(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024065390
(43)【公開日】2024-05-15
(54)【発明の名称】区切設定装置、及び裁断装置
(51)【国際特許分類】
B26D 7/30 20060101AFI20240508BHJP
B26D 3/08 20060101ALI20240508BHJP
B26D 5/02 20060101ALI20240508BHJP
【FI】
B26D7/30
B26D3/08 Z
B26D5/02 A
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022174232
(22)【出願日】2022-10-31
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-08-25
(71)【出願人】
【識別番号】591159675
【氏名又は名称】錦城護謨株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504398708
【氏名又は名称】株式会社藤田工業
(74)【代理人】
【識別番号】110000464
【氏名又は名称】弁理士法人いしい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中川 正
(72)【発明者】
【氏名】ドー・ブイン・ロイ
(57)【要約】
【課題】シート状不定形物から複数の単位シートを短冊状に予備成形するにあたり、裁断後の各単位シートを人手で重量測定して、各単位シートが規定重量範囲内か否かを検査し、規定重量範囲外のものを取り除くという効率の悪い作業を改善できるようにする。
【解決手段】
本願発明の区切設定装置10は、練ゴムシートGSが載置される載置台12と、練ゴムシートGS各所の厚さhを検出する複数個の厚さ検出センサ13と、互いに直交するXYZ軸方向に厚さ検出センサ13群を移動可能に支持する移送機構14とを基台11上に備える。練ゴムシートGSに対して目標重量Mt(目標体積Vt)ごとに区切Lを設定する。移送機構14には、厚さ検出センサ13群よりも相対移動方向前側に位置して、載置台12上にある練ゴムシートGSの表面を押圧する押圧ローラ15を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状不定形物が載置される載置台と、前記シート状不定形物各所の厚さを検出する複数個の厚さ検出センサと、互いに直交するXYZ軸方向に前記厚さ検出センサ群を移動可能に支持する移送機構とを基台上に備えており、前記シート状不定形物に対して目標重量ごとに区切を設定する区切設定装置であって、
前記移送機構には、前記厚さ検出センサ群よりも相対移動方向前側に位置して、前記載置台上にある前記シート状不定形物の表面を押圧する押圧ローラを有している、
区切設定装置。
【請求項2】
前記移送機構には、前記載置台上の前記シート状不定形物の長さ方向端部の存在を検出する端部検出センサをさらに有しており、
前記端部検出センサにて前記シート状不定形物の始端及び終端を検出し、前記厚さ検出センサ群にて前記シート状不定形物の厚さ測定開始ライン及び厚さ測定終了ラインを検出するように構成されている、
請求項1に記載した区切設定装置。
【請求項3】
隣り合う前記厚さ検出センサ同士は、平行リンクを多数組み合わせたレージトング機構を介して、互いの配置間隔を広狭調節可能なように連動連結されている、
請求項1に記載した区切設定装置。
【請求項4】
請求項1~3のうちいずれかに記載の区切設定装置と、前記シート状不定形物を前記区切ごとに裁断又はハーフカットするカッターとを備えている、
裁断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、練ゴムシートのようなシート状不定形物に対して所定重量ごとに次工程での裁断用の区切を設定する区切設定装置と、シート状不定形物を区切ごとに裁断又はハーフカットする裁断装置とに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、原料ゴム塊(ベール)を練ゴムシートに加工することはよく知られている(例えば特許文献1等参照)。練ゴムシートは、シート状不定形物の一例である。練ゴムシートは通常、その後成型される製品サイズに応じて、裁断方向(幅方向)に直交する方向(長さ方向)の所定長さごとに短冊状に裁断され、複数枚の単位シートに予備成形される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の通り、従来の各単位シートは所定長さごとの短冊状に予備成形されるところ、次工程の成型に際して重要なのは各単位シートの実重量である。十分な実重量の単位シートでなければ、成型品に余計なバリや不良(ショート)ができてしまうおそれがあるからである。
【0005】
しかし、練ゴムシートは、ゴムという特性上、厚さ等の変形によって平坦性が悪いことが多い。例えばシート全体が波打っていたり、シートの角部がはね上がっていわゆるするめ状になっていたりするのを所定長さごとに予備成形すると、単位シートが規定重量範囲外の実重量になる場合がある。このため、練ゴムシートから短冊状に予備成形された各単位シートは、裁断後にもっぱら人手で重量測定され、作業者は、各単位シートが規定重量範囲内か否かを検査し、規定重量範囲外のものを手作業で取り除いていた。
【0006】
このように人手で規定重量範囲内か否かを検査する作業は、作業者に負担を強いるものであり、作業効率も悪いため、未だ改善の余地があった。また、規定重量範囲外の単位シートは取り除かれるため、練ゴムシートの歩留という観点からも検討の余地があった。なお、「シート状不定形物」という文言は、練ゴムシートのような平坦性の悪いシート形状である点を取り上げて上位概念化したものとして、明細書中で用いている。また、「裁断装置」という場合は、シート状不定形物を裁断(完全切り落とし)するものだけではなく、ハーフカット(寸止めし切り落とさない)するものも含まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明は、上記のような現状を検討して改善を施した区切設定装置及び裁断装置を提供することを技術的課題としている。
