(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024065247
(43)【公開日】2024-05-15
(54)【発明の名称】バーナ及びボイラ並びにバーナの取付方法
(51)【国際特許分類】
F23K 5/16 20060101AFI20240508BHJP
F23D 11/24 20060101ALI20240508BHJP
F23N 5/00 20060101ALI20240508BHJP
F23N 5/24 20060101ALI20240508BHJP
F22B 37/42 20060101ALI20240508BHJP
【FI】
F23K5/16
F23D11/24 B
F23N5/00 C
F23N5/24 101C
F22B37/42 Z
F23N5/00 F
F23N5/24 103
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022173992
(22)【出願日】2022-10-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】松尾 啓介
【テーマコード(参考)】
3K003
3K068
【Fターム(参考)】
3K003EA07
3K003FB05
3K003GA04
3K068AA11
3K068CA26
3K068DA01
(57)【要約】
【課題】部品点数を低減して、構造を簡素化することを目的とする。
【解決手段】バーナは、燃料を噴射するバーナガン30と、バーナガン30が着脱可能であり軸方向に往復移動可能なホルダ20と、ホルダ20に装着された状態のバーナガン30が挿入される筐体と、筐体10にバーナガン30が挿入されているか否かを判断するリミットスイッチ19と、バーナガン30がホルダ20に装着されることで、バーナガン30が筐体10に挿入されたときにスイッチ19を押圧しない退避位置からスイッチ19を押圧する押圧位置へ移動するプッシュロッド24と、を備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料を噴射するバーナガンと、
前記バーナガンが着脱可能であり軸方向に往復移動可能なホルダと、
前記ホルダに装着された状態の前記バーナガンが挿入される筐体と、
前記筐体に前記バーナガンが挿入されているか否かを判断するスイッチと、
前記バーナガンが前記ホルダに装着されることで、前記バーナガンが前記筐体に挿入されたときに前記スイッチを押圧しない退避位置から前記スイッチを押圧する押圧位置へ先端が移動するプッシュロッドと、を備えるバーナ。
【請求項2】
開状態と閉状態とを切替えることで、前記バーナガンへ燃料が供給されるか否かを切替える燃料弁を備え、
前記スイッチが押圧状態である場合に、前記燃料弁を開状態とすることを許可する請求項1に記載のバーナ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のバーナを備えるボイラ。
【請求項4】
燃料を噴射するバーナガンを前記バーナガンが着脱可能に装着されるホルダに装着する装着工程と、
前記ホルダに装着された状態の前記バーナガンを筐体に挿入する挿入工程と、
スイッチによって、前記筐体に前記バーナガンが挿入されているか否かを判断する判断工程と、を備え、
前記装着工程は、前記ホルダに設けられたプッシュロッドの先端を前記スイッチを押圧しない退避位置から前記バーナガンが前記筐体に挿入されたときに前記スイッチを押圧する押圧位置へ移動させるプッシュロッド移動工程を有し、
前記挿入工程は、前記プッシュロッドの先端で前記スイッチを押圧する押圧工程を有するバーナの取付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、バーナ及びボイラ並びにバーナの取付方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
燃料(例えば、重油、軽油等の燃料油や、固体燃料等)を燃焼させることで蒸気を生成するボイラは、ボイラの火炉壁等に固定され、ボイラの外部から供給される燃料をボイラの火炉内に噴射するバーナを備えている。このようなバーナは、燃料を噴射するバーナガンと、バーナガンが挿入される筐体と、筐体に支持されるとともにバーナガンが装着されるホルダと、を有している。バーナガンは、筐体に適切に挿入されることで、燃料を噴射する先端部が火炉内に位置する。
