(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024065330
(43)【公開日】2024-05-15
(54)【発明の名称】鋼管コンクリート柱の蒸気抜き孔用閉塞材
(51)【国際特許分類】
E04G 21/02 20060101AFI20240508BHJP
E04B 1/30 20060101ALI20240508BHJP
E04C 3/34 20060101ALI20240508BHJP
【FI】
E04G21/02 103Z
E04B1/30 A
E04C3/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022174142
(22)【出願日】2022-10-31
(71)【出願人】
【識別番号】000001373
【氏名又は名称】鹿島建設株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】522426124
【氏名又は名称】株式会社LiB
(74)【代理人】
【識別番号】100124316
【弁理士】
【氏名又は名称】塩田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】淺岡 茂
(72)【発明者】
【氏名】光廣 文彦
(72)【発明者】
【氏名】宮本 圭一
(72)【発明者】
【氏名】西村 光太
(72)【発明者】
【氏名】田代 真一
【テーマコード(参考)】
2E163
2E172
【Fターム(参考)】
2E163FA02
2E163FF17
2E172AA05
2E172DB03
2E172DE00
(57)【要約】
【課題】鋼管コンクリート柱を構成する鋼管の内周面と外周面との間を貫通して形成された蒸気抜き孔からのコンクリート打設後の流出を阻止し、火災時にコンクリート中から発生した場合の蒸気を通過させる機能を持たせ、コンクリートの側圧による離脱に対する安全性を高める。
【解決手段】火災時に溶融可能で、蒸気抜き孔51に内接し得る断面積と蒸気抜き孔51の全長を超える長さを持ち、外周面側から中心に向けて切欠き部22が形成された本体部21を持つ栓材2と、本体部21に保持される被保持部31と、これに連続し、切欠き部22に対応した位置に配置される中間部32と、これに連続し、鋼管5の内周面5a側から外周面5b側へ向かって蒸気抜き孔51の周囲に係止可能な係止部33を有するばね材3から閉塞材1を構成し、中間部32と係止部33の少なくともいずれか一方を蒸気抜き孔51内への挿入時に栓材2の本体部21の中心側へ収縮可能にする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋼管コンクリート柱を構成する鋼管の内周面と外周面との間を貫通して形成された蒸気抜き孔内に前記鋼管の外周面側から挿入され、前記鋼管内へのコンクリートの充填が完了し、前記コンクリートが流動性を失うまでの間、前記蒸気抜き孔を前記鋼管の内周面側から閉塞する閉塞材であり、
火災時に溶融可能な融点を持ち、前記蒸気抜き孔に内接し得る断面積と前記蒸気抜き孔の全長を超える長さを持ち、軸方向の中心に関して面対称に外周面側から前記中心に向けて切欠き部が形成された本体部を持つ栓材と、
前記栓材の前記本体部に保持される被保持部と、この被保持部に連続し、前記栓材の前記切欠き部に対応した位置に配置される中間部と、この中間部に連続し、前記鋼管の内周面側から外周面側へ向かって前記蒸気抜き孔の周囲に係止可能な係止部を有するばね材とを備え、
前記ばね材は、前記係止部が前記栓材の前記切欠き部に配置された状態で、前記被保持部において前記栓材の前記本体部に保持され、前記ばね材の前記中間部と前記係止部の少なくともいずれか一方は前記蒸気抜き孔内への挿入時に前記栓材の前記本体部の前記中心側へ収縮可能であることを特徴とする鋼管コンクリート柱の蒸気抜き孔用閉塞材。
【請求項2】
前記ばね材の前記中間部は前記栓材の前記本体部の、前記鋼管の内周面側へ、前記鋼管の内周面を越えるまで連続し、前記係止部は前記中間部の前記鋼管の内周面側の位置から前記鋼管の外周面側に向かって屈曲、もしくは湾曲し、前記ばね材が蒸気抜き孔内に挿入されきったとき、前記係止部の前記鋼管の外周面側の先端が前記鋼管の内周面に係止することを特徴とする請求項1に記載の鋼管コンクリート柱の蒸気抜き孔用閉塞材。
【請求項3】
前記ばね材の前記被保持部は、前記栓材の前記本体部に外周側から前記中心側へ連続して形成された保持部に差し込まれて前記本体部に保持されていることを特徴とする請求項1に記載の鋼管コンクリート柱の蒸気抜き孔用閉塞材。
【請求項4】
