2のレーダーユニットは、中央電子制御ユニットである。
【0011】
一実施形態によれば、レーダー信号の部分、または、レーダー信号に基づくデータの部分は、
-ランダムに、
-疑似ランダムに、
-決定論的選択スキーム、
のうちの少なくとも1つに基づいて選択される。
【0012】
一実施形態によれば、レーダー信号の部分、または、レーダー信号に基づくデータの部分に関する情報は、第2のレーダーユニットに伝達される。
【0013】
この情報は、減少スキームまたは選択コードに関する情報でもよい。それによって、第2のレーダーユニットは、減少および/または減少の体系に気付くことができる。
【0014】
一実施形態によれば、レーダー信号の部分、または、レーダー信号に基づくデータの部分の選択は、
-チャープの選択、
-FFT結果、特に、第1段FFT結果の選択、
-少なくとも1つの受信チャネルの選択、
-アナログ信号の選択、
-デジタル信号の選択、
のうちの少なくとも1つを備える。
【0015】
一実施形態によれば、レーダー信号の部分、または、レーダー信号に基づくデータの部分は、干渉検出の出力データを備える。
【0016】
干渉を受ける信号(の少なくとも一部)を取り除くために、選択または追加の選択が、(干渉検出ユニットによって取得されてもよい)干渉検出の出力を利用することは、オプションである。この種の干渉信号は省略され、このことにより、第1および第2のレーダーユニットの間の全体的な通信負荷を減少させることができる。
【0017】
また、レーダー信号を処理するためのデバイスが示唆され、デバイスは、処理ユニットを備え、処理ユニットは、
-少なくとも1つの受信アンテナを介してレーダー信号を受信し、
-レーダー信号の部分、または、レーダー信号に基づくデータの部分をさらなる処理のために選択し、
-減少したデータ量を第2のレーダーユニットに伝達するように構成され、減少したデータ量は、レーダー信号の部分、または、レーダー信号に基づくデータの部分に基づく。
【0018】
本願明細書において述べられる方法のステップがこの処理ユニット上で実行可能でもよいことに留意されたい。前記処理ユニットが、本願明細書において記載されている方法のステップを実行するように構成される少なくとも1つの手段、特に、いくつかの手段を備えることができることにさらに留意されたい。この手段は、論理的にまたは物理的に分離されてもよく、特に、いくつかの論理的に分離された手段は、少なくとも1つの物理ユニット内で結合可能である。処理ユニットは、プロセッサ、マイクロコントローラ、ハードワイヤード回路、ASIC、FPGA、論理デバイスのうちの少なくとも1つを備えてもよい。
【0019】
一実施形態によれば、前記デバイスは、第1のレーダーユニットである。
【0020】
さらに、デジタル処理デバイスのメモリ内に直接ロード可能であるコンピュータプログラム製品が提供され、コンピュータプログラム製品は、本願明細書において記載されている方法のステップを実行するためのソフトウェアコード部分を備える。
【0021】
実施形態は、図面を参照して図示および記載される。図面は、基本原理を示すように機能するので、基本原理を理解するのに必要な態様のみが示される。図面は、縮尺通りではない。図面において、同一の参照符号は、類似の特徴を意味する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】中央ECUと通信するレーダー(センサ)ECUでもよい例示的なレーダー構成要素を示す。
【
図3】(非中央)レーダーセンサECUと中央ECUとの間のレーダー処理フローの例示的な分割を示す。
【
図4】MMIC内のデータの減少を視覚化する例示的な図を示す。
【
図5】第1段FFTユニットで発生するデータの減少を視覚化する例示的な図を示す。
【
図6】MMIC内で発生するデータの減少を視覚化する代替解決策を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
レーダー処理環境において、レーダーソースは、信号を放出し、センサは、戻り信号を検出する。戻り信号は、少なくとも1つのアンテナによって、特に、いくつかのアンテナによって、時間領域において獲得されてもよい。次に、戻り信号は、高速フーリエ変換(FFT)を行うことによって周波数領域に変換されてもよく、結果として、信号スペクトル、すなわち、周波数全体にわたって分散する信号を生じてもよい。周波数ピークを用いて、例えば、車両の移動方向に沿って潜在的ターゲットを決定してもよい。
【0024】
離散フーリエ変換(DFT)は、数値アルゴリズムまたは専用ハードウェアによってコンピュータにおいて実施されてもよい。この種の実施態様は、FFTアルゴリズムを使用してもよい。それゆえ、「FFT」および「DFT」という用語は、同義に用いられてもよい。
【0025】
