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特開2024-65350処理装置、処理方法、およびプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024065350
(43)【公開日】2024-05-15
(54)【発明の名称】処理装置、処理方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   C21B 7/24 20060101AFI20240508BHJP
   G01B 15/04 20060101ALI20240508BHJP
【FI】
C21B7/24 302
G01B15/04 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022174173
(22)【出願日】2022-10-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】日本製鉄株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090273
【弁理士】
【氏名又は名称】國分 孝悦
(72)【発明者】
【氏名】柴本 浩児
(72)【発明者】
【氏名】岩田 理彩
【テーマコード(参考)】
2F067
4K015
【Fターム(参考)】
2F067AA53
2F067CC07
2F067DD10
2F067EE04
2F067HH02
2F067JJ02
2F067KK08
2F067NN05
2F067NN10
4K015KA03
(57)【要約】
【課題】 高炉内装入物の表面のプロフィルの算出精度を向上させる。
【解決手段】 処理装置400は、複数の測定装置A、Bの測定値に基づく炉内表面位置のZ座標の差に基づいて、補正パラメータλを算出する。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高炉内装入物のプロフィルを算出する処理装置であって、
高炉内装入物の表面までの距離を測定する複数の測定装置の測定値を取得する取得部と、
複数の前記測定装置の測定値であって、前記表面の同じ位置を測定対象とする測定値に基づく前記表面の高さ方向の位置の差に基づいて、前記測定値に基づいて算出される前記表面の位置を補正するための補正パラメータの値を算出するパラメータ算出部と、
少なくとも1つの前記測定装置の測定値と、前記補正パラメータの値と、に基づいて、前記プロフィルを算出するプロフィル算出部と、
を備える、処理装置。
【請求項2】
前記補正パラメータは、前記測定装置の設置位置を規定する物理量と、前記測定装置の設置方向を規定する物理量と、のうちの少なくとも一方を含む、請求項1に記載の処理装置。
【請求項3】
前記パラメータ算出部は、前記表面の高さ方向の位置の差が、所定の最適化手法のアルゴリズムにおいて最小とされる前記補正パラメータの値を算出する、請求項1または2に記載の処理装置。
【請求項4】
前記所定の最適化手法は、最急降下法である、請求項3に記載の処理装置。
【請求項5】
前記パラメータ算出部は、複数のタイミングにおいて算出した前記補正パラメータの値に基づいて、前記プロフィル算出部で前記プロフィルを算出する際に用いる前記補正パラメータの値を算出する、請求項1または2に記載の処理装置。
【請求項6】
前記複数の測定装置の数は、2である、請求項1または2に記載の処理装置。
【請求項7】
高炉内装入物のプロフィルを算出する処理方法であって、
高炉内装入物の表面までの距離を測定する複数の測定装置の測定値を取得する取得工程と、
複数の前記測定装置の測定値であって、前記表面の同じ位置を測定対象とする測定値に基づく前記表面の高さ方向の位置の差に基づいて、前記測定値に基づいて算出される前記表面の位置を補正するための補正パラメータの値を算出するパラメータ算出工程と、
少なくとも1つの前記測定装置の測定値と、前記補正パラメータの値と、に基づいて、前記プロフィルを算出するプロフィル算出工程と、
を備える、処理方法。
【請求項8】
請求項1または2に記載の処理装置の各部としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理装置、処理方法、およびプログラムに関し、特に、高炉内に装入された原料のプロフィルを算出するために用いて好適なものである。
【背景技術】
【0002】
銑鉄を製造する高炉の操業では、一般に、高炉の炉頂に設置された装入装置から、粉鉄鉱石を焼き固めた焼結鉱や塊状鉄鉱石等と、コークスと、が交互に装入されて高炉内に堆積する。以下の説明では、粉鉄鉱石を焼き固めた焼結鉱や塊状鉄鉱石等を、必要に応じて鉄鉱石または鉱石と称する。また、高炉内に装入された原料(前述の例では鉄鉱石およびコークス)を、必要に応じて高炉内装入物と称する。なお、高炉内装入物のプロフィルとは、高炉内装入物の堆積面(表面)の形状を指す。
【0003】
高炉内装入物が堆積すると、高炉内に鉱石層およびコークス層が形成される。高炉の下部に形成されている羽口から吹き込まれる熱風と、コークスと、の反応によって生じるCOガスにより、鉄鉱石は加熱および還元(間接還元)される。また、鉄鉱石の一部はコークスにより直接的に還元される。このような鉄鉱石の加熱および還元により軟化融着帯が形成される。軟化融着帯は、溶銑となってコークス層の間を通過して炉底部に溜まる。以上の炉内反応等により、鉱石層およびコークス層は、高炉内において徐々に降下する。
【0004】
以上の工程において、高炉内装入物の分布を調整し、適正なガス分布を得ることは非常に重要である。したがって、例えば、高炉内装入物の分布を調整するために鉄鉱石およびコークスの装入に際し高炉内装入物のプロフィルを得ることは、高炉の操業において重要である。
【0005】
高炉内装入物のプロフィルを算出する技術として特許文献1~3に記載の技術がある。特許文献1~3には、高炉の炉頂部に、高炉の直径方向に並び、且つ、高炉の中心軸を対称軸として軸対称となるように設置された2つのマイクロ波距離計のそれぞれにおいて当該マイクロ波距離計から高炉内装入物の表面までの距離を測定し、測定した距離に基づいて高炉内装入物のプロフィルを算出することが開示されている。
【0006】
具体的に特許文献1には、高炉内装入物の表面に対するマイクロ波の入射角度が50°よりも小さくならないようにマイクロ波距離計からマイクロ波を出力することが開示されている。特許文献2には、マイクロ波距離計から高炉内装入物の表面までの距離のデータとして、当該マイクロ波距離計の設置位置と対向する側におけるデータを採用することが開示されている。特許文献3には、2つのマイクロ波距離計から高炉内装入物の表面までの距離のデータのうち、高炉内装入物の表面に対するマイクロ波の入射角度が90°に近い方のデータを採用することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010-174371号公報
【特許文献2】特開2011-2241号公報
【特許文献2】特開2014-219299号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1~3に記載の技術では、高炉内装入物の表面までの距離を測定する測定装置(特許文献1~3に記載の例では、マイクロ波距離計)が常に設計通りに測定を行うことを前提としている。しかしながら、実際の利用においては、種々の要因により、測定装置による測定が設計通りにならない場合がある。例えば、測定装置には製作誤差(個体差)がある。また、設計図面で規定されている位置に対しずれた位置に測定装置が設置される場合がある。また、設計図面で規定されている設置方向に対しずれた方向に測定装置が設置される場合がある。また、測定装置の測定開始点のずれ(いわゆるゼロ調整時におけるゼロ点のずれ)が生じる場合がある。また、経年により高炉(炉体)に歪みが生じる場合がある。また、測定装置の状態に経年変化が生じる場合がある。また、実操業時に、炉体や、測定装置の部品に熱による膨張が生じる場合がある。以上の例示した様々な要因によって測定装置による測定が設計通りにならない場合、測定装置から高炉内装入物の表面までの距離の測定データに誤差が生じる。その結果、高炉内装入物のプロフィルの算出精度が低下する。
【0009】
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、高炉内装入物のプロフィルの算出精度を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の処理装置は、高炉内装入物のプロフィルを算出する処理装置であって、高炉内装入物の表面までの距離を測定する複数の測定装置の測定値を取得する取得部と、複数の前記測定装置の測定値であって、前記表面の同じ位置を測定対象とする測定値に基づく前記表面の高さ方向の位置の差に基づいて、前記測定値に基づいて算出される前記表面の位置を補正するための補正パラメータの値を算出するパラメータ算出部と、少なくとも1つの前記測定装置の測定値と、前記補正パラメータの値と、に基づいて、前記プロフィルを算出するプロフィル算出部と、を備える。
【0011】
本発明の処理方法は、高炉内装入物のプロフィルを算出する処理方法であって、高炉内装入物の表面までの距離を測定する複数の測定装置の測定値を取得する取得工程と、複数の前記測定装置の測定値であって、前記表面の同じ位置を測定対象とする測定値に基づく前記表面の高さ方向の位置の差に基づいて、前記測定値に基づいて算出される前記表面の位置を補正するための補正パラメータの値を算出するパラメータ算出工程と、少なくとも1つの前記測定装置の測定値と、前記補正パラメータの値と、に基づいて、前記プロフィルを算出するプロフィル算出工程と、を備える。
【0012】
本発明のプログラムは、前記処理装置の各部としてコンピュータを機能させる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、高炉内装入物のプロフィルの算出精度を向上させることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】高炉の構成の一例を示す図である。
図2】測定装置の構成の一例を示す図である。
図3A】設計通りに設置されている場合の測定装置の一例を説明する図である。
図3B】設計通りに設置されていない場合の測定装置の一例を説明する図である。
図4】処理装置の機能的な構成の一例を示す図である。
図5】補間処理を行うことにより異常な測定値に代替する測定値を算出する方法の一例を説明する図である。
図6】線形補間を行うことにより共通Y座標におけるZ座標を算出する方法の一例を説明する図である。
図7A】補正パラメータを算出する際の処理方法の一例を説明するフローチャートである。
図7B】炉内表面プロフィルを算出する際の処理方法の一例を説明するフローチャートである。
図8A】補正パラメータを設計値に固定した場合の測定タイミングt1における炉内表面プロフィルの一例を示す図である。
図8B】補正パラメータを設計値に固定した場合の測定タイミングt2における炉内表面プロフィルの一例を示す図である。
図8C】補正パラメータを設計値に固定した場合の測定タイミングt3における炉内表面プロフィルの一例を示す図である。
図8D】補正パラメータを設計値に固定した場合の測定タイミングt4における炉内表面プロフィルの一例を示す図である。
図8E】補正パラメータを設計値に固定した場合の測定タイミングt5における炉内表面プロフィルの一例を示す図である。
図9A】補正パラメータを算出した場合の測定タイミングt4における炉内表面プロフィルの一例を示す図である。
図9B】補正パラメータを算出した場合の測定タイミングt5における炉内表面プロフィルの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態を説明する。