前記栓材の前記切欠き部の表面には、前記鋼管の外周面側から内周面側へかけ、前記栓材の外周面側から前記中心へ向かう傾斜が付けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の鋼管コンクリート柱の蒸気抜き孔用閉塞材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は鋼管コンクリート柱を構成する鋼管の内周面と外周面との間を貫通して形成された蒸気抜き孔からのコンクリート打設後の流出を阻止しながら、火災時にコンクリート中から発生した場合の蒸気を通過させる機能を有する鋼管コンクリート柱の蒸気抜き孔用閉塞材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
鋼管内にコンクリートを充填した鋼管コンクリート柱の鋼管には、構造物の火災時にコンクリートが高温になったときに、コンクリート中に含まれている水分が水蒸気となって膨張することによる鉄骨柱の破壊を防止するための蒸気抜き孔を形成する等の措置を講ずることが義務付けられている(非特許文献1、2参照)。
【0003】
蒸気抜き孔に充填材(詰め物)を充填しなければ、コンクリートの充填(打設)時に蒸気抜き孔内にコンクリートが入り込むため、コンクリートの充填後に蒸気抜き孔内の肉厚部分に詰まったコンクリートを工具を用いて除去する作業が必要になる。この関係で、蒸気抜き孔にはコンクリートの充填以前に何らかの充填材を充填しておくことが必要とされる。
【0004】
予め蒸気抜き孔にコンクリートの充填以前に充填材(詰め物)を充填しておく場合には、充填材は具体的には主に火災で容易に消失(焼失)する木製・プラスチック製等の栓である場合と(非特許文献2、特許文献1、2参照)、コンクリート硬化後に取り外される鋼製のボルト等である場合(非特許文献2、特許文献3~5参照)に大別される。
【0005】
充填材が火災時に消失する例には、充填材の中心部に形成された貫通孔内にスポンジ状の浸透部材を挿入しておき、コンクリートの充填後に浸透部材にノロを浸透させることで、コンクリートの充填状況を確認する方法(特許文献1)と、充填材をコンクリート充填の確認後に蒸気抜き孔内に挿入する方法(特許文献2)がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】「コンクリート充填鋼管造の建築物又は建築物の構造部分の構造方法に関する安全上必要な技術的基準を定める件」、国土交通省告示第464号
【非特許文献2】「コンクリート充填鋼管(CFT)造技術指針・同解説」、日本建築センター、第2章
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001-262833号公報(請求項1、段落0012~0023、
図1~
図6)
【特許文献2】特開2004-124426号公報(請求項5、段落0028~0031、
図4、
図5)
【特許文献3】特開2002-206312号公報(請求項2、段落0020~0030、
図1~
図3)
【特許文献4】特開2003-166309号公報(段落0009~0011、
図1~
図3)
【特許文献5】特開2013-194383号公報(請求項1~5、段落0038~0044、
図1、
図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1では充填材の中心部に軸方向に連続して形成された貫通孔と、鋼管内周面側に形成された切欠きを利用して充填材を蒸気抜き孔内に挿入することで、鋼管内周面側の外周側(縁側)に形成された爪部を鋼管内周面に係止させながら、充填材の外周面を蒸気抜き孔内に密着させた状態で装着している(段落0013、0014)。この例では充填材の外周面全面を蒸気抜き孔の内周面に密着させた上で、爪部を鋼管に係止させているため、充填材はコンクリート充填時の側圧による抜け出しに対する安定性を確保していると考えられる。
【0009】
但し、コンクリートの側圧は充填材の貫通孔内に挿入される浸透部材にも作用するところ、浸透部材は圧縮された状態にある摩擦力のみで挿入状態を維持するため(段落0013)、浸透部材が側圧を受けて充填材から離脱する可能性がないとは言えない。
【0010】
特許文献2では蒸気抜き孔内に充填材を挿入する前にコンクリートの充填状況を確認するため(段落0019、0030)、コンクリートの蒸気抜き孔からの漏れを事前に、あるいは完全に防止することが難しい。コンクリートの充填を確認できてから直ちに充填材を挿入するか、確認を無視し、コンクリートの充填前に充填材を充填すれば、ノロの漏れを防止することはできると考えられる。
