(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024065286
(43)【公開日】2024-05-15
(54)【発明の名称】車両前部構造
(51)【国際特許分類】
B60R 19/52 20060101AFI20240508BHJP
【FI】
B60R19/52 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022174064
(22)【出願日】2022-10-31
(71)【出願人】
【識別番号】000157083
【氏名又は名称】トヨタ自動車東日本株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三宅 勝洋
(72)【発明者】
【氏名】新垣 裕太
(57)【要約】
【課題】グリルシールを備えた車両前部構造の衝撃吸収構造を改良する。
【解決手段】フロントグリル14とバンパリインホースメント28の間にグリルシール32が配置される。グリルシール32は、フロントグリルに沿って配置された本体前板38と、本体前板38の上縁から後方に延び、バンパリインホースメント28の上方を覆うように位置する本体上板40を含む。本体前板38とバンパリインホースメント28の前面との間に空間が形成されている。本体上板40は、本体前板38の上縁と接合する前縁40aが、バンパリインホースメント28の前面上縁28aよりも低い位置にあり、後方が高くなるように傾斜している。前面衝突時、本体上板40は、後退しつつ、後縁が持ち上がるように回動することで、グリルシール32のクーリングユニット22への接触が避けられる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のフロントグリルと、
前記フロントグリルの後方に位置するバンパリインホースメントと、
前記フロントグリルの後面に固定され、前記バンパリインホースメントを覆い隠すグリルシールと、
を備え、
前記グリルシールは、
前記フロントグリルに沿って配置され、前記バンパリインホースメントの前面との間に空間が形成されている本体前板と、
前記本体前板の上縁から後方に延び、前記バンパリインホースメントの上方を覆うように位置する本体上板であって、前記本体前板の上縁と接合する前縁が、前記バンパリインホースメントの前面上縁よりも低い位置にあり、後方が高くなるように傾斜している本体上板と、
を含む、
車両前部構造。
【請求項2】
請求項1に記載の車両前部構造であって、
前記グリルシールは、機器が取り付けられる取付ベースであって、前記本体上板から上方に突出するように設けられた取付ベースを含み、
前記取付ベースは、取付ベース前板と、前記取付ベース前板の左右の側縁からそれぞれ後方に延び、前記本体上板と接合する1対の取付ベース側板と、を含み、
前記本体前板と前記取付ベース前板の境界または境界近傍には、脆弱構造が設けられている、
車両前部構造。
【請求項3】
請求項2に記載の車両前部構造であって、前記取付ベース側板の、前記取付ベース前板に接合する前縁の近傍に、当該前縁に沿って延びる脆弱構造が設けられている、車両前部構造。
【請求項4】
請求項1に記載の車両前部構造であって、
前記グリルシールの前記本体前板は、左右の縁部に、それぞれ前記本体上板の前縁よりも上方に延び、前記フロントグリルに固定される前面固定片を有し、
前記本体上板は、左右の縁からそれぞれ上方に向けて延び、前縁にて前記前面固定片に接合する側縁支持片を有し、
前記前面固定片と前記側縁支持片の接合部が稜線を形成する、
車両前部構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の前部構造に関し、特に、フロントグリルおよびバンパリインホースメントの周囲の衝撃吸収構造に関する。
【背景技術】
【0002】
衝突時、車両前部における衝撃吸収は、衝突対象物が車両等の重量物である場合には、車両前端部において車幅方向に延びて配置されたバンパリインホースメントや車両前部左右を前後方向に延びるフロントサイドメンバが主に担い、歩行者等の比較的軽量な対象物に対しては、バンパリインホースメントより前方の構造が担っている。
【0003】
