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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024065325
(43)【公開日】2024-05-15
(54)【発明の名称】作業機
(51)【国際特許分類】
   A01D 34/64 20060101AFI20240508BHJP
   B66C 23/44 20060101ALI20240508BHJP
【FI】
A01D34/64 Z
B66C23/44 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022174133
(22)【出願日】2022-10-31
(71)【出願人】
【識別番号】000171746
【氏名又は名称】株式会社ササキコーポレーション
(71)【出願人】
【識別番号】511259289
【氏名又は名称】株式会社ネクスコ・メンテナンス関東
(74)【代理人】
【識別番号】100086184
【弁理士】
【氏名又は名称】安原 正義
(74)【代理人】
【識別番号】100096389
【弁理士】
【氏名又は名称】金本 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100167634
【弁理士】
【氏名又は名称】扇田 尚紀
(72)【発明者】
【氏名】長畑 友之
(72)【発明者】
【氏名】中村 太秋
(72)【発明者】
【氏名】天間 修一
(72)【発明者】
【氏名】寒河江 克彦
(72)【発明者】
【氏名】川俣 和久
(72)【発明者】
【氏名】松本 大地
(72)【発明者】
【氏名】高橋 一紀
【テーマコード(参考)】
2B083
3F205
【Fターム(参考)】
2B083AA01
2B083BA06
2B083BA12
2B083BA17
2B083CA09
2B083CA30
2B083DA02
2B083FA16
2B083HA02
2B083HA53
3F205AA06
3F205CA07
(57)【要約】
【課題】
格納姿勢を形成することで適正な重心バランスを確保することが可能な作業機を提供する。
【解決手段】
車両Bの荷台G上に積載可能な台枠Dと、台枠Dに対して水平方向に旋回可能なマストフレームEと、マストフレームに一端側を連結して上下旋回可能に設ける伸縮手段Fと、伸縮手段の他端側に設ける作業部Cと、を備え、伸縮手段Fおよび作業部Cを荷台上に位置させた格納状態において、作業部Cが台枠Dの上方且つ伸縮手段Fの下方に位置する、
ことを特徴とする作業機A。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の荷台上に積載可能な台枠と、
前記台枠に対して水平方向に旋回可能なマストフレームと、
前記マストフレームに一端側を連結して上下旋回可能に設ける伸縮手段と、
前記伸縮手段の他端側に設ける作業部と、を備え、
前記伸縮手段および前記作業部を前記荷台上に位置させた格納状態において、前記作業部が前記台枠の上方且つ前記伸縮手段の下方に位置する、
ことを特徴とする作業機。
【請求項2】
前記伸縮手段は長尺体からなり、長尺方向を前記格納状態での前記伸縮手段は前記荷台上に折り畳むように設ける、
ことを特徴とする請求項1に記載の作業機。
【請求項3】
前記格納状態での前記伸縮手段は前記車両の進行方向後方に向けられる、
ことを特徴とする請求項2に記載の作業機。
【請求項4】
前記格納状態での前記伸縮手段は前記マストフレームに対する支点軸より低い位置に設ける、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の作業機。
【請求項5】
前記伸縮手段は、前記マストフレームに一端側を連結して前記マストフレームに対して上下旋回可能に設ける第1ブームと、
前記第1ブームの他端側に一端側を連結して前記第1ブームに対して上下旋回可能に設ける第2ブームと、を備え、
前記格納状態での前記第1ブームおよび前記第2ブームは荷台面とほぼ平行に設ける、
ことを特徴とする請求項1に記載の作業機。
【請求項6】
前記格納状態での前記第1ブームおよび第2ブームは前記車両の進行方向後方に向けられる、
ことを特徴とする請求項5に記載の作業機。
【請求項7】
前記格納状態での前記第1ブームおよび第2ブームは前記マストフレームに対する支点軸より低い位置に設ける、
ことを特徴とする請求項5または6に記載の作業機。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、作業機、詳細には農作業機に係る。
【背景技術】
【0002】
荷台を有する車両の車幅方向の外側へ突出可能とされるブーム手段と、この基端部を支持する基枠と、同ブーム手段の先端部に支持した作業機を備えた作業装置が、特許文献1によって開示されている。この作業装置は、車両の荷台に基枠を着脱可能に構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-83436号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1「車両積載式のブーム形作業装置」によると、作業装置が有するブーム手段であるブームおよびアームは、草刈り作業が終了すると基部ブラケットを旋回操作することによって、車両であるトラックの荷台の後部に収納する、とされる。
しかし、特許文献1には、ブーム手段であるブームおよびアームの具体的な収納姿勢は開示されていない。ブーム手段が車両の荷台上に適正に収納されない場合、作業装置を積載した車両の車重バランスを乱したり、作業装置自体が車体から突出したりして、車両の走行に支障をきたすおそれがある。また車両から着脱する体にも容易に行うことはできない。
【0005】
本発明は上記課題に着眼してなされたものであり、格納姿勢を形成することで適正な重心バランスを確保することが可能な作業機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、
車両の荷台上に積載可能な台枠と、
前記台枠に対して水平方向に旋回可能なマストフレームと、
前記マストフレームに一端側を連結して上下旋回可能に設ける伸縮手段と、
前記伸縮手段の他端側に設ける作業部と、を備え、
前記伸縮手段および前記作業部を前記荷台上に位置させた格納状態において、前記作業部が前記台枠の上方且つ前記伸縮手段の下方に位置する、
ことを特徴とする作業機、
に係る。
【0007】
この発明は、更に、
前記伸縮手段は長尺体からなり、長尺方向を前記格納状態での前記伸縮手段は前記荷台上に折り畳むように設ける、
ことを特徴とする作業機、
に係る。
【0008】
この発明は、更に、
前記格納状態での前記伸縮手段は前記車両の進行方向後方に向けられる、
ことを特徴とする作業機、
に係る。
【0009】
この発明は、更に、
前記格納状態での前記伸縮手段は前記マストフレームに対する支点軸より低い位置に設ける、
ことを特徴とする作業機、
に係る。
【0010】
この発明は、更に、
前記伸縮手段は、前記マストフレームに一端側を連結して前記マストフレームに対して上下旋回可能に設ける第1ブームと、
前記第1ブームの他端側に一端側を連結して前記第1ブームに対して上下旋回可能に設ける第2ブームと、を備え、
前記格納状態での前記第1ブームおよび前記第2ブームは荷台面とほぼ平行に設ける、
ことを特徴とする作業機、
に係る。
【0011】
この発明は、更に、
前記格納状態での前記第1ブームおよび第2ブームは前記車両の進行方向後方に向けられる、
ことを特徴とする作業機、
に係る。
【0012】
この発明は、更に、
前記格納状態での前記第1ブームおよび第2ブームは前記マストフレームに対する支点軸より低い位置に設ける、
ことを特徴とする作業機、
に係る。
【発明の効果】
【0013】
この発明は、格納姿勢を形成することで適正な重心バランスを確保することが可能な作業機を提供する目的を達成できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】この発明の実施例に係る作業機の側面図である。作業部は格納状態である。車両進行方向左側のアオリは図示省略する。緊縛部材は図示省略する。
図2】この発明の実施例に係る作業機の平面図である。作業部は格納状態である。ウェイトは車体中央側に寄った状態である。
図3】この発明の実施例に係る作業機の背面図である。作業部は格納状態である。車両に搭載した作業機を、車両を断面した状態で示す。
図4】この発明の実施例に係る作業機の側面図である。作業部は展開状態である。車両進行方向左側のアオリは図示省略する。緊縛部材は図示省略する。
図5】この発明の実施例に係る作業機の平面図である。作業部は展開状態である。ウェイトは車体の進行方向右側に寄った図である。
図6】この発明の実施例に係る作業機の背面図である。作業部は展開状態である。車両に搭載した作業機部を示す断面図であり、展開状態の一例を示す。
図7】この発明の実施例に係る作業機の背面図である。送風機を車両に搭載した状態を示す背面図である。後部アオリは一部を切り欠いて表現してある。
図8】この発明の実施例に係る作業機の要部拡大図である。送風機を車両に搭載したノズル部の進行方向左側面の拡大図である。荷台及び後部アオリは断面をあらわす。
図9】この発明の実施例に係る作業機の要部拡大図である。送風機を車両に搭載したノズル部の背面拡大図である。
図10】この発明の実施例に係る作業機の背面図である。カウンタウェイトを車両に搭載した状態をあらわす。後部アオリは図示を省略する。ウェイトは進行方向右側に移動した状態をあらわす。
図11】この発明の実施例に係る作業機の拡大背面図である。カウンタウェイトが進行方向右側に移動した状態の要部拡大断面図である。
図12】この発明の実施例に係る作業機の側面拡大図である。カウンタウェイトが進行方向右側に移動した状態の要部の進行方向左側面の拡大図をあらわす。
図13】この発明の実施例に係る作業機の拡大底面図である。カウンタウェイトが進行方向右側に移動した状態であって、ウェイトの動作駆動に係る部分の拡大図である。
図14】この発明の実施例に係る作業機の第1センサ部の左側面拡大図である。
図15】この発明の実施例に係る作業機の第1センサ部の背面拡大図である。
図16】この発明の実施例に係る作業機の第1センサ部の平面拡大図である。
図17】この発明の実施例に係る作業機のカウンタウェイトの操作部の背面拡大図である。
図18】この発明の実施例に係る作業機の油圧回路図である。送風機の駆動に係る油圧回路図を示す。第1切換弁は第2切換ブロックに切り替えた状態を示す。
図19】この発明の実施例に係る作業機の作業の様子をあらわす背面図である。作業は、水平作業である。
