(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024006541
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】既製のSRC杭および既製のSRC杭の製造方法
(51)【国際特許分類】
E02D 5/30 20060101AFI20240110BHJP
【FI】
E02D5/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022107542
(22)【出願日】2022-07-04
(71)【出願人】
【識別番号】510333025
【氏名又は名称】パイルフォーラム株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000176512
【氏名又は名称】三谷セキサン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174207
【弁理士】
【氏名又は名称】筬島 孝夫
(72)【発明者】
【氏名】加倉井 正昭
(72)【発明者】
【氏名】松田 竜
【テーマコード(参考)】
2D041
【Fターム(参考)】
2D041AA02
2D041BA02
2D041BA03
2D041CA01
2D041CB01
2D041DB05
(57)【要約】
【課題】SC杭に鉄筋を確実に組み込み有機的に一体化した構造を実現することにより、前記した許容曲げモーメントや許容せん断力をさらに大きくすることができ、高軸力での曲げ変形性能および軸力保持性能も大きく向上させることができる、既製のSRC杭および既製のSRC杭の製造方法を提供する。
【解決手段】鋼管1と、前記鋼管1の上下の端部に固定される上端板2および下端板3と、前記上端板2および下端板3の間の鋼管1の全長にわたって形成される中空部4aを有するコンクリート部4と、前記コンクリート部4に内蔵されるスパイラル筋5等のフープ筋5と、前記フープ筋5に固定され、前記鋼管1に対してほぼ同芯円状の配置に設けられる複数の鉄筋6とを有する。前記鉄筋1の上下の端部がそれぞれ前記上端板2及び前記下端板3に固定されている。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋼管と、
前記鋼管の上下の端部に固定される上端板および下端板と、
前記上端板および下端板の間の鋼管の全長にわたって形成される中空部を有するコンクリート部と、
前記コンクリート部に内蔵されるスパイラル筋等のフープ筋と、
前記フープ筋に固定され、前記鋼管に対してほぼ同芯円状の配置に設けられる複数の鉄筋と、
を有することを特徴とする、既製のSRC杭。
【請求項2】
前記鉄筋の上下の端部がそれぞれ前記上端板及び前記下端板に固定されることを特徴とする、請求項1に記載した既製のSRC杭。
【請求項3】
前記鉄筋は、前記フープ筋の内側又は外側に設けられ、平面方向から見て、前記フープ筋よりも一回り小さい又は一回り大きい環状の形状保持部材と前記フープ筋との間に拘束されるように位置決め固定されることを特徴とする、請求項1又は2に記載した既製のSRC杭。
【請求項4】
前記鋼管と前記鉄筋との間隔を一定に保つセパレータが前記フープ筋に設けられることを特徴とする、請求項1又は2に記載した既製のSRC杭。
【請求項5】
前記鋼管と前記鉄筋との間隔を一定に保つセパレータが前記形状保持部材に設けられることを特徴とする、請求項3に記載した既製のSRC杭。
【請求項6】
スパイラル筋等のフープ筋の内側又は外側に複数の鉄筋をほぼ同芯円状の配置に設けて成る鉄筋ユニットを構築する工程と、
鋼管の内部に、前記鉄筋ユニットを、前記鉄筋ユニットの前記鉄筋が前記鋼管に対しほぼ同芯円状に位置するように配置すると共に、前記鋼管の上下の端部に上端板および下端板を固定する工程と、
前記鋼管内にコンクリートを注入して遠心成形することにより、前記鉄筋ユニットを内蔵したSC杭を製造することを特徴とする、既製のSRC杭の製造方法。
【請求項7】
