(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024065112
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】没食子酸誘導体を含有する化粧料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/60 20060101AFI20240507BHJP
A61K 8/9789 20170101ALI20240507BHJP
A61Q 5/02 20060101ALI20240507BHJP
A61Q 5/12 20060101ALI20240507BHJP
A61Q 5/06 20060101ALI20240507BHJP
A61Q 19/10 20060101ALI20240507BHJP
A61Q 1/14 20060101ALI20240507BHJP
A61Q 19/08 20060101ALI20240507BHJP
A61Q 17/04 20060101ALI20240507BHJP
A61Q 7/00 20060101ALI20240507BHJP
A61Q 15/00 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
A61K8/60
A61K8/9789
A61Q5/02
A61Q5/12
A61Q5/06
A61Q19/10
A61Q1/14
A61Q19/08
A61Q17/04
A61Q7/00
A61Q15/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【公開請求】
(21)【出願番号】P 2024009109
(22)【出願日】2024-01-25
(71)【出願人】
【識別番号】390029458
【氏名又は名称】ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】増田 有紗
(72)【発明者】
【氏名】戸塚 美希
(72)【発明者】
【氏名】大坪 さやか
(57)【要約】
【課題】長期保管した際でも変色などの不具合が生じ難い化粧料を提供する。
【解決手段】(A)下記式(1)で表される没食子酸誘導体の少なくとも1種と、(B)植物エキスを含有することを特徴とする化粧料。
[化1]
[式(1)中のR
1は水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、およびアンモニウム塩から選択される何れか1つであり、R
2、R
3、R
4のうち2つは、式(2)で表されるグリコシル基であり、他の1つは水酸基である。式(2)中のnは1~4の整数である。]
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)下記式(1)で表される没食子酸誘導体の少なくとも1種と、
(B)植物エキス
を含有することを特徴とする化粧料。
【化1】
[式(1)中のR
1は水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、およびアンモニウム塩から選択される何れか1つであり、R
2、R
3、R
4のうち2つは、下記式(2)で表されるグリコシル基であり、他の1つは水酸基である。]
【化2】
[式(2)中のnは1~4の整数である。]
【請求項2】
前記式(2)におけるnが1である、請求項1に記載の化粧料。
【請求項3】
前記式(1)で表される没食子酸誘導体を、0.001~5質量%含有する、請求項1又は2に記載の化粧料。
【請求項4】
前記(B)植物エキスが、ラベンダー、ヨモギ、アルニカ、スイカズラ、チャノキ、カワラヨモギ、ローズマリー、オウゴン、ニンジン、セージ、カンゾウ、トウキ、柿、ナタマメ、オリーブ、チャ、モクレン、キハダ、クロモジ、サンショウ、タイム、シラカバ、シャクヤク、ウラジロガシ、アセンヤク、ウコン、チョウジ、ステビア、ムクロジ、マジョラム、メリッサ、シソ、ローレル、ユーカリ、コーラ、羅漢果、ツバキ、クローブ、オールスパイス、スオウ、シコン、ダイオウ、レンギョウ、チンピ、ケイヒ、オレガノ、バジル、ナギナタコウジュ、ボタンピ及びセイタカミロバランからなる群から選ばれる1種以上の植物の抽出エキスである、請求項1又は2に記載の化粧料。
【請求項5】
さらに陰イオン性界面活性剤を含む、請求項1又は2に記載の化粧料。
【請求項6】
前記陰イオン性界面活性剤がオレフィンスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸エステル、アラニネート、エーテルカルボン酸塩から選ばれる1種以上である、請求項5に記載の化粧料。