アンテナの各々によって放出される信号は、ランプ形状を有し、各ランプは、時間に対して周波数の線形の上昇する傾きを有してもよい。反射されたランプは、レーダーシステムによって受信され、さらに処理される。獲得期間は、いくつかのランプを備えてもよい。ランプの各々は、チャープとも称される。それゆえ、チャープは、特定のバンド幅および持続期間を有する。周波数の傾きは、線形でもよいが、異なる形状でもよい。
【0026】
車両において、特に、車において、より頻繁に、電子アーキテクチャは、中央ECUとして作用する少なくとも1つの高性能電子制御ユニット(ECU)を備える。コンピューティング資源、例えば、処理能力および/またはメモリのコストの減少に伴い、全体コストは、分散した構成要素、例えば、センサからますます強力な中央ECUの方に処理をシフトすることによって最適化されうる。これはまた、より複雑な方法、例えば、レーダーアプリケーションのより良好な全体性能の目的を達成するために、より高い解像度を処理するアルゴリズムまたは改善された干渉軽減を用いることを可能にする。
【0027】
この方法の問題は、中央ECUの方に送信されるデータ量にある。
【0028】
本願明細書において記載されている例示的な解決策は、非中央ECUと中央ECUとの間の接続のボトルネックに効率的に対処する全体のデータの減少(「データの圧縮」とも称される)に向けられる。
【0029】
例えば、送信(データレート)は、以下の矛盾する目的の間の妥協を考慮に入れる適切な圧縮を達成するように調整されてもよい。
-レーダーデータを提供するための、非中央構成要素、例えば、レーダーセンサの処理能力(およびメモリ)および
-非中央構成要素のために取得されるデータに基づいて、中央ECUの出力により提供される利点。
【0030】
図1は、レーダー(センサ)ECUでもよい例示的なレーダー構成要素101を示し、レーダー構成要素101は、無線周波数(RF)処理102、信号処理103および信号圧縮および送信104を備える。
【0031】
レーダー構成要素101の出力は、中央ECU110に接続され、中央ECU110は、信号解凍111および信号処理112を備える。
【0032】
例示的なシナリオにおいて、いくつかのレーダー構成要素101は、少なくとも1つの中央ECU110にデータを伝達する。中央ECU110の処理能力は、特に、非中央レーダー構成要素101の各々で利用可能な処理能力(およびメモリ)より著しく高くてもよい。それゆえ、中央ECU110で動作するアプリケーションは、より高い計算能力を利用し、改善された結果(例えば、物体のより高い解像度、より高速の認識など)をもたらすことができる。
【0033】
図2は、例示的なレーダー処理フローを示す。モノリシックマイクロ波集積回路(MMIC)201は、例えば、いくつかのアンテナを介してレーダーデータを受信する。MMIC201は、アナログデジタル変換(ADC)データをセンサ前処理ユニット(SPU)202の方に出力する。
【0034】
SPU202は、センサ前処理段を提供し、以下のとおり、受信したADCデータを特に処理してもよい。
-干渉は、ユニット203において軽減されてもよい。
-直流(DC)オフセットは、直流オフセット補償ユニット204において補償される。
-第1段FFTは、ユニット205内で行われ、結果は、レーダーメモリ206内に格納される。
-第2段FFTは、ユニット207内で行われ、結果は、レンジ/ドップラ(R/D)マップ208内に格納される。
-閾値検出は、ユニット209によって、R/Dマップ208およびユニット207の出力に基づいて行われる。
-ユニット209の出力は、第2段FFTユニット207からの出力によって乗算され、この乗算の結果は、デジタル信号プロセッサ(DSP)210に供給される。
【0035】
DSP210は、例えば、(例えば、放物線補間に基づいて)到来方向を決定してもよく、その出力を他のDSP211の方に供給する。
【0036】
DSP211は、(少なくとも1つの)マイクロコントローラユニット(MCU)でもよいかまたはこれを備えてもよく、分類212、追跡213、意思決定214を行い、データを車両インタフェース215に供給してもよい。
【0037】
DSP210およびDSP211は、単一のデバイスとしてまたは複数のデバイスとして配置されてもよい。
【0038】
図2において、MMIC201の出力は、100%(圧縮なし)であり、第1段FFTユニット205の出力は、100%(圧縮なし)であるが、DSP210の出力は、DSP210により提供される処理に起因して、わずか2%から5%となりうる。
【0039】
図3は、(例えば、(パラレルバスまたはシリアルバスとして実施されてもよい)ライン303を介して接続される非中央)レーダーセンサECU301と中央ECU302との間のレーダー処理フローの例示的な分割を示す。車両において、いくつかのレーダーセンサECU301は、1つの中央ECU302に接続されてもよい。
