(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024065324
(43)【公開日】2024-05-15
(54)【発明の名称】モータ
(51)【国際特許分類】
H02K 5/22 20060101AFI20240508BHJP
H02K 5/20 20060101ALI20240508BHJP
【FI】
H02K5/22
H02K5/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022174132
(22)【出願日】2022-10-31
(71)【出願人】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】ニデック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142022
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 一晃
(74)【代理人】
【識別番号】100196623
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 計介
(72)【発明者】
【氏名】牧野 恵太
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼久 伸男
(72)【発明者】
【氏名】橋本 知啓
(72)【発明者】
【氏名】川上 裕嗣
【テーマコード(参考)】
5H605
【Fターム(参考)】
5H605AA00
5H605AA01
5H605BB05
5H605BB10
5H605CC01
5H605CC02
5H605DD13
5H605DD32
5H605GG06
(57)【要約】 (修正有)
【課題】簡単な構成により、ハウジングの筒部と蓋部との間から冷媒が漏れることを防止可能なモータを提供する
【解決手段】軸線方向に延びるステータと、前記ステータに対して回転するロータと、前記ステータ及び前記ロータを収容するハウジング1と、を有する。前記ハウジングは、前記軸線方向に延びる筒状の側壁11と、前記側壁に位置し、前記軸線方向の端面に開口する冷媒流路13とを有する筒部10と、前記筒部の前記軸線方向の前記端面を覆う蓋部20と、前記筒部と、前記蓋部とを前記軸線方向に締結する締結部30と、を有する。前記筒部及び前記蓋部の少なくとも一方は、前記ハウジングを前記軸線方向から見て、前記蓋部の内側面20a及び前記筒部側の前記端面10aにおいて前記締結部と重なる部分の少なくとも一部に、前記軸線方向に凹む凹部40を有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線方向に延びるステータと、
前記ステータに対して回転するロータと、
前記ステータ及び前記ロータを収容するハウジングと、
を有するモータであって、
前記ハウジングは、
前記軸線方向に延びる筒状の側壁と、前記側壁に位置し、前記軸線方向の端面に開口する冷媒流路とを有する筒部と、
前記筒部の前記軸線方向の前記端面を覆う蓋部と、
前記筒部と、前記蓋部とを前記軸線方向に締結する締結部と、
を有し、
前記筒部及び前記蓋部の少なくとも一方は、
前記ハウジングを前記軸線方向から見て、前記蓋部の内側面及び前記筒部の前記端面において前記締結部と重なる部分の少なくとも一部に、前記軸線方向に凹む凹部を有する、
モータ。
【請求項2】
請求項1に記載のモータにおいて、
前記締結部は、
前記筒部の前記端面に位置する前記冷媒流路の前記開口に対して、前記筒部の外周側に位置し、
前記凹部は、
前記ハウジングを前記軸線方向から見て、前記締結部と重なる部分から前記開口に向かって延びている、
モータ。
【請求項3】
請求項2に記載のモータにおいて、
前記ハウジングを軸線方向から見て前記開口に対する外周側には、前記凹部が位置し、前記ハウジングを軸線方向から見て前記開口に対する内周側では、前記蓋部の前記内側面と前記筒部の前記端面とが接触している、
モータ。
【請求項4】
請求項2に記載のモータにおいて、
前記開口は、前記筒部の前記端面を周方向に延び、
前記凹部は、
前記ハウジングを前記軸線方向から見て、前記開口に対して外周側で前記開口に沿って前記周方向に延びている、
モータ。
【請求項5】
請求項4に記載のモータにおいて、
前記凹部は、
前記ハウジングを前記軸線方向から見て、前記締結部と重なる部分に対して前記周方向の一方及び他方に延びている、
モータ。
【請求項6】
請求項4または請求項5に記載のモータにおいて、
前記凹部は、
前記ハウジングを前記軸線方向から見て、前記開口に対して外周側で前記開口に沿って前記周方向の全周に延びている、
モータ。
