IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社モリシンの特許一覧

特開2024-6512印刷物照明方法、広告システム、印刷物製造方法及び印刷物
<>
  • 特開-印刷物照明方法、広告システム、印刷物製造方法及び印刷物 図1
  • 特開-印刷物照明方法、広告システム、印刷物製造方法及び印刷物 図2
  • 特開-印刷物照明方法、広告システム、印刷物製造方法及び印刷物 図3
  • 特開-印刷物照明方法、広告システム、印刷物製造方法及び印刷物 図4
  • 特開-印刷物照明方法、広告システム、印刷物製造方法及び印刷物 図5
  • 特開-印刷物照明方法、広告システム、印刷物製造方法及び印刷物 図6
  • 特開-印刷物照明方法、広告システム、印刷物製造方法及び印刷物 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024006512
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】印刷物照明方法、広告システム、印刷物製造方法及び印刷物
(51)【国際特許分類】
   G09F 13/04 20060101AFI20240110BHJP
【FI】
G09F13/04 Z
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022107474
(22)【出願日】2022-07-04
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-04-04
(71)【出願人】
【識別番号】503406169
【氏名又は名称】株式会社モリシン
(74)【代理人】
【識別番号】100148714
【弁理士】
【氏名又は名称】川浪 圭介
(74)【代理人】
【識別番号】100092668
【弁理士】
【氏名又は名称】川浪 薫
(74)【代理人】
【識別番号】100154232
【弁理士】
【氏名又は名称】幸田 京子
(72)【発明者】
【氏名】森川 正
(72)【発明者】
【氏名】安齋 光彦
【テーマコード(参考)】
5C096
【Fターム(参考)】
5C096AA28
5C096BA01
5C096BB23
5C096CA02
5C096CA25
5C096CA32
5C096CF02
5C096FA02
5C096FA09
(57)【要約】
【課題】構成の簡潔化又は省エネルギー化を実現可能な印刷物照明方法、広告システム、印刷物製造方法及び印刷物を提供する。
【解決手段】本発明の印刷物照明方法及び広告システム10において、印刷物100は、集光フィルム若しくは拡散フィルム又はモスアイ型反射防止フィルムからなる基材層110と、基材層110に印刷された印刷層112とを有する。印刷層112は、基材層110よりも建築物50の外側に配置される。照明装置512からの照明光520を印刷層112に集光するように基材層110が配置される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明又は半透明の外壁又は窓を有する建築物において、前記外壁又は前記窓に印刷物を取り付ける印刷物取付けステップと、
前記建築物内の天井に配置された照明装置を点灯する点灯ステップと
を備える印刷物照明方法であって、
前記印刷物は、
集光フィルム若しくは拡散フィルム又はモスアイ型反射防止フィルムからなる基材層と、
前記基材層に印刷された印刷層と
を有し、
前記印刷物取付けステップでは、
前記基材層よりも前記印刷層を前記建築物の外側に配置し、
前記照明装置からの照明光を前記印刷層に集光するように前記基材層を配置する
ことを特徴とする印刷物照明方法。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷物照明方法において、
前記印刷物は、前記印刷物を前記外壁又は前記窓に取り付けるための透明、半透明又は不透明の粘着層を、前記印刷層又は前記基材層の全面に若しくは一部に有し、
前記印刷物取付けステップにおいて、前記印刷物は、前記粘着層の粘着力により前記建築物の内側又は外側から前記透明又は半透明の外壁又は窓に保持される
ことを特徴とする印刷物照明方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の印刷物照明方法において、
前記基材層は、アクリル、ポリカーボネート、塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート又はポリエチレンから構成され、
前記印刷層は、透光性インクから構成される
を有することを特徴とする印刷物照明方法。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の印刷物照明方法において、
前記基材層は白色であり、
前記印刷層では白色が省略される
ことを特徴とする印刷物照明方法。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の印刷物照明方法において、
前記印刷物の厚みは、31~1000ミクロンの範囲である
ことを特徴とする印刷物照明方法。
【請求項6】
透明又は半透明の外壁又は窓を有する建築物内の天井に配置された照明装置と、
前記外壁又は前記窓に取り付けられた印刷物と
を含む広告システムであって、
前記印刷物は、
集光フィルム若しくは拡散フィルム又はモスアイ型反射防止フィルムからなる基材層と、
前記基材層に印刷された印刷層と
を有し、
前記基材層は、前記照明装置からの照明光を前記印刷層に集光する向きで前記印刷層に積層し、
前記印刷物は、前記基材層よりも前記印刷層を前記建築物の外側に配置した状態で前記外壁又は前記窓に取り付けられる
