(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024065406
(43)【公開日】2024-05-15
(54)【発明の名称】ベローズバルブ
(51)【国際特許分類】
F16K 49/00 20060101AFI20240508BHJP
F16K 1/00 20060101ALI20240508BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20240508BHJP
H01L 21/3065 20060101ALI20240508BHJP
【FI】
F16K49/00 B
F16K1/00 H
H01L21/31 F
H01L21/302 101G
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022174254
(22)【出願日】2022-10-31
(71)【出願人】
【識別番号】501417929
【氏名又は名称】株式会社キッツエスシーティー
(74)【代理人】
【識別番号】100081293
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 哲男
(72)【発明者】
【氏名】豊間根 隆
【テーマコード(参考)】
3H052
3H066
5F004
5F045
【Fターム(参考)】
3H052AA01
3H052BA31
3H052CA22
3H052CB01
3H052CC01
3H052CD05
3H052EA01
3H052EA09
3H066AA01
3H066BA36
5F004AA16
5F004BC03
5F004BD04
5F045AA03
5F045EC09
5F045EE04
(57)【要約】
【課題】流動抵抗を小さく抑えつつ、弁体およびベローズを効果的に加熱することができるベローズバルブを提供すること。
【解決手段】ベローズバルブ1は、直管状の流路に連結される連結直管部12とこの連結直管部12の軸a1に対して斜めに軸a2を傾けて連結直管部12に連接された傾斜筒部13とを有したボデー11を備え、傾斜筒部13内にベローズ20によってシールされたステム40が配設され、このステム40が傾斜筒部13の軸方向で昇降移動されることによってステム40の先端に設けた弁体60が連結直管部12の流路12aを開閉し、ベローズ20の内側のベローズ20とステム40の間の空間13aに内部ヒータ14が設けられた。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直管状の流路に連結される連結直管部と該連結直管部の軸に対して斜めに軸を傾けて前記連結直管部に連接された傾斜筒部とを有したボデーを備え、前記傾斜筒部内にベローズによってシールされたステムが配設され、該ステムが前記傾斜筒部の軸方向で昇降移動されることによって前記ステムの先端に設けた弁体が前記連結直管部の流路を開閉するベローズバルブにおいて、
前記ベローズの内側の該ベローズと前記ステムの間の空間に内部ヒータが設けられたことを特徴とするベローズバルブ。
【請求項2】
前記傾斜筒部が、前記連結直管部の軸に対して45度より大きい傾斜角度に軸を傾けて前記連結直管部に連接され、
前記連結直管部には、前記流路に交差した傾斜筒部の底面が該傾斜筒部の内径を外径とする弁座のシール面として設けられ、
前記ベローズが、前記シール面に対応した外径の前記弁体の裏面に前記弁体の外径とほぼ等しい外径の筒状をなして一端部を固定されている請求項1に記載のベローズバルブ。
【請求項3】
前記内部ヒータが、前記弁体の裏面に当接自在に配置され、
前記内部ヒータに対して前記弁体とは逆側から当接自在に配置された伝熱部材と、
前記伝熱部材を弾性的に内部ヒータ側に付勢する付勢機構と、
を有する請求項1または2に記載のベローズバルブ。
【請求項4】
前記伝熱部材が、前記ステムを筒内に挿通した円筒状をなし、
前記内部ヒータが、前記ステムを筒内に挿通した円筒状をなす請求項3に記載のベローズバルブ。
【請求項5】
前記ステムを筒内に挿通した円筒状をなして前記ボデーに固定され、かつ、弁閉状態における前記ベローズの伸縮状態で形成された前記空間の前記ベローズの一端側となる前記弁体の裏面の近傍位置から前記ベローズの他端固定位置を超えた上方位置まで設けられた伝熱部材を有し、
前記内部ヒータが、前記伝熱部材に密着して固定された請求項1または2に記載のベローズバルブ。
【請求項6】
前記内部ヒータが、セラミックヒータである請求項1または2に記載のベローズバルブ。
【請求項7】
前記ボデーの外表面を被覆するように外部ヒータを設けた請求項1または2に記載のベローズバルブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベローズバルブに関し、特に、直管状の流路に連結される連結直管部と該連結直管部の軸に対して斜めに軸を傾けて連結直管部に連接された傾斜筒部とを有したボデーを備えたベローズバルブに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、成膜装置、エッチング装置などの半導体製造装置などの真空供給又は排気系において、チャンバ内の化学プロセスに高温の反応ガスや沸点の低い高温流体などが用いられる場合、適切に高温状態を保って供給や排気がなされないと、流体温度の低下に伴って流路に副生成物が析出して付着する。
特に、流路の途中に配設されたベローズバルブは、副生成物が析出して付着すると弁体の駆動などの機能が損なわれるおそれがあるため、適宜、加熱するためのヒータを設けることにより、バルブ全体を適切な高温状態に維持することができるいわゆるホットバルブが用いられる。
【0003】
例えば、特許文献1には、流入口と流出口とを有する弁箱内にステムを昇降動自在に設け、このステムの下端に設けた弁体とステムの外周側にベローズを伸縮自在に設け、このベローズの内周とステムの外周との間に円筒状のセラミックヒータを配置すると共に、弁体の近傍位置に制御用熱電対の測温部を配置した真空ベローズホットバルブが記載されている。