【0008】
本願発明は、シート状不定形物が載置される載置台と、前記シート状不定形物各所の厚さを検出する複数個の厚さ検出センサと、互いに直交するXYZ軸方向に前記厚さ検出センサ群を移動可能に支持する移送機構とを基台上に備えており、前記シート状不定形物に対して目標重量ごとに区切を設定する区切設定装置であって、前記移送機構には、前記厚さ検出センサ群よりも相対移動方向前側に位置して、前記載置台上にある前記シート状不定形物の表面を押圧する押圧ローラを有しているというものである。
【0009】
本願発明の区切設定装置において、前記移送機構には、前記載置台上の前記シート状不定形物の長さ方向端部の存在を検出する端部検出センサをさらに有しており、前記端部検出センサにて前記シート状不定形物の始端及び終端を検出し、前記厚さ検出センサ群にて前記シート状不定形物の厚さ測定開始ライン及び厚さ測定終了ラインを検出するように構成されていてもよい。
【0010】
本願発明の区切設定装置において、隣り合う前記厚さ検出センサ同士は、平行リンクを多数組み合わせたレージトング機構を介して、互いの配置間隔を広狭調節可能なように連動連結されていてもよい。
【0011】
本願発明には、請求項1~3のうちいずれかに記載の区切設定装置を備える裁断装置も含まれている。当該裁断装置は、請求項1~3のうちいずれかに記載の区切設定装置と、前記シート状不定形物を前記区切ごとに裁断又はハーフカットするカッターとを備えているというものである。
【発明の効果】
【0012】
本願発明によると、移送機構には、厚さ検出センサ群よりも相対移動方向前側に位置して、載置台上にあるシート状不定形物の表面を押圧する押圧ローラを有しているから、シート状不定形物に対して目標重量ごとに自動的に区切を設定するにあたり、厚さ検出センサ群より先に、押圧ローラがシート状不定形物の表面に乗り上がって押圧し、シート状不定形物の表面をできるだけ平坦な状態にしていくことになる。このため、その後に続く厚さ検出センサ群での厚さの検出精度を格段に向上できる。シート状不定形物の重量・体積演算の信頼性を向上でき、シート状不定形物を裁断等した後において、裁断等した後のものの重量・体積を目標の範囲内に維持できる。その結果、裁断等した後のものについて、人手による検査工程の省略・軽減が可能になる。また、波打ち状態だったシート状不定形物でも一旦押圧ローラで押さえておけば、即座に形状が元の波打ち状態に戻ったりするのは少ないと解され、シート状不定形物の表面をできるだけ平坦な状態で裁断等することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施形態における区切設定装置の概略斜視図である。
【
図5】区切設定制御の手順を示す斜視図であり、端部検出センサが練ゴムシートの始端を検出した状態を示す図である。
【
図6】区切設定制御の手順を示す斜視図であり、押圧ローラが練ゴムシートに乗り上げた状態を示す図である。
【
図7】区切設定制御の手順を示す斜視図であり、全ての厚さ検出センサが練ゴムシートの表面に乗り上げた状態を示す図である。
【
図8】区切設定制御の手順を示す斜視図であり、厚さ検出センサ群での厚さ検出状態を示す図である。
【
図9】区切設定制御の手順を示す斜視図であり、端部検出センサが練ゴムシートの終端を検出した状態を示す図である。
【
図10】区切設定制御の手順を示す斜視図であり、少なくとも1つの厚さ検出センサが練ゴムシートの表面から落下した状態を示す図である。
【
図11】区切設定制御の手順を示す斜視図であり、押圧ローラ等が
図10の状態から所定ピッチPだけ移動し初期位置に戻る直前を示す図である。
【
図12】(a)は練ゴムシート上の厚さ測定ラインを説明する平面図、(b)は練ゴムシート上の区切ラインを説明する平面図である。
【
図13】測定厚さに基づき所定ピッチごとの体積を算出する方法の一例を示す概念図である。
【
図14】各厚さ測定ラインの断面積と練ゴムシートのX軸方向の長さとの関係を示す推定グラフである。
【
図15】区切設定装置と裁断機と真空吸着機とを示す模式的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本願発明を具体化した実施形態を図面に基づき説明する。下記の説明では、方向特定のために「前後」「左右」の文言を使用する場合があるが、区切設定装置10と対峙する
図2の状態を右側面視とし、これを基準に左右方向と前後方向とを規定する。ただし、これらの文言は説明の便宜上用いただけであり、本願発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0015】
図1及び
図2に示す区切設定装置10は、シート状不定形物の一例である矩形板状の練ゴムシートGSに対して、目標重量Mごとに区切Lを設定するためのものである。実施形態の区切設定装置10は、平板状の練ゴムシートGSが載置される載置台12と、練ゴムシートGS各所の厚さを検出する複数個の厚さ検出センサ13と、互いに直交するXYZ軸方向に厚さ検出センサ13群を移動可能に支持する移送機構14と、厚さ検出センサ13群よりも相対移動方向前側に位置して、載置台12上にある練ゴムシートGSの表面を押圧する押圧ローラ15と、載置台12上の練ゴムシートGSの長さ方向端部(X軸方向端部、左右端部)の存在を検出する端部検出センサ16とを、基台11上に備えている。
【0016】