ことを特徴とする広告システム。
【請求項7】
集光フィルム若しくは拡散フィルム又はモスアイ型反射防止フィルムからなる基材層に対して、透光性インクを塗布して前記基材層上に印刷層を形成する印刷ステップを用いて印刷物を製造する印刷物製造方法であって、
外部からの光を前記印刷層に集光する向きで前記基材層を前記印刷層に積層させ、
前記印刷物の厚みは、31~1000ミクロンの範囲である
ことを特徴とする印刷物製造方法。
【請求項8】
集光フィルム若しくは拡散フィルム又はモスアイ型反射防止フィルムからなる基材層と、前記基材層に印刷された透光性インクからなる印刷層とを有する印刷物であって、
前記基材層は、外部からの光を前記印刷層に集光する向きで前記印刷層に積層し、
前記印刷物の厚みは、31~1000ミクロンの範囲である
ことを特徴とする印刷物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷物照明方法、広告システム、印刷物製造方法及び印刷物に関する。より具体的には、建築物の透明又は半透明の外壁又は窓に取り付けた印刷物を、建築物内の天井等に配置された照明装置の照明光により照明する印刷物照明方法及び広告システム並びにそのための印刷物製造方法及び印刷物に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、ポスターを掲示する位置の自由度及び掲示されたポスターの耐久性を高め、また、掲示されたポスターを目立つように効果的に表示し、さらに、コンビニ等のスタンド看板や壁面看板に代用することで、通行の妨げにならず、表示内容の変更にかかっていたコストを減らせる安価な看板となる、内照式ポスター掲示装置を提供することを目的としている([0007]、要約)。当該目的を達成するため、特許文献1(要約、図1図4及び図6)の内照式ポスター掲示装置(1)は、本体部(4)、保持部(13)及び光源部(18)を備える。
【0003】
本体部(4)は、ポスター掲示面(7)に配置されるポスター(3)の形状に応じた外形を有する枠状に形成されると共に、ポスター掲示面(7)に透明カバー(8)が設けられ、全体として扁平箱状となる。また、保持部(13)は、本体部(4)の周縁(5)の四隅に着脱自在に設けられ、吸盤体(14)を有し、吸盤体(14)を平滑面である設置面(2)に吸着させることで本体部(4)をこの設置面(2)上に保持する。光源部(18)は、本体部(4)の内部に設けられ、ポスター掲示面(7)に配置されたポスター(3)の裏面側から高照度光(5000ルクス程度)を照射してこのポスター(3)の表面側を発光表示させる(要約)。
【0004】
光源部としての光拡散ユニット(18)は、光源となる発光ダイオード(LED)素子を備えたLEDユニット(19)と、樹脂材等からなり、アルミフレーム(21)を介して隙間をあけて対向配置された略矩形の2枚の光拡散シート(20)とを備えている。光拡散ユニット(18)は両面発光し、ポスター掲示面(7a、7b)に配置された2枚のポスター(3、3)の裏面側に光を照射する([0033]、図6)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014-016416号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように、特許文献1では、2枚のポスター(3、3)をポスター掲示面(7a、7b)に配置して、保持部(13)の吸盤体(14)を介して設置面(2)に取り付ける(要約、図1及び図4)。また、専用に設けられた光源部又は光拡散ユニット(18)を用いて、ポスター掲示面(7a、7b)に配置された2枚のポスター(3、3)それぞれの裏面側に光を照射する([0033]、図6)。このような特許文献1の構成では、専用の光源部(18)が必須であり、構成が複雑化してしまうと共に、この専用の光源部(18)のための電力が必要となってしまう。
【0007】
本発明は上記のような課題を考慮してなされたものであり、構成の簡潔化又は省エネルギー化を実現可能な印刷物照明方法、広告システム、印刷物製造方法及び印刷物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る印刷物照明方法は、
透明又は半透明の外壁又は窓を有する建築物において、前記外壁又は前記窓に印刷物を取り付ける印刷物取付けステップと、
前記建築物内の天井に配置された照明装置を点灯する点灯ステップと
を備える方法であって、
前記印刷物は、
集光フィルム若しくは拡散フィルム又はモスアイ型反射防止フィルムからなる基材層と、
前記基材層に印刷された印刷層と
を有し、
前記印刷物取付けステップでは、
前記基材層よりも前記印刷層を前記建築物の外側に配置し、
前記照明装置からの照明光を前記印刷層に集光するように前記基材層を配置する
ことを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、透明又は半透明の外壁又は窓(例えばガラス製)に印刷物を取り付けた状態で、建築物内の天井に配置された照明装置からの照明光を、基材層としての集光フィルム若しくは拡散フィルム又はモスアイ型反射防止フィルムを用いて印刷層に対して集光する。従って、印刷層における印刷内容は、屋内の照明装置からの照明光により、夜間においても、建築物の外部の人(通行人等)に対して明瞭に認識させ易くなる。従って、元々屋内用として用いていた照明装置の照明光を印刷物の照明用にも用いることができ、印刷物専用に別の照明装置を設けることが不要となる。よって、部品点数の低減又は省エネルギー化を図りつつ、建築物外部への広告効果等を実現することが可能となる。
【0010】