【0004】
ところで、上述の半導体製造装置では、ガスの原料を入れた容器を加熱し、原料をガス化したのちにチャンバに供給して半導体ウエハを処理している。このような蒸気圧の低い原料ガスを供給する場合、圧力損失が大きくなって供給圧力も低くなるため、原料ガスが再液化したり副生成物が供給ライン内部に付着するなどの問題が生じることがある。
このため、蒸気圧の低い原料ガスを供給するガス供給系ラインに用いられるベローズバルブとして、流動抵抗を小さく抑えるため、直管状の流路に連接される連結直管部と、この連結直管部の軸に対して斜めに軸を傾けて連結直管部に連接された傾斜筒部とを有したボデーを備えた、いわゆるY型のベローズバルブが用いられる。
【0005】
例えば、特許文献2には、流路口を有する弁本体に流路口に対して略45°の角度で交差させた傾斜筒を連通させてボデーを構成し、傾斜筒内に配設したステムの先端側の弁体で流路口を開閉自在に設け、このステムをシールするベローズの内部を流路口側に配置すると共に、弁体またはベローズを固着するベローズフランジの少なくとも何れか一方にバックシール用のガスケットを設けて弁体の弁開状態のときにガスケットでベローズ内部を密閉するようにしたベローズシールバルブが記載されている。
この特許文献2に記載のベローズシールバルブは、バルブ本体を外側から被覆するように取り付けられたヒータによってバルブ本体を高温状態に維持するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2020-153422号公報
【特許文献2】特開2007-71251号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献2に記載のY型のベローズバルブでは、バルブ本体を外側から加熱しているため、バルブ本体内の弁体およびベローズを効率良く加熱することが難しかった。
一方、バルブ本体内にあるステムの内部にヒータを設けた場合についても、ステムから弁体およびベローズに伝わる熱に損失が生じ、結果的に、弁体およびベローズを効率良く加熱することが難しかった。
【0008】
本発明は、従来の課題を解決するために開発したものであり、その目的とするところは、流動抵抗を小さく抑えつつ、弁体およびベローズを効果的に加熱することができると共に、小口径のベローズバルブであっても流量係数を落とすことなく、効率の良好なヒーティングが可能であるベローズバルブを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1に係る発明は、直管状の流路に連結される連結直管部とこの連結直管部の軸に対して斜めに軸を傾けて連結直管部に連接された傾斜筒部とを有したボデーを備え、傾斜筒部内にベローズによってシールされたステムが配設され、このステムが傾斜筒部の軸方向で昇降移動されることによってステムの先端に設けた弁体が連結直管部の流路を開閉するベローズバルブにおいて、ベローズの内側のこのベローズとステムとの間の空間に内部ヒータが設けられたベローズバルブである。
【0010】
請求項2に係る発明は、傾斜筒部が、連結直管部の軸に対して45度より大きい傾斜角度に軸を傾けて連結直管部に連接され、連結直管部には、流路に交差した傾斜筒部の底面がこの傾斜筒部の内径を外径とする弁座のシール面として設けられ、ベローズが、シール面に対応した外径の弁体の裏面に弁体の外径とほぼ等しい外径の筒状をなして一端部を固定されているベローズバルブである。
【0011】
請求項3に係る発明は、内部ヒータが、弁体の裏面に当接自在に配置され、内部ヒータに対して弁体とは逆側から当接自在に配置された伝熱部材と、伝熱部材を弾性的にヒータ側に付勢する付勢機構と、を有するベローズバルブである。
【0012】
請求項4に係る発明は、伝熱部材が、ステムを筒内に挿通した円筒状をなし、内部ヒータが、ステムを筒内に挿通した円筒状をなすベローズバルブである。
【0013】
請求項5に係る発明は、ステムを筒内に挿通した円筒状をなしてボデーに固定され、かつ、弁閉状態におけるベローズの伸縮状態で形成された前記空間の前記ベローズの一端側となる弁体の裏面の近傍位置からベローズの他端固定位置を超えた上方位置まで設けられた伝熱部材を有し、内部ヒータが、伝熱部材に密着して固定されたベローズバルブである。
【0014】
請求項6に係る発明は、内部ヒータが、セラミックヒータであるベローズバルブである。
【0015】
請求項7に係る発明は、ボデーの外表面を被覆するように外部ヒータを設けたベローズバルブである。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に係る発明によると、ボデーに連結直管部と傾斜筒部とを有したいわゆるY型のベローズバルブにおいて、ベローズの内側のベローズとステムとの間の空間に内部ヒータが設けられている。
これにより、Y型のベローズバルブの流動抵抗を小さく抑える効果を維持しつつ、ベローズの内側から内部ヒータによって弁体およびベローズを加熱するため、流動抵抗を小さく抑えつつ、弁体およびベローズを効果的に加熱することができると共に、小口径のベローズバルブであっても高い流量係数を保持しつつ、効率の良好なヒーティング性能を持たせることが可能となる。
【0017】
請求項2に係る発明によると、傾斜筒部が、連結直管部の軸に対して45度より大きい傾斜角度に軸を傾けて連結直管部に連接され、連結直管部には、流路に交差した傾斜筒部の底面がこの傾斜筒部の内径を外径とする弁座のシール面として設けられ、ベローズが、シール面に対応した外径の弁体の裏面に弁体の外径とほぼ等しい外径の筒状をなして一端部を固定されている。