前記鉄筋の上下の端部をそれぞれ前記上端板及び前記下端板に固定した上で前記コンクリートを注入することを特徴とする、請求項6に記載した既製のSRC杭の製造方法。
【請求項8】
前記鉄筋ユニットは、前記鉄筋を前記フープ筋の内側又は外側に設け、平面方向から見て、前記フープ筋よりも一回り小さい又は一回り大きい環状の形状保持部材と前記フープ筋との間に前記鉄筋を拘束するように位置決め固定して成ることを特徴とする、請求項6又は7に記載した既製のSRC杭の製造方法。
【請求項9】
前記鋼管と前記鉄筋との間隔を一定に保つセパレータを前記フープ筋に設けた上で前記コンクリートを注入することを特徴とする、請求項6又は7に記載した既製のSRC杭の製造方法。
【請求項10】
前記鋼管と前記鉄筋との間隔を一定に保つセパレータを前記形状保持部材に設けた上で前記コンクリートを注入することを特徴とすることを特徴とする、請求項8に記載した既製のSRC杭の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、従来のSC杭(外殻鋼管付きコンクリート杭)に鉄筋を内蔵してなる、言わば既製のSRC杭(外殻鋼管付き鉄筋コンクリート杭)の技術分野に属する。
なお、本明細書において、「既製のSRC杭」の用語のうち、「既製」とは、予め工場等で製作されて現場へ搬入される既製品を指し、現場でコンクリートを打設して構築される杭(現場打ちコンクリート杭)と明確に区別する意味で用いており、また、「SRC杭」とは、鉄筋(鉄筋ユニット)をコンクリートに内蔵(埋設)したSC杭を指す。
【背景技術】
【0002】
既製杭には、SC杭、RC杭、PHC杭、PRC杭等があるが、前記SC杭のコンクリート内部に鉄筋を配設した、言わば既製のSRC杭は無い。
参考までに、特許文献1の段落[0011]の下から2行目、又は特許文献2の第2頁の左欄の21~22には、既製のSRC杭と認められる記載があるものの、前後の文脈から勘案すると、PRC杭の単なる誤記と解するのが自然である。
【0003】
前記既製杭のうち、SC杭は、既製のコンクリート杭と比し、コンクリート杭の外周面を鋼管で覆って一体化した構造とすることで、鋼管とコンクリートとの相乗効果により許容曲げモーメントや許容せん断力を大きくできる等の強度上の利点があり、近年その需要が増大している。
【0004】
しかしながら、前記SC杭は、鉄筋が無く、コンクリートは鋼管で保護されているとは云え、高軸力下においては鋼管内のコンクリートは破壊され、軸力を保持できなくなっているのが実情である。よって、実質的には鋼管のみの構造に等しく、経時的に鋼管とコンクリートとの相乗効果が得られなくなっている等、改善するべき課題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007-197061号公報
【特許文献2】特開平4-169621号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
仮に、前記SC杭に鉄筋を確実に組み込み有機的に一体化する構造を呈することができれば、鉄筋がないSC杭と比し、前記した許容曲げモーメントや許容せん断力をさらに大きくできる等、より有益であることは明らかである。
【0007】
したがって、本発明は、上述した背景技術の課題に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、前記SC杭に鉄筋を確実に組み込み有機的に一体化した構造を実現することにより、前記した許容曲げモーメントや許容せん断力をさらに大きくすることができ、高軸力での曲げ変形性能および軸力保持性能も大きく向上させることができる、既製のSRC杭および既製のSRC杭の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための手段として、請求項1に記載した発明に係る既製のSRC杭は、鋼管と、
前記鋼管の上下の端部に固定される上端板および下端板と、
前記上端板および下端板の間の鋼管の全長にわたって形成される中空部を有するコンクリート部と、
前記コンクリート部に内蔵されるスパイラル筋等のフープ筋と、