【0003】
バーナガンがホルダに適切に装着されていないと、燃料漏れ等の不具合が発生する場合がある。このため、バーナガンがホルダに装着されているかを確認するためのリミットスイッチを設けることが知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ホルダに装着されたバーナガンは、筐体に適切に挿入されることで、先端部が火炉内に位置することとなる。よって、筐体にバーナガンが適切に挿入されていない場合には、燃料が火炉内に噴射されない等の不具合が発生する場合がある。このため、上述のバーナガンがホルダに装着されているかを確認するためのリミットスイッチとは別に、筐体にバーナガンが適切に挿入されているかを確認するためのリミットスイッチを設けることが考えられる。
しかしながら、装着確認要リミットスイッチ及び挿入確認要リミットスイッチの両方を設けた場合、部品点数が増大し構造が複雑化する可能性があった。
【0006】
本開示は、このような事情に鑑みてなされたものであって、部品点数を低減して、構造を簡素化することができるバーナ及びボイラ並びにバーナの取付方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示のバーナ及びボイラ並びにバーナの取付方法は以下の手段を採用する。
本開示の一態様に係るバーナは、燃料を噴射するバーナガンと、前記バーナガンが着脱可能であり軸方向に往復移動可能なホルダと、前記ホルダに装着された状態の前記バーナガンが挿入される筐体と、前記筐体に前記バーナガンが挿入されているか否かを判断するスイッチと、前記バーナガンが前記ホルダに装着されることで、前記バーナガンが前記筐体に挿入されたときに前記スイッチを押圧しない退避位置から前記スイッチを押圧する押圧位置へ先端が移動するプッシュロッドと、を備える。
【0008】
本開示の一態様に係るバーナの取付方法は、燃料を噴射するバーナガンを前記バーナガンが着脱可能に装着されるホルダに装着する装着工程と、前記ホルダに装着された状態の前記バーナガンを筐体に挿入する挿入工程と、スイッチによって、前記筐体に前記バーナガンが挿入されているか否かを判断する工程と、を備え、前記装着工程は、前記ホルダに設けられたプッシュロッドの先端を前記スイッチを押圧しない退避位置から前記バーナガンが前記筐体に挿入されたときに前記スイッチを押圧する押圧位置へ移動させるプッシュロッド移動工程を有し、前記挿入工程は、前記プッシュロッドの先端で前記スイッチを押圧する押圧工程を有する。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、部品点数を低減して、構造を簡素化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の実施形態に係るバーナを示す模式的な図である。
【
図3】本開示の実施形態に係るバーナを示す模式的な図である。
【
図5】本開示の実施形態に係るバーナを示す模式的な図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本開示に係るバーナ及びボイラ並びにバーナの取付方法の一実施形態について、
図1から
図6を参照して説明する。なお、以下の説明では、燃料を噴射する側(図面左側)の端を「先端」、その反対側(図面右側)の端を「基端」と称して説明する。
【0012】
図1に示すように、ボイラ1は、例えば鉛直上下方向に筒状に延びる火炉壁3を有し内部で火炎が形成される火炉2と、火炉壁3に設けられた複数のバーナ5と、を備えている。火炉2は、水平面で切断した際の断面が例えば、矩形とされている。ボイラ1は、バーナ5から火炉2内に、軽油、重油等の燃料油が、空気又は蒸気からなるガス(噴霧媒体)により微粒化されて噴射され、噴射された燃料油が火炉2内で燃焼する。なお、バーナ5は噴霧媒体を用いる二流体噴霧方式に限らず、例えば、燃料油の供給圧力により微粒化を行う圧力噴霧方式であってもよい。
【0013】
バーナ5は、
図1及び
図5に示すように、火炉壁3に固定される筐体10と、筐体10に取り付けられるホルダ20と、ホルダ20に装着されるバーナガン30と、ホルダ20を移動させる抜差装置40と、を備えている。なお、
図1はホルダ20にバーナガン30が装着されていない状態である。
【0014】