これにより、流路が小口径であっても、シール面となる傾斜筒部の内径が45度以下に傾斜して設けた傾斜筒部の内径に比して拡大して設けられ、それに応じて弁体およびその裏面に接続されるベローズの外径が拡大して設けられ、ベローズの内側のベローズとステムとの間の空間を拡大して設けられ、その拡大して設けた空間に内部ヒータを設けることができる。
従って、流動抵抗を小さく抑えつつ、ベローズの内側のベローズとステムとの間により拡大して設けられた空間に配置された内部ヒータによって弁体およびベローズを効果的に加熱することができる。
【0018】
しかも、請求項2に係る発明によると、傾斜筒部の傾斜角度を大きくし、傾斜筒部の内径を拡大し、この内径を拡大させた傾斜筒部に合わせて弁体およびベローズの外径を拡大するという簡易な構成で、ベローズの内側のベローズとステムとの間のスペースを拡大して設けることができる。
【0019】
また、請求項2に係る発明によると、傾斜筒部の傾斜角度に合わせてステムの軸が45度よりも大きく傾斜されているため、ステムの軸が45度以下の傾斜角度の場合に比して少ないストローク量で弁体が閉位置から流路との干渉を避ける開位置までの鉛直方向成分の移動量、つまり、弁体が開閉するための移動量を得ることができ、ステムのストローク量を小さく抑えて弁体を開閉することができる。
【0020】
さらに、請求項2に係る発明によると、連結直管部に設けられたシール面が、流路の外周に拡大して設けられ、流路の底面側のデッドスペースとなるものの、傾斜筒部の傾斜角度が45度以下の場合に比較して、傾斜角度が45度より大きい場合には、シール面によって生じるデッドスペースを小さく抑えることができる。
【0021】
請求項3に係る発明によると、内部ヒータが、弁体の裏面に当接自在に配置され、内部ヒータに対して弁体とは逆側から当接自在に配置された伝熱部材と、伝熱部材を弾性的に内部ヒータ側に付勢する付勢機構と、を有することにより、弁体に当接した状態で固定することが難しい仕様のヒータであっても、弁体の開閉に関わらず、内部ヒータが常に弁体に当接された状態を維持し、しかも、内部ヒータおよび内部ヒータに直接的に熱を伝えられた伝熱部材の両方を介してベローズの内側を加熱するため、弁体を効果的に加熱することができると共に、ベローズの内側を広い範囲で加熱することができる。
【0022】
請求項4に係る発明によると、伝熱部材が、ステムを筒内に挿通した円筒状をなし、内部ヒータが、ステムを筒内に挿通した円筒状をなすことにより、伝熱部材および内部ヒータが共にステムに沿って移動し易くなり、結果的に、内部ヒータを弁体の裏面に当接させ易くなり、弁体を安定的に加熱することができる。
しかも、ベローズの内側のベローズとステムとの間の円筒状の空間を無駄なく利用して伝熱部材および内部ヒータを配置することができると共に、内部ヒータを中心にベローズの周方向に沿って均一に熱を拡散させることができる。
これにより、ベローズの内側をより広い範囲で、しかも、均一に加熱することができる。
【0023】
請求項5に係る発明によると、伝熱部材が、ステムを筒内に挿通した円筒状をなしてボデーに固定され、弁閉状態におけるベローズの伸縮状態で形成された空間の弁体の裏面近傍のベローズの一端位置からベローズの他端固定位置を超えた上方位置まで設けられ、内部ヒータが、伝熱部材に密着して固定されていることにより、伝熱部材がベローズの内側のベローズとステムとの間の空間を無駄なく利用して設けられ、その伝熱部材を内部ヒータによって直接的に加熱して熱を伝えるため、ベローズの内側を広い範囲で加熱することができる。
【0024】
請求項6に係発明によると、内部ヒータが、セラミックヒータであることにより、発熱部分の最高使用温度が300度以上の高温での使用が可能となるため、加熱温度を高めることができる。
【0025】
請求項7に係発明によると、ボデーの外表面を被覆するように外部ヒータを設けたことにより、外部ヒータによってボデーの外側からベローズを全体的に加熱するため、内部ヒータと合わせて、ベローズの内側および外側の両方からベローズを効果的に加熱することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】実施形態1に係るベローズバルブの弁開状態の概略構成を示す一部断面図である。
【
図2】実施形態1に係るベローズバルブの弁閉状態の概略構成を示す一部断面図である。
【
図3】(a)が弁体周辺のベローズの内部構成を説明するための断面斜視図であり、(b)が(a)に示す内部ヒータ及び伝熱部材を除いてベローズ内側の空間を示す図である。
【
図4】実施形態1に係るベローズバルブをガス供給系ラインに用いた半導体製造装置の概略構成を示す図である。
【
図5】実施形態2に係るベローズバルブの弁開状態の概略構成を示す一部断面図である。
【
図6】実施形態2に係るベローズバルブの弁閉状態の概略構成を示す一部断面図である。
【
図7】実施形態2に係るベローズバルブの伝熱部材および伝熱部材に密着して固定された内部ヒータを示す斜視図である。
【0027】
本発明に係るベローズバルブ1の実施形態1を
図1~
図4に基づいて詳細に説明する。
なお、以下に示す実施形態により本開示が限定されるものではない。また、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合があることに留意する必要がある。さらに、図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
図1は、実施形態1に係るベローズバルブ1の弁開状態の概略構成を示す一部断面図である。
図2は、実施形態1に係るベローズバルブ1の弁閉状態の概略構成を示す一部断面図である。
図3は、(a)が弁体60周辺のベローズ20の内部構成を説明するための断面斜視図であり、(b)が(a)に示す内部ヒータ14および伝熱部材15を除いてベローズ20内側の空間13aを示す図である。
図4は、実施形態1に係るベローズバルブ1をガス供給系ラインに用いた半導体製造装置の概略構成を示す図である。
なお、
図3(a)は、ステム40を省略している。
【0028】
本発明の実施形態に係るベローズバルブ1は、
