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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024065401
(43)【公開日】2024-05-15
(54)【発明の名称】体重データ処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01G 19/44 20060101AFI20240508BHJP
【FI】
G01G19/44 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022174249
(22)【出願日】2022-10-31
(71)【出願人】
【識別番号】522426113
【氏名又は名称】来原 聡
(74)【代理人】
【識別番号】110003096
【氏名又は名称】弁理士法人第一テクニカル国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】来原 聡
(57)【要約】
【課題】空白期間が生じても、ダイエットを放棄せずに実行するモチベーションをユーザが持ち続けることができる。
【解決手段】
端末装置30に備えられたCPU35に対し、所定の頻度規則性に沿って取得された第1体重データ3により第1データ群4を生成するS3と、第1データ群4の第1平均体重データWm1を算出するS4と、最も新しい体重データの取得後、空白期間を経た後に新たに取得された第2体重データ5を、第1データ群4に加えて、第2データ群6を生成するS10と、第2データ群6の第2平均体重データWm2を算出するS11と、第2平均体重データWm2と、第3体重データ10とを比較するS13と、第1判定ステップで第3体重データ10の数値が第2平均体重データWm2の数値よりも大きいと判定されたことを契機にダイエット報知信号9を出力するS14とを実行させる体重データ処理プログラム。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
体重計により測定されたユーザの体重データについて所定の処理を行う体重データ処理装置に備えられた演算部に対し、
所定の頻度規則性に沿って前記体重計において順次取得された複数の第1体重データにより第1データ群を生成する第1データ群生成ステップと、
前記第1データ群生成ステップで生成された前記第1データ群の算術平均である第1平均体重データを算出する第1平均算出ステップと、
前記データ群に含まれる前記複数の第1体重データのうち最も新しい体重データの取得後、前記頻度規則性を満たさない空白期間を経た後に新たに前記体重計において取得された1つの第2体重データを、前記第1データ群に含まれる前記複数の第1体重データに加えて、第2データ群を生成する第2データ群生成ステップと、
前記第2データ群生成ステップで生成された前記第2データ群の算術平均である第2平均体重データを算出する第2平均算出ステップと、
前記第2平均算出ステップで算出された前記第2平均体重データと、当該第2平均体重データの比較対象となる、前記体重計において直近に取得された1つの第3体重データとを比較し、前記第3体重データの数値が前記第2平均体重データの数値よりも大きいか否かを判定する第1判定ステップと、
前記第1判定ステップで前記第3体重データの数値が前記第2平均体重データの数値よりも大きいと判定されたことを契機に、ダイエット実行の必要性を表すダイエット報知信号を出力する信号出力ステップと、
を実行させるための、体重データ処理プログラム。
【請求項2】
請求項1記載の体重データ処理プログラムにおいて、
前記演算部に対し、さらに、
前記第1体重データ、前記第2体重データ、前記第3体重データを、横軸であるx軸に時系列を取りかつ縦軸であるy軸に各体重データの大きさを取って表すグラフにより表示部上に描画可能なデータ描画ステップと、
前記データ描画ステップにより描画される、前記第2データ群に含まれる全ての前記第1体重データ及び前記第2体重データの線形近似直線である第1近似直線の傾きに対する、前記第2データ群に含まれる全ての前記第1体重データと及び前記第2体重データと前記第3体重データとの線形近似直線である第2近似直線の傾きのマイナス方向の偏差の絶対値が所定値以上であるか否かを判定する第2判定する第2判定ステップと、
を実行させ、
前記第1判定ステップで前記第3体重データの数値が前記第2平均体重データの数値以下と判定された場合であっても、前記第2判定ステップで前記偏差の絶対値が所定値未満である場合には、前記信号出力ステップにおいて前記ダイエット報知信号を出力する
