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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024065403
(43)【公開日】2024-05-15
(54)【発明の名称】検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01B 21/00 20060101AFI20240508BHJP
   H02G 1/06 20060101ALI20240508BHJP
   H02G 9/06 20060101ALI20240508BHJP
   F16L 21/04 20060101ALN20240508BHJP
【FI】
G01B21/00 A
H02G1/06
H02G9/06
F16L21/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022174251
(22)【出願日】2022-10-31
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】100162031
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 豊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100175721
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 秀文
(72)【発明者】
【氏名】伊達 政滋
(72)【発明者】
【氏名】助代 洋一
(72)【発明者】
【氏名】玉置 貴康
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼木 裕介
【テーマコード(参考)】
2F069
3H015
5G352
5G369
【Fターム(参考)】
2F069AA01
2F069CC02
2F069GG07
2F069JJ04
2F069MM01
3H015CA01
3H015CA06
3H015CA14
5G352CA04
5G352CA08
5G352CG01
5G369AA16
5G369BA04
5G369DC08
(57)【要約】
【課題】検査負担を低減することが可能な検査装置を提供する。
【解決手段】第一の管60と第二の管70との接合部に用いられるゴム輪62の位置を確認するための検査装置1であって、第二の管70の外周面を、周方向に走行可能な走行体10と、走行体10に設けられ、ゴム輪62の位置を検出可能な検出体30と、を具備し、走行体10は、磁力によって第二の管70の外周面に吸着可能であると共に、モータ17の駆動力によって第二の管70の外周面を走行する駆動輪14と、駆動輪14の外周に設けられる磁性体入りの弾性部材15と、を具備する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の管と他方の管との接合部に用いられるゴム輪の位置を確認するための検査装置であって、
前記他方の管の外周面を、周方向に走行可能な走行体と、
前記走行体に設けられ、前記ゴム輪の位置を検出可能な検出体と、
を具備し、
前記走行体は、
磁力によって前記他方の管の外周面に吸着可能であると共に、駆動源の駆動力によって前記他方の管の外周面を走行する駆動輪と、
前記駆動輪の外周に設けられる磁性体入りの弾性部材と、
を具備する、
検査装置。
【請求項2】
前記走行体は、
磁力によって前記他方の管の外周面に吸着可能な第一吸着輪を具備する、
請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
前記第一吸着輪は、
前記駆動輪と同じ、又は、前記駆動輪よりも小さい直径となるように形成され、前記駆動輪よりも前記一方の管側に配置される、
請求項2に記載の検査装置。
【請求項4】
前記走行体は、
走行体本体部と、
前記駆動輪及び前記第一吸着輪を支持すると共に、前記走行体本体部に対して揺動可能な車輪支持部と、
前記車輪支持部を、前記駆動輪が前記他方の管の外周面に向かって押し付けられる方向に付勢する付勢部と、
を具備する、
請求項3に記載の検査装置。
【請求項5】
前記一方の管の端面に吸着する吸着部を具備する、
請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の検査装置。
【請求項6】
前記吸着部は、
磁力によって前記一方の管の端面に吸着可能な第二吸着輪により構成される、