【請求項7】
さらに両性界面活性剤を含む、請求項1又は2に記載の化粧料。
【請求項8】
前記両性界面活性剤がコカミドプロピルベタイン、ラウラミドプロピルベタイン、ココアンホ酢酸ナトリウム、ココアンホプロピオン酸ナトリウム、ラウリミノジプロピオン酸ナトリウムから選ばれる1種以上である、請求項7に記載の化粧料。
【請求項9】
さらに増粘剤を含む、請求項1又は2に記載の化粧料。
【請求項10】
前記増粘剤がキサンタンガム、アクリル酸アルキル共重合体、ポリオキシエチレンセトステアリルヒドロキシミリスチレンエーテル、アクリル酸エステル共重合体、硬化ヒマシ油から選ばれる1種以上である、請求項9に記載の化粧料。
【請求項11】
さらに陽イオン性高分子を含む、請求項1又は2に記載の化粧料。
【請求項12】
前記陽イオン性高分子が塩化ジメチルジアリルアンモニウム重合体、塩化ジメチルジアリルアンモニウム-アクリル酸共重合体、塩化ジメチルジアリルアンモニウム-アクリルアミド共重合体、カチオン化セルロース、カチオン化でんぷん、カチオン化グアーガムから選ばれる1種以上である、請求項11に記載の化粧料。
【請求項13】
さらに香料を含む、請求項1又は2に記載の化粧料。
【請求項14】
さらに陽イオン性界面活性剤を含む、請求項1又は2に記載の化粧料。
【請求項15】
前記陽イオン性界面活性剤がモノアルキルクロライド、ジアルキルクロライド、モノアルキルメトサルフェート、ジアルキルメトサルフェート、モノアルキルエトサルフェート、ジアルキルエトサルフェートである、請求項14に記載の化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は没食子酸誘導体を含有する化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
植物エキスは、化粧水や皮膚洗浄剤等の化粧料に広く使用されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、植物エキスは、天然物であるがゆえに配合した化粧料を長期保管した際に変色する等の不具合が生じる場合があった。
本発明は上記事情に鑑みて、長期保管した際でも変色などの不具合が生じ難い化粧料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。
[1](A)下記式(1)で表される没食子酸誘導体の少なくとも1種と、(B)植物エキスを含有することを特徴とする化粧料。
【化1】
[式(1)中のR
1は水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、およびアンモニウム塩から選択される何れか1つであり、R
2、R
3、R
4のうち2つは、下記式(2)で表されるグリコシル基であり、他の1つは水酸基である。]
【化2】
[式(2)中のnは1~4の整数である。]
[2]前記式(2)におけるnが1である、[1]に記載の化粧料。
[3]前記式(1)で表される没食子酸誘導体を、0.001~5質量%含有する、[1]又は[2]に記載の化粧料。
[4]前記(B)植物エキスが、ラベンダー、ヨモギ、アルニカ、スイカズラ、チャノキ、カワラヨモギ、ローズマリー、オウゴン、ニンジン、セージ、カンゾウ、トウキ、柿、ナタマメ、オリーブ、チャ、モクレン、キハダ、クロモジ、サンショウ、タイム、シラカバ、シャクヤク、ウラジロガシ、アセンヤク、ウコン、チョウジ、ステビア、ムクロジ、マジョラム、メリッサ、シソ、ローレル、ユーカリ、コーラ、羅漢果、ツバキ、クローブ、オールスパイス、スオウ、シコン、ダイオウ、レンギョウ、チンピ、ケイヒ、オレガノ、バジル、ナギナタコウジュ、ボタンピ及びセイタカミロバランからなる群から選ばれる1種以上の植物の抽出エキスである、[1]又は[2]に記載の化粧料。
[5]さらに陰イオン性界面活性剤を含む、[1]又は[2]に記載の化粧料。
[6]前記陰イオン性界面活性剤がオレフィンスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸エステル、アラニネート、エーテルカルボン酸塩から選ばれる1種以上である、[5]に記載の化粧料。
[7]さらに両性界面活性剤を含む、[1]又は[2]に記載の化粧料。
[8]前記両性界面活性剤がコカミドプロピルベタイン、ラウラミドプロピルベタイン、ココアンホ酢酸ナトリウム、ココアンホプロピオン酸ナトリウム、ラウリミノジプロピオン酸ナトリウムから選ばれる1種以上である、[7]に記載の化粧料。
[9]さらに増粘剤を含む、[1]又は[2]に記載の化粧料。