【0011】
但し、充填材は鋼管内周面側の端部に形成され、鋼管内周面に係止する抜け止め片と、充填材の外周面から軸方向に部分的に張り出すように形成された中間片の弾性による摩擦力のみで蒸気抜き孔内に装着された状態を維持するに留まり(段落0021)、中間片以外の部分の外周面と蒸気抜き孔内周面との間には空隙がある(
図1)。このため、充填材自体が蒸気抜き孔内で動き得る状態にあり、コンクリートの側圧による離脱に対する安全性に不安がある。
【0012】
本発明は上記背景より、コンクリートの側圧による離脱に対する安全性を高める形態の蒸気抜き孔用閉塞材を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1に記載の鋼管コンクリート柱の蒸気抜き孔用閉塞材は、鋼管コンクリート柱を構成する鋼管の内周面と外周面との間を貫通して形成される蒸気抜き孔内に前記鋼管の外周面側から挿入され、前記鋼管内へのコンクリートの充填が完了し、前記コンクリートが流動性を失うまでの間、前記蒸気抜き孔を前記鋼管の内周面側から閉塞する閉塞材であり、
火災時に溶融可能な融点を持ち、前記蒸気抜き孔に内接し得る断面積と前記蒸気抜き孔の全長を超える長さを持ち、軸方向の中心に関して面対称に外周面側から前記中心に向けて切欠き部が形成された本体部を持つ栓材と、
前記栓材の前記本体部に保持される被保持部と、この被保持部に連続し、前記栓材の前記切欠き部に対応した位置に配置される中間部と、この中間部に連続し、前記鋼管の内周面側から外周面側へ向かって前記蒸気抜き孔の周囲に係止可能な係止部を有するばね材とを備え、
前記ばね材が、前記中間部が前記栓材の前記切欠き部に配置された状態で、前記被保持部において前記栓材の前記本体部に保持され、前記ばね材の前記中間部と前記係止部の少なくともいずれか一方が前記蒸気抜き孔内への挿入時に前記栓材の前記本体部の前記中心側へ収縮可能であることを構成要件とする。
【0014】
「火災時に溶融可能な融点を持ち」とは、栓材が火災時に少なくとも原形を留めず、蒸気抜き孔の閉塞状態を解除し得る程度まで溶融し得る、数10~100°C前後程度の融点を持つことを言う。栓材には主に合成樹脂や固形の特殊ワックス等の成形品が使用されるが、条件を満たす融点を有し、切欠き部を形成可能な加工性を有すれば、特に材料は問われない。栓材は鋼管内へのコンクリートの充填が完了し、コンクリートが流動性を失うまでの間、蒸気抜き孔を実質的に閉塞しさえすればよく、構造物の火災時には溶融することで、コンクリート中に含まれている水分の蒸気抜き孔からの排出を促す。
【0015】
「蒸気抜き孔に内接し得る断面積を持ち」とは、栓材の蒸気抜き孔への挿入状態で栓材の本体部の多くの部分の外周面が切欠き部を除き、蒸気抜き孔の内周面に接触し得る程度に、本体部が実質的に蒸気抜き孔の内周面を覆う断面積を持つことを言う。本体部の多くの部分が蒸気抜き孔に内接する状態は、本体部が外周側から軸方向の中心側に向かって収縮する場合を含む。本体部が収縮する場合の「外周側から軸方向の中心側に向かって収縮する部分」は本体部の少なくとも軸方向の一部であればよい。「蒸気抜き孔の全長を超える長さを持つ栓材」とは、蒸気抜き孔内に挿入されたときに、栓材の軸方向の鋼管内周面側と外周面側の少なくとも一方が蒸気抜き孔から突出する長さを持つことを言う。
【0016】
栓材の本体部の多くの部分の外周面が蒸気抜き孔の内周面に接触し得ることで、本体部の外周面が蒸気抜き孔の内周面に完全に密着せず、蒸気抜き孔内周面との間に多少の空隙が生じていても、コンクリートの充填後、モルタルが空隙に入り込み、そのまま硬化するため、空隙の発生がコンクリートの充填性を阻害することはない。従って閉塞材が蒸気抜き孔内への挿入からコンクリートの充填完了までの間に果たすべきコンクリート閉塞の機能は発揮される。
【0017】
栓材の本体部が蒸気抜き孔に内接し得る断面積を持つことで、栓材が蒸気抜き孔内に鋼管の外周面側から挿入された状態で鋼管内にコンクリートが充填されたときに、蒸気抜き孔からのコンクリートの鋼管外への流出が阻止される。コンクリートの流出は実質的に阻止されればよく、僅かなノロの流出は許容される。
【0018】
「軸方向の中心に関して面対称に外周側から切欠き部が形成され」とは、例えば
図1-(b)に示すように栓材2の軸方向の中心に関して面対称位置に、本体部21に栓材2の外周面側から中心側へ向かって切欠き部22が形成されることを言う。切欠き部22に対応した位置に、ばね材3の被保持部31と係止部33に連続する部分である中間部32が配置され、閉塞材1が