図20】この発明の実施例に係る作業機の作業の様子をあらわす背面図である。作業は、上傾斜作業である。
図21】この発明の実施例に係る作業機の作業の様子をあらわす背面図である。作業は、下傾斜作業である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
この発明の実施例に係る作業機Aについて図面にしたがって説明する。
(発明の概要)
この発明の実施例に係る装置である作業機Aは、荷台Gを有するトラック等の車両Bの荷台Gに着脱可能に搭載し、走行する車両Bの側方に位置する草木等を刈る。作業機Aは、荷台G上に配置する台枠Dに複数のブームからなる伸縮手段Fを有し、伸縮手段Fの先端に草木等を刈る作業部Cを有している。
作業部Cは、伸縮手段Fを旋回させることによって、荷台G上に伸縮手段Fおよび作業部Cを位置させた格納状態と、車両Bの側方に作業部Cを位置させた展開状態とに移動が可能である。展開状態の作業部Cは、伸縮手段Fを旋回させることによって、車両Bの側方のあらゆる場所に位置させることで、草刈作業を行うものである。
更に、この発明の実施例に係る作業機Aは、刈った後の草である異物を作業面上から送風機Hで発生させた気流をノズルJ1から排出することで除去することが可能である。
【0016】
送風機Hを台枠Dの後方に作業部Cとの間に間隔を空けて位置させる。そのため、作業部Cで刈り取った刈草を、荷台G後方、特に車両Bの最後部に位置したノズルJ1から作業後の作業面に気流を吹きかけることによって、作業面上の異物を側方の遠方に向けて吹き飛ばすことが可能である。作業機A、特に伸縮手段Fおよび作業部Cは、台枠Dごと車両Bの荷台G上から取り除くことが可能であり、送風機HおよびノズルJ1等も荷台G上から容易に着脱することを可能としているので、車両Bを通常の貨物車量として活用が可能である。すなわち、車両Bは、作業機A付き車両Bと貨物車両Bとに、態様の変更が自在であるため、車両B本体の稼働率の向上が期待できる。
そのため、この発明の実施例では、人員が少なくとも、草刈作業を行うことができる。
更に、この発明の実施例に係る作業機Aは、カウンタウェイトUを備える。そのため、車両Bの側方に作業部Cを位置させた展開状態でも、車両の重量バランスを適正に形成することが可能である。
実施例において、図1に示す誌面上の左側を前方、図1に示す誌面上の右側を後方として説明する。また、図1に示す誌面上の上側を上方、図1に示す誌面上の下側を下方として説明する。また、図2に示す誌面上の上側を進行方向に対する右側、図2に示す誌面上の下側を進行方向に対する左側として説明する。
【0017】
車両Bについて説明する。この発明の実施例で車両Bは、荷台Gを有した平ボディ式の貨物車両Bであり、実施例で用いる貨物車両Bの車両サイズは所謂2トントラックからなる。もちろん、例示した貨物車量の車両サイズ以外を用いることも可能である。荷台Gの側部および後方の3方にアオリ21と呼ばれる積載物の落下防止板を有している。後部アオリは211、後部アオリ211を挟んだ2方の側部アオリは212であらわす。実施例でのアオリ21の高さは、3方とも同じものとして説明する。
B1は、車両Bにおける、キャビンである。車両Bの前方に位置するキャビンB1には、作業者B2、運転者である作業者B3が搭乗する。作業者B2は、操作部Vを操作する。なお、実施例での車両BはキャビンB1側である前方に移動しながら草刈作業をおこなう。
【0018】
図5に図示する車両Bおよび荷台G関係の寸法は以下となる。なお、以下に示す寸法は例であって、本発明はこの寸法関係に限定されない。
L1 車両全長 5.98m
L2 荷台全長 4.35m
W1 車両全幅 1.95m
W2 荷台全幅 1.85m
【0019】
台枠Dについて説明する。
台枠Dは、車両Bの荷台G上且つ荷台Gの前方側に着脱自在に積載可能である。
台枠Dは、長尺材を格子状に組み合わせた部材である。台枠Dは、荷台G上に接地する接地部D1と、荷台Gに固定する固定部D3と、マストフレームEおよび伸縮手段Fを支持する支持部D2と、を有する。
接地部D1は荷台Gの前方側に配置する。固定部D3は接地部D1の進行方向側方の上方に位置させ、上部をアオリ21上端部より高く設ける。固定部D3とアオリ21または荷台Gとの間にロープ、鎖、ターンバックル、荷締機等の緊縛部材D4によって強固に縛り付け、台枠Dは荷台Gに一体的に固定される。実施例での緊縛部材D4は複数用いて、両側の側部アオリ211と固定している。支持部D2は接地部D1の前方側端部に設け、上方に向けて格子状に組み合わせた長尺材を配置する。台枠Dの左右方向の一端側に、荷台G面に対して法面方向あるいは垂直方向に向けた第1旋回軸E1を配置する
【0020】
マストフレームEについて説明する。
マストフレームEは、車両Bのアオリ21や台枠Dの固定部D3より高い位置に設ける。
第1旋回軸E1にはマストフレームEの一方側を取り付け、伸縮手段Fおよび作業部Cを水平方向に旋回させることが可能である。マストフレームEは、台枠Dに対して水平方向に旋回可能に取り付ける。マストフレームEはアオリ21や固定部D3より高い位置に設けているので、旋回によってアオリ21や固定部D3と接触することがない。また、マストフレームEの下方と接地部D1との間に空間を設けることが可能となり、後述の作業部Cを格納する場合に、マストフレームEが作業部Cと近接することを防止できる。マストフレームEは、支持部D2とマストフレームEの間にかけ渡した第1シリンダ11の伸縮によって、第1旋回軸E1まわりに旋回駆動が可能である。
マストフレームEの他方側には、水平軸である第2旋回軸E2を設ける。
【0021】
伸縮手段Fについて説明する。
伸縮手段Fは、マストフレームEの第2旋回軸E2に一端側を連結して上下旋回可能に設ける。伸縮手段Fは、台枠Dに連結され、車両Bの側方に伸縮するように展開が可能である。伸縮手段Fは、第1ブーム16、第1連結体18、第2ブーム17、第2連結体19、前後軸である第5旋回軸E5を有する。
第1ブーム16は、マストフレームEに設けた第2旋回軸E2に一端側を連結してマストフレームEに対して上下旋回可能に設ける。第2ブーム17は、第1ブーム16の他端側に一端側を連結して前記第1ブーム16に対して上下旋回可能に設ける。さらに、第2ブーム17は、前記第1ブーム16の旋回方向と交差する方向に旋回可能に設ける。第2ブーム17の他端側に第2連結体19の一端側を連結している。
伸縮手段Fは、第2連結体19に連結した作業部Cを任意方向に移動させる。伸縮手段Fは、荷台G上に格納可能である。伸縮手段Fおよび作業部Cを荷台G上に位置させた格納状態において、作業部Cが台枠Dの上方且つ伸縮手段Fの下方に位置する。そのため、図1に図示するように重心を低くすることが可能である。
【0022】
作業部Cについて説明する。
作業部Cは、第2連結体19の他端側に配置する。作業部Cは、図4乃至図6に示す展開状態において、第2連結体19の他端側に配置した前後方向に向けた水平軸である第5旋回軸E5まわりに上下旋回が自在である。作業部Cは、第2連結体19と、作業部Cにかけ渡した第5シリンダ15の伸縮によって、上下方向に旋回駆動が可能である。
【0023】
この発明の実施例における作業部Cは、図5図6に図示するように、左右方向に長いカバー体の内部に、左右方向に向けた回転駆動する水平軸であるロータ軸C1を配置し、このロータ軸C1方向に間隔をあけて配置するとともに、ロータ軸C1の回転方向に複数配置した刈刃C2を有する。刈刃C2はロータ軸C1の回転駆動によって、草木等を切断および粉砕する。作業部Cは上記で示したが、回転方向、刈刃C2の配置およびこの個数、草木の切断方式に限定はない。例えば、刈刃C2は索状体であってもよいし、作業面に対する鉛直軸まわりに回転する刈刃C2によるもの、および、これを左右方向に複数配置したもの、左右方向に往復動する刈刃C2を有した作業部Cでもよい。
【0024】
作業部Cは、上下に移動可能であるので、作業面に凹凸があっても作業部Cを適宜作業面に沿わせて刈り取ることが可能である。
作業部Cで、例えば高速道路等の道路の路肩で作業をする場合は、図19乃至図21に図示するように、作業部Cを高速道路外の法面Y6にまで伸ばして、法面Y6の草刈を行う。
作業部CはマストフレームEおよび伸縮手段Fを旋回させることによって車両Bの進行方向一方側の側方に作業部Cを位置させる展開状態、および、マストフレームEおよび伸縮手段Fを旋回させることによって作業部Cを荷台G上に位置させた格納状態に姿勢変更が可能である。
【0025】
伸縮手段Fにおいて、第1ブーム16は、マストフレームEに設けた水平軸である第2旋回軸E2によって、マストフレームEおよび台枠Dに対して上下方向に旋回自在な長尺部材である。第1ブーム16の基端側は、山側を下方に向けてく字状に屈曲させた屈曲部を有している。第1ブーム16の上方側で、マストフレームEの他端側上部と第1ブーム16の中間部にかけて、第2シリンダ12を配置する。第2シリンダ12の伸縮によって、第1ブーム16は上下方向に旋回駆動ができる。
【0026】
伸縮手段Fにおいて、18は、第1連結体である。第1連結体18は、第1ブーム16の他端側に、第1連結体18を旋回自在に連結する。第1連結体18は、第1ブーム16先端部に配置した第2旋回軸と平行な水平軸である第3旋回軸E3によって、第1ブーム16の旋回方向と平行な上下方向に旋回自在である。そして、第1ブーム16上方中間部と連結体の一方を連結した第3シリンダ13の伸縮によって、第1連結体18は上下方向に旋回駆動する。
【0027】
伸縮手段Fにおいて、17は、第2ブームである。第1連結体18の第1ブーム16との取付端の他端側には第2ブーム17を連結する。第2ブーム17は、第3旋回軸E3とは直交する向きに配置した水平軸である第4旋回軸E4に連結することによって、展開状態において、前後方向に旋回自在である。第2ブーム17は第4旋回軸E4によって、第1ブーム16および第1連結体18とは直交する方向に旋回する。第1連結体18の他端側と第2ブーム17中間部にかけ渡した第4シリンダ14によって、第2ブーム17は展開状態において、第4旋回軸E4まわりの前後方向に旋回駆動する。
【0028】
伸縮手段Fにおいて、19は、第2連結体である。第2連結体19は第2ブーム17先端部に配置する。第2連結体19は第2ブーム17内部に配置したロッドによって、第2ブーム17および第1連結体18とともに平行リンクを形成する。このため、第2連結体19は、第2ブーム17が第4旋回軸E4まわりに旋回しても、向きを変えることがない。
【0029】
図2乃至図6に図示するMは、動力ユニットである。動力ユニットMは、この発明の実施例では、台枠Dの左右方向に対する他端側に配置する。すなわち、作業部Cの展開する方向とは反対側の台枠D上に設けている。
