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特開2024-65313水流スイッチ及び水流スイッチの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024065313
(43)【公開日】2024-05-15
(54)【発明の名称】水流スイッチ及び水流スイッチの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01H 35/40 20060101AFI20240508BHJP
   F24H 9/00 20220101ALI20240508BHJP
【FI】
H01H35/40 D
F24H9/00 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022174114
(22)【出願日】2022-10-31
(71)【出願人】
【識別番号】000112015
【氏名又は名称】株式会社パロマ
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柿崎 友助
【テーマコード(参考)】
3L036
【Fターム(参考)】
3L036AC18
(57)【要約】
【課題】作動点を変更しやすい水流スイッチを提供する。
【解決手段】水流スイッチ40は、湯水の経路を構成するケーシング70と、ケーシング70内に形成された検知室76内に揺動可能に設けられた検知片71と、検知片71の一端部を固定する固定部材72と、ケーシング70に固定されて、検知片71の接近により湯水の流れを検出するリードスイッチ73と、を備え、ケーシング70は、検知室76に湯水を流入させる流入管部77を備え、流入管部77は、大径部77Aと、大径部77Aよりも小さい径D2を有し、流入管部77の下流端に配される小径部77Bと、大径部77Aと小径部77Bとを円滑に接続する内周面を有する接続部77Cと、を備え、大径部77A、小径部77B、及び接続部77Cは、流入管部77の内部空間の中心を通り、流入管部77に沿って延びる中心軸79に関して同軸に配されている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
湯水の経路を構成するケーシングと、
前記ケーシング内に形成された検知室内に揺動可能に設けられた検知片と、
前記検知片の一端部を固定する固定部材と、
前記ケーシングに固定されて、前記検知片の接近により湯水の流れを検出するリードスイッチと、を備え、
前記ケーシングは、前記検知室に湯水を流入させる流入管部を備え、
前記流入管部は、大径部と、前記大径部よりも小さい径を有し、前記流入管部の下流端に配される小径部と、前記大径部と前記小径部とを円滑に接続する内周面を有する接続部と、を備え、
前記大径部、前記小径部、及び前記接続部は、前記流入管部の内部空間の中心を通り、前記流入管部に沿って延びる中心軸に関して同軸に配されている、水流スイッチ。
【請求項2】
前記接続部は、前記大径部から前記小径部に向かうにつれて径が徐々に小さくなっている、請求項1に記載の水流スイッチ。
【請求項3】
湯水の流れを検出する水流スイッチの製造方法であって、
合成樹脂から蓋体、第1本体部、及び第2本体部を構成する工程と、
前記蓋体に検知片を揺動可能に支持する工程と、
前記蓋体に前記検知片の接近により閉状態となるリードスイッチを固定する工程と、
前記第1本体部及び前記第2本体部のいずれか一方と前記蓋体とを組み付けて、検知室を有するケーシングを構成する工程と、を含み、
前記第1本体部及び前記第2本体部は、前記検知室へと湯水を流入させる流入管部を備え、
前記第1本体部の前記流入管部は、大径部と、前記大径部よりも小さい径を有し、前記流入管部の下流端に配される小径部と、前記大径部と前記小径部とを円滑に接続する内周面を有する接続部と、を備え、
前記大径部、前記小径部、及び前記接続部は、前記流入管部の内部空間の中心を通り、前記流入管部に沿って延びる中心軸に関して同軸に配されている、水流スイッチの製造方法。
【請求項4】
前記接続部は、前記大径部から前記小径部に向かうにつれて径が徐々に小さくなっている、請求項3に記載の水流スイッチの製造方法。
【請求項5】