基台11上にある移送機構14は、厚さ検出センサ13群をY軸方向(載置台12上の練ゴムシートGSの幅方向、前後方向)に移送するY軸移送部18と、厚さ検出センサ13群及びY軸移送部18をZ軸方向(上下方向)に移送するZ軸移送部19と、厚さ検出センサ13群、Y軸移送部18及びZ軸移送部19をX軸方向(載置台12上の練ゴムシートGSの長さ方向、左右方向)に移送するX軸移送部17とを有している。
【0017】
図1に示すように、X軸移送部17は、載置台12を挟んだY軸方向(幅方向、前後方向)両側に位置してX軸方向(長さ方向、左右方向)に延びる一対のX軸ガイド20と、各X軸ガイド20に隣接して平行状に並ぶX軸ボールねじ軸21と、対応するX軸ガイド20及びX軸ボールねじ軸21に沿って移動可能なX軸スライダ22とを備えている。
【0018】
一対のX軸ボールねじ軸21の一方にはX軸モータ23が取り付けられている。一対のX軸ボールねじ軸21は、ベルトプーリ伝動系24を介して互いに連動して回転するように構成されている。一対のX軸スライダ22は、X軸モータ23及び一対のX軸ボールねじ軸21によって、各X軸ガイド20に沿って互いに連動してX軸方向(長さ方向、左右方向)に移動可能に構成されている。
【0019】
図1及び
図2に示すように、Z軸移送部19は、載置台12を挟んだY軸方向(幅方向、前後方向)両側にあるX軸スライダ22に立設された一対のものである。実施形態のZ軸移送部19はそれぞれ、Z軸方向に延びるZ軸支柱30と、Z軸支柱30内に立設されたZ軸ボールねじ軸(図示省略)と、Z軸ボールねじ軸の上端部に取り付けられたZ軸モータ31とを備えている。
【0020】
詳細な図示は省略するが、一対のZ軸ボールねじ軸には、幅方向長手のY軸移送本体25(詳細は後述する)のY軸方向各端部(前後端部)がZ軸方向(上下方向)に移動可能に取り付けられている。Y軸移送部18を構成するY軸移送本体25のY軸方向各端部(前後端部)はZ軸スライダとして機能している。Z軸スライダでもあるY軸移送本体25は、Z軸モータ31及びZ軸ボールねじ軸の対によって、互いに連動してZ軸方向(上下方向)に移動可能に構成されている。
【0021】
図1及び
図2に示すように、Y軸移送部18は、Y軸方向両側にあるZ軸支柱30の間に架け渡されたY軸移送本体25と、Y軸移送本体25の右平面に配置された上下一対でY軸方向長手のY軸ガイド26と、一対のY軸ガイド26の間で平行状に延びる台形ねじ軸27と、台形ねじ軸27の一端側に取り付けられたY軸モータ28とを備えている。
【0022】
一対のY軸ガイド26には、各厚さ検出センサ13の本体部32が、各Y軸ガイド26に沿ってY軸方向(前後方向)に移動可能に取り付けられている。ただし、Y軸モータ28から最も近い厚さ検出センサ13の本体部32は、一対のY軸ガイド26に対して位置固定的に取り付けられている。
【0023】
厚さ検出センサ13のうちY軸モータ28から最も遠いものの本体部32は、台形ねじ軸27に対してY軸方向(前後方向)に移動可能に取り付けられている。隣り合う厚さ検出センサ13の本体部32同士は、平行リンクを多数組み合わせた機構であるレージトング機構29(いわゆるマジックハンド機構)を介して、互いの配置間隔を広狭調節可能なように連動連結されている。なお、一つ置きに並ぶ厚さ検出センサ13の本体部32同士は、位置規制用のスプリング39を介して連結されている。
【0024】
Y軸モータ28の駆動にて台形ねじ軸27を回転させ、Y軸モータ28から最も遠い厚さ検出センサ13の本体部32をY軸方向(前後方向)に移動させると、これに連動したレージトング機構29の作用によって、Y軸モータ28から最も近い厚さ検出センサ13以外の本体部32がY軸方向に移動する。この場合、隣り合う厚さ検出センサ13の本体部32同士の配置間隔は、レージトング機構29の作用によって常に同じになる。つまり、実施形態のY軸移送部18には、隣り合う厚さ検出センサ13が常に同じ配置間隔になるように、レージトング機構29を介して厚さ検出センサ13群が連動連結されている。
【0025】
なお、実施形態の各移送部17~19は、ボールねじ軸21や台形ねじ軸27とモータ23,28,31といったねじ送り機構を採用しているが、これに限るものではなく、シリンダやラック・ピニオンといった他の機構を採用してもよいことは言うまでもない。また、隣り合う厚さ検出センサ13の本体部32同士の配置間隔を常に同じにするための機構も、レージトング機構29に限らず、他のメカニズムを用いて実現してもよい。
【0026】
練ゴムシートGS各所の厚さを検出する各厚さ検出センサ13は、Y軸移送部18を構成するY軸移送本体25に対して、Y軸方向に並べて設けられている(実施形態では10個)。実施形態の各厚さ検出センサ13は接触式のものであり、レージトング機構29に連動連結されるエンコーダ内蔵シリンダである本体部32と、本体部32から下向き突出したロッド部の先端側に回転可能に取り付けられた転動ローラ33とを有している。
【0027】
各厚さ検出センサ13の転動ローラ33は、載置台12上にある練ゴムシートGSの表面に当接して、練ゴムシートGSの表面形状に応じてロッド部とともに上下動可能なように本体部32に支持されている。載置台12上の練ゴムシートGS各所の厚さに応じて各転動ローラ33の上下変位量を計測することによって、練ゴムシートGS各所の厚さが測定される。なお、各厚さ検出センサ13としては、実施形態のものに限らず、他のメカニズムによる接触式のものでもよいし、光や超音波等による非接触式のものを採用しても差し支えない。厚さ検出センサ13の数も特に限定されないが、少なくとも3個以上あるのが好ましい。
【0028】
