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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024006520
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】止水装置
(51)【国際特許分類】
   E06B 5/00 20060101AFI20240110BHJP
   E06B 7/22 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
E06B5/00 Z
E06B7/22 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022107506
(22)【出願日】2022-07-04
(71)【出願人】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】安西 利樹
(72)【発明者】
【氏名】角 和博
【テーマコード(参考)】
2E036
2E239
【Fターム(参考)】
2E036AA01
2E036BA01
2E036CA00
2E036CA01
2E036DA02
2E036EB02
2E036EC03
2E036EC05
2E036GA02
2E036HA02
2E036HC02
2E239AC04
(57)【要約】
【課題】 作業性を向上する。
【解決手段】 水の流れ方向に交差するように立設される板状の止水体1と、この止水体1を両側で支える左右の支柱2とを備えた止水装置であって、止水体1は、本体板10と、この本体板10の上部寄りで左右側方へそれぞれ突出する係合突部20とを具備し、支柱2は、上下方向へわたる本体柱30と、この本体柱30から、前記流れ方向の上流側へ突出する被係合部40とを具備し、止水体1を被係合部40の下方側の不動面Gに載置した状態で、係合突部20を前記流れ方向の上流側から下流側へ移動させて被係合部40に係合するようにした。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水の流れ方向に交差するように立設される板状の止水体と、この止水体を両側で支える左右の支柱とを備えた止水装置であって、
前記止水体は、本体板と、この本体板の上部寄りで左右側方へそれぞれ突出する係合突部とを具備し、
前記支柱は、上下方向へわたる本体柱と、この本体柱から、前記流れ方向の上流側へ突出する被係合部とを具備し、
前記止水体を前記被係合部の下方側の不動面に載置した状態で、前記係合突部を前記流れ方向の上流側から下流側へ移動させて前記被係合部に係合するようにしたことを特徴とする止水装置。
【請求項2】
前記係合突部が、前記止水体と下方側の前記不動面との接点を支点とした円弧運動により前記流れ方向の下流側へ回動して前記被係合部に係合するようにしたことを特徴とする請求項1記載の止水装置。
【請求項3】
前記係合突部は、前記止水体から側方へ突出する軸状に形成され、
前記被係合部には、前記係合突部を前記流れ方向の上流側から下流側へ乗り越え嵌合させる乗り越え突起が設けられることを特徴とする請求項1記載の止水装置。
【請求項4】
前記乗り越え突起は、前記係合突部によって当接される部分に、下流斜め下方へ向かう導入傾斜面を有することを特徴とする請求項3記載の止水装置。
【請求項5】
前記本体柱には、前記本体板を前記上流側から受ける受面が設けられ、
前記本体板と前記受面の間には、弾性材料からなる縦方向水密材が設けられ、
前記係合突部が前記乗り越え突起を乗り越えるのに伴って、前記縦方向水密材が前記受面に圧接されるようにしたことを特徴とする請求項3記載の止水装置。
【請求項6】
前記本体板と下方側の前記不動面との間には、弾性材料からなる横方向水密材が設けられていることを特徴とする請求項5記載の止水装置。
【請求項7】
前記被係合部は、前記乗り越え突起よりも前記流れ方向の下流側に、前記係合突部の上側部分に対し凹状に嵌り合う凹状係合部を有することを特徴とする請求項3~6何れか1項記載の止水装置。
【請求項8】
前記係合突部は、前記止水体から側方へ突出する円柱軸状に形成され、
前記乗り越え突起は、前記凹状係合部の上底面から下方へ突出する突出量が、前記係合突部の半径と略同じであることを特徴とする請求項7記載の止水装置。
【請求項9】
前記被係合部は、前記凹状係合部よりも前記流れ方向の下流側に、前記係合突部を下流側斜め下方へ導くガイド傾斜面を有することを特徴とする請求項7記載の止水装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、増水時に建物や地下道の開口部を略板状の止水体により閉鎖して水の侵入を阻む止水装置及びこの止水装置の設置方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
