(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024065137
(43)【公開日】2024-05-15
(54)【発明の名称】集材装置
(51)【国際特許分類】
A01G 23/08 20060101AFI20240508BHJP
【FI】
A01G23/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022173872
(22)【出願日】2022-10-31
(71)【出願人】
【識別番号】522425460
【氏名又は名称】株式会社徳工
(74)【代理人】
【識別番号】100199451
【弁理士】
【氏名又は名称】和田 隆滋
(72)【発明者】
【氏名】中原 敏博
(72)【発明者】
【氏名】楠本 健次
(57)【要約】
【課題】本発明の目的は、製造コストや全体の重量の低減を図りつつも、効率的かつ安全に木を集材することができる集材装置を提供することである。
【解決手段】集材装置1000は、架線を移動する移動部と、木をつかむクランプ部と、移動部とクランプ部を中継する中継部で構成される。移動部と中継部とクランプ部はワイヤを介して接続される。中継部は、クランプ部を開閉するためのウィンチが設けられる。移動部は中継部を移動させる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
木をつかむクランプ部と、
前記クランプ部を移動させる移動部と、
前記クランプ部の開閉動作を制御するウィンチを内包した中継部からなり、
前記ウィンチと前記クランプ部はワイヤを介して接続され、また、前記クランプ部と中継部もワイヤにより接続され、
前記移動部は、前記クランプ部と共に前記ウィンチを内包した中継部も移動させる、集材装置。
【請求項2】
前記ウィンチの巻上げ量の制御によって、前記クランプ部の水平方向の回転を制御する水平回転制御機構を有している、請求項1に記載の集材装置。
【請求項3】
前記クランプ部は、第一爪部と第二爪部で構成され、
前記第一爪部と前記第二爪部の上端に滑車が設けられる、請求項1に記載の集材装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集材装置に関し、特に山で伐採した木を集める架線式の集材装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、山で伐採した木を集める架線式の集材装置が開発されているが、集材装置には油圧式のグラップルが用いられるのが一般的である。油圧式のグラップルではコスト増と重さが問題である。一方でワイヤ式のフックが開発されている(特許文献1)が、山地では使用困難であり、問題である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に示すフックを架線式の集材装置に用いても効率的かつ安全に木を集材することについて改良の余地がある。
【0005】
本発明の目的は、このようなことに鑑みてなされたものであり、製造コストの低減と軽量化を図りつつも、山地でも効率的かつ安全に木を集材することができる集材装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的は、
木をつかむクランプ部と、
前記クランプ部を移動させる移動部と、
前記クランプ部の開閉動作を制御するウィンチを内包した中継部からなり、
前記ウィンチと前記クランプ部はワイヤを介して接続され、また、前期クランプ部と中継部もワイヤにより接続され、
前記移動部は、前記クランプ部と共に前記ウィンチを内包した中継部も移動させる、集材装置によって達成される。
【0007】
また、上記目的は、
前記ウィンチの巻上げ量の制御によって、前記クランプ部の水平方向の回転を制御する水平回転制御機構を有している、
上記の集材装置によっても達成される。
【0008】
また、上記目的は、
前記クランプ部は、第一爪部と第二爪部で構成され、
前記第一爪部と前記第二爪部の上端に滑車が設けられる、上記の集材装置によっても達成される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、製造コストの低減を図りつつも、効率的かつ安全に木を集材することができる集材装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態による架線式の集材装置1000を説明する図である。
【
図2】本発明の実施形態による架線式の集材装置1000に用いる集材機1を説明する図である。
【
図3】本発明の実施形態による架線式の集材装置1000に用いる集材機1を説明する図である。
【
図4】本発明の実施形態による架線式の集材装置1000に用いる集材機1を説明する図である。
【
図5】本発明の実施形態による架線式の集材装置1000に用いる集材機1を説明する図である。
【
図6】本発明の実施形態による架線式の集材装置1000に用いる集材機1を説明する図である。
【
図7】本発明の実施形態による架線式の集材装置1000に用いる集材機1を説明する図である。
【
図8】本発明の実施形態による架線式の集材装置1000に用いる集材機1を説明する図である。
【
図9】本発明の実施形態による架線式の集材装置1000に用いる集材機1を説明する図である。
【
図10】本発明の実施形態による架線式の集材装置1000に用いる集材機1を説明する図である。
【
図11】本発明の実施形態による架線式の集材装置1000に用いる集材機1を説明する図である。
【
図12】本発明の実施形態による架線式の集材装置1000に用いる集材機2を説明する図である。
【
図13】本発明の実施形態による架線式の集材装置1000に用いる集材機2を説明する図である。
【
図14】本発明の実施形態による架線式の集材装置1000に用いる集材機2を説明する図である。
【
図15】本発明の実施形態による架線式の集材装置1000に用いる集材機2を説明する図である。
【
図16】本発明の実施形態による架線式の集材装置1000に用いる集材機2を説明する図である。
【
図17】本発明の実施形態による架線式の集材装置1000に用いる集材機2を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、
図1~
