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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024065396
(43)【公開日】2024-05-15
(54)【発明の名称】立体絵画の制作方法
(51)【国際特許分類】
   B44D 2/00 20060101AFI20240508BHJP
   B44F 7/00 20060101ALI20240508BHJP
【FI】
B44D2/00 A
B44F7/00
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022174244
(22)【出願日】2022-10-31
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】522426102
【氏名又は名称】岩橋 正樹
(74)【代理人】
【識別番号】100091834
【弁理士】
【氏名又は名称】室田 力雄
(72)【発明者】
【氏名】岩橋 正樹
(57)【要約】
【課題】表現したい既存の立体装飾体をそのまま用いるのではなく、またそのような立体装飾体と同じものをキャンバス上に最初から盛り付け等して形成していくのではなく、金属箔をうまく利用することで、前記既存の立体装飾体の外観を好ましく取り入れて表現できる立体絵画とその制作方法の提供を課題とする。
【解決手段】立体的画材からなる立体的表現をキャンバスの少なくとも一部に施してなる立体絵画1であって、キャンバス10は基板となる台紙20の上に金属箔30を貼り付けた状態に構成されており、金属箔30はキャンバス10上に表現したい既存の立体装飾体の凹凸模様を立体的に型取ってなる立体型取り部31と、該立体型取り部31の周囲に平面状に構成され、台紙20に貼り付けられる平面貼り付け部32とを備え、且つ立体型取り部31の裏側に構成される裏側凹所に充填材が充填固化されている。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面的画材の他、立体的画材からなる立体的表現をキャンバスの少なくとも一部に施してなる立体絵画であって、前記キャンバスは基板となる台紙の上に金属箔を貼り付けた状態に構成されており、前記金属箔は、キャンバス上に表現したい既存の立体装飾体の凹凸模様を立体的に型取ってなる立体型取り部と、該立体型取り部の周囲に平面状に構成され、前記台紙に貼り付けられる平面貼り付け部とを備え、且つ前記立体型取り部の裏側に構成される裏側凹所に充填材が充填固化されていることを特徴とする立体絵画。
【請求項2】
キャンバスの表面を構成する金属箔の平面貼り付け部に該金属箔による皺模様を背景として付加していることを特徴とする請求項1に記載の立体絵画。
【請求項3】
金属箔による皺模様を施したキャンバスの上に立体的画材による立体的表現を施してあることを特徴とする請求項2に記載の立体絵画。
【請求項4】
次のA~Dの工程を備えることを特徴とする立体絵画の制作方法。
A.キャンバスの基板となる台紙の上に貼り付ける金属箔、キャンバス上に表現したい既存の立体装飾体、をそれぞれ用意する工程。
B.前記既存の立体装飾体の表面に金属箔を押し付け、これによって前記押し付けた部分に立体型取り部と、該立体型取り部の周囲に平面貼り付け部と、前記立体型取り部の裏側に裏側凹所とを、形成する工程。
C.前記金属箔の裏側凹所に充填材を、前記平面貼り付け部と面一になるように流動充填して固化する工程。
D.金属箔の前記平面貼り付け部の裏面を前記充填材の裏面と共に台紙の上に貼り付けてキャンバスとする工程。
【請求項5】
D工程において、金属箔を台紙の上に貼り付ける際に、金属箔の平面貼り付け部の表面に皺模様を付加することを特徴とする請求項4に記載の立体絵画の制作方法。
【請求項6】
E工程として.台紙に金属箔が貼り付けられてなるキャンバスに平面的画材の他、立体的画材からなる立体的表現を施す工程を備えることを特徴とする請求項5に記載の立体絵画の制作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は立体絵画とその制作方法に関し、より詳しくは、キャンバス上に絵具やその他の画材を立体的に施して構成してなる立体絵画とその制作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
キャンバス上に絵具等で平面的に描いた通常の平面絵画の他、キャンバス上に画材を重ねる等して立体的に描いた立体絵画がある。立体絵画の制作方法としては、絵具を塗り重ねて立体化する方法、粘土等によりキャンバス上を立体化する方法、紙や写真等をキャンバス上に貼り付ける方法、造花や生花或いはプリザーブドフラワー等を貼り付ける方法、固体立体物を画材としてキャンバス上に貼り付ける方法等、種々の制作方法があり、それらの制作方法による立体絵画が提供されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-301399号公報
【特許文献2】特開2008-265211号公報
【特許文献3】実用新案登録第3157930号公報
【特許文献4】実用新案登録第3166224号公報
【特許文献5】特開2021-121494号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1には、家庭用電気ミキサーに紙片、水を入れて粉砕、ペースト状とし、これに木工用接着剤を適宜入れて紙ペーストを作成し、この紙ペーストを下絵の上に凹凸に塗り積み重ねて立体表現するようにした絵画法が開示されている。
しかしながら、この特許文献1の絵画法では、立体表現物3等は紙ペースト自体によりパレット上に最初から作り上げて行く必要がある。
上記特許文献2には、鉛の金属箔2の表面に接着剤3を塗布し、この接着剤3の上から花4や花びら等6を押し付けて貼り付け、その後に花4の外周付近に沿って切断し、切断した金属箔2と一体の花4にウエーブをかけて立体感を出すようにした装飾品または身飾品及びそれらの製造方法が開示されている。
しかしながら、この特許文献2において、金属箔2の役割は、装飾対象物である花4の裏側に一体となって接着され、補強とウエーブをかけるためのものにとどまる。
上記特許文献3には、液体状シリル化ウレタン樹脂5を用い、これを絵画の線状輪郭部2に囲まれた領域に充填し、固化して、絵画に立体感をもたらすようにした立体絵画パネルが開示されている。
しかしながら、この特許文献3において、使用される樹脂5は、キャンバス上に描かれた絵画そのものに後から追加して使用されるものである。
上記特許文献4には、粘土とモデリングペースト、或いは更にアクリル絵具が混ぜ合わされて形成された造形部20をキャンバス部10の表面に固着するようにした装飾品が開示されている。予め作成した造形部20を用意しておき、これをキャンバス部10に貼り付ける等することで、複雑な装飾品を容易に得ることができる。
しかしながら、この特許文献4において、造形部20はキャンバス部10とは別に予め形成することができるというものの、造形部20そのものはペーストを用いて最初から作り上げて行く必要がある。
上記特許文献5には、粘着層32の上に増圧層37とその上に金属箔層38を形成して立体的な金属箔装飾体50a、50b、50cを構成するようにした、装飾用シール80a、80b、80c、及びその製造方法が開示されている。