台風や集中豪雨などによる増水が建物や地下道の開口部に侵入すると、浸水による甚大な被害を及ぼすおそれがある。そこで、このような事態に備えて、予め建物や地下道などの開口部の両側に支柱を立設しておくとともに、この支柱の近傍に板状の止水板を格納しておき、増水が発生したときには、止水板を両側の前記支柱にボルト状の止水板押圧具で固定し、水の侵入を阻むようにしたものが従来知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-68964号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術によれば、蝶ボルトを締め付ける作業に時間がかかる等、改善の余地があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような課題に鑑みて、本発明は、以下の構成を具備するものである。
水の流れ方向に交差するように立設される板状の止水体と、この止水体を両側で支える左右の支柱とを備えた止水装置であって、前記止水体は、本体板と、この本体板の上部寄りで左右側方へそれぞれ突出する係合突部とを具備し、前記支柱は、上下方向へわたる本体柱と、この本体柱から、前記流れ方向の上流側へ突出する被係合部とを具備し、前記止水体を前記被係合部の下方側の不動面に載置した状態で、前記係合突部を前記流れ方向の上流側から下流側へ移動させて前記被係合部に係合するようにしたことを特徴とする止水装置。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、以上説明したように構成されているので、止水体を両側の支柱にセットする際の作業性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明に係る止水装置の一例を示す斜視図である。
図2】同止水装置における被係合部の一例を示す斜視図である。
図3】同被係合部の縦断面図である。
図4】同止水装置の側面図であり、止水体を支柱に装着している様子を(a)~(b)に順次に示す。
図5】同止水装置の側面図であり、止水体を支柱に装着している様子を(c)~(d)に順次に示す。
図6】被係合部の要部拡大縦断面である。
図7】被係合部における乗り越え突起の形状例を(a)と(b)にそれぞれ示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に、本発明に係る実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。
本明細書中、上流側とは、想定される水の流れの方向における上流側を意味し、下流側とは、想定される水の流れの方向における下流側であって前記上流側に対する逆方向側を意味する。
【0009】
止水装置Aは、水の流れ方向に交差するように立設される板状の止水体1と、この止水体1を両側で支える左右の支柱2,2とを備え、例えば、建物の開口部や地下設備の入口等に設置される。
【0010】
止水体1は、本体板10と、この本体板10の上部寄りで左右側方へそれぞれ突出する係合突部20,20とを一体的に具備し、作業者等が取手11を掴んで運搬するように構成してある。
【0011】
本体板10は、金属等の硬質材料により横長矩形状に形成され、下流側面において、横幅方向の一端側と他端側が、それぞれ、支柱2の受面31に重なり合う。
この本体板10は、例えば、引き抜き成形された中空横長矩形状の部材と、この部材の両側面を覆う部材(図示せず)等から構成すればよい。
【0012】
本体板10の上流側の面には、単数又は複数の取手11が設けられる。
この取手11は、図示例によれば、作業者等が左右の手で握るように、本体板10の上流側面の中央寄りにおいて、左右に間隔を置いて二つ設けられる。
【0013】
各取手11は、上下方向へ延設された棒状の握り部11aと、この握り部を握った手を上方側から受けるとともに本体板10に止着された手受け部11bと、握り部11aの下端側で本体板10に止着された下側止着部11cとを有し、図示例によれば、側面視コ字状に形成される。
なお、この取手11の他例としては、上記構成から下側止着部11cを省いて、側面視逆さL字状に形成することも可能である。
【0014】
各係合突部20は、本体板10の側面の上端寄りから側方へ突出する円柱軸状の部材である。この係合突部20は、例えば、硬質金属材料により円柱状に構成され、本体板10の左右両側の側面に設けられた止着穴(図示せず)に挿入され、溶接やねじ嵌合等により固定される。
このように係合突部20を円柱軸状に形成すれば、この係合突部20の強度を高く保持できる上、この係合突部20を凹状係合部42に係合する際の動作を滑らかにすることができる。