[10]前記増粘剤がキサンタンガム、アクリル酸アルキル共重合体、ポリオキシエチレンセトステアリルヒドロキシミリスチレンエーテル、アクリル酸エステル共重合体、硬化ヒマシ油から選ばれる1種以上である、[9]に記載の化粧料。
[11]さらに陽イオン性高分子を含む、[1]又は[2]に記載の化粧料。
[12]前記陽イオン性高分子が塩化ジメチルジアリルアンモニウム重合体、塩化ジメチルジアリルアンモニウム-アクリル酸共重合体、塩化ジメチルジアリルアンモニウム-アクリルアミド共重合体、カチオン化セルロース、カチオン化でんぷん、カチオン化グアーガムから選ばれる1種以上である、[11]に記載の化粧料。
[13]さらに香料を含む、[1]又は[2]に記載の化粧料。
[14]さらに陽イオン性界面活性剤を含む、[1]又は[2]に記載の化粧料。
[15]前記陽イオン性界面活性剤がモノアルキルクロライド、ジアルキルクロライド、モノアルキルメトサルフェート、ジアルキルメトサルフェート、モノアルキルエトサルフェート、ジアルキルエトサルフェートである、[14]に記載の化粧料。
【発明の効果】
【0006】
本発明の化粧料は、植物エキスを使用した際に長期保管した際でも変色等の不具合を改善するという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の化粧料は、成分(A)として、下記式(1)で表される没食子酸誘導体の少なくとも1種を含有する。本発明の化粧料は、式(I)で表わされる没食子酸誘導体の2種以上を、適宜組み合わせて使用してもよい。
【0008】
【0009】
[式(1)中のR1は水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、およびアンモニウム塩から選択される何れか1つであり、R2、R3、R4のうち2つは、下記式(2)で表されるグリコシル基であり、他の1つは水酸基である。]
【0010】
【0011】
[式(2)中のnは1~4の整数である。]
【0012】
R1としては、水素原子又はアルカリ金属が好ましく、水素原子、ナトリウム原子又はカリウム原子であることがより好ましい。水素原子であることが特に好ましい。
R2、R3、R4のうち式(2)のグリコシル基である2つは、前記式(2)におけるnが同じであっても異なっていてもよいが、べたつきにくくなることから、同じであることが好ましい。
前記式(2)におけるnは1~2であることが好ましく、1であることが特に好ましい。
【0013】
また、R2、R3、R4のうち2つは、共に前記式(2)におけるnが1~2であるグリコシル基であることが好ましく、nが1であるグリコシル基であることが特に好ましい。
R2、R3、R4のうち前記式(2)のグリコシル基である2つは、製造容易性の面から、R2とR4であることが好ましい。
【0014】
式(1)で表される没食子酸誘導体の具体例としては、例えば、没食子酸-3,5-ジグルコシド、没食子酸3,4-ジグルコシド、没食子酸-3,5-ジグルコシド・ナトリウム、没食子酸-3,5-ジマルトシドなどが挙げられる。中でも製造が容易で、安定性が良好であることから、下記式(3)で表される没食子酸-3,5-ジグルコシドであることが好ましい。
【0015】
【0016】
式(1)で表わされる没食子酸誘導体は、例えば、没食子酸又はそのエステル体などに、水酸基が一部または完全にアセチル化された糖類若しくはアノマー位がハロゲン化された糖類を大過剰量で反応させてグルコシル化物を得、この中から、式(I)で表わされる
没食子酸誘導体を分離精製することにより得られる。
没食子酸又はそのエステル体などと糖類との反応は、例えば、BF3・Et2O、SnCl4、ZnCl2などのルイス酸触媒存在下、ジクロロメタン等の溶媒中で行うことができる。
【0017】
得られたグルコシル化物は、必要であれば酸若しくはアルカリ触媒存在下、脱保護反応を行なう。例えば、アセチル化された糖類を反応させた場合は、メタノール中でナトリウムメチラート存在下、脱アセチル反応させることができる。
その後、抽出、カラムクロマトグラフィーなどの手法を用いて精製することにより、容易に、かつ、効率よく式(1)で表わされる没食子酸誘導体を製造することができる。
【0018】
本発明の化粧料は、適用対象部位、適用時間、適用頻度等にもよるが、式(1)で表される没食子酸誘導体を、0.001~5質量%含有することが好ましく、0.01~2.5質量%含有することがより好ましく、0.1~1.0質量%含有することがさらに好ましい。
式(1)で表される没食子酸誘導体の含有量が好ましい下限値以上であることにより、抗炎症効果を得やすい。好ましい上限値以下であることにより、溶解性に優れ、着色を抑制できる。
