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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024065414
(43)【公開日】2024-05-15
(54)【発明の名称】戸袋のレール構造
(51)【国際特許分類】
   E05D 15/06 20060101AFI20240508BHJP
   E06B 1/14 20060101ALI20240508BHJP
   E06B 3/46 20060101ALI20240508BHJP
【FI】
E05D15/06 125C
E05D15/06 125A
E06B1/14
E06B3/46
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022174262
(22)【出願日】2022-10-31
(71)【出願人】
【識別番号】506351536
【氏名又は名称】株式会社インパクト
(71)【出願人】
【識別番号】592166126
【氏名又は名称】株式会社中尾製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100167380
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 隆
(72)【発明者】
【氏名】瓜生 一成
(72)【発明者】
【氏名】宮本 信也
【テーマコード(参考)】
2E014
2E034
【Fターム(参考)】
2E014AA01
2E014FB05
2E014FC03
2E034AA07
2E034CA01
2E034CB01
(57)【要約】
【課題】戸袋の上枠からのレールの脱落を防止する。
【解決手段】戸袋3の上枠13と、戸袋3の上枠13に取り付けられ、戸袋3内に引戸4を出し入れ可能にスライド移動して吊り下げるレール5とを備える。レール5は、レール本体部21とレール本体部21の上部に固定される長尺の補強枠部22と、補強枠部22の長さ方向に間隔をおいて複数固定されるカバー枠部23と、カバー枠部23の上部に固定される帯状部24とを有する。戸袋3の上枠13が、その上板部16の下面から下方に突き出す第一突出板部18と、第二突出板部19を有する。第一突出板部18の先端部18aと第二突出板部19の先端部19aとで帯状部24が支持されている。カバー枠部23の一対の側板部23bの下端部に支持片部23cが設けられ、支持片部23cでレール本体部21の下板部21dを支持している。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
戸袋の上枠と、前記戸袋の上枠に取り付けられるレールとを備え、前記レールが前記戸袋内に入る開き位置と前記戸袋から出る閉じ位置との間でスライド移動する引戸を吊り下げる戸袋のレール構造において、
前記レールは、前記引戸を吊り下げるレール本体部と、前記レール本体部の上部に設けられる帯状部とを有し、戸袋の上枠は、その下部に前記引戸の厚さ方向に間隔をおいて、前記引戸のスライド移動する方向に沿って形成される第一突出板部および第二突出板部を有し、前記第一突出板部および前記第二突出板部の先端部が前記引戸の厚さ方向内向きに延び出しており、前記第一突出板部の先端部と前記第二突出板部の先端部が前記帯状部の幅方向両端部をそれぞれ支持する状態となっていることを特徴とする戸袋のレール構造。
【請求項2】
前記レール本体部と前記帯状部が一体に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の戸袋のレール構造。
【請求項3】
前記レールが、前記レール本体部と前記帯状部との間に挟まれる上板部と、前記上板部の、前記引戸の厚さ方向の両縁部からそれぞれ下方に延び出す側板部とを有するカバー枠部をさらに備え、前記カバー枠部のそれぞれの側板部の下部に、前記引戸の厚さ方向内向きに延び出す支持片部が形成されており、前記カバー枠部のそれぞれの支持片部が前記レール本体部の下端部を支持する状態となっている請求項1に記載の戸袋のレール構造。
【請求項4】