動力ユニットMは、内燃機関からなる原動機M1と、燃料タンクM2と、原動機M1の回転動力を受領することによって流体圧を発生させる流体圧発生源M3と、流体圧発生源M3で発生させた流体圧を各シリンダやロータ軸C1を回転させるモータOに分配する方向制御弁M4と、を備える。これにより、本発明の作業機Aは、トラクタで牽引するとともに動力を取り出すことなく、作業機A単独で動力を発生させて動作させることが可能である。なお、実施例での流体圧発生源M3は、油圧ポンプからなる。
台枠Dには原動機M1および前記原動機M1の動力によって流体圧を発生可能な流体圧発生源M3と、を備える。動力ユニットMで発生させた流体圧を受領した第1シリンダ11、第2シリンダ12、第3シリンダ13、第4シリンダ14、第5シリンダ15によって、伸縮手段Fを動作させる。また、発生させた流体圧でロータ軸C1を回転駆動させて、刈刃C2を回転させる。
作業機Aの各部の位置関係は以下となる。なお、以下に示す寸法は例であって、本発明はこの寸法関係に限定されない。
L4 第1旋回軸E1と格納状態の第1連結体18端部の距離 2.5m
L5 作業部Cの全幅 1.3m
第1ブーム16および第1連結体18の第1旋回軸E1まわりに旋回する旋回半径は、第1ブーム16をほぼ水平に寝かせた格納状態での第1連結体18の端部が最大半径L4となる。作業部Cの作業幅方向の全幅L5は、格納状態において、最大半径L4より後方に突出しないように設ける。格納状態から第1ブーム16を第2旋回軸E2まわりの上方に旋回させた場合、第1ブーム16より下方に位置する作業部Cが第1ブーム16とともに旋回したとしても、最大半径L4より半径方向外側に突出しない。したがって、格納状態から第1ブーム16を上昇させた場合に、作業部Cを荷台G上に存在する他の部材に接触させるおそれがない。
また、最大半径L4と全幅L5の関係によって、格納状態の作業部Cは接地部D1を拡大させることなく台枠D上に収めることが可能となる。したがって、格納状態での作業機Aは、安定して荷台G上に接地することができ、作業機Aを積載した車両Bは、安定した走行が可能となる。
【0030】
送風機Hについて説明する。送風機Hは、荷台G上に着脱自在に積載して、気流を発生させ送り出す。
送風機Hは荷台Gの載置面である荷台面の後方部に配置する。送風機Hは、進行方向に沿う方向から見て、作業部Cが展開する方向である一方側とは反対の他方側の荷台面に配置する。この実施例では、展開状態の作業部Cは車両Bの進行方向左側に、送風機Hは車両Bの進行方向右側に配置する。
このように配置することで、荷台G上の台枠D、伸縮手段F、作業部Cに係る構成部分と、送風に係る構成部分である送風機Hとで、荷台G上に配置する作業機A全体としての重心を荷台面の中央部に寄せることが可能となる。
【0031】
送風機Hは、ターボ型の羽根車O1をケーシングH13内部に備える。ケーシングH13は荷台G上に着脱自在かつ荷台Gに積載可能なベースN上に据え付けられている。送風機Hは、羽根車O1を回転させることで、回転軸(図示せず)方向の吸込口から吸気し、回転する羽根車O1によって、圧縮され圧力を高める。そして、高圧となった空気はケーシングH13の羽根車O1の回転方向に対する接線方向に設けた吐出口H1から吐出される。実施例の場合の吐出口H1は上向きにされている。
【0032】
送風機Hは、流体圧発生源M3によって発生させた流体圧を伸縮手段Fおよび作業部Cと共通して使用することによって駆動するモータと、を備える。モータは、この実施例では、油圧モータOからなる。油圧モータOには、羽根車O1を取り付ける。
送風機Hの吸込口とは反対側の回転軸(図示せず)には油圧モータOが接続されている。油圧モータOは、台枠D上に設置された動力ユニットMから動力を得る。油圧モータOは、動力ユニットMに設けた流体圧発生源M3である油圧ポンプで発生させた流体圧によって動作する。
送風機Hが使用する流体圧発生源M3である油圧ポンプは、作業部Cおよび伸縮手段Fが備える各シリンダや油圧モータOの流体圧発生源M3を駆動する原動機M1を共通して使用する。実施例では、内燃機関であるガソリンエンジンを原動機M1として用いる。実施例の場合、送風機Hが使用する油圧ポンプは原動機M1が動作している間は、常時流体を吐出し続けるようにされている。
【0033】
差込部N1について説明する。
ベースNの下部には、フォークリフトのフォークを差し込むための差込部N1を設けている。またベースN上部には、クレーン装置のフックを引っ掛けることが可能なアイボルト23が複数箇所に配置されている。これらによって、荷台Gに積載するための荷役手段を自由に選択可能なので、着脱が容易にできる。
【0034】
Jは、ホースである。ホースJは、送風機Hの吐出口H1に一端側を接続して気流を荷台G外に案内する。
J1は、ノズルである。ノズルJ1は、ホースJの他端側に接続し、ホースJを荷台Gに固定するとともに気流を作業面に向けて排出する。
送風機Hの吐出口H1から、吐出した空気はホースJによって遠方に案内される。ホースJの基端部は吐出口H1に接続され、他方、先端部を荷台G後方且つ伸縮手段Fが展開する側方側に配置する。ホースJ先端部にはノズルJ1が接続され、圧縮した空気はノズルJ1から吐出される。
【0035】
この発明の実施例におけるノズルJ1の吐出口は、ホースJの断面とほぼ同径の断面円形状に設けているが、断面円形状であって先端に至るにしたがって断面径を徐々に縮小したノズルJ1形状や、先端に至るにしたがって断面形状を円形状から、例えば楕円などの他の形状に変形させた形状でもよい。あるいは、これらの組み合わせでもよい。
ホースJ先端部は固定手段J2によって荷台Gに対して位置が固定される。固定手段J2は、ホースJを把持するとともにホースJの上下向きを固定するホース固定部J21と、固定手段J2を荷台Gのアオリ21に固定する荷台固定部22と、ホース固定部J21と荷台固定部22とを連結するとともにホース先端部の水平方向の向きと上下位置を調整可能な調整部Kと有する。
【0036】
荷台固定部22は、図1に図示するように後部のアオリ21上部の進行方向左側に設け、図8図9に図示するようにアオリ21を挟むことでアオリ21に固定されている。荷台固定部22の後方側に調整部Kを設ける。調整部Kは、ボスK2にロッドK1を備える。
調整部Kは、ボスK2およびロッドK1により、ノズルJ1の荷台Gに対する上下位置および前後向きを調整可能にする。
固定手段J2および調整部Kによって、ノズルJ1向きを適切な向きおよび位置に自由に調整することが可能で、作業面および路面上の異物を適切に効率よく吹き飛ばすことが可能である。ホース固定部J21と荷台固定部22による調整部Kで、ホースJ及びノズルJ1を荷台Gに対して着脱自在で、装着した際にホースJやノズルJ1の位置を調整し、この固定および固定の解除が可能である。実施例では図2図5図7に図示するように、後部アオリ211の進行方向左側に荷台固定部22を設けて、この直下にノズルJ1を位置させているが、荷台固定部22は、アオリ21に対する固定位置に限定はなく、例えば、後部アオリ211の進行方向右側に設けて、この直下にノズルJ1を位置させてもよい。
【0037】
調整部KのロッドK1の下端部にはホース固定部J21を設ける。ホース固定部J21はホースJ端部をバンドJ3で締め付けることでホース端部をホース固定部J21と一体的に固定する。荷台固定部22とホース固定部J21で構成する調整部Kは、車両Bの側方には突出しない。また、調整部Kは荷台Gから後方に大きく突出しないように構成するので、作業時及び非作業時の道路走行でも邪魔にならない。すなわち、作業の合間に車両Bが車道上を移動することがあっても、わざわざ取り外す必要がなく、利便性が高い。また、荷台Gから送風機Hを完全に取り外す場合は、固定手段J2による固定を解除すればよく、容易に着脱ができる。
【0038】
調整部KのロッドK1は断面円形の棒状部材であり、荷台固定部22の後方に位置したボスK2に挿入することで上下方向に移動自在である。さらに、ロッドK1はボスK2内径の円周方向に沿って回動自在である。調整部KはボスK2に設けるノブボルトK3を締め付ける、または緩めることによって、ボスK2に対するロッドK1の上下移動および回動を固定または固定解除ができる。
この発明の実施例のノブボルトK3は、図7乃至図9に図示するように上下2か所に互いに角度を変えて設けている。これにより、より強固に調整部Kが荷台固定部22と固定できる。
【0039】
K4は、ボルトである。図8図9に図示するように調整部K下端部に設けた水平方向の孔にボルトK4を差し込むことよって、ボルトK4を軸にホース固定部J21を上下に回動可能に設ける。ボルトK4をさらに締め付けると回動が固定する。すなわち、ホース端部のノズルJ1は、調整部Kによって、上下移動、ロッドK1まわりの回動、ロッドK1下部のボルトK4を軸にした上下傾斜動が可能であり、この動きを固定及び固定の解除が可能にされている。したがって、ノズルJ1は作業上必要な、角度や位置関係を実現させることができる。
荷台固定部22により、ノズルJ1およびホースJは荷台Gに対して着脱自在にするとともに、調整部KによってノズルJ1の向きおよび位置を自在に調整可能とし、ノズルJ1の固定および固定の解除が可能である。
【0040】
ここで、作業機A、送風機Hの各部の位置関係は以下となる。なお、以下に示す寸法は一例であって、本発明はこの寸法関係に限定されない。
L3 展開状態の作業部Cのロータ軸C1とノズルJ1の距離 5.2m
L6 展開状態の作業部Cのロータ軸C1と送風機Hとの距離 3.9m
L7 第1旋回軸と送風機Hの距離 2.8m
第1ブーム16および第1連結体18の第1旋回軸E1まわりに旋回する旋回半径は、最大半径L4となる。送風機Hは第1旋回軸E1から後方に、最大半径L4より長い距離L7を離して配置する。このように配置することで、第2ブームを第1ブームに対して近接させて折りたたみ、伸縮手段Fを格納状態から展開状態の間で動作させた場合に、第1ブーム16および第1連結体18および作業部Cは送風機Hと接触することがない。つまり、送風機Hは伸縮手段Fの動作の妨げとならない位置に配置する。
【0041】
荷台G上に位置する送風機Hは、伸縮手段Fの車両Bの側方に向かって展開する方向とは反対側に配置している。そして、展開状態の作業部C(ロータ軸C1)と送風機Hとの前後距離L6を荷台全長L2に到達するくらい間隔を置いて、荷台Gに配置している。このため、展開状態の作業機Aによって、荷台G上の積載物全体の荷台中央部を基準にしたときの、前方および展開方向に移動しようとする重心のずれを緩和できる。
展開状態の作業機Aにおいて、作業部Cは第1旋回軸E1より前方で荷台Gより前方側に位置するので、作業部Cのロータ軸C1とノズルJ1の距離L3は、荷台全長L2より長く設けることができる。
【0042】