請求項5に記載の検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの管の接合部に用いられるゴム輪の位置を確認するための検査装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、2つの管の接合部に用いられるゴム輪の位置を確認するための検査装置の技術は公知となっている。例えば、特許文献1に記載の如くである。
【0003】
特許文献1に記載の確認装置は、一方の管の内周面と他方の管の外周面との間に圧縮されるゴム輪の位置を確認するためのものである。前記確認装置は、一方の管と他方の管との間に差し込まれる挿入片の挿入量に応じて、発光ダイオードの発光色が変化するように構成される。作業者は、前記挿入片をゴム輪に当接させた際の発光ダイオードの発光色を視認することによって、ゴム輪の位置を確認することができる。
【0004】
ここで、ゴム輪の位置を確認する場合、管の周方向に沿った複数の位置で確認装置による検査を行うことが望ましい。しかしながら、地中に敷設されている管の作業スペースには限りがあるため、管の周方向の複数個所を検査する際の作業負担が大きい点で改善の余地があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許5312297号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示の一態様は、以上の如き状況を鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、検査負担を低減することが可能な検査装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
本開示の一態様においては、一方の管と他方の管との接合部に用いられるゴム輪の位置を確認するための検査装置であって、前記他方の管の外周面を、周方向に走行可能な走行体と、前記走行体に設けられ、前記ゴム輪の位置を検出可能な検出体と、を具備し、前記走行体は、磁力によって前記他方の管の外周面に吸着可能であると共に、駆動源の駆動力によって前記他方の管の外周面を走行する駆動輪と、前記駆動輪の外周に設けられる磁性体入りの弾性部材と、を具備するものである。
本開示の一態様によれば、検査負担を低減することができる。
【0009】
本開示の一態様においては、前記走行体は、磁力によって前記他方の管の外周面に吸着可能な第一吸着輪を具備するものである。
本開示の一態様によれば、第一吸着輪を設けることで、管の外周面への吸着力を向上させることができる。
【0010】
本開示の一態様においては、前記第一吸着輪は、前記駆動輪と同じ、又は、前記駆動輪よりも小さい直径となるように形成され、前記駆動輪よりも前記一方の管側に配置されるものである。
本開示の一態様によれば、検査装置を、一方の管の端面に追従させ易くすることができる。
【0011】
本開示の一態様においては、前記走行体は、走行体本体部と、前記駆動輪及び前記第一吸着輪を支持すると共に、前記走行体本体部に対して揺動可能な車輪支持部と、前記車輪支持部を、前記駆動輪が前記他方の管の外周面に向かって押し付けられる方向に付勢する付勢部と、を具備するものである。
本開示の一態様によれば、駆動輪によるグリップ力を向上させることができる。
【0012】
本開示の一態様においては、前記一方の管の端面に吸着する吸着部を具備するものである。
本開示の一態様によれば、検査装置を、一方の管の端面に追従させ易くすることができる。
【0013】
本開示の一態様においては、前記吸着部は、磁力によって前記一方の管の端面に吸着可能な第二吸着輪により構成されるものである。
本開示の一態様によれば、検査装置を、一方の管の端面に滑らかに追従させることができる。
【発明の効果】
【0014】
本開示の一態様によれば、検査負担を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係る管を示す断面図。
図2】本発明の一実施形態に係る検査装置を示す斜視図。
図3】同じく、側面図。
図4】同じく、底面図。
図5】同じく、背面図。
図6】A-A断面図。
図7】ゴム輪の位置の確認作業における検査装置、第一の管及び第二の管を示す側面一部断面図。
図8】同じく、背面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下では、図中の矢印U、矢印D、矢印F、矢印B、矢印L及び矢印Rで示した方向を、それぞれ上方向、下方向、前方向、後方向、左方向及び右方向と定義して説明を行う。
【0017】
以下では、本発明の一実施形態に係る検査装置1について説明する。検査装置1は、2つの管60・70の接合部に用いられるゴム輪62の位置を確認するためのものである(図7参照)。以下ではまず図1を参照し、接合部の一例について説明する。
【0018】