図4に示す蒸気抜き孔51内に挿入されたときに中間部32が栓材2の中心側へ収縮し得るよう、あるいは中間部32が納まるよう、切欠き部22の表面には例えば傾斜が付けられる(請求項4)。「切欠き部22に対応した位置に中間部32が配置され」とは、ばね材3の中間部32が切欠き部22内に納まるように配置されることと、切欠き部22に向き合う(対向する)ように配置されることを含む。
【0019】
図1-(b)に示す例の場合、具体的には切欠き部22に対応した位置にある、(c)に示すばね材3の一対の中間部32、32の鋼管内周面5a側が互いに対向する側へ弾性変形し得るように、切欠き部22の表面には鋼管5の外周面5b側からへ内周面5a側かけ、栓材2の外周面側から中心へ向かう傾斜が付けられる(請求項4)。この場合の切欠き部22の表面の傾斜は、栓材2に保持されたばね材3が蒸気抜き孔51に挿入され、
図4-(b)に示すように係止部33が蒸気抜き孔51の内周面に接触し、中間部32が被保持部31に対して曲げ変形しようとしたときに、変形した中間部32が切欠き部22の空間内に納まるように形成される。ばね材3の中間部32は切欠き部22の表面に接触することもある。
【0020】
なお、「中心に関して面対称に」であるから、切欠き部22は本体部21の外周面から中心までを含み、例えば
図3に二点鎖線で示すようにばね材3の幅に相当する幅を持つ帯状の領域が本体部21の鋼管内周面5a側から外周面5b側へ向け、軸方向に連続するように溝状に形成されるか、本体部21の鋼管外周面5b側から内周面5a側へ向け、軸方向に連続するように溝状に形成されることもある。これらの場合、切欠き部22は中心を挟んで本体部21の対向する外周面間を貫通するように形成される。ここでの「鋼管内周面側」は
図3の上側であり、「鋼管外周面側」は
図3の下側である。これらの場合、ばね材3の被保持部31は二点鎖線で示す溝内に軸方向に差し込まれて保持される。
【0021】
但し、
図3の二点鎖線で示す例の場合、本体部21が実質的に蒸気抜き孔51の内周面を覆う断面積を持つとしても、本体部21の体積が減少することで、蒸気抜き孔51内に挿入されたときに、体積が減少しない場合より収縮したときの復元力が低下し、蒸気抜き孔51内での密着状態が弱まる可能性がある。
【0022】
この点から、本体部21を収縮させる場合には、本体部21の収縮量が軸方向に一様になるようにし、蒸気抜き孔51への挿入状態での抜け出しに対する一定の安定性を確保する上では、切欠き部22は上記のように栓材2の軸方向には鋼管5の外周面5b側から内周面5a側へかけて傾斜するように形成されることが望ましい(請求項4)。その場合、本体部21には
図1-(b)に示すように外周側から中心側へ向け、軸方向に直交する方向等に連続して切り込まれるように形成された保持部24(切込み)が形成され、この保持部24に被保持部31が軸方向に直交する方向等に差し込まれることで、ばね材3が本体部1に保持される(請求項3)。
【0023】
ばね材3の被保持部31を本体部21の中心を通る位置に保持させる方法にはこの他、
図3に実線で示すように切欠き部22として本体部21の鋼管内周面5a側の端面から鋼管外周面5b側へ、中心を通して本体部21の外周面間にばね材3(被保持31部)の厚さ分程度の幅の切込みを入れると共に、この軸方向の切込みの鋼管外周面5b側の端部から直交方向にもばね材3の幅程度の切込みを入れておくことでも可能になる。この例では、二点鎖線のような幅を持った帯状の切欠き部22を形成せずに済み、本体部21の体積を減少させることはない。
【0024】
この場合、被保持部31は実線で示す軸方向の切込み(切欠き部22)に沿って差し込まれた後、直交方向の切込みの方向に向けられることで、中間部32が軸方向の切込み(本体部21の表面)に対向する状態で本体部21に保持される。只、ばね材3が蒸気抜き孔51を通過し終えるまでの間、中間部32が本体部21の中心側へ変形しようとするときに、本体部21の表面が中間部32の変形を阻害しないよう、本体部21の表面には溝等が形成される。
【0025】
いずれの場合も、栓材2に保持された状態のばね材3の中間部32が切欠き部22に対応した位置に配置され、ばね材3が閉塞材1の一部として蒸気抜き孔51内に鋼管外周面側5bから挿入されるときに、
図4-(b)に示すようにばね材3の中間部32か係止部33、または中間部32と係止部33が切欠き部22の表面に沿って栓材2の中心側へ一旦、弾性変形し、係止部33の先端34が鋼管5の内周面5a側に抜けたときに、(a)に示すように中間部32が復元し、係止部33の先端34が鋼管5の内周面5aに係止する。
【0026】