【0040】
レーダーセンサECU301は、
図2に関して上述したように、構成要素MMIC201、干渉ユニット203、直流オフセット補償ユニット204、第1段FFTユニット205およびレーダーメモリ206を備える。
【0041】
加えて、レーダーセンサECU301は、ライン303に接続されているインタフェース311を備える。
【0042】
中央ECU302もまた、ライン303に接続されているインタフェース312を備える。オプションとして、インタフェース312は、他のECU(
図3に図示せず)からのいくつかのラインに接続されてもよい。
【0043】
インタフェース312は、第2段FFTユニット207にデータを供給する。中央ECU302内のさらなる処理は、
図2に図示および記載されている構成要素に対応するR/Dマップ208、ユニット209、DSP210およびDSP/MCU211を備える。
【0044】
それゆえ、
図2のレーダー処理フローとは対照的に、
図3は、処理をレーダーセンサECU301によって行われる部分および中央ECU302によって行われる他の部分に分割し、レーダーセンサECU301および中央ECU302は、両方とも前記ライン303によってインタフェース311、312を介して接続されている。
【0045】
ボトルネックは、ECU301によって処理され、中央ECU302に伝達されることとなるデータ量となりうる。
【0046】
この障害を克服する例示的な解決策は、非中央ECU301からライン303を横切り中央ECU302まで伝達されなければならないデータ量を減少させることを提案する。
【0047】
この種の減少(または圧縮)は、特に、
-少なくとも1つの信号またはこの種の信号の少なくとも一部の選択的な省略、
-少なくとも1つの信号によって割り当てられるメモリの減少、
のうちの少なくとも1つを備えてもよい。
【0048】
少なくとも1つの信号の選択的な省略は、信号の選択とも称される。この種の省略は、ランダム、疑似ランダムまたは決定論的手法に従ってもよい。ランダム選択は、真のランダム選択、または、例えば、マイクロコントローラまたはプロセッサのような決定性機械のランダムジェネレータによって生成される、少なくともある程度のランダム性を有してもよい任意の選択を意味してもよいことに留意されたい。
【0049】
例えば、12個の信号のうち7個の信号は、さらなる処理のために選択されてもよい。換言すれば、5個の信号は、省略される。この選択は、ランダムに、疑似ランダムに、または、決定論的法則に起因して(例えば、表に格納される所定のパターンに沿って)行うことができる。その結果、(12個の信号の代わりに)7個の信号のみが中央ECU302の方に伝達され、結果として、ライン303を横切って伝達されるデータの減少につながる。このデータの減少は、圧縮と称されてもよい。
【0050】
データの減少は、レーダーセンサECU301内のさまざまな段階で達成可能である。例えば、減少は、MMIC201および/または第1段FFTユニット205内で行われてもよい。
【0051】
オプションとして、どのデータが到来し、どのデータが省略されたかをECU302が気付くために、減少は、中央ECU302に知られている減少スキームを用いてもよい。減少スキームは、事前にまたは(少なくとも部分的に)事後にECUに知られてもよい。例えば、レーダーセンサECU301および中央ECU302は、(例えば、ライン303を通じて、または、異なる通信手段を介して通信することによって)減少スキームまたはその修正について動的に同意してもよい。
【0052】
解決策によって、レーダーセンサECU301から中央ECU302までのデータトラフィックの、例えば、最高75%の減少を可能にしてもよい。
【0053】
例1:チャープデータを選択することによる減少
図4は、MMIC401内のデータの減少を視覚化する例示的な図を示す。MMIC401は、
図2および
図3に示されるMMIC201の概略的な単純化でもよい。
【0054】
図4に示される例によれば、MMIC401は、3つの受信分岐を備え、各々は、1つの受信アンテナ(RXアンテナ1からRXアンテナ3)のためである。各分岐は、以下のとおり動作する。受信アンテナからの信号は、局部発振器信号によって乗算され、増幅器およびフィルタ(「増幅器+フィルタ」)に供給される。増幅およびフィルタ処理された結果は、(ADCクロックによるアナログデジタル変換器(ADC)を用いて)アナログデジタル変換され、オプションでダウンサンプリングされる。次に、すべての分岐からの結果として生じるデジタル信号は、さらに処理される。
【0055】
図4に示される例において、結果として生じるデジタル信号は、どのチャープが処理されるべきかを選択することによって圧縮される(ステップ402参照)。ランダム、疑似ランダムまたは決定論的シーケンスを用いて、チャープを選択することができる。
