(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024065098
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】オーディオ処理方法、オーディオ再生機器及びコンピュータ可読記憶媒体
(51)【国際特許分類】
H04S 7/00 20060101AFI20240507BHJP
【FI】
H04S7/00 330
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023184880
(22)【出願日】2023-10-27
(31)【優先権主張番号】202211327883.8
(32)【優先日】2022-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】521476193
【氏名又は名称】安克▲創▼新科技股▲フン▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】黎 ▲レイ▼
(72)【発明者】
【氏名】▲鄭▼ ▲進▼▲聡▼
【テーマコード(参考)】
5D162
【Fターム(参考)】
5D162AA05
5D162CC19
5D162CD25
5D162DA04
5D162EG05
(57)【要約】 (修正有)
【課題】使用者の運動状態の下でのサウンドエフェクト追従効果を向上させるオーディオ処理方法、オーディオ再生機器及びコンピュータ可読記憶媒体を提供する。
【解決手段】方法は、オーディオ再生機器が使用者の移動に伴って移動する運動情報を取得するステップS11と、取得した使用者の運動軌跡、リアルタイムの運動速度、リアルタイムの加速度及び予め設定されたサウンドエフェクト関数に基づいて、使用者に対する少なくとも2つの仮想スピーカーそれぞれの位置及び角度情報を計算して獲得するステップS12と、オーディオ再生機器の処理対象のオーディオデータを取得し、予め設定されたサウンドエフェクト関数及び取得した少なくとも2つの仮想スピーカーそれぞれの位置及び角度情報に基づいて、処理後の空間オーディオデータを計算して獲得するステップS13と、オーディオ再生機器を利用して空間オーディオデータを再生するステップS14と、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オーディオ再生機器が使用者の移動に伴って移動する運動情報を取得するステップであって、前記運動情報は少なくとも前記使用者の運動軌跡、リアルタイムの運動速度及びリアルタイムの加速度を含むステップと、
取得した前記使用者の運動軌跡、リアルタイムの運動速度、リアルタイムの加速度、及び予め設定されたサウンドエフェクト関数に基づいて、前記使用者に対する少なくとも2つの仮想スピーカーそれぞれの位置及び角度情報を計算して獲得するステップと、
前記オーディオ再生機器の処理対象のオーディオデータを取得し、前記予め設定されたサウンドエフェクト関数、及び取得した前記少なくとも2つの仮想スピーカーそれぞれの位置及び角度情報に基づいて、処理後の空間オーディオデータを計算して獲得するステップと、
前記オーディオ再生機器を利用して前記空間オーディオデータを再生するステップと、を含む、ことを特徴とするオーディオ処理方法。
【請求項2】
前記使用者に対する少なくとも2つの仮想スピーカーそれぞれの位置及び角度情報を計算して獲得する前記ステップにおいて、前記方法は、
前記使用者の頭部が左右に回転していることを検出した場合、前記オーディオ再生機器に設けられた頭部追跡装置がリアルタイムに検出した頭部回転角度情報を取得するステップと、
取得した前記頭部回転角度情報、及び予め設定された頭部回転角度の調整メカニズムに基づいて、前記少なくとも2つの仮想スピーカーそれぞれの角度情報を調整するステップと、をさらに含む、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記頭部回転角度の調整メカニズムは、
前記使用者の頭部が左に回転していることを取得した場合、前記使用者の頭部の左の仮想スピーカーと前記使用者との水平連結線と前記使用者の真正面との間の角度を減少するように調整し、前記使用者の頭部の右の仮想スピーカーと前記使用者との水平連結線と前記使用者の真正面との間の角度を増加するように調整するステップと、
前記使用者の頭部が右に回転することを取得した場合、前記使用者の頭部の右の仮想スピーカーと前記使用者との水平連結線と前記使用者の真正面との間の角度を減少するように調整し、前記使用者の頭部の左の仮想スピーカーと前記使用者との水平連結線と前記使用者の真正面との間の角度を増加するように調整するステップと、を含む、ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記サウンドエフェクト関数の実行時に、
取得した前記使用者の加速度の絶対値が予め設定された第1閾値より大きい場合、前記少なくとも2つの仮想スピーカーそれぞれの位置情報のうち前記使用者に対する距離を予め設定された第2閾値に設定し、前記少なくとも2つの仮想スピーカーそれぞれの角度情報のうち前記使用者に対する角度を予め設定された第3閾値に設定するステップと、
取得した前記使用者の加速度の絶対値が0に等しい場合、前記少なくとも2つの仮想スピーカーそれぞれの位置情報のうち前記使用者に対する距離を0に設定し、前記少なくとも2つの仮想スピーカーそれぞれの角度情報のうち前記使用者に対する角度を0に設定するステップと、
取得した前記使用者の加速度の絶対値が0より大きく且つ前記第1閾値より小さい場合、前記少なくとも2つの仮想スピーカーそれぞれの位置情報のうち前記使用者に対する距離を予め設定された第1線形関係に応じて調整し、前記少なくとも2つの仮想スピーカーそれぞれの角度情報のうち前記使用者に対する角度を予め設定された第2線形関係に応じて調整するステップと、を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1線形関係は、前記第1閾値と前記第2閾値との比が現在取得した前記使用者の加速度と前記使用者に対する前記仮想スピーカーの距離との比に等しいことである、及び/又は、
前記第2線形関係は、前記第1閾値と前記第3閾値との比が、現在取得した前記使用者の加速度と前記使用者に対する前記仮想スピーカーの角度との比に等しいことである、ことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記運動情報は、測位装置、加速度センサを利用してリアルタイムに取得されるものであり、前記測位装置、加速度センサのうちの少なくとも1つは前記オーディオ再生機器に設けられる、又は前記オーディオ再生機器と通信接続されたスマートモバイル機器に設けられる、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