このように栓材2の切欠き部22はばね材3の中間部32が栓材2の中心側へ弾性変形しようとするときに、中間部32が切欠き部22内に納まり、係止部33が蒸気抜き孔51内に入り込めるようにするために形成される。ばね材3は連続する被保持部31と中間部32と係止部33からなるため、例えば弾性を有する1枚の金属板を各部の区分(境界)位置で折り曲げることで、形成される。但し、ばね材3の材料は問われない。
【0027】
「栓材の本体部に保持される被保持部」とは、ばね材3の被保持部31が栓材2の本体部21に、前記したように切欠き部22か保持部24に保持されることを含め、何らかの形で一体的に保持され、閉塞材1として蒸気抜き孔51内に挿入されている限り、ばね材3が栓材2と一体性を確保する程度に本体部21に拘束されることを言う。
【0028】
ばね材3の被保持部31は上記のように栓材2の本体部21に軸方向に形成された切込みを含む切欠き部22や、軸方向に直交する方向等に形成された切込み(保持部24)に差し込まれることで、保持され、栓材2との一体性を確保する。ばね材3と栓材2が一体性を確保することで、ばね材3の係止部33が鋼管内周面5aに係止している限り、ばね材3は蒸気抜き孔51内への挿入状態で高い安定性を確保するため、栓材2の蒸気抜き孔51からの抜け出しが阻止される。
【0029】
ばね材3が栓材2との一体性を確保することで、閉塞材1が蒸気抜き孔51内に挿入された状態で、栓材2は必ずしも外周側から中心側へ収縮し、復元力を発揮した状態にならなくても、蒸気抜き孔51内に挿入された状態を維持し、栓材2自体も蒸気抜き孔51内への挿入状態で安定することができる。従って栓材2にばね材3が一体化した閉塞材1は蒸気抜き孔51内への挿入状態で抜け出しに対して高い安定性を得るため、蒸気抜き孔51内に挿入された状態でのコンクリート6の側圧による離脱に対する安全性が向上する。
【0030】
ばね材4が蒸気抜き孔51内に挿入された後、
図4-(a)に示すように係止部33の先端34が鋼管5の内周面5a側に抜けたときに、中間部32の栓材2外周側への復元に伴い、鋼管5の内周面5aに係止する。係止部33の先端34が鋼管5の内周面5aに係止した状態では係止部33が破断等しない限り、ばね材3は鋼管内周面5aに係止し続けるため、閉塞材1は蒸気抜き孔51への挿入状態を維持し、蒸気抜き孔51からの抜け出しに対して安定する。
【0031】
係止部33の先端34は係止部33の全体が蒸気抜き孔51の中心側へ向かう外力を受けるか、溶融することがない限り、鋼管5の内周面5aから離脱することはないため、一旦、鋼管内周面5aに係止すれば、ばね材3が金属製であるか否かを問わず、蒸気抜き孔51から離脱することはない。ばね材3は鋼管5内へのコンクリート6の充填が完了し、コンクリート6が流動性を失うまでの間、蒸気抜き孔51から離脱することなく、栓材2に蒸気抜き孔51を閉塞する機能を発揮させればよい。従ってコンクリート6が流動性を失った後には、ばね材3は役目を終えているため、溶融等に起因して蒸気抜き孔51から離脱してもよい。
【0032】
ばね材3の中間部33は具体的には、栓材2の本体部21の、鋼管5の内周面5a側へ、鋼管5の内周面5aを越えるまで連続し、係止部33は中間部32の鋼管5の内周面5a側の位置から鋼管5の外周面5bに向かって屈曲、もしくは湾曲し、ばね材3が蒸気抜き孔51内に挿入されきったとき、係止部33の鋼管5の外周面5b側の先端34が鋼管5の内周面5aに係止する(請求項2)。
【0033】
図4-(b)に示すように閉塞材1の蒸気抜き孔51への挿入時、係止部33の先端34が蒸気抜き孔51の内周面に接触するまで中間部32、または中間部32と係止部33は栓材2の中心側へ弾性変形し、中間部32には栓材2の本体部21の放射方向外周側へ向かって復元力が生じる。「放射方向」は本体部21が円柱形状であれば、半径方向を指す。
図4-(a)に示すように係止部33の先端34が蒸気抜き孔51(鋼管内周面5a)を抜けたときに、中間部32が本体部21の放射方向外周側へ向かって復元し、同時に係止部33の先端34が鋼管5の内周面5aに係止する。
【発明の効果】
【0034】
閉塞材を構成する栓材の本体部に、蒸気抜き孔への挿入状態で鋼管内周面に係止する係止部を有するばね材を一体的に保持させ、栓材に形成された切欠き部に対応した位置に配置されるばね材の中間部に栓材外周側への復元力を発揮させた状態で、ばね材の係止部の先端を鋼管の内周面に係止させた状態を維持するため、閉塞材に蒸気抜き孔内への挿入状態で抜け出しに対して高い安定性を持たせることができる。従って閉塞材が蒸気抜き孔内に挿入した状態でのコンクリートの側圧による離脱に対する安全性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】(a)は切欠き部の表面に傾斜が付けられ、本体部の外周面から中心に向けて切込み(保持部)が形成された(b)に示す栓材に、(c)に示すばね材を組み合わせた閉塞材の製作例を示した斜視図、(b)は(a)に示す栓材の製作例を示した斜視図、(c)は(a)に示すばね材の製作例を示した斜視図である