なお、長さ、位置、大きさ、間隔等、比較対象が同じであることは、厳密に同じである場合の他、発明の主旨を逸脱しない範囲で異なるもの(例えば、設計時に定められる公差の範囲内で異なるもの)も含むものとする。また、表記および説明の都合上、各図において、説明に必要な構成のみを必要に応じて簡略化して示す。
【0016】
(設備の概要)
図1は、高炉1の構成の一例を示す図である。
図1において、炉体2の炉口部(炉頂において開口している領域)にはベルレス式装入装置4が設置される。ベルレス式装入装置4は、旋回シュート5を備える。高炉1に装入される原料(例えば、鉄鉱石やコークス)は、旋回シュート5を通って高炉1内に装入され、高炉内装入物3として高炉1内に堆積する。測定装置A、Bは、当該測定装置A、Bから高炉内装入物3の表面までの距離を非接触で測定する。本実施形態では、炉体2の炉頂部付近の、炉体2よりも外側に、2つの測定装置A、Bが設置される場合を例示する。また、本実施形態では、2つの測定装置A、Bが、高炉1の直径方向(図1に示す例ではY軸に平行な方向)において間隔を有した状態で並び、且つ、高炉1(炉体2)の中心軸線C1を対称軸として軸対称の関係となる位置を設計位置として設置される場合を例示する。なお、図3Bを参照しながら後述するように、測定装置A、Bは、必ずしも設計位置に設置されるとは限らない。また、高炉1自体は公知の高炉で良く、図1に示す構成の高炉1に限定されない。例えば、図1では、高炉1がベルレス式装入装置4を備える場合を例示するが、高炉1は、ベルレス式装入装置に代えてベル式装入装置を備えていても良い。また、複数の測定装置の数は2に限定されない。また、2つの測定装置の位置関係は、高炉1の直径方向において間隔を有した状態で並ぶ関係に限定されない。また、複数の測定装置の位置関係は、高炉1(炉体2)の中心軸線C1を対称軸として軸対称の関係に限定されない。複数の測定装置の数および位置が限定されない理由については、(計算例)の欄で後述する。
【0017】
図2は、測定装置A、Bの構成の一例を示す図である。本実施形態では、測定装置A、Bが同じ構成を有する場合を例示する。また、本実施形態では、測定装置A、Bが特許文献3に記載のプロフィル測定装置である場合を例示する。したがって、ここでは、測定装置A、Bの概要を説明し、その詳細な説明を省略する。
【0018】
図2において、測定装置A、Bは、アンテナ11と、反射板12と、導波管13と、マイクロ波発生器14と、駆動軸15と、反射板駆動装置16と、を備える。
【0019】
アンテナ11および反射板12は、耐圧容器20の内部に収容されている。耐圧容器20の底面には、高炉1内と連通する開口部21が形成されている。開口部21には、マイクロ波が通過可能な仕切板22、シャッター23、および保護ネット24等が設置されている。
【0020】
アンテナ11は、例えばパラボラアンテナである。アンテナ11は、導波管13を介して、マイクロ波発生器14に連結されている。マイクロ波発生器14は、周波数が一定範囲で連続的に時間変化するマイクロ波を発生し、マイクロ波の入出力を行う。マイクロ波発生器14には、データ処理部18が信号線19を介して接続されている。
【0021】
マイクロ波発生器14で発生したマイクロ波は、アンテナ11から放射されて反射板12で反射された後、高炉1内の高炉内装入物3の表面に向けて照射される。高炉内装入物3の表面に向けて照射されたマイクロ波は、高炉内装入物3の表面で反射し、反射波として反射板12を介してアンテナ11で受信される。マイクロ波発生器14は、当該反射波を入力して検知する。データ処理部18は、例えば、FMCW(Frequency Modulated Continuous Wave)方式(周波数変調連続波方式)により、アンテナ11から測定対象(高炉内装入物3の表面)までの距離を算出する。
【0022】
図2に示すように、駆動軸15は、アンテナ11と間隔を有して対向する位置に、アンテナ11の中心軸線C2と略同軸(好ましくは同軸)で回転するように設置される。反射板12は、その板面とアンテナ11の中心軸線C2とのなす角度が略45°(好ましくは45°)となるように駆動軸15に固定されている。反射板駆動装置16は、駆動軸15を回転させる。反射板12は、駆動軸15の回転に伴って回転する。このように反射板12が回転している状態で、アンテナ11からその中心軸線C2に平行な方向にマイクロ波が放射されるようにすることで、測定装置A、Bは、反射板12で反射したマイクロ波を、高炉1の直径方向に走査する。反射板12の回転に伴い、反射板12によるマイクロ波の反射方向は、図2の紙面に対して垂直方向(図1に示すY軸方向)に移動する。換言すると、図2では、マイクロ波の走査方向が、図2の紙面に対して垂直方向(図1に示すY軸方向)である場合を例示する。なお、反射板12は、以上のようにしてマイクロ波を走査する過程でマイクロ波が高炉1の中心軸線C1を通るように設置されるのが好ましい。
【0023】
前述したように本実施形態では、測定装置A、Bが特許文献3に記載のプロフィル測定装置である場合を例示する。しかしながら、測定装置A、Bは、特許文献3に記載のプロフィル測定装置に限定されない。測定装置A、Bは、例えば、特許文献1、2に記載のプロフィル測定装置であっても良い。また、測定装置A、Bは、特許文献1~3に記載のマイクロ波距離計とは異なる公知のマイクロ波距離計でも良い。また、マイクロ波以外の電磁波を用いても良い。伝播中に受ける高炉1内の粉塵の影響を低減するために、電磁波として、マイクロ波、ミリ波、またはサブミリ波を用いるのが好ましい。しかしながら、高炉1内の環境等によっては、その他の電磁波を用いても良いし、電磁波以外の(空気中を伝播することが可能な)波を用いても良い。以上のように測定装置A、Bは、高炉内装入物3の表面までの距離を非接触で測定することが可能な装置であれば良い。また、測定装置A、Bは、接触式の測定装置でも良い。また、本実施形態では、測定装置A、Bが、後述する処理装置400に測定値のデータを無線で送信する場合を例示する。したがって、測定装置A、Bは、不図示の送信機を備える。ただし、測定装置A、Bが測定値のデータを出力する手段は無線通信に限定されない。例えば、測定装置A、Bは、測定値のデータを、通信ケーブルを介して出力しても良い。
【0024】
(知見・着想・概要)
以下に、本実施形態の処理装置および処理方法の実現に際し本発明者らが得た知見および着想と、本実施形態における炉内表面プロフィルの算出方法の概要を説明する。
【0025】
まず、図3Aを参照しながら、設計通りに設置されている場合の測定装置A、Bの一例を説明する。なお、設計通りとは、設計図面に明示的に示されている数値等の情報の通りであることの他、例えば、設計図面に明示的に示されている数値等の情報から導き出させる情報の通りであることも含む。
【0026】
図3Aにおいては、測定装置A、Bの設置位置LPA、LPBが、設計通りの位置である場合を例示する。したがって、図3Aにおいて、測定装置A、Bの設置位置LPA、LPBのY-Z座標(YOA,ZOA)、(YOB,ZOB)は、設計図面に示されているY-Z座標である。測定装置A、Bの設置位置LPA、LPBは、測定装置A、Bの所定の箇所の位置で定めれば良い。ここでは、図2に示すように、アンテナ11の中心軸線C2と反射板12との交点の位置が測定装置A、Bの設置位置LPA、LPBとして定められる場合を例示する。本実施形態では、測定装置A、Bの設置位置LPA、LPBのY-Z座標(YOA,ZOA)、(YOB,ZOB)が、測定装置A、Bの設置位置を規定する物理量として表される場合を例示する。以下の説明では、測定装置の設置位置のY座標、Z座標を、それぞれ、必要に応じて、測定装置のY座標、Z座標と略称する。
【0027】
(設備の概要)の欄で説明したように本実施形態では、マイクロ波の走査方向が、図3Aに示すY軸方向(高炉1の直径方向)である場合を例示する。図3Aでは、測定装置Aにおけるマイクロ波の走査方向を走査方向SAと表記し、測定装置Bにおけるマイクロ波の走査方向を走査方向SBと表記する。なお、走査方向SA、SBは、図3Aに示す矢印線の方向とは逆の方向(すなわち、走査方向SA、SBは、それぞれY軸の正の方向、負の方向)であっても良い。マイクロ波の走査角度θA、θBは、マイクロ波の照射方向を示す角度である。測定装置A、Bにおいては、高炉内装入物3の表面までの距離が、マイクロ波の走査角度θA、θBのそれぞれにおいて測定(算出)される。なお、(設備の概要)の欄で説明したように本実施形態では、マイクロ波の走査角度θA、θBが、反射板12(反射板駆動装置16)の回転角度により定められる場合を例示する。
【0028】
また、本実施形態では、走査基準方向からの角度がマイクロ波の走査角度として表される場合を例示する。したがって、測定装置A、Bは、マイクロ波が走査基準方向に照射されている場合にマイクロ波の走査角度θA、θBが0°であるものとしてマイクロ波の走査角度θA、θBを検知する。具体的に本実施形態では、測定装置A、Bは、反射板12の回転角度が基準角度である場合にマイクロ波の走査角度θA、θBが0°であるものとしてマイクロ波の走査角度θA、θBを検知する。基準角度は、設計時に定められる。
【0029】
また、本実施形態では、測定装置A、Bが設計通りに設置されている場合、測定装置A、Bにおける走査基準方向が、測定装置A、Bの設置位置LPA、LPBから鉛直下方に延びる方向(Z軸の負の方向)である場合を例示する。したがって、本実施形態では、測定装置A、Bが設計通りに設置されている場合、反射板12の回転角度が基準角度のときに、マイクロ波は設計通りの走査基準方向(測定装置A、Bから鉛直下方に延びる方向(Z軸の負の方向))に照射される。
【0030】
そこで、本実施形態では、設計通りの走査基準方向にマイクロ波が照射されるときの反射板12の回転角度が基準角度になるように測定装置A、Bの設置方向(例えば反射板12の向き)を調整することで、ゼロ調整が行われる場合を例示する。なお、ゼロ調整とは、マイクロ波の走査角度θA、θBが0°となるマイクロ波の照射方向が設計通りの方向になるように測定装置A、Bの設置方向を調整することである。ゼロ調整の内容は、マイクロ波の走査角度θA、θBが0°となる測定装置A、Bの状態に応じて変わるものであり、本段落の冒頭で説明した内容に限定されない。
【0031】
図3Aにおいて、測定装置A、Bにおける基準時ずれ角度を、それぞれθOA、θOBと表記する。基準時ずれ角度θOA、θOBは、設計通りの走査基準方向に対する実際の走査基準方向のずれ角度である。前述したように本実施形態では、設計通りの走査基準方向が、測定装置A、Bの設置位置LPA、LPBから鉛直下方に延びる方向(Z軸の負の方向)である場合を例示する。
【0032】
図3Aでは、測定装置A、Bが設計通りに設置されている場合を例示する。したがって基準時ずれ角度θOA、θOBは、それぞれ0°になる(図3Aにおいて、「θOA=0°」、「θOB=0°」は、このことを表す)。本実施形態では、基準時ずれ角度θOA、θOBが、測定装置A、Bの設置方向を規定する物理量として表される場合を例示する。
【0033】
また、図3Aに示すように本実施形態では、測定装置Aが、走査開始角度θAsから走査終了角度θAeまでの範囲で、一定の角度ピッチΔθAずつ、マイクロ波の走査角度θAを変更し、それぞれの走査角度θAにおいて前述したようにしてマイクロ波の送受信を行って高炉内装入物3の表面までの距離を算出する場合を例示する。同様に本実施形態では、測定装置Bが、走査開始角度θBsから走査終了角度θBeまでの範囲で、一定の角度ピッチΔθBずつ、マイクロ波の走査角度θBを変更し、それぞれの走査角度θBにおいて前述したようにしてマイクロ波の送受信を行って高炉内装入物3の表面までの距離を算出する場合を例示する。なお、走査開始角度θAs、θBs、走査終了角度θAe、θBe、および角度ピッチΔθA、ΔθBは、設計時に定められる。