図1には、2つの管60・70を接合する管継手50(接合部)が記載される。管継手50は、第一の管60の受口61と、第二の管70の挿口71とによって構成される。
【0019】
第一の管60及び第二の管70は、軸心方向を互いに略同一方向(図1では前後方向)へ向けた略円筒状に形成される。第一の管60及び第二の管70は、互いに軸心方向に並んで配置される。第一の管60及び第二の管70は、それぞれ磁性体金属(例えば鉄)によって構成される。本実施形態では、第一の管60及び第二の管70は、水道水を流通させるための水道管であり、地下に敷設される。なお、第一の管60及び第二の管70の用途は、本実施形態(水道水の流通)に限定されるものではない。例えば、第一の管60及び第二の管70は、農業用水、下水等を流通させるものであってもよい。以下、第一の管60に形成される受口61、及び第二の管70に形成される挿口71について説明する。
【0020】
受口61は、第二の管70を受けるための部分である。受口61は、第一の管60の後端部(第二の管70側の端部)に形成される。受口61は、挿口71よりも一回り大きくなるように形成される。受口61は、フランジ部61a、シール溝61b及びロックリング収納溝61cを具備する。
【0021】
フランジ部61aは、第一の管60の外周面から径方向外側に突出するように形成される。本実施形態では、第一の管60の端面60aは、このフランジ部61aの端面(フランジ面)である。
【0022】
シール溝61bは、後述するゴム輪62を取り付けるための溝である。シール溝61bは、受口61の内周に形成される。シール溝61bは、受口61の周方向に沿った略円環状に形成される。
【0023】
ロックリング収納溝61cは、後述するロックリング63を取り付けるための溝である。ロックリング収納溝61cは、シール溝61bよりも前側(第一の管60の奥側)に形成される。ロックリング収納溝61cは、受口61の周方向に沿った略円環状に形成される。
【0024】
受口61には、ゴム輪62及びロックリング63が設けられる。ゴム輪62は、受口61の内周面と挿口71の外周面との間をシールするものである。ゴム輪62は、略円環状に形成される。ゴム輪62は、ゴム等の弾性体によって構成される。ゴム輪62は、ロックリング収納溝61cに嵌め合わされるヒール部62aと、受口61の内周面と挿口71の外周面との間で圧縮されるバルブ部62bと、を具備する。
【0025】
ロックリング63は、第二の管70が受口61から抜けるのを防止するためのものである。ロックリング63は、周方向の一箇所で分割された一つ割りの略リング状に形成される。
【0026】
挿口71は、受口61に挿入される部分である。挿口71は、第二の管70の前端部(第一の管60側の端部)に形成される。挿口71は、突部71aを具備する。突部71aは、挿口71の外周において突出するように形成される部分である。突部71aは、挿口71の周方向に沿った略円環状に形成される。
【0027】
第二の管70の挿口71は、第一の管60の受口61に挿入される。この際突部71aは、ゴム輪62及びロックリング63の内側を通過して、ロックリング63よりも受口61の奥側に配置される。こうして挿口71が受口61に挿入されることによって、受口61の内周面と挿口71の外周面との間でゴム輪62(バルブ部62b)が圧縮され、受口61の内周面と挿口71の外周面とがシールされる。
【0028】
また、受口61に挿口71が挿入された状態において、第一の管60と第二の管70とが互いに離間する方向へ相対移動すると、突部71aは、ロックリング63と係合する。このように、管継手50は、突部71aを利用して、第一の管60(受口61)から第二の管70(挿口71)が離脱するのを防止することができる。
【0029】
ここで、挿口71が受口61に挿入される際に、誤ってゴム輪62が受口61の奥側に押し込まれた場合、ゴム輪62がシール溝61bから脱落するおそれがある。ゴム輪62が脱落すると水漏れが生じるおそれがあるため、挿口71が受口61に挿入された後で、ゴム輪62の位置(脱落の発生有無)を確認するための確認作業が行われる。
【0030】
本実施形態の検査装置1は、この確認作業を行うためのものである。以下、検査装置1の構成について説明する。図2から図4に示すように、検査装置1は、走行体10、追従体20及び検出体30を具備する。
【0031】
走行体10は、第二の管70(挿口71が形成される管)の外周面を周方向に走行するためのものである。走行体10は、走行体本体部11、車輪支持部12、磁力発生部13、駆動輪14、弾性部材15、吸着輪16、モータ17及びバネ18を具備する。
【0032】