また、屋内の照明装置からの照明光の少なくとも一部は、印刷物により遮蔽されることなく、建築物の外部に放出される。そのため、不透明な印刷物を透明の又は半透明の外壁又は窓に取り付ける場合と比較して、建築物全体を明るく見せることが可能となる。これにより、建築物が例えば店舗である場合、店舗の外観の印象を改善すると共に、防犯効果を高めることも期待される。
【0011】
前記印刷物は、前記印刷物を前記外壁又は前記窓に取り付けるための透明若しくは半透明又は不透明の粘着層を、前記印刷層又は前記基材層の全面に若しくは一部に有してもよい。また、前記印刷物取付けステップにおいて、前記印刷物は、前記粘着層の粘着力により前記建築物の内側又は外側から前記透明又は半透明の外壁又は窓に保持されてもよい。これにより、透明又は半透明の外壁又は窓への印刷物の取付けを簡易に行うことが可能となる。
【0012】
前記基材層は、例えば、アクリル、ポリカーボネート、塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート又はポリエチレンから構成されてもよい。これにより、本発明に適した印刷物を、比較的高品質且つ安価に実現可能となる。また、前記印刷層は、例えば、透光性インクから構成されてもよい。これにより、屋内の照明装置からの照明光が印刷物を通過し易くすることが可能となる。
【0013】
前記基材層が白色である場合、前記印刷層では白色が省略されてもよい。これにより、印刷層に白色を用いることによる印刷物の透光性の低下を抑制することが可能となる。従って、建築物外部から見た際の印刷内容の視認性を向上することができる。加えて、印刷層を構成する材料(インク)を削減することが可能となる。なお、ここにいう白色は、乳白色又は乳半色を含み得る。また、印刷物を見る人が白色部分を白色として認識できること(透明と認識されないこと)及び白色部分の透光性(明るさ)の観点から、白色は、ヘイズ値が例えば50~90%の範囲であること、又は分光透過率が例えば50~95%の範囲であることが好ましい。
【0014】
前記印刷物の厚みは、例えば、31~1000ミクロンの範囲としてもよい。これにより、作業者が、印刷物を外壁又は窓に取り付ける際の作業性を確保し易くなる。
【0015】
本発明の別の態様に係る広告システムは、
透明又は半透明の外壁又は窓を有する建築物内の天井に配置された照明装置と、
前記外壁又は前記窓に取り付けられた印刷物と
を含むものであって、
前記印刷物は、
集光フィルム若しくは拡散フィルム又はモスアイ型反射防止フィルムからなる基材層と、
前記基材層に印刷された印刷層と
を有し、
前記基材層は、前記照明装置からの照明光を前記印刷層に集光する向きで前記印刷層に積層し、
前記印刷物は、前記基材層よりも前記印刷層を前記建築物の外側に配置した状態で前記外壁又は前記窓に取り付けられる
ことを特徴とする。
【0016】
本発明のさらに別の態様に係る印刷物製造方法は、集光フィルム若しくは拡散フィルム又はモスアイ型反射防止フィルムからなる基材層に対して、透光性インクを塗布して前記基材層上に印刷層を形成する印刷ステップを用いて印刷物を製造する方法であって、
外部からの光を前記印刷層に集光する向きで前記基材層を前記印刷層に積層させ、
前記印刷物の厚みは、31~1000ミクロンの範囲である
ことを特徴とする。
【0017】
本発明のさらに別の態様に係る印刷物は、集光フィルム若しくは拡散フィルム又はモスアイ型反射防止フィルムからなる基材層と、前記基材層に印刷された透光性インクからなる印刷層とを有するものであって、
前記基材層は、外部からの光を前記印刷層に集光する向きで前記印刷層に積層し、
前記印刷物の厚みは、31~1000ミクロンの範囲である
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、建築物の外部の人(通行人等)に対する広告等のための印刷物の使用に際し、構成の簡潔化又は省エネルギー化を実現可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態に係る広告システムを店舗に適用した様子を簡略的に示す外観図である。
図2】前記実施形態の前記広告システムにおける作用を説明する図である。
図3】前記実施形態の基材層の一例としての拡散フィルムの第1例の構成を簡略的に示す図である。
図4】前記実施形態の基材層の別の例としての拡散フィルムの第2例の構成を簡略的に示す図である。
図5】前記実施形態におけるポスター製造方法のフローチャートである。
図6】前記実施形態におけるポスター照明方法のフローチャートである。
図7】本発明に係る印刷物の変形例としてのステッカーを簡略的に示す外観正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<A.一実施形態>
[A-1.構成]
(A-1-1.全体構成)
図1は、本発明の一実施形態に係る広告システム10を店舗50に適用した様子を簡略的に示す外観図である。図2は、本実施形態の広告システム10における作用を説明する図である。図1の店舗50は、コンビニエンスストア用の店舗であるが、その他の用途の店舗等であってもよい(詳細は後述する。)。店舗50は、コンクリート製の不透明な外壁500に加えて、ガラス製の透明な外壁502を有する。ガラス製の外壁502の一部は、ガラス製の自動ドア504から構成される。また、店舗50内の天井510には、複数の照明装置512が配置されている。照明装置512は、広告システム10の一部を構成する。
【0021】
広告システム10は、印刷物としてのポスター100を有する。ポスター100は、ガラス製の外壁502に取り付けられている。本実施形態のポスター100は、店舗50の外側に向けて広告をすることを主目的として用いられる。夜になると、店舗50内の照明装置512からの照明光520(図2)がポスター100を通過することにより、店舗50の外側の人々は、ポスター100の印刷内容を視認することができる。