前記第2本体部の前記流入管部は、一定の径を有する円筒状とされている、請求項3または請求項4に記載の水流スイッチの製造方法。
【請求項6】
前記第2本体部の前記流入管部の径は、前記小径部の径よりも大きい、請求項5に記載の水流スイッチの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、水流スイッチ及び水流スイッチの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、風呂の追い炊き回路等の循環加熱経路に用いられる水流スイッチとして、特開2007-323934号公報(下記特許文献1)に記載の水流スイッチが知られている。この水流スイッチは、内部に流体流路を形成するケーシングと、ケーシング内に設けられた検知室内に配される磁性体と、弾性部材により形成され、ケーシングに対して磁性体を支持する支持体と、ケーシングの外側に固定されるリードスイッチと、を備える。湯水を循環させるポンプにより検知室内に水流が発生すると、支持体は流水圧を受けて弾性的に撓む。支持体が撓むことにより、磁性体が検知室内において揺動し、リードスイッチに接近する。リードスイッチは磁性体が接近することで閉状態となる。リードスイッチが閉状態となったことにより、制御部は追い炊き回路中に水流が発生したことを検知し、湯水の加熱が開始される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-323934号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような水流スイッチにおいて、作動点、すなわち、リードスイッチが閉状態となる湯水の流量は、使用態様に応じて適切に設定する必要がある。例えば、作動点が高く設定されていると、追い炊き回路が長い場合に水流スイッチが作動しにくくなってしまう。また、作動点が低い場合、水流スイッチが簡単に作動し、湯水が過剰に加熱されてしまうことがありうる。作動点が異なる複数の水流スイッチを製造するには、例えば、弾性係数の異なる複数の支持体を準備することが考えられる。しかし、支持体の外観から弾性係数を見分けることが困難であったり、水流スイッチの製造コストが増大したりする場合がありうる。
【0005】
支持体を変更することなく、水流スイッチの作動点を変更するには、ケーシングの検知室へと湯水を流入させる流入通路の径を変更することが考えられる。しかし、流入通路の径を小さくして作動点を低くしようすると、湯水の圧損が大きくなり、流量が小さくなってしまう。
【0006】
本開示は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、作動点を変更しやすい水流スイッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の水流スイッチは、湯水の経路を構成するケーシングと、前記ケーシング内に形成された検知室内に揺動可能に設けられた検知片と、前記検知片の一端部を固定する固定部材と、前記ケーシングに固定されて、前記検知片の接近により湯水の流れを検出するリードスイッチと、を備え、前記ケーシングは、前記検知室に湯水を流入させる流入管部を備え、前記流入管部は、大径部と、前記大径部よりも小さい径を有し、前記流入管部の下流端に配される小径部と、前記大径部と前記小径部とを円滑に接続する内周面を有する接続部と、を備え、前記大径部、前記小径部、及び前記接続部は、前記流入管部の内部空間の中心を通り、前記流入管部に沿って延びる中心軸に関して同軸に配されている、水流スイッチである。
【0008】
また、本開示の水流スイッチの製造方法は、湯水の流れを検出する水流スイッチの製造方法であって、合成樹脂から蓋体、第1本体部、及び第2本体部を構成する工程と、前記蓋体に検知片を揺動可能に支持する工程と、前記蓋体に前記検知片の接近により閉状態となるリードスイッチを固定する工程と、前記第1本体部及び前記第2本体部のいずれか一方と前記蓋体とを組み付けて、検知室を有するケーシングを構成する工程と、を含み、前記第1本体部及び前記第2本体部は、前記検知室へと湯水を流入させる流入管部を備え、前記第1本体部の前記流入管部は、大径部と、前記大径部よりも小さい径を有し、前記流入管部の下流端に配される小径部と、前記大径部と前記小径部とを円滑に接続する内周面を有する接続部と、を備え、前記大径部、前記小径部、及び前記接続部は、前記流入管部の内部空間の中心を通り、前記流入管部に沿って延びる中心軸に関して同軸に配されている、水流スイッチの製造方法である。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、作動点を変更しやすい水流スイッチを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施形態にかかる水流スイッチを含む給湯器の概略回路図である。