ことを特徴とする体重データ処理プログラム。
【請求項3】
請求項2記載の体重データ処理プログラムにおいて、
前記信号出力ステップでは、
前記ダイエット報知信号として、前記表示部上に、ダイエット実行が必要でない場合とは異なる特別態様の警告表示を行うための表示信号を出力する
ことを特徴とする体重データ処理プログラム。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の体重データ処理プログラムにおいて、
前記体重データ処理装置は前記体重計に備えられており、
前記体重計に設けられた前記体重データ処理装置の前記演算部により実行されることを特徴とする体重データ処理プログラム。
【請求項5】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の体重データ処理プログラムにおいて、
前記体重データ処理装置は、前記体重計に通信可能に接続された端末装置に備えられており、
前記端末装置に設けられた前記体重データ処理装置の前記演算部により実行されることを特徴とする体重データ処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体重データ処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ダイエット等における体重管理のため、体重を記録しグラフ化する装置が知られている(例えば、特許文献1)。
特許文献1の図1図4、段落[0001]等には、体重計測装置1から送信された体重データに基づき体重の推移グラフを作成し、表示装置5に表示する、体重計測ダイエット装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-351830号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術の体重計測ダイエット装置を用いて、日々の体重変化を常に確認し、ダイエットに励む、いわゆるレコーディングダイエットの手法においては、例えば毎日の体重の測定に飽きが来たり、うっかりミスをして体重測定を忘れて1日でも空白期間が生じると、過去の記録との連続性がなくなって当該過去の記録の意義が失われ、ユーザが挫折感のあまりダイエット実行を放棄する恐れがある。
【0005】
本発明の目的は、空白期間が生じても、ダイエットを放棄せずに実行するモチベーションをユーザが持ち続けることができる体重データ処理プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本願発明は、体重計により測定されたユーザの体重データについて所定の処理を行う体重データ処理装置に備えられた演算部に対し、所定の頻度規則性に沿って前記体重計において順次取得された複数の第1体重データにより第1データ群を生成する第1データ群生成ステップと、前記第1データ群生成ステップで生成された前記第1データ群の算術平均である第1平均体重データを算出する第1平均算出ステップと、前記データ群に含まれる前記複数の第1体重データのうち最も新しい体重データの取得後、前記頻度規則性を満たさない空白期間を経た後に新たに前記体重計において取得された1つの第2体重データを、前記第1データ群に含まれる前記複数の第1体重データに加えて、第2データ群を生成する第2データ群生成ステップと、前記第2データ群生成ステップで生成された前記第2データ群の算術平均である第2平均体重データを算出する第2平均算出ステップと、前記第2平均算出ステップで算出された前記第2平均体重データと、当該第2平均体重データの比較対象となる、前記体重計において直近に取得された1つの第3体重データとを比較し、前記第3体重データの数値が前記第2平均体重データの数値よりも大きいか否かを判定する第1判定ステップと、前記第1判定ステップで前記第3体重データの数値が前記第2平均体重データの数値よりも大きいと判定されたことを契機に、ダイエット実行の必要性を表すダイエット報知信号を出力する信号出力ステップとを実行させるための、体重データ処理プログラムであることを特徴としている。
【0007】
本願発明においては、例えば毎日の体重の測定に飽きが来たりうっかりミスをして体重測定を忘れて空白期間が生じた場合であっても、空白期間後に新たに測定した第2体重データと空白期間前の過去の第1体重データとを合算して算術平均し、第2平均体重データが算出される。そして、最新の第3体重データを取得したら上記第2平均体重データと比較して、第2平均体重データを上回っていたらダイエットを実行すべき(既に始めていた場合はダイエットを継続すべき)ものとして、ダイエット報知信号が出力される。