下記特許文献1には、バンパリインフォースメント(14)と、バンパリインフォースメント(14)を前方から覆うバンパカバー(16)と、これらの間に配置された発泡樹脂製のアブソーバ(30)とが示されている。また、下記特許文献2には、バンパーリインフォース(40)と、バンパーカバー(21)およびバンパーグリル(23)と、これらの間に配置されたバンパーアブソーバ(30)とが示されている。さらに、バンパーカバー(21)およびバンパーグリル(23)とバンパーアブソーバ(30)の間には、隙づめ材(22)が配置されている。なお、上記の( )内の符号は、下記特許文献1,2で用いられている符号であり、本願の実施形態の説明で用いられる符号とは関連しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-22940号公報
【特許文献2】特開2019-14461号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
フロントグリルが大きいデザインの車両にあっては、フロントグリル越しに、前方または前方斜め上方から車両前部の内部構造が見える場合がある。この内部構造、例えばバンパリインホースメントを目立たないようにするため、グリルシールをフロントグリルの後面に配置することがある。このグリルシールを含めた車両前部構造に関し、衝突時における衝撃吸収について改善の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る車両前部構造は、車両のフロントグリルと、フロントグリルの後方に位置するバンパリインホースメントと、フロントグリルの後面に固定され、バンパリインホースメントを覆い隠すグリルシールとを備える。グリルシールは、フロントグリルに沿って配置される本体前板と、本体前板の上縁から後方に延び、バンパリインホースメントの上方を覆うように位置する本体上板とを含む。本体前板は、バンパリインホースメントの前面との間に空間が形成されるように配置されている。本体上板は、本体前板の上縁と接合する前縁が、バンパリインホースメントの前面上縁よりも低い位置にあり、後方が高くなるように傾斜している。
【0007】
本体上板の前縁がバンパリインホースメントの前面上縁より低い位置にあり、後方が高くなるように傾斜していることで、前面衝突時、グリルシールの後退に伴って、本体上板が後縁が持ち上がるように回動する。この本体上板の回動により、グリルシールが、バンパリインホースメントより後方に位置する部品、例えばクーリングユニットに達することが抑制される。
【0008】
上記の車両前部構造において、グリルシールは、機器が取り付けられる取付ベースを含むものとできる。取付ベースは、本体上板から上方に突出するように設けられる。取付ベースは、取付ベース前板と、取付ベース前板の左右の側縁からそれぞれ後方に延び、本体上板と接合する1対の取付ベース側板と、を含む。さらに、本体前板と取付ベース前板の境界または境界近傍には、長孔などの脆弱構造が設けられている。取付ベースが設けられた左右方向における中央部において、グリルシールの屈曲が容易となる。
【0009】
上記の車両前部構造において、取付ベース側板は、取付ベース前板に接合する前縁の近傍に、当該前縁に沿って延びる脆弱構造が設けられたものとすることができる。取付ベース側板の屈曲が容易となる。
【0010】
上記の車両前部構造において、グリルシールの本体前板は、左右の縁部に、それぞれ本体上板の前縁よりも上方に延び、フロントグリルに固定される前面固定片を有するものとでき、さらに本体上板は、左右の縁からそれぞれ上方に向けて延び、前縁にて前面固定片に接合する側縁支持片を有するものとできる。前面固定片と側縁支持片の接合部が稜線を形成するようにしてよい。この稜線が屈曲の起点となり、グリルシールの変形を容易とする。
【発明の効果】
【0011】
前面衝突時、グリルシールの本体上板が、後縁が持ち上がるように回動することで、グリルシールと、クーリングユニットなどの後方の部品との距離を取ることができ、後方の部品の損傷を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2】フロントグリルおよびバンパリインホースメントの周囲の構成を示す側方断面図である。
【
