(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024065248
(43)【公開日】2024-05-15
(54)【発明の名称】飛行システムおよび飛行システムの制御方法
(51)【国際特許分類】
B64D 1/22 20060101AFI20240508BHJP
B64C 39/02 20060101ALI20240508BHJP
B64C 27/08 20230101ALI20240508BHJP
B64C 19/02 20060101ALI20240508BHJP
B64B 1/40 20060101ALI20240508BHJP
【FI】
B64D1/22
B64C39/02
B64C27/08
B64C19/02
B64B1/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022173994
(22)【出願日】2022-10-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】本田 雅幹
(72)【発明者】
【氏名】橋本 龍
(72)【発明者】
【氏名】堂本 和宏
(72)【発明者】
【氏名】小阪 健一郎
(72)【発明者】
【氏名】井上 康平
(72)【発明者】
【氏名】彌城 祐亮
(72)【発明者】
【氏名】小野 貴之
(72)【発明者】
【氏名】篠崎 康平
(57)【要約】
【課題】運搬物を移動させるための飛行体を大型化することなく運搬物を浮上させる揚力を十分に確保する。
【解決手段】運搬物200に連結されるとともに空気より密度の小さいガスにより運搬物200を空中に浮上させる揚力を発生させる第1飛行体10と、運搬物200に連結されるとともに第1飛行体10が発生する揚力により空中に浮上した運搬物200を水平方向HDに移動させる第2飛行体20と、第2飛行体20の移動方向MDおよび移動速度を制御するコントローラ30と、を備え、コントローラ30は、第1飛行体10が発生させる第1揚力が運搬物200を目標高度まで上昇させるための第2揚力よりも小さい場合に運搬物200を目標高度まで上昇させるよう第2飛行体20の移動方向MDおよび移動速度を制御する飛行システム100を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
運搬物に連結されるとともに空気より密度の小さいガスにより前記運搬物を空中に浮上させる揚力を発生させる第1飛行体と、
前記運搬物または前記第1飛行体の少なくともいずれかに連結されるとともに前記第1飛行体が発生する揚力により空中に浮上した前記運搬物を水平方向に移動させる第2飛行体と、
前記第2飛行体の移動方向および移動速度を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記第1飛行体が発生させる第1揚力が前記運搬物を目標高度まで上昇させるための第2揚力よりも小さい場合に前記運搬物を前記目標高度まで上昇させるよう前記第2飛行体の前記移動方向および前記移動速度を制御する飛行システム。
【請求項2】
前記運搬物の鉛直方向の加速度を計測する加速度計測部を備え、
前記制御部は、前記運搬物が前記目標高度を維持するように前記加速度計測部が計測する前記加速度に応じて前記第2飛行体の前記移動方向および前記移動速度を制御する請求項1に記載の飛行システム。
【請求項3】
前記第1飛行体と前記運搬物とを連結する第1連結部材と、
前記第2飛行体を、前記運搬物または前記第1連結部材の連結位置に連結する第2連結部材と、
前記第2連結部材が前記第2飛行体に取り付けられる取付位置において、鉛直方向と前記第2連結部材が延びる延伸方向とがなす角度を検出する角度検出部と、を備え、
前記制御部は、前記運搬物が前記目標高度を維持するように前記加速度計測部が計測する前記加速度および前記角度検出部が検出する前記角度に応じて前記第2飛行体の前記移動方向および前記移動速度を制御する請求項2に記載の飛行システム。
【請求項4】
前記運搬物を目標位置の近傍に固定するための延伸可能なワイヤを備える請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の飛行システム。
【請求項5】
前記ワイヤは、少なくとも一端にフックを有する請求項4に記載の飛行システム。
【請求項6】
前記第1飛行体は、前記ガスが充填される単一のバルーンを有する請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の飛行システム。
【請求項7】
前記第1飛行体は、前記ガスが充填される複数のバルーンを有する請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の飛行システム。
【請求項8】
前記第1飛行体は、前記ガスが充填されるバルーンを有し、
前記バルーンは、水平方向の断面形状が第1方向に沿った第1長さよりも前記第1方向に直交する第2方向に沿った第2長さが長い形状を有し、
前記バルーンの前記第2方向の一端と前記第2連結部材とを連結する第3連結部材を備える請求項3に記載の飛行システム。
【請求項9】
複数の前記バルーンの前記第2方向の端部の間を所定間隔に保持した状態で連結する連結機構を備える請求項8に記載の飛行システム。
【請求項10】
前記バルーンの水平方向の断面形状は、前記第2方向の両端部が半円形である請求項8または請求項9に記載の飛行システム。
【請求項11】
前記バルーンの前記第2長さは、前記第1長さの2倍以上である請求項8または請求項9に記載の飛行システム。
【請求項12】
前記第1飛行体の第1高度を計測する第1高度計測部と、
前記第2飛行体の第2高度を計測する第2高度計測部と、を備え、
前記制御部は、前記第2高度が前記第1高度よりも所定値以上高くなるように前記第2飛行体の前記移動方向および前記移動速度を制御する請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の飛行システム。
【請求項13】
前記第2飛行体から前記第1飛行体までの距離を計測する距離計測部を備え、
前記制御部は、前記第2飛行体の第2高度が前記第1飛行体の第1高度よりも所定値以上高くなるように前記第2飛行体の前記移動方向および前記移動速度を制御する請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の飛行システム。
【請求項14】
前記運搬物が鉛直方向に延びる軸線回りに回転することを抑制する旋回制御装置を備える請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の飛行システム。
【請求項15】
運搬物に連結されるとともに空気より密度の小さいガスにより前記運搬物を空中に浮上させる揚力を発生させる第1飛行体と、前記運搬物または前記第1飛行体の少なくともいずれかに連結されるとともに前記第1飛行体が発生する揚力により空中に浮上した前記運搬物を水平方向に移動させる第2飛行体と、を備える飛行システムの制御方法であって、
前記第2飛行体の移動方向および移動速度を制御する制御工程を備え、
前記制御工程は、前記第1飛行体が発生させる第1揚力が前記運搬物を目標高度まで上昇させるための第2揚力よりも小さい場合に前記運搬物を前記目標高度まで上昇させるよう前記第2飛行体の前記移動方向および前記移動速度を制御する飛行システムの制御方法。
【請求項16】
前記飛行システムは、前記運搬物または前記第1飛行体の少なくともいずれかに連結されるとともに前記第1飛行体が発生する揚力により空中に浮上した前記運搬物を水平方向に移動させる第3飛行体を備え、