【0022】
(A-1-2.照明装置512)
各照明装置512は、店舗50内の照明用として用いられるものであり、店舗50(建築物)内の天井510に配置される。照明装置512は、例えば、蛍光灯又はLED照明装置により構成することができる。
【0023】
(A-1-3.ポスター100)
(A-1-3-1.概要)
ポスター100は、例えば、コンビニエンスストアにおける新商品、新サービス、キャンペーンの紹介等の広告用に用いられる。図2に示すように、ポスター100は、ガラス製の透明な外壁502の内側面(店舗50内に面する面)に取り付けられる。上記のように、ポスター100は、店舗50の外側に向けて広告をすることを主目的として用いられる。そのため、ポスター100は、その表示面(後述する印刷層112)を店舗50の外側に向けて配置される。
【0024】
ポスター100の寸法に関し、縦方向の長さ(高さ)は、例えば、10~500cmの範囲、横方向の長さ(幅)は、例えば、10×500cmの範囲とすることができる。なお、ポスター100の寸法が比較的大きい場合、複数のポスター断片を組み合わせることで1枚のポスター100の形成(表示内容の表示)を行ってもよい。
【0025】
ポスター100の厚みは、例えば、31~1000ミクロン(μm)の範囲とすることができる。ここにいうポスター100の厚みは、ポスター100全体の厚みを意味し、後述する基材層110、印刷層112及び粘着層114の厚みの合計を示す。後述するように、粘着層114を省略する場合、ポスター100の厚みは、基材層110及び印刷層112の厚みの合計を示してもよい。なお、ポスター100の厚みが100μm未満の場合(特にポスター100の高さ及び幅がそれぞれ100cmを超える場合)、ポスター100の取付けに習熟が必要となり、ポスター100の取付けは、専門業者が行う必要が生じる場合があり得る。一方、ポスター100の厚みが100μm以上の場合(特にポスター100の高さ及び幅がそれぞれ100cmを超えない場合)、ポスター100の取付けは比較的容易となり、例えば、店舗50の従業員でも取付けが簡単になる。
【0026】
図2に示すように、ポスター100は、基材層110、印刷層112及び粘着層114を有する。
【0027】
(A-1-3-2.基材層110)
基材層110は、集光フィルム若しくは拡散フィルム又はモスアイ型反射防止フィルムからなり、例えば、アクリル、ポリカーボネート、塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート(PET)又はポリエチレンから構成される。また、基材層110は、単色であり、本実施形態では白色(乳白色又は乳半色を含み得る。)である。また、ポスター100を見る人が白色部分を白色として認識できること(透明と認識されないこと)及び白色部分の透光性(明るさ)の観点から、白色は、例えば、ヘイズ値が例えば50~90%の範囲であること、又は分光透過率が例えば50~95%の範囲であることが好ましい。基材層110の厚みは、例えば、30~700ミクロンである。
【0028】
図2に示すように、店舗50内の照明装置512からの照明光520は、基材層110により集光(又は屈折)されて印刷層112及び粘着層114を通過する。すなわち、基材層110が集光フィルム(集光シート)である場合、集光フィルム本来の用途における光の入射面を店舗50の内側(照明装置512側)に配置し、出射面を外側に配置する。また、基材層110が拡散フィルム(拡散シート)である場合、拡散フィルム本来の用途における光の出射面を店舗50の内側(照明装置512側)に配置し、入射面を外側に配置する。図2では、ポスター100に入射する照明光520を入射光520aとし、ポスター100から出射する照明光520を出射光520bとしている。
【0029】
図3は、本実施形態の基材層110の一例としての拡散フィルムの第1例(第1拡散フィルム200A)の構成を簡略的に示す図である。第1拡散フィルム200Aは、光250(入射光250a)の入射側に配置される拡散フィルム基材層210と、光250(出射光250b)の出射側に配置される凹凸層212とを有する。凹凸層212は、曲面形状のビーズからなり、拡散フィルム基材層210を通過した光250(出射光250b)を拡散して出射させる。なお、図3において、凹凸層212を構成するビーズは球状(円状)で示されているが、半球状等の別の曲面形状等であってもよい。また、ビーズ間の間隔も適宜設定可能である。
【0030】
図4は、本実施形態の基材層110の別の例としての拡散フィルムの第2例(第2拡散フィルム200B)の構成を簡略的に示す図である。第2拡散フィルム200Bは、拡散フィルム基材層220と、第1凹凸層222と、第2凹凸層224と、表面保護層226とを有する。第1凹凸層222は、光250(入射光250a)の入射側に配置され、第2凹凸層224は、光250(出射光250b)の出射側に配置される。
【0031】
第1凹凸層222及び第2凹凸層224は、曲面形状のビーズからなり、外側又は内側から入射した光250を屈折させる。なお、図4において、第1凹凸層222及び第2凹凸層224を構成するビーズは球状(円状)で示されているが、半球状等の別の曲面形状等であってもよい。また、本実施形態では、第1凹凸層222を形成するビーズの方が、第2凹凸層224を形成するビーズよりも小さいが、その逆であってもよく、また大きさが等しくてもよい。また、第1凹凸層222及び第2凹凸層224それぞれにおけるビーズ間の間隔、並びに第1凹凸層222のビーズ及び第2凹凸層224のビーズの相対位置も適宜設定可能である。
【0032】