しかしながら、この特許文献5において、金属箔装飾体50a、50b、50cは、離形シート30の離形層30bの上に、粘着層32、増圧層37を形成し、更にその上に熱接着剤を用いて金属箔層38を接着したものであり、各金属箔装飾体はキャンバスである離形シート30の上に1つ1つ下から順に積層して作り上げていく必要がある。
【0005】
そこで本発明は上記従来における問題点を解決し、キャンバスの上に表現したい既存の立体装飾体をそのまま用いるのではなく、またそのような立体装飾体と同じものをキャンバス上に最初から盛り付け等して形成していくのではなく、金属箔をうまく利用することで、前記既存の立体装飾体の外観を好ましく取り入れて表現することができる立体絵画とその制作方法の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を達成するため、本発明の立体絵画は、平面的画材の他、立体的画材からなる立体的表現をキャンバスの少なくとも一部に施してなる立体絵画であって、前記キャンバスは基板となる台紙の上に金属箔を貼り付けた状態に構成されており、前記金属箔は、キャンバス上に表現したい既存の立体装飾体の凹凸模様を立体的に型取ってなる立体型取り部と、該立体型取り部の周囲に平面状に構成され、前記台紙に貼り付けられる平面貼り付け部とを備え、且つ前記立体型取り部の裏側に構成される裏側凹所に充填材が充填固化されていることを第1の特徴としている。
また本発明の立体絵画は、上記第1の特徴に加えて、キャンバスの表面を構成する金属箔の平面貼り付け部に該金属箔による皺模様を背景として付加していることを第2の特徴としている。
また本発明の立体絵画は、上記第2の特徴に加えて、金属箔による皺模様を施したキャンバスの上に立体的画材による立体的表現を施してあることを第3の特徴としている。
また本発明の立体絵画の制作方法は、次のA~Dの工程を備えることを第4の特徴としている。
A.キャンバスの基板となる台紙の上に貼り付ける金属箔、キャンバス上に表現したい既存の立体装飾体、をそれぞれ用意する工程。
B.前記既存の立体装飾体の表面に金属箔を押し付け、これによって前記押し付けた部分に立体型取り部と、該立体型取り部の周囲に平面貼り付け部と、前記立体型取り部の裏側に裏側凹所とを、形成する工程。
C.前記金属箔の裏側凹所に充填材を、前記平面貼り付け部と面一になるように流動充填して固化する工程。
D.金属箔の前記平面貼り付け部の裏面を前記充填材の裏面と共に台紙の上に貼り付けてキャンバスとする工程。
また本発明の立体絵画の制作方法は、上記第4の特徴に加えて、D工程において、金属箔を台紙の上に貼り付ける際に、金属箔の平面貼り付け部の表面に皺模様を付加することを第5の特徴としている。
また本発明の立体絵画の制作方法は、上記第5の特徴に加えて、E工程として.台紙に金属箔が貼り付けられてなるキャンバスに平面的画材の他、立体的画材からなる立体的表現を施す工程を備えることを第6の特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載の立体絵画は、平面的画材の他、立体的画材からなる立体的表現をキャンバスの少なくとも一部に施している。
前記キャンバスは、基板となる台紙の上に金属箔を貼り付けた状態に構成されている。
そして前記金属箔は、キャンバス上に表現したい既存の立体装飾体の凹凸模様を立体的に型取ってなる立体型取り部と、該立体型取り部の周囲に平面状に構成され、前記台紙に貼り付けられる平面貼り付け部と、前記立体型取り部の裏側に構成される裏側凹所とを備えている。
更に前記金属箔の前記裏側凹所には充填材が充填固化されている。
即ち、請求項1に記載の立体絵画によれば、キャンバス上に表現したい既存の立体装飾体をそのまま貼り付ける等して用いるのではなく、またそのような既存の立体装飾体と同じものをキャンバス上に最初から盛り付け等して形成していくことなく、金属箔によって前記既存の立体装飾体の立体的外観を好ましく取り入れてなるキャンバスと、その上に平面的画材の他、立体的画材からなる立体的表現を少なくとも一部に施した立体絵画を提供することができる。
加えて、金属箔は比較的変形し易く、これを既存の立体装飾体に押し付けることで、該立体装飾体の立体的外観を立体型取り部として、容易且つ良好に写し取ることができると共に、立体装飾体への押し付けを外した場合にも凹凸の変形状態を良好に維持することができる。即ち、金属箔によって、望むところの立体装飾体の立体模様をキャンバス上に再現することができる。
加えて、金属箔はプラスチックフィルム等と比べても強度が強く、また金属箔の立体型取り部の裏側の裏側凹所に充填材を充填固化する場合にも、金属箔はプラスチックフィルム等に比べて型崩れし難いので、良好な写し取り凹凸形状を保持することができる。勿論、普通の紙等と比べても十分に耐熱温度が高いので、溶融させたプラスチック充填材を充填する場合にも焼損することがない。
しかも金属箔の前記立体型取り部の周囲に構成される平面貼り付け部は、金属箔の変形能が高いことから、立体型取り部の周囲であっても容易に平面状態に維持することができる。よって金属箔の平面貼り付け部の台紙への貼り付けが正確に且つ容易に行うことができる。
また請求項1に記載の立体絵画によれば、好きな既存の立体装飾体の外観を金属箔で型取ることで、複数の型取り金属箔を用いて、既存の立体装飾体の立体模様を取り入れた種々の立体絵画を制作することができる。
【0008】
請求項2に記載の立体絵画によれば、上記請求項1に記載の構成による作用効果に加えて、キャンバスの表面を構成する金属箔の平面貼り付け部に該金属箔による皺模様を背景として付加している。これにより皺の付き易い金属箔の性質を利用して、立体絵画の背景となるキャンバスの表面に容易に皺模様を付加することができる。よって立体絵画の背景となるキャンバスに、より容易に立体感を出すことができる。
【0009】
請求項3に記載の立体絵画によれば、上記請求項2に記載の構成による作用効果に加えて、金属箔による皺模様を施したキャンバスの上に立体的画材による立体的表現を施してあるので、金属箔の皺模様を利用することで、絵画材料による何度もの塗り重ね作業や貼り重ね作業を繰り返すことなく、比較的容易に立体感のある背景を得ることができる。
【0010】
また上記請求項4に記載の立体絵画の制作方法によれば、A工程で、キャンバスの基板となる台紙の上に貼り付ける金属箔と、キャンバス上に表現したい既存の立体装飾体を用意し、B工程で、前記用意した立体装飾体の表面に金属箔を押し付け、金属箔に立体型取り部と、その立体型取り部の周囲に平面貼り付け部と、立体型取り部の裏側に裏側凹所とを形成し、C工程で、金属箔の前記裏側凹所に充填材を流動充填して平面貼り付け部を面一状態に固化し、D工程で、金属箔の平面貼り付け部の裏面を裏側凹所に充填固化された充填材の裏面と共に台紙の上に貼り付けてキャンバスとしている。
即ち、請求項4に記載の立体絵画の制作方法によれば、キャンバスに表現したい既存の立体装飾体を、そのままキャンバスの上に配置するのではなく、また表現したい既存の立体装飾体を一からキャンバス上に再現していくのではなく、金属箔を用いて表現したい既存の立体装飾体の型を取ることで、その型取った金属箔を利用して容易に立体絵画の一部として表現することが可能となる。