筐体10は、中心軸線Cに沿って延在する円筒状の内筒11と、中心軸線Cに沿って延在し内筒11を半径方向外側から覆うダクト状の外筒12と、を有する。内筒11と外筒12との間に形成される流路には、風箱(図示省略)から供給される燃焼用空気が流通しており、後述するバーナノズル16を介して火炉2内に投入される。
【0015】
外筒12の先端部は、外周面が火炉壁3に固定されている。また、外筒12の基端部は、固定部材13を介して、火炉壁3を外側から覆う外側板4に固定されている。固定部材13は、外筒12の基端部の内周面に固定される筒部と、筒部の基端から内側に延びて外側板4に固定される環状部とを有している。
外筒12の基端側に形成された開口は、固定部材13の環状部及び閉鎖部材14によって閉鎖されている。閉鎖部材14は、環状部の内側端部に固定され、該内側端部からさらに内側に延びる環状の部材である。
【0016】
内筒11の先端部は、火炉2内に向かって開口している。内筒11の先端部は、火炉壁3の近傍に設けられている。内筒11の先端部の内部には、後述するバーナガン30の噴射ノズル33(
図5参照)が設けられている。内筒11の外周側には、燃料油が着火することで生成される火炎に向けて供給される燃焼用空気の拡散を塞ぐためのバーナノズル16が設けられる。バーナノズル16は、火炉壁3よりも外側板4側に位置している。
内筒11の基端部には、半径方向の外側に延びる円環状のフランジ部15が設けられている。フランジ部15は、閉鎖部材14に固定されている。
筐体10は、フランジ部15よりも基端側に設けられる基部17を有している。基部17は、中心軸線C上に貫通孔が形成されている。貫通孔は、内筒11と連通している。この貫通孔には、後述するホルダ20の筒部21等が挿通している。また、基部17には、中心軸線Cから半径方向外側にずれた位置に、抜差装置40のシリンダ部41が固定されている。
【0017】
筐体10の基部17には、中心軸線Cから半径方向外側にずれた位置にリミットスイッチ(スイッチ)19が取り付けられている。リミットスイッチ19は、ケーブル(図示省略)を介して、制御装置(図示省略)に接続されている。リミットスイッチ19は、軸方向の基端側に延びるブラケット18を介して筐体10の基部17に固定されている。
【0018】
制御装置(Controller)は、例えば、CPU(Central Processing Unit:プロセッサ)、主記憶装置(Main Memory)、二次記憶装置(Secondary storage:メモリ)等を備えている。更に、制御装置は、他の装置と情報の送受信を行うための通信部を備えていてもよい。
主記憶装置は、例えば、キャッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)等の書き込み可能なメモリで構成され、CPUの実行プログラムの読み出し、実行プログラムによる処理データの書き込み等を行う作業領域として利用される。
二次記憶装置は、非一時的なコンピュータ読み取り可能な記録媒体(non-transitory computer readable storage medium)である。二次記憶装置は、例えば、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリなどである。
各種機能を実現するための一連の処理は、一例として、プログラムの形式で二次記憶装置に記憶されており、このプログラムをCPUが主記憶装置に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、各種機能が実現される。なお、プログラムは、二次記憶装置に予めインストールしておく形態や、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等が適用されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等である。
【0019】
リミットスイッチ19は、筐体10にバーナガン30が挿入されているか否かを判断する。リミットスイッチ19は、レバー19a(
図2参照)を有している。レバー19aが押圧されていない状態(
図2参照)をOFF状態とし、レバー19aが先端方向へ押圧されている状態(