【0034】
また、本実施形態では、マイクロ波の走査角度θA、θBが0°の場合よりも高炉1の中心軸線C1側にマイクロ波が照射されている場合のマイクロ波の走査角度θA、θBの符号を正とし、その反対側にマイクロ波が照射されている場合のマイクロ波の走査角度θA、θBの符号を負とする場合を例示する。したがって、図3Aに示す例では、走査開始角度θAs、θBsは、正の値であり、走査終了角度θAe、θBeは負の値である。
【0035】
図3Bは、設計通りに設置されていない場合の測定装置A、Bの一例を説明する。図3Bでは、測定装置A、Bの設置位置LPA、LPBが、図3Aに示す設計通りの設置位置LPA、LPBに対して、Y軸方向にΔYOA(>0)、ΔYOB(<0)だけずれると共に、Z軸方向にΔZOA(>0)、ΔZOB(>0)だけずれている場合を例示する。また、図3Bでは、測定装置A、Bにおける走査基準方向が、設計通りの方向(測定装置A、Bの設置位置LPA、LPBから鉛直下方に延びる方向)からΔθOA(>0)、ΔθOB(>0)だけずれている場合を例示する。なお、(>0)、(<0)は、それぞれ、その前に示す記号(例えばΔYOA)の値が正の値、負の値であることを示す。
【0036】
なお、前述したように図3Aでは測定装置A、Bが設計通りに設置されており、基準時ずれ角度θOA、θOBが0°である場合を例示する(図3Aに示す「θOA=0°」、「θOB=0°」を参照)。したがって、図3Bにおいて、ΔθOA、ΔθOBは、それぞれ基準時ずれ角度θOA、θOBと同じである(図3Bにおいて、「θOA(ΔθOA)」、「θOB(ΔθOB)」はこのことを示す)。
【0037】
図3Bにおいて、LA、LBは、測定装置A、Bから高炉内装入物3の表面の位置SPまでの距離を示す。測定装置A、Bから高炉内装入物3の表面の位置SPまでの距離LA、LBは、測定装置A、Bで測定される。以下の説明では、高炉内装入物3の表面の位置を、必要に応じて、炉内表面位置と称する。
【0038】
炉内表面位置SPのY座標YA、YBおよびZ座標ZA、ZBは、例えば、以下の(1)式~(4)式で表される。
【0039】
【数1】
【0040】
前述したように測定装置A、Bで検知される走査角度θA、θBは、走査基準方向からの角度である。図3Aに示すように測定装置A、Bが設計通りに設置されている場合、走査基準方向は設計通りの方向(測定装置A、Bの設置位置LPA、LPBから鉛直下方に延びる方向)であり、基準時ずれ角度θOA、θOBは0°である。したがって、測定装置A、Bは、マイクロ波の走査角度θA、θBとして、設計通りの基準走査方向からの角度を検知する。一方、図3Bに示すように基準時ずれ角度θOA、θOBが0(零)以外の値である場合、走査基準方向は設計通りの方向からθOA(ΔθOA)、θOB(ΔθOB)だけずれている。したがって、測定装置A、Bは、マイクロ波の走査角度θA、θBとして、設計通りの基準走査方向からそれぞれθOA°、θOB°だけずれた基準走査方向からの角度を検知する。よって、測定対象の炉内表面位置SPは、設計通りの基準走査方向からθA+θOA°、θB+θOB°の角度の位置であるのにも関わらず、測定装置A、Bは、測定対象の炉内表面位置SPの位置として、基準走査方向からθA°、θB°の角度の位置を検知する。換言すると、測定装置A、Bは、測定対象の炉内表面位置SPの位置を、θA+θOA°、θB+θOB°の角度の位置として検知しなければならないところ、当該測定対象の炉内表面位置SPの位置を、θA°、θB°の角度の位置として検知することになる。
【0041】
また、図3Bに示すように測定装置A、Bの設置位置LPA、LPBが、図3Aに示す設計通りの設置位置LPA、LPBに対して、Y軸方向にΔYOA、ΔYOBだけずれると共に、Z軸方向にΔZOA、ΔZOBだけずれている場合、(1)式~(4)式のYOA、YOB、ZOA、ZOBは、設計通りのY座標YOA、YOBおよびZ座標ZOA、ZOBに対し、それぞれΔYOA、ΔYOB、ΔZOA、ΔZOBだけずれた値になる。
【0042】
以上のように測定装置A、Bが設計通りに設置されていないと、測定装置A、Bにおいて同じ炉内表面位置SPを測定対象としているのにも関わらず、設置位置および設置方向(走査角度)のずれ分に応じて、当該炉内表面位置SPのY-Z座標(YA,ZA)、(YB,ZB)として異なるY-Z座標が算出されることになる。
【0043】
以上のように本発明者らは、測定装置A、Bが設計通りに設置されていないと、両者の測定値に基づいて算出される高炉内装入物3のプロフィルが乖離するという知見を得た。以下の説明では、高炉内装入物3のプロフィルを、必要に応じて、炉内表面プロフィルと称する。
【0044】
この知見について、本発明者らは、複数の測定装置A、Bの設置位置および設置方向の、設計図面からのずれが無ければ、複数の測定装置A、Bにおいて同じ炉内表面位置SPを測定対象とする場合、両者の測定結果は一致して然るべきであると考えた。
【0045】
このような着想のもと、本発明者らは、複数の測定装置A、Bの測定値であって、同じ炉内表面位置を測定対象とする測定値に基づく炉内表面位置のZ座標(高炉内装入物3の表面の高さ方向の位置)の差に基づいて、複数の測定装置A、Bの少なくとも一方の測定値に基づいて算出される炉内表面位置を補正するための補正パラメータを算出すれば、炉内表面プロフィルを高精度に算出することが出来ることを見出した。なお、補正パラメータは、例えば、複数の測定装置A、Bの少なくとも一方の測定値に基づいて炉内表面位置を算出する際に用いられるパラメータのうち、設計値が存在するパラメータを含んでいても良い。設計値は、例えば、炉内表面位置の算出の際に測定しなくても定めることが出来る値である。具体的に設計値は、例えば、設計図面に明示的に示される値と、設計図面に明示的に示されている情報から導き出させる値と、のうちの少なくとも一方の値である。この場合、補正パラメータとして、通常は、設計値と異なる値が算出されるが、設計値(設計通りの値)が算出されることもあり得る(すなわち、補正パラメータとして、設計値と異なる値が算出可能であれば良い)。
【0046】
なお、特許文献1~3に記載の技術では、測定装置A、Bの測定値に基づく炉内表面位置の乖離が生じるため、複数の測定装置A、Bの測定値に基づいて算出した複数の炉内表面位置のいずれかを選択するデータ合成処理が必要になる。一方、前述したように、複数の測定装置A、Bの測定値であって、同じ炉内表面位置を測定対象とする測定値に基づく炉内表面位置のZ座標の差に基づいて、補正パラメータを算出すれば、測定装置A、Bの測定値に基づく炉内表面位置の乖離を抑制することが出来る。したがって、例えば、特許文献1~3に記載の技術のように、複数の測定装置A、Bの双方の測定値を必ずしも用いる必要はなく、一方の測定装置AまたはBの測定値と、当該補正パラメータと、に基づいて、炉内表面位置を算出しても、炉内プロフィルの算出精度が低下することを抑制することが出来る。ただし、特許文献1~3に記載の技術のように、複数の測定装置A、Bの双方の測定値を用いても良い(本実施形態では、特許文献3に記載の技術との対比を容易にするため、このようにする場合を例示する)。
【0047】
また、本発明者らは、補正パラメータとして、測定装置A、Bの設置位置を定める物理量(YOA,ZOA)、(YOB,ZOB)と、測定装置A、Bの設置方向を定める物理量θOA、θOBと、のうちの少なくとも一方を用いれば、測定装置A、Bの設置状態の設計図面からのずれを、設置位置および設置方向ごとに考慮して炉内表面位置を算出することが出来るので好ましいと考えた。(1)式~(4)式の例では、測定装置A、Bの設置位置を定める物理量は、YOA、YOB、ZOA、ZOBであり、測定装置A、Bの設置方向を定める物理量は、θOA、θOBである。そこで、本実施形態では、補正パラメータとして、測定装置A、BのY座標YOA、YOBおよびZ座標ZOA、ZOBと、基準時ずれ角度θOA、θOBと、を用いる場合を例示する。なお、例えば、測定装置A、Bの設置状況等により、設置位置および設置方向のうちの一方のずれが問題にならない場合には、設置位置および設置方向のうち、ずれが問題にならない方を、補正パラメータとしなくても良い。本実施形態では、補正パラメータとして例示する、測定装置A、BのY座標YOA、YOBおよびZ座標ZOA、ZOBと、基準時ずれ角度θOA、θOBと、に設計値が存在する場合を例示する。このように、補正パラメータに、設計値が存在するパラメータを含める場合、設計値が存在する全てのパラメータを補正パラメータとして設定しなくても良く、設計値が存在するパラメータのうちの少なくとも1つのパラメータを補正パラメータとしても良い。
【0048】
ここで、炉内表面プロフィルの測定環境について、以下のことが言える。
まず、測定装置A、Bの製作誤差(個体差)、測定装置A、Bの設置位置の誤差、および測定装置A、Bの設置方向のゼロ調整時のずれは、基本的に、測定装置A、Bの設置後以降は変化することはなく、仮に変化することがあってもその頻度は低い。
【0049】
また、経年による炉体2のゆがみ、測定装置A、Bが備える部品の経年変化、および炉体2および測定装置A、Bが備える部品の膨張等の変化が発現するのに要する時間は、炉内表面プロフィルの測定周期に比べて十分に長い。
【0050】
以上のことから、走査開始角度θAs、θBsから走査終了角度θAe、θBeまでの複数回の走査における測定装置A、Bの測定値に基づいて算出された補正パラメータの代表値を、今回の補正パラメータとして算出することが好ましい。高炉1における一時的に生じる操業変動等に応じて、炉内表面プロフィルの算出に用いる補正パラメータが一時的に大きく変動することを抑制することが出来るからである。そこで、本実施形態では、このような補正パラメータの代表値を算出する場合を例示する。また、走査開始角度θAs、θBsから走査終了角度θAe、θBeまでの複数回の走査における測定装置A、Bの測定値に基づいて算出された炉内表面位置のZ座標の差を一括して評価して補正パラメータを算出しても良い。ただし、本実施形態では、説明を簡単にするために、走査開始角度θAs、θBsから走査終了角度θAe、θBeまでの1回の走査における測定装置A、Bの測定値に基づいて算出された炉内表面位置のZ座標の差を評価する場合を例示する。
【0051】
なお、以下の説明では、表記の都合上、炉内表面プロフィルを算出するために必要な測定値を得る(本実施形態では、走査開始角度θAs、θBsから走査終了角度θAe、θBeまでの1回の走査における測定装置A、Bの測定値を得る)ための測定を、必要に応じて、単に測定装置A、Bの測定と称する。
【0052】
測定装置A、Bの測定は、一般に、鉄鉱石およびコークスの装入の合間の期間に行われる。したがって、炉内表面プロフィルの算出は、例えば、鉄鉱石およびコークスの装入の合間の期間に行えば良く、短時間で行う必要性はない(以下の説明では、鉄鉱石およびコークスの装入の合間の期間を、必要に応じて装入準備期間と称する)。換言すると、炉内表面プロフィルの計算時間には比較的余裕がある。したがって、収束計算のように比較的時間を要する計算手法を採用することが出来る。
【0053】
そこで、本実施形態では、測定装置A、Bの測定値に基づいて算出した炉内表面位置のZ座標の差が、所定の最適化手法のアルゴリズムにおいて最小とされる補正パラメータの値を、装入準備期間に算出する場合を例示する。なお、1回の装入準備期間に、測定装置A、Bの測定が複数回行われる場合、当該装入準備期間における炉内表面プロフィルとして、複数の炉内表面プロフィルを算出しても良い。また、炉内表面プロフィルの算出を行うタイミングは、装入準備期間に限定されない。例えば、測定装置A、Bの測定を、鉄鉱石およびコークスの装入時に行える場合には、鉄鉱石およびコークスを装入しているときに炉内表面プロフィルを算出しても良い。