そして金属箔には立体型取り部だけではなく、立体型取り部の裏側に生じる裏側凹所に充填材を充填固化することで、薄い金属箔の立体型取り部の強度をその後の創作作業にも十分に耐えることができるように補強することが可能となる。加えて、立体型取り部の周囲に平面貼り付け部を形成することで、前記充填材を充填固化した型取り部の裏面と平面貼り付け部の裏面とを台紙上に貼り付けることで、金属箔からなる立体装飾部(立体型取り部)付きの立体的なキャンバスを得ることができる。よってそのような立体的なキャンバスを用いることで、その後の立体絵画の制作が非常に容易となる。また形や位置を適当に異ならしめた立体装飾部(立体型取り部)を備えた金属箔製の立体的なキャンバスを容易に且つ複数個制作できるので、そのような形と位置の異なる立体装飾部(立体型取り部)を備えた金属箔のキャンバスを用いてバラエティーに富んだ立体絵画を制作することが可能となる。
【0011】
また上記請求項5に記載の立体絵画の制作方法によれば、上記請求項4に記載の構成による作用効果に加えて、D工程において、金属箔を台紙の上に貼り付ける際に、金属箔の平面貼り付け部の表面に皺模様を付加することとしている。このように皺の付き易い金属箔の性質を利用して、立体絵画の背景となるキャンバスの表面に容易に皺模様による立体感を付加することによって、キャンバスに立体絵画の背景となる皺模様の凹凸を予め付加しておくことができ、よってその後の立体絵画制作において、立体感の出し難い通常の絵具等の平面的画材を用いる場合においても容易、簡単に立体表現を取り入れたものとすることができる。
【0012】
また上記請求項6に記載の立体絵画の制作方法によれば、上記請求項5に記載の構成による作用効果に加えて、E工程として、台紙に金属箔が貼り付けられてなるキャンバスに平面的画材の他、立体的画材からなる立体的表現を施す工程を備えるようにしているので、立体型取り部と皺模様とによる立体模様が予め施されたキャンバスを用いて、更に通常の絵具等の平面的画材による平面的表現の他、プリザーブドフラワー等の立体的画材による立体的表現のなされた立体絵画を容易に制作することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係る立体絵画の実施形態を説明する図である。
図2】本発明に係る立体絵画とその制作方法の実施形態を説明する図で、金属箔と、キャンバスに表現したい既存の立体装飾体とを示す。
図3】本発明に係る立体絵画とその制作方法の実施形態を説明する図である。
図4】本発明に係る立体絵画とその制作方法の実施形態を説明する図である。
図5】本発明に係る立体絵画とその制作方法の実施形態を説明する図である。
図6】本発明に係る立体絵画とその制作方法の実施形態を説明する図である。
図7】本発明に係る立体絵画とその制作方法の実施形態を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、各図面を参照して、本発明に係る立体絵画とその制作方法の実施形態を説明し、本発明の理解に供する。ただし、以下の説明は特許請求の範囲に記載の本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0015】
まず図1を参照して、本発明の実施形態に係る立体絵画1は、キャンバス10上の少なくとも一部に立体的表現60を備えている。
台紙20はキャンバス10の基板となるもので、紙、板、その他の材料で構成することができる。
前記キャンバス10は、基板となる台紙20の上に金属箔30を貼り付けた状態に構成されている。
【0016】
図2図4も参照して、前記立体絵画1の金属箔30には、キャンバス10上に表現したい既存の立体装飾体80の凹凸模様を立体的に型取ってなる立体型取り部31を備えている。
また前記立体型取り部31の周囲に、平面状に構成され、前記台紙20に貼り付けられる平面貼り付け部32を備えている。
図5も参照して、前記立体型取り部31の裏側に構成される裏側凹所33に充填材34が充填固化されている。
前記キャンバス10における立体的表現60として、金属箔30の立体型取り部31による立体的表現61がなされている。
またキャンバス10における立体的表現60として、プリザーブドフラワー41や造花42等の立体的画材40による立体的表現62がなされている。
更にキャンバス10における立体的表現60として、金属箔30に構成される皺模様35による立体的表現63がなされている。
勿論、キャンバス10における立体的表現60として、上記以外のその他の立体的表現を含む。
その他、立体的表現60の他に、絵具等の平面的画材50を用いた塗りや線描等の平面的表現70を含むことができる。
【0017】
前記金属箔30は、それ自身が台紙20上に貼り付けられてキャンバス10となる。
また金属箔30は、表現したい既存の立体装飾体80の凹凸模様を立体的に型取って、キャンバス10そのものの一部として表現するための部材である。
金属箔30は、樹脂箔のようなものに比べて変形能がよく且つ強度もあるので、立体装飾体80の型取りを良好に且つ破損することなく行える。
また金属箔20は耐熱温度も高いので、金属箔20の裏側凹所33への樹脂等による充填材の充填固化の際にも、十分に高温に耐えることができる。
勿論、キャンバス10に表現したい既存の立体装飾体80としては、金属光沢のあるものが多いが、そのような金属光沢のある立体装飾体80のキャンバス10上への表現手段としても適している。
【0018】
従ってこの立体絵画1によれば、キャンバス10上に表現したい既存の立体装飾体80をそのまま貼り付けることなく、またそのような既存の立体装飾体80と同じものをキャンバス10上に最初から盛り付けることなく、金属箔30によって前記既存の立体装飾体80の凹凸模様を立体的に型取ってなる立体型取り部31による立体的表現61、皺模様35による立体的表現63を取り入れてなるキャンバス10と、その上に平面的画材50の他、立体的画材40からなる立体的表現62を少なくとも1部に施した立体絵画1を提供することができる。
加えて、変形が容易な金属箔30を既存の立体装飾体80に押し付けることで、該立体装飾体80の立体的外観を立体型取り部31として容易且つ良好に写し取ることができる。即ち、金属箔30によって立体装飾体80の望む立体模様を良好にキャンバス10上に再現することができる。
更に金属箔30は、プラスチックフィルム等と比べても強度が強く、型崩れし難いので、良好な写し取り凹凸形状を保持することができる。また耐熱温度が高いので、溶融させたプラスチック充填材を充填する場合にも焼損することがない。
また金属箔30の平面貼り付け部32は、金属箔30の変形能が高いことから、立体型取り部31の周囲に形成されても、立体型取り部31の影響が少なく、良好な平面形状を維持することができるので、平面貼り付け部32の台紙20への貼り付けが正確に且つ容易に行える。
また複数の金属箔30を用いることで、1つの立体装飾体80から複数の型を彼是と型取ることができ、種々の立体絵画1を制作することができる。
また金属箔30の平面貼り付け部32に皺模様35を背景として付加することで、皺の付き易い金属箔の性質を利用して、絵画材料等による塗り重ねや貼り重ね作業を繰り返すことなく、キャンバス10の背景にも容易に立体感を出すことができる。
【0019】
本発明の立体絵画1をその制作方法と共に更に説明する。
制作方法の実施形態としては次のA、B、C、Dの工程を備えている。
図2を参照して、A工程では、キャンバス10の基板となる台紙20の上に貼り付ける金属箔30と、キャンバス10の上に表現したい既存の立体装飾体80とを用意する。
前記立体装飾体80については、金属箔30を押し付けた際に凹凸模様を良好に型取ることができるものであれば種々のものを用いることができる。金属、セラミック、木、ガラス、硬質樹脂等、ある程度の硬さがある装飾体が対象となる。