第1拡散フィルム200Aが1つの凹凸層212のみであるのに対し、第2拡散フィルム200Bは、第1凹凸層222及び第2凹凸層224を有するため、拡散効果を向上可能である。すなわち、外部から光250が入射する側の凹凸層(図4の第1凹凸層222)は、光250を集光するように光250を屈折させる(図4では、光250が第1拡散フィルム200Aに対して垂直であるが、垂直でない場合も、拡散フィルム基材層220内に光250が取り込まれるように第1凹凸層222が屈折させる。)。これにより、第1凹凸層222がない場合の構成と比較して、より多くの光250を第1拡散フィルム200A(拡散フィルム基材層220)内に取り込むことが可能となる。一方、内部から光250が入射する側の凹凸層(図4の第2凹凸層224)は、光250を拡散するように光250を屈折させる。表面保護層226は、第1凹凸層222(又は第1凹凸層222に印刷される印刷層112)を保護するための層である。
【0033】
図3に示す光250の流れは、第1拡散フィルム200Aを、拡散フィルム本来の利用方法で使用した場合で示されている。本実施形態のポスター100では、光の流れが反対になることに留意されたい。すなわち、照明装置512からの照明光520(図2)は、凹凸層212から入射して拡散フィルム基材層200を通過した後、出射される。換言すると、印刷層112は、凹凸層212ではなく、拡散フィルム基材層210に積層される。これにより、凹凸層212は、より多くの光250を拡散フィルム基材層200内に取り込むように光250を集光(又は屈折)する。
【0034】
同様に、図4に示す光250の流れは、第2拡散フィルム200Bを、拡散フィルム本来の利用方法で使用した場合で示されている。本実施形態のポスター100では、光の流れが反対になることに留意されたい。すなわち、照明装置512からの照明光520(図2)は、第2凹凸層224から入射して拡散フィルム基材層220及び第1凹凸層222を通過した後、出射される。換言すると、印刷層112は、第2凹凸層224ではなく、表面保護層226に積層される。これにより、第2凹凸層224は、より多くの光250を拡散フィルム基材層220内に取り込むように光250を集光する。また、第1凹凸層222は、第2凹凸層224を介して拡散フィルム基材層220内に取り込まれた光250を拡散させて出射する。
【0035】
基材層110としてモスアイ型反射防止フィルムを用いることもできる。モスアイ型反射防止フィルムは、モスアイ(蛾の複眼(moth-eye))のような複数の突起を有する構造を有する。これら複数の突起が、入射光をほとんど反射させることなく取り込んで、フィルムの反対側から出射させる。換言すると、モスアイ型反射防止フィルムは、一種の集光フィルムとして機能させることができる。
【0036】
本実施形態の基材層110としてモスアイ型反射防止フィルムを用いる場合、複数の突起を店舗50の内側に面するように配置する。モスアイ型反射防止フィルム(基材層110)の外側に印刷層112が形成される。これにより、照明装置512からの光512は、複数の突起によりフィルム内に取り込まれて、印刷層112側に出射される。
【0037】
(A-1-3-3.印刷層112)
印刷層112(図2)は、基材層110に透光性インクを印刷することにより形成される。本実施形態では、印刷層112は、基材層110の一主面全体に亘って形成される。或いは、印刷層112は、基材層110の一主面の一部に余白部分を残す形で形成されてもよい。図2から明らかなように、印刷層112は、基材層110よりも店舗50の外側(ここでは、基材層110と外壁502の間)に配置される。
【0038】
上記のように、ポスター100は、コンビニエンスストアにおける新商品、新サービス、キャンペーンの紹介等の広告用に用いられるものであり、広告内容(印刷内容)は、印刷層112に印刷される。本実施形態の基材層110は白色であるため、印刷層112では、白色が省略される。印刷層112の厚みは、例えば、1~30ミクロンである。
【0039】
(A-1-3-4.粘着層114)
粘着層114(図2)は、ポスター100を外壁502に取り付けるための層であり、そのための粘着性を有する物質(粘着剤又は接着剤)から構成される。本実施形態の粘着層114は、外壁502と印刷層112との間に(換言すると、印刷層112よりも外側で印刷層112に積層されて)配置されている。本実施形態では、粘着層114による粘着性を高めるため、ポスター100の外側の主面全体に亘って粘着層114が形成される。
【0040】
粘着層114は、無色透明又は半透明である。また、粘着層114を構成する粘着剤又は接着剤は、例えば、付箋で用いられているように何度も貼れて剥がせる自己粘着性フィルムとしてもよい。また、ポスター100は、紫外線を遮断する特性を有することが好ましい。粘着層114の厚みは、例えば、30~300ミクロンの範囲である。
【0041】
[A-2.ポスター100の製造方法]
図5は、本実施形態におけるポスター100の製造方法のフローチャートである。ポスター100の製造を開始する前に、図示しないポスター100の仕様(印刷内容(又は広告内容)を含む。)を特定しておく。この際、基材層110の白色を利用するため、印刷層112の印刷内容における白色部分は、透明(又は無色)として設定する。当該設定は印刷装置(図示せず)側で行ってもよい。
【0042】
ステップS11において、図示しない印刷装置に対して印刷層112のオフセット印刷の設定を入力する。ステップS12において、基材層110となる拡散フィルム(又は集光フィルム若しくはモスアイ型反射防止フィルム)の原反に対して、透光性インクを塗布して印刷層112をオフセット印刷する(印刷ステップ)。拡散フィルムの場合、上記の通り、本来の拡散フィルムの用途における入射面(例えば、図3の拡散フィルム基材層210、又は図4の表面保護層226)に対して印刷層112を形成又は積層する。また、上記の通り、印刷層112の印刷内容における白色部分は、透明(又は無色)として設定されているため、オフセット印刷では白色部分が印刷されない。