取得した前記使用者の加速度が0より大きい場合、前記少なくとも2つの仮想スピーカーはそれぞれ前記オーディオ再生機器の移動方向とは反対する方向に位置し、
取得した前記使用者の加速度が0より小さい場合、前記少なくとも2つの仮想スピーカーはそれぞれ前記オーディオ再生機器の移動方向と同じ方向に位置する、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記運動軌跡は加速転向移動及び減速転向移動を含み、
前記運動軌跡が加速転向移動である場合、前記少なくとも2つの仮想スピーカーは前記オーディオ再生機器の移動方向とは反対する方向且つ曲がり方向とは反対する側に位置し、
前記運動軌跡が減速転向移動である場合、前記少なくとも2つの仮想スピーカーは前記オーディオ再生機器の移動方向と同じ方向且つ曲がり方向とは反対する側に位置する、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
オーディオ再生機器であって、前記オーディオ再生機器は相互に連結されたプロセッサとメモリを含み、前記メモリにコンピュータプログラムが記憶されており、前記プロセッサは前記コンピュータプログラムを実行することで請求項1~8のいずれか1項に記載の方法のステップを実現することに用いられる、ことを特徴とするオーディオ再生機器。
【請求項10】
コンピュータ可読記憶媒体であって、前記コンピュータ可読記憶媒体にプログラムデータが記憶されており、前記プログラムデータがプロセッサにより実行されるときに請求項1~8のいずれか1項に記載の方法のステップを実現する、ことを特徴とするコンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願はオーディオ処理分野に関し、特にオーディオ処理方法、オーディオ再生機器及びコンピュータ可読記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
サウンドエフェクト定位アルゴリズムで処理された信号は、様々な異なる空間聴覚効果を仮想することができる。仮想スピーカーはサウンドエフェクト関数で処理された仮想音源であり、仮想スピーカーの位置はサウンドエフェクト関数で処理された仮想音源位置である。サウンドエフェクト関数で処理されていないオーディオは仮想スピーカーが提供する空間サウンドエフェクトを表さず、頭部内サウンドエフェクトを表し、即ち、聴取者はオーディオが常に耳の中で再生されていることを感じるという効果である。現在のサウンドエフェクト処理は使用者の運動に応じて柔軟に調整することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本願は主にオーディオ処理方法、オーディオ再生機器及びコンピュータ可読記憶媒体を提供し、従来技術のサウンドエフェクト処理が使用者の運きに応じて柔軟に調整することができないという課題を解決する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記技術的課題を解決するために、本願の第1態様はオーディオ処理方法を提供し、オーディオ再生機器が使用者の移動に伴って移動する運動情報を取得するステップであって、前記運動情報は少なくとも前記使用者の運動軌跡、リアルタイムの運動速度、リアルタイムの加速度を含むステップと、取得した前記使用者の運動軌跡、リアルタイムの運動速度、リアルタイムの加速度、及び予め設定されたサウンドエフェクト関数に基づいて、前記使用者に対する少なくとも2つの仮想スピーカーそれぞれの位置及び角度情報を計算して獲得するステップと、前記オーディオ再生機器の処理対象のオーディオデータを取得し、前記予め設定されたサウンドエフェクト関数、及び取得した前記少なくとも2つの仮想スピーカーそれぞれの位置及び角度情報に基づいて、処理後の空間オーディオデータを計算して獲得するステップと、前記オーディオ再生機器を利用して前記空間オーディオデータを再生するステップと、を含む。
【0005】
上記技術的課題を解決するために、本願の第2態様はオーディオ再生機器を提供し、前記オーディオ再生機器は相互に連結されたプロセッサとメモリを含み、前記メモリにコンピュータプログラムが記憶されており、前記プロセッサは前記コンピュータプログラムを実行することで上記第1態様が提供するオーディオ処理方法のステップを実現することに用いられる。
【0006】
上記技術的課題を解決するために、本願の第3態様はコンピュータ可読記憶媒体を提供し、コンピュータ可読記憶媒体にプログラムデータが記憶されており、前記プログラムデータがプロセッサにより実行されるときに、上記第1態様が提供するオーディオ処理方法を実現する。
【発明の効果】
【0007】
本願の有利な効果は以下のとおりである。従来技術の状況とは異なり、本願は、まず、オーディオ再生機器が使用者の移動に伴って移動する運動情報を取得し、運動情報は少なくとも使用者の運動軌跡、リアルタイムの運動速度、リアルタイムの加速度を含み、次に、取得した使用者の運動軌跡、リアルタイムの運動速度、リアルタイムの加速度、及び予め設定されたサウンドエフェクト関数に基づいて、使用者に対する少なくとも2つの仮想スピーカーそれぞれの位置及び角度情報を計算して獲得し、オーディオ再生機器の処理対象のオーディオデータを取得し、予め設定されたサウンドエフェクト関数、及び取得した少なくとも2つの仮想スピーカーそれぞれの位置及び角度情報に基づいて、処理後の空間オーディオデータを計算して獲得し、最後に、オーディオ再生機器を利用して空間オーディオデータを再生する。上記方式は、オーディオ再生機器が使用者に追従して移動する運動情報、及び予め設定されたサウンドエフェクト関数を利用して、少なくとも2つの仮想スピーカーの位置及び角度情報を計算して獲得し、この少なくとも2つの仮想スピーカーを利用してオーディオ再生機器の処理対象のオーディオデータに対してサウンドエフェクト処理を行って空間オーディオデータを獲得し、空間オーディオデータを再生した後に空間サウンドエフェクトの再生効果を実現し、運動状態の下でのサウンドエフェクト追従効果を向上させる。
【0008】
本願の実施例の技術的解決手段をより明確に説明するために、以下、実施例の記述に使用される必要がある図面を簡単に説明し、明らかなように、以下に記述される図面は本願のいくつかの実施例に過ぎず、当業者にとって、創造的な努力を必要とせず、これらの図面に基づいて他の図面を取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本願に係るオーディオ処理方法の一実施例のフローチャートである。