作業部Cによって草刈作業をした場合、作業部Cからこの周囲に向かって、作業部Cから刈った後の刈草や粉砕された草木等からなる飛散物が発生することがある。飛散物はやがて地面に落下し移動を停止、または、徐々に速度を落としながら地面上を移動する。地面に落下した飛散物は、やがて、作業部Cとともに車両によって前進移動するノズルJ1が側方に位置することとなる。実施例ではノズルJ1の進行方向左側方に飛散物が位置する。ノズルJ1の進行方向側方に位置した飛散物は、ノズルJ1から吐出される気流によって、道路外の側方に向かって吹き飛ばされることとなる。ノズルJ1は距離L3を有することができるので、作業部Cで発生した初速から大幅に速度を落とした状態となった飛散物を、ノズルJ1からの気流で確実に側方に吹き飛ばすことができる。ノズルJ1は作業部Cとともに車両Bによって一体的に移動するので、作業部Cでの草刈作業と同時に送風機Hによる清掃作業もおこなうことができる。
【0043】
送風機Hの油圧回路図をあらわす図18に基づき、この発明の実施例に係る油圧回路を説明する。
H2は第1切換弁、H3は第1流量調整弁である。
荷台G上に着脱自在かつ荷台Gに積載可能なベースN内には、油圧モータOに送る流体を分配制御する第1切換弁H2と、油圧モータOに送る流体の流量制御する第1流量調整弁H3が配置されている。また、第1切換弁H2を切り替える図7に図示する送風操作部H21も配置されている。第1切換弁H2は操作部Vによっても、切り替え操作をすることが可能である。キャビンB1内の操作部Vに送風操作部H21を配置することによって、キャビンB1内に位置する作業者B2が操作可能となり、第1切換弁H2を遠隔で操作することが可能となる。
【0044】
第1切換弁H2は、第1配管H6を油圧モータOに接続するとともに第2配管H7を油圧モータOに接続し、それぞれ油圧モータOに対して1方向の流れのみを形成する第1切換ブロックH8と、第1配管H6を油圧モータOに接続するとともに第2配管H7を油圧モータOに接続し、さらに、第1配管H6と第2配管H7を接続する第2切換ブロックH9とを有する。第1切換弁H2は、第1切換ブロックH8および第2切換ブロックH9のそれぞれを切り換えることで流体の流れを制御する。
【0045】
第1急速継手H4と第2急速継手H5とからなる急速継手について説明する。
送風機Hに流体圧を送るために送風機Hと油圧モータOとを接続する配管の途中に、急速継手(第1急速継手H4と第2急速継手H5)が配置されている。急速継手を接続および接続解除をすることで、配管を途中で切断することができる。
配管を途中で切断することにより、送風機Hのみを原動機M1側から取り外すことが可能となり、送風機Hを荷台Gに対して積載自在にすることができる。急速継手にはチェック弁H41、H42、H51、H52が内蔵されており、急速継手を切り離した状態でも流体であるオイルが流出することがない。また、急速継手が接続状態での両側のチェック弁H41、H42、H51、H52は開放状態を形成するので、急速継手によって流体の流れを阻害することがない。急速継手は油圧ポンプM3と油圧モータOを繋ぐ第1配管H6の途中に配置する第1急速継手H4と、油圧モータOとタンクM2を繋ぐ第2配管H7の途中に配置する第2急速継手H5で構成する。
H11は、第2流量調整弁である。第2流量調整弁H11は第1配管H6と第2配管H7をつなぐように配置する。
【0046】
原動機M1には油圧ポンプM3が接続され、油圧ポンプM3は原動機M1の回転動力を得ることで流体圧である油圧を発生させる。実施例での油圧ポンプM3は固定容量形のポンプを用いる。図18に図示するように、油圧モータOを回転駆動させる場合、流体は、油圧モータOに送るための第1配管H6を通り、第1急速継手H4および第1切換ブロックH8に切り替えた第1切換弁H2を経由して油圧モータOに送られる。
第1配管H6は第1急速継手H4を境に、油圧ポンプM3側の第1配管H61と油圧モータO側の第1配管H62とからなる。
油圧モータOに送られた油圧によって油圧モータOが回転し、油圧モータOの回転を受けた送風機Hが回転する。油圧モータOからタンクM2側に流体を返送するために第2配管H7を通過する。第2配管H7には第1切換弁H2および第2急速継手H5を経由して流体はタンクM2に返送される。
第2配管H7は第2急速継手H5を境に、油圧ポンプM3側の第2配管H71と油圧モータO側の第2配管H72とからなる。
【0047】
第1切換ブロックH8では、第1配管H6と第2配管H7がそれぞれ独立して油圧モータOに対して1方向の流れのみを形成する。これにより、油圧ポンプM3から送られた流体を油圧モータOに伝え、油圧モータOからタンクM2に流体を返送することで、油圧モータOが回転駆動する。
【0048】
第2切換ブロックH9では、第2切換ブロックH9の内部で第1配管H6と第2配管H7が接続状態にされている。このため、油圧ポンプM3から送られる流体の圧力は、油圧モータO側に伝わらずに第2切換ブロックH9を介してタンクM2に返送される。つまり、油圧モータOは、油圧ポンプM3が流体を油圧モータOに対して圧送したとしても、回転駆動ができない状態になる。
また、接続された第1配管H6と第2配管H7によって、油圧モータO側の配管はループ状に回路が形成される。このため、油圧モータOは自由に回転が可能な状態になり、送風機Hも自由に回転が可能にされる。
【0049】
第2切換ブロックH9の配置によって、油圧ポンプM3からの流体圧の圧送が、第1切換弁H2を第1切換ブロックH8から第2切換ブロックH9に切り替えたことによって、急に停止されたとしても、送風機Hが惰性で回り続けることが可能となる。したがって、送風機Hが急停止することで起こり得る破損を防止することができる。
【0050】
第1流量調整弁H3について説明する。
第1切換弁H2よりタンクM2側で、急速継手(第1急速継手H4、第2急速継手H5)より第1切換弁H2側には、第1配管H62と第2配管H72を接続する第1流量調整弁H3が配置される。
第1流量調整弁H3は油圧ポンプM3から圧送される流体をタンクM2に戻す量を無段階にまたは段階的に調整することが可能である。したがって、油圧モータOは第1流量調整弁H3によって、流入する流体を調整することで、送風機Hの回転数の調整ができる。
【0051】
この発明の実施例の場合、第1流量調整弁H3を全閉にすると、油圧ポンプM3から圧送される流体の油圧モータOに対する流入量が最大となるため、送風機Hの回転数は最大となる。反対に、第1流量調整弁H3を全開にすると、油圧ポンプM3から圧送される流体の油圧モータOに対する流入量が皆無となるため、送風機Hの回転数は停止する。なお、上記第1流量調整弁H3の調整による油圧モータOの回転制御は、第1切換弁H2が第1切換ブロックH8に切り替わったときの回路構成のときを示している。第1流量調整弁H3を全開から全閉までの間で調整することで、送風機Hの回転数を自由に変更ができる。
【0052】
第1流量調整弁H3は、さらにチェック弁H10を有している。チェック弁H10は、第1流量調整弁H3と並列に接続していて、第2配管H72から第1配管H62に向かう方向に設定された圧力以上の時に流体が制限なく流れ、第1配管H62から第2配管H72に向かう方向には流体の移動を阻止するように配置されている。チェック弁H10の配置により、油圧ポンプM3側の急速継手(第1急速継手H4、第2急速継手H5)と送風機H側の急速継手(第1急速継手H4、第2急速継手H5)を誤接続した場合、油圧ポンプM3から圧送される流体圧が第1切換弁H2および油圧モータOを経由せずに、チェック弁H10を介してタンクM2に返送される。
具体的には、第1急速継手H4の油圧ポンプM3側を第2急速継手H5の油圧モータO側に接続し、第2急速継手H5のタンクM2側を第1急速継手H4の油圧モータO側に接続した場合が考え得る。チェック弁H10の配置によって、急速継手(第1急速継手H4、第2急速継手H5)の誤接続が発生したとしても、第1切換弁H2および油圧モータOを圧力上昇などの異常圧力から保護でき、破損を防止する。
【0053】
リリーフ弁H12について説明する。
急速継手(第1急速継手H4、第2急速継手H5)から油圧ポンプM3およびタンクM2側の回路について説明する。油圧ポンプM3側の第1配管H61には、タンクM2側の第2配管H7に接続するリリーフ弁H12を配置する。リリーフ弁H12によって、第1配管H6内が、設定された圧力まで上昇すると、リリーフ弁H12が開放状態になり、第1配管H6内の流体を第2配管H7経由でタンクM2に返送する。リリーフ弁H12は、第1配管H6内に圧力上昇など異常圧力が発生しても、第1配管H6内は設定された圧力以上に上昇することがない。実施例の場合は、常時圧送し続けることが可能な油圧ポンプM3と、第1配管H6および第2配管H7の管路を途中で切り離しできる急速継手(第1急速継手H4、第2急速継手H5)を有している。急速継手(第1急速継手H4、第2急速継手H5)で第1配管H6および第2配管H7が途中で切り離しされた状態で油圧ポンプM3からの圧力がかかっても、流体がタンクM2に返送されるので第1配管H61は保護される。
【0054】
第2流量調整弁H11について説明する。
急速継手(第1急速継手H4、第2急速継手H5)より油圧ポンプM3側の第1配管H61には、第2流量調整弁H11を接続する。第2流量調整弁H11の一方を第1配管H6に接続し、第2流量調整弁H11の他方を急速継手(第1急速継手H4、第2急速継手H5)よりタンクM2側の第2配管H71に接続している。第2流量調整弁H11は、第1流量調整弁H3と同様に、油圧ポンプM3から圧送される流体をタンクM2に戻す量を無段階にまたは段階的に調整することが可能である。
第2流量調整弁H11は、第1流量調整弁H3と同様に、さらにチェック弁H13を有している。チェック弁H13は、第2流量調整弁H11と並列に配置し、第2配管H7から第1配管H6に向かう流れる方向には無制限に流すことができるように配置する。
【0055】
通常、送風機Hを使用する場合には第2流量調整弁H11の弁を全閉にして、油圧ポンプM3から圧送される流体の全量を切換弁および油圧モータO側に流入するように設ける。そして、送風機Hを使用しない場合には弁を全開にすることで、油圧ポンプM3から圧送される流体をタンクM2に戻して、急速継手(第1急速継手H4、第2急速継手H5)より油圧モータO側への流体の圧送を抑止できる。
また、急速継手(第1急速継手H4、第2急速継手H5)を切り離して、第1配管H6および第2配管H7を切断した状態においては、第2流量調整弁H11の弁を全開にすることで、リリーフ弁H12が常時動作し続けることを防ぐことができる。
このため、急速継手(第1急速継手H4、第2急速継手H5)を切り離した状態で起こりうるリリーフ弁H12の動作音を抑制できる。また、リリーフ弁H12とは異なり、動作圧力の設定はないので、油圧ポンプM3および急速継手(第1急速継手H4、第2急速継手H5)を切り離した状態の第1配管H6に負荷をかけることがない。