【0008】
これにより、1日でも空白期間があると過去の記録との連続性がなくなって当該過去の記録の意義が失われユーザが挫折感のあまりダイエット実行を放棄する恐れのある通常のレコーディングダイエットと異なり、ユーザは、空白期間が生じてもダイエットを放棄せずに実行するモチベーションを持ち続けることができる。
【0009】
また、最新の第3体重データが第2平均体重データ以下の場合にはダイエット報知信号を出力しないようにすれば、必ずしも毎日ダイエットを行わなくてもよくなるので、苦痛、窮屈感、面倒くささ、といったユーザにとって不快な感情も緩和することができる。逆に、最新の第3体重データが第2平均体重データを上回った時に、ダイエット実行(継続)の必要性を強くユーザに訴えることができる。すなわち、日々の変化が起きにくいレコーディングダイエットと異なり、体重増減によって報知がなされたりなされなかったりするので、ユーザの一喜一憂が生じてユーザにとってのメリハリをつけることができる。
【0010】
さらに、例えば1週間、2週間、1か月、といった比較的短いスパンで見た場合にはっきりとは識別し難い体重減少挙動であっても、例えば半年、1年、数年、等の比較的長いスパンで見ると、穏やかに少しずつ減少している場合がある。本願発明ではこのような場合、その長期間にわたる多数の第1体重データの内容が加味された第2平均体重データと最新の第3体重データとが比較されることで、当該第3体重データの値は、長いスパンで見た場合には確実に以前の体重データの値よりも軽くなっていることをユーザが容易に識別できる。したがって、毎日記録することで短スパンでのみ比較しがちな通常のレコーディングダイエットとは異なり、ユーザは自己のダイエットの効果をしっかり実感することができ、これによってもダイエットを放棄せず実行するモチベーションを持ち続けることができる。
【0011】
またその際、本願発明においては長期間における平均値を算出して比較及び判定基準とすることから、毎日必ず決められた時間に記録する必要がある通常のレコーディングダイエットほどの厳格な時間的規則性は必要でない。すなわち例えば1日のうちの午後だったり夕方だったり等、体重測定の時間が多少ばらついたとしても、そのばらつきの影響は第1体重データの数の多さとそれらの平均値を用いることとの両方によって吸収され、全体としては定性的な体重増減傾向を確実に表すことができる。このような緩い規則性の許容によっても、前述のユーザにとっての窮屈感や面倒くささを緩和できて、このことがさらにモチベーションの維持にもつながる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、空白期間が生じても、ダイエットを放棄せずに実行するモチベーションをユーザが持ち続けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】体重データ処理システムの概要を説明する概念図である。
図2】体重データ処理システムの概略的なシステム構成図である。
図3】表示部上に描画される第1体重データの一例を表す図である。
図4】表示部上に描画される第2体重データの一例を表す図である。
図5】測定行動復帰の歓迎メッセージの一例を説明する図である。
図6】表示部に出力される報知信号の一例を説明する図である。
図7】CPU35により実行される各処理のフローチャートである。
図8】近似直線が描画される変形例に係るグラフの一例を表す図である。
図9】CPU35により実行される各処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態を図面を参照して説明する。
【0015】
<システム概要>
図1に体重データ処理システムの概要を説明する概念図を示す。本実施形態に係る体重データ処理システムにおいては、体重計2と、端末装置30とが通信可能に構成されている。ユーザMが体重計2により測定した体重データは、端末装置30に送信され、端末装置30により所定の処理が行われる。端末装置30は、本実施形態に係る体重データ処理装置1の一例であり、この例では、ノート型のパーソナルコンピュータが用いられている。
【0016】
<システム構成>
図2に体重データ処理システムの概略的なシステム構成図を示す。体重データ処理システムにおいて、体重計2と端末装置30とが、無線通信により互いに情報を送受可能となっている。体重計2と、端末装置30とはユーザMの自宅等、近距離範囲内に設置されていてもよいし、離れた場所に設置されていてもよい。前記無線通信としては、無線LAN等によってインターネットに接続する方法でもよいし、体重計2と端末装置30とを同期させ一対一で通信を行う方法等であってもよい。なお、この例では、無線通信を用いているが、有線通信により、通信を行っても良い。