この係合突部20の他例としては、本体板10の上流側面の上端寄りに止着され、側方へ突出する態様とすることも可能である。
【0015】
また、本体板10の下流側の面において、左右端部側には、本体板10と支柱2の受面31との間に挟まれるように、弾性材料からなる縦方向水密材12が設けられる。
さらに、本体板10の下端部には、該下端部と不動面Gとの間に挟まれるように、弾性材料からなる横方向水密材13が設けられている。
【0016】
縦方向水密材12は、本体板10の下流側の面における左端側と右端側に、それぞれ上下方向へわたって設けられる。
各縦方向水密材12は、ゴムやエラストマー樹脂等の弾性材料から本体板10の上下方向にわたって連続する長尺状に形成される。
この縦方向水密材12は、本体板10の下流側の面に対し、接着剤による接着や、ブラケットを介した嵌合等により固定され、本体板10から下流側へ突出している。
縦方向水密材12は、止水体1が両側の支柱2,2に装着される際に、受面31に圧接されて弾性変形する。
【0017】
横方向水密材13は、本体板10の下端部に、水平方向の略全長にわたって設けられる。
この横方向水密材13は、ゴムやエラストマー樹脂等の弾性材料から本体板10の横方向にわたって連続する長尺状に形成される。
この横方向水密材13は、本体板10の下端面に対し、接着剤により接着や、ブラケットを介した嵌合等により固定され、本体板10から下方へ突出している。
止水体1が両側の支柱2,2に装着される際、横方向水密材13は、不動面Gに圧接されて弾性変形する。
横方向水密材13の上下方向の厚みは、後述する係合突部20が凹状係合部42に嵌り合った状態(図5参照)で、横方向水密材13の上下方向の弾発力が保持されるように適宜に設定してある。
【0018】
なお、縦方向水密材12と横方向水密材13は、同材質の長尺材料を所定の長さに切断して用いればよい。
【0019】
また、図示例によれば、横方向水密材13を本体板10の横幅方向の全長にわたって設け、この横方向水密材13の端部側の上面に縦方向水密材12の下端を接触させているが(図1参照)、他例としては、縦方向水密材12を本体板10の上下方向の全長にわたって設け、この縦方向水密材12の下端側の側面に、横方向水密材13の横幅方向の端部を接触させるようにしてもよい。
【0020】
各支柱2は、上下方向へわたる本体柱30と、この本体柱30から、流れ方向の上流側へ突出する被係合部40とを一体的に具備し、下方側の不動面Gに対し直立している。不動面Gは、地面や床面、あるいは平板状の基台等である。
【0021】
本体柱30は、例えば硬質金属材料から角柱状に構成される。
この本体柱30には、本体板10を、上下方向にわたって、上流側から受ける受面31が設けられる。
受面31は、図示例によれば、四角柱状の本体板10における上流側の平坦面である。
なお、他例としては、本体柱30の上流側の面を、本体板10の側端部に嵌り合う段状(異なる表現をすれば、横断面L字状)に形成し、この段状に凹んだ面を前記受面としてもよい(図示せず)。
【0022】
本体柱30は、不動面Gに立設され、前後左右に移動しないように固定される。この固定手段は、本体柱30の下端部を不動面Gに対し止着してもよいし、本体柱30の下流側の面や側面等を、当該止水装置Aの設置対象である構築物の開口部内縁等に止着するようにしてもよい。前記止着の手段は、例えば、溶接や、嵌合、ねじ止め等とすればよい。
【0023】
被係合部40は、各本体柱30の上端側で上流側へ突出する金属製ブロック状の部材である。
この被係合部40の下端部には、係合突部20を上流側から下流側へ乗り越え嵌合させる乗り越え突起41と、乗り越えた係合突部20を嵌め合わせて位置決めする凹状係合部42と、凹状係合部42よりも下流側で係合突部20を下流側斜め下方へ導くガイド傾斜面43とを有する。
【0024】
詳細に説明すれば、被係合部40の下半部側は、図2及び図3に示すように、上流側から見て逆さ凹状の断面を流れ方向へ連続した形状を呈し、この逆さ凹状の部分40aの両側の下端縁に、乗り越え突起41、凹状係合部42及びガイド傾斜面43を形成している。
また、逆さ凹状の部分40aの内側は、後述する止着具52を挿通するための空間として機能する。
なお、被係合部40の他例としては、逆さ凹状の部分40aを有さないブロック状に形成することも可能である。
【0025】
乗り越え突起41は、側方から視て下方へ突出した凸曲面状に形成される。
この乗り越え突起41の最下端位置は、横方向水密材13が圧縮され係合突部20が下方へ移動した際に、この係合突部20を下流方向へ通過させるように、適宜に設定される。
【0026】