図6参照)をON状態とする。例えば、制御装置は、リミットスイッチ19がOFF状態の場合には、筐体10にバーナガン30が挿入されていないと判断する。また、制御装置は、リミットスイッチ19がON状態の場合には、筐体10にバーナガン30が挿入されていると判断する。
【0020】
ホルダ20は、筐体10に対して、中心軸線Cが延在する方向に沿って相対移動可能とされている。ホルダ20は、内筒11の内部に挿入されている筒部21と、筒部21よりも基端側に設けられバーナガン30が装着されるホルダ側装着部22と、を有している。
【0021】
ホルダ側装着部22は、内部に軸方向に延びる貫通孔が形成されており、貫通孔が筒部21と連通している。貫通孔には、後述するバーナガン30が挿通している。
ホルダ側装着部22には、中心軸線Cから半径方向外側にずれた位置に、ロッド貫通部23が固定されている。ロッド貫通部23は、軸方向に延在する筒状の部材である。ロッド貫通部23には、プッシュロッド24が貫通している。
【0022】
プッシュロッド24は、長尺状の部材であって、中心軸線Cに沿って延在している。プッシュロッド24は、
図2に示すように、基端部がロッド貫通部23から所定の長さ突出している。以下の説明では、この突出した部分を突出部24cと称する。プッシュロッド24は、先端に板状の押圧部24aが設けられている。また、プッシュロッド24の外周面には周方向の全域に亘って突出する係止部24bが設けられている。プッシュロッド24は、基端方向に付勢されているが、係止部24bがホルダ側装着部22に固定されたブラケット25に係止することで、所定の位置を維持している。
【0023】
プッシュロッド24の押圧部24aは、中心軸線Cに沿う方向(以下、単に「軸方向」と称する場合もある)から見た際に、リミットスイッチ19のレバー19aと重複するように設けられている。換言すれば、押圧部24aは、レバー19aと対向している。すなわち、プッシュロッド24は、軸方向に移動することでリミットスイッチ19のレバー19aを押圧可能とされている。
【0024】
プッシュロッド24は、ホルダ20にバーナガン30が装着されていない状態(
図2に示す状態)において、突出部24cがホルダ側装着部22から所定の長さ突出するとともに、押圧部24aがリミットスイッチ19のレバー19aを押圧しない位置(退避位置)に位置している。また、付勢力によって、係止部24bがブラケット25に先端側から押し付けられている。
プッシュロッド24は、ホルダ20にバーナガン30が装着された状態(
図4に示す状態)において、突出部24cが先端方向に押圧されている。これに伴って、抜差装置40によってホルダ20を軸方向へスライドすると押圧部24aがリミットスイッチ19のレバー19aを押圧する位置(押圧位置)に位置している。また、係止部24bがブラケット25から離間した位置に位置している。
【0025】
ホルダ20は、抜差装置40のピストンロッド42と連動して移動する連動部26を有している。連動部26は、ホルダ側装着部22に固定されている。ホルダ20は、抜差装置40によって軸方向に往復移動する。
また、ホルダ20のホルダ側装着部22には、後述するクランプ部材29が設けられている。
【0026】
バーナガン30は、
図3及び
図5に示すように、内筒11及びホルダ側装着部22等を挿通する燃料管31と、燃料管31と並んで延びる噴霧媒体管(図示省略)と、燃料管31の基端部に設けられ、ホルダ20に装着されるバーナガン側装着部32と、を備えている。なお、
図3及び
図5では、図示の関係上噴霧媒体管を省略して図示している。
【0027】
ホルダ20の内部には、燃料供給装置(図示省略)から導かれた燃料が流通する燃料供給管(図示省略)と、噴霧媒体供給装置(図示省略)から導かれた噴霧媒体が流通する噴霧媒体供給管(図示省略)とが設けられている。バーナガン30がホルダ20に適切に装着されることで、バーナガン30の燃料管31と、ホルダ20の燃料供給管とが接続され、バーナガン30の噴霧媒体管(図示省略)と、ホルダ20の噴霧媒体供給管とが接続される。また、燃料供給管と噴霧媒体供給管には、開状態と閉状態とを切替えることで、前記バーナガンへ燃料と噴霧媒体が供給されるか否かを切替える燃料弁(図示省略)と噴霧媒体弁(図示省略)が設けられている。この燃料弁と噴霧媒体弁は、制御装置によって制御されている。制御装置は、リミットスイッチ19がON状態である場合に、燃料弁及び噴霧媒体弁を開状態とすることを許可し、リミットスイッチ19がOFF状態である場合には、燃料弁及び噴霧媒体弁を開状態とすることを許可しない。