【0017】
端末装置30は、CPU35と、メモリ36と、操作部37と、表示部38と、通信制御部40とを備える端末本体31と、体重計2に無線通信を行うためのアンテナ33とを備える。
【0018】
端末装置30は、例えばノート型又はデスクトップ型のパーソナルコンピュータや、スマートフォン等の端末である。CPU35は本実施形態に係る演算部の一例である。メモリ36はROMやRAM等であり、本実施形態に係る体重データ処理プログラムをはじめとした各種のプログラム等が記憶されている。操作部37は例えばキーボードやボタン、タッチパネル等である。表示部38は、例えばディスプレイであり、通信制御部40は、端末本体31に設置されたアンテナ33を介して体重計2との間で無線通信を行う。
【0019】
例えば操作部37を介した適宜の操作により、端末装置30において体重データ処理プログラムが起動されると、体重データ処理プログラムはCPU35に対して所定の各処理を実行させる。
【0020】
体重計2は、デジタル体重計であることが好ましく、測定されたユーザMの体重データを、無線通信等により端末装置30に送信するデータ通信機能を備える。このような体重計2は公知の市販品を用いることができる。
【0021】
また、上述の例に限られず、体重データ処理装置1は体重計2に一体的に組み込まれていても良い。その場合、体重計2は演算部としてのCPU、表示部としてのディスプレイ、体重データ処理プログラムが記憶された記憶部を備え、前記体重データ処理プログラムに基づき、体重計2のCPUが各処理を実行するとともに、所定の体重データが描画されたグラフや報知信号等が体重計2のディスプレイに表示される。
【0022】
<表示部38に表示される画面例>
図3に、表示部38上に描画される第1体重データ3の一例を表す図を示す。ユーザMは、所定の頻度規則性に沿って、例えば一日一回、午前中に、体重計2にて体重を測定する。なお、前記所定の頻度規則性に例えば、一週間に一度程度の割合で午前中でなく午後に体重を測定したとしても、前記所定の頻度規則性を満たす、とする程度の許容性を持たせていてもよい。
【0023】
前記所定の頻度規則性に沿って体重計2において測定され、順次取得された体重の値は、複数の第1体重データ3(第1データ群4)として、端末装置30の表示部38に、グラフ化されて表示される。図3において、横軸であるx軸に時系列(この図では、ダイエット開始後の経過日数)を取り、縦軸であるy軸に各体重データの大きさを取って表すグラフに、各第1体重データ3が描画され、表示部38に表示されている。この例では、ダイエット開始後から400日間分、ユーザMが毎日測定した、400個の第1体重データ3が描画されることになるが、図の煩雑を避けるため、この図では、第1体重データ3の数を実際より少なくして適宜描画する。
【0024】
なお、この図において、最も直近に取得された第3体重データ10は、最新の第1体重データ3、すなわち400日目に測定された第1体重データ3′となる。
【0025】
グラフの縦軸に表示される基準値Wは、ユーザMが自己の体重の基準値として事前に入力する、任意の値である。グラフの縦軸に表示される第1平均体重データWmは、第1データ群4(1~400日目までの400個の第1体重データ3)の算術平均値となっている。
【0026】
図4に、表示部38上に描画される第2体重データ5の一例を表す図を示す。ユーザMは、体重計2により400日目の第1体重データ3′を測定した後、29日間、体重を測定せず、30日目(ダイエット開始経過後から430日目)に、体重計2により体重を測定した。この時新たに取得される、直近の第3体重データ10は、第1体重データ3′の取得後、前記頻度規則性を満たさない空白期間を経た後、新たに体重計2において取得された第2体重データ5として、表示部38上の上記グラフに描画される。
【0027】
なお、グラフの縦軸に表示される第2平均体重データWmは、第1データ群4に含まれる400個の第1体重データ3に1個の第2体重データ5を加えた第2データ群6の、算術平均値となっている。
【0028】
なお、空白期間を経て、体重計2により第2体重データ5を測定した場合、端末装置30の表示部38には、図5に示すような、「おかえりなさい」等の測定行動復帰の歓迎メッセージ7が表示され、第2平均体重データWmの算出結果等が併せて表示される。歓迎メッセージ7は、図4に示すグラフが表示された画面とは別の画面(ウインドウ)で表示されてもよいし、図4のグラフが表示された画面中に、ポップアップメッセージ等で表示されてもよい。