前記制御工程は、前記運搬物を静止させる目標位置に近づいたことに応じて、前記運搬物を前記目標位置で静止させるように前記第3飛行体の前記移動方向および前記移動速度を制御する請求項15に記載の飛行システムの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、飛行システムおよび飛行システムの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、無人航空機を用いて貨物を運搬する運搬装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示される運搬装置は、マルチコプターに固定されたウインチから繰り出された支持ワイヤの先端に設けられた支持具で貨物を支持して運搬する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の運搬装置は、マルチコプターの揚力のみで貨物を運搬するため、マルチコプターが発生し得る最大の揚力により運搬可能な貨物の重量が制限されてしまう。また、マルチコプターが発生し得る最大の揚力を増加させるには、翼の追加や大型化などで機体を大型化する必要があり、大型化した機体を離陸させる場所を確保できない場合には運搬装置を利用することができない。仮に、大型化した機体にて周囲構造物と干渉しない高さから貨物を持ち上げるようにした場合、貨物に連結されるワイヤを操作者が強く引っ張りすぎてしまうと機体がバランスを崩して墜落する可能性がある。
【0005】
本開示は、このような事情に鑑みてなされたものであって、運搬物を移動させるための飛行体を大型化することなく運搬物を浮上させる揚力を十分に確保することが可能な飛行システムおよび飛行システムの制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示は以下の手段を採用する。
本開示に係る飛行システムは、運搬物に連結されるとともに空気より密度の小さいガスにより前記運搬物を空中に浮上させる揚力を発生させる第1飛行体と、前記運搬物または前記第1飛行体の少なくともいずれかに連結されるとともに前記第1飛行体が発生する揚力により空中に浮上した前記運搬物を水平方向に移動させる第2飛行体と、前記第2飛行体の移動方向および移動速度を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記第1飛行体が発生させる第1揚力が前記運搬物を目標高度まで上昇させるための第2揚力よりも小さい場合に前記運搬物を前記目標高度まで上昇させるよう前記第2飛行体の前記移動方向および前記移動速度を制御する。
【0007】
本開示に係る飛行システムの制御方法は、運搬物に連結されるとともに空気より密度の小さいガスにより前記運搬物を空中に浮上させる揚力を発生させる第1飛行体と、前記運搬物または前記第1飛行体の少なくともいずれかに連結されるとともに前記第1飛行体が発生する揚力により空中に浮上した前記運搬物を水平方向に移動させる第2飛行体と、を備える飛行システムの制御方法であって、前記第2飛行体の移動方向および移動速度を制御する制御工程を備え、前記制御工程は、前記第1飛行体が発生させる第1揚力が前記運搬物を目標高度まで上昇させるための第2揚力よりも小さい場合に前記運搬物を前記目標高度まで上昇させるよう前記第2飛行体の前記移動方向および前記移動速度を制御する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、運搬物を移動させるための飛行体を大型化することなく運搬物を浮上させる揚力を十分に確保することが可能な飛行システムおよび飛行システムの制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の第1実施形態に係る飛行システムを示す概略構成図である。
【
図2】
図1に示す飛行システムの制御構成を示すブロック図である。
【
図3】本開示の第1実施形態に係る飛行システムの制御方法を示すフローチャートである。
【
図4】
図3の第2飛行体による運搬物の移動時の飛行システムの動作の詳細を示すフローチャートである。
【
図5】運搬物を水平方向HDに沿って移動させない時の飛行システムを示す概略構成図である。
【
図6】本開示の第1実施形態の変形例に係る飛行システムを上方からみた平面図である。
【
図7】本開示の第1実施形態の変形例に係る飛行システムを上方からみた平面図である。
【
図8】本開示の第2実施形態に係る飛行システムを示す概略構成図である。
【
図9】本開示の第3実施形態に係る飛行システムを示す概略構成図である。
【
図10】本開示の第4実施形態に係る飛行システムを示す概略構成図である。
【
図11】
図10に示す飛行システムを上方からみた平面図である。
【
図12】本開示の第5実施形態に係る飛行システムを示す概略構成図である。
【
図13】本開示の第5実施形態に係る飛行システムを示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
〔第1実施形態〕
以下に、本開示に係る実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本開示の第1実施形態に係る飛行システム100を示す概略構成図である。
図2は、
図1に示す飛行システム100の制御構成を示すブロック図である。本実施形態の飛行システム100は、運搬物200を空中に浮上させて目標位置(目的地)TPまで運搬するシステムである。
【0011】
運搬物200は、例えば、木材等の長尺状の部材である。運搬物200は、例えば、3m~7m程度の長さを有し、0.5m~1.5m程度の直径を有する円柱状に形成される。運搬物200の重量は、例えば、1000kg~2000kg程度である。
【0012】
図1および
図2に示すように、飛行システム100は、第1飛行体10と、第2飛行体20と、コントローラ(制御部)30と、加速度計測部40と、第1連結部材50と、第2連結部材60と、角度検出部70と、を備える。
【0013】
第1飛行体10は、第1連結部材50を介して運搬物200に連結されるとともに空気より密度の小さいガス(例えば、ヘリウムガス)により運搬物200を空中に浮上させる揚力を発生させる装置である。第1飛行体10は、バルーン11,12,13と、高度センサ(第1高度計測部)14と、揚力検出部15と、通信部16と、を有する。
【0014】
バルーン11,12,13は、それぞれ内部に空気より密度の小さいガスが充填されて運搬物200を空中に浮上させる揚力を発生する。本実施形態では、第1飛行体10が3つのバルーン11,12,13を有するものとしたが、他の態様であってもよい。例えば、第1飛行体10は単一のバルーン11のみを有してもよい。また、第1飛行体10は、2または4以上の複数のバルーンを有しても良い。
【0015】
高度センサ14は、第1飛行体10の高度(第1高度)を計測する装置である。高度センサ14は、例えば、気圧に応じた絶対高度を計測する気圧高度計である。
揚力検出部15は、第1飛行体が発生させる揚力(第1揚力)を検出する装置であり、第1連結部材50に取り付けられている。
通信部16は、高度センサ14が検出する高度および揚力検出部15が検出する揚力をコントローラ30へ送信する装置である。
【0016】
第2飛行体20は、第1連結部材50および第2連結部材60を介して運搬物200に連結されるとともに第1飛行体10が発生する揚力により空中に浮上した運搬物200を水平方向HDに移動させる装置である。第2飛行体20は、回転翼21,22,23,24と、制御部20aと、通信部20bと、駆動モータ20c,20d,20e,20fと、加速度センサ20gと、高度センサ(第2高度計測部)20hと、を有する。第2飛行体20は、制御部20aが回転翼21,22,23,24の回転数を制御することにより、3次元空間上の任意の位置へ任意の姿勢で移動可能である。本実施形態では、第2飛行体20が4つの回転翼21,22,23,24と4つの駆動モータ20c,20d,20e,20fとを有するものとしたが、それぞれ5以上の複数の回転翼および駆動モータを有する態様であってもよい。