【0028】
バーナガン30がホルダ20に装着された状態では、燃料管31は、中心軸線Cを中心軸とする円筒状の部材である。燃料管31は、軸方向に沿って延在している。燃料管31は、内部に燃料油やガス等が流通している。燃料管31の先端には火炉2内に燃料油やガス等を噴射する噴射ノズル33が設けられている。噴霧媒体管(図示省略)は、軸方向に沿って延在している。噴霧媒体管は、内部に噴霧媒体が流通している。噴霧媒体管の先端はは、噴射ノズル33が設けられている。噴射ノズル33は、燃料管31及び噴霧媒体管によって導かれた燃料及び噴霧媒体を噴射する。
【0029】
バーナガン側装着部32は、ホルダ側装着部22の基端部に対して、基端側から当接している。バーナガン側装着部32は、中心軸線Cから半径方向外側にずれた位置に固定部32aを有している。固定部32aは、クランプ部材29によってホルダ20に固定されている。
【0030】
バーナガン30は、クランプ部材29によってホルダ20に装着される。クランプ部材29は、例えば平面視略U字状をなし、先端部29aがホルダ20に連結されている。クランプ部材29は、バーナガン30のバーナガン側装着部32とホルダ20のホルダ側装着部22とを当接させた状態で、基端部29bを、バーナガン30のバーナガン側装着部32(詳細には、固定部32a)に係止させるとともに、基端部29bに設けられた締付ネジ29cを締め付ける。これにより、基端部29bに対してバーナガン30のバーナガン側装着部32をホルダ20へと押さえ付けることで、バーナガン30とホルダ20との相対移動を規制する。このように、クランプ部材29を用いることで、バーナガン30をホルダ20に簡易に装着することができる。
クランプ部材29の締付ネジ29cを緩めると、基端部29bがバーナガン30のバーナガン側装着部32から離間する。そして、先端部29aを中心としてクランプ部材29を回動させる。これにより、基端部29bのバーナガン30への係止を解除することができる。これにより、バーナガン30をホルダ20から簡易に取り外すことができる。
【0031】
バーナガン側装着部32は、固定部32aの半径方向の外側端部からさらに外側に突出する突起部32bを有している。
突起部32bは、板状の部材である。突起部32bは、軸方向から見た際に、プッシュロッド24の突出部24cと重複するように設けられている。換言すれば、突起部32bは、突出部24cと対向している。突起部32bは、ホルダ20にバーナガン30が装着された状態において、突出部24cを軸方向に押圧している。
【0032】
バーナガン30は、ホルダ20に装着された状態で、筐体10に挿入される。
【0033】
抜差装置40は、
図1等に示すように、筐体10に対して固定されるシリンダ部41と、シリンダ部41に対して軸方向に相対移動するピストンロッド42と、を有している。ピストンロッド42は、ホルダ20に固定されている。
抜差装置40は、シリンダ部41に対してピストンロッド42を軸方向に移動させることで、筐体10にホルダ20に装着された状態のバーナガン30の挿入及び引き抜きを行う。
【0034】
次に、バーナ5の取付方法について、
図1から
図6を用いて説明する。なお、
図1及び
図2は、ホルダ20にバーナガン30が装着されておらず、かつ、筐体10にバーナガン30が挿入されていない状態を図示している。また、
図3及び
図4は、ホルダ20にバーナガン30が装着され、バーナガン30が筐体10の途中位置まで挿入されている状態を図示している。また、
図5及び
図6は、ホルダ20にバーナガン30が装着され、かつ、筐体10にバーナガン30が完全に挿入されている状態を図示している。
【0035】
まず、
図1に示すように、火炉壁3に筐体10を固定するとともに、筐体10にホルダ20を取り付ける。
図1の状態では、バーナガン30は、ホルダ20に装着されておらず、また、筐体10に挿入されていない。この状態では、
図2に示すように、プッシュロッド24の突出部24cは、バーナガン30の突起部32bによって押圧されていない。したがって、プッシュロッド24は、火炉壁3から離れる方向(基端側)へ付勢された状態となっている。これにより、プッシュロッド24の先端に設けられた押圧部24aは、リミットスイッチ19のレバー19aと接触しない位置(退避位置)に位置している。抜差装置40によってホルダ20を軸方向へ往復移動可能であるが、押圧部24aが退避位置に位置している場合には、ホルダ20が最も火炉壁3側(先端側)に位置している状態(