載置台12上にある練ゴムシートGSの表面を押圧する押圧ローラ15は、厚さ検出センサ13群での厚さ検出前に、練ゴムシートGSの平坦性を向上させ、練ゴムシートGS各所の測定厚さの精度を向上させるためのものである。実施形態では、Y軸移送本体25のY軸方向両端側(前後両端側)に、上下方向に伸縮可能な伸縮アーム34がそれぞれ取り付けられている。両方の伸縮アーム34の先端部間に、Y軸方向(前後方向)に長い押圧ローラ15が回転可能に取り付けられている。各伸縮アーム34には、押圧ローラ15を下向き(練ゴムシートGS側)に付勢する付勢ばね35が被嵌されている。押圧ローラ15のY軸方向長さ(前後方向長さ)は、練ゴムシートGSの各種幅寸法に対応可能なように、載置台12のY軸方向寸法(前後幅寸法)とほぼ同等か若干短い程度に設定されている。なお、押圧ローラ15を下向き(練ゴムシートGS側)に付勢する機構は、実施形態のものに限らず、例えば電動や空気圧式等のシリンダを採用したりしてもよい。押圧ローラ15の材質についても、例えばゴム、シリコーン又は合成樹脂等、種々のものを採用できる。
【0029】
押圧ローラ15は、厚さ検出センサ13群よりも相対移動方向前側に位置している(
図1及び
図2では厚さ検出センサ13群よりも右側)。このため、後述する練ゴムシートGSの区切設定に際して、厚さ検出センサ13群より先に、押圧ローラ15が練ゴムシートGSの表面に乗り上がる。換言すると、各厚さ検出センサ13の転動ローラ33が載置台12上の練ゴムシートGSの表面に当接する前に、押圧ローラ15は、載置台12上の練ゴムシートGSの表面を押圧する。押圧ローラ15の押圧力によって練ゴムシートGSの表面をできるだけ平坦な状態にしてから、各厚さ検出センサ13の転動ローラ33が練ゴムシートGSの表面を通過するように構成されている。
【0030】
押圧ローラ15を厚さ検出センサ13群よりも「相対移動方向前側」に位置させると規定したのは、実施形態のように練ゴムシートGSに対して押圧ローラ15や厚さ検出センサ13群が移動する構成だけではなく、押圧ローラ15や厚さ検出センサ13群に対して練ゴムシートGSがコンベヤ等によって移動する構成の場合も、本願発明の技術思想を適用することが可能だからである。
【0031】
載置台12上の練ゴムシートGSの長さ方向各端部(X軸方向各端部、左右端部)の存在を検出する端部検出センサ16は、練ゴムシートGSの相対移動を検出して電気信号を出力するいわゆるフォトセンサである。実施形態の端部検出センサ16は、載置台12を挟んで発光部36と受光部37とがY軸方向(前後方向)に向き合うように各X軸スライダ22上に設けられた透過型のものである。端部検出センサ16は、発光部36の光を載置台12上の練ゴムシートGSが遮断したか否かによって、練ゴムシートGSの長さ方向各端部(X軸方向各端部、左右端部)を検出するように構成されている。端部検出センサ16は、透過型に限らず、反射型であってもよい。
【0032】
上記の説明から分かるように、厚さ検出センサ13群及び押圧ローラ15は、Y軸移送部18に取り付けられている。Y軸移送部18は、Y軸方向(前後方向)一対のZ軸移送部19に取り付けられている。各Z軸移送部19は、対応するX軸スライダ22に立設されている。端部検出センサ16の発光部36及び受光部37は、それぞれ対応するX軸スライダ22上に設けられている。
【0033】
従って、X軸モータ23の駆動にて両方のX軸スライダ22がX軸方向(左右方向)に移動することによって、Z軸移送部19、Y軸移送部18、押圧ローラ15、厚さ検出センサ13群並びに端部検出センサ16はまとめて、両X軸ガイド20に沿ったX軸方向(左右方向)に移動することが可能になっている。押圧ローラ15は、X軸移送部17だけでなくZ軸移送部19の駆動によって、Z軸方向(上下方向)にも移動可能である。厚さ検出センサ13群は、X軸移送部17、Y軸移送部18及びZ軸移送部19の駆動によって、XYZ軸方向に沿って三次元的に移動可能に構成されている。
【0034】
なお、載置台12の手前側(Y軸方向前端部)には、X軸方向(左右方向)に延びて載置台12上での練ゴムシートGSの姿勢を規定する位置合せバー38が取り付けられている。一般的に、練ゴムシートGSはまず、オープンロールや押出機等によって連続したシート状に成形される。そして、所定長さごとに裁断されて、平板状の練ゴムシートGSが得られる。練ゴムシートGSの前後両端面は、オープンロール等にて連続して形成されるため、基本的に互いに平行状に延びている。これに対して裁断は、機械的になされるだけでなく、カッターを使って人手でなされることも多いから、練ゴムシートGSの左右両端面(幅方向に延びる各端面、裁断面)は、前後端面に対して平面視で傾斜していたり湾曲していたりと直交していないことがある。そこで、練ゴムシートGSの前端面(Y軸方向一端面)を位置合せバー38に当接させることによって、練ゴムシートGSの前後端面(Y軸方向両端面)が押圧ローラ15や厚さ検出センサ13群の並びに対して直交するように、載置台12上での練ゴムシートGSの姿勢が規定される。
【0035】
図3には、区切設定装置10に搭載されたコントローラ40の機能ブロック図を示している。コントローラ40は、主として移送機構14や厚さ検出センサ13群の作動全般の制御を司るものであり、詳細な図示は省略するが、各種演算処理や制御を実行するCPUのほか、制御プログラムやデータを記憶させるためのROM、制御プログラムやデータを一時的に記憶させるためのRAM、及び入出力インターフェイス等を備えている。
【0036】
コントローラ40には、X軸移送部17のX軸モータ23、Y軸移送部18のY軸モータ28、各Z軸移送部19のZ軸モータ31、厚さ検出センサ13群、区切設定装置10全体の電源を入り切り操作する電源スイッチ41、例えば開始スイッチ、停止スイッチ及び終了スイッチとして機能するキーボード等を有する入力器42、液晶モニタ等の表示器43、並びに、区切設定装置10各部の作動を強制的に停止させる緊急停止スイッチ44等がそれぞれ電気的に接続されている。
【0037】
次に、
図4のフローチャート及び
図5~