走行体本体部11は、各種部材(車輪支持部12等)が取り付けられる部分である。図5及び図6に示すように、走行体本体部11は、後述する車輪支持部12が取り付けられる第一部材11a、及び後述する追従体20等が取り付けられる第二部材11bを具備する。第二部材11bは、第一部材11aから前方へ延出するように形成される。第二部材11bは、第一引っ掛け部11c、第二引っ掛け部11d、ガイド部11e及びキャスタ11fを具備する。
【0033】
第一引っ掛け部11cは、後述するバネ18を引っ掛けるための部分である。本実施形態の第一引っ掛け部11cは、第二部材11bを前後に貫通する貫通孔によって構成される。なお図2図5及び図8では、バネ18の記載を省略している。
【0034】
図4及び図6に示す第二引っ掛け部11dは、後述する検出体30のバネ33を引っ掛けるための部分である。本実施形態の第二引っ掛け部11dは、第二部材11bから所定方向(本実施形態では右方)に突出する突出部によって構成される。
【0035】
ガイド部11eは、後述する検出体30の移動を案内するための部分である。本実施形態のガイド部11eは、前後に延びるレールによって構成される。
【0036】
図2図4及び図5に示すキャスタ11fは、第二の管70の外周面を走行するためのものである。キャスタ11fは、第二部材11bに左右一対設けられる。左右一対のキャスタ11fは、それぞれ前後方向を回転軸方向として、第二の管70の外周面に対して転動することができる。これによってキャスタ11fは、第二の管70の外周面を、当該第二の管70の周方向に沿って走行することができる。
【0037】
図2図3及び図5に示す車輪支持部12は、駆動輪14及び吸着輪16を支持するための部分である。車輪支持部12は、略左右方向に延びる揺動軸12aを介して走行体本体部11(第一部材11a)に揺動可能に取り付けられる。車輪支持部12は、走行体本体部11に左右一対設けられる。図3から図5に示すように、左右一対の車輪支持部12は、それぞれ引っ掛け部12b及びモータ支持部12cを具備する。
【0038】
引っ掛け部12bは、バネ18を引っ掛けるための部分である。本実施形態の引っ掛け部12bは、車輪支持部12から所定方向に突出する突出部(ボルト)によって構成される。引っ掛け部12bは、互いに間隔をあけて2つ設けられる。
【0039】
モータ支持部12cは、後述するモータ17を支持するための部分である。モータ支持部12cは、車輪支持部12の後端部に設けられる。
【0040】
図2から図4に示す磁力発生部13は、磁力を発生させるための部分である。磁力発生部13は、操作部13aを操作することによって、磁力を発生する動作状態と、磁力を発生しない停止状態とを切替可能に構成される。磁力発生部13は、左右一対の車輪支持部12にそれぞれ固定される。
【0041】
駆動輪14は、第二の管70の外周面を走行するためのものである。本実施形態では、駆動輪14は、磁性体金属(例えば鉄)によって構成される。駆動輪14は、後述する吸着輪16と同じ直径となるように形成される。駆動輪14は、磁力発生部13を介して、左右一対の車輪支持部12にそれぞれ支持される。左右一対の駆動輪14は、それぞれ前後方向を回転軸方向として、第二の管70の外周面に対して転動することができる。これによって左右一対の駆動輪14は、第二の管70の外周面を、当該第二の管70の周方向に沿って走行することができる。また左右一対の駆動輪14は、磁力発生部13で発生される磁力により磁化されて、第二の管70の外周面に吸着することができる。
【0042】
弾性部材15は、駆動輪14のグリップ力を向上させるためのものである。図2に示す弾性部材15は、磁性体(本実施形態では鉄粉)入りのシートによって構成される。弾性部材15は、駆動輪14の外周面に貼り付けられる。これによって駆動輪14は、比較的高い(例えば吸着輪16よりも高い)グリップ力を有するように構成される。弾性部材15が貼り付けられた状態の駆動輪14の直径は、吸着輪16よりも大きくなる。
【0043】
吸着輪16は、第二の管70の外周面に吸着するためのものである。吸着輪16は、磁性体金属(例えば鉄)によって構成される。吸着輪16は、左右一対の磁力発生部13を介して、左右一対の車輪支持部12にそれぞれ支持される。吸着輪16は、前後方向を回転軸方向として回転可能に構成される。また吸着輪16は、磁力発生部13を挟んで駆動輪14よりも前側(第一の管60側)に配置される。
【0044】
吸着輪16は、磁力発生部13で発生される磁力により磁化されて、第二の管70の外周面に吸着することができる。また駆動輪14も、磁力発生部13で発生される磁力により磁化されて前記外周面に吸着することができる。これによって検査装置1は、自重により第二の管70の外周面から脱落するのを防止することができる。
【0045】