図1及び
図2に示す状態)でも、押圧部24aとリミットスイッチ19のレバー19aとは離間している。
【0036】
次に、
図3及び
図4に示すように、ホルダ20にバーナガン30を装着する(装着工程)。ホルダ20にバーナガン30を装着する際には、まず、抜差装置40によってホルダ20を火炉壁3から離れる方向へスライド移動させる。この状態で、ホルダ20にバーナガン30を装着する。詳細には、ホルダ20のホルダ側装着部22とバーナガン30のバーナガン側装着部32とを当接させる。このとき、バーナガン側装着部32の突起部32bがプッシュロッド24の突出部24cを押圧する。これにより、プッシュロッド24の先端に設けられた押圧部24aは、リミットスイッチ19のレバー19aと接触しない位置(退避位置)から、抜差装置40によってホルダ20を軸方向へスライドするとリミットスイッチ19のレバー19aを押圧できる押圧位置へ移動する(プッシュロッド移動工程)。次に、クランプ部材29によって、ホルダ20とバーナガン30とを固定する。
【0037】
次に、
図5及び
図6に示すように、ホルダ20に装着されたバーナガン30を筐体10に挿入する(挿入工程)。詳細には、抜差装置40によって、ホルダ20を火炉壁3へ近づく方向(先端側)へスライド移動させる。これにより、ホルダ20に装着されているバーナガン30も移動する。
バーナガン30を所定の位置まで移動させると、プッシュロッド24の押圧部24aがリミットスイッチ19のレバー19aを押圧する(押圧工程)。これにより、リミットスイッチ19がOFF状態からON状態となる。
リミットスイッチ19がON状態となると、制御装置はバーナガン30が適切に挿入されていると判断する(判断工程)。制御装置は、これに伴って、燃料弁及び噴霧媒体弁を開状態とすることが可能な状態であると判断する。
【0038】
このようにして、バーナ5を火炉壁3に取り付ける。なお、バーナ5を火炉壁3から取り外す際には、この逆の手順で行う。
【0039】
本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
本実施形態では、ホルダ20が、軸方向に往復移動可能であって、バーナガン30がホルダ20に装着されることで、リミットスイッチ19を押圧しない退避位置からバーナガン30が筐体10に挿入されたときにリミットスイッチ19を押圧可能な押圧位置へ押圧部24aが移動するプッシュロッド24を有している。これにより、バーナガン30がホルダ20に装着されている状態(プッシュロッド24が押圧位置に位置している状態)で、バーナガン30が筐体10に挿入されるとリミットスイッチ19が押圧される。一方で、バーナガン30がホルダ20に装着されていない状態(プッシュロッド24が退避位置に位置している状態)は、バーナガン30が筐体10に挿入されてもリミットスイッチ19が押圧されない。したがって、バーナガン30がホルダ20に装着された状態であり、かつ、バーナガン30が筐体10に挿入された状態である場合に、リミットスイッチ19がプッシュロッド24によって押圧されることとなる。
よって、1つのリミットスイッチ19で、バーナガン30の装着と挿入とを確認することができる。これにより、例えば、バーナガン30の装着を確認する装着確認用リミットスイッチと、挿入を確認する挿入確認用リミットスイッチとを別々に備える場合と比較して、リミットスイッチの数を低減することができる。したがって、部品点数を低減して、構造を簡素化することができる。よって、コストを低減することができる。
【0040】
また、本実施形態では、制御装置が、バーナガン30が適切に挿入されていると判断した場合に、燃料弁を開状態とすることが可能と判断している。これにより、バーナガン30が筐体10に挿入された状態で燃料をバーナガン30に供給することができる。したがって、安全性を向上させることができる。
【0041】
なお、本開示は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、適宜変形が可能である。
例えば、上記実施形態では、燃料油を噴射するバーナに適用する例について説明したが本開示はこれに限定されない。例えば、微粉炭等の固体燃料や燃料ガスを噴射するバーナに適用してもよい。