【0043】
原反は、例えば、幅が1000mm且つ長さが200mであり、ロール状で保持される。そのため、原理上は、長さ200mまで印刷可能である。また、ポスター100の寸法が比較的大きい場合(例えばポスター100の高さ及び幅が1000mmを超える場合)、複数のポスター断片の形で印刷層112を形成し、これらのポスター断片を組み合わせることで1枚のポスター100の形成(表示内容の表示)を行うこともできる。
【0044】
ステップS13において、図示しない加工装置により又は作業者の手作業により、粘着層114となる自己粘着性フィルムを、印刷済みの印刷層112に対して積層又は貼付する。ステップS14において、図示しない裁断装置により自動で又はマニュアル操作により、印刷層112及び粘着層114が積層された拡散フィルム(又は集光フィルム若しくはモスアイ型反射防止フィルム)の原反を所定の大きさに裁断してポスター100を完成する。
【0045】
なお、ここに挙げたポスター100の製造方法はあくまで一例であり、その他の製造方法を用いてポスター100を製造してもよい。
【0046】
[A-3.ポスター100の照明方法(広告方法)]
図6は、本実施形態におけるポスター100の照明方法のフローチャートである。ステップS21において、店舗50の店員又はその他の作業者は、店舗50内において、ガラス製の外壁502(図1)の所定位置にポスター100を取り付ける(ポスター(印刷物)取付けステップ)。上記のように、ポスター100には、粘着層114が形成されていることから、粘着層114を外壁502に密着させることにより、ポスター100を外壁502に取り付けることができる。
【0047】
ステップS22において、店舗50の店員又はその他の作業者は、店舗50内の照明装置512を点灯させる。なお、照明装置512は、ポスター100の照明専用ではなく、店舗50内の一般的な照明用であることから、ステップS21、S22の順番は入れ替えてもよい。
【0048】
照明装置512が点灯し、照明光520がポスター100に入射すると、基材層110が照明光520を集光して印刷層112に出射する。そして、照明光520は、印刷層112及び粘着層114を通過して店舗50の外に放出される(図2)。これにより、夜間の場合、店舗50の外部にいる人は、照明光520により印刷層112の印刷内容を視認することが可能となる。なお、昼間の場合も同様の作用が生じているが、店舗50内の照明光520よりも太陽光の方が遙かに明るさ(ルクス)が大きい。そのため、印刷層112の印刷内容は、印刷層112が太陽光を反射することにより、店舗50の外部にいる人に視認可能となる。照明装置512の光源がLEDである場合、厳密な意味では、LEDは、非常に短い周期に点滅を繰り返すが、ステップS22にいう「点灯」には、このようなLEDの短周期での点滅も含まれる。
【0049】
[A-4.本実施形態の効果]
本実施形態によれば、透明の外壁502にポスター100(印刷物)を取り付けた状態で、店舗50(建築物)内の天井510に配置された照明装置512からの照明光520を、基材層110としての集光フィルム若しくは拡散フィルム又はモスアイ型反射防止フィルムを用いて印刷層112に対して集光する(図2)。従って、印刷層112における印刷内容は、屋内の照明装置512からの照明光520により、夜間においても、店舗50の外部の人(通行人等)に対して明瞭に認識させ易くなる。従って、元々屋内用として用いていた照明装置512の照明光520をポスター100の照明用にも用いることができ、ポスター100専用に別の照明装置を設けることが不要となる。よって、部品点数の低減又は省エネルギー化を図りつつ、店舗50外部への広告効果等を実現することが可能となる。
【0050】
また、屋内の照明装置512からの照明光520の少なくとも一部は、ポスター100により遮蔽されることなく、店舗50の外部に放出される。そのため、不透明な印刷物を透明な外壁502に取り付ける場合と比較して、店舗50全体を明るく見せることが可能となる。これにより、店舗50の外観の印象を改善すると共に、防犯効果を高めることも期待される。
【0051】
本実施形態において、ポスター100(印刷物)は、ポスター100を外壁502に取り付けるための粘着層114を有する(図2)。また、ポスター100は、粘着層114の粘着力により店舗50(建築物)の内側から透明の外壁502に保持される(図2図6のS21)。これにより、透明の外壁502へのポスター100の取付けを簡易に行うことが可能となる。
【0052】
また、基材層110、印刷層112及び粘着層114によりポスター100を構成する場合、ポスター100の可撓性又は柔軟性を高めることが可能となる。そのため、ガラス製の外壁502が曲面状である場合もポスター100を容易に取付け可能となる。
【0053】
本実施形態において、基材層110は、アクリル、ポリカーボネート、塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート(PET)又はポリエチレンから構成される。これにより、本発明に適したポスター100(印刷物)を、比較的高品質且つ安価に実現可能となる。
【0054】
本実施形態において、印刷層112は、透光性インクから構成される。これにより、屋内の照明装置512からの照明光520がポスター100(印刷物)を通過し易くすることが可能となる。
【0055】