図2に示す立体装飾体80は、金属製のものを用いた例の1つである。基盤81と、その基盤81の上面に突出してネームプレート模様82aとカップ模様82bとからなる凹凸模様82が形成されている。
勿論、立体装飾体80としては、例えば立体像のように、周囲全体が三次元形状に形成されたものであってもよく、その場合、その周囲の形状の適当な一部を金属箔30で型取りしてもよい。
【0020】
制作方法のB工程では、前記用意した立体装飾体80の全部若しくは一部に金属箔30を押し付けることで、金属箔30に立体型取り部31と、その立体型取り部31の周囲に平面貼り付け部32と、前記立体型取り部31の裏側に裏側凹所33とを形成する。
先ず図2を参照して、ロール等から、キャンバス10となるべく大きさの金属箔30を切り取る。
次に図3を参照して、金属箔30を立体装飾体80にあてがう。
なお図3においては、金属箔30の下にある立体装飾体80は実際には見えないが、かくれた立体装飾体80を点線で示す。
次に図4を参照して、金属箔30を立体装飾体80の一面側(この場合は上から)押し付け、型取りを行って、立体型取り部31を得る。
本実施形態の場合は、立体装飾体80の基盤81については型取りせずに、基盤81の上面に突出して形成された凹凸模様82、即ちネームプレート模様82aとカップ模様82bとを立体的に型取りしている。勿論、どのように型取りするかは自由で、限定されない。
以上のようにして金属箔30による立体装飾体80の型取りを行うことで、金属箔30にネームプレート模様82aとカップ模様82bとからなる立体型取り部31を転写、形成することができる。
立体型取り部31は、後で立体絵画の立体的表現61となる。
前記立体型取り部31を除く周囲は平面からなる平面貼り付け部32として構成される。
平面貼り付け部32は、後にキャンバス10を形成する際に必須の構成である。
前記立体型取り部31の裏側は裏側凹所33となる。
【0021】
図5を参照して、制作方法のC工程では、金属箔30の裏側凹所33に充填材34を流動充填し、平面貼り付け部32と面一状態になるようにして、固化する。
裏側凹所33に充填材34を入れて固化することで、立体型取り部31を補強し、且つ立体装飾体80から転写した凹凸模様が崩れないようにすることができる。また平面貼り付け部32と面一に固化することで、金属箔30の裏側に段差ができないようにしている。
前記充填材34を流動充填して固化する作業としては、いわゆるグルーガン90を用い、充填材34をグルーガン90で溶かしながら前記裏側凹所33に充填し、時間経過により固化する方法を採用することができる。
この場合において、充填材34は樹脂を用いることができる。樹脂をグルーガン90で溶かしながら裏側凹所33に充填することで、容易に面一面まで充填し、固化することができる。
【0022】
図6図7を参照して、制作方法のD工程では、金属箔30の平面貼り付け部32の裏面を裏側凹所33に充填した充填材34の裏面と共に台紙20の上に貼り付けてキャンバス10とする。
貼り付けに際しては、平面貼り付け部32の裏面と裏側凹所33に充填した充填材34の裏面とに接着剤を施し、これを台紙20に貼り付ける。
【0023】
D工程において、金属箔30を台紙20の上に貼り付ける際に、金属箔30の平面貼り付け部32に皺模様35を付加することができる。
皺模様35の付加は、接着剤を裏面に塗布した金属箔30を台紙20に貼る際に、皺が縒るようにしながら貼り付けること導入することができる。或いは予め金属箔30の平面貼り付け部32に皺を形成しておき、この皺の形成された金属箔30を台紙20に貼ることでも付加することができる。
皺模様35を形成することで、キャンバス10の平面部に皺模様35による立体的表現63を背景として付加することができる。
【0024】
また図1を参照して、E工程として.台紙20に金属箔30が貼り付けられてなるキャンバス10対して、平面的画材50の他、立体的画材40からなる立体的表現62を施すことができる。
よって立体型取り部31と皺模様35とによる立体的表現61、63が予め施されたキャンバス10を用いて、更に通常の絵具等の平面的画材50による平面的表現70の他、プリザーブドフラワー41等の立体的画材40による立体的表現62のなされた立体絵画1を容易に制作することができる。
【0025】
実施形態に係る立体絵画の制作方法によれば、表現したい既存の立体装飾体80を、そのままキャンバス10の上に配置することなく、また立体装飾体80を1からキャンバス10上に再現することなく、表現したい既存の立体装飾体80を型取った金属箔30を利用して容易に立体絵画1を制作することが可能となる。
そして金属箔30には立体型取り部31の裏側の裏側凹所33に充填材34を充填固化することで、薄い金属箔30の立体型取り部31の強度をその後の作業にも十分に耐えるように補強することが可能となる。
加えて、立体型取り部31の周囲の平面貼り付け部32の裏面と充填固化した充填材34の裏面とを台紙20上に貼り付けることで、金属箔30からなる立体的表現61(立体型取り部31)付きの立体的なキャンバス10を現に堅固に得ることができる。
従って、そのような立体的なキャンバス10を用いることで、その後の立体絵画1の制作が非常に容易となり、また形や位置を適当に異ならしめた立体的表現61(立体型取り部31)を備えた金属箔30のキャンバス10を用いてバラエティーに富んだ立体絵画1を制作することが可能となる。
また皺の付き易い金属箔30の性質を利用して、立体絵画1の背景となるキャンバス10の表面に容易に皺模様35による立体的表現63を付加することで、通常の絵具等の平面的画材50を用いる場合においても容易、簡単に背景に立体的表現63を取り入れたものとすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明の装飾体とその制作方法は、プリザーブド植物を扱う装飾品や装飾品パーツの製造、販売分野や、プリザーブド植物を用いた作品創作に関する各種学校、教育産業の分野における産業上の利用性が高い。
【符号の説明】
【0027】
1 立体絵画
10 キャンバス
20 台紙
30 金属箔
31 立体型取り部
32 平面貼り付け部
33 裏側凹所
34 充填材
35 皺模様
40 立体的画材
41 プリザーブドフラワー
42 造花
50 平面的画材
60 立体的表現
61 立体型取り部31による立体的表現
62 立体的画材40による立体的表現
63 皺模様35による立体的表現
70 平面的表現
80 立体装飾体
81 基盤
82 凹凸模様
82a ネームプレート模様
82b カップ模様
90 グルーガン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2023-04-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
次のA~Eの工程を備えることを特徴とする立体絵画の制作方法。
A.キャンバス10の基板となる台紙20と、キャンバス10の表面を構成させるための金属箔30と、それ自体を立体絵画の一部とするのではなく、それ自体の一部を転写によって立体絵画の一部に表現するための道具として用いる既存の立体装飾体80とを用意する工程。
B.次に前記立体装飾体80に対して、前記金属箔30を押し付け、立体装飾体80の立体表現を金属箔30に転写し、これによって金属箔30の表面には、前記立体装飾体80の立体表現が転写されてなる立体型取り部31を形成し、また該立体型取り部31の周囲に少なくとも前記台紙20の外周に至る寸法の平面を備えた平面貼り付け部32を形成し、金属箔30の裏面には、前記立体型取り部31に対応する位置において裏面に突出することなく開口する裏側凹所33を形成する工程。