【
図2】本願に係るオーディオ再生機器と仮想スピーカーとの一実施例の位置関係を示す模式図である。
【
図3】本願に係るオーディオ再生機器と仮想スピーカーとの別の実施例の位置関係を示す模式図である。
【
図4】本願に係るオーディオ再生機器と仮想スピーカーとのさらに別の実施例の位置関係を示す模式図である。
【
図5】本願に係る加速直線移動過程でのオーディオ再生機器と仮想スピーカーとの一実施例の位置関係を示す模式図である。
【
図6】本願に係る減速直線移動過程でのオーディオ再生機器と仮想スピーカーとの一実施例の位置関係を示す模式図である。
【
図7】本願に係る曲がり情報を確定する一実施例のフローチャートである。
【
図8】本願に係る曲がり状況におけるオーディオ再生機器の移動方向及び道路方向の一実施例の模式図である。
【
図9】本願に係る曲がり状況におけるオーディオ再生機器の向き変化の一実施例の模式図である。
【
図10】本願に係る加速曲がり過程でのオーディオ再生機器と仮想スピーカーの一実施例の位置関係模式図である。
【
図11】本願に係る減速曲がり過程でのオーディオ再生機器と仮想スピーカーの一実施例の位置関係模式図である。
【
図12】本願に係る使用者の頭部回転の一実施例の位置関係模式図である。
【
図13】本願に係る使用者の頭部回転の別の実施例の位置関係模式図である。
【
図14】本願に係るオーディオ再生機器の一実施例の構造模式ブロック図である。
【
図15】本願に係るオーディオ再生機器の別の実施例の構造模式ブロック図である。
【
図16】本願に係るコンピュータ可読記憶媒体の一実施例の構造模式ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本願の実施例の図面を参照しながら、本願の実施例の技術的解決手段を明確で、完全に記述するが、明らかなように、記述される実施例は本願の一部の実施例に過ぎず、全部の実施例ではない。本願の実施例に基づき、当業者が創造的な努力を必要とせず取得したすべての他の実施例は、いずれも本願の保護範囲に属する。
【0011】
本願における「第1」、「第2」という用語は記述するためのものに過ぎないものの、相対的な重要性を指示又は暗示するもの、又は指示される技術的特徴の数を暗黙的に示すものであると理解されるべきではない。これにより、「第1」、「第2」で限定された特徴は少なくとも1つの該特徴を明示的又は暗黙的に含んでもよい。本願の記述では、特に明確で具体的に限定しない限り、「複数」の意味は少なくとも2つ、例えば、2つ、3つ等である。また、「含む」や「有する」という用語、及びそれらの何らの変形は、非排他的な包含をカバーすることを意図する。例えば、一連のステップ又はユニットを含む過程、方法、システム、製品又は機器は挙げられたステップ又はユニットに限定されず、挙げられていないステップ又はユニットを選択的にさらに含み、又はこれらの過程、方法、製品又は機器に対して固有の他のステップ又はユニットを選択的にさらに含む。
【0012】
本明細書に言及される「実施例」は、実施例を参照して記述される特定の特徴、構造又は特性が本願の少なくとも1つの実施例に含まれ得ることを意味する。明細書の様々な位置に現れる該語句は必ずしもすべてが同じ実施例ではなく、他の実施例と排他的な独立した実施例又は代替的な実施例でもない。当業者は、本明細書に記述される実施例が他の実施例と組み合わせることができることを明示的及び暗黙的に理解している。
【0013】
図1に参照されるように、
図1は本願に係るオーディオ処理方法の一実施例のフローチャートである。なお、実質的に同じ結果があれば、本実施例は
図1に示されるフロー順序に限定されない。本実施例は以下のステップS11~ステップS14を含む。
【0014】
ステップS11:オーディオ再生機器が使用者の動きに伴って移動する運動情報を取得する。
【0015】
本明細書でいうオーディオ再生機器は、有線イヤホンと、例えば、無線イヤホン(ヘッドセット、ハーフインイヤーイヤホン、インイヤーイヤホン等)及び無線オーディオメガネ等の無線ウェアラブル機器と、を含むが、それらに限定されず、オーディオ再生機器は音源機器と有線又は無線の通信接続を確立することができ、それによって、音源機器からの処理対象のオーディオデータを受信する。
【0016】
例えば、音源機器は携帯電話、タブレットパソコン、及び腕時計やバンド等のウェアラブル音源機器であってもよく、音源機器は、ローカルオーディオデータを記憶していてもよいし、ネットワークを介してアプリケーションプログラム又はウェブページで処理対象のオーディオデータとしてオーディオデータを取得してもよく、処理対象のオーディオデータは、例えば、音楽のオーディオデータ、電子書籍のオーディオデータ等、テレビ/映画のオーディオ等である。
【0017】
オーディオ再生機器は使用者の動きに追従して移動する。例えば、運動シーンの下で、使用者はオーディオ再生機器を装着し、オーディオ再生機器は使用者の動きとともに移動するように構成される。
【0018】
一実施形態では、運動情報は、測位装置、加速度センサを利用してリアルタイムに取得されるものであり、測位装置、加速度センサのうちの少なくとも1つはオーディオ再生機器に設けられ、又はオーディオ再生機器と通信接続されたスマートモバイル機器、例えば、携帯電話、腕時計等のスマートウェアラブル機器に設けられる。
【0019】
測位装置は、例えば、無線周波数通信技術(UWB又はブルートゥース(登録商標)技術等)及びGPS測位技術で使用者の角度、速度、加速度、軌跡等の情報を取得し、該シーンの下での空間オーディオ追従を実現する。UWB(Ultra Wide Band)技術はTOF(飛行時間)の原理を利用して測距し、UWBは超広帯域技術であり、貫通力が強く、耐マルチパス効果がよく、正確な測位精度を提供できる等の利点を有し、室内の静止又は移動物体の測位追跡及びナビゲーションに適用する。
【0020】
運動情報は少なくとも使用者の運動軌跡、リアルタイムの運動速度、リアルタイムの加速度を含み、より具体的に、例えば、運動シーンの下での加速有無、減速有無、加速又は減速状態の下での加速度、曲がり情報等である。
【0021】
ステップS12:取得した使用者の運動軌跡、リアルタイムの運動速度、リアルタイムの加速度、及び予め設定されたサウンドエフェクト関数に基づいて、使用者に対する少なくとも2つの仮想スピーカーそれぞれの位置及び角度情報を計算して獲得する。
【0022】