前記レールが、前記レール本体部と前記帯状部との間に挟まれる基板部と、前記基板部の前記レール本体部の幅方向両縁から下方に延びるフランジ部とを有する補強枠部をさらに備え、前記補強枠部のフランジ部が、前記レール本体部の幅方向両側部の上部の、幅方向外側に沿って位置している請求項3に記載の戸袋のレール構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、戸袋内に入る開き位置と戸袋から出る閉じ位置との間でスライド移動する引戸を吊り下げる戸袋のレール構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
部屋の開口部を広く確保することや、バリアフリーの観点から、部屋の開口部において、引戸を収納する戸袋が設けられている。この戸袋の上枠にレールを設け、戸袋内に入る開き位置と戸袋から出る閉じ位置との間で、引戸をレールに吊り下げてスライド移動させる戸袋のレール構造がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような戸袋のレール構造としては、図11(a)、(b)に示すように、部屋の出入り口となる開口部30に隣接して設けられる戸袋31と、戸袋31の上枠31aに形成された溝部31bに固定されたレール32とを備えている。レール32は、断面コの字状の長尺の枠状体であって、引戸33を吊り下げる吊車34が走行する一対の係合縁部32aを有する。このレール32は、予め、戸袋31を壁材35により覆う施工前に、溝部31bに対して、引戸33のスライド移動する方向に沿って、おねじ36によりねじ固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-198055号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述のレール32は、引戸33のスライド移動に伴って生じる振動や、戸袋31の上枠31aの経年劣化などにより、おねじ36が緩んで抜け落ちることがある。この場合、戸袋31の上枠31aの溝部31bからレール32が脱落する。
【0006】
再度、脱落したレール32を上枠31aの溝部31bに固定しようとしても、戸袋31内に作業者が手を入れることができない。このため、おねじ36をねじ込み、戸袋31の上枠31aの溝部31b内にレール32を固定する作業をすることができない。壁材35にメンテナンス用の点検口が設けられていれば、点検口からおねじ36をねじ込み、レール32を固定する作業を行うことができる。しかしながら、このような点検口が設けられていない場合、戸袋31を覆う壁材35を破壊して、再度、レール32を固定し直す必要がある。さらに、壁材35を新たに施工する必要もある。
【0007】
そこで、この発明の課題は、戸袋の上枠からのレールの脱落を防止する戸袋のレール構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、この発明は、以下の構成1~4を備えるものである。
[構成1]
戸袋の上枠と、前記戸袋の上枠に取り付けられるレールとを備え、前記レールが前記戸袋内に入る開き位置と前記戸袋から出る閉じ位置との間でスライド移動する引戸を吊り下げる戸袋のレール構造において、前記レールは、前記引戸を吊り下げるレール本体部と、前記レール本体部の上部に設けられる帯状部とを有し、戸袋の上枠は、その下部に前記引戸の厚さ方向に間隔をおいて、前記引戸のスライド移動する方向に沿って形成される第一突出板部および第二突出板部を有し、前記第一突出板部および前記第二突出板部の先端部が前記引戸の厚さ方向内向きに延び出しており、前記第一突出板部の先端部と前記第二突出板部の先端部が前記帯状部の幅方向両端部をそれぞれ支持する状態となっていることを特徴とする戸袋のレール構造。
【0009】
この構成において、引戸のスライド移動する方向へ、レールの帯状部を戸袋の上枠の第一突出板部と第二突出板部との間に挿し込むことにより、第一突出板部の先端部と第二突出板部の先端部が帯状部の幅方向外縁部をそれぞれ支持する状態となる。これにより、戸袋の上枠の内部に、レール本体部を保持することができる。
【0010】
[構成2]
前記レール本体部と前記帯状部が一体に形成されていることを特徴とする構成1に記載の戸袋のレール構造。
【0011】
この構成では、戸袋の上枠にレールを取り付ける前に、予めレール本体部と帯状部とを一体化する必要がない。
【0012】
[構成3]