モータ17は、駆動輪14を駆動させるための駆動源である。モータ17は、モータ支持部12cを介して、左右一対の車輪支持部12にそれぞれ固定される。図3及び図4に示すモータ17の駆動軸17aは、駆動輪14に連結される。モータ17は、所定の電源と接続され、当該電源からの電力供給によって駆動軸17aを回転可能に構成される。
【0046】
バネ18は、駆動輪14を第二の管70の外周面に向かって付勢するためのものである。バネ18は1つの駆動輪14に対して2つ設けられる。2つのバネ18の一端部は、走行体本体部11の第一引っ掛け部11cにそれぞれ引っ掛けられる。またバネ18の他端部は、前後の引っ掛け部12bにそれぞれ引っ掛けられる。
【0047】
本実施形態のバネ18は、図3において、揺動軸12aを中心に駆動輪14が時計回り方向へ揺動するように、車輪支持部12を付勢する。これによってバネ18は、駆動輪14を第二の管70の外周面に向かって付勢することができる。なおバネ18は、駆動輪14を前記外周面に向かって付勢可能であればよく、バネ18の取付位置及び付勢方向は本実施形態に限定されるものではない。
【0048】
図2から図4に示す追従体20は、走行体10の走行時に、第一の管60(受口61が形成される管)の端面60aに追従するものである。追従体20は、追従体本体部21、磁力発生部22及びローラ23を具備する。
【0049】
追従体本体部21は、追従体20の主たる構造体を成す部分である。追従体本体部21は、走行体本体部11の第二部材11b(吸着輪16よりも前方)に取り付けられる。
【0050】
磁力発生部22は、磁力を発生させるための部分である。磁力発生部22は、操作部22aを操作することによって、磁力を発生する動作状態と、磁力を発生しない停止状態とを切替可能に構成される。磁力発生部22は、追従体本体部21に固定される。また磁力発生部22は、追従体本体部21に左右一対設けられる。
【0051】
ローラ23は、第一の管60の端面60aを転動可能なものである。ローラ23は、その外周面の少なくとも一部が走行体本体部11及び追従体本体部21よりも前側(第一の管60の端面60a側)に位置するように、追従体本体部21に設けられる(図6参照)。ローラ23は、左右一対の磁力発生部22を介して、追従体本体部21に支持される。左側のローラ23は、右下がりに傾斜する方向を回転軸方向として回転可能に構成される。また右側のローラ23は、左下がりに傾斜する方向を回転軸方向として回転可能に構成される。当該ローラ23は、走行体10が第二の管70の外周面を走行する際に、第二の管70の周方向に沿って滑らかに第一の管60の端面60aを転動することができる。またローラ23は、磁力発生部22で発生される磁力により磁化されて、第一の管60の端面60aに吸着することができる。
【0052】
図2図4及び図6に示す検出体30は、ゴム輪62の位置を検出するためのものである。検出体30は、走行体10(第二部材11b)に設けられる。検出体30は、検出体本体部31、突出部32及びバネ33を具備する。
【0053】
図4及び図6に示す検出体本体部31は、検出体30の主たる構造体を成す部分である。本実施形態の検出体本体部31は、略板状に形成され、第二部材11bの下方に配置される。検出体本体部31は、引っ掛け部31a及びスライド部31bを具備する。
【0054】
図4及び図5に示す引っ掛け部31aは、バネ33を引っ掛けるための部分である。本実施形態の引っ掛け部31aは、検出体本体部31から所定方向に突出する突出部(ボルト)によって構成される。スライド部31bは、図6に示す走行体10のガイド部11e(レール)に摺動可能に支持される。
【0055】
検出体本体部31は、スライド部31bがガイド部11eを摺動することによって、走行体10に対して前後方向に相対移動することができる。なお検出体本体部31の相対移動は、所定の規制部材により所定位置で規制される。
【0056】
図4及び図6に示す突出部32は、検出体本体部31から前方に突出する部分である。突出部32は、受口61と挿口71との間に進入可能に形成される(図7参照)。突出部32は、検出体本体部31に固定される。突出部32の先端部(前端部)は、少なくともローラ23よりも前方に位置する。
【0057】
図4に示すバネ33は、突出部32を前方(検出体30が第一の管60に接近する方向)に向かって付勢するためのものである。バネ33は、走行体本体部11の第二引っ掛け部11d及び検出体本体部31の引っ掛け部31aに引っ掛けられる。
【0058】
検出体30には、スライド部31bの移動量を検知するためのセンサ(不図示)が設けられる。本実施形態では、当該センサの信号が、無線通信によって外部の機器に出力可能に構成される。無線通信の規格としては、例えば、Bluetooth(登録商標)が採用される。なお、無線通信の規格の種類は特に限定されるものではない。例えば、Bluetoothとは異なる既存の通信規格や独自の通信規格が採用されるものでもよい。