本実施形態において、基材層110は白色であり、印刷層112では白色が省略される(図5のS12)。これにより、印刷層112に白色を用いることによるポスター100(印刷物)の透光性の低下を抑制することが可能となる。従って、店舗50(建築物)外部から見た際の印刷内容の視認性を向上することができる。加えて、印刷層112を構成する材料(インク)を削減することが可能となる。
【0056】
本実施形態において、ポスター100(印刷物)の厚みは、31~1000ミクロンの範囲である。これにより、作業者が、ポスター100を外壁502に取り付ける際の作業性を確保し易くなる。
【0057】
<B.変形例>
なお、本発明は、上記実施形態に限らず、本明細書の記載内容に基づき、種々の構成を採り得ることはもちろんである。例えば、以下の構成を採用することができる。
【0058】
[B-1.構成]
(B-1-1.広告システム10)
上記実施形態では、広告システム10を、コンビニエンスストアとしての店舗50に適用した(図1)。しかしながら、例えば、屋内の照明装置512からの照明光520を用いて、印刷内容を屋外に表示する観点に着目すれば、これに限らない。例えば、店舗50は、自動車ディーラー、飲食店、スーパーマーケット、薬局、又はスポーツジムであってもよい。或いは、店舗50以外の建築物(例えば、病院、個人の住居、オフィス、役所又は図書館)であってもよい。
【0059】
(B-1-2.照明装置512)
上記実施形態では、照明装置512は、店舗50内の天井510に配置された(図1)。しかしながら、例えば、集光フィルム若しくは拡散フィルム又はモスアイ型反射防止フィルムからなる基材層110により照明光520を集光して印刷層112を通過させる点に着目すれば、照明装置512は、天井510以外の場所(例えば、床又は商品棚)に配置してもよい。
【0060】
上記実施形態では、照明装置512を複数設けた(図1)。しかしながら、例えば、集光フィルム若しくは拡散フィルム又はモスアイ型反射防止フィルムからなる基材層110により照明光520を集光して印刷層112を通過させる点に着目すれば、照明装置512の数は、1以上で任意に設定可能である。また、照明装置512が複数である場合の配置も任意である。
【0061】
(B-1-3.ポスター100(印刷物))
上記実施形態では、印刷物としてポスター100を用いた(図1)。しかしながら、例えば、屋内の照明装置512からの照明光520を用いて、印刷内容を屋外(又は透明な壁を挟んで反対側)に表示する観点に着目すれば、これに限らず、ポスター100以外の印刷物に本発明を適用することも可能である。
【0062】
図7は、本発明に係る印刷物の変形例としてのステッカー300A、300Bを簡略的に示す外観正面図である。上記実施形態のポスター100と同様、各ステッカー300A、300Bは、基材層110(集光フィルム若しくは拡散フィルム又はモスアイ型反射防止フィルム)、印刷層112及び粘着層114を有する。
【0063】
上記実施形態では、基材層110は、白色であったが、透明若しくは半透明又はその他の色であってもよい。
【0064】
上記実施形態では、粘着層114を印刷層112全体に積層させた(図5のS13)。しかしながら、例えば、ポスター100(印刷物)を外壁502に取り付けることに着目すれば、これに限らない。例えば、印刷層112の周囲(周縁)に余白部分ができるように印刷層112を基材層110に積層させ、余白部分において粘着層114を基材層110に直接積層させることも可能である。
【0065】
上記実施形態では、ポスター100を店舗50の内側から外壁502に対して取り付けた(図2)。しかしながら、例えば、屋内の照明装置512からの照明光520を用いて、印刷内容を屋外に表示する観点に着目すれば、これに限らず、ポスター100を店舗50の外側から外壁502に対して取り付けてもよい。その場合、例えば、粘着層114は、基材層110又は印刷層112と外壁502の間に配置される。
【0066】
上記実施形態では、外壁502に対するポスター100の取付けに粘着層114を用いた(図2)。しかしながら、例えば、ポスター100(印刷物)を外壁502に取り付けることに着目すれば、これに限らない。例えば、粘着層114を省略し、その代わりに、接着テープを用いてポスター100(印刷物)を外壁502に取り付けることも可能である。
【0067】
[B-2.ポスター100の製造方法]
上記実施形態では、図5に示すステップS11~S14を用いてポスター100(印刷物)を製造した。しかしながら、例えば、集光フィルム若しくは拡散フィルム又はモスアイ型反射防止フィルムからなる基材層110と、印刷層112とを少なくとも有する印刷物を製造する点に着目すれば、これに限らない。例えば、粘着層114の形成(図5のS13)は、自己粘着性フィルムを貼付する代わりに、ゲル状の粘着材を塗布する形としてもよい。但し、その場合、ポスター100の製造時(工場において)ではなく、店舗50においてポスター100を外壁502に取り付ける際にゲル状の粘着材を塗布してもよい。
【0068】
上記実施形態では、オフセット印刷を用いてポスター100(印刷物)の印刷層112を印刷した。例えば、集光フィルム若しくは拡散フィルム又はモスアイ型反射防止フィルムからなる基材層110と、印刷層112とを少なくとも有する印刷物を製造する点に着目すれば、これに限らない。例えば、印刷層112は、シルクスクリーン印刷、インクジェット出力、オンデマンド印刷等の他の印刷方法で形成してもよい。
【0069】
[B-3.ポスター100の照明方法(広告方法)]
上記実施形態では、ポスター100(印刷物)をガラス製の外壁502に取り付けた(図1)。しかしながら、例えば、屋内の照明装置512からの照明光520を用いて、印刷内容を屋外に表示する観点に着目すれば、これに限らない。例えば、外壁502は、ガラス製以外の素材(例えばプラスチック)であってもよい。また、外壁502は、透明ではなく半透明であってもよい。さらに、ポスター100(印刷物)を取り付ける部位は、外壁502の代わりに窓であってもよい。