仮想スピーカーはサウンドエフェクト関数で処理された仮想音源であり、仮想スピーカーの位置はサウンドエフェクト関数で処理された仮想音源位置であり、サウンドエフェクト関数で処理されていないオーディオは仮想スピーカーが提供するサウンドエフェクトを表さず、元のオーディオで直接表す。
【0023】
ここで言及されたサウンドエフェクト関数は、例えば、頭部伝達関数(Head Related Transfer Functions、HRTFと略称)であり、ATF(anatomical transfer function)とも呼ばれ、パーソナライズされた空間サウンドエフェクトアルゴリズムである。
【0024】
具体的に、頭部伝達関数は音源から両耳への音波の伝達過程を記述し、それは、音波が音源から両耳に伝播する時間差、音源が垂直二等分面にない場合に音波に対する頭部のシャドウ及び散乱作用による両耳間レベル差、人の生理構造(例えば、頭、耳介及び胴体等)による音波に対する散乱及び回折作用、音源が上下又は前後の鏡面位置及び垂直二等分面で定位混同を引き起こす動的要因及び心理的要因等を総合的に考慮する。実際の応用では、イヤホン又はスピーカーを利用して、HRTFで処理された信号を再送信することで、様々な異なる空間聴覚効果を仮想することができる。
【0025】
位置情報は少なくともオーディオ再生機器と仮想スピーカーの水平方向における距離を含み、角度情報は少なくともオーディオ再生機器と仮想スピーカーの水平方向における角度関係を含む。
【0026】
例えば、頭部伝達関数は簡単にHRTF(L,θ1,θ2)と示すことができ、θ1は使用者及び仮想スピーカーの水平方向における角度パラメータを示し、θ2はオーディオ再生機器と仮想スピーカーの俯角/仰角(即ち、オーディオ再生機器と仮想スピーカーの垂直方向における角度)を示し、Lはオーディオ再生機器と仮想スピーカーとの間の距離パラメータであり、L、θ1、θ2は固定値であってもよく、使用者に対する仮想スピーカーの運動位置情報及び角度情報に基づいて異なる値に変更されてもよい。各仮想スピーカーは1つの頭部伝達関数に対応できる。
【0027】
本明細書でいう角度パラメータは、仮想スピーカーとオーディオ再生機器の真正面との角度を示す。具体的に
図2に参照されるように、
図2は本願に係るオーディオ再生機器と仮想スピーカーとの一実施例の位置関係模式図である。本明細書の
図2~
図4はいずれもオーディオ再生機器と仮想スピーカーの平面視における位置関係であり、本実施例のオーディオ再生機器がある位置はOと示され、理解できるように、オーディオ再生機器は人に装着されて一緒に移動し、Oは使用者の位置を示すこともでき、仮想スピーカーA、Bはそれぞれオーディオ再生機器Oの両側に位置し、本実施例は、オーディオ再生機器Oを基準位置としてx方向の座標軸を定義し、x軸はオーディオ再生機器の真正面であり、y軸はオーディオ再生機器の真右方であり、xOy平面はオーディオ再生機器がある水平面である。オーディオ再生機器が使用者により正確に装着される場合、x軸方向は使用者の真正面であり、オーディオ再生機器の真正面向x軸は使用者の真正面中心軸と重なり、仮想スピーカーAとオーディオ再生機器Oとの角度パラメータは、仮想スピーカーAとオーディオ再生機器Oとの間の連結線とx軸とがなす角度aを利用して示すことができ、同様に、仮想スピーカーBとオーディオ再生機器Oとの角度パラメータは、仮想スピーカーBとオーディオ再生機器Oとの間の連結線とx軸とがなす角度bを利用して示すことができる。
【0028】
ステップS13:オーディオ再生機器の処理対象のオーディオデータを取得し、予め設定されたサウンドエフェクト関数、及び取得した少なくとも2つの仮想スピーカーそれぞれの位置及び角度情報に基づいて、処理後の空間オーディオデータを計算して獲得する。
【0029】
処理対象のオーディオデータは、例えば、音源機器から取得したローカルオーディオデータであり、又はネットワークを介してアプリケーションプログラム又はウェブページから処理対象のオーディオデータとしてオーディオデータを取得し、処理対象のオーディオデータは、例えば、音楽のオーディオデータ、電子書籍のオーディオデータ等、テレビ/映画のオーディオ等である。
【0030】
本ステップでは、仮想スピーカーの位置及び角度情報に基づいて、それぞれの対応するサウンドエフェクト関数における位置パラメータL、θ1を調整して、新しいサウンドエフェクト関数を獲得し、新しいサウンドエフェクト関数を利用して処理対象のオーディオデータを処理して、処理後の空間オーディオデータを獲得することができる。
【0031】
1つの実施シーンでは、取得した使用者の加速度が0より大きい(即ち、オーディオ再生機器が使用者に追従して加速移動することを示す)場合、少なくとも2つの仮想スピーカーをオーディオ再生機器の移動方向とは反対する方向にそれぞれ位置させるように調整し(即ち、仮想スピーカーとオーディオ再生機器との間の連結線と、オーディオ再生機器の真正面とがなす角度は90度より大きい)、取得した使用者の加速度が0より小さい(即ち、オーディオ再生機器が使用者に追従して減速移動することを示す)場合、少なくとも2つの仮想スピーカーをオーディオ再生機器の移動方向と同じ方向にそれぞれ位置させるように調整する(即ち、仮想スピーカーとオーディオ再生機器との間の連結線と、オーディオ再生機器の真正面とがなす角度は90度より小さい)。
【0032】
オーディオ再生機器の移動方向は、即ちオーディオ再生機器が使用者に追従して進行する方向である。
図2及び
図3を組み合わせて参照されるように、x軸方向は真正面であり、使用者の進行方向がx軸方向である場合、加速移動を検出したときに、仮想スピーカーをxが指す方向とは反対する方向に位置させるように調整し(即ち、使用者の後ろに調整する)、仮想スピーカーA、Bのそれぞれとオーディオ再生機器Oとの間の連結線と、x軸方向とがなす角度を初期のaからbに調整し、使用者にとって、使用者は現在xが指す方向に向かって運動する場合、仮想スピーカーを使用者の後ろに調整し、それにより、使用者は「仮想音源を後ろに振った」という聴覚的感覚を生じる。
【0033】
図2及び
図4を組み合わせて参照されるように、x軸方向は真正面であり、使用者の進行方向がx軸方向である場合、減速移動を検出したときに、仮想スピーカーをxが指す方向に位置させるように調整し、仮想スピーカーA、Bのそれぞれとオーディオ再生機器Oとの間の連結線と、x軸方向とがなす角度を初期のaをcに調整し、使用者にとって、使用者は現在xが指す方向に向かって運動する場合、仮想スピーカーを使用者の前に調整し、それにより、使用者は仮想音源に「後ろに振られた」という聴覚的感覚を生じ、使用者を加速させて仮想音源を追いかけ、運動中のサウンドエフェクトのインタラクションを向上させることができる。