【
図2】(a)は
図1-(b)に示す栓材の詳細例を示した、切込み(保持部)の形成方向に見たときの立面図、(b)は(a)の平面図、(c)は
図1-(c)に示すばね材を示した立面図、(d)は(c)に示すばね材の変形例を示した立面図である。
【
図3】
図1-(b)に示す栓材の本体部に中心を通り、外周面から溝状に連続する切欠き部を形成した場合の切欠き部の形成例を示した斜視図である。
【
図4】(a)は
図1-(a)に示す閉塞材が蒸気抜き孔内に鋼管の外周面側から挿入された後、ばね材の係止部の先端が鋼管の内周面に係止した様子を示した縦断面図、(b)は(a)に示す閉塞材が蒸気抜き孔内に挿入中の様子を示した縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1-(a)は鋼管コンクリート柱4を構成する鋼管5の内周面5aと外周面5bとの間を貫通して形成される
図4に示す蒸気抜き孔51内に鋼管5の外周面5b側から挿入され、
図4-(a)に示すようにコンクリート6の鋼管5への充填が完了し、コンクリート6が流動性を失うまでの間、蒸気抜き孔51を鋼管5の内周面5a側から閉塞する閉塞材1の製作例を示す。
図1-(b)に示す栓材2の上側が鋼管5の内周面5a側であり、下側が鋼管5の外周面5b側である。
【0037】
閉塞材1は軸方向の中心に関して面対称な形に、外周面側から中心に向けて切欠き部22が形成された本体部21を持つ栓材2と、栓材2の本体部21に保持されるばね材3とを備える。栓材2は火災時に溶融可能な融点を持つ合成樹脂等から成形される。
【0038】
栓材2の本体部21は切欠き部22を除き、
図4-(a)に示すように蒸気抜き孔51に実質的に内接し得る断面積を持つ。この関係で、栓材2の本体部21は蒸気抜き孔51の軸方向に見たときの内周面の形状と同様の、あるいは同等の断面形状をし、蒸気抜き孔51の内周面が円形であれば、本体部21は円形の断面形状をする。蒸気抜き孔51の内周面の形状と本体部21の断面形状は円形とは限らない。
【0039】
栓材2の本体部21はまた、蒸気抜き孔51の全長を超える長さを持ち、本体部21の鋼管外周面5b側には、閉塞材1が蒸気抜き孔51内に鋼管5の外周面5b側から挿入されるときの、人の手で摘ままれる摘み部23が連続し、本体部21に一体的に形成、または接合されている。閉塞材1が蒸気抜き孔51内に挿入された状態で
図4-(a)に示すように本体部21と摘み部23の境界部分が鋼管5の蒸気抜き孔51の外周面5bに位置する場合、本体部21から摘み部23に移行した部分が栓材2を蒸気抜き孔51内に挿入するときのストッパになるため、
図1-(b)等に示すように摘み部23には本体部21より大きい断面積が与えられる。
【0040】
ばね材3は栓材2の本体部21が有する弾性を利用して本体部21に挟持等により保持される被保持部31と、被保持部31の長さ方向両側に連続し、栓材2の切欠き部22に対応した位置に配置される中間部32と、中間部32の鋼管内周面5a側に連続し、
図2-(c)に示すように鋼管5の内周面5a側から外周面5b側へ屈曲、もしくは(d)に示すように湾曲し、蒸気抜き孔51の周囲に係止可能な係止部33を有する。係止部33は鋼管5の外周面5b側の端部である先端34において蒸気抜き孔51周囲の、鋼管5の内周面5aに外周面5b側へ係止し、ばね材3が一体化した栓材2を蒸気抜き孔51から抜け止めする働きをする。
【0041】
図1-(b)はばね材3を保持する保持部24として、本体部21の外周面から中心に向けて本体部21の軸方向に直交する方向等に、ばね材3の被保持部31が入り込む切込みを形成した場合の栓材2の製作例を示す。この保持部24としての切込みは被保持部31の平面上の中心が本体部21の軸方向の中心に合致するまで差し込める深さで形成される。切込みの幅は被保持部31の厚さ程度か、被保持部31が本体部21に挟持されながら、被保持部31が切込みの深さ方向に差し込める程度の大きさを持つ。本体部21の中心は
図1-(b)で言えば、本体部21の軸方向に直交する断面上(円形)の中心を指す。
【0042】
図1-(b)はまた、本体部21の保持部24に差し込まれた被保持部31の長さ方向両側に連続し、本体部21の軸方向に、鋼管内周面5a側の端面まで軸方向に対して傾斜した切欠き部22、22を形成した場合の例を示す。この切欠き部22は、