C.次に金属箔30を裏返し、前記裏面に突出することなく開口する裏側凹所33に対して、充填材34を前記平面貼り付け部32の裏面と面一になるように流動充填して一体固化する工程。
D.次に充填材が面一に充填された裏側凹所33と前記平面貼り付け部32とを備えた金属箔30の裏側を、前記台紙20の上面に貼り付け、表面が金属箔30からなり且つ立体型取り部31を有する立体的なキャンバス10を得る工程。
E.次に得られた金属箔30からなる立体的なキャンバス10に対して、平面的画材50、立体的画材40による立体的表現を施してゆく工程。
【請求項2】
A工程において、既存の立体装飾体80は金属製とし、基盤81とその基盤81の上面に突出して形成される凹凸模様82とを備えたものとし、
B工程において、立体装飾体80の基盤81を平面上に置き、その上から金属箔30を基盤81の上面まで押し付けることで、基盤81上面に突出して形成される凹凸模様82を立体型取り部31として、また裏側凹所33として反映させ、且つ凹凸模様82の周囲の基板81上面で金属箔30を受けることにより前記裏側凹所33と平面貼り付け部32とを面一に構成するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の立体絵画の制作方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は立体絵画制作方法に関し、より詳しくは、キャンバス上に絵具やその他の画材を立体的に施して構成してなる立体絵画制作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
キャンバス上に絵具等で平面的に描いた通常の平面絵画の他、キャンバス上に画材を重ねる等して立体的に描いた立体絵画がある。立体絵画の制作方法としては、絵具を塗り重ねて立体化する方法、粘土等によりキャンバス上を立体化する方法、紙や写真等をキャンバス上に貼り付ける方法、造花や生花或いはプリザーブドフラワー等を貼り付ける方法、固体立体物を画材としてキャンバス上に貼り付ける方法等、種々の制作方法があり、それらの制作方法による立体絵画が提供されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-301399号公報
【特許文献2】特開2008-265211号公報
【特許文献3】実用新案登録第3157930号公報
【特許文献4】実用新案登録第3166224号公報
【特許文献5】特開2021-121494号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1には、家庭用電気ミキサーに紙片、水を入れて粉砕、ペースト状とし、これに木工用接着剤を適宜入れて紙ペーストを作成し、この紙ペーストを下絵の上に凹凸に塗り積み重ねて立体表現するようにした絵画法が開示されている。
しかしながら、この特許文献1の絵画法では、立体表現物3等は紙ペースト自体によりパレット上に最初から作り上げて行く必要がある。
上記特許文献2には、鉛の金属箔2の表面に接着剤3を塗布し、この接着剤3の上から花4や花びら等6を押し付けて貼り付け、その後に花4の外周付近に沿って切断し、切断した金属箔2と一体の花4にウエーブをかけて立体感を出すようにした装飾品または身飾品及びそれらの製造方法が開示されている。
しかしながら、この特許文献2において、金属箔2の役割は、装飾対象物である花4の裏側に一体となって接着され、補強とウエーブをかけるためのものにとどまる。
上記特許文献3には、液体状シリル化ウレタン樹脂5を用い、これを絵画の線状輪郭部2に囲まれた領域に充填し、固化して、絵画に立体感をもたらすようにした立体絵画パネルが開示されている。
しかしながら、この特許文献3において、使用される樹脂5は、キャンバス上に描かれた絵画そのものに後から追加して使用されるものである。
上記特許文献4には、粘土とモデリングペースト、或いは更にアクリル絵具が混ぜ合わされて形成された造形部20をキャンバス部10の表面に固着するようにした装飾品が開示されている。予め作成した造形部20を用意しておき、これをキャンバス部10に貼り付ける等することで、複雑な装飾品を容易に得ることができる。
しかしながら、この特許文献4において、造形部20はキャンバス部10とは別に予め形成することができるというものの、造形部20そのものはペーストを用いて最初から作り上げて行く必要がある。
上記特許文献5には、粘着層32の上に増圧層37とその上に金属箔層38を形成して立体的な金属箔装飾体50a、50b、50cを構成するようにした、装飾用シール80a、80b、80c、及びその製造方法が開示されている。
しかしながら、この特許文献5において、金属箔装飾体50a、50b、50cは、離形シート30の離形層30bの上に、粘着層32、増圧層37を形成し、更にその上に熱接着剤を用いて金属箔層38を接着したものであり、各金属箔装飾体はキャンバスである離形シート30の上に1つ1つ下から順に積層して作り上げていく必要がある。
【0005】
そこで本発明は上記従来における問題点を解決し、キャンバスの上に表現したい既存の立体装飾体をそのまま用いるのではなく、またそのような立体装飾体と同じものをキャンバス上に最初から盛り付け等して形成していくのではなく、金属箔をうまく利用することで、前記既存の立体装飾体の外観を好ましく取り入れて表現することができる立体絵画の制作方法の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を達成するため、本発明の立体絵画の制作方法は、次のA~Eの工程を備えることを第1の特徴としている。
A.キャンバス10の基板となる台紙20と、キャンバス10の表面を構成させるための金属箔30と、それ自体を立体絵画の一部とするのではなく、それ自体の一部を転写によって立体絵画の一部に表現するための道具として用いる既存の立体装飾体80とを用意する工程。
B.次に前記立体装飾体80に対して、前記金属箔30を押し付け、立体装飾体80の立体表現を金属箔30に転写し、これによって金属箔30の表面には、前記立体装飾体80の立体表現が転写されてなる立体型取り部31を形成し、また該立体型取り部31の周囲に少なくとも前記台紙20の外周に至る寸法の平面を備えた平面貼り付け部32を形成し、金属箔30の裏面には、前記立体型取り部31に対応する位置において裏面に突出することなく開口する裏側凹所33を形成する工程。
C.次に金属箔30を裏返し、前記裏面に突出することなく開口する裏側凹所33に対して、充填材34を前記平面貼り付け部32の裏面と面一になるように流動充填して一体固化する工程。
D.次に充填材34が充填された裏側凹所33と前記平面貼り付け部32とを備えた金属箔30を、前記台紙20の上面に貼り付け、表面全面が金属箔30からなり且つ立体型取り部31を有する立体的なキャンバス10を得る工程。
E.次に得られた金属箔30からなる立体的なキャンバス10に対して、平面的画材50、立体的画材40による立体的表現を施してゆく工程。
また本発明の立体絵画の制作方法は、上記第1の特徴に加えて、
A工程において、既存の立体装飾体80は金属製とし、基盤81とその基盤81の上面に突出して形成される凹凸模様82とを備えたものとし、