【請求項7】
請求項1に記載のモータにおいて、
前記開口は、
前記筒部の前記端面に周方向に並ぶ複数の分割開口部を含み、
前記締結部は、
前記ハウジングを前記軸線方向から見て、前記複数の分割開口部のうち周方向に隣り合う分割開口部の間に位置し、
前記凹部は、
前記ハウジングを前記軸線方向から見て、前記締結部と重なる部分から前記周方向に位置する分割開口部に向かって前記周方向に延びている、
モータ。
【請求項8】
請求項7に記載のモータにおいて、
前記複数の分割開口部は、前記筒部の前記端面を前記周方向に延び、
前記凹部は、
前記ハウジングを前記軸線方向から見て、前記複数の分割開口部に対して外周側及び内周側で前記複数の分割開口部に沿って前記周方向に延びている、
モータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータに関する。
【背景技術】
【0002】
筒部及び前記筒部の軸線方向の端面を蓋部で覆うモータのハウジングにおいて、前記筒部に冷媒流路が位置するとともに、前記冷媒流路の開口が前記筒部の軸線方向の前記端面に開口するモータが知られている。例えば、特許文献1には、本体部及び前記本体部の端面を覆う蓋部を備えるモータのハウジングにおいて、前記本体部には、軸線方向の一方側の端面に開口し、円周方向に延在する冷媒流路が形成されると共に、前記蓋部により前記冷媒流路の開口が塞がれる構成が開示されている。
【0003】
前記特許文献1の構成では、前記本体部の開口側の端面と前記蓋部間には、シール部材としてのガスケットが配設されている。前記ガスケットを介して前記蓋部は前記本体部に締結されている。前記ガスケットは、回転軸に対して同心円形状を有し、外周側に及び内周側に同心円状に位置する突起を有する。特許文献1の構成では、前記突起の高さを調整することにより、前記冷媒流路のシール性の向上を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献1の構成では、前記ガスケット及び前記ガスケットが有する前記突起によって、蓋部と筒部としての本体部との間から冷媒が漏れることを防止している。このように、特許文献1の構成では、筒部と蓋部との間から冷媒が漏れることを防止するために、前記蓋部と前記筒部とは別に、追加の部材を用いている。これに対して、追加の部材を用いることなく、筒部と蓋部との間から冷媒が漏れることを防止可能な構成が求められている。
【0006】
本発明の目的は、簡単な構成により、ハウジングの筒部と蓋部との間から冷媒が漏れることを防止可能なモータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の例示的な一実施形態に係るモータは、軸線方向に延びるステータと、前記ステータに対して回転するロータと、前記ステータ及び前記ロータを収容するハウジングと、を有するモータである。前記ハウジングは、前記軸線方向に延びる筒状の側壁と、前記側壁に位置し、前記軸線方向の端面に開口する冷媒流路とを有する筒部と、前記筒部の前記軸線方向の前記端面を覆う蓋部と、前記筒部と、前記蓋部とを前記軸線方向に締結する締結部と、を有する。前記筒部及び前記蓋部の少なくとも一方は、前記ハウジングを前記軸線方向から見て、前記蓋部の内側面及び前記筒部側の前記端面において前記締結部と重なる部分の少なくとも一部に、前記軸線方向に凹む凹部を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一実施形態によれば、簡単な構成により、筒部と蓋部との間から冷媒が漏れることを防止可能なモータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態1に係るモータの概略構成を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態1に係るモータのハウジングを、蓋部の一部の図示を省略して、軸線方向から見た図である。
【
図4】
図4は、実施形態1の変形例に係るモータのハウジングにおける
図3相当図である。
【
図5】
図5は、実施形態2に係るモータのハウジングを、蓋部の一部の図示を省略して、軸線方向から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照し、本発明の例示的な実施の形態を詳しく説明する。なお、図中の同一または相当部分については同一の符号を付してその説明は繰り返さない。また、各図中の構成部材の寸法は、実際の構成部材の寸法及び各構成部材の寸法比率等を忠実に表しているわけではない。
【0011】
なお、以下のハウジング1の説明では、ハウジング1に収容されるステータ82の中心軸Pと平行な方向を軸線方向、ステータ82を前記軸線方向から見て中心軸Pを中心とする円弧に沿う方向を周方向とそれぞれ称する。