図2図2は、水流スイッチ及びポンプの斜視図である。
図3図3は、水流スイッチの正面図である。
図4図4は、図3のA-A断面図である。
図5図5は、図3のA-A断面における第1本体部の断面図である。
図6図6は、第2本体部を備える水流スイッチの断面図であって、図4に対応する図である。
図7図7は、他の実施形態にかかる水流スイッチの断面図であって、図4に対応する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列挙して説明する。
【0012】
(1)本開示の水流スイッチは、湯水の経路を構成するケーシングと、前記ケーシング内に形成された検知室内に揺動可能に設けられた検知片と、前記検知片の一端部を固定する固定部材と、前記ケーシングに固定されて、前記検知片の接近により湯水の流れを検出するリードスイッチと、を備え、前記ケーシングは、前記検知室に湯水を流入させる流入管部を備え、前記流入管部は、大径部と、前記大径部よりも小さい径を有し、前記流入管部の下流端に配される小径部と、前記大径部と前記小径部とを円滑に接続する内周面を有する接続部と、を備え、前記大径部、前記小径部、及び前記接続部は、前記流入管部の内部空間の中心を通り、前記流入管部に沿って延びる中心軸に関して同軸に配されている、水流スイッチである。
【0013】
このような構成によると、流入管部は、大径部と、下流端に配される小径部と、大径部及び小径部を円滑に接続する接続部を備えるから、接続部において圧損を抑制しつつ湯水を整流し、小径部において湯水を加速させることができる。また、大径部、小径部、及び接続部は、中心軸に関して同軸に配されているから、湯水が流入管部を通り検知室に流入する際、乱流が生じにくい。
【0014】
(2)前記接続部は、前記大径部から前記小径部に向かうにつれて径が徐々に小さくなっていることが好ましい。
【0015】
このような構成によると、湯水の圧損をより一層抑制することができる。
【0016】
(3)本開示の水流スイッチの製造方法は、湯水の流れを検出する水流スイッチの製造方法であって、合成樹脂から蓋体、第1本体部、及び第2本体部を構成する工程と、前記蓋体に検知片を揺動可能に支持する工程と、前記蓋体に前記検知片の接近により閉状態となるリードスイッチを固定する工程と、前記第1本体部及び前記第2本体部のいずれか一方と前記蓋体とを組み付けて、検知室を有するケーシングを構成する工程と、を含み、前記第1本体部及び前記第2本体部は、前記検知室へと湯水を流入させる流入管部を備え、前記第1本体部の前記流入管部は、大径部と、前記大径部よりも小さい径を有し、前記流入管部の下流端に配される小径部と、前記大径部と前記小径部とを円滑に接続する内周面を有する接続部と、を備え、前記大径部、前記小径部、及び前記接続部は、前記流入管部の内部空間の中心を通り、前記流入管部に沿って延びる中心軸に関して同軸に配されている、水流スイッチの製造方法である。
【0017】
上記の水流スイッチの製造方法によると、第1本体部及び第2本体部のいずれか一方を選択的に組み付けることにより2種類の水流スイッチを製造することができる。第1本体部及び第2本体部は流入管部を備え、合成樹脂から構成されるから、金型の一部を変更することで流入管部の形状を変更し、2種類の水流スイッチの作動点、すなわち、リードスイッチが閉状態となる湯水の流量を異ならせることができる。
【0018】
特に、第1本体部の流入管部は、大径部と、下流端に配される小径部と、大径部及び小径部を円滑に接続する接続部を備えるから、接続部において圧損を抑制しつつ湯水を整流し、小径部において湯水を加速させることができる。よって、第1本体部を備える水流スイッチの作動点を小さく設定しやすい。