【0054】
また、本発明者らは、炉内表面プロフィルの特徴から、測定値に異常がなければ、最適化手法に用いる評価関数Jの形状が単峰性の形状になるという知見を得た。したがって、最適化手法として、例えば一般的な最急降下法を用いても、局所解が算出されることを抑制することが出来る。そこで、本実施形態では、最適化手法として一般的な最急降下法を用いる場合を例示する。ただし、最適化手法は、最急降下法に限定されない。例えば、最適化手法として、最急降下法以外の最適化手法(例えば、遺伝的アルゴリズム等のメタヒューリスティック手法)を用いても良い。また、補正パラメータの値を算出する手法は、最適化手法にも限定されない。例えば、炉内表面位置のZ座標の差を説明変数とし、炉内表面プロフィルを目的変数とする機械学習モデル(例えば、ニューラルネットワーク)を用いて補正パラメータを算出しても良い。
本実施形態における炉内表面プロフィルの算出方法の概要は以上の通りである。以下に本実施形態の処理装置および処理方法の一例を説明する。
【0055】
(処理装置400)
図4は、処理装置400の機能的な構成の一例を示す図である。処理装置400のハードウェアは、例えば、プロセッサ、主記憶装置、補助記憶装置、および各種のインターフェースを備える情報処理装置を用いることにより実現される。また、処理装置400のハードウェアは、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の専用のハードウェアにより実現されても良い。
【0056】
<取得部410>
(知見・着想・概要)の欄で説明したように本実施形態では、測定装置A、Bが、走査開始角度θAs、θBeから走査終了角度θAe、θBeまでの範囲で、一定の角度ピッチΔθA、ΔθBずつ、マイクロ波の走査角度θA、θBを変更し、高炉内装入物3の表面までの距離LA、LBを、マイクロ波の走査角度θA、θBのそれぞれにおいて測定(算出)する場合を例示する。以下の説明では、高炉内装入物3の表面までの距離を、必要に応じて距離と略称し、マイクロ波の走査角度を、必要に応じて走査角度と略称する。
【0057】
取得部410は、測定装置Aの測定値のデータの一例として、各走査角度θAにおける距離LAのデータを取得する。また、取得部410は、測定装置Bの測定値のデータの一例として、各走査角度θBにおける距離LBのデータを取得する。(設備の概要)の欄で説明したように本実施形態では、測定装置A、Bが備える送信機から測定値のデータが送信される場合を例示する。したがって、取得部410は、このようにして送信された測定装置A、Bの測定値のデータを受信することにより、測定装置A、Bの測定値のデータを取得する。ただし、測定装置A、Bが測定値のデータを出力する手段は無線通信に限定されないことは(設備の概要)の欄で説明した通りである。また、取得部410は、測定装置A、Bの測定値のデータを、測定装置A、B以外の外部装置を経由して取得しても良い。
【0058】
(知見・着想・概要)の欄で説明したように本実施形態では説明を簡単にするため、取得部410が、走査開始角度θAs、θBeから走査終了角度θAe、θBeまでの一回の走査により測定装置A、Bで測定された測定値のデータを一度して取得する場合を例示する。
【0059】
<パラメータ算出部420、パラメータ記憶部430>
パラメータ算出部420は、取得部410により取得された測定装置A、Bの測定値であって、同じ炉内表面位置を測定対象とする測定値に基づく測定値に基づいて、補正パラメータの値を算出してパラメータ記憶部430に記憶する。
【0060】
(知見・着想・概要)の欄で説明したように、本実施形態では、補正パラメータが、測定装置A、BのY座標YOA、YOBおよびZ座標ZOA、ZOBと、基準時ずれ角度θOA、θOBである場合を例示する。また、本実施形態では、パラメータ算出部420が、1つの測定装置AまたはBの測定値に基づいて、炉内表面位置SPを算出することを、測定装置A、Bのそれぞれについて行うことで、測定装置A、Bの測定値に基づく炉内表面位置SPをそれぞれ算出し、算出した炉内表面位置SPのZ座標の差に基づいて、補正パラメータの値を、最急降下法を用いて行う場合を例示する。なお、複数の炉内表面位置SPのZ座標の差は、同一のY座標において算出される。
【0061】
以下に、パラメータ算出部420におけるより詳細な処理の一例を説明する。
<<座標変換>>
まず、パラメータ算出部420は、測定装置Aの測定値(各走査角度θAにおける距離LA)と、パラメータ記憶部430に記憶されている補正パラメータの値(YOA、ZOA、θOA)と、に基づいて、(1)式および(2)式により、炉内表面位置SPのY座標YAおよびZ座標ZAを算出する。これにより、走査開始角度θAsから走査終了角度θAeまでの1回の走査における各走査角度θAに対応する各炉内表面位置SPのY座標YAおよびZ座標ZAが算出される。
【0062】
同様に、パラメータ算出部420は、測定装置Bの測定値(各走査角度θBにおける距離LB)と、パラメータ記憶部430に記憶されている補正パラメータの値(YOB、ZOB、θOB)と、に基づいて、(3)式および(4)式により、炉内表面位置SPのY座標YBおよびZ座標ZBを算出する。これにより、走査開始角度θBsから走査終了角度θBeまでの1回の走査における各走査角度θBに対応する各炉内表面位置SPのY座標YBおよびZ座標ZBが算出される。
【0063】
なお、パラメータ算出部420により、補正パラメータの値(θOA、θOB、YOA、YOB、ZOA、ZOB)が算出されていない場合、パラメータ算出部420は、補正パラメータの値として、例えば、所定値を用いる。本実施形態では、補正パラメータθOA、θOB、YOA、YOB、ZOA、ZOBに設計値が存在するので、所定値として設計値を用いる場合を例示する。測定装置A、BのY座標YOA、YOBおよびZ座標ZOA、ZOBの設計値は、例えば、設計図面における測定装置A、BのY座標およびZ座標である。基準時ずれ角度θOA、θOBの設計値は、例えば、0(零)である。なお、所定値は、設計値でなくても良く、例えば、オペレータが、補正パラメータの想定値として定めた値であっても良い。
【0064】
また、(知見・着想・概要)の欄で説明したように本実施形態では、補正パラメータの値(θOA、θOB、YOA、YOB、ZOA、ZOB)として、R回の測定のそれぞれにおいて最適解として算出された補正パラメータの代表値がパラメータ記憶部430に記憶される場合を例示する(この点の詳細については<<パラメータの算出の欄>>で後述する)。
【0065】
<<データ除去>>
特許文献3に記載のように、パラメータ算出部420は、各炉内表面位置SPのY-Z座標(YA,ZA)、(YB,ZB)のうち、異常な測定値に基づくY-Z座標を除去するのが好ましい。例えば、パラメータ算出部420は、同一の測定装置A(B)により相前後して測定された測定値に基づく2つの炉内表面位置SPのY-Z座標(YA,ZA)((YB,ZB))を結ぶ直線の傾き(傾斜角度)、または、当該2つの炉内表面位置SPまでの距離LA(LB)に基づいて、各炉内表面位置SPのY-Z座標(YA,ZA)((YB,ZB))が異常な測定値であるか否かを判定しても良い。なお、このような異常な測定値に基づくY-Z座標の除去の方法の一例は、特許文献3に記載されているので、ここでは、その詳細な説明を省略する。本欄(<パラメータ算出部420、パラメータ記憶部430>の欄)の以降の説明では、特に断らない限り、各炉内表面位置SPのY-Z座標(YA,ZA)、(YB,ZB)には、異常な測定値に基づくY-Z座標が含まれないものとする。
【0066】
なお、パラメータ算出部420は、異常な測定値を除去した場合、例えば、当該異常な測定値の前後の正常な測定値(炉内表面位置SPまでの距離LA、LB、走査角度θA、θB)に基づいて、当該異常な測定値に代替する測定値を算出し、当該代替する測定値に基づくY-Z座標(YA,ZA)、(YB,ZB)および走査角度θA、θBを算出しても良い。例えば、パラメータ算出部420は、当該異常な測定値の前後の正常な測定値に基づいて補間処理を行うことにより、当該代替する測定値を算出しても良い。
【0067】
図5を参照しながら、補間処理を行うことにより異常な測定値に代替する測定値を算出する方法の一例を説明する。ここでは説明を簡単にするために、基準時ずれ角度θOAが0°(θOA=0°)である場合を例示する。
【0068】
図5において、炉内表面位置510~513は、測定装置Aの測定値に基づく炉内表面位置SPを示す。また、図5では、炉内表面位置510、513が、測定装置Aの正常な測定値に基づく炉内表面位置SPであり、炉内表面位置511~512が、測定装置Aの異常な測定値に基づく炉内表面位置SPであるものとする。
【0069】
また、2つの正常な測定値が得られたタイミングの間のタイミングで得られた異常な測定値の数をQ個とする。図5では、Q=2である場合を例示する。また、前記2つの正常な測定値が得られたタイミングの間に他の正常な測定値は得られていないものとする。また、図5において、炉内表面位置510は、n番目の測定値に基づく炉内表面位置であり、炉内表面位置511、512、513は、それぞれ、n+1番目、n+2番目、n+3番目の測定値に基づく炉内表面位置であるものとする。
【0070】
そして、図5では、測定装置Aから炉内表面位置510、511、512、513までの距離をそれぞれ、Ln,A、Ln+1,A、Ln+2,A、Ln+3,A(=Ln+Q+1,A)と表記し、炉内表面位置510、513における走査角度をそれぞれ、θn,A、θn+3,A(=θn+Q+1,A)と表記する。
【0071】
そうすると、距離Ln+q,Aに代替する距離L'n+q,Aは、以下の(5)式により算出される(qは1以上Q以下の整数)。また、走査角度θq+q,Aは、以下の(6)式により算出される。なお、走査角度は、異常な測定値であっても正常な測定値であっても同じ値を示す。また、図3Aを参照しながら(知見・着想・概要)の欄で説明したように本実施形態では、走査角度が一定の角度ピッチΔθAずつ変更される場合を例示する。したがって、(6)式に代えて、θn+q,A=θn,A+q×ΔθAを用いても良い。(5)式に示す距離L'n+q,Aを用いると、測定装置Aの異常な測定値に基づくY座標、Z座標は、それぞれ以下の(7)式、(8)式に示すY座標Y'n+q,A、Z座標Z'n+q,Aに代替される。
【0072】
【数2】
【0073】
図5において、白丸で示す炉内表面位置521、522は、それぞれ、炉内表面位置511、512に代替される炉内表面位置の一例である。炉内表面位置521、522のY-Z座標は、(7)式および(8)式においてq=1、2として算出されたY座標Y'n+1,A、Y'n+2,AおよびZ座標Z'n+1,A、Z'n+2,Aにより定められるY-Z座標である。
【0074】
なお、図5では、測定装置Aを例に挙げて説明したが、以上の図5の説明において、AをBに置き換えれば測定装置Bにおいても同様に異常な測定値に基づく炉内表面位置(Y-Z座標)を代替する炉内表面位置(Y-Z座標)を算出することが出来る。したがって、測定装置Bの異常な測定値に代替する測定値を算出する方法の詳細な説明を省略する。
【0075】
<<降下量補正>>
走査開始角度θAs、θBsから走査終了角度θAe、θBeまでの1回の走査が行われている期間に、炉内反応等により高炉内装入物3は降下する。そこで、パラメータ算出部420は、このような高炉内装入物3の降下量だけ、各炉内表面位置SPのZ座標ZA、ZBを補正するのが好ましい。例えば、パラメータ算出部420は、各走査角度θA、θBにおける測定時刻(各測定時刻)から、走査終了角度θAe、θBeにおける測定時刻(測定終了時刻)までの経過時間と、高炉内装入物3の降下速度と、に基づいて、各走査角度θA、θBに対応する各炉内表面位置SPのY座標YA、YBにおける高炉内装入物3の降下量を算出する。