図4に示すように、半導体製造装置100のガス供給ラインに用いられる。
より具体的には、ベローズバルブ1は、上流側に各種の原料ガスを供給するガス供給管110が接続され、下流側に接続された接続管120を介してチャンバ130に接続されている。
原料ガスは、不図示のタンクに個別に収容され、必要に応じて各種の原料ガスがガス供給管110を通して供給されるようになっている。
そして、半導体製造装置100は、チャンバ130の下流側に、スライドバルブ140が設けられ、スライドバルブ140の下流側にはポンプ150が設けられている。
【0029】
このような半導体製造装置100のガス供給ラインは、ベローズバルブ1の弁体60の開閉によって、ガス供給管110からチャンバ130への原料ガスの供給が制御される。
ベローズバルブ1を含むガス供給ラインを通してチャンバ130内に原料ガスが供給されると、チャンバ130内で原料ガスを用いた半導体ウエハの処理が行われ、スライドバルブ140の開閉によって半導体ウエハを処理した後の原料ガスが排出され、処理後の原料ガスがポンプ150によって吸引される。
【0030】
<ベローズバルブ1について>
ここで、ベローズバルブ1についてより詳細に説明する。
ベローズバルブ1は、バルブ本体10と、バルブ本体10内に設けたベローズ20と、ベローズ20によってシールされたステム40と、ステム40の先端に設けられた弁体60と、ステム40を昇降移動させるアクチュエータ70と、バルブ本体10を外側から加熱する外部ヒータ80と、を有する。
【0031】
<バルブ本体10について>
バルブ本体10は、直管状の流路12aを形成する配管部分、すなわち、本実施形態1では直管状のガス供給管110および接続管120に連結される連結直管部12と、この連結直管部12の軸に対して斜めに軸を傾けて連結直管部12に連接された傾斜筒部13とを有したボデー11と、ボデー11とアクチュエータ70とを連結するボンネット18と、を備えている。
【0032】
<バルブ本体10のボデー11について>
連結直管部12は、連結先の流路を形成したガス供給管110および接続管120の口径と等しい口径の直管状の流路12aが形成され、上流側端部がガス供給管110に連結され、下流側端部が接続管120に連結されている。
なお、本実施形態1では、ガス供給管110、接続管120およびそれらに連結される連結直管部12の口径が25Aに設定されている。
この連結直管部12には、流路12aに交差した傾斜筒部13の底面が傾斜筒部13の内径を外径とする弁座のシール面12bとして設けられている。
また、連結直管部12には、弁体60の先端部分が流路12aの壁面に干渉しないように逃がすための逃がし領域12cが設けられている。
【0033】
シール面12bは、シール部材として弁体60の縁部周辺に取り付けられたディスクパッキン61に当接する部分であり、逃がし領域12cを中央に配した環状の面である。
このシール面12bは、流路12aの外周に拡大して設けられている。
【0034】
傾斜筒部13は、連結直管部12の軸a1に対して45度よりも大きい傾斜角度に軸a2を傾けて連結直管部12に連接されている。
なお、本実施形態1では、傾斜筒部13は、連結直管部12の軸a1に対して70度に軸a2を傾けて連結直管部12に連接されている。
【0035】
これら連結直管部12と傾斜筒部13とを有するボデー11の内部には、弁体60がステム40に連動して傾斜筒部13の軸方向に沿って昇降自在に設けられている。
【0036】
弁体60は、その外径がシール面12bの外径に略等しく、より詳細には、シール面12bの外径に比して僅かに小さい外径に形成されている。
そして、弁体60は、シール面12bに当接される表面の周縁部にシール部材としてのディスクパッキン61が固定されている。
このディスクパッキン61は、ディスクワッシャ62を固定部材として弁体60とディスクワッシャ62の間にシール面12bに当接される一部を露出させた状態で挟持固定されている。
【0037】
ベローズ20は、伸縮自在な蛇腹状の表面を有して筒状に形成され、弁体60に固定される一端に対する他端部が傾斜筒部13の上端部に固設したベローズフランジ30に固定されている。
このベローズ20は、傾斜筒部13の上端位置からステム40の先端の弁体60の裏面60aに固定された位置までのステム40の外周側領域をシールしている。
ベローズ20は、ベローズフランジ30に一端が固定された状態で、他端が弁体60の開閉移動に追従することによって伸縮されるようになっている。
【0038】
<ベローズ20の内側のベローズ20とステム40の間の空間13aについて>
ここで、ベローズ20の内側のベローズ20とステム40の間の空間13a(以下、「収容空間」という。)について説明する。
上述したように、傾斜筒部13は、連結直管部12の軸a1に対して45度よりも大きい70度の傾斜角度Aに軸a2を傾けて連結直管部12に連接されている。
このため、シール面12bの外径となる傾斜筒部13の内径が45度以下の傾斜角度で傾斜して設けた傾斜筒部13の内径に比して拡大して設けられる。
このようにシール面12bが拡大されると、それに応じて弁体60およびその弁体60の裏面60aに接続されるベローズ20の外径が拡大して設けられる。
このため、
図3に示すように、連結直管部12の直線状の流路12aが小口径であっても、収容空間13aが内部ヒータ14を配置可能な大きさに拡大して設けられる。
そして、シール面12bの外径が拡大しても、連結直管部12の管内壁面に対する切り込み深さD(
図1参照)を抑えて、流路12aの外周にシール面12bが形成される。
つまり、傾斜筒部13の傾斜角度を大きくし、傾斜筒部13の内径を大きくすることによって収容空間13aを拡大しても、シール面12bとして流路12aの外周に切り込まれて形成されるデッドスペースを小さく抑えることができる。
【0039】
そして、このように拡大して設けられた収容空間13aには、内部ヒータ14および伝熱部材15が設けられている。