前記フープ筋に固定され、前記鋼管に対してほぼ同芯円状の配置に設けられる複数の鉄筋と、を有することを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載した発明は、請求項1に記載した既製のSRC杭において、前記鉄筋の上下の端部がそれぞれ前記上端板及び前記下端板に固定されることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載した発明は、請求項1又は2に記載した既製のSRC杭において、前記鉄筋は、前記フープ筋の内側又は外側に設けられ、前記フープ筋よりも一回り小さい又は一回り大きい環状の形状保持部材と前記フープ筋の間に拘束されるように位置決め固定されることを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載した発明は、請求項1又は2に記載した既製のSRC杭において、前記鋼管と前記鉄筋との間隔を一定に保つセパレータが前記フープ筋に設けられることを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載した発明は、請求項3に記載した既製のSRC杭において、前記鋼管と前記鉄筋との間隔を一定に保つセパレータが前記形状保持部材に設けられることを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載した発明に係る既製のSRC杭の製造方法は、スパイラル筋等のフープ筋の内側又は外側に複数の鉄筋をほぼ同芯円状の配置に設けて成る鉄筋ユニットを構築する工程と、
鋼管の内部に、前記鉄筋ユニットを、前記鉄筋ユニットの前記鉄筋が前記鋼管に対しほぼ同芯円状に位置するように配置すると共に、前記鋼管の上下の端部に上端板および下端板を固定する工程と、
前記鋼管内にコンクリートを注入して遠心成形することにより、前記鉄筋ユニットを内蔵したSC杭を製造することを特徴とする。
【0014】
請求項7に記載した発明は、請求項6に記載した既製のSRC杭の製造方法において、前記鉄筋の上下の端部をそれぞれ前記上端板及び前記下端板に固定した上で前記コンクリートを注入することを特徴とする。
【0015】
請求項8に記載した発明は、請求項6又は7に記載した既製のSRC杭の製造方法において、前記鉄筋ユニットは、前記鉄筋を前記フープ筋の内側又は外側に設け、平面方向から見て、前記フープ筋よりも一回り小さい又は一回り大きい環状の形状保持部材と前記フープ筋との間に前記鉄筋を拘束するように位置決め固定して成ることを特徴とする。
【0016】
請求項9に記載した発明は、請求項6又は7に記載した既製のSRC杭の製造方法において、前記鋼管と前記鉄筋との間隔を一定に保つセパレータを前記フープ筋に設けた上で前記コンクリートを注入することを特徴とする。
【0017】
請求項10に記載した発明は、請求項8に記載した既製のSRC杭の製造方法において、前記鋼管と前記鉄筋との間隔を一定に保つセパレータを前記形状保持部材に設けた上で前記コンクリートを注入することを特徴とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明にかかる既製のSRC杭および既製のSRC杭の製造方法によれば、以下の効果を奏する。
前記SC杭に鉄筋を確実に組み込み有機的に一体化した構造を呈するので、前記した許容曲げモーメントや許容せん断力をさらに大きくすることができて、高軸力での曲げ変形性能と軸力保持性能とを大きく向上させることができる。よって、既製のSC杭と比し、強度・剛性に非常に優れた既製のSRC杭を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】Aは、本発明に係る既製のSRC杭(鉄筋ユニットを備えたSC杭)を示した立面図であり、Bは、同平面図である。
【
図6】本発明に係る既製のSRC杭の適用例を概略的に示した立断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本発明に係る既製のSRC杭および既製のSRC杭の製造方法の実施例を図面に基づいて説明する。