【0076】
その際、高炉内装入物3の降下速度は高炉内装入物3の表面の位置によらずに一定であると仮定しても良い。この場合、高炉内装入物3の降下量をr(m)とし、高炉内装入物3の降下速度をd(m/s)、測定終了時刻と測定時刻との差をt(s)とすると(r≧0、d≧0、t≧0)、以下の(9)式により、高炉内装入物3の降下量rが算出される。
r=d×t ・・・(9)
【0077】
本実施形態では、パラメータ算出部420が、(9)式により、各炉内表面位置SPのY座標YA、YBにおける高炉内装入物3の降下量rを算出する場合を例示する。この場合、パラメータ算出部420は、例えば、各炉内表面位置SPのZ座標ZA、ZBから、当該炉内表面位置SPのY座標YA、YBにおける高炉内装入物3の降下量rを減算することによって、各炉内表面位置SPのZ座標ZA、ZBを補正する。
【0078】
本欄(<パラメータ算出部420、パラメータ記憶部430>の欄)の以降の説明では、特に断らない限り、炉内表面位置SPのZ座標ZA、ZBは、以上のようにして高炉内装入物3の降下量rを用いて補正されたZ座標であるものとする。
【0079】
<<共通Y座標における炉内表面位置の算出>>
本実施形態では、各炉内表面位置SPのZ座標の差を評価する。そのために、本実施形態では、測定装置Aの測定値に基づく炉内表面位置SPのZ座標と、測定装置Bの測定値に基づく炉内表面位置SPのZ座標と、の差を、同一のY座標において算出する場合を例示する。前述したようにして算出される各炉内表面位置SPのY座標YA、YBは同じ座標値であるとは限らない。そこで、パラメータ算出部420は、各炉内表面位置SPのY-Z座標(YA,ZA)、(YB,ZB)に基づいて、炉内表面位置SPの同一のY座標におけるZ座標を、測定装置A、Bのそれぞれについて算出する。以下の説明では、測定装置A、Bの測定値に基づく炉内表面位置SPのZ座標の差を算出するY座標(前述した同一のY座標)を、必要に応じて、共通Y座標と称する。例えば、パラメータ算出部420は、炉内表面位置SPのY-Z座標のうち、共通Y座標の前後のY座標を有するY-Z座標を用いた線形補間を行うことにより、当該共通Y座標におけるZ座標を算出しても良い。
【0080】
以下に、図6を参照しながら、線形補間を行うことにより共通Y座標におけるZ座標を算出する方法の一例を説明する。
図6(a)および図6(b)では、Y軸方向において所定距離ΔYだけ離れた各Y座標が共通Y座標Yi(・・・,Yn,Yn+1,Yn+2,Yn+3,Yn+4,・・・)である場合を例示する。なお、ここでは説明を簡単にするために、所定距離ΔYが一定値である場合を例示する。ここで、iは、共通Y座標を識別するためのインデックス番号であり、1以上N以下の整数であるものとする(図6(a)および図6(b)では、i=n,n+1,n+2,n+3,n+4である共通Y座標Yi(Yn、Yn+1、Yn+2、Yn+3、Yn+4)を例示する)。なお、図6(a)および図6(b)においてインデックス番号iが同じ共通Y座標は同じ座標値である(例えば、図6(a)に示す共通Y座標Yn図6(b)に示す共通Y座標Ynとは同じ座標値である)。
【0081】
また、図6(a)および図6(b)において、炉内表面位置611~615、621~625は、<<降下量補正>>の欄で説明した処理で算出された各炉内表面位置SPである。以下の説明では、<<降下量補正>>の欄で説明した処理で算出された各炉内表面位置SPを、必要に応じてベース炉内表面位置と称する。
【0082】
図6(a)において、パラメータ算出部420は、測定装置Aの測定値に基づくベース炉内表面位置611~615のうち、共通Y座標Yi以上のY座標であって当該共通Y座標Yiに最も近いY座標を有するベース炉内表面位置と、当該共通Y座標Yi以下のY座標であって当該共通Y座標Yiに最も近いY座標を有するベース炉内表面位置と、を抽出する。図6(a)において例えば、共通Y座標YiがYnである場合、パラメータ算出部420は、2つのベース炉内表面位置611、612を抽出する。
【0083】
そして、パラメータ算出部420は、抽出した2つのベース炉内表面位置を線形補間することにより、共通Y座標YiにおけるZ座標Zi,Aを算出する。パラメータ算出部420は、以上のような共通Y座標YiにおけるZ座標Zi,Aの算出を全ての共通Y座標Yi(i=1~N)について行う。なお、Zi,Aの「,」の後の「A」は、測定装置Aの測定値に基づくものであることを表す。
【0084】
図6(a)では、ベース炉内表面位置611~612、612~613、613~614、614~615を線形補間することによって、共通Y座標Yn、Yn+1、Yn+2、Yn+3、Yn+4と、当該共通Y座標におけるZ座標Zn,A、Zn+1,A、Zn+2,A、Zn+3,A、Zn+4,Aと、によりY-Z座標が定められる炉内表面位置630、631、632、633、634が算出される場合を例示する。以下の説明では、共通Y座標と、当該共通Y座標におけるZ座標と、によりY-Z座標が定められる炉内表面位置を、必要に応じて共通Y座標炉内表面位置と称する。
【0085】
同様に図6(b)において、パラメータ算出部420は、測定装置Bの測定値に基づくベース炉内表面位置621~625のうち、共通Y座標Yi以上のY座標であって当該共通Y座標Yiに最も近いY座標を有するベース炉内表面位置と、当該共通Y座標Yi以下のY座標であって当該共通Y座標Yiに最も近いY座標を有するベースY座標と、を抽出する。図6(b)において例えば、共通Y座標YiがYnである場合、パラメータ算出部420は、2つのベース炉内表面位置621、622を抽出する。
【0086】
そして、パラメータ算出部420は、抽出した2つのベース炉内表面位置を線形補間することにより、共通Y座標YiにおけるZ座標Zi,Bを算出する。パラメータ算出部420は、以上のような共通Y座標YiにおけるZ座標Zi,Bの算出を全ての共通Y座標Yi(i=1~N)について行う。なお、Zi,Bの「,」の後の「B」は、測定装置Bの測定値に基づくものであることを表す。
【0087】
図6(b)では、ベース炉内表面位置621~622、622~623、623~624、624~625を線形補間することによって、共通Y座標Yn、Yn+1、Yn+2、Yn+3、Yn+4と、当該共通Y座標におけるZ座標Zn,B、Zn+1,B、Zn+2,B、Zn+3,B、Zn+4,Bと、によりY-Z座標が定められる共通Y座標炉内表面位置640、641、642、643、644が算出される場合を例示する。
【0088】
なお、共通Y座標YiにおけるZ座標Zi,A、Zi,Bを算出する手法は、以上の手法に限定されない。例えば、ベース炉内表面位置611~615、621~625に基づいて、ベース炉内表面位置の近似曲線を、本欄(<<共通Y座標における炉内表面位置の算出>>)で説明した線形補間とは異なる方法で算出し、算出した近似曲線の共通Y座標YiにおけるZ座標を算出しても良い。
【0089】
また、本欄(<<共通Y座標における炉内表面位置の算出>>)の処理を開始する時点で算出されている、測定装置A、Bの測定値に基づく炉内表面位置SPのY座標YA、YBが同じ座標値である場合、パラメータ算出部420は、本欄の処理を行わなくても良い。
【0090】
<<パラメータの算出>>
本実施形態では、パラメータ算出部420が、測定装置Aの測定値に基づく共通Y座標炉内表面位置630~634と、測定装置Bの測定値に基づく共通Y座標炉内表面位置640~644と、から、同一の共通Y座標YiにおけるZ座標Zi,A、Zi,Bを抽出し、当該Z座標Zi,A、Zi,Bの差に基づいて、補正パラメータの値を算出する場合を例示する。ここで、補正パラメータを総称する場合の補正パラメータを示す記号を、必要に応じてλと表記し、補正パラメータλの微小変化量を示す記号を、必要に応じてΔλと表記する。本実施形態では、補正パラメータλが、測定装置A、BのY座標YOA、YOBおよびZ座標ZOA、ZOBと、測定装置A、Bの基準時ずれ角度θOA、θOBと、を含む場合を例示する。この場合、補正パラメータλは、6個の成分θOA、θOB、YOA、YOB、ZOA、ZOBを含む。補正パラメータλの微小変化量Δλも、6個の成分ΔθOA、ΔθOB、ΔYOA、ΔYOB、ΔZOA、ΔZOBを含む。また、最急降下法における繰り返し処理の繰り返し計算回数を表す記号を、必要に応じて(下付きで)kと表記することとする。
【0091】
そうすると、最急降下法における評価関数Jは、例えば、以下の(10)式で表される。また、評価関数Jの勾配∂J/∂λkは、例えば、以下の(11)式で表される。
【0092】
【数3】
【0093】
本実施形態では、パラメータ算出部420が、評価関数Jの勾配∂J/∂λkの値に基づいて、補正パラメータλkの更新終了条件を満足するか否かを判定する場合を例示する。以下の説明では、補正パラメータλkの更新終了条件を、必要に応じて更新終了条件と略称する。更新終了条件は、最急降下法のアルゴリズムにおいて用いられている公知の条件で良い。パラメータ算出部420は、評価関数Jの勾配∂J/∂λkの値が所定値p以下(未満)であることと(∂J/∂λk≦p(または<p))、繰り返し計算回数kが所定値C以上(または超)であることと(k≧C(または>C))、のうち少なくとも一方の条件を満足する場合に、更新終了条件を満足すると判定し、そうでない場合に、更新終了条件を満足しないと判定しても良い。なお、前者の更新終了条件(|∂J/∂λk|≦p(または<p))は、評価関数Jの勾配∂J/∂λkが0(零)に近いことを更新終了条件とする場合の更新終了条件の一例である。
【0094】
前述したように本実施形態では、補正パラメータλは、6個の成分ΔθOA、ΔθOB、ΔYOA、ΔYOB、ΔZOA、ΔZOBを含む。したがって、評価関数Jの勾配∂J/∂λkとして6個の値が算出される。したがって、パラメータ算出部420は、これら6個の評価関数Jの勾配∂J/∂λkに基づいて、更新終了条件を満足するか否かを判定する。例えば、パラメータ算出部420は、6個の評価関数Jの勾配∂J/∂λkの全てが、それぞれの評価関数Jの勾配∂J/∂λkに対して個別に予め設定されている所定値以下(または未満)である場合に、更新終了条件を満足すると判定しても良い。また、パラメータ算出部420は、6個の評価関数Jの勾配∂J/∂λkの積算値が所定値以下(または未満)である場合に、更新終了条件を満足すると判定しても良い。
【0095】
パラメータ算出部420は、更新終了条件を満足しないと判定した場合、補正パラメータλkを更新する。更新後の補正パラメータλk+1は、例えば、以下の(12)式で表される
【0096】
【数4】
【0097】
ここで、α(>0)は、学習率である。学習率αの値を大きくし過ぎると、最適解の算出精度は低下するが計算時間は短くなる。逆に学習率αを小さくし過ぎると、計算時間は長くなるが最適解の算出精度は高くなる。学習率αは、このような観点から予め設定される。最急降下法のアルゴリズムにおいて通常用いられる値を学習率αの値として用いて良い。前述したように本実施形態では、補正パラメータλは、6個の成分θOA、θOB、YOA、YOB、ZOA、ZOBを含む。したがって、学習率αも6個の成分αθA、αθB、αYA、αYB、αZA、αZBを含む。なお、ここでは、補正パラメータθOA、θOB、YOA、YOB、ZOA、ZOBに対する学習率をそれぞれαθA、αθB、αYA、αYB、αZA、αZBと表記する。
【0098】
更新終了条件を満足しないと判定した場合、パラメータ算出部420は、繰り返し計算回数kに1を加算して繰り返し計算回数を更新し(すなわち、k=k+1とし)、前述した<<座標変換>>、<<データ除去>>、<<降下量補正>>、および<<共通Y座標における炉内表面位置の算出>>の欄で説明した処理を行い、本欄(<<パラメータの算出>>の欄)で説明したようにして評価関数Jの勾配∂J/∂λkの算出と、更新終了条件を満足するか否かの判定と、を行う。