内部ヒータ14は、例えば、セラミックヒータによって実現される。
このように内部ヒータ14としてセラミックヒータを用いることにより、発熱部分の最高使用温度が300度以上の高温での使用が可能となる。
そして、内部ヒータ14は、円筒状をなして筒内にステム40を挿通した状態で弁体60の裏面60a側に配置されている。
【0040】
この内部ヒータ14は、ステム40に沿って移動自在、換言すると、ステム40の昇降移動方向に沿って移動自在に設けられている。
そして、内部ヒータ14は、ボンネット18からボデー11内に引込まれた電線16に接続し、この電線16に接続するように外部に設けた不図示のヒータコントローラによって温度制御されるようになっている。
なお、内部ヒータ14は、セラミックヒータ以外のその他の種類のヒータを用いてもよい。
【0041】
伝熱部材15は、例えば、アルミニウム材からなる円筒状をなし、筒内にステム40を挿通した状態で内部ヒータ14に対して弁体60とは逆側から内部ヒータ14に当接自在に配置されている。
この伝熱部材15は、内部ヒータ14と同様に、ステム40に沿って移動自在、換言すると、ステム40の昇降移動方向に沿って移動自在に設けられている。
【0042】
そして、伝熱部材15は、後述する付勢機構50の押しピン52によって、弾性的に内部ヒータ14側に付勢されるようになっている。
また、この伝熱部材15には、ボンネット18からボデー11内に引込まれた制御用の線状の熱電対17の先端が固定されている。この熱電対17は、外部に設けた不図示のヒータコントローラに接続している。
なお、伝熱部材15は、アルミニウム材に限らず、熱伝導率が高い材料であればその他の材料を用いても構わない。例えば、銅合金材、ステンレス材を用いてもよい。
【0043】
<バルブ本体10のボンネット18について>
ボンネット18は、傾斜筒部13の上部に連結して傾斜筒部13の上部開口をベローズフランジ30の鍔部をシーリング部分として閉じる蓋部18aを有して、ボデー11とアクチュエータ70を連結するものである。
なお、傾斜筒部13の上端部に設けた段部と、ベローズフランジ30の鍔部の下面との間には不図示のガスケットあるいはОリングを介してシール性を高めている。
ガスケットは、例えば、ステンレス、ニッケル、あるいは銅等の金属材やその金属にフッ素コーティングを施したもの、さらには、ポリテトラフルオロチレン(PTFE)、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、あるいはポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)等のプラスチック材が用いられる。
そして、Оリングは、フッ素ゴムやカルレッツ(登録商標)等のパーフロー系ゴムが用いられる。
このボンネット18は、伝熱部材15を弾性的に内部ヒータ14側に付勢することによって内部ヒータ14を弁体60に当接させる付勢機構50が設けられている。
また、ボンネット18は、内部ヒータ14を制御する外部に設けた不図示のコントローラに接続する電線16および熱電対17が引き込まれる線材引込口18bが形成されている。
この線材引込口18bからボンネット18内に引込まれた電線16および熱電対17は、内部ヒータ14或いは伝熱部材15の移動に追従するように螺旋状に配線されている。
【0044】
<付勢機構50について>
付勢機構50は、3つのバネ51と、3つの押しピン52と、3つのバネ51を一端側から伸縮自在に支持するバネ支持部53と、一方の面に3つのバネ51の一端部を保持すると共に他方の面に3つの押しピン52の一端部を保持する押しピン保持部54と、を有する。
バネ支持部53は、略円筒状をなし、バネ51を支持する側の面に周方向に沿って均等に離間して3つの突起53aが設けられ(
図2参照)ている。
各突起53aは、バネ51の一端部に挿通されることによって、バネ51の一端部を支持するようになっている。
【0045】
押しピン保持部54には、略円盤状をなし、一方の面に3つのバネ51の端部が嵌め込まれる不図示の凹部が形成され、この凹部にバネ51の端部が保持されるようになっている。
また、押しピン保持部54は、もう一方の面に3つの押しピン52の端部が周方向に沿って均等に離間して固定されるようになっている。
【0046】
この付勢機構50は、
図2に示すように、弁体60が弁閉位置にある状態、すなわち、ステム40が最下降位置に移動された状態で、押しピン52によって、伝熱部材15を介して内部ヒータ14を弁体60の裏面60aに当接させる付勢力が作用されるように、バネ51の寸法等、各部が調整されている。
【0047】
なお、バネ51および押しピン52の数は3つに限らず、その他の数であっても構わない。すなわち、複数のバネ51および押しピン52を周方向に沿って均等に離間して設けることによって、伝熱部材15に対して内部ヒータ14側に均等に付勢力を付加することができればよい。
また、付勢機構50は、伝熱部材15を内部ヒータ14側に弾性的に付勢することができれば、その他の機構を用いても構わない。
【0048】
<アクチュエータ70について>
アクチュエータ70は、本実施形態1では、公知のエアアクチュエータによって実現され、ステム40に連結された駆動軸71が傾斜筒部13の傾斜軸方向に沿って昇降移動されるようになっている。
【0049】
<外部ヒータ80について>
外部ヒータ80は、例えば、アルミニウム材からなり、
図1および
図2に示すように、ボデー11の外表面を被覆するように取付けられている。
このように外部ヒータ80が、ボデー11の外表面を被覆するように取付けられることによって、ボデー11の外側からベローズ20を全体的に加熱することができるようになっている。
【0050】
<ベローズバルブ1の弁開閉動作について>
次に、ベローズバルブ1の弁開閉動作について説明する。
ベローズバルブ1が弁閉状態から弁開状態(