【0056】
次に、ステップ403において、選択されたチャープは、第1段FFTを受け、ステップ404において、第1段FFT結果は、非中央ECU301から中央ECU302まで伝達される。オプションとして、選択コードは、FFT結果とともに伝達され、中央ECU302に、どのチャープが省略されたか、および/または、どのチャープが処理されたかを知らせることができる。
【0057】
例2:FFT結果を選択することによる減少
図5は、第1段FFTユニット502で発生するデータの減少を視覚化する例示的な図を示す。MMIC501は、
図2および
図3に示されるMMIC201の概略的な単純化でもよい。MMIC501の受信分岐は、上述したMMIC401の受信分岐に対応する。
【0058】
MMIC501により提供される結果として生じるデジタル信号は、以下のとおり、第1段FFTユニット502で処理される。ステップ503において、第1段FFTは、(すべての)チャープに適用される。次のステップ504において、FFT結果の一部のみが処理されるように選択することによって、減少を達成する。ランダム、疑似ランダムまたは決定論的シーケンスを用いて、FFT結果を選択することができる。
【0059】
ステップ505において、これらの選択されたFFT結果は、非中央ECU301から中央ECU302まで伝達される。オプションとして、選択コードは、FFT結果とともに伝達され、中央ECU302に、どのチャープが省略されたか、および/または、どのチャープが処理されたかを知らせることができる。
【0060】
例3:受信チャネルを選択することによる減少
図6は、MMIC601内で発生するデータの減少を視覚化する例示的な図を示し、MMIC601は、
図2および
図3に示されるMMIC201の概略的な単純化でもよい。
【0061】
図6に示される例によれば、MMIC601は、3つの受信分岐を備え、各々は、1つの受信アンテナ(RXアンテナ1からRXアンテナ3)のためである。各分岐は、以下のとおり動作する。受信アンテナからの信号は、局部発振器信号によって乗算され、増幅器およびフィルタ(「増幅器+フィルタ」)に供給される。増幅およびフィルタ処理された結果は、マルチプレクサ605に伝達される。この例では、マルチプレクサ605は、3つの入力および単一の出力を有する。信号606は、マルチプレクサ605のどの入力がその出力に接続されるかを制御する。それゆえ、信号606は、所定の時間の間の受信チャネルのうちの1つを選択する。
【0062】
信号606は、選択信号602によって提供され、これは、RXチャネルのランダム、疑似ランダムまたは決定論的選択を可能にする。例えば、受信チャネルの各々は、実質的に同じ割合で選択可能である。
【0063】
マルチプレクサ605の出力は、ADCクロックによって駆動されるアナログデジタル変換器(ADC)に伝達される。
【0064】
ADCの出力は、第1段FFTユニットに供給され、第1段FFTユニットは、FFT結果を決定する(ステップ603参照)。次に、ステップ604において、FFT結果は、非中央ECU301から中央ECU302まで伝達される。
【0065】
さらなる実施形態および利点
好ましくは、すべてのチャープが放出され、レーダーセンサECU301のさまざまなアンテナで受信される信号は、中央ECU302の方に伝達される全体のデータを減少させることによってさらに処理されることに留意されたい。
【0066】
さらなる処理を受けるチャープの数を減少させることによって、減少を達成してもよい。換言すれば、すべてのチャープが、さらに処理されるというわけではない。選択は、ランダムまたは決定論的スキームに従って行われてもよい。
【0067】
例示的な使用事例では、車両において、いくつかのレーダーセンサECUは、少なくとも1つの中央ECUとともに提供される。
【0068】
1つまたは複数の例において、本願明細書において記載されている機能は、ハードウェア、例えば、特定のハードウェア構成要素またはプロセッサで、少なくとも部分的に実施されてもよい。さらに一般的に言えば、技術は、ハードウェア、プロセッサ、ソフトウェア、ファームウェアまたは任意のこれらの組み合わせで実施されてもよい。ソフトウェアで実施される場合、機能は、コンピュータ可読媒体上の1つまたは複数の命令またはコードに格納されてもよいか、または、これを通じて送信されてもよく、ハードウェアベースの処理ユニットによって実行されてもよい。コンピュータ可読媒体は、データ記憶媒体のような有形的表現媒体に対応するコンピュータ可読記憶媒体、または、例えば、通信プロトコルに従って、ある場所から他の場所にコンピュータプログラムの転送を容易にする任意の媒体を含む通信媒体を含んでもよい。このように、コンピュータ可読媒体は、概して、(1)非一時的である有形のコンピュータ可読記憶媒体、または、(2)信号波または搬送波のような通信媒体に対応してもよい。データ記憶媒体は、この開示に記載されている技術の実施態様のための命令、コードおよび/またはデータ構造を検索するために、1つまたは複数のコンピュータまたは1つまたは複数のプロセッサによってアクセス可能である任意の利用できる媒体でもよい。コンピュータプログラム製品は、コンピュータ可読媒体を含んでもよい。