【0017】
制御部20aは、通信部20bがコントローラ30から受信する制御指令に応じて、駆動モータ20c,20d,20e,20fの回転数を制御する装置である。駆動モータ20c,20d,20e,20fは、それぞれ回転翼21,22,23,24に連結されており、回転翼21,22,23,24を任意の回転数で回転させる。
【0018】
加速度センサ20gは、第2飛行体20の加速度を計測する装置である。制御部20aは、加速度センサ20gが計測する加速度を参照し、第2飛行体20の移動方向MDおよび移動速度を制御する。
高度センサ20hは、第2飛行体20の高度(第2高度)を計測する装置である。高度センサ20hは、例えば、気圧に応じた絶対高度を計測する気圧高度計である。
【0019】
コントローラ30は、第2飛行体20の移動方向および移動速度を制御する装置である。コントローラ30は、制御部30aと、通信部30bと、を有する。通信部30bは、第1飛行体10から第1飛行体10の高度および揚力を取得し、第2飛行体20から第2飛行体20の高度等を取得し、加速度計測部40から運搬物200の鉛直方向VDの加速度を取得する。制御部30aは、通信部30bが取得した情報に基づいて、第2飛行体20の移動方向MDおよび移動速度を制御するための制御指令を生成し、通信部30bから第2飛行体20へ送信する。
【0020】
本実施形態のコントローラ30は、第2飛行体20から離れた場所(例えば、地上)に固定して設置されるものとしたが、他の態様であってもよい。例えば、コントローラ30は、小型で操作者が持ち運びするものとしてもよい。
【0021】
加速度計測部40は、運搬物200の鉛直方向VDの加速度を計測する装置である。加速度計測部40は、加速度センサ40aと、通信部40bと、を有する。加速度センサ40aは、運搬物200の鉛直方向VDの加速度を計測するセンサである。通信部40bは、加速度センサ40aが計測した運搬物200の鉛直方向の加速度をコントローラ30へ送信する。
【0022】
第1連結部材50は、第1飛行体10と運搬物200とを連結する部材である。第1連結部材50は、ワイヤ51と、ワイヤ52と、ワイヤ53と、を有する。ワイヤ51は、バルーン11と運搬物200とを連結する。ワイヤ52は、バルーン12と運搬物200とをワイヤ51を介して連結する。ワイヤ53は、バルーン13と運搬物200とをワイヤ51を介して連結する。
【0023】
第2連結部材60は、第2飛行体20を第1連結部材50の連結位置P1に連結するワイヤである。なお、第2連結部材60は、
図1に点線で示すように、第2飛行体20を運搬物200の連結位置P1aに直接的に連結してもよい。
【0024】
角度検出部70は、第2連結部材60が第2飛行体20に取り付けられる取付位置P2において、鉛直方向VDと第2連結部材60が延びる延伸方向DDとがなす角度θを検出するセンサである。角度検出部70が検出した角度θは、第2飛行体20の制御部20aに伝達される。
【0025】
次に、
図3および
図4を参照して、本実施形態の飛行システム100の制御方法について説明する。
図3は、本実施形態に係る飛行システム100の制御方法を示すフローチャートである。
図4は、
図3の第2飛行体20による運搬物200の移動時の飛行システム100の動作の詳細を示すフローチャートである。
図3および
図4に示す各処理は、第1飛行体10、第2飛行体20、コントローラ30、および飛行システム100の操作者により実行される。
【0026】
ステップS101で、飛行システム100の操作者は、第1連結部材50を用いて運搬物200に第1飛行体10を連結する。具体的には操作者は、第1飛行体10のバルーン11,12,13と運搬物200とを第1連結部材50により連結する。
【0027】
また、ステップS101で、飛行システム100の操作者は、第2連結部材60を用いて第1連結部材50を介して運搬物200に第2飛行体20を連結する。具体的には操作者は、第2飛行体20の取付位置P2と第1連結部材50の連結位置P1とを第2連結部材60により連結する。なお、第2飛行体20の取付位置P2と運搬物200の連結位置P1aとを第2連結部材60により直接的に連結してもよい。
【0028】
ステップS102で、コントローラ30は、第2飛行体20を離陸させるよう第2飛行体20に制御指令を送信する。第2飛行体20は、コントローラ30から離陸させるための制御指令を受信したことに応じて、回転翼21,22,23,24を回転させるよう駆動モータ20c,20d,20e,20fを回転させる。
【0029】
ステップS103で、飛行システム100の操作者は、第1飛行体10のバルーン11,12,13に空気より密度の小さいガスを供給する。操作者は、ガス供給源(図示略)からバルーン11,12,13へガスを供給するよう操作を行う。なお操作者は、第1飛行体が発生させる揚力や突風によって運搬物200が不意に離陸しないよう、ステップS103の前に後述するワイヤ220やフック220aで地上に設けられたフック400や他の重量物に運搬物200を固定してもよい。
【0030】
ステップS104で、コントローラ30は、第1飛行体10の揚力が所定揚力以上であるかどうかを判断し、YESであればステップS105に処理を進め、NOであればステップS103およびステップS104の処理を再び繰り返す。例えば、コントローラ30は、揚力検出部15が検知する揚力が所定揚力以上である場合にYESと判定し、そうでなければNOと判定する。ここで、所定揚力は、第1飛行体10が発生させる揚力(第1揚力)が運搬物200を目標高度まで上昇させるための揚力(第2揚力)と一致する状態となる揚力である。
【0031】
また、ステップS104で、コントローラ30は、バルーン11,12,13へ供給される供給ガス量が所定量以上となったかどうかを判定し、YESであればステップS105に処理を進め、NOであればステップS103およびステップS104を再び繰り返すようにしてもよい。ここで、所定量は、第1飛行体10が所定揚力を発生させるのに必要なガスの量である。
【0032】
ステップS105で、飛行システム100の操作者は、第1飛行体10のバルーン11,12,13へのガスの供給を停止させる。操作者は、ガス供給源(図示略)からバルーン11,12,13へのガスの供給を停止する操作を行う。ステップS105でガスの供給が停止した状態で、運搬物200が空中に浮上した状態となる。
【0033】
ステップS106で、コントローラ30は、第2飛行体20により運搬物200を目標位置TPに向けて水平方向HDに沿って移動させるよう第2飛行体20を制御する。ステップS106における処理の詳細については
図4を用いて後述する。
【0034】
ステップS107で、コントローラ30は、第2飛行体20の高度センサ20hが検出する高度から第1飛行体10の高度センサ14が計測する高度を減算した高度差が所定値以上であるかどうかを判断し、YESであればステップS109に処理を進め、NOであればステップS108に処理を進める。所定値は正の値であり、かつ第2飛行体20が第1飛行体10と接触しないように設定される値である。
【0035】
ステップS108で、コントローラ30は、第2飛行体20と第1飛行体10の高度差が所定値未満であることから、第2飛行体20が第1飛行体10に接触することを回避するため、第2飛行体20を鉛直方向VDに沿って上昇させるよう第2飛行体20を制御する。コントローラ30は、例えば、予め定めた一定高度だけ上昇するよう第2飛行体20を制御する。
【0036】