また、上記実施形態では、ボイラに設けられたバーナに適用する例について説明したが本開示はこれに限定されない。工業炉等のボイラ以外の火炎を形成する装置に設けられるバーナに適用してもよい。
【0042】
以上説明した実施形態に記載のバーナ及びボイラ並びにバーナの取付方法は、例えば以下のように把握される。
本開示の第1態様に係るバーナは、燃料を噴射するバーナガン(30)と、前記バーナガン(30)が着脱可能であり軸方向に往復移動可能なホルダ(20)と、前記ホルダ(20)に装着された状態の前記バーナガン(30)が挿入される筐体(10)と、前記筐体(10)に前記バーナガン(30)が挿入されているか否かを判断するスイッチ(19)と、前記バーナガン(30)が前記ホルダ(20)に装着されることで、前記バーナガン(30)が前記筐体(10)に挿入されたときに前記スイッチ(19)を押圧しない退避位置から前記スイッチ(19)を押圧する押圧位置へ先端(24a)が移動するプッシュロッド(24)と、を備える。
【0043】
上記構成では、バーナガンがホルダに装着されることで、バーナガンが筐体に挿入されたときにスイッチを押圧しない退避位置からスイッチを押圧可能な押圧位置へ先端が移動するプッシュロッドを備えている。これにより、バーナガンがホルダに装着されている状態(プッシュロッドが押圧位置に位置している状態)で、バーナガンが筐体に挿入されるとスイッチが押圧される。一方で、バーナガンがホルダに装着されていない状態(プッシュロッドが退避位置に位置している状態)は、バーナガンが筐体に挿入されてもスイッチが押圧されない。したがって、バーナガンがホルダに装着された状態であり、かつ、バーナガンが筐体に挿入された状態である場合に、スイッチがプッシュロッドによって押圧されることとなる。
よって、1つのスイッチで、バーナガンの装着と挿入とを確認することができる。これにより、例えば、バーナガンの装着を確認するスイッチと、挿入を確認するスイッチとを別々に備える場合と比較して、スイッチの数を低減することができる。したがって、部品点数を低減して、構造を簡素化することができる。よって、コストを低減することができる。
【0044】
本開示の第2態様に係るバーナは、上記第1態様において、開状態と閉状態とを切替えることで、前記バーナガン(30)へ燃料が供給されるか否かを切替える燃料弁を備え、前記スイッチ(19)が押圧状態である場合に、前記燃料弁を開状態とすることを許可する。
【0045】
上記構成では、バーナガンが筐体に挿入された状態で燃料をバーナガンに供給することができる。
【0046】
本開示の第1態様に係るボイラは、上記のいずれかに記載のバーナ(5)を備える。
【0047】
本開示の第1態様に係るボイラの取付方法は、燃料を噴射するバーナガン(30)を前記バーナガン(30)が着脱可能に装着されるホルダ(20)に装着する装着工程と、前記ホルダ(20)に装着された状態の前記バーナガン(30)を筐体(10)に挿入する挿入工程と、スイッチ(19)によって、前記筐体(10)に前記バーナガン(30)が挿入されているか否かを判断する判断工程と、を備え、前記装着工程は、前記ホルダ(20)に設けられたプッシュロッド(24)の先端(24a)を前記スイッチ(19)を押圧しない退避位置から前記バーナガン(30)が前記筐体(10)に挿入されたときに前記スイッチ(19)を押圧する押圧位置へ移動させるプッシュロッド移動工程を有し、前記挿入工程は、前記プッシュロッド(24)の先端(24a)で前記スイッチ(19)を押圧する押圧工程を有する。
【符号の説明】
【0048】
1 :ボイラ
2 :火炉
3 :火炉壁
4 :外側板
5 :バーナ
10 :筐体
11 :内筒
12 :外筒
13 :固定部材
14 :閉鎖部材
15 :フランジ部
16 :バーナノズル
17 :基部
18 :ブラケット
19 :リミットスイッチ(スイッチ)
19a :レバー
20 :ホルダ
21 :筒部
22 :ホルダ側装着部
23 :ロッド貫通部
24 :プッシュロッド
24a :押圧部
24b :係止部
24c :突出部
25 :ブラケット
26 :連動部
29 :クランプ部材
29a :先端部
29b :基端部
29c :締付ネジ
30 :バーナガン
31 :燃料管
32 :バーナガン側装着部
32a :固定部
32b :突起部
33 :噴射ノズル
40 :抜差装置
41 :シリンダ部
42 :ピストンロッド
C :中心軸線