【0021】
本発明に係る既製のSRC杭10は、
図1~
図6に示したように、鋼管1と、前記鋼管1の上下の端部に固定される上端板2および下端板3と、前記上端板2および下端板3の間の鋼管1の全長にわたって形成される中空部4aを有するコンクリート部4と、前記コンクリート部4に内蔵されるスパイラル筋5等のフープ筋5と、前記フープ筋5に固定され、前記鋼管1に対してほぼ同芯円状の配置に設けられる複数の鉄筋6とを有している。
【0022】
前記鋼管1は、大きさに特に制限はないが、外径(D)が600~1600mm程度、厚さ(t)が9~25mm程度、長さ(L)が5~15m程度の大きさの市販品が好適に用いられる。前記鋼管1の長さは、本発明に係る既製のSRC杭10が支持する構造物の形態、或いは構造物に作用する水平力(曲げ応力及びせん断応力)に対し、効果的に抵抗できる長さとされる。目安として、杭径の5倍程度が好ましいとされるが、地盤6の性状に応じて適宜設計変更される。
前記上端板2と下端板2は、本実施例では同形同大のリング状に形成されたものが用いられる。
本実施例では、フープ筋5としてスパイラル筋5が用いられているが、従来一般の帯筋でも同様の実施できる。
【0023】
前記鉄筋6は、建築構造物の補強筋として一般的に用いられる通常の鉄筋が用いられる。すなわち、PHC杭等に内蔵されるPC棒鋼等のPC鋼材は用いられない。
前記鉄筋6は、管軸方向に配置され、前記フープ筋5に溶接、又は鉄線等の結束材で固定される。
本実施例では、16本の鉄筋6を、前記鋼管1に対してほぼ同芯円状の配置で、かつ円周方向をほぼ16等分した位置毎にバランスよく設けて実施されるが、鉄筋6の本数はもちろん16本に限定されず、構造設計に応じて適宜増減可能である。とはいえ、8~22本の範囲内で実施する場合が多い。
【0024】
次に、本発明に係る既製のSRC杭10の製造方法について説明する。なお、以下に説明する手法はあくまでも一例に過ぎないことを念のため特記しておく。
すなわち、前記既製のSRC杭10の製造方法は、予め、スパイラル筋5(等のフープ筋)の内側(又は外側)に複数(16本)の鉄筋6を溶接、結束材等の接合手段でほぼ同芯円状の配置に設けることにより、鉄筋ユニット(5、6)を構築する。
次に、前記鋼管1の内部に、前記鉄筋ユニット(5、6)を、前記鉄筋ユニット(5、6)の前記鉄筋6が前記鋼管1に対しほぼ同芯円状に位置するように配置する。
次に、前記鋼管1の上下の端部に上端板2および下端板3を固定する。
しかる後、前記鋼管1を水平姿勢に寝かせた状態で、前記鋼管1内にコンクリート4を注入して遠心成形を行う。そうすると養生後、鋼管1の内部に上端板2と下端板3の内径に対応する中空部4aを有するコンクリート部4が形成され、もって、前記鉄筋ユニット(5、6)を内蔵したSC杭、すなわち、既製のSRC杭10が製造される。
【0025】
したがって、本発明にかかる既製のSRC杭および既製のSRC杭の製造方法によれば、遠心成形法により、前記鉄筋ユニット(フープ筋5と鉄筋6)を前記コンクリート部4に確実に固定(固着)させることはもとより、前記鉄筋ユニットを内蔵した前記コンクリート部4を前記鋼管1に確実に固定した構造の既製のSRC杭10、言わばSC杭に鉄筋(鉄筋ユニット5、6)を確実に組み込み有機的に一体化した構造の既製のSRC杭10を呈するので、許容曲げモーメントや許容せん断力をさらに大きくすることができて、高軸力での曲げ変形性能と軸力保持性能とを大きく向上させることができる。よって、既製のSC杭と比し、強度・剛性に優れた既製のSRC杭10を実現することができる。
【0026】
なお、本実施例では、前記鉄筋6の上下の端部をそれぞれ前記上端板2及び前記下端板3に固定して実施している。前記固定手段は、ねじ接合手段、溶接接合手段など種々あるが、本実施例では、
図3(又は
図4)に示すように、鉄筋6の上端(又は下端)を、拡径(テーパー)状の固定具を取り付ける等して拡径させ、対応する上端板2(又は下端板3)に形成した貫通孔を段付き(テーパー)状に形成し、前記貫通孔に通した鉄筋6の上端(又は下端)を引き抜き不能な構成とすることにより固定している。