【0029】
体重計2において直近に取得された第3体重データ10(この例では、第2体重データ5が、第3体重データに相当する)の数値が、第2平均体重データWmの数値よりも小さかった場合には、図6(a)に示すような、ダイエットは必ずしも必要でない旨の報知信号8が表示される。なお、報知信号8は、ダイエットがうまくいっていることを意味するものであり、ユーザMがさらにダイエットを継続したい場合は、これを応援するものである。図6(a)において、報知信号8には第3体重データ10の計測結果である「44.85kg」及び第2平均体重データWmとの比較結果である「平均値よりも軽い」が、黒色文字で表示され、笑顔の顔文字による「やったね」というメッセージが含まれる。顔文字のかわりにマスコットキャラクター等を表示しても良い。
【0030】
例えば図4において、第3体重データ10(第2体重データ5)は、350日目に測定された第1体重データ3aや、390日目に測定された第1体重データ3bを上回っているため、ユーザMは、ダイエットが成功しているのかいないのかわからない、又はダイエットが失敗したという懸念を抱くが、報知信号8等により第2平均体重データWmと比較することで、ダイエットは成功していることを認識することができる。
【0031】
体重計2において直近に取得された第3体重データ10(この例では、第2体重データ5)の値が、第2平均体重データWmの数値よりも大きかった場合、図6(b)に示されるような、ダイエット実行の必要性を表すダイエット報知信号9が、表示部38に表示される。ダイエット報知信号9には、ダイエット実行が必要でない場合の報知信号8とは異なる特別態様の警告表示が含まれる。前記特別態様の警告表示としては、例えば体重の数値やメッセージ、吹き出し等の色を報知信号8と異なる色や形状としたり、アイコンやマスコットの表情や動きを報知信号8と異なるものとすることが挙げられる。
【0032】
図6(b)に示すダイエット報知信号9は、第3体重データ10の計測結果である「44.90kg」及び第2平均体重データWmとの比較結果である「平均値を上回っている」が、黒色のかわりに例えば赤色(この図では灰色となっている)文字で表示され、笑顔のかわりに、焦り顔の顔文字による「ヤバそう!ダイエットしよう!」というメッセージが表示されている。またメッセージの吹き出しは黄色(この図では薄い灰色となっている)で表示されている。
【0033】
<CPU35による処理>
図7に端末装置30のCPU35により実行される各処理のフローチャートを示す。以下の処理は、例えば端末装置30において体重データ処理プログラムが起動されることにより、開始される。
【0034】
まずS1において、端末装置30のCPU35は、体重計2において新しく測定されたユーザの体重データである、第3体重データ10を受信したか否かを判定する。第3体重データ10を受信したと判定した場合、S2に移行する。新しく体重データを受信したと判定しなかった場合、S1に戻る。
【0035】
S2において、CPU35は、第3体重データ10の測定日時と、第3体重データ10の1つ前(例えば、前日)に受信した体重データの測定日時との間に空白期間が生じていないかを判定する。前記空白期間としては、例えば、24時間以上等に、設定されている。空白期間が生じていると判定した場合、S9に移行する。空白期間が生じていると判定しなかった場合、S3に移行する。
【0036】
S3において、CPU35は、第3体重データ10を、最新の第1体重データ3′として、前日までに受信した複数の第1体重データ3に加えて、新たな第1データ群4を生成する。このS3でCPU35が実行する処理が第1データ群生成ステップの一例である。
【0037】
次いで、S4において、CPU35は、S3で生成された第1データ群4の算術平均である第1平均体重データWm1を算出する。このS4において、CPU35が実行する処理が第1平均算出ステップの一例である。
【0038】
次いで、S5において、CPU35は、S3で生成された第1データ群4と、S4で算出された第1平均体重データWm1とを図3で説明したようなグラフに描画して、表示部38に表示する。
【0039】
次いで、S6において、CPU35は、第3体重データ10の値が、S4で算出された第1平均体重データWm1の値を上回っているか否かを判定する。第3体重データ10の値が第1平均体重データWm1の値を上回っていると判定した場合、S7に移行する。第3体重データ10の値が第1平均体重データWm1の値を上回っていると判定しなかった場合、S8に移行する。