図4-(b)に示すように閉塞材1が蒸気抜き孔51内に鋼管外周面5b側から挿入され、ばね材3の中間部32が本体部21の中心側へ弾性変形したときに備え、その変形時の状態に対応した形状に形成される。具体的には切欠き部22の表面に、鋼管外周面5b側から内周面5a側へかけ、栓材2(本体部21)の外周面側から中心へ向かう傾斜が付けられる。
【0043】
図1-(c)は(b)に示す栓材2に組み合わせられるばね材3の形成例を示す。このばね材3は栓材2の本体部21に形成された保持部24(切込み)に被保持部31が本体部21の軸方向に直交する方向(被保持部31の幅方向)等に差し込まれることで、(a)に示すように栓材2に一体的に装着(保持)され、栓材2との一体性を確保する。被保持部31が保持部24に保持された状態は上記のように本体部21の保持部4(切込み)を挟んだ軸方向両側部分が弾性(復元力)で被保持部31を挟持することで、安定する。
【0044】
ばね材3が栓材2に装着されたとき、被保持部31の長さ方向両側から連続する中間部32、32が本体部21の各切欠き部22に対応した位置に配置される。ばね材3が栓材2に一体化した状態のとき、各中間部32は各切欠き部22に対応した位置に納まりながら、切欠き部22の表面には接触しない状態に保たれるか、表面に接触しても、切欠き部22内で弾性変形可能な状態に保たれる。
【0045】
上記のように閉塞材1が蒸気抜き孔51内に鋼管外周面5b側から挿入されたとき、ばね材3の係止部33の先端(鋼管外周面5b側を向いた先端)34が蒸気抜き孔51の内周面に接触することで、
図4-(b)に示すように中間部32、32が切欠き部22内で本体部21の中心側へ弾性変形し、切欠き部22内に入り込む。
【0046】
そのまま閉塞材1が鋼管内周面5a側に押し込まれ、係止部33の先端34が蒸気抜き孔51を通過したときに、収縮していた中間部32が復元し、
図4-(a)に示すように係止部33の先端34が鋼管5の内周面5aに外周面5b側へ係止する。この状態が閉塞材1の蒸気抜き孔51への装着状態になり、栓材2の本体部21の外周面が実質的に蒸気抜き孔51に内接し、蒸気抜き孔51の内周面を覆う。
図4-(a)は
図2に示す栓材2の本体部21における保持部24より摘み部23寄りの部分の外周面が蒸気抜き孔51の内周面に接触(密着)する様子を示している。
【0047】
ばね材3の中間部32の、栓材2外周側への復元力で係止部33の先端34が鋼管5の内周面5aに係止したときには、中間部32の復元力と、摘み部23の外周面の、蒸気抜き孔51の内周面への密着効果から、蒸気抜き孔51の内周面と栓材2の外周面との間に、製作誤差等に起因する空隙があった場合にも、空隙を極力、小さくすることができる。従って閉塞材1の蒸気抜き孔51への装着状態での閉塞材1のがたつきを防止、あるいは抑制することができる。
【0048】
この閉塞材1の蒸気抜き孔51への装着状態で鋼管5内にコンクリート6が充填され、蒸気抜き孔51のレベルまで上昇したときに、栓材2の本体部21がコンクリート6の鋼管5外への流出を実質的に阻止する。栓材2の本体部21は流動性を有するコンクリート6から鋼管外周面5b側へ向かう側圧を受けるが、栓材2との一体性を確保しているばね材3の係止部33が鋼管5の内周面5aに係止し続けることで、側圧に抵抗するため、閉塞材1が蒸気抜き孔51から鋼管外周面5b側へ抜け出すことはない。
【0049】
図2-(a)、(b)は
図1-(b)に示す栓材2の詳細例を示す。
図2-(a)は保持部24(切込み)へのばね材3の差し込みの方向から栓材2を見た様子を示す。ここに示す例は切欠き部22、22を除き、本体部21の軸方向に直交する断面積が、本体部21の外周面が蒸気抜き孔51に内接する程度の大きさを持つ栓材2の例を示している。
【0050】
この例では
図2-(a)に示すように本体部21の中心を挟んで対向する位置に形成される切欠き部22、22の保持部24側の端部が、ばね材3(中間部32)の厚み分程度、本体部21の外周面から一旦、中心側へ入り込んでいるが、この部分は中心側に入り込まないこともある。
図2-(a)の例では、本体部21の表面より凹となった切欠き部22の保持部24側の部分が保持部24に連続し、切欠き部22の保持部24側から本体部21の軸方向先端側(摘み部23の反対側)へ向けて切欠き部22が形成されている。切欠き部22、22の表面は蒸気抜き孔51の内周面には接触しない。
【0051】
図2-(c)は(a)に示す栓材2に組み合わせられる、
図1-(c)に示すばね材3の形成例であり、