【0012】
また、以下の説明において、“固定”、“接続”及び“取り付ける”等の表現は、部材同士が直接、固定等されている場合だけでなく、他の部材を介して固定等されている場合も含む。すなわち、以下の説明において、固定等の表現には、部材同士の直接的及び間接的な固定等の意味が含まれる。
【0013】
(実施形態1)
(モータの構成)
図1から
図3を参照して、本発明の例示的な実施形態に係るモータ80について説明する。
図1に示すように、モータ80は、ロータ81と、ステータ82と、シャフト83と、ハウジング1とを有する。
【0014】
ロータ81は、ステータ82に対して、中心軸Pを中心として回転する。本実施形態では、モータ80は、筒状のステータ82内に、ロータ81が中心軸Pを中心として回転可能に位置する、いわゆるインナーロータ型のモータである。
【0015】
ロータ81は、ステータ82の径方向内方に位置し、ステータ82に対して回転可能である。ロータ81は、中心軸Pに沿って延びるシャフト挿入孔81aを有する。シャフト挿入孔81aには、シャフト83が固定される。ロータ81の構成は、従来の構成と同様であるため、ロータ81についての詳しい説明は、省略する。
【0016】
ステータ82は、ハウジング1内に収容される。ステータ82は、中心軸Pに沿って軸線方向に延びる筒状である。ステータ82の径方向内方には、ロータ81が位置する。すなわち、ステータ82は、ロータ81に対して径方向に対向して位置する。ステータ82の構成は、従来の構成と同様であるため、ステータ82についての詳しい説明は、省略する。
【0017】
シャフト83は、シャフト挿入孔81aを軸線方向に貫通した状態で、ロータ81に対して固定される。これにより、ロータ81は、シャフト83とともに回転する。
【0018】
ハウジング1は、筒部10と、蓋部20と、底部25と、締結部30と、シール部材50とを有する。ハウジング1は、ロータ81、ステータ82、及び、シャフト83の一部を収容する。
【0019】
図1及び
図2に示すように、筒部10は、軸線方向に延びる筒状である。筒部10は、軸線方向の一方の端面10aと、他方の端面10bとを有する。
【0020】
筒部10は、側壁11と、冷媒流路13とを有する。側壁11は、軸線方向に延びる筒状である。すなわち、
図2に示すように、側壁11の軸線方向の端面は、環状である。なお、
図2は、ハウジング1を軸線方向から見た図である。
図2では、説明のため、蓋部20の図示を一部省略するとともに、蓋部20を省略した部分では、締結部30の頭部32を二点鎖線で示している。また、
図2では、説明のため、凹部40に斜線を付している。
【0021】
図1及び
図2に示すように、側壁11は、耳部12を有する。耳部12は、側壁11の周方向の所定位置で、外方に突出している。
【0022】
筒部10は、耳部12における端面10a上に被締結部12aを有する。本実施形態では、被締結部12aは、端面10aに開口する軸線方向に延びるネジ孔である。被締結部12aの前記ネジ孔には、後述する締結部30の先端が締結される。
【0023】
冷媒流路13は、側壁11に位置する。冷媒流路13は、ステータ82を冷却する冷媒の流路である。冷媒流路13は、端面10aに開口している。
【0024】
図2に示すように、筒部10は、端面10a上に冷媒流路13の開口13aを有する。本実施形態では、冷媒流路13の開口13aは、筒部10の軸線方向の端面10aを周方向に延びる複数の分割開口部15によって構成されている。
【0025】
複数の分割開口部15は、筒部10を軸線方向から見て、筒部10の端面10a上を周方向に延びている。複数の分割開口部15は、端面10aに周方向に並んでいる。筒部10の分割開口部15から、冷媒流路13を流れる冷媒は、出入り可能である。
【0026】
本実施形態では、筒部10は、端面10aに軸線方向に凹む凹部40を有する。詳細は後述するが、凹部40は、少なくとも、軸線方向から見て筒部10側の端面10aにおいて締結部30と重なる部分のうち、内周側に位置している。
【0027】
図2に示すように、蓋部20は、円板状である。蓋部20は、筒部10の軸線方向の端面10aを覆う。蓋部20の厚み方向の一方の面である内側面20aは、筒部10の端面10aと対向している。蓋部20の厚み方向の他方の面である外側面20bは、ハウジング1における軸線方向の端面を構成している。蓋部20は、筒部10の端面10aに位置する分割開口部15から、冷媒が外に漏れることを防止する。
【0028】
蓋部20は、ハウジング1を軸線方向から見て、筒部10の耳部12と重なる位置に、外方に突出する耳部22を有する。
【0029】