【0099】
なお、更新終了条件を満足せずに前述した<<座標変換>>、<<データ除去>>、<<降下量補正>>、および<<共通Y座標における炉内表面位置の算出>>の欄で説明した処理が再び行われる場合、当該処理においては、(12)式で算出した補正パラメータλk+1は、λkとして用いられる。例えば、(12)式で算出した補正パラメータλk+1は、次の(1)式~(4)式の計算においては、λkの値して用いられる。
【0100】
パラメータ算出部420は、以上の処理を、更新終了条件を満足すると判定するまで繰り返し行う。パラメータ算出部420は、更新終了条件を満足する時点で得られている補正パラメータλk(θOA、θOB、YOA、YOB、ZOA、ZOB)を、今回の測定における最適解とする。
【0101】
そして、本実施形態では、補正パラメータλ(θOA、θOB、YOA、YOB、ZOA、ZOB)として、R回(R≧2)の測定のそれぞれにおいて最適解として算出された補正パラメータλの代表値がパラメータ記憶部430に記憶される場合を例示する。このようにすることで、高炉1における一時的に生じる操業変動等に応じて、炉内表面プロフィルの算出に用いる補正パラメータλが一時的に大きく変動することを抑制することが出来る。
【0102】
具体的に本実施形態では、代表値が移動平均値である場合を例示する。したがって、パラメータ記憶部430に記憶される補正パラメータλの値は、R回の測定のそれぞれにおいて最適解として算出された補正パラメータλの移動平均値である。ただし、必ずしもこのようにする必要はない。代表値として、例えば、移動平均値に代えて加重平均値を用いても良い。この場合、現在時刻に近いタイミングで算出された補正パラメータλであるほど、重み係数を大きくしても良いし、小さくしても良いし、これら以外の重み係数を用いても良い。また、パラメータ算出部420は、R回の測定のそれぞれにおいて最適解として算出された補正パラメータλの代表値を算出しなくても良い。例えば、パラメータ算出部420は、今回の測定における最適解として算出した補正パラメータλをそのままパラメータ記憶部430に記憶しても良い。例えば、高炉1における操業変動が緩やかである場合にはこのようにしても良い。
【0103】
<プロフィル算出部440>
プロフィル算出部440は、複数の測定装置A、Bのうちの少なくとも1つの測定装置の測定値と、パラメータ算出部420で算出された補正パラメータλと、に基づいて、炉内表面プロフィルを算出する。(知見・着想・概要)の欄で説明したように本実施形態では、特許文献1~3と同様に、複数の測定装置A、Bの測定値を用いる場合を例示する。
【0104】
また、本実施形態では、プロフィル算出部440は、取得部410により取得された測定装置A、Bの測定値と、パラメータ記憶部430に記憶されている補正パラメータλ(θOA、θOB、YOA、YOB、ZOA、ZOB)と、に基づいて、炉内表面プロフィルを、装入準備期間に算出する場合を例示する。また、本実施形態では、取得部410からパラメータ算出部420およびプロフィル算出部440の双方に、測定装置A、Bの測定値として同一の測定値が同時に出力される場合を例示する。したがって、本実施形態では、プロフィル算出部440が炉内表面プロフィルを算出するタイミング(すなわち、取得部410から測定装置A、Bの測定値が出力されるタイミング)では、当該測定装置A、Bの測定値に基づく補正パラメータλは、パラメータ算出部420により算出されておらず、パラメータ記憶部430に記憶されている補正パラメータλは、今回の測定ではなく、前回の測定までで算出された補正パラメータλである場合を例示する。よって、プロフィル算出部440は、このような補正パラメータλをパラメータ記憶部430から読み出す。
【0105】
なお、取得部410からパラメータ算出部420およびプロフィル算出部440の双方に、測定装置A、Bの測定値として同一の測定値が同時に出力されなくても良い。例えば、取得部410は、測定装置A、Bの測定値として同一の測定値を、パラメータ算出部420およびプロフィル算出部440に別々のタイミングで出力しても良い。
【0106】
プロフィル算出部440は、取得部410により取得された測定装置A、Bの測定値と、パラメータ記憶部430に記憶されている補正パラメータλ(θOA、θOB、YOA、YOB、ZOA、ZOB)の値と、に基づいて、<<座標変換>>の欄で説明したのと同様に、(1)式~(4)式により、走査開始角度θAs、θBsから走査終了角度θAe、θBeまでの各走査角度θA、θBに対応する各炉内表面位置SPのY座標YA、YBおよびZ座標ZA、ZBを算出する。(知見・着想・概要)の欄で説明したように本実施形態では、走査開始角度θAs、θBsから走査終了角度θAe、θBeまでの1回の走査における測定装置A、Bの測定値に基づいて1つの炉内表面プロフィルを算出する場合を例示する。
【0107】
また、<<データ除去>>の欄で説明したのと同様に、プロフィル算出部440は、各炉内表面位置SPのY-Z座標(YA,ZA)、(YB,ZB)のうち、異常な測定値に基づくY-Z座標を除去するのが好ましい。また、<<降下量補正>>の欄で説明したのと同様に、プロフィル算出部440は、各走査角度θA、θBに対応する炉内表面位置SPのZ座標ZA、ZBから、当該炉内表面位置SPのY座標YA、YBにおける高炉内装入物3の降下量rを減算することによって、各走査角度θA、θBに対応する炉内表面位置SPのZ座標ZA、ZBを補正するのが好ましい。
【0108】
また、プロフィル算出部440は、高炉内装入物3の降下量rを用いてZ座標が補正された各炉内表面位置SPのY-Z座標に基づいて、当該Y-Z座標に含まれるY座標とは異なるY座標における炉内表面位置SPのZ座標を、測定装置A、Bごとにさらに算出して、炉内表面位置SPのY-Z座標の数を増やしても良い。例えば、プロフィル算出部440は、高炉内装入物3の降下量rを用いてZ座標が補正された2つの炉内表面位置SPのY-Z座標を線形補間することにより、当該2つの炉内表面位置SPの間の炉内表面位置SPのY-Z座標を1つ以上算出する。なお、この処理は、特許文献3においてスムージングと称されている平均化等の処理に対応する処理であるので、ここでは当該処理の詳細な説明を省略する。
【0109】
プロフィル算出部440は、以上のようにして各炉内表面位置SPのY-Z座標を測定装置A、Bごとに算出する。そして、プロフィル算出部440は、以上のようにして測定装置A、Bごとに算出した各炉内表面位置SPのY-Z座標に基づいて、測定装置Aの測定値に基づく炉内表面プロフィルと、測定装置Bの測定値に基づく炉内表面プロフィルと、のうち、いずれの炉内表面プロフィルのY-Z座標を採用するのかを、各Y座標において決定し、決定したY-Z座標に基づいて合成後の炉内表面プロフィルを算出する。
【0110】
測定装置A、Bの測定値に基づく炉内表面プロフィルは、例えば、各炉内表面位置SPのY-Z座標のうち、Y座標が相互に隣り合う2つのY-Z座標を直線で結ぶことを、測定装置A、Bごとに行うことによって算出される。ただし、必ずしもこのようにする必要はない。例えば、各炉内表面位置SPのY-Z座標の近似曲線を、このような直線で結ぶ方法以外の方法で算出して、測定装置A、Bの測定値に基づく炉内表面プロフィルとしても良い。
【0111】
また、測定装置Aの測定値に基づく炉内表面プロフィルと、測定装置Bの測定値に基づく炉内表面プロフィルと、のうち、いずれの炉内表面プロフィルのY-Z座標を採用するのかは、例えば、測定装置A、Bの測定値に基づく炉内表面プロフィルの各Y座標におけるマイクロ波の入射角度の大小関係に基づいて決定されても良い。例えば、各Y座標において、マイクロ波の入射角度が大きい方(90°に近い方)のY-Z座標が採用されても良い。
【0112】
また、測定装置Aの測定値に基づく炉内表面プロフィルと、測定装置Bの測定値に基づく炉内表面プロフィルと、のうち、いずれの炉内表面プロフィルのY-Z座標を採用するのかは、例えば、測定装置A、Bの測定値に基づく炉内表面プロフィルの各Y-Z座標から、当該Y-Z座標の前後のY-Z座標までの距離に基づいて決定されても良い。例えば、各Y座標において、測定装置A、Bの測定値に基づく炉内表面プロフィルのY-Z座標のうち、当該Y-Z座標から、当該Y-Z座標の前後のY-Z座標までの距離が最小となるY-Z座標が採用されても良い。
【0113】
また、合成後の炉内表面プロフィルは、例えば、採用したY-Z座標のうち、Y座標が相互に隣り合う2つのY-Z座標を直線で結ぶことにより算出されても良い。また、例えば、採用したY-Z座標に基づく近似曲線を、このような直線で結ぶ方法以外の方法で算出して、合成後の炉内表面プロフィルとして良い。
【0114】
なお、測定装置A、Bの測定値に基づく炉内表面プロフィルを算出する処理と、測定装置A、Bの測定値に基づく炉内表面プロフィルのY-Z座標のうち採用するY-Z座標を決定する処理と、合成後の炉内表面プロフィルを算出する処理の一例は、特許文献3に記載されている入射角演算(測定点間距離の演算)、採用点決定、および両側データ合成処理に対応する処理であるので、ここでは、当該処理の詳細な説明を省略する。
【0115】
また、プロフィル算出部440は、以上のようにして算出した合成後の炉内表面プロフィルに基づいて、炉内表面位置のY-Z座標として、相互に隣り合う2つのY座標の距離が所定距離ΔYになるY-Z座標を算出し、算出したY-Z座標に基づいて表示用の炉内表面プロフィルを算出しても良い。表示用の炉内表面プロフィルは、例えば、Y座標が相互に隣り合う2つのY-Z座標を直線で結ぶことにより算出される。ただし、必ずしもこのようにする必要はない。例えば、所定距離ΔYごとのY-Z座標の近似曲線を、このような直線で結ぶ方法以外の方法で算出して、表示用の炉内表面プロフィルとしても良い。
【0116】
なお、プロフィル算出部440は、特許文献1~3のうちのいずれか1つの文献に記載されている方法で炉内表面プロフィルを算出しても良い。ただし、プロフィル算出部440は、補正パラメータλとして、所定値(例えば、設計値)ではなく、パラメータ記憶部430に記憶されている補正パラメータλを用いて炉内表面プロフィルを算出する。
【0117】
<出力部450>
出力部450は、プロフィル算出部440で算出された炉内表面プロフィルの情報を出力する。例えば、プロフィル算出部440で表示用の炉内表面プロフィルが算出される場合、出力部450は、表示用の炉内表面プロフィルの情報を出力する。また、プロフィル算出部440で表示用の炉内表面プロフィルが算出されない場合、出力部450は、合成後の炉内表面プロフィルの情報を出力しても良い。
【0118】
本実施形態では、炉内表面プロフィルの情報がコンピュータディスプレイに表示される場合を例示する。しかしながら、出力部450による炉内表面プロフィルの情報の出力の形態は、コンピュータディスプレイへの表示に限定されない。炉内表面プロフィルの情報の出力の形態として、例えば、コンピュータディスプレイにおける表示に加えてまたは代えて、外部装置(例えば、高炉1の操業を管理するための情報処理装置)への送信と、処理装置400の内部または外部の記憶媒体への記憶と、のうちの少なくともいずれか一方を採用しても良い。
【0119】
(処理方法)
次に、図7Aおよび図7Bのフローチャートを参照しながら本実施形態の処理方法の一例を説明する。図7Aおよび図7Bのフローチャートは、例えば、処理装置400のプロセッサが、補助記憶装置に記憶されているコンピュータプログラムを、主記憶装置をワークエリアとして用いて実行することを含む処理によって実現される。
【0120】
まず、図7Aのフローチャートを参照しながら、補正パラメータを算出する際の処理方法の一例を説明する。
【0121】