【0019】
(4)上記の水流スイッチの製造方法において、前記接続部は、前記大径部から前記小径部に向かうにつれて径が徐々に小さくなっていることが好ましい。
【0020】
上記の水流スイッチの製造方法によると、第1本体部を備える水流スイッチにおいて湯水の圧損をより一層抑制することができる。
【0021】
(5)上記の水流スイッチの製造方法において、前記第2本体部の前記流入管部は、一定の径を有する円筒状とされていることが好ましい。
【0022】
上記の水流スイッチの製造方法によると、第2本体部を容易に構成することができる。
【0023】
(6)上記の水流スイッチの製造方法において、前記第2本体部の前記流入管部の径は、前記小径部の径よりも大きいことが好ましい。
【0024】
上記の水流スイッチの製造方法によると、簡便な構成によって、第2本体部を備える水流スイッチの作動点を、第1本体部を備える水流スイッチの作動点より大きくすることができる。
【0025】
[本開示の実施形態の詳細]
以下に、本開示の実施形態について説明する。本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0026】
<実施形態>
本開示の実施形態について、図1から図6を参照しつつ説明する。本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0027】
[給湯器の全体構造]
図1は、風呂回路Bを備える給湯器1の概略回路図である。本実施形態にかかる水流スイッチ40は、風呂回路Bに設けられている。
給湯器1は、図示しない筐体内に収容される内胴2内に、仕切部材3によって仕切り形成される給湯燃焼室4及び風呂燃焼室5と、バーナ6と、を有している。バーナ6は、給湯燃焼室4の下部に配される給湯バーナ6Aと、風呂燃焼室5の下部に配される風呂バーナ6Bと、を備えている。また、各燃焼室4,5には、点火プラグ8とフレームロッド9とがそれぞれ設けられている。内胴2の下部には、各バーナ6A,6Bへ燃焼用空気を供給する燃焼ファン10が設けられている。
【0028】
給湯燃焼室4内の上部には、給湯バーナ6Aの燃焼排気が通過する給湯一次熱交換器11及び給湯二次熱交換器12が設けられている。風呂燃焼室5の上部には、風呂バーナ6Bの燃焼排気が通過する風呂一次熱交換器13及び風呂二次熱交換器14が設けられている。各二次熱交換器12,14は、内胴2の上部に設けられた排気フード15内に収容されている。排気フード15には、各二次熱交換器12,14を通過した燃焼排気を排出する排気口16が形成されている。
【0029】
筐体の底面に設けたガス入口には、外部からのガス配管が接続されるガス管17が接続されている。各給湯バーナ6Aと風呂バーナ6Bとには、ガス管17から分岐するガス分岐管18,18・・がそれぞれ接続されると共に、各ガス分岐管18には、ガス流路を開閉するガス電磁弁19がそれぞれ設けられている。また、分岐前のガス管17には、上流側から元ガス電磁弁20、ガス比例弁21がそれぞれ設けられている。
【0030】
給湯二次熱交換器12の吸熱管の入口には、筐体底面の水入口に接続される給水管22が接続される。給水管22には、上流側から、水抜き栓を備えたストレーナ23と、給水管22を流れる水量を検出する給湯水量センサ24と、入水温度を検出する給湯入水サーミスタ25と、給水管22を流れる水量を制御する水量制御弁26とが設けられている。吸熱管の出口は、給湯一次熱交換器11の伝熱管の入口に接続され、伝熱管の出口には、筐体底面の湯出口に接続される出湯管27が接続される。出湯管27には、給湯一次熱交換器11からの出口温度を検出する給湯熱交換器サーミスタ28と、給湯熱交換器サーミスタ28より下流側で器具からの出湯温度を検出する給湯出湯サーミスタ29と、が設けられている。出湯管27における給湯出湯サーミスタ29の上流側と、給水管22における水量制御弁26の下流側との間には、給湯一次、二次熱交換器11,12をバイパスするバイパス管30が接続され、バイパス管30には、バイパス流量を制御する水分配弁31が設けられている。
こうして筐体内には、給水管22からの水が給湯二次熱交換器12、給湯一次熱交換器11の順に通過して給湯バーナ6Aの燃焼排気と熱交換して加熱された後、出湯管27から出湯される給湯回路Aが形成される。