図1参照)になる際、アクチュエータ70によってステム40が上端位置に移動される、弁体60が連結直管部12の流路12aに干渉しない弁開位置に移動される。
ここで、傾斜筒部13と同軸のステム40の軸a2が45度よりも大きい70度の傾斜角度Aで傾斜されているため、弁体60が弁閉位置と弁開位置との間で移動される際、ステム40の軸a2が45度以下の傾斜角度Aの場合に比して少ないストローク量で、鉛直方向成分の弁体60の移動に必要な移動量を得ることができる。
つまり、ベローズバルブ1は、ステム40のストローク量を小さく抑えて弁体60を開閉することができる。
【0051】
ベローズバルブ1が弁開状態であると、付勢機構50の各バネ51がステム40のストローク範囲において最も縮んだ状態となる。この状態においてもベローズバルブ1は、各押しピン52が伝熱部材15を内部ヒータ14側に付勢した状態になっている。
これにより、周方向に沿って均等に離間して配置された3つの押しピン52によって、伝熱部材15が周方向に均等な押圧力を受けて内部ヒータ14側に付勢される。
そして、内部ヒータ14が伝熱部材15によって弁体60側に付勢されることによって、弁体60の裏面60aに当接した状態になっている。
このため、内部ヒータ14の熱が直接的に弁体60に伝達されると共に、内部ヒータ14に接した伝熱部材15に伝わった熱が伝熱部材15を介して広範囲に伝達される。
【0052】
一方、ベローズバルブ1が弁開状態から弁閉状態(
図2参照)になる際、アクチュエータ70によってステム40が下端位置に移動され、弁体60が連結直管部12の流路12aを閉じる弁閉位置に移動される。
この弁閉状態においても、付勢機構50の各バネ51が縮んだ状態が維持され、3つの押しピン52が伝熱部材15を内部ヒータ14側に付勢した状態になっている。
これにより、内部ヒータ14が伝熱部材15によって弁体60側に付勢されることによって、弁体60の裏面60aに当接した状態になっている。
このため、内部ヒータ14の熱が直接的に弁体60に伝達されると共に、内部ヒータ14に接した伝熱部材15に伝わった熱が伝熱部材15を介して広範囲に伝達される。
【0053】
このように弁体60の開閉状態に関わらず、内部ヒータ14が弁体60に常に当接した状態を維持されて弁体60を直接的に加熱し続けるようになっている。
そして、伝熱部材15についても弁体60の開閉状態に関わらず、内部ヒータ14が常に当接した状態を維持され、内部ヒータ14の熱が伝熱部材15を介してベローズ20の内側から広範囲に伝達される。
なお、内部ヒータ14に接続した電線16および伝熱部材15に先端が固定された熱電対17は、螺旋状に配線されているため、ステム40の軸方向に沿って移動される内部ヒータ14或いは伝熱部材15に柔軟に追従するようになっている。
【0054】
<実施形態1の効果>
以上のように、実施形態1に係るベローズバルブ1によると、ボデー11に連結直管部12と傾斜筒部13とを有したいわゆるY型のベローズバルブ1において、ベローズ20の内側のベローズ20とステム40の間の収容空間13aに内部ヒータ14が設けられている。
これにより、Y型のベローズバルブ1の流動抵抗を小さく抑える効果を維持しつつ、ベローズ20の内側から内部ヒータ14によって弁体60およびベローズ20を加熱するため、流動抵抗を小さく抑えつつ、弁体60およびベローズ20を効果的に加熱することができると共に、小口径のベローズバルブであっても高い流量係数を保持しつつ、効率の良好なヒーティング性能を持たせることが可能となる。
【0055】
また、実施形態1に係るベローズバルブ1によると、傾斜筒部13が、連結直管部12の軸a1に対して45度より大きい70度の傾斜角度に軸a2を傾けて連結直管部12に連接され、連結直管部12には、流路12aに交差した傾斜筒部13の底面がこの傾斜筒部13の内径を外径とする弁座のシール面12bとして設けられ、ベローズ20が、シール面12bに対応した外径の弁体60の裏面60aに弁体60の外径とほぼ等しい外径の筒状をなして一端部を固定されている。
これにより、流路12aが小口径であっても、シール面12bとなる傾斜筒部13の内径が45度以下の傾斜角度Aに傾斜して設けた傾斜筒部13の内径に比して拡大して設けられ、それに応じて弁体60およびその裏面60aに接続されるベローズ20の外径が拡大して設けられ、収容空間13aを拡大して設けられ、その拡大して設けた収容空間13aに内部ヒータ14を設けることができる。
従って、実施形態1に係るベローズバルブ1によると、流動抵抗を小さく抑えつつ、ベローズ20の内側のベローズ20とステム40の間により拡大して設けられた収容空間13aに配置された内部ヒータ14によって弁体60およびベローズ20を効果的に加熱することができる。
【0056】
また、実施形態1に係るベローズバルブ1によると、傾斜筒部13の傾斜角度を45度よりも大きくし、傾斜筒部13の内径を拡大し、この内径を拡大させた傾斜筒部13に合わせて弁体60およびベローズ20の外径を拡大するという簡易な構成で、収容空間13aを拡大して設けることができる。
【0057】
また、実施形態1に係るベローズバルブ1によると、傾斜筒部13の傾斜角度Aに合わせてステム40の軸a2が45度よりも大きく傾斜されているため、ステム40の軸a2が45度以下の傾斜角度の場合に比して少ないストローク量で弁体60が閉位置から流路12aとの干渉を避ける開位置までの鉛直方向成分の移動量、つまり、弁体60が開閉するための移動量を得ることができ、ステム40のストローク量を小さく抑えて弁体60を開閉することができる。
【0058】
また、実施形態1に係るベローズバルブ1によると、連結直管部12に設けられたシール面12bが、流路12aの外周に拡大して設けられ、流路12aの底面側のデッドスペースとなるものの、傾斜筒部13の傾斜角度Aが45度以下の場合に比較して、傾斜角度Aが45度より大きい場合には、シール面12bによって生じるデッドスペースを小さく抑えることができる。
【0059】