前記レールが、前記レール本体部と前記帯状部との間に挟まれる上板部と、前記上板部の、前記引戸の厚さ方向の両縁部からそれぞれ下方に延び出す側板部とを有するカバー枠部をさらに備え、前記カバー枠部のそれぞれの側板部の下部に、前記引戸の厚さ方向内向きに延び出す支持片部が形成されており、前記カバー枠部のそれぞれの支持片部が前記レール本体部の下端部を支持する状態となっている構成1に記載の戸袋のレール構造。
【0013】
この構成では、例えば、レール本体部が、戸袋の上枠の第一突出板部と第二突出板部により保持されている帯状部に対しておねじにより固定された場合、引戸のスライド移動に伴って生じる振動などにより、おねじが緩んで抜け落ちても、カバー枠部の支持片部によりレール本体部を支持することができる。
【0014】
[構成4]
前記レールが、前記レール本体部と前記帯状部との間に挟まれる基板部と、前記基板部の前記レール本体部の幅方向両縁から下方に延びるフランジ部とを有する補強枠部をさらに備え、前記補強枠部のフランジ部が、前記レール本体部の幅方向両側部の上部の、幅方向外側に沿って位置している構成3に記載の戸袋のレール構造。
【0015】
この構成によると、引戸をスライド移動させた際に生じる揺動や、引戸の厚み方向の振れにより生じる外力をレール本体部が受ける。このレール本体部が受ける外力を補強枠部のフランジ部で受けることができる。このため、レール本体部の剛性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、戸袋の上枠の第一突出板部の先端部と第二突出板部の先端部とが、帯状部の幅方向外縁部をそれぞれ支持する状態となり、戸袋の上枠からのレール本体部の脱落を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】この発明の第一実施形態に係る戸袋のレール構造を用いた引戸を示す正面図
図2】同実施形態の戸袋のレール構造と引戸とを示す分解斜視図
図3】同実施形態の戸袋の上枠とレールの戸尻側端部とを示す一部切り欠き斜視図
図4図2中のA-A線における断面図
図5】同実施形態のレールを示す一部切り欠き斜視図
図6】(a)同実施形態のレールの戸尻側の先端部を示す一部切り欠き斜視図、(b)図2中のB-B線における断面図
図7】同実施形態のレールの分解斜視図
図8】(a)同実施形態の戸袋のレール構造の平面図、(b)同実施形態の戸袋のレール構造の上部を示す平面図
図9図8中のC-C線における断面図
図10】(a)この発明の第二実施形態に係る戸袋のレール構造のレールを示す断面図、(b)同実施形態に係る戸袋のレール構造を示す断面図
図11】(a)従来の戸袋のレール構造を用いた引戸を示す正面図、(b)図11(a)中のD-D線における断面図
【発明を実施するための形態】
【0018】
この発明の実施形態を図面に基づいて説明する。第一実施形態に係る戸袋のレール構造1は、図1、2に示すように、部屋の出入り口となる開口部2に隣接して設けられる戸袋3に用いられ、戸袋3内に入る開き位置と戸袋3から出る閉じ位置との間でスライド移動する引戸4をレール5により吊り下げるものである。なお、以下において、引戸4のスライド移動する方向を左右方向とし、左右方向に対して直交する引戸4の厚さ方向を前後方向と呼ぶものとする。
【0019】
部屋の開口部2は、その戸先側に配置される縦枠6と、開口部2の上縁に沿って左右方向に延びる鴨居7とが設けられている。戸袋3は、開口部2の戸尻側に隣接して設けられている。戸袋3の前後方向両側面は壁材9により覆われている。戸袋3は、矩形をなすフレーム体である。戸袋3は、左右方向両側に互いに間隔をおいて起立する戸尻側縦枠11および戸先側縦枠12と、上枠13と、下枠14と、戸尻側縦枠11と戸先側縦枠12の間に左右方向に延びる複数の中桟15とから形成されている。
【0020】
図2に示すように、戸尻側縦枠11および下枠14は、長尺の断面コの字の枠体であって、例えば、鉄板を折り曲げ加工して形成されている。戸先側縦枠12は、並んで起立する一対のアングル12a、12aから構成されており、これらのアングル12a、12aの間を引戸4がスライド移動するようになっている。
【0021】
上枠13および下枠14は、戸尻側縦枠11と戸先側縦枠12の上端および下端の間に架け渡されている。図3に示すように、上枠13は、帯状の上板部16と上板部16の前後方向両縁から下方に延びる一対の側板部17、17と、上板部16の下面から下方に突き出す第一突出板部18と、第二突出板部19を有する。一対の側板部17、17は、左右方向両端部で戸尻側縦枠11の両側板と、アングル12a、12aにそれぞれ固定されている。