【0056】
図18に図示する回路を構成した送風機Hは、荷台Gに搭載した作業機Aとともに運用することもできるし、荷台Gから送風機Hのみを取り外して作業機Aのみで運用が可能である。
作業機Aのみで運用した場合でも、油圧ポンプM3には原動機M1とともに作業機A近傍に配置された原動機M1が動作している限り油圧ポンプM3も動作することとなる。しかし、上記回路構成によって、油圧ポンプM3および配管内に負荷をかけることがないので、作業機Aのみで運用した場合でも、動力ユニットM等の構成部材に負荷をかけずにこの運用が可能となる。したがって、作業の内容に応じて、荷台Gに搭載する態様を自由に変更させることが可能となり、車両Bの運用効率が向上する。
【0057】
図1乃至図3に図示する伸縮手段Fの格納状態について説明する。
格納状態での第1ブーム16および第2ブーム17は荷台G面とほぼ平行に設ける。伸縮手段Fは長尺体からなり、長尺方向を格納状態での伸縮手段Fは荷台G上に折り畳むように設ける。
格納状態での伸縮手段Fを構成する第1ブーム16および第2ブーム17の長尺方向は、車両Bの進行方向に対する前後方向に向けられる。また、図2に図示する第2ブーム17のように左右方向にやや傾斜させて、第1ブーム16と平面視で交差するように配置させることも可能である。
伸縮手段Fおよび作業部Cを荷台G上に位置させた格納状態において、作業部Cが台枠Dの上方且つ伸縮手段Fの下方に位置する。そのため、格納状態における作業機Aの重心を低くすることが可能である。
格納状態での第1ブーム16および第2ブーム17はマストフレームEに対する支点軸より低い位置に設ける。
【0058】
図1乃至図3に図示するように、伸縮手段Fの格納状態は、マストフレームEを第2旋回軸E2が第1旋回軸E1に対して後方に位置するように、第1旋回軸E1まわりに旋回させる。第1ブーム16は長尺方向を後方側に向け、屈曲部から第3旋回軸E3側にかけての長尺部分を荷台Gとほぼ平行に設ける。このとき第3旋回軸E3は第2旋回軸E2より下方に位置する。このようにすることで、第2シリンダ12および第3シリンダ13および第1ブーム16が、マストフレームEより上方に突出することがないので、格納状態の作業機AはマストフレームEが一番高い状態となる。すなわち、荷台G上に積載される積載物としての作業機AはマストフレームEの上端部が最高地点となる。このため、荷台G上方に突出する部分が増加しないので、作業機Aを積載時の車両B全体としての寸法が低く固定され、運用が容易となる。また、格納状態における作業機Aの重心をさらに低くすることができる。したがって、車両Bが格納状態の作業機Aを積載して走行する際に、より安全性を高め、かつ、車両Bの走行時の安定性を向上させることが可能であるので、運転者B3は安心して車両Bを運転することができる。
【0059】
伸縮手段Fの格納状態では、図1乃至図3に図示するように、第2ブーム17は第1ブーム16の下方に折りたたむようにして、第2ブーム17を旋回させ、さらに、第2ブーム17の下方に作業部Cを位置させる。
すなわち、作業部Cは台枠D上に位置しているとともに、折りたたんだ伸縮手段Fの下方に配置された状態である。そのため、重心を低くすることが可能である。
また、側面視において、第1ブーム16の屈曲部より先端の長尺部は、第2ブーム17とほぼ平行に設け、カバー体又はロータ軸C1が、第1ブーム16の屈曲部より先端の長尺部および第2ブーム17と平行に設けている。このように、屈曲部によって、第1ブーム16および第2ブーム17をそれぞれ近接させて折りたためるので、伸縮手段F全体として格納時に低い位置に配置することができる。このため、格納状態での作業機A全体の重心を低く抑えることができ、作業機Aを積載時の車両Bの走行安定性が向上する。
【0060】
伸縮手段Fの格納状態では、図1乃至図3に図示するように、格納状態での作業部CはマストフレームE側に寄せて配置するので、台枠Dを含めた重心が平面視および側面視において、台枠Dのほぼ中央付近に配置できる。このため、荷台Gに積載された状態で作業機Aは荷台Gに安定して接地させることができる。つまり、荷台G上で偏荷重が起きにくく、接地部D1が荷台Gに均等に接地することで安定した積載が可能である。
【0061】
作業部A格納時における各重心位置は、以下の通りである。
Q1a 作業機A単体の重心
Q2a 荷台G上の積載物全体の重心
Q3 カウンタウェイトU単体の重心
各重心位置は、図1乃至図3に図示するように低い位置に位置する。
【0062】
伸縮手段Fの格納状態では、図2に図示するように、平面視において、格納状態の第2ブーム17は、第4旋回軸E4側から第5旋回軸E5に向かうにつれて、第5旋回軸E5側が台枠Dの他端側に向かって傾斜している。これによって、作業部Cを第1ブーム16の直下に配置させることができる。つまり、作業部Cを平面視において、台枠Dの中央側に寄せることができるので、平面視における作業機Aの重心を台枠Dのほぼ中央付近に配置できる。
【0063】
伸縮手段Fの格納状態では、図1図3に図示するように、格納時の作業機A全体の重心が、台枠Dの中央付近且つ台枠D上の低い位置に配置させることができるので、荷台G上に安定した積載が可能である。また、作業機Aを荷台Gから取り除く際に、下方からリフト装置で支えて取り除く方法や、クレーン装置で台枠Dを吊り上げる方法でも、作業機Aが傾斜することなく安定して昇降が可能である。つまり、荷台Gから容易に作業機Aを取り除いたり、設置させることができる。作業機Aでの作業を行わない期間は、荷台Gから作業機Aを取り除いて、車両Bは通常の貨物車量としての運用が可能になる。よって車両Bは、貨物車量としての運用と草刈作業車両Bとしての運用との双方の選択が可能になり、稼働効率が向上する。
【0064】
伸縮手段Fの格納方法について説明する。
展開状態から格納状態にするには、作業者B2が操作部Vを操作して、伸縮手段Fおよび作業部Cを旋回させるによって達成される。
動作の一例を説明する。ここでは、図4乃至図5に示す展開状態から、図1乃至図3に示す格納状態に移行するものとして説明する。(1)第2ブーム17を後退方向に旋回させて作業部Cを後方に移動させる。(2)そして作業部Cを第5旋回軸E5まわりに、ロータ軸C1あるいはカバー体が背面視第2ブーム17と平行になるまで上昇旋回させる。(3)第1連結体18を第3旋回軸E3まわりに旋回させ、第2ブーム17を第1ブーム16と背面視ほぼ平行になるように旋回させる。(4)第1ブーム16を第2旋回軸E2まわりに旋回させて、作業部Cがアオリ21および固定部D3より上位に位置するまで上昇させる。(5)マストフレームEを水平回動させて、作業部Cを台枠D上に位置させる。(6)第1ブーム16を旋回させ作業部Cを下降させ、格納状態が形成される。
【0065】
伸縮手段Fの展開状態について説明する。
伸縮手段Fの展開状態は、マストフレームEを第1シリンダ11によって他端側を車両Bの側方に向かって旋回させた状態である。すなわち、展開状態では、伸縮手段Fおよび作業部Cは車両Bの側方に配置された状態である。
展開状態では、図5に図示するように作業部Cは、車両Bに搭乗する作業者B2のすぐ横に位置するので作業状態を確認しながら作業をすることが可能となる。
【0066】
伸縮手段Fの展開状態におけるマストフレームEについて説明する。
図4乃至図6に図示するように、伸縮手段Fの展開状態において、マストフレームEを台枠Dの接地部D1上方に間隔をあけて位置させているので、格納状態から展開状態に旋回させる場合に、マストフレームEがアオリ21や固定部D3に干渉することない。
そして、干渉を避けることが可能であることから、マストフレームEの第1旋回軸E1と第2旋回軸E2の間の距離を長くとれるので、第2旋回軸E2側を車両Bの側方に向かって荷台G上から突出させることができる。また、第2旋回軸E2も台枠D上の高い位置に配置できるので、第2旋回軸E2に連結する伸縮手段Fである第1ブーム16が高い位置に配置できる。すなわち、作業面の上方から第1ブーム16の下方にかけて広い空間を確保できる。このため、第1ブーム16の下方に障害物(実施例の場合は、ガードレール、防護柵、標識類、刈取対象ではない樹木等がその対象)が存在しても容易に通過できる機会を増加させる。
【0067】
伸縮手段Fの展開状態における第1ブーム16について説明する。
図6に図示するように、伸縮手段Fの展開状態における第1ブーム16は屈曲部によって、長手方向の第3旋回軸E3が配置される先端側を上方に位置させることができるので、第1ブーム16の下方にかけて広い空間をさらに確保することが可能である。また、第2シリンダ12および第3シリンダ13は第1ブーム16の上方に位置させているので、第1ブーム16下方の空間確保を促進させている。
【0068】
伸縮手段Fの展開状態における第1連結体18および第2ブーム17について説明する。
図6に図示するように、伸縮手段Fの展開状態における第1連結体18は、第2旋回軸E2と平行な第3旋回軸E3によって旋回させることで、展開状態の第2ブーム17下端側を進行方向左右に揺動可能である。さらに、第1連結体18は、第4旋回軸E4を設けることで、第2ブーム17下端側を前後に揺動可能である。第2ブーム17を揺動させる第4シリンダ14は、第2ブーム17の後方側に配置するので、前進に伴って前方側から迫ってくる障害物に直接衝突することを防ぐ。
【0069】
伸縮手段Fの展開状態における第2連結体19および作業部Cについて説明する。
図4乃至図6に図示するように、伸縮手段Fの展開状態では、第1連結体18と第2連結体19と第2ブーム17とロッドによって四節リンクである平行リンクを形成しているので、作業部Cは、第2ブーム17を第4旋回軸E4まわりに前後方向へ旋回しても、前後傾斜の変化がない。
伸縮手段Fの展開状態での作業部Cは、第2ブーム17を前後旋回させて、荷台G前方のキャビンB1側方に位置させることができる。キャビンB1内に位置した作業者B2は、キャビンB1内から容易に作業部Cを目視確認することができる。図示はしないが、作業車はキャビンB1内に配置した操作部Vを操作することによって、各シリンダを駆動させ、伸縮手段Fおよび作業部Cの位置調整が可能である。作業部Cは第5シリンダ15によって左右方向に傾斜させることが可能であるので、作業面が左右に傾斜している場所でも容易に作業部Cを作業面に対して平行に調整することができる。
伸縮手段Fを展開させる場合は、伸縮手段Fを格納状態にする手順と逆の手順で展開させる。
【0070】
作業部A展開時における重心位置は、以下の通りである。
Q1b 作業機A単体の重心
Q2b 荷台G上の積載物全体の重心
Q3 カウンタウェイトU単体の重心
Q3a カウンタウェイトU単体の重心(荷台内側に位置する場合)