B工程において、立体装飾体80の基盤81を平面上に置き、その上から金属箔30を基盤81の上面まで押し付けることで、基盤81上面に突出して形成される凹凸模様82を立体型取り部31として、また裏側凹所33として反映させ、且つ凹凸模様82の周囲の基板81上面で金属箔30を受けることにより前記裏側凹所33と平面貼り付け部32とを面一に構成するようにしたことを第2の特徴としている
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載の立体絵画の制作方法により制作された立体絵画は、平面的画材の他、立体的画材からなる立体的表現をキャンバス10の少なくとも一部に施している。
前記キャンバス10は、基板となる台紙20の上に金属箔30を貼り付けた状態に構成されている。
そして前記金属箔30は、キャンバス10上に表現したい既存の立体装飾体80の凹凸模様を立体的に型取ってなる立体型取り部31と、該立体型取り部31の周囲に平面状に構成され、前記台紙20に貼り付けられる平面貼り付け部32と、前記立体型取り部31の裏側に構成される裏側凹所33とを備えている。
更に前記金属箔30の前記裏側凹所33には充填材34が充填固化されている。
即ち、得られる立体絵画は、キャンバス10上に表現したい既存の立体装飾体80をそのまま貼り付ける等して用いるのではなく、またそのような既存の立体装飾体80と同じものをキャンバス10上に最初から盛り付け等して形成していくことなく、金属箔30によって前記既存の立体装飾体80の立体的外観を好ましく取り入れてなるキャンバス10と、その上に平面的画材50の他、立体的画材40からなる立体的表現を少なくとも一部に施した立体絵画を提供することができる。
加えて、金属箔30は比較的変形し易く、これを既存の立体装飾体80に押し付けることで、該立体装飾体80の立体的外観を立体型取り部31として、容易且つ良好に写し取ることができると共に、立体装飾体80への押し付けを外した場合にも凹凸の変形状態を良好に維持することができる。即ち、金属箔30によって、望むところの立体装飾体80の立体模様をキャンバス10上に再現することができる。
加えて、金属箔30はプラスチックフィルム等と比べても強度が強く、また金属箔30の立体型取り部31の裏側の裏側凹所33に充填材34を充填固化する場合にも、金属箔30はプラスチックフィルム等に比べて型崩れし難いので、良好な写し取り凹凸形状を保持することができる。勿論、普通の紙等と比べても十分に耐熱温度が高いので、溶融させたプラスチック充填材を充填する場合にも焼損することがない。
しかも金属箔30の前記立体型取り部31の周囲に構成される平面貼り付け部32は、金属箔30の変形能が高いことから、立体型取り部31の周囲であっても容易に平面状態に維持することができる。よって金属箔30の平面貼り付け部32の台紙20への貼り付けが正確に且つ容易に行うことができる。
また得られる立体絵画によれば、好きな既存の立体装飾体80の外観を金属箔30で型取ることで、複数の型取り金属箔30を用いて、既存の立体装飾体80の立体模様を取り入れた種々の立体絵画を制作することができる。
【0008】
請求項1に記載の立体絵画の制作方法によれば、
A工程で、キャンバス10の基板となる台紙20と、キャンバス10の表面を構成させるための金属箔30と、それ自体を立体絵画の一部とするのではなく、それ自体の一部を転写によって立体絵画の一部に表現するための道具として用いる既存の立体装飾体80とを用意し、
B工程で、次に前記立体装飾体80に対して、前記金属箔30を押し付け、立体装飾体80の立体表現を金属箔30に転写し、これによって金属箔30の表面には、前記立体装飾体80の立体表現が転写されてなる立体型取り部31を形成し、また立体型取り部31の周囲に少なくとも前記台紙20の外周に至る寸法の平面を備えた平面貼り付け部32を形成し、金属箔30の裏面には、前記立体型取り部31に対応する位置において裏面に突出することなく開口する裏側凹所33を形成し、
C工程で、次に金属箔30を裏返し、前記裏面に突出することなく開口する裏側凹所33に対して、充填材34を、前記平面貼り付け部32の裏面と面一になるように流動充填し一体固化し、
D工程で、次に充填材34が面一に充填された裏側凹所33と前記平面貼り付け部32とを備えた金属箔30を、前記台紙20の上面全面に密着状態に貼り付け、表面全面が金属箔30からなり且つ立体型取り部31を有する立体的なキャンバス10を得る。
E工程で、次に得られた金属箔30からなる立体的なキャンバス10に対して、平面的画材50、立体的画材40による立体的表現を施してゆく。
【0009】
即ち、請求項1に記載の立体絵画の制作方法によれば、
A工程においては、キャンバス10に表現したい既存の立体装飾体80を、それ自体を立体絵画の一部とするのではなく、それ自体の一部を転写によって立体絵画の一部に表現するための道具として用いるようにしている。従って、その立体装飾体80自体を消費してしまうことなく、引き続き、別に温存して保持しながら、その立体装飾体80の表現を何度も利用して、立体的なキャンバス10の制作に利用することができる。
勿論、既存の立体装飾体80の表現を一からキャンバス10上に再現していくのではなく、金属箔30を用いて表現したい既存の立体装飾体80の型を取ることで、その型取った金属箔30を利用し、立体的なキャンバス10、更には立体絵画にその表現を反映してゆくことができる。
また特に、A工程においては、既存の立体装飾体80は、転写がなされるだけであるので、その立体装飾体80が例え一品制作品であっても、1回の制作で消費されてしまうことなく、何度も繰り返して、異なる作品の制作に利用することができる。勿論、立体装飾体80のキャンバス10上での転写位置についても色々変更して選ぶことができる。
【0010】
B工程においては、金属箔30を立体装飾体80に押し付け、転写することで、立体装飾体80の立体表現を金属箔30の立体型取り部31として得ることができる。即ち、後で金属箔30がキャンバス10の表面となる際に、キャンバス10そのものに立体型取り部31からなる立体表現が取り入れられた金属箔30のキャンバス10を得ることができる。
またB工程においては、立体型取り部31の周囲に少なくとも台紙20の外周に至る寸法の平面を備えた平面貼り付け部32を形成することで、この平面貼り付け部32をもって台紙20上面に確実に貼り付けることができ、全面が金属箔30からなる立体的なキャンバス10を容易に得ることができる。
しかも前記立体型取り部31は金属箔30の表面に突出した状態に形成し、また裏側凹所33は金属箔30の裏面に突出することなく開口するように形成するので、既存の立体装飾体80の転写による変形(裏側凹所33)が決して金属箔30の裏面へ突出部として現れることがないようにすることができる。よって金属箔30の裏面は引き続き平面に維持され、後で金属箔30を台紙20に貼り付ける際にも両者間に隙間が生じたりすることが確実に防止される。
また裏側凹所33は金属箔30の裏面に突出することなく開口するように形成されるので、裏側凹所33とその周囲にある平面貼り付け部32の裏面とを裏側凹所33の周りで段差等の無い面一の状態にすることができる。よって立体型取り部31を備えた金属箔30であっても、台紙に20に対して隙間を生じさせることなく、十分に密着して接着させることができる。
そしてこれらの結果として、立体的表現を一部に備えた金属箔30であっても、これを台紙20上に全面に亘って貼り付けて、金属箔30が表面に密着されたキャンバス10を得ることができる。従ってまた、その後において、立体絵画制作作業時にキャンバス10表面の金属箔30が凹んだり変形したりする不都合を確実に予防することができる。