【符号の説明】
【0070】
10…広告システム 50…店舗(建築物)
100…ポスター(印刷物) 110…基材層
112…印刷層 114…粘着層
300A、300B…ステッカー(印刷物)
502…透明な外壁 510…天井
512…照明装置 520…照明光
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2023-01-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明又は半透明の外壁又は窓を有する建築物において、前記外壁又は前記窓に印刷物を取り付ける印刷物取付けステップと、
前記建築物内の天井に配置された照明装置を点灯する点灯ステップと
を備える印刷物照明方法であって、
前記印刷物は、
集光フィルム若しくは拡散フィルム又はモスアイ型反射防止フィルムからなる基材層と、
前記基材層に印刷された印刷層と
を有し、
前記印刷物取付けステップでは、
前記基材層よりも前記印刷層を前記建築物の外側に配置し、
前記照明装置からの照明光を前記印刷層に集光するように且つ前記印刷物において前記建築物の最も内側に前記基材層を配置し、
前記基材層は、
フィルム基材層と、
前記フィルム基材層よりも前記建築物の内側に配置されて、前記照明装置からの照明光を前記フィルム基材層の内部に取り込む凹凸又は突起からなる内側凹凸層と
を有する
ことを特徴とする印刷物照明方法。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷物照明方法において、
前記基材層は、
前記フィルム基材層よりも前記建築物の外側に配置されて、前記フィルム基材層の内部に取り込まれた前記照明光を拡散させて出射する凹凸又は突起からなる外側凹凸層と、
前記外側凹凸層よりも前記建築物の外側に配置されると共に、前記印刷層が印刷された表面保護層と
を有する
ことを特徴とする印刷物照明方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の印刷物照明方法において、
前記印刷物は、前記印刷物を前記外壁又は前記窓に取り付けるための透明、半透明又は不透明の粘着層を、前記印刷層又は前記基材層の全面に若しくは一部に有し、
前記印刷物取付けステップにおいて、前記印刷物は、前記粘着層の粘着力により前記建築物の内側又は外側から前記透明又は半透明の外壁又は窓に保持される
ことを特徴とする印刷物照明方法。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の印刷物照明方法において、
前記基材層は、アクリル、ポリカーボネート、塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート又はポリエチレンから構成され、
前記印刷層は、透光性インクから構成される
を有することを特徴とする印刷物照明方法。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の印刷物照明方法において、
前記基材層は白色であり、
前記印刷層では白色が省略される
ことを特徴とする印刷物照明方法。
【請求項6】
透明又は半透明の外壁又は窓を有する建築物内の天井に配置された照明装置と、
前記外壁又は前記窓に取り付けられた印刷物と
を含む広告システムであって、
前記印刷物は、
集光フィルム若しくは拡散フィルム又はモスアイ型反射防止フィルムからなる基材層と、
前記基材層に印刷された印刷層と
を有し、
前記基材層は、前記照明装置からの照明光を前記印刷層に集光する向きで前記印刷層に積層し、
前記印刷物は、前記基材層よりも前記印刷層を前記建築物の外側に配置した状態で、且つ前記印刷物において前記基材層が前記建築物の最も内側に配置されるように前記外壁又は前記窓に取り付けられ、
前記基材層は、
フィルム基材層と、
前記フィルム基材層よりも前記建築物の内側に配置されて、前記照明装置からの照明光を前記フィルム基材層の内部に取り込む凹凸又は突起からなる内側凹凸層と
を有する
ことを特徴とする広告システム。
【請求項7】
集光フィルム若しくは拡散フィルム又はモスアイ型反射防止フィルムからなる基材層に対して、透光性インクを塗布して前記基材層上に印刷層を形成する印刷ステップを用いて印刷物を製造する印刷物製造方法であって、
外部からの光を前記印刷層に集光する向きで前記基材層を前記印刷層に積層させると共に前記印刷層とは反対側において前記基材層を露出させて配置し、
前記印刷層の印刷内容を、前記基材層とは反対側を正面にして印刷し、
前記印刷物の厚みは、31~1000ミクロンの範囲であり、
前記基材層は、
フィルム基材層と、
前記フィルム基材層を挟んで前記印刷層の反対側に配置されて、外部からの光を前記フィルム基材層の内部に取り込む凹凸又は突起からなる内側凹凸層と
を有する
ことを特徴とする印刷物製造方法。
【請求項8】
集光フィルム若しくは拡散フィルム又はモスアイ型反射防止フィルムからなる基材層と、前記基材層に印刷された透光性インクからなる印刷層とを有する印刷物であって、
前記基材層は、外部からの光を前記印刷層に集光する向きで前記印刷層に積層されると共に、前記印刷層とは反対側において露出して配置され
前記印刷層の印刷内容は、前記基材層とは反対側を正面にして印刷され、
前記印刷物の厚みは、31~1000ミクロンの範囲であり、
前記基材層は、
フィルム基材層と、
前記フィルム基材層を挟んで前記印刷層の反対側に配置されて、外部からの光を前記フィルム基材層の内部に取り込む凹凸又は突起からなる内側凹凸層と
を有する
ことを特徴とする印刷物。