図14を参照しながら、区切設定装置10での練ゴムシートGSの区切設定制御について説明する。実施形態のコントローラ40は、厚さ検出センサ13群の測定厚さh、ピッチP、及び予め設定された練ゴムシートGSの前後幅寸法Wに基づき、練ゴムシートGSにおける必要領域の体積の総和Vsを算出し、予め設定された練ゴムシートGSの密度De、並びに単位シートUSの目標重量Mtに基づき、練ゴムシートGSに対して目標重量Mt(目標体積Vtといってもよい)ごとに単位シートUSにするための区切ラインLを設定する区切設定制御を実行する。以下に開示のフローチャートに示すアルゴリズムは、コントローラ40のROMにプログラムとして予め記憶されていて、RAMに読み出されてからCPUで実行される。
【0038】
ここで、載置台12上には、予め練ゴムシートGSを載置していて、電源スイッチ41をオンにしているものとする。当該初期段階では、押圧ローラ15及び厚さ検出センサ13群(両X軸スライダ22)が初期位置にあり、押圧ローラ15と各厚さ検出センサ13の転動ローラ33が載置台12に当接しているものとする。また、厚さ検出センサ13群は、Y軸モータ28による台形ねじ軸27の回転及びレージトング機構29の作用によって、予め入力器42にて入力された練ゴムシートGSの前後幅寸法Wに応じて、同じ配置間隔DでY軸方向(前後方向)に広がって並んでいるものとする(
図5参照)。
【0039】
なお、
図12(a)に示すように、練ゴムシートGSの前端面とこれに最も近い厚さ検出センサ13とのY軸方向(前後方向)の間隔は、所定値であるDoに設定され、練ゴムシートGSの後端面とこれに最も近い厚さ検出センサ13とのY軸方向(前後方向)の間隔も、所定値であるDoに設定されているものとする。
【0040】
また、練ゴムシートGSの密度De、単位シートUSの目標重量M及び練ゴムシートGSの前後幅寸法Wは、予め入力器42にて入力されて設定されているものとする。
図12(a)(b)では便宜上、厚さ測定ラインZ、区切長さl及び区切ラインLに対して、設定手順に応じて数字を添えている。
図13では、厚さ測定ラインZ4とZ5の間の体積Vを便宜的に示しており、測定厚さhに、検出した厚さ検出センサ13に対応した数字を添えている。
【0041】
図4のフローチャートに示すように、入力器42の開始スイッチをオン操作して区切設定制御を開始すると(S01:YES)、押圧ローラ15、厚さ検出センサ13群及び端部検出センサ16がX軸方向(左右方向)に移動開始する(S02)。次いで、発光部36の光を練ゴムシートGSが遮断することによって、練ゴムシートGSの長さ方向一端(X軸方向一端、左端)を検出すると(S03:YES、
図5参照)、コントローラ40は、当該検出位置を練ゴムシートGSの始端位置BEとして記憶する(S04)。実施形態の練ゴムシートGSは、
図12(a)(b)の平面視形状になっていて、練ゴムシートGSの左後コーナー部が始端位置BEになっている。押圧ローラ15、厚さ検出センサ13群及び端部検出センサ16がX軸方向(左右方向)への移動を継続すると、厚さ検出センサ13群より先に、押圧ローラ15が練ゴムシートGSの表面に乗り上がって押圧し、波打ち状態である練ゴムシートGSの表面をできるだけ平坦な状態にしていく(
図6参照)。
【0042】
次いで、全ての厚さ検出センサ13が練ゴムシートGSに乗り上がると(S05:YES、
図7参照)、コントローラ40は、当該乗り上げ位置を始端位置BEとの関係に基づき、厚さ測定開始ラインZoとして記憶すると共に、厚さ測定開始ラインZoでの各厚さ検出センサ13の測定厚さhを記憶する(S06)。その後、コントローラ40は、押圧ローラ15、厚さ検出センサ13群及び端部検出センサ16がX軸方向(左右方向)への移動を継続させて、押圧ローラ15で練ゴムシートGSの表面を平坦にしていきつつ、所定ピッチPごとの厚さ測定ラインZ上で、各厚さ検出センサ13の測定厚さhを検出し記憶する(S07、
図8参照)。
【0043】
次いで、練ゴムシートGSが遮断していた発光部36の光が受光部37に到達することによって、練ゴムシートGSの長さ方向他端(X軸方向他端、右端)を検出すると(S08:YES、
図9参照)、コントローラ40は、当該検出位置を練ゴムシートGSの終端位置TEとして記憶する(S09)。実施形態では、練ゴムシートGSの右後コーナー部が終端位置TEになっている。次いで、押圧ローラ15、厚さ検出センサ13群及び端部検出センサ16がX軸方向(左右方向)への移動が継続すると、厚さ検出センサ13群より先に、押圧ローラ15が練ゴムシートGSの表面から落下する。それから、少なくとも1つの厚さ検出センサ13が練ゴムシートGSから落下すると(S10:YES、
図10参照)、コントローラ40は、当該落下位置の直前にある厚さ測定ラインを、始端位置BEとの関係に基づき厚さ測定終了ラインZeとして記憶すると共に、厚さ測定終了ラインZeでの各厚さ検出センサ13の測定厚さhを記憶する(S11)。そして、厚さ検出センサ13群による検出を終了する(S12)。
【0044】
それから、X軸方向(左右方向)に隣り合う厚さ測定ラインZ間における所定ピッチPごとの断面積Cxを算出する(S13、
図13参照)。当該算出方法は種々のものを採用できるが、例えば厚さ測定開始ラインZoから厚さ測定終了ラインZeまでの範囲において、隣り合う厚さ測定ラインZでの厚さ検出センサ13の測定厚さhの平均値と所定ピッチPとを乗ずることによって、所定ピッチPごとの断面積Cxを算出することが可能である。次いで、X軸方向(左右方向)に隣り合う厚さ測定ラインZ間の体積V、すなわち所定ピッチPごとの体積Vを算出する(S14、
図13参照)。この場合の算出方法も種々のものを採用できるが、例えば所定ピッチPごとの断面積Cxと練ゴムシートGSの前後幅寸法Wとを掛けることによって、所定ピッチPごとの体積Vを算出することが可能である。そして、所定ピッチPごとの体積Vの総和Vsを求める(S15)。
【0045】
次いで、