【0031】
一方、風呂二次熱交換器14の吸熱管の入口には、筐体底面の風呂戻り口に接続された戻り管35が接続される。風呂戻り口は、外部戻り管36を介して浴槽37と接続される。戻り管35の下流側にはポンプ38が設けられている。ポンプ38の上流側には、風呂戻り温度を検出する風呂戻りサーミスタ39が設けられている。ポンプ38の下流側には、水流スイッチ40と水位センサ41とが設けられている。水流スイッチ40は、ポンプ38から送り出された湯水の水流を検知して、風呂バーナ6Bを作動させるものである。水流スイッチ40の詳細な構成については後述する。
風呂二次熱交換器14の吸熱管の出口は、風呂一次熱交換器13の伝熱管の入口に接続されている。伝熱管の出口は、筐体底面の風呂往き口に接続される往き管42に接続されている。風呂往き口は、外部往き管43を介して浴槽37と接続されている。往き管42には、風呂往き温度を検出する風呂往きサーミスタ44が設けられている。
【0032】
こうして筐体内には、ポンプ38の運転によって浴槽37の湯水が戻り管35から風呂二次熱交換器14、風呂一次熱交換器13の順に通過して風呂バーナ6Bの燃焼排気と熱交換して加熱された後、往き管42から浴槽37に戻る風呂回路B(循環回路の一例)が形成される。
【0033】
また、出湯管27におけるバイパス管30より下流側と、戻り管35におけるポンプ38よりも上流側との間には、落とし込み管45が接続される。この落とし込み管45には、上流側(出湯管27側)から、落とし込み管45を開閉する落とし込み水電磁弁46と、落とし込み管45を流れる水量を検出する風呂水量センサ47とがそれぞれ設けられている。風呂水量センサ47の下流側には、3つの逆止弁48,48,48が設けられている。これらの逆止弁48の間には、縁切弁49が接続されている。この縁切弁49は、筐体底面に設けたオーバーフロー口に接続される排水管50と、給水管22におけるストレーナ23の下流側と接続された導入管51とが接続されている。落とし込み管45内の湯水の内圧が、戻り管35からの逆圧によって高まり、導入管51からの背圧よりも大きくなると、縁切弁49は、落とし込み管45から逆流した湯水を、排水管50を介してオーバーフロー口へと排出するようになっている。
【0034】
筐体内には、給湯二次熱交換器12及び風呂二次熱交換器14で生じたドレンを中和するための中和器55が設けられている。この中和器55は、ドレン導入管57を介して排気フード15の底面に設けたドレン受け56と接続されると共に、ドレン排出管58を介して縁切弁49の排水管50と接続されている。また、中和器55には、水位を検出する水位電極59が設けられると共に、筐体底面からドレンを排出するドレン抜き口60が設けられている。
【0035】
図示しないものの、給湯器1は、各サーミスタやセンサ等の検出信号を受けて各弁等を動作させて出湯温制御や浴槽37への湯張り制御等を行うコントローラ、コントローラと通信可能に接続されるリモコン等を備えている。
【0036】
[水流スイッチ]
図2に示すように、本実施形態の水流スイッチ40は、ポンプ38の吐出口38Bと接続されている。ポンプ38の吸込口38Aは、風呂戻り口側へと接続されている。図3に示すように、水流スイッチ40の左側部には水位センサ41が取り付けられている。水位センサ41により水流スイッチ40内の湯水の水位や水圧を測定できるようになっている。
【0037】
図4に示すように、水流スイッチ40は、湯水が内部を流通するケーシング70と、ケーシング70内に配される検知片71と、検知片71の後側の端部を固定する固定部材72と、ケーシング70に固定されるリードスイッチ73と、を備えている。
【0038】
ケーシング70は合成樹脂から構成されている。ケーシング70は、箱状をなす第1本体部74と、第1本体部74の上側の開口を閉塞する蓋体75と、を備えている。ケーシング70の内部には、水流を検知するための検知室76が形成されている。固定部材72は、蓋体75の下面から下方に突出して形成されている。固定部材72は、検知室76内の後側の位置に配されている。リードスイッチ73は、蓋体75の上面の前側の位置に固定されている。