図17を用いて、本発明の実施形態による架線式の集材装置1000を説明する。なお、以下の全ての図面においては、理解を容易にするため、各構成要素の寸法や比率などは適宜異ならせて図示している。
【0012】
図1は、本発明の実施形態による架線式の集材装置1000の略示正面図である。
図1に示すように、架線式の集材装置1000は、ワイヤの架線を移動する移動部と集材機1で構成される。集材機1は、大別すると伐採した木をつかむクランプ部と、クランプ部と移動部を中継する中継部で構成される。本実施形態の移動部は、
図1に示す既存の装置であるが、既存の自走式、固定式クレーンやヘリコプター、ドローンのような飛行するものであってもよい。
【0013】
図2は、集材機1で木材10を掴んでいる状態を示す略示正面図である。中継部は、ウィンチ(不図示)が内包されているウィンチ部200とクランプ部の回転制御を行う回転制御部240とウィンチとクランプ部を接続する接続部301を有する。ウィンチは、リモコン制御にて遠隔操作が可能な構成である。ウィンチ部200の両下端にはワイヤ接続部412、413が設けられ、クランプ部の爪401,402の上端に設けられたワイヤ接続部410、411のそれぞれにワイヤ420、421が設けられる。また、接続部301の中央にウィンチに巻かれたワイヤを接続し、接続部301の両端からクランプ部の両爪の略中断(回転軸430の下方の位置)に設けられたワイヤ接続部にワイヤ310、311が設けられる。このように集材機1は、木材10の自重によってクランプ部の爪401、402が閉じられる。木材10を目的の場所まで移動させ地面に着地した状態でウィンチを巻き上げると回転軸430を回転軸として爪401、402が上方に持ち上げられ、クランプ部が開いた状態に移行する(
図5参照)。このように集材機1は、ウィンチを巻き上げると爪401と爪402が上方に持ち上げられ回転軸430を回転軸として、クランプが開いた状態となるとともに、回転制御部240の回転制御によって水平方向に回転し、さまざまな方向に倒れた木を掴むことが可能な角度にすることができる。また、ウィンチのワイヤを下げることでクランプ部の爪401と爪402が閉じられる。また、中継部にクランプ部の開閉動作を制御するウィンチを設けることで、遠隔操作によりクランプ部の開閉動作を行うことが可能となり作業の効率性と安全性が向上する。
【0014】
図3、
図9~
図11を用いて、集材機1が有するクランプ部の水平回転制御機構を説明する。集材機1の水平回転制御部240は、ウィンチ200の中央直下に設けられる。水平回転制御部240は、二つの円筒で形成される(
図11の断面図参照)。水平回転制御部240は、二つの円筒がカム連結部251、252を介して接続されている。内側の円筒は上下方向にスライド可能な構成であり、カム連結部251、252が外側の円筒に設けられた二つの案内溝241を移動することで内側の円筒が回転する構成である。内側の円筒の下端には略お椀状の開口部が設けられている。この開口部に接続部301の中央部がはまる構成である。ウィンチが巻かれて接続部301の中央部が上方に移動し回転制御部240の内側の円筒を上方に移動させると円筒が回転し、この回転に併せて接続部301が回転し、接続部301の回転に併せてクランプ部が水平に回転する構成である。
【0015】
図4はクランプ部が閉じた状態を示している。爪401の表面に設けられた突起部440によって爪402の回転が制御される。突起部440によって爪402の時計回りの回転を制限している。
【0016】
図5はクランプ部が開いた状態を示している。爪401の表面に設けられた突起部441によって爪402の回転が制御される。突起部441によって爪402の反時計回りの回転を制限している。
【0017】
このように突起部440、441を設けることでクランプ部の開閉状態に制限を持たせている。
【0018】
本実施形態による集材装置1000は以下の効果を奏する。
(あ)電動式のウィンチを用いることで低コスト化が図れる。
(い)ウィンチによってクランプ部の開閉動作を行うため遠隔操作が可能となり人力による作業手間を低減すると共に、安全な集材作業が可能となる。
(う)ウィンチがクランプ部と共に移動する構成であるためワイヤを短くすることができる。このため、ワイヤが短くなることによって、ウィンチの小型化が可能となりワイヤやウイィンチの製造コストの削減を図れる。また、ワイヤの巻き取りの際の不具合が起りにくいため、クランプ部の開閉動作の応答性や確実性が向上する。
(え)ウィンチの巻上制御によってクランプ部の水平の回転制御が可能となるため、効率的に伐採した木を掴むことができる。
(お)掴んだ木材の自重によって爪が閉じられる構成であるため、動力がなくなったとしても掴んだ木材が抜け落ちることがなく安全である。
【0019】
図12~
図17を用いて本実施形態の集材装置1000に用いる集材機2を説明する。なお、集材機1と同じ構成については符号を同一にすることでその説明を省略する場合がある。
【0020】
図12~
図17に示すように、集材機2は、クランプ部の爪401、402の上端に滑車410、411を設け、ワイヤ420によってウィンチ部200に接続される。また、中継部を吊上げることで、木材10の自重と滑車を使ったワイヤによってクランプ部の爪401と爪402がより強固に閉まることになる。中継部を吊上げて、架線を移動する既存の装置を移動させ荷下ろし場でウィンチを巻き上げることで、簡単に木材を離すことができる。本実施形態の集材機2は、滑車410、411を設けることで、クランプ部の爪401、402の開閉動作がスムーズに行われより強く掴むという効果を奏する。
【0021】
上述の実施形態は、本発明の好適な一例であるので、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、上述の説明によって不当に限定されるものではない。また、上述の実施形態で説明される構成の全てが本発明の必須の構成要件ではない。また、上述の実施形態で説明される構成は相互に付け足したり組み合わせたりしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明は、集材装置において広く利用可能であり、特に、山で伐採した木材を集材する架線式の集材装置において広く利用可能である。
【符号の説明】
【0023】