図12(b)に示すように、コントローラ40は、練ゴムシートGS上の厚さ測定終了ラインZeを区切開始ラインLoに設定し直し(S16)、厚さ測定開始ラインZoから厚さ測定終了ラインZeまでにおける各厚さ測定ラインZの断面積Cyを算出する(S17、
図13参照)。当該算出方法も種々のものを採用できる。例えば厚さ測定開始ラインZoから厚さ測定終了ラインZeまでの範囲において、厚さ測定ラインZでの各厚さ検出センサ13の測定厚さhの平均値と練ゴムシートGSの前後幅寸法Wとを乗ずることによって、各厚さ測定ラインZの断面積Cyを算出することが可能である。
【0046】
次いで、
図14に示すように、コントローラ40は、各厚さ測定ラインZの断面積Cyと練ゴムシートGSのX軸方向の長さとの関係を示す推定グラフを求める(S18)。推定グラフ内の折れ線以下の領域は、厚さ測定開始ラインZoから厚さ測定終了ラインZeまでの範囲内における体積を意味している。それから、単位シートUSの目標重量Mtを練ゴムシートGSの密度Deで除して、単位シートUSの目標体積Vtを算出する(S19)。次いで、
図14の推定グラフから、単位シートUSの目標体積Vtとなるように最初の単位シートUSの区切長さl1を算出する(S20)。そして、コントローラ40は、区切開始ラインLoに区切長さl1を加算して、練ゴムシートGS上における区切ラインL1の位置を設定し記憶する(S21)。この場合、厚さ測定時の押圧ローラ15等の移動方向とは逆向きの順番で区切設定を行っていくことになる。次いで、ステップS19と同様に、次の単位シートUSの区切長さl2を算出し、区切ラインL1の位置に区切長さl2を加算して、次の区切ラインL2の位置を求めて記憶し、以後は、同様の演算によって、厚さ測定開始ラインZoを超えず、かつ、目標体積Vtの総和が所定ピッチPごとの体積Vの総和Vsを超えない範囲内で、以降の区切ラインLの位置を算出し記憶する(S22)。
【0047】
練ゴムシートGSの始端位置BE、終端位置TE及び区切ラインLの位置に関する情報は、次工程の裁断機50のコントローラ(図示省略)に転送される。そして、練ゴムシートGSは、裁断機50のカッター51にて、区切ラインLごとに裁断又はハーフカットされて、さらに次工程に進むことになる。なお、
図15に示すように、区切設定装置10と裁断機50とは、別ラインであってもよい(区切設定装置10と裁断機50とが別々の機械であってもよい)。この場合、例えば区切設定済の練ゴムシートGSを、真空吸着機52で区切設定装置10から裁断機50に移送するように構成すればよい。もちろん、区切設定装置10と裁断機50とを一連のラインにして、裁断装置に構成することも可能である。いずれの場合も、練ゴムシートGSから複数枚の単位シートUSを予備成形する作業を自動化でき、作業者の負担軽減に効果的である。
【0048】
上記の構成によると、練ゴムシートGSが載置される載置台12と、練ゴムシートGS各所の厚さhを検出する複数個の厚さ検出センサ13と、互いに直交するXYZ軸方向に厚さ検出センサ13群を移動可能に支持する移送機構14とを基台11上に備えており、練ゴムシートGSに対して目標重量Mt(目標体積Vt)ごとに区切ラインLを設定する区切設定装置10であって、移送機構14には、厚さ検出センサ13群よりも相対移動方向前側に位置して、載置台12上にある練ゴムシートGSの表面を押圧する押圧ローラ15を有しているから、練ゴムシートGSに対して目標重量Mtごとに自動的に区切ラインLを設定するにあたり、厚さ検出センサ13群より先に、押圧ローラ15が練ゴムシートGSの表面に乗り上がって押圧し、練ゴムシートGSの表面をできるだけ平坦な状態にしていくことになる。このため、その後に続く厚さ検出センサ13群での厚さhの検出精度を格段に向上できる。練ゴムシートGSの重量・体積演算の信頼性を向上でき、練ゴムシートGSを裁断等した後において、単位シートUS(裁断等した後のもの)の重量・体積を目標の範囲内に維持できる。その結果、単位シートUS(裁断等した後のもの)について、人手による検査工程の省略・軽減が可能になる。
【0049】
また、移送機構14には、載置台12上の練ゴムシートGSの長さ方向端部の存在を検出する端部検出センサ16をさらに有しており、端部検出センサ16にて練ゴムシートGSの始端及び終端を検出し、厚さ検出センサ13群にて練ゴムシートGSの厚さ測定開始ラインZo及び厚さ測定終了ラインZeを検出するように構成されているから、練ゴムシートGSの長さ方向端部(幅方向に延びる各端面、裁断面)が平面視で傾斜していたり湾曲していたりしていても、成型に使えないミミ部分(不良部分)を端部検出センサ16と厚さ検出センサ13群とで確実に把握できる。ミミ部分(不要部分)を最小限に抑えて、練ゴムシートGSの歩留を向上させるのにも効果を発揮できる。
【0050】
さらに実施形態では、隣り合う厚さ検出センサ13同士が、平行リンクを多数組み合わせたレージトング機構29を介して、互いの配置間隔を広狭調節可能なように連動連結されているから、隣り合う厚さ検出センサ13の本体部32同士の配置間隔は、レージトング機構29の作用によって常に同じになる。従って、様々な幅方向サイズの練ゴムシートGSの厚さを測定するにおいて、等間隔に厚さ検出センサ13を並べるのを簡単な構造で手軽に実行できる。厚さ検出センサ13群での厚さhの検出精度向上の点でもメリットがある。
【0051】
図15に示すように、区切設定装置10と、練ゴムシートGSを区切ラインLごとに裁断又はハーフカットするカッター51とを備えている裁断装置を採用すれば、練ゴムシートGSから複数枚の単位シートUSを予備成形する作業を自動化でき、作業者の負担軽減に効果的である。
【0052】
なお、本願発明における各部の構成は図示の実施形態に限定されるものではなく、本願発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能である。
【符号の説明】
【0053】
BE 練ゴムシートの始端
Cx 所定ピッチごとの断面積
Cy 厚さ測定ラインごとの断面積