【0022】
第一突出板部18と第二突出板部19は、前後方向に一定間隔をおいて引戸4のスライド移動する方向に沿って形成されている(図3参照)。第一突出板部18の先端部18aおよび第二突出板部19の先端部19aは、前後方向内向きに屈曲し、かつ、前後方向に対向している。第一突出板部18および第二突出板部19は、上枠13の全長(左右方向の全長)にわたって形成されている。上枠13の上板部16と、第一突出板部18の先端部18aとの間には、すき間が形成されている。同様に、上枠13の上板部16と、第二突出板部19の先端部19aとの間にも、すき間が形成されている。
【0023】
第一突出板部18と第二突出板部19との上板部16側の間隔は、後述するレール5の帯状部24の前後方向の幅寸法と同じか、わずかに大きい。また、上板部16と第一突出板部18(第二突出板部19)の先端部18a(先端部19a)との間に形成されるすき間は、後述するレール5の帯状部24の前後方向の外縁部24bの厚さと同じか、わずかに大きい。第一突出板部18と第二突出板部19との間にレール5の帯状部24が差し込まれている状態で、第一突出板部18の先端部18aと第二突出板部19の先端部19aが帯状部24の前後方向一対の外縁部24b、24bをそれぞれ支持するようになっている。なお、第一突出板部18および第二突出板部19は、上枠13の上板部16に対して、左右方向に沿って間欠的に複数に形成されていてもよい。
【0024】
図5図7に示すように、レール5は、長尺のレール本体部21とレール本体部21の上部に固定される長尺の補強枠部22と、補強枠部22の左右方向に間隔をおいて固定されるカバー枠部23と、それぞれのカバー枠部23の上部に架け渡す状態で、カバー枠部23の上部に固定される帯状部24とを有する。
【0025】
レール本体部21は、断面がコ字状の枠状部材である。図6(a)に示すように、レール本体部21は、戸袋3の戸尻側縦枠11から戸先側縦枠12を経て、開口部2の縦枠6に至る左右方向の長さを有している。レール本体部21は、帯状をなす上板部21aと、上板部21aの前後方向両縁部から下方に延び出す一対の側板部21bとから形成されている。上板部21aの前後方向の中央部には、上板部21aの全長にわたって上方に突き出る固定板部21cが形成されている。
【0026】
図6(a)、(b)に示すように、それぞれの側板部21bの下端部には、下板部21dが一体に形成されている。下板部21dは、前後方向が幅方向となる状態で、側板部21bの全長にわたって形成されている。下板部21dは、側板部21bの下端部から前後方向の両方向に、下板部21dの前後方向の両縁部が突き出している。下板部21dの前後方向の内側に位置する突出縁部には、上向きに突き出す突条21eが形成されている。
【0027】
図7に示すように、補強枠部22は、帯状の基板部22aと、基板部22aの前後方向両縁部から下方に折り曲げられた一対のフランジ部22bとを有する。補強枠部22は、レール本体部21と同じ長さを有している。基板部22aは、レール本体部21の上板部21aの前後方向の幅寸法と同じ前後方向の幅寸法を有している。一対のフランジ部22bは、補強枠部22の長さ方向(左右方向)の途中位置から戸先側端部に至る範囲に、前後方向外向きに延び出る固定片部22cが一体に形成されている。固定片部22cは、鴨居7に対して固定されるものであって、鴨居7の左右方向の長さと同じ左右方向の長さを有する。それぞれのフランジ部22bは、レール本体部21の上部に補強枠部22が固定されている状態で、レール本体部21のそれぞれの側板部21bの前後方向外側に位置している。それぞれのフランジ部22bは側板部21bに接触して、または前後方向にわずかなすき間をおいて配置されている。
【0028】
カバー枠部23は、上板部23aと、上板部23aの前後方向両縁部から下方に延び出す一対の側板部23b、23bと、それぞれの側板部23bの下端部から前後方向内向きに屈曲した支持片部23cとから形成される。上板部23aは、左右方向の幅寸法が、前後方向の幅寸法よりも小さく形成されている。図6(a)、(b)に示すように、一対の側板部23b、23bは、補強枠部22のフランジ部22b、22bよりも前後方向外側に位置している。一対の側板部23b、23bは、戸袋3の一対のアングル12aよりも、前後方向内側に位置している。それぞれの支持片部23cは、レール本体部21の下板部21dよりも下方に位置している。それぞれの支持片部23cは、レール本体部21の下板部21dを支持している。この「支持している」とは、それぞれの支持片部23cがレール本体部21の下板部21dに接触している状態だけでなく、それぞれの支持片部23cが、レール本体部21の下板部21dに対して上下方向にわずかなすき間をもって下方に位置している状態も含む。カバー枠部23は、補強枠部22における、戸尻側端部から固定片部22cが形成されていない範囲において、左右方向に間隔をおいて複数(図2では4つ)配置されている。