【0034】
一実施例では、使用者の加速度に基づいて使用者に対する仮想スピーカーの角度及び距離情報を調整することは、具体的に以下のことを含む。
【0035】
取得した使用者の加速度の絶対値が0に等しい場合、少なくとも2つの仮想スピーカーそれぞれの位置情報のうち使用者に対する距離を0に設定し、及び少なくとも2つの仮想スピーカーそれぞれの角度情報のうち使用者に対する角度を0に設定し、即ち、サウンドエフェクトを耳に戻すように調整する。
【0036】
取得した使用者の加速度の絶対値が予め設定された第1閾値より大きい場合、少なくとも2つの仮想スピーカーそれぞれの位置情報のうち使用者に対する距離を予め設定された第2閾値に設定し、及び少なくとも2つの仮想スピーカーそれぞれの角度情報のうち使用者に対する角度を予め設定された第3閾値に設定する。
【0037】
取得した使用者の加速度の絶対値が0より大きく且つ第1閾値より小さい場合、少なくとも2つの仮想スピーカーそれぞれの位置情報のうち使用者に対する距離を予め設定された第1線形関係に応じて調整し、及び少なくとも2つの仮想スピーカーそれぞれの角度情報のうち使用者に対する角度を予め設定された第2線形関係に応じて調整する。
【0038】
使用者に対する仮想スピーカーの距離と使用者の加速度との間の第1線形関係、及び使用者に対する仮想スピーカーの角度と使用者の加速度との間の第2線形関係を予め設定することができ、使用者の加速度の絶対値が0より大きく且つ第1閾値より小さいと検出した場合、第1線形関係及び第2線形関係に基づいて使用者に対する各仮想スピーカーの角度及び距離を調整することができ、別の実施形態では、予め設定された第1線形関係及び第2線形関係に基づいて加速度と角度及び距離との間の対応する関係表を確定することができ、現在の加速度を確定した後、対応する関係表から現在の加速度に対応する角度及び距離をルックアップし、ルックアップした角度及び距離を利用してサウンドエフェクト関数における角度及び距離パラメータを調整する。加速度と角度、距離パラメータとの間の対応する関係表は下表に示され、該表は加速度を複数の加速度範囲に分け、各加速度値の範囲は1つの対応する角度及び距離に対応する。ルックアップした現在の加速度が属する加速度範囲に対応する角度値及び距離値を、サウンドエフェクト関数における新しい角度パラメータ及び距離パラメータとし、これによりオーディオ再生機器に対して確定位置を有する2つの仮想スピーカーを獲得する。
【0039】
【0040】
理解できるように、本明細書の各実施例の2つの仮想スピーカーは対称に設けられているため、直進加速又は減速の移動状況の下で、仮想スピーカーはオーディオ再生機器の移動方向に対して対称であり、それらの角度及び距離が同じであるように維持する。本明細書の各実施例はデュアルチャネルサウンドエフェクトを例にして説明し、同様の方式はマルチチャネル音源にも応用できる。ブルートゥース伝送プロトコルに制限されるため、現在、イヤホンで伝送できるオーディオはいずれもステレオオーディオであり、業界ではupmixアップミックスのアルゴリズムでオーディオファイルをステレオからマルチチャネル(例えば、5.1等)へ構築することができ、また、楽器分離を深層学習する方法で、ステレオの音楽ファイルを、異なる楽器を含むマルチチャネルファイルに分解することもできる。理解できるように、マルチチャネル音源は2つ以上の仮想スピーカーに対応することができ、この方式は、上記方式のように、各仮想スピーカーの角度と加速度との間の線形関係、及び距離と加速度との間の線形関係を実際のニーズに応じて設定することもでき、ここでは多く限定されない。
【0041】
第1線形関係は、第1閾値と第2閾値との比が、現在取得した使用者の加速度と使用者に対する仮想スピーカーの距離との比に等しいことである。第2線形関係は、第1閾値と第3閾値との比が、現在取得した使用者の加速度と使用者に対する仮想スピーカーの角度との比に等しいことである。
【0042】
加速移動時に加速度と仮想スピーカーそれぞれの位置情報のうち使用者に対する距離との間の第1線形関係は、大まかに以下のように表すことができる。オーディオ再生機器が減速移動し且つ加速度が増加していることを検出した場合、仮想スピーカーが使用者の前に回り、オーディオ再生機器と仮想スピーカーとの間の距離が増加し、オーディオ再生機器が加速移動し且つ加速度が減少していることを検出した場合、オーディオ再生機器と仮想スピーカーとの間の距離が減少し、加速度が0である場合、仮想スピーカーが耳に戻る。減速移動時に加速度と距離との間の第1線形関係は、大まかに以下のように表すことができる。オーディオ再生機器が減速移動し且つ加速度が増加していることを検出した場合、仮想スピーカーが使用者の前に回り、オーディオ再生機器と仮想スピーカーとの間の距離が増加し、オーディオ再生機器が減速移動し且つ加速度が減少していることを検出した場合、オーディオ再生機器と仮想スピーカーとの間の距離が減少し、加速度が0である場合、仮想スピーカーが耳に戻る。
【0043】
加速移動時に加速度と仮想スピーカーそれぞれの位置情報のうち使用者に対する角度との間の第2線形関係は、大まかに以下のように表すことができる。オーディオ再生機器が加速移動し且つ加速度が増加していることを検出した場合、仮想スピーカーが使用者の後ろに回り、オーディオ再生機器と仮想スピーカーとの間の連結線とオーディオ再生機器の真正面とがなす角度が減少するが、依然として90度より大きく、オーディオ再生機器が加速移動し且つ加速度が減少していることを検出した場合、オーディオ再生機器と仮想スピーカーとの間の連結線とオーディオ再生機器の真正面とがなす角度が増加し、加速度が0である場合、仮想スピーカーが耳に戻る。減速移動時に加速度と仮想スピーカーそれぞれの位置情報のうち使用者に対する角度との間の第2線形関係は、大まかに以下のように表すことができる。オーディオ再生機器が減速移動し且つ加速度が増加していることを検出した場合、仮想スピーカーが使用者の前に回り、オーディオ再生機器と仮想スピーカーとの間の連結線とオーディオ再生機器の真正面とがなす角度が増加するが、依然として90度より小さく、オーディオ再生機器が減速移動し且つ加速度が減少していることを検出した場合、オーディオ再生機器と仮想スピーカーとの間の連結線とオーディオ再生機器の真正面とがなす角度が減少し、加速度が0である場合、仮想スピーカーが耳に戻る。
【0044】
図5に参照されるように、
図5は、静止時刻t11からt12-t13-t14-t15時刻までのオーディオ再生機器のx方向に向く完全な加速運動過程における、オーディオ再生機器と仮想スピーカーとの間の位置関係変化を示し、Oはオーディオ再生機器の中心位置を示し、A、Bはそれぞれ2音源サウンドエフェクトの下での2つの仮想スピーカーである。t11-t12-t13の間で、速度vが0からv1に増加し、加速度a1が0から最大加速度a1