Q3b カウンタウェイトU単体の重心(荷台外側に位置する場合)
各重心位置は、図4乃至図7に図示するように低い位置に位置する。
【0071】
カウンタウェイトUの構成概要について説明する。
カウンタウェイトUは、長尺材を格子状に組み合わせて直方体状に形成したフレームU1と、フレームU1内部に架け渡したレールU4と、レールU4上を移動する可動台U3と、可動台U3上に積載するウェイトU2と、可動台U3に連結されレールU4下方に位置するケースU7と、を有する。
ケースU7内部には可動台U3およびケースU7をレールU4上で移動させるための駆動装置であるアクチュエータTを有している。アクチュエータTの動作によって、ウェイトU2がレールU4上を移動することで、パランスウェイト自体の重心を移動させることが可能である。
カウンタウェイトUは荷台Gの後方側且つ展開状態の作業部Cが展開する方向とは逆の側方側の荷台Gに積載する。
【0072】
カウンタウェイトUは、カウンタウェイトU自身の重心移動により、作業部Cが荷台Gの進行方向に対する横方向に移動しても、車両Bのバランスをとれるようにするための手段である。作業部Cが進行方向左側に位置するように伸縮手段Fを伸ばした時に、荷台Gの傾きをセンサで検出すると、カウンタウェイトUをレールU4で右方向に移動させる。作業部Cが下がって、地面に当たるのを避ける。荷台Gの傾きを修正し、荷台Gを一定の角度に保つことで、作業機Aの地面に対する追従性を向上させる。つまり、荷台Gの角度が一定となることで、展開状態の作業部Cが荷台Gの傾斜によって、上下に移動することを防ぐので、作業者B2が操作部Vを操作して、作業部Cの上下位置を調整することを軽減させることができる。
なお、車両Bであるトラックは、5km/hで走行して草刈作業をするものとして説明するが、走行速度に限定はなく、適宜調整して草刈作業を行う。
【0073】
U1は、フレームである。
フレームU1は長尺材を格子状に組み合わせて、外形を水平方向に長い直方体状に形成したカウンタウェイトUの骨格となる部材である。長尺材は角パイプまたは角棒材を用いる。フレームU1上部には環状部材U14が固定され、クレーン等の吊り上げ装置によって、フレームU1を吊り上げることが可能に設けている。したがって、フレームU1はトラック等の貨物車両Bの荷台Gへの積載が自在である。
【0074】
U4は、レールである。レールU4は、フレームU1内部に架け渡たす。フレームU1の高さ方向に対して中間部よりやや下方にレールU4を設ける。レールU4の長手方向は、フレームU1の直方体の水平方向であってフレームU1の長辺方向に向けて設ける。実施例でのレールU4は、車両Bの進行方向に対する左右に向くように設けている。レールU4は後述のウェイトU2をレールU4の長手方向に移動させることが可能であって、ウェイトU2の荷重を支えることができる。実施例でのレールU4は3本設けているが、ウェイトU2を移動可能、且つ、ウェイトU2の荷重を支えることができればよく、設置する本数に限定はない。
【0075】
U5は、支持部材である。支持部材U5は上部に位置する可動台Uの下部に位置した部材である。支持部材U5は、図12に図示するようにレールU4を挟むように対向させて設け、レールU4の長手方向に沿って延ばされている。この対向させた支持部材U5間のそれぞれに回転軸U61を複数設ける。回転軸U61にはローラU6を設け、可動台U3はレールU4の長手方向に移動自在にされている。
支持部材U5の下端は、レールU4下端より下方に至るように延ばされている。このため、レールU4上をローラU6が転動する際に、支持部材U5がレールU4側面に接することで、レールU4の長手方向と交差する方向である側面方向に移動することを防ぐ。したがって、可動台U3はレールU4の長手方向にのみ移動が可能にされている。
【0076】
レールU4と支持部材U5の接触面には摺動部材U8を設けることができる。この場合、レールU4と支持部材U5が直接接触することがないため、可動台U3がレールU4上をスムースに移動できる。
摺動部材U8は低摩擦性の部材であって樹脂系の素材を用いるのが望ましく、実施例ではポリエチレン系樹脂を採用している。摺動部材U8は、少なくとも1つのレールU4の一方の側面と、少なくとも1つのレールU4の他方の側面に接触可能にされていればよい。
この発明の実施例では、3本あるレールU4のうち、外側に配置された一方のレールU4のフレームU1長手方向外側に向いた側面に接触可能なように配置され、他方のレールU4のフレームU1長手方向外側に向いた側面に接触可能なように配置されている。フレームU1外側から近い位置に摺動部材U8を配置することで、フレームU1の外側から作業者B2の手や工具類が容易に到達させることが可能で、摺動部材U8の点検や交換等のメンテナンスを容易にさせることができる。
【0077】
U3は、可動台である。可動台U3は、図11に図示するように、レールU4上に設ける。可動台U3は、レールU4上を移動可能である。
可動台U3の下部にはローラU6を複数個設ける。可動台U3は上部にウェイトU2を積載するウェイト積載面U9を有している。
可動台U3およびウェイト積載面U9は、平面視において長方形状に設け、この短辺をレールU4の長尺方向に向ける。言い換えれば、直方体状に設けたフレームU1の平面視における長辺U11方向が、可動台U3およびウェイト積載面U9の短辺方向と平行に設ける。そして、平面視における、可動台U3およびウェイト積載面U9の長辺長さは、平面視におけるフレームU1の短辺U12の長さとほぼ同一、または、それ以下に設ける。
【0078】
ローラU6は、1つのレールU4当たり複数個が転動できるように支持部材U5に複数個を設ける。実施例では1つのレールU4当たり4個のローラU6が転動するように設け、可動台U3全体では合計12個のローラU6で可動台U3を支持する。複数個のローラU6を分散させて配置することによって、可動台U3からレールU4にかかる荷重を分散させることが可能となり、可動台U3のスムースな移動を実現する。
ローラU6はレールU4上を転動することで、可動台U3をレールU4の長手方向に移動自在にさせる。また、ローラU6は可動台U3下部に配置した支持部材U5間に配置され、支持部材U5に配置した回転軸U61によって回転自在に支持されている。
【0079】
ウェイトU2は平面視において、可動台U3に対してほぼ同一の投影面積および形状を有し、上下方向に積層可能に複数で構成され、可動台U3のウェイト積載面U9上に積載する。
ウェイトU2が積載された可動台U3はレールU4の長手方向に移動することによって、カウンタウェイトU全体としての重心位置を変化させることができる。
実施例のウェイトU2は板状の鋼板で形成され、これ積層することによってウェイトU2を形成する。このように設けることで、ウェイトU2の重量を細かに調整が可能であるので、重心移動をさせる荷重の変化量を調整可能である。さらに後述する作業機Aを組み合わせた場合に、作業機Aの形態や作業機Aの重量等の仕様変化に応じて、カウンタウェイトU全体としての重量を調整可能である。
【0080】
ウェイトU2は、平面視において長方形状に設け、この短辺をレールU4の長尺方向に向ける。言い換えれば、直方体状に設けたフレームU1の平面視における長辺U11方向が、ウェイトU2の短辺方向と平行に設ける。平面視における、ウェイトU2の長辺長さは、平面視におけるフレームU1の短辺U12長さとほぼ同一またはそれ以下に設ける。
図11図12に図示するように、ウェイト積載面U9からおねじ上方に向けたボルトU10を設け、このボルトU10をウェイトU2に貫通させる。そして上方からナットU13で締め付ければ、ウェイトU2は可動台U3と一体的に固定される。したがって、可動台U3が移動してもウェイトU2がウェイト積載面U9から落下するおそれがないとともに、可動台U3とウェイトU2が一体的にレールU4上を移動することができる。
【0081】
ケースU7は、レールU4の下方に位置し、可動台U3と一体にされてレールU4下方を移動する。
ケースU7は平面視において短辺および長辺を有する矩形状に設け、アクチュエータTの駆動によってケースU7の短辺方向に移動するようにレールU4下方側をケースU7が移動する。アクチュエータTの駆動速度よりケースU7の移動速度が速くなるように設ける。
可動台U3に設ける支持部材U5の下端には、ケースU7が吊り下げるように固定されている。ケースU7は直方体の箱状に形成した部材で、ケースU7の平面視の形状はウェイトU2の平面視の形状とほぼ同一に設ける。すなわち、平面視における、ケースU7の短辺をフレームU1の長辺U11と平行に設ける。
平面視において、ケースU7はケースU7の短辺方向に移動可能にレールU4とともに、フレームU1の内側でフレームU1の長辺U11方向に移動する。ケースU7はフレームU1の内側で最大限に移動距離を有することができるように設けている。
【0082】
ケースU7は、一端側をケースU7に連結した可動台U3を移動させる駆動源であるアクチュエータTを備える。
アクチュエータTはケースU7の長辺方向に伸縮駆動するように配置したシリンダである。
アクチュエータTの駆動によって、ケースU7の短辺方向に移動するようにレールU4下方側をケースU7が移動する。ケースU7の移動により、可動台U3およびウェイトU2も一体的に移動する。後述する駆動機構により、アクチュエータTの駆動速度よりケースU7の移動速度が速くなるように設ける。
アクチュエータTは、姿勢連動モードと単独操作モードとに操作モードを切り替え可能な切換スイッチV1を有した操作部V3をフレームU1後部上方に備える。単独操作モードとは、作業者による操作部V3の操作によって、アクチュエータTを駆動させてウェイトU2を任意の位置に移動させることができるモードである。姿勢連動モードとは、操作部V3の操作によらず、レールU4が傾斜した場合に、自動的にアクチュエータTを駆動させてウェイトU2を移動させるモードである。操作部V3は、レールU4の進行方向左右端部が傾斜した場合に、可動台U3およびケースU7がレールU4の傾斜方向上方に向かって移動するようにアクチュエータTを駆動させる制御部(図示せず)を備える。
【0083】
アクチュエータTの駆動によるウェイトの移動機構について図11乃至図13に基づいて説明する。
ケースU7内に設けたアクチュエータTは、電力を得ることで伸縮するロッドを有したシリンダである電動シリンダを用いる。アクチュエータTの一端側はケース内に固定する。アクチュエータTの伸縮方向はケースU7の長辺方向と平行に設置し、アクチュエータTの伸縮に伴いアクチュエータT自身に全長の変化があっても、ケースU7内から外にはみ出ないように設ける。また、アクチュエータTの伸縮方向はフレームU1の短辺U12方向と平行に設置している。つまり、アクチュエータTの伸縮方向はウェイトU2の移動方向とは交差するように設けている。