【0059】
以下では、図7及び図8を参照し、検査装置1を用いたゴム輪62の位置の確認作業の手順について説明する。
【0060】
本確認作業において、検査装置1は、作業者により第二の管70の外周面にセットされる。以下、セットの手順について説明する。検査装置1は、第二の管70の外周面に載置され、図7の矢印A1に示すように、第一の管60に向けて移動される。この際、検出体30の突出部32は、第一の管60と第二の管70との間に進入し、ゴム輪62に接近する。
【0061】
ゴム輪62が正規の位置にある(シール溝61bから脱落していない)場合、突出部32は、検査装置1の移動によってゴム輪62に当接する。この状態からさらに検査装置1が第一の管60に向けて押し込まれることにより、検出体30は、図7の矢印A2に示すように、バネ33の付勢力に抗して走行体10に対して後方へ相対移動する。
【0062】
その後追従体20のローラ23は、第一の管60の端面60aに当接する。これによって検査装置1が第二の管70にセットされる。なお第二の管70にセットされた状態において、磁力発生部13・22は、磁力を発生する動作状態に切り替えられている。これによって駆動輪14及び吸着輪16は、磁力によって第二の管70の外周面に吸着される。また追従体20のローラ23は、磁力によって第一の管60の端面60aに吸着される。
【0063】
検査装置1がセットされた後でモータ17が駆動される。駆動輪14は、弾性部材15によって比較的高いグリップ力を有すると共に、当該弾性部材15に含まれる磁性体によって吸着力が確保されている。これによって検査装置1は、図8に示すように、第二の管70から脱落することなく第二の管70の外周面を周回(走行)することができる。
【0064】
特に本実施形態の駆動輪14は、バネ18(図3参照)によって第二の管70の外周面に向けて付勢される。この付勢により、駆動輪14が第二の管70に対して離れる(浮いてしまう)のを防止することができると共に、駆動輪14のグリップ力をさらに向上することができる。これによって、第二の管70の外周面を走行体10が周回し易くなる。
【0065】
また周回時において、図7に示す吸着輪16は、第二の管70の外周面に吸着されながら、当該外周面を転動する。これによって走行体10は、検査装置1の自重によって第二の管70から脱落するのを効果的に防止することができる。
【0066】
また追従体20は、磁力によって第一の管60の端面60aに吸着されるため、第二の管70の外周面を走行体10が周回する際に端面60aに追従する。こうして追従体20は、第一の管60の端面60aにローラ23が当接された状態で第二の管70の外周面を周回する。この周回時にローラ23は第一の管60の端面60aを転動する。これによって追従体20は、第一の管60の端面60aを滑らかに沿わせる(追従させる)ことができる。
【0067】
また検出体30(検出体本体部31及び突出部32)は、バネ33によってゴム輪62に向けて付勢されているため、第二の管70の外周面を走行体10が周回する際に、ゴム輪62の位置に応じて前後移動しながら前記外周面を周回する。
【0068】
この前後移動がセンサによって計測され、外部の機器に出力される。こうして出力された情報に基づいて、ゴム輪62の前後位置を確定できる。本実施形態では、追従体20が第一の管60の端面60aに追従するため、端面60aにローラ23が当接した状態を基準として、ゴム輪62の前後位置を精度よく確定することができる。作業者は、当該確定結果を確認することで、ゴム輪62の前後位置を把握することができる。走行体10に、第二の管70の外周面を1周走行させることで、ゴム輪62の前後位置を、当該ゴム輪62の全周で確認することができる。
【0069】
ここで、仮にゴム輪62がシール溝61bから脱落している場合、検出体30は、走行体10に対して想定以上に前方へ相対移動する。例えば検出体30は、脱落したゴム輪62に対して突出部32が当接することができず、走行体10に対して最も前側まで移動する。この検出体30の移動が前記センサで検出されることによって、作業者は、ゴム輪62がシール溝61bから脱落しているのを把握することができる。
【0070】
また本実施形態の走行体10は、ゴム輪62がシール溝61bから脱落している場合、当該脱落箇所で自動的に停止するように構成してもよい。例えば走行体10は、検出体30が想定以上に前方へ相対移動したことを検出するリミットスイッチの検出結果に基づいてモータ17が制御されることで、脱落箇所で自動的に停止するように構成される。走行体10が脱落箇所で停止することによって、ゴム輪62が部分的に脱落している場合に突出部32がゴム輪62に引っ掛かり、当該突出部32等が破損するのを防止することができる。