maxに増加し、仮想スピーカーが耳から後ろに移動し、仮想スピーカーAとオーディオ再生機器Oとの間の連結線と、オーディオ再生機器Oの真正面とがなす角度、及び仮想スピーカーBとオーディオ再生機器Oとの間の連結線と、オーディオ再生機器の真正面とがなす角度はいずれも大から小に変化するが、依然として90度より大きく、同時に、仮想スピーカーA、Bとオーディオ再生機器Oとの間の距離Lは、小から大に変化し、L
maxになり、t13-t14-t15の間で、速度がv1からv
maxに増加し、加速度a1が最大加速度a1
maxから0に減少し、仮想スピーカーAとオーディオ再生機器Oとの間の連結線と、オーディオ再生機器Oの真正面とがなす角度、及び仮想スピーカーBとオーディオ再生機器Oとの間の連結線と、オーディオ再生機器の真正面とがなす角度はいずれも小から大に増加し、同時に、仮想スピーカーA、Bとオーディオ再生機器Oとの間の距離Lは、速度が最大速度v
maxに増加するまで、L
maxから小に変化し、加速度a1が0になるときに、仮想スピーカーが耳に戻る。
【0045】
図6に参照されるように、
図6は、静止時刻t21からt22-t23-t24-t25時刻までのオーディオ再生機器のx方向に向く完全な減速運動過程における、オーディオ再生機器と仮想スピーカーとの間の位置関係変化を示し、Oはオーディオ再生機器の中心位置を示し、A、Bはそれぞれ2音源サウンドエフェクトの下での2つの仮想スピーカーである。t21-t22-t23の間で、速度vが最大速度v
maxからv2に減少し、加速度a2が0から最大加速度a2
maxに増加し、仮想スピーカーが耳から前に移動し、仮想スピーカーAとオーディオ再生機器Oとの間の連結線とオーディオ再生機器Oの真正面とがなす角度、及び仮想スピーカーBとオーディオ再生機器Oとの間の連結線とオーディオ再生機器の真正面とがなす角度はいずれも小から大に変化するが、依然として90度より小さく、t23-t24-t25の間で、速度がv2からv3に減少し、加速度a2が最大加速度a2
maxから0に減少し、仮想スピーカーAとオーディオ再生機器Oとの間の連結線と、オーディオ再生機器Oの真正面とがなす角度、及び仮想スピーカーBとオーディオ再生機器Oとの間の連結線とオーディオ再生機器の真正面とがなす角度はいずれも大から小に減少し、加速度a2が0になるときに、仮想スピーカーが耳に戻る。
【0046】
引き続き
図6に参照されるように、t21-t22-t23の間で、速度vが最大速度v
maxからv2に減少し、加速度a2が0から最大加速度a2
maxに増加し、仮想スピーカーが耳から前に移動し、仮想スピーカーA、Bのそれぞれとオーディオ再生機器Oとの間の距離Lは小から大に変化し、L
maxになり、t23-t24-t25の間で、速度がv2からv3に減少し、加速度a2が最大加速度a2
maxから0に減少し、仮想スピーカーA、Bのそれぞれとオーディオ再生機器Oとの間の距離LはL
maxから小に変化し、加速度a2が0になるときに、仮想スピーカーが耳に戻る。
【0047】
選択的に、運動情報は速度情報をさらに含んでもよく、上記各実施例では、使用者と各仮想スピーカーとの間の角度は、加速移動又は減速移動時の加速度及び速度と設定された線形関係をとることができる。使用者と各仮想スピーカーとの間の距離も減速移動又は減速移動時の加速度及び速度と設定された線形関係をとることができ、現在の運動状況の下での加速度、速度及び設定された線形関係に基づいて、対応する角度パラメータ及び距離パラメータを確定することができ、ここでは繰り返し説明しない。
【0048】
他の実施シーンでは、運動軌跡は加速転向移動及び減速転向移動の軌跡情報を含む。即ち、オーディオ再生機器の曲がり情報、及び加速有無の情報及び/又は減速有無の情報を同時に取得することができる。曲がり情報については、GPS(Global Positioning System、全地球測位システム)で測位された地図に基づいて現在のオーディオ再生機器の運動軌跡を識別し、オーディオ再生機器が現在位置しているリンクの曲がり情報に基づいてオーディオ再生機器の曲がり情報を確定することができ、さらに、オーディオ再生機器又は携帯可能でオーディオ再生機器と通信可能に接続されたモバイル装置に設けられたジャイロスコープ等のセンサに基づいて曲がり情報を取得することもできる。
【0049】
図7に参照されるように、
図7は本願に係る曲がり情報を確定する一実施例のフローチャートである。前述実施例に基づき、本実施例は以下のステップS21~ステップS22をさらに含む。
【0050】
ステップS21:オーディオ再生機器の移動方向がずれるか否かを確定する。
【0051】
GPS測位技術を利用してオーディオ再生機器が現在位置している道路を識別することができ、道路の延伸方向とオーディオ再生機器の現在の移動方向との間の夾角を確定し、夾角が設定された角度閾値を超える場合、オーディオ再生機器の移動方向がずれたと確定し、
図8に参照されるように、xはオーディオ再生機器の現在の移動方向であり、yはリンクR1の延伸方向であり、それらの間の夾角はγと示すことができ、さらに、設定された間隔ごとにオーディオ再生機器の向きを収集することができ、現在時刻のオーディオ再生機器の向きと前の時刻の向きとの間の夾角が設定された角度閾値を超える場合、オーディオ再生機器の移動方向がずれたと確定し、
図9に参照されるように、前の時刻のオーディオ再生機器の向きをwとし、前の時刻のオーディオ再生機器の向きをvとし、夾角はφと示すことができる。
【0052】
夾角が設定された角度閾値を超えていない場合、ずれていないと確定する。
【0053】
ステップS22:オーディオ再生機器の移動ずれ方向及びずれ角度を確定する。
【0054】
ずれ角度は前のステップでの夾角確定方式に基づいて確定することができ、ここでは繰り返し説明しない。
【0055】
移動ずれ方向については、道路の延伸方向に対するオーディオ再生機器の現在の移動方向のずれ方向に基づいて、オーディオ再生機器の移動ずれ方向を確定することができる。
図8に参照されるように、オーディオ再生機器がx向きからリンクR1に沿って進行することに変更すると、オーディオ再生機器の移動ずれ方向が右にずれると確定でき、オーディオ再生機器がx向きからリンクR2に沿って進行することに変更すると、オーディオ再生機器の移動ずれ方向が左にずれると確定できる。又は、前の時刻のオーディオ再生機器の向きに対する現在時刻のオーディオ再生機器の向きのずれ方向、例えば、