図5】前面衝突時のグリルシールの変形の様子を示す図であり、衝突前の状態を示す図である。
【
図6】前面衝突時のグリルシールの変形の様子を示す図であり、衝突初期の状態を示す図である。
【
図7】前面衝突時のグリルシールの変形の様子を示す図であり、グリルシールがバンパリインホースメント組立体に当接した時点の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面に従って説明する。以下の説明において、特段の断りがない限り、前後左右上下高低等の相対位置および向きを表す語句は、車両に関する相対位置および向きを表す。各図において、矢印FRの向きが前方、矢印UPの向きが上方、矢印LHの向きが左方である。
【0014】
図1は、車両10の前部の側面図である。車両10は、乗員室の前方に前部構造12を有し、前部構造12は、車両を駆動するエンジン等の原動機を収容するエンジン室を規定している。前部構造12の前端の車両左右方向の中央部には、エンジン室内に外気を導入するためフロントグリル14が配置された開口が設けられている。
【0015】
図2は、前部構造12の前端部の内部構造を模式的に示す断面図である。フロントグリル14は、格子状に配置された横グリルバー16および縦グリルバー(不図示)を含み、外気は、縦横のグリルバーの間を通ってエンジン室内に導入される。フロントグリル14は、グリルバーを縦横に配置したものに限らず、縦横の一方のみ、またハニカム状、その他の形状であってよい。
【0016】
フロントグリル14の後方には、エンジンの冷却水を冷やすラジエータ18と、車両10に搭載された空気調和装置の冷媒を液化させるコンデンサ20とを組み合わせたクーリングユニット22が配置されている。クーリングユニット22は、さらに、ラジエータ18とコンデンサ20を通過する気流を生成するクーリングファンユニット24を含む。
【0017】
フロントグリル14の後方、かつクーリングユニット22の前方には、バンパリインホースメント組立体26が配置されている。バンパリインホースメント組立体26は、左右方向に延びて左右の端部でフロントサイドメンバ(不図示)の前端に固定されたバンパリインホースメント28と、バンパリインホースメント28の前面に固定されたバンパアブソーバ30を含む。バンパリインホースメント28は、金属製、特に鋼板製であり、例えば、断面が複数のクランク形状を連ねた形状となるように鋼板を屈曲させて作製される。バンパアブソーバ30は、発泡樹脂製であってよく、衝突時につぶれるように変形して衝撃を吸収する衝撃吸収部材である。
【0018】
フロントグリル14とバンパリインホースメント組立体26の間には、グリルシール32が配置されている。前方または前方斜め上方から前部構造12を見たとき、フロントグリル14越しに、前部構造12の内部構造が見える場合がある。グリルシール32は、この内部構造であるバンパリインホースメント組立体26を覆い隠して、フロントグリル14越しに見たときに目立たないようにし、車両10の見映えをよくしている。グリルシール32は、合成樹脂製であってよく、特に一体成形により作製されてよい。
【0019】
図3および
図4は、グリルシール32を単体で示す概略的な斜視図であり、
図3が前方からの斜視図、
図4が後方からの斜視図である。グリルシール32は、バンパリインホースメント組立体26に沿うように左右方向に延びて配置され、バンパリインホースメント組立体26を覆い隠すグリルシール本体34と、グリルシール本体34から上方に突出して設けられた取付ベース36とを含む。取付ベース36は、他の機器を取り付ける基台となる。取り付けられる機器は、例えばミリ波レーダなどの前方監視装置、特にその送受信機である。
【0020】
グリルシール本体34は、フロントグリル14の後面に沿って配置される本体前板38と、本体前板38の上縁から後方に延びる本体上板40と、本体前板38の下縁から後方に延びる本体下板42とを含む。本体前板38は、バンパリインホースメント組立体26の前方に位置し、バンパリインホースメント組立体26との間に他の部品が存在しない空間44(