具体的な好ましい一例として、図6に例示する乗り越え突起41は、後述する凹状係合部42の上底面から下方へ突出する突出量Hが、係合突部20の半径rと略同じである。
すなわち、突出量Hが長すぎる場合、係合突部20が乗り越え突起41を乗り越える際の抵抗が横方向水密材13の弾発力により大きくなりすぎ作業性の低下を招く恐れがある。逆に、突出量Hが短すぎる場合には、係合突部20が凹状係合部42に係合した状態をしっかりと保持できなくなるおそれがある。乗り越え突起41の突出量Hは、これらのことを勘案して適宜に設定されている。
【0027】
また、乗り越え突起41は、係合突部20によって上流側から当接される部分に、下流斜め下方へ向かう導入傾斜面41aを有する。
この導入傾斜面41aは、乗り越え突起41の上流側の面を、図7(a)に示す一例では、凸曲面状に形成することで構成される。
この導入傾斜面41aによれば、係合突部20が乗り越え突起41に当接して係合突部20を乗り越える際の動作を滑らかにすることができる。
【0028】
なお、他の好ましい一例としては、図7(b)に示すように、乗り越え突起41において、係合突部20によって上流側から当接される部分に、下流斜め下方へ向かって略平坦面状に傾斜する(異なる表現をすれば、C面取り状の)導入傾斜面41a’を設けるようにしてもよい。
この構成によれば、係合突部20が導入傾斜面41a’を通過する際に横方向水密材13から受ける弾発力を軽減することができ、ひいては、係合突部20の乗り越え動作をいっそう滑らかにすることができる。
【0029】
凹状係合部42は、係合突部20の外周面における上側部分であって且つ上流寄りの部分が重なり合うように、側面視円弧状に形成される(図3参照)。
この凹状係合部42は、乗り越え突起41を乗り越えた係合突部20が、安易に前後へ移動しないように位置決めする。
【0030】
ガイド傾斜面43は、図示例によれば、下流側斜め下方へ直線状に延設されている。このガイド傾斜面43が、止水体1が水圧で下流側へ押圧された場合に、係合突部20を凹状係合部42よりも下流側斜め下方側へ移動させる。
【0031】
また、被係合部40において、乗り越え突起41、凹状係合部42及びガイド傾斜面43等よりも上部側には、止着具51,52(例えば、ねじやボルト、リベット等)をそれぞれ挿通するための止着孔44,45が設けられる(図3参照)。
【0032】
止着孔44は、被係合部40を流れ方向の全長にわたって貫通する孔であり、図示例によれば、複数(図示例によれば二つ)設けられる。各止着孔44に挿通される止着具51は、その先端側が本体柱30に螺合され止着される。
【0033】
止着孔45は、逆さ凹状の部分40a内の下流側の壁部を貫通する孔であり、図示例によれば、単数設けられる。この止着孔45に挿通される止着具52は、その先端側が本体柱30に螺合され止着される。
【0034】
次に、上記構成の止水装置Aについて、止水体1を支柱2に装着する際の手順及び作用効果を詳細に説明する。
作業者等は、止水体1を被係合部40の下方側の不動面Gに載置した状態で、係合突部20を上流側から下流側へ移動させて凹状係合部42に係止する。
【0035】
詳細に説明すれば、先ず、作業者等は、両側の取手11,11を手で握り、止水体1の上端側を上流側へ傾け、この止水体1の両端側を、上流側から両側の支柱2,2に近づけてゆく。そして、止水体1の横方向水密材13を、被係合部40の略真下で不動面Gに着地させる(図4(a)参照)。
【0036】
次に、横方向水密材13と不動面Gの接点を支点として、止水体1の上端側及び係合突部20を下流側へ円弧運動させる。すると、止水体1の係合突部20の外周面が、被係合部40の乗り越え突起41の上流側部分に当接する(図4参照)。
【0037】
さらに、止水体1の上端側を下流側へ押圧すると、係合突部20が乗り越え突起41の下向き凸曲面状の部分に圧接されて下方へ移動する。
このため、止水体1全体としては、上端側が支柱2へ近づくように回動しながら下降する。そして、これらの回動及び下降により、縦方向水密材12が支柱2に対し徐々に圧接されてゆき、横方向水密材13は不動面Gに対し徐々に圧接されてゆく。
【0038】
さらに、止水体1の上端側が下流側へ押圧されと、前記回動及び前記下降が継続し、係合突部20は、乗り越え突起41の下側を回るようにして、乗り越え突起41を乗り越える。この乗り越え動作中も、横方向水密材13は支柱2の受面31に対しさらに圧接される。
そして、乗り越え突起41を乗り越えた後の係合突部20は、横方向水密材13の弾性的な復元力により若干上昇し、係合突部20が凹状係合部42に嵌り合う(図5(c)~(d)参照)。
このため、止水体1が、支柱2に対し流れ方向(異なる表現をすれば、止水体1厚さ方向)へ安易に移動しないように位置決めされる。そして、この状態では、縦方向水密材12が支柱2に圧接され、横方向水密材13が不動面Gに圧接される。