【0084】
T1は、第1チェーンT1である。第1チェーンT1は、図11乃至図13に図示するように、アクチュエータTの他端側であるロッド端部が連結されるとともに、アクチュエータTの駆動によって周回駆動が可能に配置される。
T2は、第2チェーンである。第2チェーンT2は、図11乃至図13に図示するように、スプロケットの回転によって、ケースU7をレールU4に沿って移動させる。
スプロケットは、第1スプロケットT3、第2スプロケットT4、第3スプロケットT5からなる。スプロケットは、第1チェーンT1の周回駆動によって回転可能にされる。
【0085】
ケースU7内にスプロケットをアクチュエータTの伸縮方向と平行な方向に間隔を開けて配置する。スプロケットで、シリンダの動きを増速させる。
一方のスプロケットである第1スプロケットT3と、他方のスプロケットである第2スプロケットT4には、無端状の第1チェーンT1を巻き掛ける。この発明の実施例では、第1スプロケットT3と第2スプロケットT4は同歯数に設けている。
第1スプロケットT3と第2スプロケットT4の間に位置する第1チェーンT1の一部のチェーンリンクには、アクチュエータTの伸縮ロッド部の端部と接続する接続部材T7を設ける。接続部材T7によって、アクチュエータTの伸縮が、第1チェーンT1を周回動作させる。接続部材T7はアクチュエータTのロッドの伸縮する延長線上に位置していて、アクチュエータTの他端部であるロッド端部と連結することで、アクチュエータTの伸縮動作を第1チェーンT1の周回動作に変換する。
周回動作する第1チェーンT1の直線部分の距離は、アクチュエータTの伸縮動作するストローク量より大きく設ける。アクチュエータTの他端部は第1チェーンT1の直線部分の範囲内で伸縮する。これにより、接続部材T7がアクチュエータTの全ストローク量を第1チェーンT1の周回動作に変換できる。
【0086】
第1スプロケットT3と同軸に、第3スプロケットT5が取り付けられている。この発明の実施例では、第1スプロケットT3と第3スプロケットT5は一体的に設けられている。また、第3スプロケットT5は第1スプロケットT3より歯数が多く設けられている。第3スプロケットT5は、第1チェーンT1および第1スプロケットT3を介して、アクチュエータTによって回動動作ができる。
【0087】
レールU4下部には有端の第2チェーンT2を設ける。第2チェーンT2の一端側はフレームU1の一方の短辺U12側に連結され、他端側はフレームU1の他方の短辺U12側に連結されている。そして、第2チェーンT2の中間部を第3スプロケットT5に巻き掛ける。
第3スプロケットT5の歯である凹凸部が第2チェーンT2のリンクに食い込んで回動することによって、ケースU7が第2チェーンT2の一端側から他端側にかけて移動、または他端側から一端側にかけて移動することができる。
ケースU7は、レールU4によって移動する方向がガイドされているので、アクチュエータTの伸縮によって、レールU4上を往復移動することができる。それに加え、ケースU7に接続する可動台U3および可動台U3上のウェイトU2も、アクチュエータTの伸縮によって、ケースU7とともにレールU4に沿って移動する。
【0088】
第3スプロケットT5の近傍には、第2チェーンT2を巻きかけるガイドスプロケットT6を設ける。図13に図示するように、ガイドスプロケットT6はケース長辺側の2か所に設けていて、これに巻きかけることによって、ケースU7外に位置した第2チェーンT2は、見かけ上、一直線上に位置する。実施例において、第2チェーンT2は、進行方向に対する左右一直線上に位置する。
したがって、第3スプロケットT5の回動によって第3スプロケットT5が第2チェーンT2に食い込んで、ケースU7がレールU4の長手方向に沿って移動したとしても、フレームU1の進行方向左右双方の短辺U12側に連結固定された第2チェーンT2は、常時、フレームU1の短辺U12方向と直交する水平方向に力が加わる。フレームU1の短辺U12および第2チェーンT2との連結部は、一定方向のみに加わる力に対応すればよく、当該部分の構成を簡略化することができる。また、ガイドスプロケットT6が配置されたケースU7は、第2チェーンT2でレールU4の長手方向と直交する方向に負荷をかけないので、滑らかにレールU4に沿って移動ができる。
【0089】
ウェイトU2およびケースU7の移動による効果について説明する。
ケースU7内に配置した部材である、アクチュエータT、第1スプロケットT3、第2チェーンT2、第3スプロケットT5は、レールU4に沿って移動するケースU7とともに移動することができる。すなわち、ウェイトU2下部に位置するケースU7およびケースU7内に配置した部材とともに移動する重量部材として機能する。
【0090】
フレームU1およびレールU4以外の部材はすべて移動する重量部材として機能させることができる。このため、アクチュエータTは、アクチュエータTの伸縮を伴いながら、ケースU7およびケースU7内に配置した部材とともに移動する。
アクチュエータTは伸縮方向をケースU7長辺方向と平行に設けるものの、ケースU7自体はケースU7の短辺方向に移動する。そして、ケースU7の短辺方向をレールU4の長手方向に沿う方向であるフレームU1の長辺U11方向と平行な方向に移動する。このため、ケースU7およびウェイトU2はフレームU1内部で、アクチュエータTの伸縮方向とは異なる方向に大きく移動させることができる。
【0091】
第3スプロケットT5は第1スプロケットT3と歯数を異なるように大きく設けている。つまり、第1チェーンT1のアクチュエータTから受けたストローク量に対して、第3スプロケットT5から第2チェーンT2に出力されるストローク量は大きくなるように、変速比を設けている。これにより、アクチュエータTのストローク量以上に、ケースU7はレールU4に沿って大きく移動が可能となることから、ケースU7に接続されているウェイトU2もアクチュエータTの伸縮速度以上に素早くレールU4に沿って移動ができる。実施例でのウェイトU2の移動速度はアクチュエータTの伸縮速度の約4倍程度になるように変速比を設けているが、第3スプロケットT5および第1スプロケットT3の歯数を変更することで、変速比は自由に変更できる。
【0092】
ケースU7の移動にかかる伝動部品をチェーンおよびスプロケットで構成したことによって、ケースU7内に効率よく配置するとともに、ケースU7の移動方向にこれら部品をケースU7外に突出させることがないので、フレームU1内部に収めたままのケースU7の移動ストロークを阻害することがない。
【0093】
フレームU1上部には、図14乃至図16に図示する傾斜センサであるセンサ部Paおよび、図17に図示する操作部V3を設ける。
アクチュエータTは、レールU4の長手方向に対する傾斜を検知することが可能な傾斜センサであるセンサ部Paを備える。センサ部Paは、取付台P4でフレームU1の長辺U11に取り付ける。
センサ部Paは第1センサ部でもあり、図14乃至図16に図示するように、上部に回動支点である回動軸P1を設けた振子P2、振子P2の傾きおよび揺動を検出する検出部材P3を設ける。
検出部材P3は、振子P2の両側部に2か所設け、振子P2が検出部材P3に接触することで、検出信号を発する。振子P2の回動支点はフレームU1の短辺U12方向に向けた軸を有していて、フレームU1の長辺U11方向に対する端部が上下に傾くことによって揺動する。揺動量が大きくなると、振子P2が2つ設けた検出部材P3の一方が非接触状態となることで、検出信号が発することができなくなる。
【0094】
この発明の実施例では、フレームU1の長辺U11方向に対する端部が上下に傾いていない場合は、振子P2が2か所の検出部材P3が振子P2に接触し、後述の制御部が2か所の検出部材P3が検知状態を認識することで、制御部が水平状態、または、予め設定された傾斜角度の設定傾斜状態として処理する。
フレームU1の長辺U11方向に対する端部が上下に傾いた場合は、振子P2が一方の検出部材P3だけが接触した状態となり、制御部がこれを認識することで傾斜状態としている。つまり、振子P2が接触した一方の検出部材P3側のフレームU1長手方向が下方に下がっていると認識する。検出部材P3による傾斜状態を検出する角度は、振子P2の形状、および、検出部材P3の振子P2に対する位置関係を変更することによって、自由に変更することができる。
【0095】
操作部V3には、検出信号を受領し、この検出信号に応じた動作をアクチュエータTに命じる制御部(図示せず)を有する。操作部V3には、図17に図示するように、検出信号に応じた動作をアクチュエータTが自動で動作するモードである自動モードと、作業者B2によってアクチュエータTを動作させるモードである手動モードとを切り替えるための切替スイッチV1を有する。操作部V3には、手動モード時のアクチュエータTの伸縮方向を切り替えるための動作スイッチV2を有する。実施例での操作部V3はフレームU1に直接取り付けているが、遠隔操作が可能なようにキャビンB1内に設置された操作部Vに設け、キャビンB1内にいる作業者B2が操作することも可能である。このようにすることで、作業中であっても作業者B2がキャビンB1から降車することなく操作が可能となる。
【0096】
自動モードについて説明する。
切替スイッチV1によって自動モードに切り替えると、フレームU1が傾いたことを制御部が検出信号を受領することによって傾斜を認識し、制御部は受領した検出信号をもとにして、アクチュエータTを伸縮させる。すなわち、フレームU1の傾斜によって、ケースU7を自動的に移動させる。
フレームU1が傾いたことによって検出部材P3が接触すると、すなわち、傾斜した下方側の検出部材P3が振子P2と接触すると、制御部は、移動するようにアクチュエータTを伸縮させる。このようにすることで、荷台Gが作業機Aの動作姿勢に応じて変化する重心によって変化する荷台Gの傾斜を抑制する。荷台Gが水平状態あるいは設定傾斜状態を維持することが可能となるので、伸縮手段Fによって車両Bの側方に位置した作業部Cが、荷台Gの傾斜を受けることによって変化する上下動を抑制できる。作業部Cの上下動を抑制できるので、作業部Cの対地高さが一定となり、刈高さを安定させることができる。
この発明の実施例では、フレームU1の一方側が下方に傾くと、振子P2の下端側も傾き、フレームU1の一方側に位置した検出部材P3が振子P2に接触し検出信号を発する。そして検出信号を受領した制御部は、フレームU1が傾いた上方側の方向に、ケースU7およびウェイトU2が移動するようにアクチュエータTを伸縮させる。そして、フレームU1の傾斜が緩和されると、検出部材P3と振子P2の接触が解除されるので、検出信号の発出も解除される。そしてアクチュエータTの動作も停止される。フレームU1の他方側が下方に傾く場合は、上記と同様となる。