ステップS109で、コントローラ30は、第1飛行体10が目標位置TPの上空へ到達したかどうかを判断し、YESであればステップS110に処理を進め、NOであればステップS106へ処理を進める。なお、第1飛行体10が目標位置TPの上空へ到達したかどうかは、例えば、GPS(Global Positioning System)を含むGNSS(Global Navigation Satellite System)などから得た第1飛行体10または第2飛行体20の位置情報によって判断しても良いし、目標位置TP付近に待機する操作者または作業者の目視によって判断しても良い。
【0037】
ステップS110で、飛行システム100の操作者は、第1飛行体10が目標位置TPの上空へ到達したことから、第1飛行体10の揚力を小さくして地表に着陸させるために、第1飛行体10のバルーン11,12,13からガスを排出させる。操作者は、例えば、バルーン11,12,13に設けられたガス排出弁(図示略)を開状態とするよう、コントローラ30に指令を入力する。コントローラ30は、操作者からガス排出弁を開状態とする指令が入力された場合、ガス排出弁を遠隔操作してガス排出弁を閉状態から開状態に切り替える。
【0038】
ステップS110において、第1飛行体10のバルーン11,12,13からガスが排出されている際は、第2連結部材60に張力が加わることが無いように第1飛行体10と第2飛行体20が所定高度差を保ったまま下降する。具体的には、第1飛行体10の高度センサ14で得られる高度と第2飛行体の高度センサ20hで得られる高度と第2連結部材60の長さから第2連結部材60に張力が加わらない高度差が求められ、求められた高度差を保ったまま下降が行われる。
【0039】
ステップS111で、飛行システム100の操作者は、運搬物200が目標位置TPに着陸したかどうかを判断し、YESであればステップS112に処理を進め、NOであればステップS111の判断を繰り返す。
【0040】
ステップS112で、コントローラ30は、運搬物200が目標位置TPに着陸したことから、第2飛行体20による運搬物200の移動が不要となるため、第2飛行体20を目標位置TP(着地点)に着陸させるよう制御する。以上の処理により、飛行システム100によって運搬物200が空中に浮上した状態で目標位置TPまで運搬される。
【0041】
なお、ステップS112で、コントローラ30は、第2飛行体20を目標位置TPではなく、他の運搬物200の運搬を行うために、ステップS102で第2飛行体20を離陸させた出発位置に第2飛行体20を飛行させるようにしてもよい。この場合、第1飛行体10のバルーン11,12,13にはガスが充填されていないため、容積の小さくなった第1飛行体10を第2飛行体20に運搬させてもよい。
【0042】
次に、
図4を参照して、
図3の第2飛行体20による運搬物200の移動(ステップS106)の詳細について説明する。
ステップS201で、第1飛行体10は、高度センサ14により第1飛行体10の高度を計測する。第1飛行体10の通信部16は、高度センサ14が検出した第1飛行体10の高度をコントローラ30へ送信する。
【0043】
ステップS202で、コントローラ30は、第1飛行体10から受信した第1飛行体10の高度から換算された運搬物200の高度が目標高度よりも低いかどうかを判断し、YESであればステップS203に処理を進め、NOであればステップS204に処理を進める。
【0044】
ステップS203で、コントローラ30は、第1飛行体10に連結された運搬物200の高度が目標高度まで上昇するように第2飛行体20の移動方向MDおよび移動速度を制御する。コントローラ30は、例えば、加速度計測部40が計測する運搬物200の鉛直方向VDの下方へ向けた加速度AC1よりも、第2飛行体20により運搬物200に作用する鉛直方向VDの上方へ向けた加速度AC2が大きくなるように、第2飛行体20の移動方向MDおよび移動速度を制御する。
【0045】
ここで、加速度AC2は、連結位置P1で第2連結部材60が第1連結部材50に作用させる加速度である。加速度AC2は、加速度AC0×COSθと一致する。ここで、AC0は、第2飛行体20の移動方向MDに沿った加速度であり、加速度センサ20gにより計測される。また、θは、第2連結部材60が第2飛行体20に取り付けられる取付位置P2において、鉛直方向VDと第2連結部材60が延びる延伸方向DDとがなす角度であり、角度検出部70により検出される。
【0046】
このように、ステップS203で、コントローラ30は、第1飛行体10が発生させる揚力(第1揚力)が運搬物200を目標高度まで上昇させるための揚力(第2揚力)よりも小さい場合に運搬物200を目標高度まで上昇させるよう第2飛行体20の移動方向MDおよび移動速度を制御する。また、コントローラ30は、運搬物200が目標高度を維持するように加速度計測部40が計測する鉛直方向VDの加速度及び角度検出部70が検出する角度θに応じて第2飛行体20の移動方向MDおよび移動速度を制御する。
【0047】
ステップS204で、コントローラ30は、第1飛行体10から受信した第1飛行体10の高度から換算された運搬物200の高度が目標高度よりも高いかどうかを判断し、YESであればステップS205に処理を進め、NOであれば本フローチャートの処理を終了させる。
【0048】
ステップS205で、コントローラ30は、第1飛行体10に連結された運搬物200の高度が目標高度まで降下するように第2飛行体20の移動方向MDおよび移動速度を制御する。コントローラ30は、例えば、加速度計測部40が計測する運搬物200の鉛直方向VDの下方へ向けた加速度AC1よりも、第2飛行体20により運搬物200に作用する鉛直方向VDの上方へ向けた加速度AC2が小さくなるように、第2飛行体20の移動方向MDおよび移動速度を制御する。
【0049】
このように、ステップS205で、コントローラ30は、第1飛行体10が発生させる揚力(第1揚力)が運搬物200を目標高度まで上昇させるための揚力(第2揚力)よりも大きい場合に運搬物200を目標高度まで降下させるよう第2飛行体20の移動方向MDおよび移動速度を制御する。また、コントローラ30は、運搬物200が目標高度を維持するように加速度計測部40が計測する鉛直方向VDの加速度及び角度検出部70が検出する角度θに応じて第2飛行体20の移動方向MDおよび移動速度を制御する。
【0050】
なお、
図4のステップS203およびステップS205における第2飛行体20の移動方向MDおよび移動速度は、運搬物200を水平方向HDに沿って移動させる時(移動時)を想定したものであるが、運搬物200を水平方向HDに沿って移動させない時(停止時)には、以下のように第2飛行体20の移動方向MDおよび移動速度を決定する。
【0051】
図5は、第2飛行体20を水平方向HDに沿って移動させない時(停止時)の飛行システム100を示す概略構成図である。停止時において、コントローラ30は、ステップS203で、加速度計測部40が計測する運搬物200の鉛直方向VDの下方へ向けた加速度AC1よりも、第2飛行体20により運搬物200に作用する鉛直方向VDの上方へ向けた加速度AC2が大きくなるように、第2飛行体20の移動方向MDおよび移動速度を制御する。
【0052】
ここで、加速度AC2は、連結位置P1で第2連結部材60が第1連結部材50に作用させる加速度である。加速度AC2は、移動方向MDが鉛直方向VDである第2飛行体20の加速度AC0と一致する加速度であり、加速度センサ20gにより計測される。コントローラ30は、運搬物200の鉛直方向VDの下方へ向けた加速度AC1よりも第2飛行体20の加速度AC0が大きくなるように、第2飛行体20の移動方向MDおよび移動速度を制御する。
【0053】
また、停止時において、コントローラ30は、ステップS205で、加速度計測部40が計測する運搬物200の鉛直方向VDの下方へ向けた加速度AC1よりも、第2飛行体20により運搬物200に作用する鉛直方向VDの上方へ向けた加速度AC2が小さくなるように、第2飛行体20の移動方向MDおよび移動速度を制御する。前述したように、第2飛行体20により運搬物200に作用する鉛直方向VDの上方へ向けた加速度AC2は、移動方向MDが鉛直方向VDである第2飛行体20の加速度AC0と一致する加速度である。