第1本体部74は、第1本体部74の底壁を上下方向に貫通して設けられる流入管部77と、第1本体部74の前壁を前後方向に貫通して設けられる流出管部78と、を備えている。流入管部77の上部は、第1本体部74の底壁よりも上方に突出している。流出管部78は、前方に延びており、配管を介して風呂二次熱交換器14の入口に接続されている。
【0039】
検知片71は、弾性変形可能な弾性片71Aと、弾性片71Aの前側の端部に固定される磁性体71Bと、を備えている。弾性片71Aの後側の端部は、固定部材72に固定されている。弾性片71Aの前側部分は、流入管部77の上部を塞ぐように、流入管部77の内部空間に対向して配されている。流入管部77から検知室76内に湯水が流れ込むと、弾性片71Aが湯水からの圧力によって固定部材72に固定された後側の端部を基端として弾性変形する。この結果、弾性片71Aの前側の端部は、流入管部77から離間するように上方へと移動する。これにより磁性体71Bがリードスイッチ73に接近することで、リードスイッチ73は開状態から閉状態に切り替わるようになっている。
【0040】
[流入管部]
第1本体部74の流入管部77は、大径部77Aと、流入管部77の下流端に配される小径部77Bと、大径部77Aと小径部77Bとを接続する接続部77Cと、を備えている。図5に示すように、小径部77Bの径D2は、大径部77Aの径D1よりも小さく設定されている。接続部77Cは、大径部77Aと小径部77Bとを円滑に接続する内周面を有している。大径部77A、及び小径部77Bは、円筒状をなしている。流入管部77の内部空間の中心を通り、流入管部77に沿って延びる仮想的な軸を中心軸79として規定した場合、大径部77A、小径部77B、及び接続部77Cは、中心軸79に関して同軸に配されている。
【0041】
上記のような流入管部77の構成によれば、下流側において流入管部77の内部空間が幅狭となるため、流入管部77に流入する際の湯水の流速に比べて、流入管部77から検知室76内へと流入する湯水の流速を増大させることができる。したがって、検知片71が弾性変形してリードスイッチ73に接近し、リードスイッチ73がオンとなる湯水の流量、すなわち水流スイッチ40の作動点を下げることができる。また、上記の流入管部77は大径部77Aと小径部77Bとを円滑に接続する接続部77Cを備えるから、流入管部77の内部空間を幅狭にすることによって生じる湯水の圧損を抑制することができる。さらに大径部77A、小径部77B、及び接続部77Cは中心軸79に同軸に設けられているから、湯水の乱流が生じにくくなっている。
【0042】
接続部77Cは、大径部77Aから小径部77Bに向かうにつれて接続部77Cの径D3が徐々に小さくなっている。詳細には、接続部77Cの内周面は円錐台の側面と同様の形状とされている。このような構成によると、流入管部77における湯水の圧損をより一層抑制することができる。
【0043】
小径部77Bの上下方向における寸法は、大径部77Aの上下方向における寸法より小さいことが好ましい。このような構成によると、流入管部77における湯水の圧損をより一層抑制することができる。
【0044】
以下、実施形態にかかる水流スイッチ40と作動点が異なる水流スイッチ140、及び2つの水流スイッチ40,140の製造方法について説明する。2つの水流スイッチ40,140において、同様に構成される共通の部材については、同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
【0045】
図6に示すように、水流スイッチ140は、水流スイッチ40と同様に、ケーシング170と、検知片71と、固定部材72と、リードスイッチ73と、を備えている。ケーシング170は合成樹脂から構成されている。ケーシング170は、箱状をなす第2本体部174と、第2本体部174の上側の開口を閉塞する蓋体75と、を備えている。第2本体部174は、第2本体部174の底壁を上下方向に貫通して設けられる流入管部177と、第2本体部174の前壁を前後方向に貫通して設けられる流出管部78と、を備えている。
【0046】