図2参照)が形成されるように位置している。本体上板40は、取付ベース36の左側および右側に配置され、それぞれの後端部がバンパリインホースメント組立体26を上方から覆っている。本体前板38は、左右の縁部に、グリルシール32をフロントグリル14の後面に固定するためのグリルシール固定部46を有している。グリルシール固定部46の上端部には、グリルシール32を固定するためのボルトまたはクリップが貫通する貫通孔が形成された前面固定片48が設けられている。グリルシール固定部46は、本体前板38の上縁より上方に延びており、前面固定片48は、本体前板38の上縁より高い位置に設けられている。本体下板42は、後端がバンパリインホースメント組立体26に達していない。本体下板42を設けることで、本体前板38の剛性、特に下縁部の剛性を高めることができる。
【0021】
取付ベース36は、グリルシール本体34の上方にグリルシール本体から突出するように設けられ、これによりグリルシール32は、前方から見たとき、概略凸形の外形となっている。取付ベース36は、前方を向いた取付ベース前板50と、取付ベース前板50の左右の側縁から後方にそれぞれ延びる取付ベース側板52を含む。取付ベース36は、上方から見たとき、後方に開いたコの字形状であり、コの字の内側にミリ波レーダの送受信機などの機器が配置されて固定されている。
【0022】
取付ベース前板50は、本体前板38と、前後方向においてほぼ同じ位置に配置されている。取付ベース前板50の中央部、特に左右方向中央かつやや上方の位置に開口54が形成されており、開口54を通してミリ波レーダなどの前方監視用の電波などが送受信される。取付ベース側板52は、前縁が取付ベース前板50に接合されるとともに、下縁が本体上板40に接合され、本体上板40の後縁と同位置まで後方に延びている、取付ベース側板52は、取付ベース前板50を後方から支えている。
【0023】
図2に示されるように、本体上板40は、前方が低くなるように傾斜配置されており、その前縁40aがバンパリインホースメント28の前面上縁28aより低い位置となるように配置されている。本体上板40は、その前縁40aから後方かつ斜め上方に延び、後縁部がバンパリインホースメント組立体26の上方に達している。本体上板40の傾きは、水平に対して、例えば20°である。バンパアブソーバ30の上面30aは、本体上板40と沿うように傾斜しており、上面30aの後縁の高さ位置は、バンパリインホースメント28の前面上縁28aの高さ位置とそろっている。本体上板40は、バンパアブソーバ30の上面30aと離れていても、また接していてもよい。また、バンパアブソーバ30の上面30aは水平であってもよく、この場合、上面30aは、バンパリインホースメント28の前面上縁28aよりも低い位置に配置されてよく、前面上縁28aより低い位置で本体上板40と接していてよい。
【0024】
本体前板38と取付ベース前板50の境界またはその近傍には、左右方向に延びる脆弱構造が設けられている。このグリルシール32において、脆弱構造は、左右方向に沿って延びる長孔56である。長孔56は、左右に分かれて2つが形成されているが、連続した1つとしてもよく、3つ以上の長孔を左右方向に沿って配列してもよい。また、長孔56は、本体上板40の前縁40aより高い位置に配置されてよい。脆弱構造の態様は、長孔形状に限らず、長孔56同様に左右方向に沿って延びる溝形状であってもよい。この溝は、断面形状を三角形としてよい。溝の底部分が、薄くなり、脆弱な部分となる。
【0025】
取付ベース側板52の前縁近傍には、上下方向に沿って延びる脆弱構造が設けられている。脆弱構造は、取付ベース側板52の外側面、すなわち取付ベース36のコの字形状の外側を向いた面に形成されたノッチ溝58である。ノッチ溝58は、断面形状を三角形としてよい。ノッチ溝58の底部分が薄くなり、脆弱な部分となる。また、脆弱構造の態様は、溝形状に限らす、上下方向に沿って延びる1つまたは複数の長孔であってもよい。
【0026】
本体上板40の左右の縁には、左右の縁からそれぞれ上方に向けて延びる側縁支持片60を有し、側縁支持片60はその前縁60aにて前面固定片48と接合しており、前面固定片48を支持している。前面固定片48と側縁支持片60の境界には、稜線62が形成されている。
【0027】
図5~7は、前面衝突時(矢印Cの方向からの衝突時)のグリルシール32の変形の様子を模式的に示す図である。
図5~7のそれぞれの(a)の図は平面図、(b)の図は(a)に示すS-S線による側方断面図である。