【0069】
制限ではなく、例として、この種のコンピュータ可読記憶媒体は、RAM、ROM、EEPROM、CD-ROMもしくは他の光ディスク記憶装置、磁気ディスク記憶装置または他の磁気記憶装置、フラッシュメモリ、または、命令またはデータ構造の形で所望のプログラムコードを格納するのに用いることができ、コンピュータによってアクセス可能な他の任意の媒体を備えることができる。また、任意の接続は、コンピュータ可読媒体、すなわち、コンピュータ可読伝送媒体と適切に呼ばれる。例えば、命令が、同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、デジタル加入者回線(DSL)または無線技術、例えば、赤外線、無線通信およびマイクロ波を用いて、ウェブサイト、サーバまたは他のリモートソースから送信される場合、同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、DSLまたは無線技術、例えば、赤外線、無線通信およびマイクロ波は、媒体の定義に含まれる。しかしながら、コンピュータ可読記憶媒体およびデータ記憶媒体は、接続、搬送波、信号または他の一時的な媒体を含まず、その代わりに非一時的な有形の記憶媒体に向けられることを理解されたい。本願明細書で用いられるディスク(disk)およびディスク(disc)は、コンパクトディスク(CD)、レーザーディスク、光ディスク、デジタル多用途ディスク(DVD)、フロッピーディスクおよびブルーレイディスクを含み、ディスク(disk)は、通常磁気的にデータを再生し、一方、ディスク(disc)は、光学的にレーザーによりデータを再生する。上記の組み合わせもまた、コンピュータ可読媒体の範囲内に含まれる。
【0070】
命令は、1つまたは複数のプロセッサ、例えば、1つまたは複数の中央演算処理装置(CPU)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、汎用マイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルロジックアレイ(FPGA)または他の等価な集積論理回路またはディスクリート論理回路によって実行されてもよい。したがって、本願明細書で用いられる「プロセッサ」という用語は、上述した構造または本願明細書において記載されている技術の実施態様に適した他の任意の構造のいずれかを意味してもよい。加えて、いくつかの態様では、本願明細書において記載されている機能は、専用ハードウェアおよび/または符号化および復号のために構成されるかまたは複合コーデック内に組み込まれるソフトウェアモジュール内で提供されてもよい。また、技術は、1つまたは複数の回路または論理要素において完全に実施可能である。
【0071】
この開示の技術は、無線ハンドセット、集積回路(IC)またはICのセット(例えば、チップセット)を含む多種多様なデバイスまたは装置において実施されてもよい。さまざまな構成要素、モジュールまたはユニットは、この開示に記載され、開示された技術を実行するように構成されるデバイスの機能的態様を強調するが、異なるハードウェアユニットによる実現を必ずしも必要とするわけではない。むしろ、上述したように、さまざまなユニットは、単一のハードウェアユニット内に組み込まれてもよいかまたは適切なソフトウェアおよび/またはファームウェアと連動する上述したような1つまたは複数のプロセッサを含む、相互動作するハードウェアユニットの集合によって提供されてもよい。
【0072】
本発明のさまざまな例示的な実施形態が開示されてきたが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、本発明の利点のいくつかを達成するさまざまな変更および修正を行うことができることは、当業者にとって明らかである。同じ機能を実行する他の構成要素が最適に置換されてもよいことは、当業者にとって明らかである。特定の図面を参照して説明される特徴を、明確に言及されなかった場合でさえ、他の図面の特徴と組み合わせてもよいことにも言及すべきである。さらに、本発明の方法は、適切なプロセッサ命令を用いて、すべてのソフトウェア実施態様において、または、ハードウェア論理およびソフトウェア論理の組み合わせを利用して同じ結果を達成するハイブリッドの実施態様において達成されてもよい。発明の概念に対するこの種の修正は、添付の請求の範囲によってカバーされることを意図する。
【外国語明細書】