図2及び
図3に示すように、蓋部20は、耳部22に被締結部22aを有する。本実施形態では、被締結部22aは、蓋部20を厚み方向に貫通する貫通孔である。被締結部22aは、後述する締結部30の軸部31が貫通している。
【0030】
底部25は、筒部10の軸線方向の端面10bを覆う。底部25は、図示省略する締結部材によって、筒部10に対して固定されている。
【0031】
締結部30は、筒部10の端面10aと、端面10aと対向する蓋部20の内側面20aとが対向した状態で、筒部10と蓋部20とを前記軸線方向に締結する。
【0032】
上述したように、筒部10の被締結部12aは、側壁11の周方向の所定位置で、外方に突出している耳部12に位置している。よって、本実施形態では、締結部30は、筒部10の端面10aに位置する冷媒流路13の開口13aである分割開口部15に対して、筒部10の外周側に位置している。
【0033】
本実施形態では、締結部30は、ボルトである。すなわち、締結部30は、ねじ部を有する軸部31と、軸部31を回転操作するための頭部32とを有する。
【0034】
図3に示すように、軸部31の先端部は、蓋部20の被締結部22aを貫通して筒部10の被締結部12aに締結されている。頭部32は、蓋部20の内側面20aとは反対側の外側面20b上に位置している。
【0035】
本実施形態では、締結部30は、中心軸が、ハウジング1の軸線方向に対して傾斜した状態で、蓋部20と筒部10とを締結している。詳細には、締結部30の中心軸は、頭部32側が、先端側に対してハウジング1の中心側に位置している。
【0036】
シール部材50は、ハウジング1を軸線方向から見て、筒部10における分割開口部15の周囲に位置している。シール部材50は、例えばモータ80の製造時に分割開口部15の周囲に塗布された液体ガスケットが硬化することにより得られる。
【0037】
(凹部の構成)
図2及び
図3を参照して、筒部10の端面10aに位置する凹部40について、詳細に説明する。
【0038】
本実施形態では、凹部40は、締結内側凹部41と、開口外側凹部42と、耳凹部43とを含む。締結内側凹部41は、ハウジング1を軸線方向から見て、締結部30と重なる部分から開口13aに向かって延びている。開口外側凹部42は、軸線方向から見て、分割開口部15の外周側で、筒部10の周方向に延びている。耳凹部43は、軸線方向から見て、締結部30と重なる部分に対して前記周方向に延びている。
【0039】
凹部40内には、シール部材50が位置している。
【0040】
以上の構成を有する例示的な本実施形態に係るモータ80は、軸線方向に延びるステータ82と、ステータ82に対して回転するロータ81と、ステータ82及びロータ81を収容するハウジング1と、を有するモータ80である。ハウジング1は、前記軸線方向に延びる筒状の側壁11と、側壁11に位置し、前記軸線方向の端面10aに開口する冷媒流路13とを有する筒部10と、筒部10の前記軸線方向の端面10aを覆う蓋部20と、筒部10と、蓋部20とを前記軸線方向に締結する締結部30と、を有する。筒部10は、ハウジング1を前記軸線方向から見て、筒部10の端面10aにおいて締結部30と重なる部分の少なくとも一部に、前記軸線方向に凹む凹部40を有する。
【0041】
締結部30によって、蓋部20及び筒部10を軸線方向に締結すると、蓋部20には、筒部10側への力が加えられる。
図2に示すように、筒部10は、軸線方向から見て端面10aにおいて締結部30と重なる部分のうち、内周側に軸線方向に凹む凹部40を有する。よって、
図3に示すように、締結部30によって蓋部20と筒部10とを軸線方向に締結する際に、凹部40によって、蓋部20を筒部10の端面10a側に変形させることができる。
【0042】
これにより、軸線方向から見て、蓋部20のうち凹部40に対して締結部30とは反対側の部分を、筒部10の端面に押し付けることができる。したがって、軸線方向から見て、凹部40に対して締結部30と反対側の部分において、蓋部20の内側面20aと、筒部10の端面10aとの面圧を大きくすることができる。したがって、簡単な構成により、ハウジング1の筒部10と蓋部20との間から冷媒が漏れることを防止可能なモータ80を提供することができる。
【0043】
本実施形態では、締結部30は、筒部10の端面10aに位置する冷媒流路13の開口13aに対して、筒部10の外周側に位置する。凹部40は、ハウジング1を前記軸線方向から見て、締結部30と重なる部分から開口13aに向かって延びている。
【0044】