図9に参照されるように、現在時刻のオーディオ再生機器の向きvが現在時刻のオーディオ再生機器の向きwに対して右にずれることに基づいて、オーディオ再生機器の移動ずれ方向が右にずれると確定できる。
【0056】
オーディオ再生機器が使用者に追従して曲がって移動する状況の下で、
運動軌跡が加速転向移動である場合、少なくとも2つの仮想スピーカーをオーディオ再生機器の移動方向とは反対する方向且つ曲がり方向とは反対する側に位置させるように調整し、運動軌跡が減速転向移動である場合、少なくとも2つの仮想スピーカーをオーディオ再生機器の移動方向と同じ方向且つ曲がり方向とは反対する側に位置させるように調整する。例えば、オーディオ再生機器が使用者に伴って左に曲がって加速移動する場合、仮想スピーカーをオーディオ再生機器の右後方に調整し、オーディオ再生機器が使用者に伴って右に曲がって減速移動する場合、仮想スピーカーをオーディオ再生機器の左前方に調整する。
【0057】
具体的に
図10~
図11に参照されるように、図面のOはオーディオ再生機器の中心位置を示し、A、Bはそれぞれ2音源サウンドエフェクトの下での2つの仮想スピーカーである。
図10は加速転向移動状況でオーディオ再生機器と仮想スピーカーとの間の相対位置の模式図であり、オーディオ再生機器Oはt31-t32-t33-t34の時間内に曲がり経路に沿って加速して曲がり、xはオーディオ再生機器の各時刻での向きであり、xが指す方向をオーディオ再生機器Oの前方とし、その場合、該加速移動過程で、オーディオ再生機器Oは左に曲がって加速し、2つの仮想スピーカーA、Bはオーディオ再生機器Oの後方に位置する(即ち、2つの仮想スピーカーA、Bのうち少なくとも一方とオーディオ再生機器Oとの間の連結線とオーディオ再生機器Oの真正面とがなす角度は90度より大きい)。
図11は減速転向移動状況でオーディオ再生機器と仮想スピーカーとの間の相対位置の模式図であり、オーディオ再生機器Oはt41-t42-t43-t44の時間内に曲がり経路に沿って減速して曲がり、xはオーディオ再生機器の各時刻での向きであり、xが指す方向をオーディオ再生機器Oの前方とし、その場合、該減速移動過程で、オーディオ再生機器Oは右に曲がって減速し、2つの仮想スピーカーA、Bはオーディオ再生機器Oの前方に位置する(即ち、2つの仮想スピーカーA、Bのうち少なくとも一方とオーディオ再生機器Oとの間の連結線とオーディオ再生機器Oの真正面とがなす角度は90度より小さい)。
【0058】
加速又は減速曲がりの移動過程で、各仮想スピーカーとオーディオ再生機器との間の角度及び加速度はそれぞれずれ夾角とも線形関係をとる。理解できるように、各仮想スピーカーとオーディオ再生機器との間の角度及び加速度はそれぞれずれ夾角と異なる線形関係を有し、曲がり過程で仮想スピーカーが形成する音場は使用者から左右方向にずれている。
【0059】
選択的に、前記使用者の頭部が左右に回転していることを検出した場合、前記オーディオ再生機器に設けられた頭部追跡装置がリアルタイムに検出した頭部回転角度情報を取得し、取得した前記頭部回転角度情報、及び予め設定された頭部回転角度の調整メカニズムに基づいて、前記少なくとも2つの仮想スピーカーそれぞれの角度情報を調整する。具体的に、前記使用者の頭部が左に回転していることを取得した場合、前記使用者の頭部の左の仮想スピーカーと前記使用者との水平連結線と前記使用者の真正面との角度を減少するように調整し、前記使用者の頭部の右の仮想スピーカーと前記使用者との水平連結線と前記使用者の真正面との角度を増加するように調整し、前記使用者の頭部が右に回転することを取得した場合、前記使用者の頭部の右の仮想スピーカーと前記使用者との水平連結線と、前記使用者の真正面との角度を減少するように調整し、前記使用者の頭部の左の仮想スピーカーと前記使用者との水平連結線と、前記使用者の真正面との角度を増加するように調整する。
【0060】
図12及び
図13に参照されるように、X1、X2、X3は使用者の頭部の真正面であり、Oはオーディオ再生機器及び使用者の位置であり、使用者の頭部が回転する前、使用者の頭部の真正面はX1の方向である。使用者の頭部が右にX2方向に回転する場合、使用者の頭部の右の仮想スピーカーBと前記使用者Oとの水平連結線と使用者の真正面X2方向との間の角度をa2に減少するように調整し、使用者の頭部の左の仮想スピーカーAと使用者との水平連結線と、前記使用者の真正面X2との角度をa1に増加するように調整し、使用者の頭部が左にX3方向に回転する場合、使用者の頭部の右の仮想スピーカーBと前記使用者Oとの水平連結線と使用者の真正面X3方向との間の角度をa4に増加するように調整し、使用者の頭部の左の仮想スピーカーAと使用者との水平連結線と、前記使用者Oの真正面X3との角度をa3に減少するように調整する。
【0061】
理解できるように、上記各実施例の角度パラメータは、2つ以上の仮想スピーカーのそれぞれと使用者の座標中心との連結線の2本ずつがなす角度であってもよく、仮想スピーカーとオーディオ再生機器との間の連結線とオーディオ再生機器が進行する真正面との間の角度を調整できるパラメータであれば、本願の角度パラメータの代替案とみなされ、本願の保護請求する範囲内にあるとみなされる。
【0062】
ステップS14:オーディオ再生機器を利用して空間オーディオデータを再生する。
【0063】
前のステップで処理対象のオーディオデータを処理して、処理後の空間オーディオデータを獲得し、本ステップでオーディオ機器を利用して空間オーディオデータを再生し、該空間オーディオデータは使用者の運動情報に基づいて調整したデータであり、対応する空間特徴を有し、使用者の継続的な運動過程で、再生するオーディオの空間特徴は運動状態の変化に応じて、対応する変化が発生する。
【0064】
従来技術とは異なり、本実施例は、オーディオ再生機器が使用者の運動に伴って感知した運動情報に基づいてサウンドエフェクト関数における位置パラメータを調整し、さらに仮想スピーカーとオーディオ再生機器との間の角度及び距離を調整し、即ち、使用者に対する仮想スピーカーの方位を調整し、最終的にサウンドエフェクトを調整する目的を達成し、オーディオ再生効果が運動情報の変化に伴って動的に変化し、オーディオにより鮮明な表現効果を与え、使用者の臨場感を向上させ、ユーザの「オーディオパートナー」の付き添いの感情的なニーズを満たし、運動体験の向上に有利であり、ユーザが運動目標をよりよく達成するように誘導することができる。
【0065】
図14に参照されるように、
図14は本願に係るオーディオ再生機器の一実施例の構造模式ブロック図である。
【0066】