まず、ステップS701において、取得部410は、測定装置A、Bの測定値を取得する。本実施形態では、取得部410が、1回のステップS701の処理で、走査開始角度θAs、θBeから走査終了角度θAe、θBeまでの一回の走査により測定装置A、Bで測定された測定値のデータを一括して取得する場合を例示する。
【0122】
次に、ステップS702において、パラメータ算出部420は、パラメータ記憶部430に記憶されている補正パラメータλを読み出す。本実施形態では、R回の測定のそれぞれにおいて最適解として算出された補正パラメータλの代表値の一例である移動平均値がパラメータ記憶部430に記憶されている場合を例示する。また、パラメータ記憶部430に補正パラメータλが記憶されていない場合、本実施形態では、ステップS702の処理が省略される場合を例示する。この場合、パラメータ算出部420は、パラメータ記憶部430に記憶されている補正パラメータλに代えて、例えば、補正パラメータλの所定値(例えば、設計値)を用いる。
【0123】
次に、ステップS703において、パラメータ算出部420は、繰り返し計算回数kに1を設定する。図7Aに示す例では、繰り返し計算回数kは、後述するステップS704~S708の繰り返し処理の回数を表す。
【0124】
次に、ステップS704において、パラメータ算出部420は、1つの測定装置A、Bの測定値に基づいて、炉内表面位置SPを算出することを、測定装置A、Bのそれぞれについて行う。本実施形態では、パラメータ算出部420が、<<座標変換>>の欄、<<データ除去>>の欄、<<降下量補正>>の欄、および<<共通Y座標における炉内表面位置の算出>>の欄で説明した処理を行う場合を例示する。これらの処理の具体例は、当該欄で説明したので、ここでは詳細な説明を省略する。
【0125】
次に、ステップS705において、パラメータ算出部420は、評価関数Jの勾配∂J/∂λkの値を算出する((11)式を参照)。本実施形態では、(11)式において補正パラメータλkとして、繰り返し計算回数kがk-1であるときに後述するステップS707で算出された補正パラメータλk+1(θOA、θOB、YOA、YOB、ZOA、ZOB)が用いられる場合を例示する。また、繰り返し計算回数kが1である場合、(11)式において補正パラメータλkとして、例えば、所定値(例えば、設計値)が用いられる。
【0126】
次に、ステップS706において、パラメータ算出部420は、更新終了条件を満足するか否かを判定する。<<パラメータの算出>>の欄で説明したように、例えば、パラメータ算出部420は、評価関数Jの勾配∂J/∂λkの値が所定値p以下であることと(∂J/∂λk≦p)、繰り返し計算回数kが所定値C以上であることと(k≧C)、のうち少なくとも一方の条件を満足する場合に、更新終了条件を満足すると判定し、そうでない場合に、更新終了条件を満足しないと判定する。
【0127】
ステップS706の判定の結果、更新終了条件を満足しない場合(ステップS706でNOの場合)、ステップS707の処理が行われる。ステップS707において、パラメータ算出部420は、補正パラメータλkを更新する。本実施形態では、パラメータ算出部420が、(12)式の計算を行って更新後の補正パラメータλk+1を算出することにより、補正パラメータλkを更新する場合を例示する。
【0128】
次に、ステップS708において、パラメータ算出部420は、繰り返し計算回数kに1を加算して繰り返し計算回数kを更新する。そして、ステップS704~S708の繰り返し処理が、更新後の繰り返し計算回数kの処理として再び行われる。なお、本ステップS708において、繰り返し計算回数kに1が加算されることにより、本ステップS708の直近のステップS707で算出された補正パラメータλk+1は、更新後の繰り返し計算回数kの繰り返し処理で使用される補正パラメータλkとして扱われることになる。
【0129】
ステップS706の判定の結果、更新終了条件を満足する場合(ステップS706でYESの場合)、ステップS709の処理が行われる。ステップS709において、パラメータ算出部420は、現在の繰り返し計算回数kにおける補正パラメータλk(θOA、θOB、YOA、YOB、ZOA、ZOB)を今回の測定における最適解として記憶する。なお、パラメータ算出部420は、当該補正パラメータλを、次のステップS710で記憶する補正パラメータλの移動平均値と区別されるようにパラメータ記憶部430に記憶しても良いし、パラメータ記憶部430とは別の記憶部に記憶しても良い。
【0130】
次に、ステップS710において、パラメータ算出部420は、R回の測定のそれぞれにおいて最適解として算出された補正パラメータλの移動平均値を算出してパラメータ記憶部430に記憶する。ステップS710の処理が終了すると、図7Aのフローチャートによる処理は終了する。
【0131】
なお、パラメータ算出部420は、R回の測定のそれぞれにおいて最適解として算出された補正パラメータλの移動平均値を算出した後、当該R回の測定のそれぞれにおいて最適解として算出された補正パラメータλのうち、最も古い補正パラメータλを破棄しても良い。
【0132】
また、現在の繰り返し計算回数kがR未満であるR'(R'<R)である場合、R回の測定のそれぞれにおいて最適解として算出された補正パラメータλが存在しない。この場合、例えば、パラメータ算出部420は、R'回の測定のそれぞれにおいて最適解として算出された補正パラメータλの移動平均値を算出しても良い。また、例えば、パラメータ算出部420は、補正パラメータλの移動平均値を算出せずに、今回の補正パラメータλをパラメータ記憶部430に記憶しても良い。
【0133】
次に、図7Bのフローチャートを参照しながら、炉内表面プロフィルを算出する際の処理方法の一例を説明する。
【0134】
まず、ステップS711において、取得部410は、測定装置A、Bの測定値を取得する。
本実施形態では、取得部410が、1回のステップS711の処理で、走査開始角度θAs、θBeから走査終了角度θAe、θBeまでの一回の走査により測定装置A、Bで測定された測定値のデータを一括して取得する場合を例示する。
【0135】
また、本実施形態では、同一のタイミングで、図7A図7Bのフローチャートによる処理が並列して行われ、同一のタイミングで並列して行われる図7A図7Bのフローチャートによる処理では、測定装置A、Bの測定値として同一の測定値が使用される場合を例示する。したがって、図7AのステップS701と図7BのステップS711とを別々のステップとして図示および説明するが、図7AのステップS701と図7BのステップS711とは同一のステップである。ただし、取得部410からパラメータ算出部420およびプロフィル算出部440の双方に、測定装置A、Bの測定値として同一の測定値が同時に出力されなくても良いことは、<プロフィル算出部440>の欄で説明した通りである。この場合、図7AのステップS701と図7BのステップS711とは別のステップとして処理される。この場合、図7AのステップS701と図7BのステップS711とは別のタイミングで開始する。
【0136】
次に、ステップS712において、プロフィル算出部440は、パラメータ記憶部430に記憶されている補正パラメータλを読み出す。本実施形態では、プロフィル算出部440が、R回の測定のそれぞれにおいて最適解として算出された補正パラメータλの代表値の一例である移動平均値をパラメータ記憶部430から読み出す場合を例示する。
【0137】
なお、本実施形態では、同一のタイミングで開始される図7Aおよび図7Bのフローチャートにおいて、図7BのステップS712の処理が開始する時点で図7AのステップS710の処理が終了していない場合を例示する。したがって、ステップS712でパラメータ記憶部430から読み出される補正パラメータλは、当該タイミングの1つ前のタイミングで開始された図7AのフローチャートのステップS710(前回のステップS710)でパラメータ記憶部430に記憶された補正パラメータλになる。ただし、同一のタイミングで開始される図7Aおよび図7Bのフローチャートにおいて、図7BのステップS712の処理が開始する時点で図7AのステップS710の処理が終了していても良い。この場合、ステップS712において、プロフィル算出部440は、当該ステップS710でパラメータ記憶部430に記憶された補正パラメータλを読み出しても良い。なお、図7Aおよび図7Bのフローチャートが同一のタイミングで開始されなくても良いことは、ステップS711の処理の説明で前述した通りである。
【0138】
次に、ステップS713において、プロフィル算出部440は、ステップS711で取得部410により取得された測定装置A、Bの測定値と、ステップS712でパラメータ記憶部430から読み出した補正パラメータλ(θOA、θOB、YOA、YOB、ZOA、ZOB)と、に基づいて、炉内表面プロフィルを算出する。本実施形態では、炉内表面プロフィルの算出の際に、プロフィル算出部440が、(1)式~(4)式により、走査開始角度θAs、θBsから走査終了角度θAe、θBeまでの各走査角度θA、θBに対応する各炉内表面位置SPのY座標YA、YBおよびZ座標ZA、ZBを算出し、各炉内表面位置SPのY-Z座標(YA,ZA)、(YB,ZB)に基づいて、炉内表面プロフィルを算出する場合を例示する。炉内表面プロフィルの算出方法の具体例は、<プロフィル算出部440>の欄で説明したので、ここでは詳細な説明を省略する。また、例えば、プロフィル算出部440は、特許文献1~3のうちのいずれか1つの文献に記載されている方法で炉内表面プロフィルを算出しても良い。ただし、プロフィル算出部440は、補正パラメータλとして、所定値(例えば、設計値)ではなく、パラメータ記憶部430に記憶されている補正パラメータλを用いて炉内表面プロフィルを算出する。
【0139】
次に、ステップS714において、出力部450は、ステップS713で算出された炉内表面プロフィルの情報を出力する。ステップS714の処理が終了すると、図7Bのフローチャートによる処理は終了する。
【0140】
(計算例)
次に、計算例を説明する。本計算例では、測定装置A、Bの測定値の模擬データに基づいて、炉内表面プロフィルを、測定装置A、Bごとに算出した。なお、模擬データは、算出される炉内表面プロフィルが、実操業データに基づく炉内表面プロフィルよりも単純な形状になるように実操業データを加工したものであり、実操業データを用いても、本計算例と同様の結果が得られる。また、本計算例では、実操業データとして、測定装置A、Bが設置されてから数年が経過した時点でのデータを用いた。
【0141】
図8A図8Eは、補正パラメータλの値を設計値に固定した場合の各測定タイミングt1~t5における炉内表面プロフィルの一例を示す図である。測定タイミングt1~t5は、測定装置A、Bの測定の開始のタイミングである。測定タイミングt1~t5の順番は、t1、t2、t3、t4、t5の順である(測定タイミングt1が最初の測定タイミングであり、測定タイミングt5が最後の測定タイミングである)。
【0142】
図8A図8Eにおいて、炉内表面プロフィル811~815は、測定装置Aの測定値に基づく炉内表面プロフィルであり、炉内表面プロフィル821~825は、測定装置Bの測定値に基づく炉内表面プロフィルである。
【0143】
図8A図8Eに示すように、測定装置A、Bの設置から数年の期間が経過することにより、測定装置Aの測定値に基づく炉内表面プロフィル811~815と、測定装置Bの測定値に基づく炉内表面プロフィル821~825と、には明確な乖離が生じていることが分かる。
【0144】
図9A図9Bは、本実施形態で説明したようにして補正パラメータλを算出した場合の各測定タイミングt4~t5における炉内表面プロフィルの一例を示す図である。図8Dおよび図9Aは、同じ測定タイミングt4における炉内表面プロフィルであり、図8Eおよび図9Bは、同じ測定タイミングt5における炉内表面プロフィルである。