すなわち、凹部40は、締結部30に対して筒部10の内周側に位置し、開口13aは、凹部40に対して内周側に位置している。このように、開口13aは、前記軸線方向から見て、凹部40を挟んで締結部30とは反対側に位置している。したがって、凹部40によって蓋部20を筒部10側に変形させた場合に、凹部40を挟んで締結部30とは反対側に位置する開口13aの内周側で、蓋部20の内側面20aと、筒部10の端面10aとの面圧を大きくすることができる。よって、簡単な構成により、ハウジング1の筒部10と蓋部20との間から冷媒が漏れることを防止することができる。
【0045】
また、本実施形態では、凹部40は、ハウジング1を前記軸線方向から見て、開口13aに対して外周側で開口13aに沿って周方向に延びている。
【0046】
開口13aに沿って凹部40が周方向に延びることにより、凹部40によって蓋部20を筒部10側に変形させた場合に、筒部10の端面10aにおける冷媒流路13の開口13aよりも内周側の周方向の広い範囲で、蓋部20の内側面20aと、筒部10の端面10aとの面圧を大きくすることができる。
【0047】
なお、本実施形態では、凹部40は、ハウジング1を前記軸線方向から見て、開口13aに対して外周側で開口13aに沿って前記周方向の全周に延びている。
【0048】
このように、凹部40が周方向の全周に延びることにより、凹部40によって蓋部20を筒部10側に変形させた場合に、筒部10の端面10aにおける冷媒流路13の開口13aよりも内周側の全周において、蓋部20の内側面20aと、筒部10の端面10aとの面圧を大きくすることができる。よって、簡単な構成により、ハウジング1の筒部10と蓋部20との間から冷媒が漏れることを防止することができる。
【0049】
また、本実施形態では、凹部40は、ハウジング1を前記軸線方向から見て、締結部30と重なる部分に対して前記周方向の一方及び他方に延びている。
【0050】
この構成により、凹部40によって蓋部20を筒部10側に変形させた場合に、締結部30に対して周方向且つ内周側に位置する開口13aよりも内周側において、蓋部20の内側面20aと、筒部10の端面10aとの面圧を大きくすることができる。よって、前記軸線方向から見て、開口13aよりも内周側で且つ締結部30から周方向に離れた部分において、蓋部20の内側面20aと、筒部10の端面10aとの面圧を大きくすることができる。したがって、簡単な構成により、ハウジング1の筒部10と蓋部20との間から冷媒が漏れることを防止することができる。
【0051】
本実施形態では、ハウジング1を軸線方向から見て開口13aに対する外周側には、凹部40が位置し、ハウジング1を軸線方向から見て開口13aに対する内周側では、蓋部20の内側面20aと筒部10の端面10aとが接触している。
【0052】
すなわち、ハウジング1を軸線方向から見て、筒部10の端面10aにおける開口13aに対して外周側よりも内周側では、蓋部20の内側面20aと筒部10の端面10aとの距離が近い。よって、開口13aに対して外周側に位置する凹部40によって、蓋部20を筒部10側に変形させた場合に、開口13aの内周側における蓋部20の内側面20aと、筒部10の端面10aとの面圧を大きくすることができる。したがって、簡単な構成により、ハウジング1の筒部10と蓋部20との間から冷媒が漏れることをより確実に防止することができる。
【0053】
(実施形態1の変形例)
次に、
図4を参照して、例示的な実施形態1の変形例に係るモータのハウジング101について説明する。ハウジング101は、筒部110と、蓋部120と、底部と、締結部30と、シール部材50とを有する。なお、以下では、実施形態1と同一の構成には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0054】
本実施形態の筒部110は、端面110aに凹部を有さない。一方、蓋部120は、内側面120aに凹部140を有する。
図4に示すように、凹部140は、蓋部120の内側面120aにおいて軸線方向に凹んでいる。軸線方向から見た凹部140の位置及び形状は、実施形態1の凹部40と同様である。すなわち、軸線方向から見た凹部140の形状は、
図2に示す凹部40の形状と同じである。
【0055】
このように、本変形例では、蓋部120は、ハウジング101を前記軸線方向から見て、蓋部120の内側面120aにおいて締結部30と重なる部分の少なくとも一部に、前記軸線方向に凹む凹部140を有する。
【0056】
筒部110及び蓋部120の他の構成は、実施形態1の筒部10及び蓋部20の構成と同様であるため、説明を省略する。
【0057】
蓋部120が凹部140を有する場合でも、締結部30によって、蓋部120及び筒部110を軸線方向に締結すると、蓋部120には、筒部110側への力が加えられる。よって、締結部30によって蓋部120と筒部110とを軸線方向に締結する際に、凹部140の位置で、蓋部120を筒部110側に変形させることができる。