【0040】
S7において、CPU35は、ダイエットが必要である旨のダイエット報知信号9を、端末装置30の表示部38に出力する。
【0041】
S8において、CPU35は、ダイエットが(必ずしも)必要でない旨の報知信号8を、端末装置30の表示部38に出力する。
【0042】
S9において、CPU35は、図5で説明したような、測定行動復帰の歓迎メッセージ7を、端末装置30の表示部38に表示する。
【0043】
次いで、S10において、CPU35は、第3体重データ10を、第2体重データ5とし、空白期間前に受信した複数の第1体重データ3(第1データ群4)に第2体重データ5を加えた、第2データ群6を生成する。このS10でCPU35が実行する処理が第2データ群生成ステップの一例である。
【0044】
次いで、S11において、CPU35は、S10で生成された第2データ群6の算術平均である第2平均体重データWm2を算出する。すなわち、例えば、第2データ群6が400個の第1体重データ3と、1個の第2データ5とを含む場合、これらの全合計値を401で割る。このS11において、CPU35が実行する処理が第2平均算出ステップの一例である。
【0045】
次いで、S12において、CPU35は、S10で生成された第2データ群6と、S11で算出された第2平均体重データWm2とを図4で説明したようなグラフに描画して、表示部38に表示する。このS12でCPU35が実行する処理が、データ描画ステップの一例である。
【0046】
次いで、S13において、CPU35は、第3体重データ10(第2体重データ5)の値が、S11で算出された第2平均体重データWm2の値を上回っているか否かを判定する。第3体重データ10(第2体重データ5)の値が第2平均体重データWm2の値より上回っていると判定した場合、S14に移行する。第2体重データ5の値が第2平均体重データWm2の値を上回っていると判定しなかった場合、S15に移行する。このS13において、CPU35が実行する処理が、第1判定ステップの一例である。
【0047】
S14において、CPU35は、S13における判定を契機として、図6(b)にて説明したような、ダイエットが必要である旨の報知信号9を、端末装置30の表示部38に出力する。このS14で、CPU35が実行する処理が、信号出力ステップの一例である。
【0048】
S15において、CPU35は、図6(a)にて説明したような、ダイエットが(必ずしも)必要でない旨の報知信号8を、端末装置30の表示部38に出力する。
【0049】
<実施形態の効果>
本実施形態においては、例えば毎日の体重の測定に飽きが来たりうっかりミスをして体重測定を忘れて空白期間が生じた場合であっても、空白期間後に新たに測定した第2体重データ5と、空白期間前の過去の複数の第1体重データ3とを合算して算術平均し、第2平均体重データWm2が算出される。そして、最新の第3体重データ10(本実施形態においては、第2体重データ5)を上記第2平均体重データWm2と比較して、第2平均体重データWm2を上回っていたらダイエットを実行すべき(既に始めていた場合はダイエットを継続すべき)ものとして、ダイエット報知信号9が出力される。
【0050】
これにより、1日でも空白期間があると過去の記録との連続性がなくなって当該過去の記録の意義が失われユーザが挫折感のあまりダイエット実行を放棄する恐れのある通常のレコーディングダイエットと異なり、ユーザは、空白期間が生じてもダイエットを放棄せずに実行するモチベーションを持ち続けることができる。
【0051】
また、最新の第3体重データ10が第2平均体重データWm2以下の場合にはダイエット報知信号を出力しないようにすれば、必ずしも毎日ダイエットを行わなくてもよくなるので、苦痛、窮屈感、面倒くささ、といったユーザにとって不快な感情も緩和することができる。逆に、最新の第3体重データが第2平均体重データWm2を上回った時に、ダイエット実行(継続)の必要性を強くユーザに訴えることができる。すなわち、日々の変化が起きにくいレコーディングダイエットと異なり、体重増減によってダイエット実行の報知がなされたりなされなかったりするので、ユーザの一喜一憂が生じてユーザにとってのメリハリをつけることができる。
【0052】