【0054】
以上の説明では、コントローラ30は、第2飛行体20の高度センサ20hが検出する高度から第1飛行体10の高度センサ14が計測する高度を減算した高度差が所定値未満である場合に、第2飛行体20が第1飛行体10に接触することを回避するため、第2飛行体20を鉛直方向VDに沿って上昇させるよう第2飛行体20を制御するものであったが、他の態様であってもよい。
【0055】
例えば、第1飛行体10と第2飛行体20の高度差を所定値以上とすることによる衝突回避に加え、第1飛行体10と第2飛行体20との距離差による衝突回避を行ってもよい。
図6および
図7は、本開示の第1実施形態の変形例に係る飛行システム100Aを上方からみた平面図である。
【0056】
図6および
図7に示すように、本実施形態の変形例に係る飛行システム100Aの第2飛行体20Aは、衝突回避用の距離センサ20i,20j,20k,20lを有する。距離センサ20iは、
図6および
図7において、Y-方向に存在する物体との距離を計測する。距離センサ20jは、
図6および
図7において、X-方向に存在する物体との距離を計測する。距離センサ20kは、
図6および
図7において、Y+方向に存在する物体との距離を計測する。距離センサ20lは、
図6および
図7において、X+方向に存在する物体との距離を計測する。
【0057】
図6は、第2飛行体20Aが移動方向MDに向けて移動しており第2連結部材60がY+方向およびY-方向に直線状に延びて距離センサ20iからバルーン12までの平面上の距離がL1となっている状態を示す。一方、
図7は、例えば、第2飛行体20が平面上で停止しており第2連結部材60がY+方向およびY-方向に直線状に延びずに撓んで距離センサ20iからバルーン12までの平面上の距離がL1より短いL2となっている状態を示す。
【0058】
本実施形態の変形例において、コントローラ30は、距離センサ20i,20j,20k,20lが検出する他の物体との距離が所定距離以下である場合に、他の物体との距離が長くなるように第2飛行体20の移動方向MDおよび移動速度を制御する。
図6および
図7に示す例では、コントローラ30は、所定距離をL1より短くL2より長い距離に設定し、距離センサ20iからバルーン12までの平面上の距離が所定距離よりも短いL2である場合は、バルーン12との距離がL2よりも長くなるように第2飛行体20をY+方向に向けて移動させる。
【0059】
以上で説明した本実施形態の飛行システム100およびその制御方法が奏する作用および効果について説明する。
本実施形態に係る飛行システム100によれば、運搬物200に連結される第1飛行体10が運搬物200を空中に浮上させる揚力を発生させ、第1飛行体10が発生させる揚力により空中に浮上した運搬物200が第2飛行体20により水平方向HDに移動して運搬される。第1飛行体10が運搬物200を空中に浮上させる揚力を発生させるため、運搬物200を移動させるための第2飛行体20を大型化することなく運搬物200を浮上させる揚力を十分に確保することができる。
【0060】
また、本実施形態の飛行システム100によれば、第1飛行体10が発生させる揚力(第1揚力)が運搬物200を目標高度まで上昇させるための揚力(第2揚力)よりも小さい場合に運搬物200を目標高度まで上昇させるよう第2飛行体20の移動方向MDおよび移動速度が制御される。第1飛行体10が発生させる揚力が運搬物200を目標高度まで上昇させるための揚力よりも小さい場合であっても、第2飛行体20により運搬物200が目標高度まで上昇するため、第1飛行体10が発生させる揚力の変動によらずに運搬物200を目標高度に維持して適切に運搬することができる。
【0061】
また、本実施形態に係る飛行システム100によれば、運搬物200の鉛直方向VDの加速度AC1に応じて第2飛行体20の移動方向MDおよび移動速度を制御することにより、運搬物200を目標高度に適切に維持することができる。
【0062】
また、本実施形態に係る飛行システム100によれば、運搬物200の鉛直方向VDの加速度AC1と、第2連結部材60が第2飛行体20に取り付けられる取付位置P2において検出される鉛直方向VDと第2連結部材60の延伸方向DDとがなす角度θとに応じて、第2飛行体20の移動方向MDおよび移動速度を制御することにより、運搬物200を目標高度に適切に維持することができる。
【0063】
また、本実施形態に係る飛行システム100によれば、単一または複数のバルーンに空気よりも密度の小さいガスを充填することにより運搬物200を空中に浮上させる揚力を発生させることができる。
【0064】
〔第2実施形態〕
次に、本開示の第2実施形態に係る飛行システム100Bについて説明する。本実施形態は、第1実施形態の変形例であり、以下で特に説明する場合を除き、第1実施形態と同様であるものとし、以下での説明を省略する。
【0065】
第1実施形態の飛行システム100は、長尺状の運搬物200を長手方向が鉛直方向VDと一致するように運搬物200の一端のみを第1連結部材50に連結するものであった。それに対して、本実施形態の飛行システム100Bは、長尺状の運搬物200を長手方向が水平方向HDと一致するように運搬物200の両端を第1連結部材50に連結するものである。
【0066】
図8は、本開示の第2実施形態に係る飛行システム100Bを示す概略構成図である。
図8に示すように、本実施形態の飛行システム100Bにおいて、第1連結部材50の端部の連結位置P3には、運搬物200を保持するためのワイヤ状の保持部材54が連結されている。保持部材54の一端には円環状の固定部材54aが取り付けられており、保持部材54の他端には円環状の固定部材54bが取り付けられている。
【0067】
長尺状の運搬物200は、長手方向が水平方向HDと一致する状態で、運搬物200の一端が固定部材54aを介して第1連結部材50に連結され、運搬物200の他端が固定部材54bを介して第1連結部材50に連結される。
図8に示すように、長尺状の運搬物200を長手方向が水平方向HDと一致する状態とすると、運搬物200を空中で移動させる際に、鉛直方向VDに沿って延びる軸線Z回りに運搬物200が旋回する可能性がある。
【0068】
そこで、本実施形態の飛行システム100Bは、運搬物200を長手方向が水平方向HDと一致するように運搬する際に運搬物200が鉛直方向VDに沿った軸線Z回りに回転することを抑制する旋回制御装置80を備える。旋回制御装置80は、回転体(図示略)の慣性力を用いて運搬物200の軸線Z回りに回転することを抑制する装置である。本実施形態の飛行システム100Bによれば、旋回制御装置80により運搬物200が鉛直方向VDに延びる軸線Z回りに回転することを抑制し、運搬物200の長手方向を水平方向HDと一致させる場合であっても運搬物200を安全に運搬することができる。
【0069】
〔第3実施形態〕
次に、本開示の第3実施形態に係る飛行システム100Cについて説明する。本実施形態は、第1実施形態の変形例であり、以下で特に説明する場合を除き、第1実施形態と同様であるものとし、以下での説明を省略する。
【0070】
本実施形態の飛行システム100Cは、運搬物200を目標位置TPで静止させる際に運搬物200を目標位置TPに設けられたフック400に固定するためのワイヤ220を巻き出し可能に収容するワイヤドラム210を備える。ワイヤ220は、運搬物200を目標位置TPの近傍に固定するための部材である。飛行システム100Cの操作者300は、ワイヤ220の先端に設けられたフック220aを地上に設けられたフック400に固定する。
【0071】