【0039】
また、止水体1が水圧を受ける等して、さらに下流側へ押された場合には、係合突部20がガイド傾斜面43に沿って下流側斜め下方へ移動するため、縦方向水密材12が支柱2に対しさらに圧接され、横方向水密材13も不動面Gに対しさらに圧接される。このため、止水体1と支柱2の間の水密性がいっそう高まる。
【0040】
また、止水体1を支柱2から外す場合には、止水体1全体を下方へ押し下げながら、止水体1を手前側へ弾いて、係合突部20を乗り越え突起41に対し上流側へ乗り越えさせればよい。
【0041】
よって。上記構成の止水装置Aによれば、止水体1を両側の支柱2,2にセットする際の作業性が良好であり、セット後の止水性能にも優れている。
【0042】
<変形例>
上記実施の形態によれば、縦方向水密材12を止水体1側に設けたが、図示例以外の他例としては、縦方向水密材12を止水体1には設けずに支柱2に設けたり、縦方向水密材12を止水体1と支柱2の両方に設けたりすることも可能である。
【0043】
上記実施の形態によれば、横方向水密材13を止水体1側に設けたが、図示例以外の他例としては、横方向水密材13を止水体1には設けずに不動面Gに設けたり、横方向水密材13を止水体1と不動面Gの両方に設けたりすることも可能である。
【0044】
また、上記実施形態によれば、単一の止水体1を支柱2に装着するようにしたが、他例としては、支柱2に対し上下方向へ所定の間隔を置いて被係合部40を複数設け、これら複数の被係合部40に対応するように複数の止水体1を配置するとともにこれらを積み重ねる構成とすることも可能である。
【0045】
また、本発明は上述した具体的構成に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜変更可能である。

<総括>
以上のとおり、上記実施形態では以下の発明を開示している。
(1)
水の流れ方向に交差するように立設される板状の止水体と、この止水体を両側で支える左右の支柱とを備えた止水装置であって、前記止水体は、本体板と、この本体板の上部寄りで左右側方へそれぞれ突出する係合突部とを具備し、前記支柱は、上下方向へわたる本体柱と、この本体柱から、前記流れ方向の上流側へ突出する被係合部とを具備し、前記止水体を前記被係合部の下方側の不動面に載置した状態で、前記係合突部を前記流れ方向の上流側から下流側へ移動させて前記被係合部に係合するようにしたことを特徴とする止水装置(図1図5参照)。
(2)
前記係合突部が、前記止水体と下方側の前記不動面との接点を支点とした円弧運動により前記流れ方向の下流側へ回動して前記被係合部に係合するようにしたことを特徴とする(1)に記載の止水装置(図4図5参照)。
(3)
前記係合突部は、前記止水体から側方へ突出する軸状に形成され、前記被係合部には、前記係合突部を前記流れ方向の上流側から下流側へ乗り越え嵌合させる乗り越え突起が設けられることを特徴とする(1)又は(2)に記載の止水装置(図3図5参照)。
(4)
前記乗り越え突起は、前記係合突部によって当接される部分に、下流斜め下方へ向かう導入傾斜面を有することを特徴とする(3)に記載の止水装置(図7参照)。
(5)
前記本体柱には、前記本体板を前記上流側から受ける受面が設けられ、前記本体板と前記受面の間には、弾性材料からなる縦方向水密材が設けられ、前記係合突部が前記乗り越え突起を乗り越えるのに伴って、前記縦方向水密材が前記受面に圧接されるようにしたことを特徴とする(3)又は(4)に記載の止水装置。
(6)
前記本体板と下方側の前記不動面との間には、弾性材料からなる横方向水密材が設けられていることを特徴とする(1)~(5)いずれかに記載の止水装置(図5参照)。
(7)
前記被係合部は、前記乗り越え突起よりも前記流れ方向の下流側に、前記係合突部の上側部分に対し凹状に嵌り合う凹状係合部を有することを特徴とする請求項(3)~(6)のいずれかに記載の止水装置(図2図5参照)。
(8)
前記係合突部は、前記止水体から側方へ突出する円柱軸状に形成され、
前記乗り越え突起は、前記凹状係合部の上底面から下方へ突出する突出量が、前記係合突部の半径と略同じであることを特徴とする(7)に記載の止水装置。
(9)
前記被係合部は、前記凹状係合部よりも前記流れ方向の下流側に、前記係合突部を下流側斜め下方へ導くガイド傾斜面を有することを特徴とする(7)又は(8)に記載の止水装置(図2図5参照)。
【符号の説明】
【0046】
1:止水体
2:支柱
10:本体板
11:取手
12:縦方向水密材
13:横方向水密材
20:係合突部
30:本体柱
40:被係合部
41:乗り越え突起
42:凹状係合部
43:ガイド傾斜面
A:止水装置
G:不動面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7