さらに、例えば1週間、2週間、1か月、といった比較的短いスパンで見た場合にはっきりとは識別し難い体重減少挙動であっても、例えば半年、1年、数年、等の比較的長いスパンで見ると、穏やかに少しずつ減少している場合がある。本願発明ではこのような場合、その長期間にわたる多数の第1体重データ310の内容が加味された第2平均体重データWm2と最新の第3体重データ10とが比較されることで、当該第3体重データ10の値は、長いスパンで見た場合には確実に以前の体重データの値よりも軽くなっていることをユーザが容易に識別できる。したがって、毎日記録することで短スパンでのみ比較しがちな通常のレコーディングダイエットとは異なり、ユーザは自己のダイエットの効果をしっかり実感することができ、これによってもダイエットを放棄せず実行するモチベーションを持ち続けることができる。
【0053】
またその際、本実施形態においては長期間における平均値を算出して比較及び判定基準とすることから、毎日必ず決められた時間に記録する必要がある通常のレコーディングダイエットほどの厳格な時間的規則性は必要でない。すなわち例えば1日のうちの午後だったり夕方だったり等、体重測定の時間が多少ばらついたとしても、そのばらつきの影響は第1体重データ3の数の多さとそれらの平均値を用いることとの両方によって吸収され、全体としては定性的な体重増減傾向を確実に表すことができる。このような緩い規則性の許容によっても、前述のユーザにとっての窮屈感や面倒くささを緩和できて、このことがさらにモチベーションの維持にもつながる。
【0054】
また、本実施形態では特に、ダイエット報知信号9として、ダイエット実行が必要でない場合とは異なる特別態様の表示信号を出力することにより、体重が増加している又は減少度合いが芳しくなくダイエットの実行(継続)が必要であることをユーザに強くアピールすることができる。
【0055】
また、本実施形態では特に、体重データ処理装置1が体重計2に通信可能に接続された端末装置30に備えられているため、体重計2に接続された端末装置30において各種平均体重データ等の算出を行い、ダイエットの必要性の報知を行う。これにより、体重計2としては、データ通信機能がある汎用のものを用いることができる。また、パソコンやスマートフォン等の端末における既存のアプリケーションの機能の一部を利用することで、新たなソフトウェアを用いることなく上記平均体重データの算出や報知等を行うことも可能となる。
【0056】
また、本実施形態では特に、体重データ処理装置1が体重計2に備えられる場合には、体重計2自体において各種平均体重データ等の算出を行い、ダイエットの必要性の報知を行うことができるので、別途パソコンやスマートフォン等の端末を接続して用いる必要がない。
なお、以上においては、第2体重データと第3体重データとが同一である場合を例にとって説明したが、後述の変形例と同様、第3体重データとして、第2体重データとは異なるデータ(別の日に測定したデータ)を用いてもよい。
【0057】
<変形例>
なお、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。以下、そのような変形例を順を追って説明する。
【0058】
(1)近似直線が描画される場合
図8に、本変形例に係る近似直線が表示されるグラフの一例を表す図を示す。
図8において、x軸に時系列を取り、y軸に各体重データの大きさを取って表すグラフにより、第1体重データ3、第2体重データ5、及び第2体重データ5の測定後に新しく測定された第3体重データ10が、表示部38上に描画されている。この例では、430日目に第2体重データ5が測定された翌日の431日目に、第3体重データ10が測定されている。
【0059】
本変形例においては、前記グラフにおいて、第2データ群6に含まれる全ての第1体重データ3及び第2体重データ5の線形近似直線である第1近似直線T1が描画されている。また、前記グラフにはまた、第2データ群6に含まれる全ての第1体重データ3及び第2体重データ5と、第3体重データ10との線形近似直線である第2近似直線T2が描画されている。この図では、第1近似直線T1は例えばy=ax+bで表される直線であり、第2近似直線T2は例えばy=a′x+b′で表される直線である。
【0060】
本変形例においては、第1近似直線T1の傾きaに対する、第2近似直線T2の傾きa′のマイナス方向の偏差の絶対値、すなわち(a′-a)の絶対値(図8の角度θに相当)が所定の閾値未満の場合には、第3体重データ10が第2平均体重データWm2以下である場合にも、表示部38に、ダイエット報知信号9を出力する。
【0061】
すなわち、第1近似直線T1及び第2近似直線T2が右下がりである場合、a′及びaは共にマイナスの数値となるが、第2近似直線T2の傾きの下がり度合いと、第1近似直線T2の傾きの下がり度合いとの差が、所定の閾値以上でない場合には、本日の体重データ値(この例では、第3体重データ10)が、昨日までの体重データの平均値(この例では、第2平均体重データWm2)以下となっている場合であっても、体重の減少率が十分でないとして、ダイエットの実行をユーザに促すものである。なお、前記閾値は0であってもよい。