本実施形態の飛行システム100Cは、第2飛行体20に加え、運搬物200に連結されるとともに第1飛行体10が発生する揚力により空中に浮上した運搬物200を水平方向HDに移動させる第3飛行体90を備える。飛行システム100Cのコントローラ30は、運搬物200を静止させる目標位置TPに運搬物200が近づいたことに応じて、運搬物200を目標位置TPで静止させるように第3飛行体90の移動方向および移動速度を制御する。
【0072】
例えば、コントローラ30は、運搬物200が
図9の右方から左方に向けた水平方向HDに沿って第2飛行体20が運搬物200を目標位置TPに向けて移動させている場合、目標位置TPに運搬物200が近づいたことに応じて、第3飛行体90を
図9の左方から右方に向けた水平方向HDに沿って移動させる。第3飛行体90を
図9の左方から右方に移動させるのは、右方から左方への運搬物200の移動速度を低減して目標位置TPで運搬物200を静止させるためである。
【0073】
なお、本実施形態では、第3飛行体90を用いて、第2飛行体20が運搬物200を移動させる移動速度を相殺するようにしたが、他の態様であってもよい。例えば、飛行システム100Cが第3飛行体90を備えないものとしてもよい。この場合、飛行システム100Cの操作者300は、目標位置TPに近づいた運搬物200の下方のワイヤ220を手で把持して運搬物200を目標位置TPの近傍で静止させる。
【0074】
本実施形態に係る飛行システム100Cによれば、目標位置TPの近傍で飛行システム100Cからワイヤ220を延伸させて目標位置TPの近傍に操作者が固定することにより、運搬物200を目標位置TPの近傍から離れないように固定することができる。また、ワイヤ220の一端のフック220aを目標位置TPに設けられたフック400に係合させることにより、運搬物200を目標位置TPの近傍に容易かつ確実に固定することができる。
【0075】
〔第4実施形態〕
次に、本開示の第4実施形態に係る飛行システム100Dについて説明する。本実施形態は、第1実施形態の変形例であり、以下で特に説明する場合を除き、第1実施形態と同様であるものとし、以下での説明を省略する。
【0076】
第1実施形態の飛行システム100は、第1飛行体10と運搬物200を第1連結部材50により連結し、第2飛行体20と第1連結部材50を第2連結部材60により連結するものであった。それに対して、本実施形態の飛行システム100Dは、第1飛行体10と運搬物200を第1連結部材50により連結し、第2飛行体20と第1連結部材50を第2連結部材60により連結するのに加え、更に第1飛行体10と第2連結部材60とを第3連結部材17により連結するものである。
【0077】
図10は、本開示の第4実施形態に係る飛行システム100Dを示す概略構成図である。
図10に示すように、本実施形態の飛行システム100Dは、バルーン12Dの水平方向HDの一端と第2連結部材60とを連結する第3連結部材17を備える。第3連結部材17によりバルーン12Dと第2連結部材60とを連結することで、第2飛行体20により第1飛行体10を水平方向HDに沿ってより確実に移動させることができる。
【0078】
図10には、実線で示す第3連結部材17は、第2連結部材60を第1連結部材50の連結位置P1へ連結する例を示すが、他の態様であってもよい。例えば、第2連結部材60を運搬物200の連結位置P1aへ連結する例では、
図10に点線で示すように第3連結部材17を配置してもよい。
図10に示すように、第3連結部材17は、バルーン12Dの水平方向の一端を第2連結部材60の連結位置P4に連結する。
【0079】
図11は、
図10に示す飛行システム100Dを上方からみた平面図である。
図11では、第1飛行体10のバルーン11D,12D,13Dの水平方向HDの断面形状が示されている。
図11に示すように、本実施形態のバルーン12Dは、水平方向HDの断面形状が、X方向(第1方向)に沿った長さ(第1長さ)L12aよりもX方向に直交するY方向(第2方向)に沿った長さ(第2長さ)L12bが長い形状となっている。
【0080】
また、本実施形態のバルーン11Dは、水平方向HDの断面形状がX方向(第1方向)に沿った長さ(第1長さ)L11aよりもX方向に直交するY方向(第2方向)に沿った長さ(第2長さ)L11bが長い形状となっている。本実施形態のバルーン13Dは、水平方向HDの断面形状がX方向(第1方向)に沿った長さ(第1長さ)L13aよりもX方向に直交するY方向(第2方向)に沿った長さ(第2長さ)L13bが長い形状となっている。
【0081】
図11に示すように、第3連結部材17は、バルーン12DのY方向の第1飛行体10側の端部と第2連結部材60とを連結する。第2飛行体20は、第3連結部材17を介して第1飛行体10に連結される。第1飛行体10Dが第2飛行体20の移動方向MDに沿って牽引される場合、バルーン11D,12D,13DがY方向に沿って直線状に配置される。また、バルーン11D,12D,13Dは、長手方向がY方向に沿うように配置される。バルーン11D,12D,13Dの移動方向MDにおける幅は短手方向(X方向)の長さL11a,L12a,L13aとなる。
【0082】
図10および
図11に示すように、第2飛行体20の移動方向MD(Y方向)に沿って配置されるバルーン12Dとバルーン11Dとは連結機構18により連結され、第2飛行体20の移動方向MD(Y方向)に沿って配置されるバルーン11Dとバルーン13Dとは連結機構19により連結される。連結機構18,19は、例えば、伸縮や変形の少ない金属材料等の剛性の高い材料により形成されている。そのため、バルーン12Dとバルーン11DとのY方向の間隔(所定間隔)はLc1で一定に保持され、バルーン11Dとバルーン13DとのY方向の間隔(所定間隔)はLc2で一定に保持される。
【0083】
図11に示すように、バルーン11D,12D,13Dの水平方向HDの断面形状は、長手方向(Y方向)の両端部が半円形であり、両端部を連結する部分が直線形状である略楕円形状となっている。バルーン11Dの長さL11bは長さL11aの2倍以上とするのが好ましく、バルーン12Dの長さL12bは長さL12aの2倍以上とするのが好ましく、バルーン13Dの長さL13bは長さL13aの2倍以上とするのが好ましい。
【0084】
本実施形態に係る飛行システム100Dによれば、複数のバルーン11D,12D,13DがY方向の端部の間を所定間隔(Lc1,Lc2)に保持した状態で連結機構18,19により連結されるため、Y方向に沿って複数のバルーン11D,12D,13Dが移動する場合に比べて複数のバルーン11D,12D,13Dの移動方向の投影面積が小さくなり、複数のバルーン11D,12D,13Dが移動する際に各バルーンに作用する空気抵抗を小さくすることができる。
【0085】
また、本実施形態に係る飛行システム100Dによれば、バルーン11D,12D,13Dの水平方向HDの断面形状は、Y方向の両端部が半円形であるため、Y方向に沿ってバルーン11D,12D,13Dが移動する際にバルーン11D,12D,13Dの端部に空気が衝突する際の空気抵抗を低減することができる。
【0086】
また、本実施形態に係る飛行システム100Dによれば、バルーン11D,12D,13DのY方向の長さ(第2長さ)がX方向の長さ(第1長さ)の2倍以上であるため、バルーン11D,12D,13Dを第2飛行体20で牽引する際にバルーン11D,12D,13Dに作用する空気抵抗を十分に低減することができる。
【0087】
〔第5実施形態〕
次に、本開示の第5実施形態に係る飛行システム100Eについて説明する。本実施形態は、第1実施形態の変形例であり、以下で特に説明する場合を除き、第1実施形態と同様であるものとし、以下での説明を省略する。
【0088】