よって、このように、前記鉄筋6の上下の端部をそれぞれ前記上端板2及び前記下端板3に固定して実施すると、鉄筋6と鋼管1との一体性をより高めることができるので、製造される既製のSRC杭10は、さらに、許容曲げモーメントや許容せん断力をさらに大きくすることができて、さらに、高軸力での曲げ変形性能と軸力保持性能とを大きく向上させることができる。したがって、既製のSC杭と比し、強度・剛性に非常に優れた既製のSRC杭10を実現することができる。
【0027】
また、本実施例では、前記鉄筋6は、前記スパイラル筋(フープ筋)5の内側に設けられ、平面方向から見て、前記スパイラル筋5よりも一回り小さい環状(立面方向から見るとスパイラル状)の形状保持部材7と前記スパイラル筋5との間に拘束されるように位置決め固定して実施している。前記形状保持部材7は前記鉄筋6に、溶接、又は鉄線等の結束材で取り付けられる。
よって、このように、前記鉄筋6を、平面方向から見て内外の拘束部材(5、7)で拘束されて実施すると、鉄筋6とスパイラル筋5との一体性をより高めることができる上に、前記形状保持部材7自体が補強筋の役割を兼ねた鉄筋ユニット(5、6、7)構造を呈するので、製造される既製のSRC杭10は、さらに、許容曲げモーメントや許容せん断力をさらに大きくすることができて、さらに、高軸力での曲げ変形性能と軸力保持性能とを大きく向上させることができる。したがって、既製のSC杭と比し、強度・剛性に非常に優れた既製のSRC杭10を実現することができる。
なお、前記鉄筋6を挟む内外の拘束部材(5、7)の位置関係は逆でもよい。すなわち、前記鉄筋6は、前記スパイラル筋5の外側に設けられ、平面方向から見て、前記スパイラル筋5よりも一回り大きい環状の形状保持部材7と前記スパイラル筋5との間に拘束されるように位置決め固定して実施することもできる。
【0028】
さらに、本実施例では、前記鋼管1と前記鉄筋5との間隔を一定に保つセパレータ8を前記形状保持部材8に溶接等の接合手段で設けて実施している。前記セパレータ8は、スパイラル筋(フープ筋)5に溶接等の接合手段で設けて実施することもできる。
よって、このように、前記鋼管1と前記鉄筋5との間隔を一定に保つセパレータ8を前記形状保持部材8又はスパイラル筋5に設けて実施すると、より適正な間隔を保持した状態で遠心成形できるので、製造される既製のSRC杭10は品質性に非常に優れ、さらに、許容曲げモーメントや許容せん断力をさらに大きくすることができて、さらに、高軸力での曲げ変形性能と軸力保持性能とを大きく向上させることができる。したがって、既製のSC杭と比し、強度・剛性に非常に優れた既製のSRC杭10を実現することができる。
【0029】
以上、実施例を図面に基づいて説明したが、本発明は図示例の限りではなく、その技術的思想を逸脱しない範囲において、当業者が通常に行う設計変更、応用のバリエーションの範囲を含むことを念のために言及する。
参考までに、
図6は、本発明に係る既製のSRC杭10の適用例を示している。杭先端が地中の支持層12へ到達するように、又は支持層12に到達させないまでも、地層との間で必要な摩擦力が得られる長さとなるように、1本ないし複数本の杭体11(例えば、前記SRC杭10、PHC杭、PRC杭など)を先行して一体的に接合して埋め込む。杭体11、11同士の接合は、端板相互の溶接接合、機械式継手で行う。もっとも、支持層12が浅い場合、又は必要な摩擦支持力が得られる場合には、本発明に係る既製のSRC杭10のみ埋設して使用する場合もある。上記のような埋設を行った後に、前記既製のSRC杭10の外周部上端部へ複数本のひげ鉄筋9を垂直上向きに取り付けて、前記ひげ鉄筋9を利用して基礎等の構造物13との一体化結合を行う。そのため杭頭部は通例、杭外径の1/2程度を地表部上に突き出させておく。
【符号の説明】
【0030】
1 鋼管
2 上端板
3 下端板
4 コンクリート部
4a 中空部
5 スパイラル筋(フープ筋
6 鉄筋
7 形状保持部材
8 セパレータ
9 ひげ鉄筋
10 既製のSRC杭
11 杭体
12 支持層
13 基礎等の構造物