【0058】
これにより、軸線方向から見て、蓋部120のうち凹部140に対して締結部30とは反対側の部分を、筒部110の端面110aに押し付けることができる。したがって、軸線方向から見て、凹部140に対して締結部30と反対側の部分において、蓋部120の内側面120aと、筒部110の端面110aとの面圧を大きくすることができる。したがって、簡単な構成により、ハウジング101の筒部110と蓋部120との間から冷媒が漏れることを防止することができる。
【0059】
なお、図示は省略するが、筒部及び蓋部の両方が凹部を有してもよい。すなわち、前記筒部及び前記蓋部の少なくとも一方は、前記ハウジングを前記軸線方向から見て、前記蓋部の内側面及び前記筒部の前記端面において前記締結部と重なる部分の少なくとも一部に、前記軸線方向に凹む凹部を有する構成であってもよい。
【0060】
(実施形態2)
次に、
図5から
図7を参照して、本発明の例示的な実施形態に係るモータのハウジング201について説明する。なお、
図5は、ハウジング201を軸線方向から見た図である。
図5では、説明のため、蓋部220の図示を一部省略するとともに、蓋部220を省略した部分では、締結部230の頭部32を二点鎖線で示している。また、
図5では、説明のため、凹部240に斜線を付している。
【0061】
ハウジング201は、筒部210と、蓋部220と、底部と、締結部230と、シール部材50とを有する。
【0062】
筒部210は、側壁11と、冷媒流路13とを有する。筒部210は、軸線方向の一方の端面210aと、他方の端面とを有する。
【0063】
図5に示すように、筒部210は、端面210a上に冷媒流路13の開口13aを有する。筒部210の端面210aにおける冷媒流路13の開口13aは、実施形態1における筒部10の端面10aにおける開口13aと同様である。すなわち、開口13aは、筒部210の軸線方向の端面210aを周方向に延びる複数の分割開口部15によって構成されている。分割開口部15の形状および位置は、実施形態1と同様であるため、説明を省略する。
【0064】
図5から
図7に示すように、筒部210は、端面210aに被締結部212aを有する。本実施形態では、被締結部212aは、周方向に隣り合う分割開口部15の間に位置している。被締結部212aの構成は、実施形態1の被締結部12aと同様であるため、説明を省略する。
【0065】
本実施形態では、筒部210は、端面210aに軸線方向に凹む凹部240を有する。凹部240は、軸線方向から見て締結部230と重なっている。凹部240の構成は、後述する。
【0066】
図5に示すように、蓋部220は、円板状である。蓋部220は、筒部210の軸線方向の端面210aを覆う。蓋部220の厚み方向の一方の面である内側面220aは、筒部210の端面210aと対向している。蓋部220の厚み方向の他方の面である外側面220bは、ハウジング201における軸線方向の端面を構成している。
【0067】
蓋部220は、ハウジング201を軸線方向から見て、筒部210の被締結部212aと重なる位置に、被締結部222aを有する。被締結部222aの構成は、実施形態1の被締結部22aと同様であるため、説明を省略する。
【0068】
なお、本実施形態では、
図5に示すように、筒部210及び蓋部220は、側壁11の周方向の所定位置で、外方に突出する耳部を有する。しかしながら、筒部及び蓋部は、耳部を有さなくてもよい。
【0069】
締結部230は、ハウジング1を前記軸線方向から見て、複数の分割開口部15のうち周方向に隣り合う分割開口部15の間に位置している。
【0070】
本実施形態では、締結部230は、実施形態1と同様、軸部31と、頭部32とを有するボルトである。締結部230は、筒部210の端面210aと、端面210aと対向する蓋部220の内側面220aとが対向した状態で、筒部210と蓋部220とを前記軸線方向に締結する。
【0071】
(凹部の構成)
図5から
図7に示すように、本実施形態では、凹部240は、周方向凹部241と、開口外側凹部242と、開口内側凹部243とを含む。周方向凹部241は、軸線方向から見て、筒部210において締結部230と重なる部分から分割開口部15に向かって周方向に延びている。開口外側凹部242は、軸線方向から見て、分割開口部15の外周側で、筒部210の周方向に延びている。開口内側凹部243は、軸線方向から見て、分割開口部15の内周側で、筒部210の周方向に延びている。
【0072】