第1実施形態の飛行システム100は、第1飛行体10の高度センサ14が計測する高度よりも、第2飛行体20の高度センサ20hが計測する高度が所定値以上高くなるようにして第2飛行体20が第1飛行体10に接触しないようにするものであった。それに対して、本実施形態の飛行システム100Eは、第2飛行体20に取り付けられるLiDARセンサ75を備え、LiDARセンサ75が検出する第1飛行体10の点群データから算出される第1飛行体10の高度よりも第2飛行体20の高度が所定値以上高くなるように第2飛行体20の移動方向MDおよび移動速度を制御するものである。
【0089】
図12および
図13は、本開示の第5実施形態に係る飛行システム100Eを示す概略構成図である。
図12および
図13では、
図1に示す飛行システム100のうち、第2飛行体20および第1飛行体10のバルーン11,12,13を除く他の構成の図示を省略している。
図12および
図13に示すように、飛行システム100Eは、LiDARセンサ75を有する。
【0090】
LiDARセンサ75は、第2飛行体20の周囲に存在する物体の位置を3次元空間上の座標(点)として取得可能なセンサである。LiDARセンサ75は、レーザ光などを対象物に照射し、レーザ光を照射してから対象物からの反射光を受光するまでの時間により対象物までの距離を算出するセンサである。
図12に示す複数の点75aは、LiDARセンサ75により取得された第1飛行体10の座標である。LiDARセンサ75は、複数の点75aを点群データとして取得する。LiDARセンサ(距離計測部)75は、点群データを取得することにより、第2飛行体20から第1飛行体10までの距離を計測する。LiDARセンサ75が取得した点群データは、コントローラ30に送信される。
【0091】
図12に示す状態で、コントローラ30は、LiDARセンサ75が取得した点群データのうち鉛直方向VDの最も高い位置の鉛直方向VDの座標が、第2飛行体20の鉛直方向VDの座標よりもH1だけ高いと判断する。そして、コントローラ30は、第2飛行体20の高度(第2高度)が第1飛行体10の高度(第1高度)よりも所定値以上高くなるように第2飛行体20の移動方向MDおよび前記移動速度を制御する。
図13には、第2飛行体20の高度(第2高度)が第1飛行体10の高度(第1高度)よりもH2だけ高くなるように第2飛行体20の移動方向MDおよび前記移動速度を制御した例が示されている。
【0092】
本実施形態に係る飛行システム100Eによれば、第2飛行体20の第2高度が第1飛行体10の第1高度よりも所定値以上高くなるため、第2飛行体20が第2連結部材60や第1飛行体10に接触することを適切に防止することができる。
【0093】
以上説明した各実施形態に記載の飛行システムおよび飛行システムの制御方法は例えば以下のように把握される。
本開示の第1態様に係る飛行システムは、運搬物(200)に連結されるとともに空気より密度の小さいガスにより前記運搬物を空中に浮上させる揚力を発生させる第1飛行体(10)と、前記運搬物または前記第1飛行体の少なくともいずれかに連結されるとともに前記第1飛行体が発生する揚力により空中に浮上した前記運搬物を水平方向に移動させる第2飛行体(20)と、前記第2飛行体の移動方向および移動速度を制御する制御部(30)と、を備え、前記制御部は、前記第1飛行体が発生させる第1揚力が前記運搬物を目標高度まで上昇させるための第2揚力よりも小さい場合に前記運搬物を前記目標高度まで上昇させるよう前記第2飛行体の前記移動方向および前記移動速度を制御する。
【0094】
本開示の第1態様に係る飛行システムによれば、運搬物に連結される第1飛行体が運搬物を空中に浮上させる揚力を発生させ、第1飛行体が発生させる揚力により空中に浮上した運搬物が第2飛行体により水平方向に移動して運搬される。第1飛行体が運搬物を空中に浮上させる揚力を発生させるため、運搬物を移動させるための第2飛行体を大型化することなく運搬物を浮上させる揚力を十分に確保することができる。
【0095】
また、本開示の第1態様に係る飛行システムによれば、第1飛行体が発生させる第1揚力が運搬物を目標高度まで上昇させるための第2揚力よりも小さい場合に運搬物を目標高度まで上昇させるよう第2飛行体の移動方向および移動速度が制御される。第1飛行体が発生させる第1揚力が運搬物を目標高度まで上昇させるための第2揚力よりも小さい場合であっても、第2飛行体により運搬物が目標高度まで上昇するため、第1飛行体が発生させる第1揚力の変動によらずに運搬物を目標高度に維持して適切に運搬することができる。
【0096】
本開示の第2態様に係る飛行システムは、第1態様において、更に以下の構成を備える。すなわち、前記運搬物の鉛直方向の加速度を計測する加速度計測部(40)を備え、前記制御部は、前記運搬物が前記目標高度を維持するように前記加速度計測部が計測する前記加速度に応じて前記第2飛行体の前記移動方向および前記移動速度を制御する。
【0097】
本開示の第2態様に係る飛行システムによれば、運搬物の鉛直方向の加速度に応じて第2飛行体の移動方向および移動速度を制御することにより、運搬物を目標高度に適切に維持することができる。
【0098】
本開示の第3態様に係る飛行システムは、第2態様において、更に以下の構成を備える。すなわち、前記第1飛行体と前記運搬物とを連結する第1連結部材(50)と、前記第2飛行体を、前記運搬物または前記第1連結部材の連結位置(P1)に連結する第2連結部材(60)と、前記第2連結部材が前記第2飛行体に取り付けられる取付位置において、鉛直方向と前記第2連結部材が延びる延伸方向とがなす角度を検出する角度検出部(70)と、を備え、前記制御部は、前記運搬物が前記目標高度を維持するように前記加速度計測部が計測する前記加速度および前記角度検出部が検出する前記角度に応じて前記第2飛行体の前記移動方向および前記移動速度を制御する。
【0099】
本開示の第3態様に係る飛行システムによれば、運搬物の鉛直方向の加速度と、第2連結部材が第2飛行体に取り付けられる取付位置において検出される鉛直方向と第2連結部材の延伸方向とがなす角度とに応じて、第2飛行体の移動方向および移動速度を制御することにより、運搬物を目標高度に適切に維持することができる。
【0100】
本開示の第4態様に係る飛行システムは、第1態様から第3態様のいずれかにおいて、更に、前記運搬物を目標位置(TP)の近傍に固定するための延伸可能なワイヤ(220)を備える。
本開示の第4態様に係る飛行システムによれば、目標位置の近傍で飛行システムからワイヤを延伸させて目標位置の近傍に操作者が固定することにより、運搬物を目標位置の近傍から離れないように固定することができる。
【0101】
本開示の第5態様に係る飛行システムは、第4態様において、更に、以下の構成を備える。すなわち、前記ワイヤは、少なくとも一端にフックを有する。
本開示の第5態様に係る飛行システムによれば、ワイヤの一端のフックを目標位置に設けられた他のフックに係合させることにより、運搬物を目標位置の近傍に容易かつ確実に固定することができる。
【0102】
本開示の第6態様に係る飛行システムは、第1態様から第3態様のいずれかにおいて、更に、以下の構成を備える。すなわち、前記第1飛行体は、前記ガスが充填される単一のバルーンを有する。
本開示の第6態様に係る飛行システムによれば、単一のバルーンに空気よりも密度の小さいガスを充填することにより運搬物を空中に浮上させる揚力を発生させることができる。
【0103】
本開示の第7態様に係る飛行システムは、第1態様から第3態様のいずれかにおいて、更に、以下の構成を備える。すなわち、前記第1飛行体は、前記ガスが充填される複数のバルーンを有する。
本開示の第7態様に係る飛行システムによれば、複数のバルーンのそれぞれに空気よりも密度の小さいガスを充填することにより運搬物を空中に浮上させる揚力を発生させることができる。
【0104】