【0029】
図7に示すように、帯状部24は、複数のカバー枠部23に架け渡された状態で、それぞれのカバー枠部23に固定されている。帯状部24は、長尺の固定帯部24aと、固定帯部24aの前後方向の両縁部に一体に形成される一対の外縁部24b、24bとを有する。図9に示すように、固定帯部24aの前後方向の幅寸法は、戸袋3の上枠13の第一突出板部18の先端部18aと第二突出板部19の先端部19aの前後方向の間隔よりも小さい。それぞれの外縁部24bは、固定帯部24aよりも上位にある。
【0030】
帯状部24がカバー枠部23に固定されている状態において、それぞれの外縁部24bは、上枠13の上板部16と第一突出板部18の先端部18aとの間のすき間に差し込み可能であり、また、上枠13の上板部16と第二突出板部19の先端部19aとの間のすき間に差し込み可能となっている。図7に示すように、帯状部24の長さ(左右方向の長さ)は、補強枠部22の戸尻側端部から固定片部22cの戸尻側端部までの長さよりも少し小さく形成されている。帯状部24の戸尻側端部は、補強枠部22の戸尻側端部よりも、左右方向内側に位置している(図3参照)。
【0031】
レール5は、以下のように組み立てられる。
まず、補強枠部22の基板部22aに対して、その長さ方向(左右方向)に間隔をおいて複数箇所にカバー枠部23の上板部23aがリベットの加締めにより固定される。
次に、それぞれのカバー枠部23の上板部23a上に帯状部24が載せられ、補強枠部22の基板部22aと帯状部24の固定帯部24aとが、複数のカバー枠部23の上板部23aを介して、リベットの加締めにより固定される。
【0032】
続いて、補強枠部22の一対のフランジ部22bの間に、レール本体部21が左右方向に差し込まれ、レール本体部21の上板部21a上に補強枠部22の基板部22aが載せられる。その後、レール本体部21の上板部21aと補強枠部22の基板部22aとが上向きにねじ込まれたおねじ8により固定される。このとき、レール本体部21および補強枠部22の戸尻側端部の位置が揃う状態となっている。以上のようにして、レール5が組み立てられる。
【0033】
引戸4は、矩形をなし、戸袋3に収納可能な大きさに形成されている。引戸4の上端部に対して、左右方向の両端部にそれぞれ吊車10が取り付けられている。引戸4の戸先側端部の両面に取手4aが取り付けられている。吊車10は、一対のローラ10aを備えている。ローラ10aは、その外周面の径方向断面形状が径方向内向きに凹む円弧となっている。図9に示すように、それぞれのローラ10aは、レール本体部21の突条21eの上を転走するようになっている。引戸4は、レール本体部21の突条21eの上を転走する吊車10のローラ10aを介して、レール本体部21の長さ方向(左右方向)に沿って、スライド移動可能に吊り下げられる。
【0034】
図8に示すように、レール5は、戸袋3の上枠13に取り付けられている。このレール5の取り付けは、まず、図3に示すように、レール5の戸尻側端部を、戸袋3の上枠13の戸先側端部に接近させる。次に、レール5の帯状部24を、上枠13の第一突出板部18と第二突出板部19の間に差し込んでいく。このとき、図9に示すように、帯状部24の一方の外縁部24bが、上枠13の上板部16と、第一突出板部18の先端部18aの間に位置する。帯状部24の他方の外縁部24bが、上枠13の上板部16と、第二突出板部19の先端部19aの間に位置する。さらに、帯状部24は、上枠13の戸尻側端部にまで達する状態となっている。このようにして、戸袋のレール構造1が組み立てられる。
【0035】
図1に示すように、戸袋のレール構造1は、部屋の開口部2の戸尻側に隣接するように戸袋3が設けられる。レール5の補強枠部22およびレール本体部21は、その長さ方向(左右方向)の途中位置から戸先側端部に至る範囲において、戸袋3から戸先側へ突出している。補強枠部22の戸先側への突出部分が鴨居7に固定されている。そして、戸袋3の前面(必要に応じて後面)が壁材9により覆われる状態となる。