図5は衝突前の状態を示し、
図7はグリルシール32の本体前板38が、左右方向における中央部でバンパリインホースメント組立体26に当接した状態を示し、
図6は、
図5と
図7の中間の状態を示している。
【0028】
図5に示す衝突前の状態では、バンパリインホースメント組立体26とグリルシール32の本体前板38の間は空けられて、空間44が形成されている。衝突対象物(不図示)は、平面視において湾曲した先端面を有し、衝突の最初に車両10の中央部に接触し、衝突が進行するに従って接触部分が左右に広がる。
【0029】
図6は、衝突の初期の状態を示しており、衝突対象物が、左右方向において、取付ベース36が位置する中央部に接触した状態を示している。衝突当初、取付ベース前板50およびその下方に位置する本体前板38の中央部38aが変形する。長孔56が設けられていることにより、グリルシール32の中央部分が大きく変形し、平面視において中央部分で屈曲した状態に変形する。この変形が、取付ベース側板52の屈曲を誘発する。このとき、取付ベース側板52は、ノッチ溝58が設けられていることにより容易に屈曲する。このグリルシール32の屈曲変形により、例えば、歩行者等が車両の中央部に衝突した場合、衝突の衝撃を緩和することができる。
【0030】
さらに、グリルシール32が後退する過程で、本体上板40がバンパアブソーバ30の上面30aに接触し、さらにバンパリインホースメント28の前面上縁28aに接触する。本体上板40は、バンパアブソーバ30およびバンパリインホースメント28から上向きの力を受け、矢印Aで示すように、前縁40aを中心にして後縁が持ち上がるように回動する。
【0031】
図7の状態では、本体上板40は、バンパリインホースメント組立体26からの力により、さらに上方向けて回動する(矢印B参照)。これにより、グリルシール32が、回動せずに後退した場合に比べて、クーリングユニット22に達するまでの距離を確保することができ、グリルシール32によるクーリングユニット22への損傷を抑制できる。本体前板38、特に本体上板40の前方に位置する側方部38bと、バンパリインホースメント組立体26との間に、本体前板38を移動可能とする空間44が設けられていることで、本体前板38の移動過程において本体上板40の後縁を跳ね上げることができる。グリルシール32の左右の両端部に設けられた1対の側縁支持片60は後端が互いに離れるようにそれぞれ回動する。このとき、側縁支持片60と前面固定片48の接合部分の稜線62が折れ曲がりの起点となることで、側縁支持片60が容易に回動し、本体上板40の上方への回動を容易にする。
【0032】
グリルシール32の本体上板40がバンパリインホースメント組立体26を上方から覆うように後方に延びていることで、バンパリインホースメント組立体26がフロントグリル14越しに見えないようにされる。また、本体上板40が後方に延びているが、前面衝突時には、本体上板40が、その後縁が上方に持ち上がるように回動することによりクーリングユニット22への損傷を抑えることができる。また、歩行者等が、左右方向における中央部に衝突した場合、グリルシール32の中央部が変形容易に構成されていることで歩行者等への衝撃が緩和される。
【0033】
グリルシールは、上方に突出する取付ベースを有さず、前方から見たときに略長方形となる態様とすることができる。この場合、本体上板は、取付ベースの部分で分割されず、左右方向においてグリルシールの全体にわたって設けられてよい。さらに、左右方向における中央部において、本体前板と本体上板の境界またはその近傍に長孔などの脆弱構造を設けてよい。
【符号の説明】
【0034】
10 車両、12 前部構造、14 フロントグリル、22 クーリングユニット、26 バンパリインホースメント組立体、28 バンパリインホースメント、28a (バンパリインホースメントの)前面上縁、30 バンパアブソーバ、32 グリルシール、34 グリルシール本体、36 取付ベース、38 本体前板、40 本体上板、40a (本体上板の)前縁、44 空間、46 グリルシール固定部、48 前面固定片、50 取付ベース前板、52 取付ベース側板、56 長孔(脆弱構造)、58 ノッチ溝(脆弱構造)、60 側縁支持片、60a (側縁支持片の)前縁、62 稜線。