【0097】
自動モードにおける第2センサ部Pbについて説明する。
図14乃至図16に図示する第1センサ部Pa以外に、さらに、第2センサ部Pbを搭載することもできる。第2センサ部Pbは、第1センサ部Paと同一構造からなる。この発明の実施例での第2センサ部Pbは可動台U3のレールU4長手方向に対する両側の端部に設けている。レールU4上を移動する可動台U3がレールU4の終点に達するとフレームU1に接触することでセンサが動作し、レールU4の終点に達したことを制御部が認識する。
この場合、制御部は、第1センサ部Paの作動によって傾斜を認識した状態でも、傾いたレールU4上方側の終点に達した場合に、これ以上に傾いたレールU4の上方側に移動させようとするアクチュエータTの動作を停止させる。このように設けることで、無用なアクチュエータTの動作を回避する。
【0098】
手動モードについて説明する。
手動モードに切り替えた場合、作業者B2は動作スイッチを操作することでアクチュエータTを任意方向に伸縮させる。つまり、ウェイトU2を任意方向に自由に位置させることができる。
【0099】
センサ部Paの変形例について説明する。
検出部材P3は振子P2の接触にして検出信号を発する構成としたが、振子P2の傾斜角度を常時検出する構成としてもよい。この場合、制御部は振子P2の傾斜角度の信号である傾斜信号を受領することによって、傾斜信号に応じたストローク量を動作させるようにアクチュエータTを制御してもよい。
【0100】
カウンタウェイトUの車両Bへの搭載について説明する。
車両Bは、車両Bの進行方向側方に張り出す展開状態を形成可能な作業機Aを荷台G前方側に配置し、荷台Gの後方側には、進行方向左右方向に向けたレールU4に沿ってウェイトU2が移動可能なようにウェイト装置を設置する。より好ましくは、カウンタウェイトUは荷台Gの最後端、且つ、作業機Aの展開状態余は反対側の側方側に位置させることが望ましい。
【0101】
作業機A格納時の重心について説明する。
作業機Aが格納状態になると、作業部Cは荷台G上に収められ、車両Bは通常通り道路上を走行可能な状態となる。この時、荷台G上に積載した重量物の重心Q1aは、平面視において荷台Gの中央部に位置することが理想とされている。格納時の作業機A単体での重心は、荷台Gの前方に位置する。ところが、カウンタウェイトUを荷台Gの後方に積載することによって、作業機AとカウンタウェイトUを合わせた重心Q2aを、荷台Gに中央部に位置させることができる。このようにして、作業機Aを格納状態にした場合に、カウンタウェイトUとともに、荷台G上の積載物全体としての重心Q2aを、平面視において中央部に寄せることができる。また、作業機Aが格納状態において、カウンタウェイトUは自動モードまたは手動モードによって、左右方向における車両Bの荷台G中央側にウェイトU2を移動することによって、カウンタウェイトU2自身の重心Q3を、荷台G側端部に位置した重心Q3bから荷台G中央側の重心Q3aに移動できるので、荷台G上の左右に対する重心の偏りも緩和した、重心Q2aを実現できる。
【0102】
作業機A展開時の重心について説明する。
作業機Aを側方に展開させると、車両Bは車両Bの懸架装置、緩衝装置、タイヤのつぶれによって、作業機Aの展開方向側が下方に沈むように傾斜する。展開状態の作業機A単体の重心Q1aは、荷台Gの側方に位置することとなるため、荷台Gが作業機Aの展開方向側が下方に沈むように傾斜する。このとき、自動モードのカウンタウェイトUは、レールU4の長尺方向の一端側が下方に沈む傾斜状態となる。すると、検出部材P3が傾斜状態を検出し検出信号を制御部に発する。制御部はウェイトU2を傾斜した荷台Gの上方に向かうように、アクチュエータTを動作させる。すると、ウェイトU2は傾斜方向上方に向かって、荷台Gの傾斜状態を水平状態に戻す、あるいは緩和すべく移動する。ウェイトU2の移動によって、カウンタウェイトU自体の重心Q3は、荷台Gの中央側に位置した重心Q3aから、荷台Gの作業機Aの展開方向とは逆の側方側の重心Q3bに移動する。そうして、車両Bの荷台Gは水平状態に向かって傾斜状態を水平状態に戻す、あるいは傾斜状態の緩和を図ることが可能である。このようにして作業機Aを展開状態の場合であっても、カウンタウェイトUの重心Q3の移動によって、荷台Gを水平あるいは水平に近づける状態、あるいは設定傾斜状態にすることで、展開時の左右バランスを適正にする。そして作業機Aでの作業を適正に行うことが可能となる。
【0103】
作業部Cの展開状態では、図4に図示するように作業部Cは、車両Bに搭乗する作業者B2のすぐ横に位置するので作業状態を確認しながら作業をすることが可能となる。
図19は、この発明の実施例に係る作業機の作業の様子をあらわす背面図である。作業は、水平作業である。
Yは道路の例である高速道路の車道側、Y1は路肩、Y2は道路外、Y3は支柱、Y4は防護柵である。
Y5は、標識類である。標識類Y5は、表示板Y51と、反射板Y52からなる。標識類Y5は、支柱Y3にとりつける。
作業部Cで、高速道路の路肩Y1で作業をする場合は、伸縮手段Fは、水平に伸び、第1ブーム16は、支柱Y3、防護柵Y4、表示板Y51、反射板Y52を上方から跨いで、作業部Cは、道路外Y2の地面の草刈作業を行う。
図20は、この発明の実施例に係る作業機Aの作業の様子をあらわす背面図である。作業は、上傾斜作業である。
【0104】
図21は、この発明の実施例に係る作業機Aの作業の様子をあらわす背面図である。作業は、下傾斜作業である。
作業機Aは、車両Bの作業部Cを道路外Y2に位置させながら、道路外Y2の地面の傾斜状態に対応させて、作業部Cによる草刈作業をすることができる。作業機Aは操作部Vの操作で伸縮手段Fを動作させることによって、図19から図21に実線で示す作業部Cが防護柵Y4に近い側方の場所から、図19から図21に二点鎖線で示す作業部Cが防護柵Y4から遠い側方の場所まで、適宜調整して作業をさせることができる。したがって、車両が侵入できない場所であっても、伸縮手段Fを用いて遠隔地に作業部Cを位置させて作業をおこなうことができる。また、図20および図21に示すように、作業部Cを第5旋回軸E5を軸に上下に旋回動作させ、伸縮手段Fを上下左右に旋回動作させることによって、法面Y6に対応させることができる。そして、カウンタウェイトUによる重心の調整によって、遠隔地に位置する作業部Cが不必要に上下動をしないので、適正な草刈作業を実現させることができる。
【0105】
従来は、専用の作業車両である農業用のトラクタ等で作業機Aを牽引または装着していたが、この発明の実施例では、作業部Cと送風部Hを両方とも汎用の車両である車両Bに載置してある。専用の作業車両であるトラクタ等は必要なく、また、作業車両から回転動力を受領する必要がないので、作業部Cと送風部Hは、車両Bとの動力伝達に関係なく独立して作業できる。
この発明の実施例では、車両Bに設置するにあたり、作業機Aの後部に、間隔を空けて送風機Hを設ける。特に、作業機Aの後部に、間隔を空けて送風機HのノズルJ1を設ける。あるいは、作業機Aの後部に、間隔を空けて送風機Hを設け、送付機Hに設けたノズルJ1を車両の最後部に設置する。
そのため、作業部Cで刈り取った草木やごみ等の異物を吹き飛ばすための送風をすることが可能である。車両の最後部にノズルJ1を設置しているため、飛散速度が低下した状態の異物を吹き飛ばすことができる。ノズルJ1は調整部Kによって、ノズルJ1の荷台Gに対する上下左右の位置や、前後上下の角度することで、異物を車道Y側に飛散させることなく、道路外Y2に吹き飛ばすことができる。したがって、草刈作業をおこなった車両Bの車道Y側の後方には異物が飛散しない。刈取作業と、吹き飛ばし作業を別途に行うと車両が2台必要となるが、発明の実施例では一台の車両ですむ。つまり、作業機Aで草刈作業を行いながら、送風機Hによる清掃作業も同時におこなうことができる。高速道路等の道路の路肩外の草を刈取作業する場合、走行車線を閉鎖する必要がなく、車両Bも2トントラック等の貨物車量の一台で済むので、草刈作業を含む一連の作業に係る人員を少なくすることができる。
【符号の説明】
【0106】
A 作業機
B 車両
C 作業部
C1 ロータ軸
C2 刈刃
D 台枠
D1 接地部
D2 支持部
D3 固定部
E マストフレーム
E1 第1旋回軸
E2 第2旋回軸
E3 第3旋回軸
E4 第4旋回軸
E5 第5旋回軸
F 伸縮手段
G 荷台
H 送風機
H1 吐出口
H2 第1切換弁
H4 第1急速継手
H5 第2急速継手
H6 第1配管
H61 油圧ポンプM3側の第1配管
H62 油圧モータO側の第1配管
H7 第2配管
H71 油圧ポンプM3側の第2配管
H72 油圧モータO側の第2配管
H8 第1切換ブロック
H9 第2切換ブロック
H10 チェック弁
H11 第2流量調整弁
H12 リリーフ弁
H13 ケーシング
H21 送風操作部
J ホース
J1 ノズル
J2 固定手段
J3 バンド
K 調整部
K1 ロッド
K2 ボス
K3 ノブボルト
K4 ボルト
M 動力ユニット
M1 原動機
M2 タンク(燃料タンク)
M3 流体圧発生源(油圧ポンプ)
M4 方向制御弁
N ベース
N1 差込部
O 油圧モータ
O1 羽根車
Pa 第1センサ部(傾斜センサ)
Pb 第2センサ部
P1 回動軸
P2 振子
P3 検出部材
P4 取付台
Q1 作業機A単体の重心
Q2 荷台G上の積載物全体の重心
Q3 カウンタウェイトU単体の重心
Q3a カウンタウェイトU単体の重心(荷台内側に位置する場合)
Q3b カウンタウェイトU単体の重心(荷台外側に位置する場合)
T アクチュエータ(駆動源)
T1 第1チェーン
T2 第2チェーン
T3 第1スプロケット
T4 第2スプロケット
T5 第3スプロケット
T6 ガイドスプロケット
T7 接続部材
U カウンタウェイト
U1 フレーム
U2 ウェイト
U3 可動台
U4 レール
U5 支持部材
U6 ローラ
U7 ケース
U8 摺動部材
U9 ウェイト積載面
U10 ボルト
U11 長辺(フレームの長辺)
U12 短辺(フレームの短辺)
U13 ナット
V 操作部
V1 切換スイッチ
V2 動作スイッチ
Y 高速道路
Y1 路肩
Y2 道路外
Y3 支柱
Y4 防護柵
Y5 標識類
Y51 表示板
Y52 反射板
Y6 法面
11 第1シリンダ
12 第2シリンダ
13 第3シリンダ
14 第4シリンダ
15 第5シリンダ
16 第1ブーム
17 第2ブーム
18 第1連結体
19 第2連結体
21 アオリ
22 荷台固定部
23 アイボルト

図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図10
図11
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図19
図20
図21