すなわち、本実施形態では、冷媒流路13の開口13aは、筒部210の端面210aに周方向に並ぶ複数の分割開口部15を含む。締結部230は、ハウジング201を前記軸線方向から見て、複数の分割開口部15のうち周方向に隣り合う分割開口部15の間に位置している。凹部240は、ハウジング201を前記軸線方向から見て、締結部230と重なる部分から前記周方向に位置する分割開口部15に向かって前記周方向に延びている。
【0073】
本実施形態では、ハウジング201を軸線方向から見て、締結部230は、周方向に並ぶ複数の分割開口部15のうち隣り合う分割開口部15の間に位置している。凹部240は、前記軸線方向から見て、締結部230から分割開口部15に向かって周方向に延びている。これにより、凹部240によって蓋部220を筒部210側に変形させた場合に、ハウジング201を軸線方向から見て締結部230と重なる部分に対して周方向に延びる部分において、蓋部220の内側面220aと、筒部210の端面210aとの面圧を大きくすることができる。
【0074】
したがって、筒部210の端面210aに位置する複数の分割開口部15の内周側及び外周側において、蓋部220の内側面220aと、筒部210の端面210aとの面圧を大きくすることができる。これにより、簡単な構成により、ハウジング201の筒部210と蓋部220との間から冷媒が漏れることを防止可能なモータを提供することができる。
【0075】
また、本実施形態では、複数の分割開口部15は、筒部210の端面210aを前記周方向に延びている。凹部240は、ハウジング1を前記軸線方向から見て、複数の分割開口部15に対して外周側及び内周側で複数の分割開口部15に沿って前記周方向に延びている。
【0076】
これにより、凹部240によって蓋部220を筒部210側に変形させた場合に、筒部210の端面210aにおける冷媒流路13の分割開口部15よりも内周側及び外周側の周方向の広い範囲で、蓋部220の内側面220aと、筒部210の端面210aとの面圧を大きくすることができる。よって、簡単な構成により、ハウジング201の筒部210と蓋部220との間から冷媒が漏れることを防止することができる。
【0077】
なお、本実施形態では、筒部210が凹部240を有する。しかしながら、実施形態1の変形例のように、蓋部が凹部を有してもよい。筒部及び蓋部の両方が凹部を有してもよい。
【0078】
(その他の実施形態)
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
【0079】
前記実施形態1では、冷媒流路13の開口13aは、複数の分割開口部15を含む。しかしながら、冷媒流路の開口は、筒部の端面に位置する1つの開口であってもよい。
【0080】
前記各実施形態では、複数の分割開口部15は、筒部10,110,210の端面10a,110a,210a上を、周方向の全周に並んでいる。しかしながら、複数の分割開口部は、筒部の端面上の一部で、周方向に並んでいてもよい。
【0081】
前記各実施形態では、複数の分割開口部15は全て、周方向に延びている。しかしながら、複数の分割開口部は全て、周方向に延びていなくてもよい。複数の分割開口部の一部だけが周方向に延びていてもよい。
【0082】
前記各実施形態では、締結部30,230は、ねじ部を有する軸部31と、頭部32とを有するボルトである。筒部10,110,210の被締結部12a,212aは、ネジ孔である。蓋部20,120,220の被締結部22a,222aは、蓋部20,120,220を厚み方向に貫通する貫通孔である。締結部30,230の軸部31の先端部は、蓋部20,120,220の被締結部22a,222aを貫通して筒部10,110,210の被締結部12a,212aに締結されている。これにより、締結部30,230は、筒部10,110,210と、蓋部20,120,220とを前記軸線方向に締結する。しかしながら、締結部は、蓋部及び筒部を軸線方向に締結する他の手段で構成されていてもよい。例えば、締結部は、蓋部及び筒部をかしめることによって実現されていてもよい。
【0083】
前記実施形態1では、凹部40,140は、締結内側凹部41と、開口外側凹部42と、耳凹部43とを含む。しかしながら、凹部は、少なくとも、軸線方向から見て締結部と重なる部分のうち、内周側に位置していればよく、開口外側凹部または耳凹部を有さなくてもよい。また、凹部が開口外側凹部を有さない場合、凹部は、締結内側凹部を有さなくてもよい。なお、筒部と蓋部との面圧を一定にするために、凹部は、締結内側凹部、開口外側凹部、耳凹部を含むことが好ましい。
【0084】
前記実施形態1では、凹部40,140の開口外側凹部42は、軸線方向から見て、分割開口部15に沿って周方向に延びている。しかしながら、開口外側凹部は、軸線方向から見て、分割開口部の一部に沿って周方向に延びていてもよい。
【0085】