【0071】
なお検査装置1は、所定の報知部に信号を出力し、地上にいる作業者に走行体10の停止を報知するように構成されてもよい。これによって作業者は、検査装置1が脱落箇所で停止したことを容易に把握することができ、利便性を向上させることができる。
【0072】
作業者は、ゴム輪62の位置の確認が終了した後で、走行体10を停止させて検査装置1を回収する。こうして本確認作業が終了する。なお走行体10は、ゴム輪62の位置の確認が終了したタイミングで(例えば、第二の管70を一周回った時点で)、自動的に停止するように構成されてもよい。
【0073】
本実施形態では、第二の管70の外周面に沿って検査装置1を自動的に周回させることができる。これによって作業者は、例えば2つの管60・70が地下に敷設される場合でも、地下で無理な姿勢になることなく、ゴム輪62の位置(脱落)を確認することができる。このため、検査負担を低減することができる。
【0074】
また、第一の管60の端面60aを追従体20が追従することによって、第一の管60に対して第二の管70が傾斜していたとしても、その傾きを追従体20で吸収することができる。これによって、第一の管60に対して第二の管70が傾斜する場合でも、ゴム輪62の位置の確認作業を行うことができる。
【0075】
また上述の如く、磁力発生部13・22は、磁力を発生させる動作状態と、磁力を発生させない停止状態とを切替可能に構成される。これにより、メンテナンス性を向上させることができる。より詳細には、駆動輪14(弾性部材15)、吸着輪16及びローラ23は、本確認作業時に砂鉄等を吸着する場合がある。そこで本確認作業後に磁力発生部13・22を停止状態に切り替えることにより、駆動輪14(弾性部材15)、吸着輪19及びローラ23に付着した砂鉄等を容易に取り除くことができる。
【0076】
なお本確認作業では、検査装置1を所定の補助具(マジックハンド等)で掴んで地上と地下との間を移動させてもよい。また作業者は、地下へ移動させた検査装置1を、所定の治具を用いて地上からセットしてもよい。これにより、作業者は、地下へ移動することなく、ゴム輪62の位置を確認することができ、検査負担を効果的に低減することができる。
【0077】
また図8に示すように、検査装置1は、第一の管60の軸方向視において、第一の管60の端面60aに対して略全体が重複するように形成されることが望ましい。言い換えると、前記軸方向視において、第一の管60の端面60aの内側に検査装置1全体が収まるように形成されることが望ましい。これにより、第二の管70の外周面を検査装置1が周回する際に、他の部分(例えば2つの管60・70を敷設するために形成された作業溝の地面)に検査装置1が引っ掛り難くすることができる。
【0078】
ここで、本実施形態の駆動輪14は、吸着輪16よりも第一の管60の端面60aに対して遠い側に位置する。当該駆動輪14の弾性部材15を含む直径は、吸着輪16の直径よりも大きい。この直径の大小関係と、駆動輪14及び吸着輪16の位置関係とによると、走行体10は、第二の管70の周方向に走行するにつれて端面60a側に近づく(僅かに旋回する)ように、第二の管70の外周面を周回することができる。これによって追従体20を端面60aにより追従させ易くすることができる。
【0079】
なお、駆動輪14の直径と吸着輪16の直径との大小関係は、本実施形態に限定されるものではないが、吸着輪16の直径が、弾性部材15を含む駆動輪14の直径よりも小さいことが望ましい。よって吸着輪16は、駆動輪14と同じ、又は、駆動輪14よりも小さい直径となるように形成されることが望ましい。これによって追従体20を端面60aに追従させ易くすることができる。
【0080】
以上の如く、本実施形態に係る検査装置1は、第一の管60(一方の管)と第二の管70(他方の管)との接合部(管継手50)に用いられるゴム輪62の位置を確認するための検査装置1であって、前記第二の管70の外周面を、周方向に走行可能な走行体10と、前記走行体10に設けられ、前記ゴム輪62の位置を検出可能な検出体30と、を具備し、前記走行体10は、磁力によって前記第二の管70の外周面に吸着可能であると共に、モータ17(駆動源)の駆動力によって前記第二の管70の外周面を走行する駆動輪14と、前記駆動輪14の外周に設けられる磁性体入りの弾性部材15と、を具備するものである。
【0081】
このように構成することにより、検査負担を低減することができる。
すなわち、走行体10によって、第二の管70の外周面を自走しながら、周方向にわったってゴム輪62の位置を確認することができる。これによって、ゴム輪62の位置を容易に確認することができると共に、手作業による検査負担を軽減することができる。