【0019】
本発明の化粧料は、成分(B)として、植物エキスを含有する。
植物エキスとしては、ラベンダー、ヨモギ、アルニカ、スイカズラ、チャノキ、カワラヨモギ、ローズマリー、オウゴン、ニンジン、セージ、カンゾウ、トウキ、柿、ナタマメ、オリーブ、チャ、モクレン、キハダ、クロモジ、サンショウ、タイム、シラカバ、シャクヤク、ウラジロガシ、アセンヤク、ウコン、チョウジ、ステビア、ムクロジ、マジョラム、メリッサ、シソ、ローレル、ユーカリ、コーラ、羅漢果、ツバキ、クローブ、オールスパイス、スオウ、シコン、ダイオウ、レンギョウ、チンピ、ケイヒ、オレガノ、バジル、ナギナタコウジュ、ボタンピ及びセイタカミロバラン等が挙げられ、これらの群から選ばれる1種以上の植物の抽出エキスを含有することが好ましい。なかでも、アルニカエキス、カワラヨモギ花エキス、ウーロン茶エキス、スイカズラ花エキス等が好ましく、このうちカワラヨモ花ギエキス、スイカズラ花エキスがより好ましい。
本発明の化粧料は、植物エキスを、0.0001~5.0質量%含有することが好ましく、0.005~1.0質量%含有することがより好ましく、0.01~0.5質量%含有することがさらに好ましい。
【0020】
本発明の化粧料は、前記成分(A)、成分(B)以外に、本発明の目的を損なわない範囲で、慣用されている各種添加成分を、必要に応じて、適宜量配合してもよい。また、添加成分を配合するタイミングに特に限定はなく、例えば、処方時に配合してもよい。
【0021】
添加成分としては、例えば、塩化ジメチルジアリルアンモニウム重合体、塩化ジメチルジアリルアンモニウム-アクリル酸共重合体、塩化ジメチルジアリルアンモニウム-アクリルアミド共重合体、カチオン化セルロース、カチオン化でんぷん、カチオン化グアーガム等の陽イオン性高分子、陰イオン性高分子、非イオン性高分子、両性高分子等のポリマー、モノアルキルクロライド、ジアルキルクロライド、モノアルキルメトサルフェート、ジアルキルメトサルフェート、モノアルキルエトサルフェート、ジアルキルエトサルフェート等の陽イオン性界面活性剤、オレフィンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸エステル、アラニネート、エーテルカルボン酸塩、脂肪酸塩、アシルグルタミン酸塩、アシルメチルアラニン塩、アシルサルコシン塩、アシルアスパラギン酸塩、アシルメチルタウリン塩、アシルグリシン塩、アシル乳酸塩等の陰イオン性界面活性剤、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリプロピレンアルキルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル等の非イオン性界面活性剤、コカミドプロピルベタイン、ラウラミドプロピルベタイン、ココアンホ酢酸ナトリウム、ココアンホプロピオン酸ナトリウム、ラウリミノジプロピオン酸ナトリウム等の両性界面活性剤、ジメチルポリシロキサン等のシリコーン、エーテル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン等の変性シリコーン、高重合シリコーン樹脂、クエン酸やコハク酸等の有機酸及びその塩、グリシンやアラニン等のアミノ酸、グルコース、マンノース、マルトテトラオース等の糖類、エラグ酸やアスコルビン酸等の美白剤、抗フケ剤、制汗剤、被膜形成剤、ベントナイト等の粘土鉱物、殺菌剤、酸化チタンや酸化亜鉛等の紫外線散乱剤、メトキシケイヒ酸エチルヘキシルやt-ブチルメトキシジベンゾイルメタン等の紫外線吸収剤、酸化防止剤、低級アルコール、高級アルコール、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン、炭化水素、動植物油、エステル油、着色剤、香料、防腐剤、キレート剤、溶剤(エタノール、水等)、脂肪酸等、キサンタンガム、アクリル酸アルキル共重合体、ポリオキシエチレンセトステアリルヒドロキシミリスチレンエーテル、アクリル酸エステル共重合体、硬化ヒマシ油等の増粘剤が使用できる。これらの添加成分は、単独(1種)で又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。
【0022】
本発明の化粧料の剤型にも特に限定はなく、例えば、液状、泡状、ジェル状、クリーム状、粉末状等とすることができる。
本発明の化粧料は、生体組織の炎症を予防したい、若しくは、起きた炎症を抑制したい部位(適用箇所)に適用する。適用後、洗い流さなくてもよいし、洗い流してもよい。
【0023】