図4-(b)に示すように中間部32の係止部33側の端部(中間部32と係止部33との境界部分)が本体部21の鋼管内周面5a側の端面に揃えられるか、端面より鋼管内周面5a側へ突出する場合の例を示す。
【0052】
中間部32の係止部33側の端部を鋼管内周面5a側へ突出させた場合、
図4-(b)に示すように中間部32の係止部33側の端部を栓材2の本体部21に先行して蒸気抜き孔51の内周面に接触させることができる。この場合、中間部32の係止部33側の端部が蒸気抜き孔51の内周面に接触し、本体部21の外周面側から中心側へ変形することで、中間部32の変形を利用して本体部21を中心側へ収縮させることもできる。この例では、中間部32の係止部33側の端部が蒸気抜き孔51内周面への接触に伴い、本体部21の外周面に接近し得るため、蒸気抜き孔51の内周面と本体部21の外周面との間のクリアランスが小さい場合に有効である。
【0053】
図2-(a)の例では本体部21の軸方向の摘み部23寄りの一部を残し、鋼管内周面5a寄りに切欠き部22を形成しているが、本体部21の全長に亘って切欠き部22を形成することもある。鋼管内周面5a寄りに切欠き部22を形成した場合、本体部21の摘み部23寄りの一部区間に、蒸気抜き孔51の内周面の面積と同一以上の断面積を持たせ、その区間の全外周面を蒸気抜き孔51の内周面に接触させることができるため、コンクリート6(ノロ)の流出防止効果が高められる。
【0054】
図2-(d)はばね材3の中間部32の係止部33側の端部が、栓材2の本体部21の鋼管内周面5a側の端面より摘み部23側に位置し、中間部32の鋼管内周面5a側の一部区間が本体部21の外周面(切欠き部22)から外側(蒸気抜き孔51の内周面側)へ屈曲、もしくは湾曲した場合の例を示す。この例では中間部32の係止部33側の端部より本体部21の鋼管内周面5a側の先端が鋼管5の内周面5aに近く、中間部32の係止部33側の端部が栓材2の本体部21の外周面より外側に位置する。
【0055】
このため、蒸気抜き孔51の内周面と本体部21の外周面との間のクリアランスが小さい場合、蒸気抜き孔51の内周面が中間部32の湾曲した係止部33寄りの部分に接触し、中間部32を外側へ押し広げることになる。このことから、
図2-(d)の例は蒸気抜き孔51の内周面と本体部21の外周面との間のクリアランスが十分にあるか、大きい場合の使用に適する。この場合、中間部32の係止部33側の端部より係止部33の区間に蒸気抜き孔51の内周面が接触することで、係止部33が切欠き部22側へ移動しようとして中間部32が切欠き部22側へ変形する。
【0056】
図3は切欠き部22を本体部21、または摘み部23の軸方向の端面から反対側へ向け、外周面から中心まで連続し、ばね材3の被保持部31の幅に相当する幅で形成する場合の例を二点鎖線で示す。切欠き部22は二点鎖線に挟まれた部分がくりぬかれて形成される。この切欠き部22には、ばね材3の被保持部31は厚さ方向に差し込まれ、そのまま装着状態になる。
【0057】
図3の実線は本体部21の先端側の端面から摘み部23側へ、外周面間に被保持31部の厚さ分に相当する幅の切込みを切欠き部22として形成した場合の例を示す。本体部21の軸方向の切欠き部22の摘み部23側の端部からは、直交方向にもばね材3の幅程度の切込みが連続して形成される。この場合、被保持部31は切欠き部22の先端から幅方向に差し込まれ、摘み部23側の端部位置で被保持部31の幅方向の中心に関して90°回転させられることで、装着状態になる。
【0058】
図4-(b)は
図2-(a)に示す栓材2に(c)に示すばね材3が一体的に装着された
図1-(a)に示す閉塞材1が蒸気抜き孔51内に鋼管外周面5b側から挿入されているときの状況を示す。このとき、ばね材3の係止部33の先端34が蒸気抜き孔51の内周面に接触して係止部33が栓材2の本体部21の中心側へ押され、中間部32が本体部21の中心側へ収縮している。中間部32の一部、または全体は切欠き部22の表面に接触することもある。
【0059】
図4-(a)は(b)の状態から閉塞材1が蒸気抜き孔51内に挿入されきったときの状況を示す。このとき、ばね材3の係止部33が蒸気抜き孔51を抜けて中間部32が本体部21の中心から外周側へ向かう復元力で復元し、同時に係止部33の先端34が鋼管5の内周面5aに係止することで、閉塞材1が鋼管5に抜け止めされる。
【符号の説明】
【0060】
1……閉塞材、
2……栓材、21……本体部、22……切欠き部、23……摘み部、24……保持部、
3……ばね材、31……被保持部、32……中間部、33……係止部、34……先端、
4……鋼管コンクリート柱、
5……鋼管、5a……内周面、5b……外周面、51……蒸気抜き孔、
6……コンクリート。