【0011】
またC工程においては、金属箔30を裏返し、裏側凹所33内に、充填材34を、前記平面貼り付け部32の裏面と面一となるように流動充填して一体固化することにより、薄い金属箔30を強化することができると共に、裏側凹所33と周囲の平面貼り付け部32との段差をなくすことができる。よって金属箔30を台紙20に貼り付ける際にも、ムラなく接着剤を塗布し、隙間なく密着して台紙20に貼り付けすることができる。よって金属箔30からなるキャンバス10表面の強度を、その後の創作作業にも十分に耐えることができるように補強することが可能となる。
またD工程においては、充填材34が充填された裏側凹所33と前記平面貼り付け部32とを備えた金属箔30を台紙20の上面に貼り付けることで、立体型取り部31を備えた金属箔30を表面としたキャンバス10を現に得ることができる。
またE工程では、得られた金属箔30からなる立体キャンバス10に対して、平面的画材50、立体的画材40による立体的表現を施してゆくことで、立体型取り部31を備えた金属箔30からなる立体的なキャンバス10表面を素地として更に平面的、立体的画材を施した立体絵画を得ることができる
そして本発明の立体絵画の制作方法によれば、立体型取り部31を備えた金属箔30を表面とするキャンバス10を、1つのみならず複数であっても制作することができ、しかも立体型取り部31の配置も容易に変更することができるので、種々の関連する立体絵画を制作することが可能となる。
【0012】
請求項2に記載の立体絵画の制作方法によれば、上記請求項1に記載の構成による作用効果に加えて、A工程において、既存の立体装飾体80は、金属製とし、基盤81とその基盤81の上面に突出して形成される凹凸模様82を備えたものとしており、且つB工程において、立体装飾体80の基盤81を平面状に置き、その上から金属箔30を基盤81の上面まで押し付けることで、基盤81の上面に突出して形成される凹凸模様82を立体型取り部31として、また裏側凹所33として反映させ、且つ凹凸模様82の周囲の基盤81上面で金属箔30を受けることにより、前記裏側凹所33と平面貼り付け部32とを面一に構成するようにしたので、
立体装飾体80の立体表現を転写する際において、金属箔30を基盤81の上面に押し付けることで、基盤81の上面に突出して形成される凹凸模様82を容易に立体型取り部31及び裏側凹所33として転写することができる。同時に、凹凸模様82の周囲に位置する基盤81の上面は金属箔30と平面的に当接することが可能となるので、裏側凹所33の周囲にある平面貼り付け部32の裏面は裏側凹所33と容易に面一になることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係る立体絵画の実施形態を説明する図である。
図2】本発明に係る立体絵画とその制作方法の実施形態を説明する図で、金属箔と、キャンバスに表現したい既存の立体装飾体とを示す。
図3】本発明に係る立体絵画とその制作方法の実施形態を説明する図である。
図4】本発明に係る立体絵画とその制作方法の実施形態を説明する図である。
図5】本発明に係る立体絵画とその制作方法の実施形態を説明する図である。
図6】本発明に係る立体絵画とその制作方法の実施形態を説明する図である。
図7】本発明に係る立体絵画とその制作方法の実施形態を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、各図面を参照して、本発明に係る立体絵画の制作方法の実施形態を説明し、本発明の理解に供する。ただし、以下の説明は特許請求の範囲に記載の本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0015】
まず図1を参照して、本発明の立体絵画の制作方法の実施形態により得られる立体絵画の例を説明する。立体絵画1は、キャンバス10上の少なくとも一部に立体的表現60を備えている。
台紙20はキャンバス10の基板となるもので、紙、板、その他の材料で構成することができる。
前記キャンバス10は、基板となる台紙20の上に金属箔30を貼り付けた状態に構成されている。
【0016】
図2図4も参照して、前記立体絵画1の金属箔30には、キャンバス10上に表現したい既存の立体装飾体80の凹凸模様82を立体的に型取ってなる立体型取り部31を備えている。
また前記立体型取り部31の周囲に、平面状に構成され、前記台紙20に貼り付けられる平面貼り付け部32を備えている。
図5も参照して、前記立体型取り部31の裏側に構成される裏側凹所33に充填材34が充填固化されている。
前記キャンバス10における立体的表現60として、金属箔30の立体型取り部31による立体的表現61がなされている。
またキャンバス10における立体的表現60として、プリザーブドフラワー41や造花42等の立体的画材40による立体的表現62がなされている。
更にキャンバス10における立体的表現60として、金属箔30に構成される皺模様35による立体的表現63がなされている。
勿論、キャンバス10における立体的表現60として、上記以外のその他の立体的表現を含む。
その他、立体的表現60の他に、絵具等の平面的画材50を用いた塗りや線描等の平面的表現70を含むことができる。
【0017】
前記金属箔30は、それ自身が台紙20上に貼り付けられてキャンバス10となる。
また金属箔30は、表現したい既存の立体装飾体80の凹凸模様82を立体的に型取って、キャンバス10そのものの一部として表現するための部材である。
金属箔30は、樹脂箔のようなものに比べて変形能がよく且つ強度もあるので、立体装飾体80の型取りを良好に且つ破損することなく行える。
また金属箔30は耐熱温度も高いので、金属箔30の裏側凹所33への樹脂等による充填材34の充填固化の際にも、十分に高温に耐えることができる。
勿論、キャンバス10に表現したい既存の立体装飾体80としては、金属光沢のあるものが多いが、そのような金属光沢のある立体装飾体80のキャンバス10上への表現手段としても適している。
【0018】
従ってこの立体絵画1によれば、キャンバス10上に表現したい既存の立体装飾体80をそのまま貼り付けることなく、またそのような既存の立体装飾体80と同じものをキャンバス10上に最初から盛り付けることなく、金属箔30によって前記既存の立体装飾体80の凹凸模様82を立体的に型取ってなる立体型取り部31による立体的表現61、皺模様35による立体的表現63を取り入れてなるキャンバス10と、その上に平面的画材50の他、立体的画材40からなる立体的表現62を少なくとも一部に施した立体絵画1を提供することができる。
加えて、変形が容易な金属箔30を既存の立体装飾体80に押し付けることで、該立体装飾体80の立体的外観を立体型取り部31として容易且つ良好に写し取ることができる。即ち、金属箔30によって立体装飾体80の望む立体模様を良好にキャンバス10上に再現することができる。
更に金属箔30は、プラスチックフィルム等と比べても強度が強く、型崩れし難いので、良好な写し取り凹凸形状を保持することができる。また耐熱温度が高いので、溶融させたプラスチック充填材を充填する場合にも焼損することがない。
また金属箔30の平面貼り付け部32は、金属箔30の変形能が高いことから、立体型取り部31の周囲に形成されても、立体型取り部31の影響が少なく、良好な平面形状を維持することができるので、平面貼り付け部32の台紙20への貼り付けが正確に且つ容易に行える。