【0145】
図9A図9Bにおいて、炉内表面プロフィル911~912は、測定装置Aの測定値に基づく炉内表面プロフィルであり、炉内表面プロフィル921~922は、測定装置Bの測定値に基づく炉内表面プロフィルである。
【0146】
炉内表面プロフィル911~912、921~922の算出に際し、本計算例では、本実施形態で説明したように、同一の共通Y座標YiにおけるZ座標Zi,A、Zi,Bの差が、最急降下法のアルゴリズムにおいて最小とされる補正パラメータθOA、θOB、YOA、YOB、ZOA、ZOBを、各測定における最適解として算出した。その際、学習率αθA、αθB、αYA、αYB、αZA、αZBとして、αθA=αθB=20、αYA=αYB=0.1、αZA=αZB=0.01を用いた。また、補正パラメータの微小変化量ΔθOA、ΔθOB、ΔYOA、ΔYOB、ΔZOA、ΔZOBとして、ΔθOA=ΔθOB=0.1、ΔYOA=ΔYOB=ΔZOA=ΔZOB=0.01を用いた。また、Σ|∂J/∂λk|≦0.000001(p=0.000001)およびk>80(C=80)の少なくとも一方の条件を満足することを更新終了条件として用いた。
【0147】
また、炉内表面プロフィル911~912、921~922の算出に際し、本計算例では、連続する3回(R=3)の測定のそれぞれにおいて最適解として算出された補正パラメータλの移動平均値を、炉内表面プロフィルの算出に用いる補正パラメータλとした。したがって、図9Aに示す測定タイミングt4における炉内表面プロフィル911、921を算出するために用いた補正パラメータλを、以下のようにして算出した。まず、図8A図8Cに示す測定タイミングt1~t3における測定装置A、Bの測定で得られた測定値に基づいて、測定タイミングt1~t3の各回の測定における補正パラメータλの最適解を算出する。そして、算出した補正パラメータλの最適解の移動平均値を、測定タイミングt4における炉内表面プロフィル911、921を算出するために用いた補正パラメータλとして算出する。同様に、図9B示す測定タイミングt5における炉内表面プロフィル912、922を算出するために用いた補正パラメータλは、測定タイミングt2~t4の各回の測定における補正パラメータλの最適解の移動平均値とした。
【0148】
図9Aに示す炉内表面プロフィル911、921は、図9Aと同じ測定タイミングt4で算出された図8Dに示す炉内表面プロフィル814、824に比べて乖離がなく、両者が一致するように補正されていることが分かる。同様に、図9Bに示す炉内表面プロフィル912、922も、図9Bと同じ測定タイミングt5で算出された図8Dに示す炉内表面プロフィル814、824に比べて乖離がなく、両者が一致するように補正されていることが分かる。
【0149】
前述したように本実施形態では、複数の測定装置A、Bの測定値を用いて炉内表面プロフィルを算出する場合を例示した。しかしながら、本欄((計算例)の欄)で説明したように、本実施形態の手法で補正パラメータλを算出して各炉内表面位置SPのY-Z座標(YA,ZA)、(YB,ZB)を算出すれば、それぞれの測定装置A、Bの測定値に基づく各炉内表面位置SPのY-Z座標が相互に大きく乖離することを抑制することが出来る(図9Aおよび図9Bを参照)。したがって、特許文献1~3に記載の技術のように、複数の測定装置A、Bの測定値を用いずに、1つの測定装置AまたはBの測定値を用いても、炉内表面プロフィルの算出精度が大きく低下することを抑制することが出来る。よって、(複数の測定装置A、Bの測定値を用いずに)1つの測定装置AまたはBの測定値に基づいて、炉内表面プロフィルを算出しても良い。
【0150】
また、本実施形態では、図8A図8Eに示すような、測定装置Aの測定値に基づく炉内表面プロフィル811~815と、測定装置Bの測定値に基づく炉内表面プロフィル821~825と、の乖離が抑制されるように補正パラメータλを算出すれば良い。したがって、測定対象の炉内表面位置SPとして同じ位置の測定が可能であれば、複数の測定装置の数や位置は限定されない。すなわち、複数の測定装置の数は2に限定されない。また、2つの測定装置の位置関係は、高炉1の直径方向において間隔を有した状態で並ぶ関係に限定されない。また、複数の測定装置の位置関係は、高炉1(炉体2)の中心軸線C1を対称軸として軸対称の関係に限定されない。
【0151】
(まとめ)
以上のように本実施形態では、処理装置400は、複数の測定装置A、Bの測定値に基づく炉内表面位置のZ座標の差に基づいて、補正パラメータλを算出する。したがって、炉内表面プロフィルの算出精度を向上させることが出来る。
【0152】
また、本実施形態では、測定装置A、Bの設置位置を規定する物理量と、測定装置A、Bの設置方向を規定する物理量と、のうち少なくとも一方を補正パラメータλとする。より具体的には、測定装置A、BのY-Z座標(YOA,ZOA)、(YOB,ZOB)と、基準時ずれ角度θOA、θOBと、のうち少なくとも一方を補正パラメータλとする。したがって、測定装置A、Bの設置状態の設計図面からのずれを、設置位置および設置方向ごとに考慮して炉内表面位置を算出することが出来る。
【0153】
また、本実施形態では、処理装置400は、測定装置A、Bの測定値に基づいて算出された炉内表面位置SPのZ座標の差が、所定の最適化手法のアルゴリズムにおいて最小とされる補正パラメータSPの値を算出する。したがって、測定装置A、Bの測定値に基づいて算出された炉内表面位置のZ座標の差が小さくなる補正パラメータλの値を定量的に算出することが出来る。
【0154】
また、本実施形態では、処理装置400は、所定の最適化手法として最急降下法を用いる。したがって、複雑な最適化手法を用いなくても、測定装置A、Bの測定値に基づいて算出された炉内表面位置のZ座標の差が小さくなる補正パラメータλの値を定量的に算出することが出来る。
【0155】
また、本実施形態では、処理装置400は、複数のタイミングにおいて算出した補正パラメータλに基づいて、炉内表面プロフィルを算出する際に用いる補正パラメータλの値を算出する。したがって、高炉1における一時的に生じる操業変動に応じて、炉内表面プロフィルの算出に用いる補正パラメータλが変動することを抑制することが出来る。
【0156】
(その他の実施形態)
なお、以上説明した本発明の実施形態は、コンピュータがプログラムを実行することによって実現することができる。また、前記プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体及び前記プログラム等のコンピュータプログラムプロダクトも本発明の実施形態として適用することができる。記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いることができる。
また、以上説明した本発明の実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【0157】
なお、以上の実施形態の開示は、例えば以下のようになる。
(開示1)
高炉内装入物のプロフィルを算出する処理装置であって、
高炉内装入物の表面までの距離を測定する複数の測定装置の測定値を取得する取得部と、
複数の前記測定装置の測定値であって、前記表面の同じ位置を測定対象とする測定値に基づく前記表面の高さ方向の位置の差に基づいて、前記測定値に基づいて算出される前記表面の位置を補正するための補正パラメータの値を算出するパラメータ算出部と、
少なくとも1つの前記測定装置の測定値と、前記補正パラメータの値と、に基づいて、前記プロフィルを算出するプロフィル算出部と、を備える、処理装置。
(開示2)
前記補正パラメータは、前記測定装置の設置位置を規定する物理量と、前記測定装置の設置方向を規定する物理量と、のうちの少なくとも一方を含む、開示1に記載の処理装置。
(開示3)
前記パラメータ算出部は、前記表面の高さ方向の位置の差が、所定の最適化手法のアルゴリズムにおいて最小とされる前記補正パラメータの値を算出する、開示1または2に記載の処理装置。
(開示4)
前記所定の最適化手法は、最急降下法である、開示3に記載の処理装置。
(開示5)
前記パラメータ算出部は、複数のタイミングにおいて算出した前記補正パラメータの値に基づいて、前記プロフィル算出部で前記プロフィルを算出する際に用いる前記補正パラメータの値を算出する、開示1~4のいずれか1つに記載の処理装置。
(開示6)
前記複数の測定装置の数は、2である、開示1~5のいずれか1つに記載の処理装置。
(開示7)
高炉内装入物のプロフィルを算出する処理方法であって、
高炉内装入物の表面までの距離を測定する複数の測定装置の測定値を取得する取得工程と、
複数の前記測定装置の測定値であって、前記表面の同じ位置を測定対象とする測定値に基づく前記表面の高さ方向の位置の差に基づいて、前記測定値に基づいて算出される前記表面の位置を補正するための補正パラメータの値を算出するパラメータ算出工程と、
少なくとも1つの前記測定装置の測定値と、前記補正パラメータの値と、に基づいて、前記プロフィルを算出するプロフィル算出工程と、
を備える、処理方法。
(開示8)
開示1~6のいずれか1つに記載の処理装置の各部としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0158】
1 高炉
2 炉体
3 高炉内装入物
4 ベルレス式装入装置
5 旋回シュート
11 アンテナ
12 反射板
13 導波管
14 マイクロ波発生器
15 駆動軸
16 反射板駆動装置
20 耐圧容器
21 開口部
22 仕切板
23 シャッター
24 保護ネット
400 処理装置
410 取得部
420 パラメータ算出部
430 パラメータ記憶部
440 プロフィル算出部
450 出力部
510~513 炉内表面位置
521~522 n+1番目、n+2番目の測定値に基づく炉内表面位置に代替される炉内表面位置
611~615 測定装置Aの測定値に基づくベース炉内表面位置
621~625 測定装置Bの測定値に基づくベース炉内表面位置
630~634 測定装置Aの測定値に基づく共通Y座標炉内表面位置
640~644 測定装置Bの測定値に基づく共通Y座標炉内表面位置
811~815 補正パラメータの値を設計値にした場合の測定装置Aの測定値に基づく炉内表面プロフィル
821~825 補正パラメータの値を設計値にした場合の測定装置Bの測定値に基づく炉内表面プロフィル
911~912 補正パラメータの値を設計値から変更した場合の測定装置Aの測定値に基づく炉内表面プロフィル
921~922 補正パラメータの値を設計値から変更した場合の測定装置Bの測定値に基づく炉内表面プロフィル
A、B 測定装置
C1 高炉の中心軸線
C2 アンテナの中心軸線
A、LB 測定装置から炉内表面位置までの距離
LPA、LPB 測定装置の設置位置
SA、SB マイクロ波の走査方向
SP 炉内表面位置
n~Yn+4 共通Y座標
OA、YOB 測定装置の設置位置のY座標のずれ量
n,A~Zn+4,A 測定装置Aの測定装置に基づく共通Y座標におけるZ座標
n,B~Zn+4,B 測定装置Bの測定装置に基づく共通Y座標におけるZ座標
OA、ZOB 測定装置の設置位置のZ座標
t1~t5 測定タイミング
θA、θB 走査角度
θOA、θOB 基準時ずれ角度
θAs、θBs 走査開始角度
θAe、θBe 走査終了角度
θn,A n番目の測定値に基づく炉内表面位置の走査角度
θn+3,A n+3番目の測定値に基づく炉内表面位置の走査角度
ΔY 共通Y座標のY軸方向の距離
ΔYOA、ΔYOB 測定装置の設置位置のY軸方向のずれ量
ΔZOA、ΔZOB 測定装置の設置位置のZ軸方向のずれ量
ΔθA、ΔθB 角度ピッチ
ΔθOA、ΔθOB 測定装置における走査基準方向からのずれ角度
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図9A
図9B