第2本体部174の流入管部177は、実施形態の流入管部77と異なる形状を有している。流入管部177は一定の径D4を有する円筒状とされている。また、流入管部177の径D4は、小径部77Bの径D2よりも大きく設定されている。これにより、第2本体部174を備える水流スイッチ140の作動点を、第1本体部74を備える水流スイッチ40の作動点より大きくすることができる。換言すると、水流スイッチ140のリードスイッチ73がオンとなるのに必要な湯水の流量を、水流スイッチ40における同流量よりも、大きく設定することができる。
【0047】
上記のように、水流スイッチ40,140は、第1本体部74、第2本体部174を除くと、同一の部材により構成されている。よって、異なる作動点を有する2つの水流スイッチ40,140を製造するコストを低減することができる。また、第1本体部74と第2本体部174とは、合成樹脂製であって、流入管部77,177の形状を除いて同様に構成されている。よって、第1本体部74または第2本体部174を製造するための金型のうち、流入管部77,177を形成するための金型ピンを変更するだけで、第1本体部74と第2本体部174とを容易に作り分けることができる。したがって、本実施形態によれば、作動点が異なる水流スイッチ40,140を低コストで簡便に製造することができる。
【0048】
[実施形態の作用効果]
以上のように、本開示の水流スイッチ40は、湯水の経路を構成するケーシング70と、ケーシング70内に形成された検知室76内に揺動可能に設けられた検知片71と、検知片71の一端部を固定する固定部材72と、ケーシング70に固定されて、検知片71の接近により湯水の流れを検出するリードスイッチ73と、を備え、ケーシング70は、検知室76に湯水を流入させる流入管部77を備え、流入管部77は、大径部77Aと、大径部77Aよりも小さい径D2を有し、流入管部77の下流端に配される小径部77Bと、大径部77Aと小径部77Bとを円滑に接続する内周面を有する接続部77Cと、を備え、大径部77A、小径部77B、及び接続部77Cは、流入管部77の内部空間の中心を通り、流入管部77に沿って延びる中心軸79に関して同軸に配されている。
【0049】
このような構成によると、流入管部77は、大径部77Aと、下流端に配される小径部77Bと、大径部77A及び小径部77Bを円滑に接続する接続部77Cを備えるから、接続部77Cにおいて圧損を抑制しつつ湯水を整流し、小径部77Bにおいて湯水を加速させることができる。また、大径部77A、小径部77B、及び接続部77Cは、中心軸79に関して同軸に配されているから、湯水が流入管部77を通り検知室76に流入する際、乱流が生じにくい。
【0050】
実施形態では、接続部77Cは、大径部77Aから小径部77Bに向かうにつれて径D3が徐々に小さくなっている。
【0051】
このような構成によると、湯水の圧損をより一層抑制することができる。
【0052】
本実施形態の水流スイッチ40,140の製造方法は、湯水の流れを検出する水流スイッチ40,140の製造方法であって、合成樹脂から蓋体75、第1本体部74、及び第2本体部174を構成する工程と、蓋体75に検知片71を揺動可能に支持する工程と、蓋体75に検知片71の接近により閉状態となるリードスイッチ73を固定する工程と、第1本体部74及び第2本体部174のいずれか一方と蓋体75とを組み付けて、検知室76を有するケーシング70,170を構成する工程と、を含み、第1本体部74及び第2本体部174は、検知室76へと湯水を流入させる流入管部77,177を備え、第1本体部74の流入管部77は、大径部77Aと、大径部77Aよりも小さい径D2を有し、流入管部77の下流端に配される小径部77Bと、大径部77Aと小径部77Bとを円滑に接続する内周面を有する接続部77Cと、を備え、大径部77A、小径部77B、及び接続部77Cは、流入管部77の内部空間の中心を通り、流入管部77に沿って延びる中心軸79に関して同軸に配されている。
【0053】
上記の水流スイッチ40,140の製造方法によると、第1本体部74及び第2本体部174のいずれか一方を選択的に組み付けることにより2種類の水流スイッチ40,140を製造することができる。第1本体部74及び第2本体部174は流入管部77,177を備え、合成樹脂から構成されるから、金型の一部を変更することで流入管部77,177の形状を変更し、2種類の水流スイッチ40,140の作動点、すなわち、リードスイッチ73が閉状態となる湯水の流量を異ならせることができる。