De 密度
GS 練ゴムシート
h 測定厚さ
L 区切ライン
Lo 区切開始ライン(=Ze 厚さ測定終了ライン)
l 区切長さ
Mt 目標重量
P ピッチ
TE 練ゴムシートの終端
US 単位シート
V 所定ピッチごとの体積
Vs 所定ピッチごとの体積の総和
Vt 単位シートの目標体積
W 前後幅寸法
Z 厚さ測定ライン
Zo 厚さ測定開始ライン
10 区切設定装置
11 基台
12 載置台
13 厚さ検出センサ
14 移送機構
15 押圧ローラ
16 端部検出センサ
17 X軸移送部
18 Y軸移送部
19 Z軸移送部
29 レージトング機構
36 発光部
37 受光部
40 コントローラ
50 裁断機
51 カッター
52 真空吸着機
【手続補正書】
【提出日】2023-02-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状不定形弾性体が載置される載置台と、前記シート状不定形弾性体各所の厚さを検出する複数個の厚さ検出センサと、互いに直交するXYZ軸方向に前記厚さ検出センサ群を移動可能に支持する移送機構とを基台上に備えており、前記シート状不定形弾性体に対して目標重量ごとに区切を設定する区切設定装置であって、
前記移送機構には、前記厚さ検出センサ群よりも相対移動方向前側に位置して、前記載
置台上にある前記シート状不定形弾性体の表面を押圧する押圧ローラを有している、
区切設定装置。
【請求項2】
前記移送機構には、前記載置台上の前記シート状不定形弾性体の長さ方向端部の存在を検出する端部検出センサをさらに有しており、
前記端部検出センサにて前記シート状不定形弾性体の始端及び終端を検出し、前記厚さ検出センサ群にて前記シート状不定形弾性体の厚さ測定開始ライン及び厚さ測定終了ラインを検出するように構成されている、
請求項1に記載した区切設定装置。
【請求項3】
隣り合う前記厚さ検出センサ同士は、平行リンクを多数組み合わせたレージトング機構を介して、互いの配置間隔を広狭調節可能なように連動連結されている、
請求項1に記載した区切設定装置。
【請求項4】
請求項1~3のうちいずれかに記載の区切設定装置と、前記シート状不定形弾性体を前記区切ごとに裁断又はハーフカットするカッターとを備えている、
裁断装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
本願発明は、練ゴムシートのようなシート状不定形弾性体に対して所定重量ごとに次工程での裁断用の区切を設定する区切設定装置と、シート状不定形弾性体を区切ごとに裁断又はハーフカットする裁断装置とに関するものである。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0002
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0002】
従来、原料ゴム塊(ベール)を練ゴムシートに加工することはよく知られている(例えば特許文献1等参照)。練ゴムシートは、シート状不定形弾性体の一例である。練ゴムシートは通常、その後成型される製品サイズに応じて、裁断方向(幅方向)に直交する方向(長さ方向)の所定長さごとに短冊状に裁断され、複数枚の単位シートに予備成形される。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
このように人手で規定重量範囲内か否かを検査する作業は、作業者に負担を強いるものであり、作業効率も悪いため、未だ改善の余地があった。また、規定重量範囲外の単位シートは取り除かれるため、練ゴムシートの歩留という観点からも検討の余地があった。なお、「シート状不定形弾性体」という文言は、練ゴムシートのような平坦性の悪いシート形状である点を取り上げて上位概念化したものとして、明細書中で用いている。また、「裁断装置」という場合は、シート状不定形弾性体を裁断(完全切り落とし)するものだけではなく、ハーフカット(寸止めし切り落とさない)するものも含まれている。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
本願発明は、シート状不定形弾性体が載置される載置台と、前記シート状不定形弾性体各所の厚さを検出する複数個の厚さ検出センサと、互いに直交するXYZ軸方向に前記厚さ検出センサ群を移動可能に支持する移送機構とを基台上に備えており、前記シート状不定形弾性体に対して目標重量ごとに区切を設定する区切設定装置であって、前記移送機構には、前記厚さ検出センサ群よりも相対移動方向前側に位置して、前記載置台上にある前記シート状不定形弾性体の表面を押圧する押圧ローラを有しているというものである。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
本願発明の区切設定装置において、前記移送機構には、前記載置台上の前記シート状不定形弾性体の長さ方向端部の存在を検出する端部検出センサをさらに有しており、前記端部検出センサにて前記シート状不定形弾性体の始端及び終端を検出し、前記厚さ検出センサ群にて前記シート状不定形弾性体の厚さ測定開始ライン及び厚さ測定終了ラインを検出するように構成されていてもよい。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
本願発明には、請求項1~3のうちいずれかに記載の区切設定装置を備える裁断装置も含まれている。当該裁断装置は、請求項1~3のうちいずれかに記載の区切設定装置と、前記シート状不定形弾性体を前記区切ごとに裁断又はハーフカットするカッターとを備えているというものである。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