適用の方法は、手やスプレー等を用いた適用箇所への塗布や、本発明の化粧料を含浸させた不織布等を、適用箇所に密着させることなど、適宜の方法を採用できる。
適用の頻度にも特に限定はなく、例えは、1日1回(朝のみ、夜のみ等)としてもよく、1日2回(朝および夜等)としてもよく、紫外線の強い屋外で過ごす前後の少なくとも一方としても良く、朝および夜の少なくとも一方と、紫外線の強い屋外で過ごす前後の少なくとも一方を組み合わせてもよい。
【実施例0024】
以下、実施例を示して本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の記載によって限定されるものではない。
まず、本発明の成分(A)である没食子酸誘導体の、炎症性因子の産生を抑制する効果、炎症性因子であるインターロイキン-6(IL-6)の分泌量を低下させる効果、および細胞賦活作用について評価した結果を示す。
本実施例において使用した材料は、下記の<使用材料>に示す通りである。
【0025】
<使用材料>
・ジグルコシル没食子酸(ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社)、式(3)の化合物、Cas.474111-84-7、商品名「レオガードDGG(登録商標)」。
・L-アスコルビン酸りん酸エステルマグネシウム塩・n水和物(富士フィルム和光純薬株式会社)、Cas.1713265-25-8。
【0026】
<評価方法>
各例で得た測定対象液について、ELISAキット(R&Dsystem社、Cayman Chemical Company社)を用いて、炎症性因子であるインターロイキン-1α(IL-1α)及びプロスタグランジン-E2(PGE2)の分泌量を測定した。
なお、IL-1α及びPGE2の分泌量の測定に先立ち、測定対象液を採取した後の3次元皮膚モデルの細胞生存率を、MTT試薬(富士フィルム和光純薬社製、3-[4,5-dimethylthiazol-2-yl]-2,5-diphenyltetrazolium bromide)を用いてMTT法により測定し、試験品に細胞毒性がなく、細胞が問題なく生存していることを確認した。
【0027】
有効成分(ジグルコシル没食子酸又はL-アスコルビン酸りん酸エステルマグネシウム塩・n水和物)を全く含まない試験品を用いた例の炎症性因子分泌量(X1)と各例の炎症性因子分泌量(X2)の測定結果から、以下の式により炎症因子抑制率を求め、下記の評価基準により評価した。
炎症因子抑制率(%)=(X1-X2)/X1×100
【0028】
(評価基準)
×:炎症因子抑制率が20%以下。
△:炎症因子抑制率が20%超40%以下。
○:炎症因子抑制率が40%超60%以下。
◎:炎症因子抑制率が60%超80%以下。
◎◎:炎症因子抑制率が80%超。
【0029】
<比較実験例1~2,実験例1~5>
3次元皮膚モデル(ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング社、Lab Cyte EPI-MODEL24)を入れた培養カップに、表1に示す濃度で有効成分を含む試験品を50μL注入し、6時間温度37℃で静置した。なお、表1における試験品の欄の「%」は「質量%」を意味する。他の表も同様である。
6時間静置後に試験品を取り除き、アッセイ培地(ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング社)を加え、18時間、37℃にて培養した。その後UBVを600mJ/cm2照射し、照射後2日間、アッセイ培地(ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング社)での培養を、37℃にて継続した。2日間の培養後に培養上清を回収し、その一部を測定対象液としてIL-1αの分泌量を測定した。比較実験例1のIL-1αの分泌量をX1とした評価結果を表1に示す。
【0030】
【0031】
<比較実験例3~4,実験例6~10>
前記比較実験例1~2,実験例1~5で得た培養上清の一部を測定対象液としてPGE2の分泌量を測定した。比較実験例3のPGE2の分泌量をX1とした評価結果を表2に示す。
なお、各例の試験品に含まれる有効成分は表2に示すとおりである。
【0032】
【0033】
<比較実験例5~6,実験例11~15>
3次元皮膚モデル(ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング社、Lab Cyte EPI-MODEL24)を入れた培養カップに、表3に示す濃度で有効成分を含む試験品を50μL注入し、6時間温度37℃で静置した。