【0054】
特に、第1本体部74の流入管部77は、大径部77Aと、下流端に配される小径部77Bと、大径部77A及び小径部77Bを円滑に接続する接続部77Cを備えるから、接続部77Cにおいて圧損を抑制しつつ湯水を整流し、小径部77Bにおいて湯水を加速させることができる。よって、第1本体部74を備える水流スイッチ40の作動点を小さく設定しやすい。
【0055】
実施形態の水流スイッチ40,140の製造方法において、接続部77Cは、大径部77Aから小径部77Bに向かうにつれて径D3が徐々に小さくなっている。
【0056】
上記の水流スイッチ40,140の製造方法によると、第1本体部74を備える水流スイッチ40において湯水の圧損をより一層抑制することができる。
【0057】
実施形態の水流スイッチ40,140の製造方法において、第2本体部174の流入管部177は、一定の径D4を有する円筒状とされている。
【0058】
上記の水流スイッチ40,140の製造方法によると、第2本体部174を容易に構成することができる。
【0059】
実施形態の水流スイッチ40,140の製造方法において、第2本体部174の流入管部177の径D4は、小径部77Bの径D2よりも大きい。
【0060】
上記の水流スイッチ40,140の製造方法によると、簡便な構成によって、第2本体部174を備える水流スイッチ140の作動点を、第1本体部74を備える水流スイッチ40の作動点より大きくすることができる。
【0061】
<他の実施形態>
(1)上記実施形態では、接続部77Cの内周面は円錐台の側面と同様の形状を有していたが、接続部は図7に示すような形状であってもよい。詳細には、水流スイッチ240の流入管部277は大径部77A、小径部77B、及び接続部277Cを備え、接続部277Cの内周面は大径部77A及び小径部77Bとの連結部分にそれぞれアール形状を有する曲面状をなしていてもよい。
【0062】
(2)上記実施形態にかかる水流スイッチ40,140の製造方法では、第2本体部174の流入管部177は一定の径D4を有していたが、第2本体部の流入管部の形状は適宜変更することができる。例えば、第2本体部の流入管部は、第1本体部の流入管部と同様に、大径部、小径部、及び接続部を備え、各部の寸法もしくは接続部の形状等が第1本体部と異なって構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0063】
1:給湯器
2:内胴、3:仕切部材、4:給湯燃焼室、5:風呂燃焼室、6:バーナ、6A:給湯バーナ、6B:風呂バーナ、8:点火プラグ、9:フレームロッド、10:燃焼ファン、11:給湯一次熱交換器、12:給湯二次熱交換器、13:風呂一次熱交換器、14:風呂二次熱交換器、15:排気フード、16:排気口、17:ガス管、18:ガス分岐管、19:ガス電磁弁、20:元ガス電磁弁、21:ガス比例弁、22:給水管、23:ストレーナ、24:給湯水量センサ、25:給湯入水サーミスタ、26:水量制御弁、27:出湯管、28:給湯熱交換器サーミスタ、29:給湯出湯サーミスタ、30:バイパス管、31:水分配弁、35:戻り管、36:外部戻り管、37:浴槽、38:ポンプ、39:風呂戻りサーミスタ、40:水流スイッチ、41:水位センサ、42:往き管、43:外部往き管、44:風呂往きサーミスタ、45:落とし込み管、46:落とし込み水電磁弁、47:風呂水量センサ、48:逆止弁、49:縁切弁、50:排水管、51:導入管、55:中和器、56:ドレン受け、57:ドレン導入管、58:ドレン排出管、59:水位電極、60:ドレン抜き口
A:給湯回路、B:風呂回路
70:ケーシング、71:検知片、71A:弾性片、71B:磁性体、72:固定部材、73:リードスイッチ、74:第1本体部、75:蓋体、76:検知室
77:流入管部、77A:大径部、77B:小径部、77C:接続部、78:流出管部、79:中心軸
D1:大径部77Aの径、D2:小径部77Bの径、D3:接続部77Cの径
140:水流スイッチ
170:ケーシング、174:第2本体部、177:流入管部
D4:流入管部177の径
240:水流スイッチ
277:流入管部、277C:接続部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7