オーディオ再生機器100は取得モジュール110、パラメータ調整モジュール120及びオーディオ再生モジュール130を含み、取得モジュール110はオーディオ再生機器の処理対象のオーディオデータを取得すること、及び前記オーディオ再生機器が前記使用者に追従する運動情報を取得することに用いられ、パラメータ調整モジュール120は前記運動情報に基づき、サウンドエフェクト関数におけるオーディオ再生機器と仮想スピーカーとの間の位置パラメータを調整することに用いられ、前記位置パラメータは少なくとも前記オーディオ再生機器と前記仮想スピーカーとの水平方向における角度パラメータを含み、前記仮想スピーカーの位置はサウンドエフェクト関数で処理された仮想音源位置であり、オーディオ再生モジュール130は調整後のサウンドエフェクト関数を利用して前記処理対象のオーディオデータを再生対象のデータに変換し、前記オーディオ再生機器が前記再生対象のデータを出力することに用いられる。
【0067】
オーディオ再生機器100は通信モジュール(図示せず)をさらに含んでもよく、通信モジュールは音源機器と有線又は無線の通信接続を確立することで、音源機器からの処理対象のオーディオデータを受信することに用いられる。
【0068】
例えば、音源機器は携帯電話、タブレットパソコン、及び腕時計やバンド等のウェアラブル音源機器であってもよく、音源機器は、ローカルオーディオデータを記憶していてもよいし、ネットワークを介してアプリケーションプログラム又はウェブページから処理対象のオーディオデータとしてオーディオデータを取得してもよく、処理対象のオーディオデータは、例えば、音楽のオーディオデータ、電子書籍のオーディオデータ等、テレビ/映画のオーディオ等である。
【0069】
各処理が実行する各ステップの具体的な形態については、上記の本願に係るオーディオ処理方法の実施例の各ステップの記述を参照すればよく、ここでは繰り返し説明しない。
【0070】
図15に参照されるように、
図15は本願に係るオーディオ再生機器の別の実施例の構造模式ブロック図である。該オーディオ再生機器200は相互に連結されたプロセッサ210とメモリ220を含み、メモリ220にコンピュータプログラムが記憶されており、プロセッサ210はコンピュータプログラムを実行することで上記各実施例に記載のオーディオ処理方法を実現することに用いられる。
【0071】
処理が実行する各ステップの記述については、上記の本願に係るオーディオ処理方法の実施例の各ステップの記述を参照すればよく、ここでは繰り返し説明しない。
【0072】
メモリ220はプログラムデータ及びモジュールを記憶することに用いることができ、プロセッサ210はメモリ220に記憶されたプログラムデータ及びモジュールを作動させることによって、様々な機能アプリケーション及びデータ処理を実行する。メモリ220は主にプログラム記憶領域及びデータ記憶領域を含んでもよく、プログラム記憶領域はオペレーティングシステム、少なくとも1つの機能に必要なアプリケーションプログラム(例えば、パラメータ調整機能等)等を記憶することができ、データ記憶領域はオーディオ再生機器200の使用に基づいて作成されたデータ(例えば、処理対象のオーディオデータ、運動情報データ等)等を記憶することができる。また、メモリ220は高速ランダムアクセスメモリを含んでもよく、少なくとも1つの磁気ディスク記憶デバイス、フラッシュデバイスなどの不揮発性メモリ、又は他の揮発性固体記憶デバイスをさらに含んでもよい。対応して、メモリ220は、プロセッサ210によるメモリ220へのアクセスを提供するためのメモリコントローラをさらに含んでもよい。
【0073】
本願の各実施例では、開示された方法、装置は、他の方式で実現されてもよい。例えば、上記記述されたオーディオ再生機器200の各実施例は例示的なものに過ぎず、例えば、前記モジュール又はユニットの分割は、ロジック機能の分割だけであり、実際の実現時に他の分割方法があってもよく、例えば、複数のユニット又は構成要素を組み合わせてもよく、又は他のシステムに集積してもよく、又はいくつかの特徴を無視してもよく、又は実行しなくてもよい。また、表示又は検討された相互結合又は直接結合又は通信接続は、いくつかのインターフェース、装置又はユニットを介した間接的な結合又は通信接続であってもよく、電気的、機械的又は他の形態のものであってもよい。
【0074】
前記別々の部材として説明されたユニットは物理的に分離されたものであってもよく、物理的に分離されたものでなくてもよく、ユニットとして示される部材は物理ユニットであってもよく、物理ユニットでなくてもよく、即ち、1つの場所に位置してもよく、又は複数のネットワークユニットに分布してもよい。実際の需要に応じてそのうちの一部又は全部のユニットを選択して本実施形態の解決手段の目的を実現することができる。
【0075】
また、本願の各実施例の各機能ユニットは1つの処理ユニットに集積されてもよく、各ユニットは単独で物理的に存在してもよく、2つ以上のユニットは1つのユニットに集積されてもよい。上記集積されたユニットはハードウェアの形態で実現されてもよく、ソフトウェア機能ユニットの形態で実現されてもよい。
【0076】
前記集積されたユニットはソフトウェア機能ユニットの形態で実現され、独立した製品として販売又は使用される場合、1つのコンピュータ可読記憶媒体に記憶され得る。このような理解に基づき、本願の技術的解決手段は本質的に、又は従来技術に対して寄与する部分又は該技術的解決手段の全部又は一部は、ソフトウェア製品の形態で具現することができ、該コンピュータソフトウェア製品は1つの記憶媒体に記憶される。
【0077】
図16に参照されるように、
図16は本願に係るコンピュータ可読記憶媒体の一実施例の構造模式ブロック図であり、コンピュータ可読記憶媒体300にプログラムデータ310が記憶されており、プログラムデータ310が実行されるときに上記オーディオ処理方法の各実施例のステップを実現する。
【0078】
処理が実行する各ステップの記述については、上記の本願に係るオーディオ処理方法の実施例の各ステップの記述を参照すればよく、ここでは繰り返し説明しない。
【0079】
コンピュータ可読記憶媒体300は、Uディスク、モバイルハードディスク、読み出し専用メモリ(ROM、Read-Only Memory)、ランダムアクセスメモリ(RAM、Random Access Memory)、磁気ディスク又は光ディスク等の、プログラムコードを記憶できる様々な媒体であってもよい。
【0080】
上記は本願の実施例に過ぎず、それによって本願の特許範囲を制限するものではなく、本願の明細書及び図面の内容を利用して行った等価構造又は等価フロー変換、又は直接又は間接的に他の関連する技術分野に用いられるものは、いずれも本願の特許請求の範囲内に含まれる。
【外国語明細書】