本開示の第8態様に係る飛行システムは、第3態様において、更に以下の構成を備える。すなわち、前記第1飛行体は、前記ガスが充填されるバルーンを有し、前記バルーンは、水平方向の断面形状が第1方向に沿った第1長さよりも前記第1方向に直交する第2方向に沿った第2長さが長い形状を有し、前記バルーンの前記第2方向の一端と前記第2連結部材とを連結する第3連結部材(17)を備える。
【0105】
本開示の第8態様に係る飛行システムによれば、第3連結部材により、バルーンの第2方向の一端と第2連結部材とが連結される。第2飛行体により運搬物が移動する際に、第2連結部材および第3連結部材を介してバルーンの第2方向の一端が運搬物の移動方向に牽引される。その際、第2方向に沿ってバルーンが移動するため、第1方向に沿ってバルーンが移動する場合に比べてバルーンの移動方向の投影面積が小さくなり、バルーンが移動する際にバルーンに作用する空気抵抗を小さくすることができる。
【0106】
本開示の第9態様に係る飛行システムは、第8態様において、更に以下の構成を備える。すなわち、複数の前記バルーンの前記第2方向の端部の間を所定間隔に保持した状態で連結する連結機構(18,19)を備える。
本開示の第9態様に係る飛行システムによれば、複数のバルーンが第2方向の端部の間を所定間隔に保持した状態で連結機構により連結されるため、第1方向に沿って複数のバルーンが移動する場合に比べて複数のバルーンの移動方向の投影面積が小さくなり、複数のバルーンが移動する際に各バルーンに作用する空気抵抗を小さくすることができる。
【0107】
本開示の第10態様に係る飛行システムは、第8態様または第9態様において、更に以下の構成を備える。すなわち、前記バルーンの水平方向の断面形状は、前記第2方向の両端部が半円形である。
本開示の第10態様に係る飛行システムによれば、バルーンの水平方向の断面形状は、第2方向の両端部が半円形であるため、第2方向に沿ってバルーンが移動する際にバルーンの端部に空気が衝突する際の空気抵抗を低減することができる。
【0108】
本開示の第11態様に係る飛行システムは、第8態様または第9態様において、更に以下の構成を備える。すなわち、前記バルーンの前記第2長さは、前記第1長さの2倍以上である。
本開示の第11態様に係る飛行システムによれば、バルーンの第2長さが第1長さの2倍以上であるため、バルーンを第2飛行体で牽引する際にバルーンに作用する空気抵抗を十分に低減することができる。
【0109】
本開示の第12態様に係る飛行システムは、第1態様から第3態様のいずれかにおいて、更に以下の構成を備える。すなわち、前記第1飛行体の第1高度を計測する第1高度計測部(14)と、前記第2飛行体の第2高度を計測する第2高度計測部(20g)と、を備え、前記制御部は、前記第2高度が前記第1高度よりも所定値以上高くなるように前記第2飛行体の前記移動方向および前記移動速度を制御する。
本開示の第12態様に係る飛行システムによれば、第2飛行体の第2高度が第1飛行体の第1高度よりも所定値以上高くなるため、第2飛行体が第2連結部材や第1飛行体に接触することを適切に防止することができる。
【0110】
本開示の第13態様に係る飛行システムは、第1態様から第3態様のいずれかにおいて、更に以下の構成を備える。すなわち、前記第2飛行体から前記第1飛行体までの距離を計測する距離計測部(75)を備え、前記制御部は、前記第2飛行体の第2高度が前記第1飛行体の第1高度よりも所定値以上高くなるように前記第2飛行体の前記移動方向および前記移動速度を制御する。
本開示の第13態様に係る飛行システムによれば、第2飛行体の第2高度が第1飛行体の第1高度よりも所定値以上高くなるため、第2飛行体が第2連結部材や第1飛行体に接触することを適切に防止することができる。
【0111】
本開示の第14態様に係る飛行システムは、第1態様から第3態様のいずれかにおいて、更に以下の構成を備える。すなわち、前記運搬物が鉛直方向に延びる軸線回りに回転することを抑制する旋回制御装置(80)を備える。
本開示の第14態様に係る飛行システムによれば、旋回制御装置により運搬物が鉛直方向に延びる軸線回りに回転することを抑制し、運搬物を安全に運搬することができる。
【0112】
本開示の第15態様に係る飛行システムの制御方法は、運搬物に連結されるとともに空気より密度の小さいガスにより前記運搬物を空中に浮上させる揚力を発生させる第1飛行体と、前記運搬物または前記第1飛行体の少なくともいずれかに連結されるとともに前記第1飛行体が発生する揚力により空中に浮上した前記運搬物を水平方向に移動させる第2飛行体と、を備える飛行システムの制御方法であって、前記第2飛行体の移動方向および移動速度を制御する制御工程を備え、前記制御工程は、前記第1飛行体が発生させる第1揚力が前記運搬物を目標高度まで上昇させるための第2揚力よりも小さい場合に前記運搬物を前記目標高度まで上昇させるよう前記第2飛行体の前記移動方向および前記移動速度を制御する。
【0113】
本開示の第15態様に係る飛行システムの制御方法によれば、運搬物に連結される第1飛行体が運搬物を空中に浮上させる揚力を発生させ、第1飛行体が発生させる揚力により空中に浮上した運搬物が第2飛行体により水平方向に移動して運搬される。第1飛行体が運搬物を空中に浮上させる揚力を発生させるため、運搬物を移動させるための第2飛行体を大型化することなく運搬物を浮上させる揚力を十分に確保することができる。
【0114】
また、本開示の第15態様に係る飛行システムの制御方法によれば、第1飛行体が発生させる第1揚力が運搬物を目標高度まで上昇させるための第2揚力よりも小さい場合に運搬物を目標高度まで上昇させるよう第2飛行体の移動方向および移動速度が制御される。第1飛行体が発生させる第1揚力が運搬物を目標高度まで上昇させるための第2揚力よりも小さい場合であっても、第2飛行体により運搬物が目標高度まで上昇するため、第1飛行体が発生させる第1揚力の変動によらずに運搬物を目標高度に維持して適切に運搬することができる。
【0115】
本開示の第16態様に係る飛行システムの制御方法は、第15態様において、更に以下の構成を備える。すなわち、前記飛行システムは、前記運搬物または前記第1飛行体の少なくともいずれかに連結されるとともに前記第1飛行体が発生する揚力により空中に浮上した前記運搬物を水平方向に移動させる第3飛行体を備え、前記制御工程は、前記運搬物を静止させる目標位置に近づいたことに応じて、前記運搬物を前記目標位置で静止させるように前記第3飛行体の前記移動方向および前記移動速度を制御する。
本開示の第16態様に係る飛行システムの制御方法によれば、運搬物を静止させる目標位置に近づいたことに応じて、第3飛行体の移動方向および移動速度を制御して、運搬物を目標位置で静止させることができる。
【符号の説明】
【0116】
10,10D 第1飛行体
11,11D,12,12D,13,13D バルーン
14 高度センサ
15 揚力検出部
16 通信部
17 第3連結部材
18,19 連結機構
20,20A 第2飛行体
20a 制御部
20b 通信部
20c,20d,20e,20f 駆動モータ
20g 加速度センサ
20h 高度センサ
20i,20j,20k,20l 距離センサ
21,22,23,24 回転翼
30 コントローラ(制御部)
30a 制御部
30b 通信部
40 加速度計測部
40a 加速度センサ
40b 通信部
50 第1連結部材
51,52,53 ワイヤ
54 保持部材
54a,54b 固定部材
60 第2連結部材
70 角度検出部
75 LiDARセンサ(距離計測部)
80 旋回制御装置
90 第3飛行体
100,100A,100B,100C,100D,100E 飛行システム
200 運搬物
210 ワイヤドラム
220 ワイヤ
220a フック
300 操作者
400 フック
AC0,AC1,AC2 加速度
DD 延伸方向
HD 水平方向
MD 移動方向
P1,P1a,P3,P4 連結位置
P2 取付位置
TP 目標位置
VD 鉛直方向
Z 軸線
θ 角度