本願発明によると、移送機構には、厚さ検出センサ群よりも相対移動方向前側に位置して、載置台上にあるシート状不定形弾性体の表面を押圧する押圧ローラを有しているから、シート状不定形弾性体に対して目標重量ごとに自動的に区切を設定するにあたり、厚さ検出センサ群より先に、押圧ローラがシート状不定形物の表面に乗り上がって押圧し、シート状不定形弾性体の表面をできるだけ平坦な状態にしていくことになる。このため、その後に続く厚さ検出センサ群での厚さの検出精度を格段に向上できる。シート状不定形弾性体の重量・体積演算の信頼性を向上でき、シート状不定形弾性体を裁断等した後において、裁断等した後のものの重量・体積を目標の範囲内に維持できる。その結果、裁断等した後のものについて、人手による検査工程の省略・軽減が可能になる。また、波打ち状態だったシート状不定形弾性体でも一旦押圧ローラで押さえておけば、即座に形状が元の波打ち状態に戻ったりするのは少ないと解され、シート状不定形弾性体の表面をできるだけ平坦な状態で裁断等することが可能になる。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
図1及び
図2に示す区切設定装置10は、シート状不定形
弾性体の一例である矩形板状の練ゴムシートGSに対して、目標重量Mごとに区切Lを設定するためのものである。実施形態の区切設定装置10は、平板状の練ゴムシートGSが載置される載置台12と、練ゴムシートGS各所の厚さを検出する複数個の厚さ検出センサ13と、互いに直交するXYZ軸方向に厚さ検出センサ13群を移動可能に支持する移送機構14と、厚さ検出センサ13群よりも相対移動方向前側に位置して、載置台12上にある練ゴムシートGSの表面を押圧する押圧ローラ15と、載置台12上の練ゴムシートGSの長さ方向端部(X軸方向端部、左右端部)の存在を検出する端部検出センサ16とを、基台11上に備えている。
【手続補正書】
【提出日】2023-06-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
練ゴムシートが載置される載置台と、前記練ゴムシート各所の厚さを検出する複数個の厚さ検出センサと、互いに直交するXYZ軸方向に前記厚さ検出センサ群を移動可能に支持する移送機構とを基台上に備えており、前記練ゴムシートに対して目標重量ごとに区切を設定する区切設定装置であって、
前記移送機構には、前記厚さ検出センサ群よりも相対移動方向前側に位置して、前記載置台上にある前記練ゴムシートの表面を平坦な状態になるように上方から押さえつける押圧ローラを有している、
区切設定装置。
【請求項2】
前記移送機構には、前記載置台上の前記練ゴムシートの長さ方向端部の存在を検出する端部検出センサをさらに有しており、
前記端部検出センサにて前記練ゴムシートの始端及び終端を検出し、前記厚さ検出センサ群にて前記練ゴムシートの厚さ測定開始ライン及び厚さ測定終了ラインを検出するように構成されている、
請求項1に記載した区切設定装置。
【請求項3】
隣り合う前記厚さ検出センサ同士は、平行リンクを多数組み合わせたレージトング機構を介して、互いの配置間隔を広狭調節可能なように連動連結されている、
請求項1に記載した区切設定装置。
【請求項4】
請求項1~3のうちいずれかに記載の区切設定装置と、前記練ゴムシートを前記区切ごとに裁断又はハーフカットするカッターとを備えている、
裁断装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
本願発明は、練ゴムシートが載置される載置台と、前記練ゴムシート各所の厚さを検出する複数個の厚さ検出センサと、互いに直交するXYZ軸方向に前記厚さ検出センサ群を移動可能に支持する移送機構とを基台上に備えており、前記練ゴムシートに対して目標重量ごとに区切を設定する区切設定装置であって、前記移送機構には、前記厚さ検出センサ群よりも相対移動方向前側に位置して、前記載置台上にある前記練ゴムシートの表面を平坦な状態になるように上方から押さえつける押圧ローラを有しているというものである。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
本願発明の区切設定装置において、前記移送機構には、前記載置台上の前記練ゴムシートの長さ方向端部の存在を検出する端部検出センサをさらに有しており、前記端部検出センサにて前記練ゴムシートの始端及び終端を検出し、前記厚さ検出センサ群にて前記練ゴムシートの厚さ測定開始ライン及び厚さ測定終了ラインを検出するように構成されていてもよい。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
本願発明には、請求項1~3のうちいずれかに記載の区切設定装置を備える裁断装置も含まれている。当該裁断装置は、請求項1~3のうちいずれかに記載の区切設定装置と、前記練ゴムシートを前記区切ごとに裁断又はハーフカットするカッターとを備えているというものである。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
本願発明によると、移送機構には、厚さ検出センサ群よりも相対移動方向前側に位置して、載置台上にある練ゴムシートの表面を平坦な状態になるように上方から押さえつける押圧ローラを有しているから、練ゴムシートに対して目標重量ごとに自動的に区切を設定するにあたり、厚さ検出センサ群より先に、押圧ローラが練ゴムシートの表面に乗り上がって押圧し、練ゴムシートの表面をできるだけ平坦な状態にしていくことになる。このため、その後に続く厚さ検出センサ群での厚さの検出精度を格段に向上できる。練ゴムシートの重量・体積演算の信頼性を向上でき、練ゴムシートを裁断等した後において、裁断等した後のものの重量・体積を目標の範囲内に維持できる。その結果、裁断等した後のものについて、人手による検査工程の省略・軽減が可能になる。また、波打ち状態だった練ゴムシートでも一旦押圧ローラで押さえつけておけば、即座に形状が元の波打ち状態に戻ったりするのは少ないと解され、練ゴムシートの表面をできるだけ平坦な状態で裁断等することが可能になる。