また、実施形態1に係るベローズバルブ1によると、内部ヒータ14が、弁体60の裏面60aに当接自在に配置され、内部ヒータ14に対して弁体60とは逆側から当接自在に配置された伝熱部材15と、この伝熱部材15を弾性的に内部ヒータ14側に付勢する付勢機構50と、を有することにより、弁体60の開閉に関わらず、内部ヒータ14が常に弁体60に当接された状態を維持し、しかも、内部ヒータ14および内部ヒータ14に直接的に熱を伝えられた伝熱部材15の両方を介してベローズ20の内側を加熱するため、弁体60を効果的に加熱することができると共に、ベローズ20の内側を広い範囲で加熱することができる。
【0060】
また、実施形態1に係るベローズバルブ1によると、伝熱部材15が、ステム40を筒内に挿通した円筒状をなし、内部ヒータ14が、ステム40を筒内に挿通した円筒状をなすことにより、伝熱部材15および内部ヒータ14が共にステム40に沿って移動し易くなり、結果的に、内部ヒータ14を弁体60の裏面60aに当接させ易くなり、弁体60を安定的に加熱することができる。
しかも、収容空間13aを無駄なく利用して伝熱部材15および内部ヒータ14を配置することができると共に、内部ヒータ14を中心にベローズ20の周方向に沿って均一に熱を拡散させることができる。
これにより、ベローズ20の内側をより広い範囲で、しかも、均一に加熱することができる。
【0061】
また、実施形態1に係るベローズバルブ1によると、内部ヒータ14が、セラミックヒータであることにより、発熱部分の最高使用温度が300度以上の高温での使用が可能となるため、加熱温度を高めることができる。
【0062】
また、実施形態1に係るベローズバルブ1によると、ボデー11の外表面を被覆するように外部ヒータを設けたことにより、外部ヒータ80によってボデー11の外側からベローズ20を全体的に加熱するため、内部ヒータ14と合わせて、ベローズ20の内側および外側の両方からベローズ20を効果的に加熱することができる。
【0063】
<実施形態2>
次に、実施形態2に係るベローズバルブ2について、
図5乃至
図7を参照しながら説明する。
図5は、実施形態2に係るベローズバルブ2の弁開状態の概略構成を示す一部断面図である。
図6は、実施形態2に係るベローズバルブ2の弁閉状態の概略構成を示す一部断面図である。
図7は、実施形態2に係るベローズバルブ2の伝熱部材215および伝熱部材215に密着して固定された内部ヒータ214を示す斜視図である。
なお、実施形態2では、実施形態1と同一の部位には同一の符号を付することにより重複する説明を省略する。
この実施形態2のベローズバルブ2は、収容空間13aに伝熱部材215および内部ヒータ214を固定して設けている点で実施形態1のベローズバルブ1と異なる。
【0064】
<ベローズバルブ2について>
ベローズバルブ2は、バルブ本体210と、バルブ本体210内に設けたベローズ20とベローズ20によってシールされたステム40と、ステム40の先端に設けられた弁体60と、ステム40を昇降移動させるアクチュエータ70と、バルブ本体210を外側から加熱する外部ヒータ80と、を有する。
を有する。
【0065】
<バルブ本体210について>
バルブ本体210は、直管状の流路12aを形成する配管部分、すなわち、直管状のガス供給管110に連結される連結直管部12と、この連結直管部12の軸に対して斜めに軸を傾けて連結直管部12に連接された傾斜筒部13とを有したボデー11と、ボデー11とアクチュエータ70とを連結するボンネット218と、を備えている。
【0066】
傾斜筒部13は、連結直管部12の軸に対して45度よりも大きい傾斜角度Aに軸を傾けて連結直管部12に連接されている。
この実施形態2では、実施形態1のベローズバルブと同様に、傾斜筒部13の傾斜角度Aが、70度に設定されている。
【0067】
ボンネット218は、傾斜筒部13の上部に連結して傾斜筒部13の上部開口を閉じる蓋部218aを有して、ボデー11とアクチュエータ70を連結するものである。
このボンネット218は、内部ヒータ214を制御する外部に設けた不図示のコントローラに接続する電線216および熱電対217が引き込まれる線材引込口218bが形成されている。
【0068】
<ベローズ20の内側のベローズ20とステム40の間の収容空間13aについて>
収容空間13aには、内部ヒータ214および伝熱部材215が設けられている。
内部ヒータ214は、例えば、セラミックヒータによって実現され、この実施形態2では、
図7に示すように、略扁平直方体状をなしている。
この内部ヒータ214は、ボンネット218からボデー11内に引込まれた電線216に接続して、外部に設けた不図示のヒータコントローラによって温度制御されるようになっている。
なお、内部ヒータ214は、セラミックヒータ以外のその他の種類のヒータを用いてもよい。
【0069】
伝熱部材215は、例えば、アルミニウム材からなり、一端部にフランジ部215aを設けた略円筒状をなしている。
この伝熱部材215は、ステム40を筒内に挿通した状態でボデー11に固定されている。
そして、伝熱部材215は、弁閉状態のベローズ20の伸縮状態で定まる収容空間13aにおいて、弁体60の裏面60a近傍のベローズ20の一端位置からベローズ20の他端固定位置を超えた上方位置まで設けられている。
そして、伝熱部材215は、周側面の一部に平面状のヒータ取付部215bが形成され、このヒータ取付部215bに内部ヒータ214が一側面の略全面を密着して固定されている。
なお、伝熱部材215は、アルミニウム材に限らず、熱伝導率が高い材料であればその他の材料を用いても構わない。例えば、銅合金材、ステンレス材を用いてもよい。
また、伝熱部材215には、ボンネット218からボデー11内に引込まれた熱電対217の先端が固定されている。この熱電対217は、外部に設けた不図示のヒータコントローラに接続している。
【0070】