前記実施形態2では、凹部240は、周方向凹部241と、開口外側凹部242と、開口内側凹部243とを含む。しかしながら、凹部は、少なくとも、軸線方向から見て締結部と重なっていればよく、開口外側凹部または開口内側凹部を有さなくてもよい。また、凹部が開口外側凹部及び開口内側凹部を有さない場合、凹部は、周方向凹部を有さなくてもよい。なお、筒部と蓋部との面圧を一定にするために、凹部は、周方向凹部、開口外側凹部、開口内側凹部を含むことが好ましい。
【0086】
前記実施形態2では、凹部240の開口外側凹部242は、軸線方向から見て、分割開口部15に沿って周方向に延びている。しかしながら、開口外側凹部は、軸線方向から見て、分割開口部の一部に沿って周方向に延びていてもよい。
【0087】
前記実施形態2では、凹部240の開口内側凹部243は、軸線方向から見て、分割開口部15に沿って周方向に延びている。しかしながら、開口内側凹部は、軸線方向から見て、分割開口部の一部に沿って周方向に延びていてもよい。
【0088】
(構成例)
なお、本技術は以下のような構成をとることも可能である。
【0089】
(1)モータは、軸線方向に延びるステータと、前記ステータに対して回転するロータと、前記ステータ及び前記ロータを収容するハウジングと、を有する。前記ハウジングは、前記軸線方向に延びる筒状の側壁と、前記側壁に位置し、前記軸線方向の端面に開口する冷媒流路とを有する筒部と、前記筒部の前記軸線方向の前記端面を覆う蓋部と、前記筒部と、前記蓋部とを前記軸線方向に締結する締結部と、を有する。前記筒部及び前記蓋部の少なくとも一方は、前記ハウジングを前記軸線方向から見て、前記蓋部の内側面及び前記筒部の前記端面において前記締結部と重なる部分の少なくとも一部に、前記軸線方向に凹む凹部を有する。
【0090】
(2)(1)に記載のモータにおいて、前記締結部は、前記筒部の前記端面に位置する前記冷媒流路の前記開口に対して、前記筒部の外周側に位置している。前記凹部は、前記ハウジングを前記軸線方向から見て、前記締結部と重なる部分から前記開口に向かって延びている。
【0091】
(3)(2)に記載のモータにおいて、前記ハウジングを軸線方向から見て前記開口に対する外周側には、前記凹部が位置し、前記ハウジングを軸線方向から見て前記開口に対する内周側では、前記蓋部の前記内側面と前記筒部の前記端面とが接触している。
【0092】
(4)(2)または(3)に記載のモータにおいて、前記開口は、前記筒部の前記端面を周方向に延びている。前記凹部は、前記ハウジングを前記軸線方向から見て、前記開口に対して外周側で前記開口に沿って前記周方向に延びている。
【0093】
(5)(4)に記載のモータにおいて、前記凹部は、前記ハウジングを前記軸線方向から見て、前記締結部と重なる部分に対して前記周方向の一方及び他方に延びている。
【0094】
(6)(4)または(5)に記載のモータにおいて、前記凹部は、前記ハウジングを前記軸線方向から見て、前記開口に対して外周側で前記開口に沿って前記周方向の全周に延びている。
【0095】
(7)(1)に記載のモータにおいて、前記開口は、前記筒部の前記端面に周方向に並ぶ複数の分割開口部を含む。前記締結部は、前記ハウジングを前記軸線方向から見て、前記複数の分割開口部のうち周方向に隣り合う分割開口部の間に位置する。前記凹部は、前記ハウジングを前記軸線方向から見て、前記締結部と重なる部分から前記周方向に位置する分割開口部に向かって前記周方向に延びている。
【0096】
(8)(7)に記載のモータにおいて、前記複数の分割開口部は、前記筒部の前記端面を前記周方向に延びている。前記凹部は、前記ハウジングを前記軸線方向から見て、前記複数の分割開口部に対して外周側及び内周側で前記複数の分割開口部に沿って前記周方向に延びている。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本発明は、冷媒流路が軸線方向の端面に開口する筒部と、前記筒部の前記端面を覆う蓋部とを有するモータのハウジングに利用可能である。
【符号の説明】
【0098】
1、101、201 ハウジング
10、110、210 筒部
10a、10b、110a、210a 端面
11 側壁
12、22 耳部
12a、22a、212a、222a 被締結部
13 冷媒流路
13a 開口
15 分割開口部
20、120、220 蓋部
20a、120a、220a 内側面
20b、220b 外側面
25 底部
30、230 締結部
31 軸部
32 頭部
40、140、240 凹部
41 締結内側凹部
42 開口外側凹部
43 耳凹部
50 シール部材
80 モータ
81 ロータ
81a シャフト挿入孔
82 ステータ
83 シャフト
241 周方向凹部
242 開口外側凹部
243 開口内側凹部