【0036】
この発明に係る第一実施形態の戸袋のレール構造1は以上のように構成される。この実施形態の戸袋のレール構造1は、戸袋3の上枠13の第一突出板部18と第二突出板部19との間に、レール5の帯状部24が左右方向に差し込まれている。そして、第一突出板部18の先端部18aで帯状部24の一方の外縁部24bが支持され、第二突出板部19の先端部19aで帯状部24の他方の外縁部24bが支持されている。このため、帯状部24に固定されているレール本体部21を、戸袋3の上枠13の内部に保持することができる。このため、引戸4のスライド移動に伴って振動が生じたり、戸袋3の上枠13の経年劣化が進んだりしても、戸袋3の上枠13からのレール5の脱落を防止することができる。
【0037】
また、戸袋のレール構造1は、レール5に複数のカバー枠部23を備えている。それぞれのカバー枠部23の一対の側板部23b、23bは、補強枠部22のフランジ部22b、22bよりも前後方向外側に位置している。このため、引戸4のスライド移動に伴って生じる振動などにより、おねじ8が緩んで抜け落ちる場合がある。この場合であってもカバー枠部23の支持片部23cによりレール本体部21が支持されて、戸袋3内でのレール本体部21の脱落を防止することができる。
【0038】
さらに、戸袋のレール構造1は、レール5に補強枠部22を備えている。この補強枠部22の一対のフランジ部22bは、レール本体部21のそれぞれの側板部21bの前後方向外側に沿って位置している。そして、一対のフランジ部22bは、レール本体部21の側板部21bに接触して、または前後方向にわずかなすき間をおいて配置されている。ここで、引戸4をスライド移動させた際に生じる揺動や、引戸4の厚み方向の振れにより生じる外力をレール本体部21が受ける。このレール本体部21が受ける外力を補強枠部22のフランジ部22bで受けることができるため、レール本体部21の剛性を向上させることができる。
【0039】
次に、第二実施形態に係る戸袋のレール構造1を、図10(a)、(b)に、示す。この第二実施形態に係る戸袋のレール構造1は、レール5がカバー枠部23を備えていない点で、上述した第一実施形態に係る戸袋のレール構造1と相違する。その他の構成は、第一実施形態と同じ構成であるため、第一実施形態と同じ符号を付してその説明を省略する。
【0040】
図10(a)に示すように、第二実施形態に係る戸袋のレール構造1のレール5は、レール本体部21の固定板部21cと帯状部24の固定帯部24aとの間に補強枠部22の基板部22aがリベットの加締めにより固定されている。図10(b)に示すように、戸袋3の上枠13の第一突出板部18と第二突出板部19との間に、レール5の帯状部24がレール5の長さ方向(左右方向)に差し込まれている。そして、第一実施形態の場合と同様に、第一突出板部18の先端部18aで帯状部24の一方の外縁部24bが支持され、第二突出板部19の先端部19aで帯状部24の他方の外縁部24bが支持されている。
【0041】
なお、この第二実施形態において、レール5がカバー枠部23を備えていない戸袋のレール構造1を例に挙げて説明した。戸袋のレール構造1としては、例えば、レール5が補強枠部22と複数のカバー枠部23とを備えず、レール本体部21の固定板部21cと帯状部24の固定帯部24aとが一体に形成されているものとしてもよい。この場合、レール本体部21に、補強枠部22と複数のカバー枠部23とを固定する必要がなく、戸袋の施工時の作業性が向上する。
【符号の説明】
【0042】
1 戸袋のレール構造
2 開口部
3 戸袋
4 引戸
5 レール
6 縦枠
9 壁材
10 吊車
10a ローラ
11 戸尻側縦枠
12 戸先側縦枠
13 上枠
14 下枠
16 上板部
17 側板部
18 第一突出板部
18a、19a 先端部
19 第二突出板部
21 レール本体部
21a 上板部
21b 側板部
21c 固定板部
22 補強枠部
22a 基板部
22b フランジ部
23 カバー枠部
23a 上板部
23b 側板部
23c 支持片部
24 帯状部
24a 固定帯部
24b 外縁部
図1
図2
図3
図4
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