また複数の金属箔30を用いることで、1つの立体装飾体80から複数の型を彼是と型取ることができ、種々の立体絵画1を制作することができる。
また金属箔30の平面貼り付け部32に皺模様35を背景として付加することで、皺の付き易い金属箔の性質を利用して、絵画材料等による塗り重ねや貼り重ね作業を繰り返すことなく、キャンバス10の背景にも容易に立体感を出すことができる。
【0019】
本発明の立体絵画1の制作方法を更に説明する。
制作方法の実施形態としては次のA、B、C、D、Eの工程を備えている。
図2を参照して、A工程では、キャンバス10の基板となる台紙20の上に貼り付ける金属箔30と、キャンバス10の上に表現したい既存の立体装飾体80とを用意する。
前記立体装飾体80については、金属箔30を押し付けた際に凹凸模様82を良好に型取ることができるものであれば種々のものを用いることができる。金属、セラミック、木、ガラス、硬質樹脂等、ある程度の硬さがある装飾体が対象となる。
図2に示す立体装飾体80は、金属製のものを用いた例の1つである。基盤81と、その基盤81の上面に突出してネームプレート模様82aとカップ模様82bとからなる凹凸模様82が形成されている。
勿論、立体装飾体80としては、例えば立体像のように、周囲全体が三次元形状に形成されたものであってもよく、その場合、その周囲の形状の適当な一部を金属箔30で型取りしてもよい。
【0020】
制作方法のB工程では、前記用意した立体装飾体80の全部若しくは一部に金属箔30を押し付けることで、金属箔30に立体型取り部31と、その立体型取り部31の周囲に平面貼り付け部32と、前記立体型取り部31の裏側に裏側凹所33とを形成する。
先ず図2を参照して、ロール等から、キャンバス10となるべく大きさの金属箔30を切り取る。
次に図3を参照して、金属箔30を立体装飾体80にあてがう。
なお図3においては、金属箔30の下にある立体装飾体80は実際には見えないが、かくれた立体装飾体80を点線で示す。
次に図4を参照して、金属箔30を立体装飾体80の一面側(この場合は上から)押し付け、型取りを行って、立体型取り部31を得る。
本実施形態の場合は、立体装飾体80の基盤81については型取りせずに、基盤81の上面に突出して形成された凹凸模様82、即ちネームプレート模様82aとカップ模様82bとを立体的に型取りしている。勿論、どのように型取りするかは自由で、限定されない。
以上のようにして金属箔30による立体装飾体80の型取りを行うことで、金属箔30にネームプレート模様82aとカップ模様82bとからなる立体型取り部31を転写、形成することができる。
立体型取り部31は、後で立体絵画の立体的表現61となる。
前記立体型取り部31を除く周囲は平面からなる平面貼り付け部32として構成される。
平面貼り付け部32は、後にキャンバス10を形成する際に必須の構成である。
前記立体型取り部31の裏側は裏側凹所33となる。
【0021】
図5を参照して、制作方法のC工程では、金属箔30の裏側凹所33に充填材34を流動充填し、平面貼り付け部32と面一状態になるようにして、固化する。
裏側凹所33に充填材34を入れて固化することで、立体型取り部31を補強し、且つ立体装飾体80から転写した凹凸模様が崩れないようにすることができる。また平面貼り付け部32と面一に固化することで、金属箔30の裏側に段差ができないようにしている。
前記充填材34を流動充填して固化する作業としては、いわゆるグルーガン90を用い、充填材34をグルーガン90で溶かしながら前記裏側凹所33に充填し、時間経過により固化する方法を採用することができる。
この場合において、充填材34は樹脂を用いることができる。樹脂をグルーガン90で溶かしながら裏側凹所33に充填することで、容易に面一面まで充填し、固化することができる。
【0022】
図6図7を参照して、制作方法のD工程では、金属箔30の平面貼り付け部32の裏面を裏側凹所33に充填した充填材34の裏面と共に台紙20の上に貼り付けてキャンバス10とする。
貼り付けに際しては、平面貼り付け部32の裏面と裏側凹所33に充填した充填材34の裏面とに接着剤を施し、これを台紙20に貼り付ける。
【0023】
D工程において、金属箔30を台紙20の上に貼り付ける際に、金属箔30の平面貼り付け部32に皺模様35を付加することができる。
皺模様35の付加は、接着剤を裏面に塗布した金属箔30を台紙20に貼る際に、皺が縒るようにしながら貼り付けることで導入することができる。或いは予め金属箔30の平面貼り付け部32に皺を形成しておき、この皺の形成された金属箔30を台紙20に貼ることでも付加することができる。
皺模様35を形成することで、キャンバス10の平面部に皺模様35による立体的表現63を背景として付加することができる。
【0024】
また図1を参照して、E工程として.台紙20に金属箔30が貼り付けられてなるキャンバス10対して、平面的画材50の他、立体的画材40からなる立体的表現62を施すことができる。
よって立体型取り部31と皺模様35とによる立体的表現61、63が予め施されたキャンバス10を用いて、更に通常の絵具等の平面的画材50による平面的表現70の他、プリザーブドフラワー41等の立体的画材40による立体的表現62のなされた立体絵画1を容易に制作することができる。
【0025】
実施形態に係る立体絵画の制作方法によれば、表現したい既存の立体装飾体80を、そのままキャンバス10の上に配置することなく、また立体装飾体80を1からキャンバス10上に再現することなく、表現したい既存の立体装飾体80を型取った金属箔30を利用して容易に立体絵画1を制作することが可能となる。
そして金属箔30には立体型取り部31の裏側の裏側凹所33に充填材34を充填固化することで、薄い金属箔30の立体型取り部31の強度をその後の作業にも十分に耐えるように補強することが可能となる。
加えて、立体型取り部31の周囲の平面貼り付け部32の裏面と充填固化した充填材34の裏面とを台紙20上に貼り付けることで、金属箔30からなる立体的表現61(立体型取り部31)付きの立体的なキャンバス10を現に堅固に得ることができる。
従って、そのような立体的なキャンバス10を用いることで、その後の立体絵画1の制作が非常に容易となり、また形や位置を適当に異ならしめた立体的表現61(立体型取り部31)を備えた金属箔30のキャンバス10を用いてバラエティーに富んだ立体絵画1を制作することが可能となる。
また皺の付き易い金属箔30の性質を利用して、立体絵画1の背景となるキャンバス10の表面に容易に皺模様35による立体的表現63を付加することで、通常の絵具等の平面的画材50を用いる場合においても容易、簡単に背景に立体的表現63を取り入れたものとすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明の装飾体とその制作方法は、プリザーブド植物を扱う装飾品や装飾品パーツの製造、販売分野や、プリザーブド植物を用いた作品創作に関する各種学校、教育産業の分野における産業上の利用性が高い。
【符号の説明】
【0027】
1 立体絵画
10 キャンバス
20 台紙
30 金属箔
31 立体型取り部
32 平面貼り付け部
33 裏側凹所
34 充填材
35 皺模様
40 立体的画材
41 プリザーブドフラワー
42 造花
50 平面的画材
60 立体的表現
61 立体型取り部31による立体的表現
62 立体的画材40による立体的表現
63 皺模様35による立体的表現
70 平面的表現
80 立体装飾体
81 基盤
82 凹凸模様
82a ネームプレート模様
82b カップ模様
90 グルーガン