6時間静置後に試験品を取り除き、アッセイ培地(ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング社)を加え、18時間、37℃にて培養した。その後UBVを600mJ/cm2照射した。
UBVの照射終了後、表3に示す濃度で有効成分を含む試験品を再度50μL注入し、6時間温度37℃で静置した。
その後、試験品を取り除き、2日間、アッセイ培地(ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング社)での培養を、37℃にて継続した。2日間の培養後に培養上清を回収し、その一部を測定対象液としてIL-1αの分泌量を測定した。比較例5のIL-1αの分泌量をX1とした評価結果を表3に示す。
【0034】
【0035】
<比較例6~7,実施例16~20>
前記比較例5~6,実施例11~15で得た培養上清の一部を測定対象液としてPGE2の分泌量を測定した。比較例7のPGE2の分泌量をX1とした評価結果を表4に示す。
なお、各例の試験品に含まれる有効成分は表4に示すとおりである。
【0036】
【0037】
表1~4に示すように、実施例の試験品に含まれる有効成分は、炎症性因子の産生を抑制する効果があることが確認された。特に表3、4に示すように、適用の頻度を上げると、0.1質量%という低い濃度でも充分な効果を発揮することが確認できた。
また、比較例2と実施例5、比較例4と実施例10、比較例6と実施例15、比較例8と実施例15は、各々炎症因子抑制率が同等であった。このことから、実施例の試験品に含まれる有効成分は、比較例2等に含まれるアスコルビン酸誘導体の半分の量で同等の効果を奏することがわかった。
【0038】
<比較実験例9、実験例21>
同意が得られたドナーから提供された美容外科手術にて摘出された腹部のヒト摘出皮膚(Biopredic社)に、試験品を一定量適用し、培養した。培養後皮膚を洗浄し、UVB50mJ/cm2照射後、試験品を一定量適用し、新しい培地を用いて培養した。これを含めて3回同様の操作を実施(合計3回UVBを照射)し、培養後、試験品を一定量適用し、培地交換はせず培養を継続した。24時間経過後、皮膚をPBSで洗浄し、再度試験品を一定量適用し、培地交換はせずに培養を継続した。培養後、培地を回収し、ELISAキット(R&Dsystem社)を用いてインターロイキン-6(IL-6)の分泌量を測定した。
試験品0%の炎症性因子産生量を100%とした時の炎症性因子産生率を以下のよう表5に示した。
【表5】
【0039】
<比較実験例10~11、実験例22~23>
3-[4,5-dimethylthiazol-2-yl]-2,5-diphenyltetrazolium bromide(MTT)の還元能を利用し、細胞賦活作用を測定した。MTTは、細胞内のミトコンドリア内脱水素酵素によって還元されることで、ブルーホルマザン生成物に変換され紫色に呈色する。ミトコンドリア内脱水素酵素は生細胞のみに存在し、還元能はミトコンドリアの代謝活性を反映しているため、吸光度測定によりブルーホルマザン生成量を測定した。
96wellマイクロプレートにて、正常ヒト皮膚繊維芽細胞をコンフルエントになるまで、37℃に設定したCO2インキュベーター内で培養した。その後、試験品を含む0.5%FBS含有DMEM培地及び陰性対照(0.5%FBS含有DMEM培地)、陽性対照(5%FBS含有DMEM培地)に培地交換し、24時間培養した。培養後、培地を除去し、MTT入り0.5%FBS含有DMEM培地を添加し、2時間培養した。MTT溶液を除去し、イソプロパノールを添加することで、生成したブルーホルマザンを細胞から抽出し、マイクロプレートプレートリーダーを用いて570nm及び650nmにおける吸光度を測定した。570nmの吸光度から650nmの吸光度を引いた値を測定値とし、陰性対照を100%として、陽性対照および試験品の細胞賦活作用を算出した。100%以上の値を示したものは細胞賦活作用を有するものとし、表6と表記した。
【0040】
【0041】
次に、本発明における化粧料の組成を実施例1~28を以下に示すが、本発明は以下の記載によって限定されるものではない。。
なお、表中の数値は有効成分の含有量を質量%で示す。
【表7】
【0042】
【0043】
【0044】
【0045】
【0046】
【0047】
【0048】
【0049】
【0050】
【0051】
【0052】
【0053】
【0054】
【0055】
【0056】
【0057】
【0058】
【0059】
【0060】
【0061】
【0062】
【0063】
【0064】
【0065】
【0066】
【0067】
【0068】