【0062】
図9に本変形例において端末装置30のCPU35により実行される各処理のフローチャートを示す。
【0063】
図7と同様のS1を経たのち、S2において、受信した第3体重データ10の測定日時と、1つ前に受信した体重データの測定日時との間に所定の空白期間が生じていなかったと判定する場合、処理はS16に移行する。
【0064】
S16において、CPU35は、第3体重データ10の1つ前に受信した体重データ(図8の例では、第2体重データ5)の測定日時と、当該体重データ(第2体重データ5)の1つ前に受信した体重データの測定日時との間に、所定の空白期間が生じていたか否かを判定する。所定の空白期間が生じていたと判定する場合、S10′に移行する。所定の空白期間が生じていたと判定しなかった場合、S3に移行する。
【0065】
図7のS10に対応するS10′において、CPU35は、処理がS16を経由してきた場合には、第3体重データ10の1つ前に受信した体重データを第2体重データ5として、過去に取得した複数の第1体重データ3に加えた第2データ群6を作成する。
【0066】
図7のS12に対応するS12′において、CPU35は図8に示したように、第1近似直線T1及び第2近似直線T2をグラフに描画する。
【0067】
また、図7のS13に対応するS13′において、CPU35が、第3体重データ10の値が第2平均体重データWm2の値を上回っていると判定しなかった場合、処理はS17に移行する。このS13′において、CPU35が実行する処理もまた、第1判定ステップの一例である。
【0068】
S17において、CPU35は、S10で生成した第2データ群6に含まれる全ての第1体重データ3の線形近似直線である第1近似直線T1の傾きaを算出する。
【0069】
次いで、S18において、CPU35は、S10で生成した第2データ群6に含まれる全ての第1体重データ3と第2体重データ5との線形近似直線である第2近似直線T2の傾きa′を算出する。
【0070】
次いで、S19において、CPU35は、S17で算出した傾きaに対するS18で算出した傾きa′のマイナス方向の偏差の絶対値|a′-a|を算出し、前記絶対値が所定の閾値以上か否かを判定する。前記絶対値が所定の閾値以上と判定した場合には、S15に移行する。前記絶対値が所定の閾値以上と判定しなかった場合には、S14に移行する。このS19において、CPU35が実行する処理が、第2判定ステップの一例である。これ以外の処理は、図7の説明と同様のため、省略する。
【0071】
<変形例の効果>
本変形例によれば、最新の第3体重データ10と第2平均体重データWm2との単純なデータ同士の大小比較だけではなく、グラフ上の2つの近似直線の傾きの変化程度によってもダイエットの必要性の判定を行う。
これにより、現在の体重増減挙動に基づきダイエットの実行(継続)が必要であるか否かを、さらに精密に判定してユーザに知らせることができる。
なお、上記においては、第2体重データとは別の第3体重データ(別の日に測定したデータ)を用いる場合を例にとって説明したが、前述の実施形態と同様、第3体重データとして、第2体重データと同一のデータを用いてもよい。
【0072】
(2)その他
なお、以上の説明において、外観上の寸法や大きさが「同一」「等しい」「異なる」等の記載がある場合は、当該記載は厳密な意味ではない。すなわち、それら「同一」「等しい」「異なる」とは、設計上、製造上の公差、誤差が許容され、「実質的に同一」「実質的に等しい」「実質的に異なる」という意味である。
【0073】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0074】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0075】
1 体重データ処理装置
2 体重計
3 第1体重データ
4 第1データ群
5 第2体重データ
6 第2データ群
7 測定行動復帰の歓迎メッセージ
8 報知信号
9 ダイエット報知信号
10 第3体重データ
30 端末装置(体重データ処理装置の一例)
31 端末本体
33 アンテナ
35 CPU(演算部の一例)
36 メモリ
37 操作部
38 表示部
40 通信制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9