また、磁力によって第二の管70の外周面に吸着可能な駆動輪14に、磁性体入りの弾性部材15を設けることで、吸着力を確保しながらグリップ力を向上させることができる。
【0082】
また、前記走行体10は、磁力によって前記第二の管70の外周面に吸着可能な吸着輪16(第一吸着輪)を具備するものである。
【0083】
このように構成することにより、第二の管70の外周面への吸着力を向上させることができる。
【0084】
また、前記吸着輪16は、前記駆動輪14と同じ、又は、前記駆動輪14よりも小さい直径となるように形成され、前記駆動輪14よりも前記第一の管60側に配置されるものである。
【0085】
このように構成することにより、検査装置1を、第一の管60の端面60aに追従させ易くすることができる。
【0086】
また、前記走行体10は、走行体本体部11と、前記駆動輪14及び前記吸着輪16を支持すると共に、前記走行体本体部11に対して揺動可能な車輪支持部12と、前記車輪支持部12を、前記駆動輪14が前記第二の管70の外周面に向かって押し付けられる方向に付勢するバネ18(付勢部)と、を具備するものである。
【0087】
このように構成することにより、駆動輪14によるグリップ力を向上させることができる。
【0088】
また、前記第一の管60の端面60aに吸着するローラ23(吸着部)を具備するものである。
【0089】
このように構成することにより、検査装置1を、第一の管60の端面60aに追従させ易くすることができる。
【0090】
また、前記ローラ23は、磁力によって前記第一の管60の端面60aに吸着可能な第二吸着輪により構成されるものである。
【0091】
このように構成することにより、検査装置1を、第一の管60の端面60aに滑らかに追従させることができる。
【0092】
なお、本実施形態に係る第一の管60は、本発明に係る一方の管の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る第二の管70は、本発明に係る他方の管の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る吸着輪16は、本発明に係る第一吸着輪の実施の一形態である。
また、本実施形態に係るバネ18は、本発明に係る付勢部の実施の一形態である。
また、本実施形態に係るローラ23は、本発明に係る吸着部及び第二吸着輪の実施の一形態である。
【0093】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0094】
例えば、駆動輪14及び吸着輪16の個数は、本実施形態(それぞれ2つ)に限定されるものではなく、走行体10が第二の管70の外周面を周回可能となるような任意の個数であってよい。
【0095】
また、追従体20のローラ23の個数は、本実施形態(2つ)に限定されるものではなく、追従体20が第一の管60の端面60aを追従可能となるような任意の個数であってよい。例えば、ローラ23が1つだけ追従体20に設けられてもよいし、ローラ23が3つ以上追従体20に設けられてもよい。
【0096】
また、本実施形態では、磁力を利用して、追従体20が第一の管60の端面60aに追従するものとしたが、追従体20は、磁力とは異なる手段により、端面60aに追従することも可能である。例えば、追従体20は、バネの付勢力によって追従体本体部21が端面60aに押し付けられることで、端面60aに追従することも可能である。
【0097】
また弾性部材15は、本実施形態では鉄粉入りのシートであるものとしたが、これに限定されるものではなく、駆動輪14の吸着力を確保可能なその他の磁性体が含まれるものであってもよい。
【0098】
また吸着輪16は、駆動輪14よりも端面60aに近い側に配置されるものとしたが、駆動輪14及び吸着輪16の位置関係は特に限定されるものではない。
【0099】
また検査装置1は、第二の管70の外周面を一方向へと走行中に、何らかの障害物に引っ掛かるなどして走行不能になった場合、走行方向を反転して、当該外周面を反対方向に走行するように構成されてもよい。これによって、第二の管70を反対側から回り込むことができ、できる限り広い範囲でゴム輪62の位置を確認することができる。
【0100】
また検査装置1は、ゴム輪62の位置だけではなく、第二の管70の周方向における位置を検出してもよい。この周方向における位置がゴム輪62の位置と関連付けて外部の機器に出力されることにより、作業者は、ゴム輪62の前後位置をより詳細に把握することができる。
【符号の説明】
【0101】
1 検査装置
10 走行体
14 駆動輪
15 弾性部材
17 モータ
30 検出体
50 管継手
62 ゴム輪
60 第一の管
60a 端面
70 第二の管
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8