なお、内部ヒータ214および伝熱部材215の形状は、上述したものに限定されず、内部ヒータ214と伝熱部材215の間の接触面積をできる限り大きくして内部ヒータ214と伝熱部材215の間で高い熱伝導率を得ることができればその他の形状であっても構わない。例えば、伝熱部材215に平面状のヒータ取付部215bを設けず、全面を連続的な略円筒状とし、厚みを薄肉に形成する一方で、この表面に適合する曲面状に内部ヒータを形成して、内部ヒータを伝熱部材に密着して固定してもよい。
【0071】
<ベローズバルブ2の弁開閉動作について>
次に、ベローズバルブ2の弁開閉動作について説明する。
ベローズバルブ2が弁閉状態から弁開状態(
図5参照)になる際、アクチュエータ70によってステム40が上端位置に移動され、弁体60が連結直管部12の流路12aに干渉しない弁開位置に移動される。
ここで、傾斜筒部13と同軸のステム40の軸a2が45度よりも大きい70度の傾斜角度Aで傾斜されているため、弁体60が弁閉位置と弁開位置との間で移動される際、ステム40の軸a2が45度以下の傾斜角度Aの場合に比して少ないストローク量で、鉛直方向成分の弁体60の移動に必要な移動量を得ることができる。
つまり、ベローズバルブ2は、ステム40のストローク量を小さく抑えて弁体60を開閉することができる。
【0072】
ベローズバルブ2が弁開状態であると、ステム40のストローク範囲においてベローズ20が最も縮んだ状態であり、この状態では、弁体60の開閉動作で変化される収容空間13aが最も小さくなった状態である。
そして、伝熱部材215は、この状態における収容空間13aを無駄なく利用して設けられている。つまり、伝熱部材215は、弁体60の開閉動作によって変化する収容空間13aに収まる範囲で最大限に収容空間13aを利用して設けられている。
従って、内部ヒータ214から直接的に伝熱部材215に伝達された熱は、伝熱部材215によって、伝熱部材215の近傍に位置した弁体60および収容空間13a全域に拡散される。
【0073】
一方、ベローズバルブ2が弁開状態から弁閉状態になると(
図6参照)、アクチュエータ70によってステム40が下端位置に移動され、弁体60が連結直管部12の流路12aを閉じる弁閉位置に移動される。
ベローズバルブ2が弁閉状態であると、ボデー11に固定された伝熱部材215が、弁体60と離間した状態になるものの、弁開状態のときに弁体60および収容空間13a内を広範囲に加熱しているため、伝熱部材215と弁体60の間の収容空間13a、および弁体60の加熱に必要な熱量を十分確保することができるようになっている。
【0074】
<実施形態2の効果>
以上のように、実施形態2に係るベローズバルブ2によると、実施形態1のベローズバルブ1と同様に、ボデー11に連結直管部12と傾斜筒部13とを有したいわゆるY型のベローズバルブ2において、ベローズ20の内側のベローズ20とステム40との間の収容空間13aに内部ヒータ214が設けられている。
これにより、Y型のベローズバルブ2の流動抵抗を小さく抑える効果を維持しつつ、ベローズ20の内側から内部ヒータ214によって弁体60およびベローズ20を加熱するため、流動抵抗を小さく抑えつつ、弁体60およびベローズ20を効果的に加熱することができる。
【0075】
また、実施形態2に係るベローズバルブ2によると、伝熱部材215が、ステム40を筒内に挿通した円筒状をなしてボデー11に固定され、弁閉状態におけるベローズ20の伸縮状態で定まる収容空間13aの弁体60の裏面60a近傍のベローズ20の一端位置からベローズ20の他端固定位置を超えた上方位置まで設けられ、内部ヒータ214が、伝熱部材215に密着して固定されていることにより、伝熱部材215がベローズ20の内側のベローズ20とステム40の間の収容空間13aを無駄なく利用して設けられ、その伝熱部材215を内部ヒータ214によって直接的に加熱して熱を伝えるため、ベローズ20の内側を広い範囲で加熱することができる。
【0076】
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0077】
例えば、上記の実施形態では、傾斜筒部13の傾斜角度Aが、70度であるものを例示したが、傾斜筒部13の傾斜角度Aは、これに70度に限定されず、その他の角度であっても構わない。例えば、60度或いは75度であってもよい。なお、傾斜筒部13の傾斜角度Aは、収容空間13aを大きく確保することを考慮すると、45度よりも大きい鋭角、すなわち、45度より大きく90度より小さい角度が適している。
【0078】
例えば、上記の実施形態1では、内部ヒータ14を移動可能にして弁体60の裏面60aに当接させるものを例示したが、内部ヒータ14を弁体60の裏面60aに固定するようにしても構わない。
【0079】
今回開示された各実施形態は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の請求の範囲およびその主旨を逸脱することなく、様々な形体で省略、置換、変更されてもよい。
【符号の説明】
【0080】
1、2 ベローズバルブ
10、210 バルブ本体
11 ボデー
12 連結直管部
12a 流路
12b シール面
12c 逃がし領域
13 傾斜筒部
13a 収容空間(空間)
14、214 内部ヒータ
15、215 伝熱部材
215a フランジ部
215b ヒータ取付部
16、216 電線
17、217 熱電対
18、218 ボンネット
18a、218a 蓋部
18b、218b 線材引込口
20 ベローズ
30 ベローズフランジ
40 ステム
50 付勢機構
51 バネ
52 押しピン
53 バネ支持部
53a 突起
54 押しピン保持部
60 弁体
60a 裏面
61 ディスクパッキン(シール部材)
62 ディスクワッシャ(固定部材)
70 アクチュエータ
71 駆動軸
80 外部ヒータ
100 半導体製造装置
110 ガス供給管
120 接続管
130 チャンバ
140 スライドバルブ
150 ポンプ
A 傾斜角度
a1、a2 軸