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  • 特開-吊り下げキャップ 図1
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  • 特開-吊り下げキャップ 図6
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024065434
(43)【公開日】2024-05-15
(54)【発明の名称】吊り下げキャップ
(51)【国際特許分類】
   B65D 51/24 20060101AFI20240508BHJP
   B65D 47/08 20060101ALI20240508BHJP
【FI】
B65D51/24 300
B65D47/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022174285
(22)【出願日】2022-10-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】110001542
【氏名又は名称】弁理士法人銀座マロニエ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古原 裕嗣
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA02
3E084AA12
3E084AA24
3E084AB06
3E084BA01
3E084CA01
3E084CB02
3E084CC03
3E084DB01
3E084DC03
3E084FA01
3E084GB06
3E084JA16
(57)【要約】
【課題】チューブ容器の口頚部に取り付けられるキャップについて、該キャップ内への水の浸入を有効に防止することができ、またタオル掛け等に吊り下げ可能な構成を付与した吊り下げキャップを提供すること。
【解決手段】吐出ノズル35を有し、容器の口頚部12cに装着されるキャップ本体3と、キャップ本体3にヒンジ6を介して開閉可能に支持される蓋体4と、蓋体4に設けられ、キャップ本体3を容器とともに吊り下げ可能な吊り下げ部材5と、を備え、吊り下げ部材5は、蓋体4にヒンジ7を介して回動可能に支持され、貫通開口52に吊り下げ棒状体8を挿通させることによりキャップ本体3を容器とともに吊り下げる環状体51を有し、環状体51に貫通開口52に導入する開口部53と、一方の側壁53a1に片持ち支持され開口部53を閉塞させるが、片持ち支持部54aを起点に傾倒させて開口部53を開放する可動片54を設けたこと。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器に充填された内容物を吐出させる吐出ノズルを有し、容器の口頚部に装着されるキャップ本体と、該キャップ本体にヒンジを介して開閉可能に支持され、閉姿勢に保持することにより該吐出ノズルの吐出口を閉塞して内容物の吐出を不可とする一方、開姿勢に保持することにより該吐出ノズルの吐出口を開放して内容物の吐出を可能とする蓋体と、該蓋体に設けられ、該キャップ本体を容器とともに吊り下げ可能な吊り下げ部材とを備えた吊り下げキャップであって、
前記吊り下げ部材は、前記蓋体にヒンジを介して回動可能に支持され、貫通開口に吊り下げ棒状体を挿通させることにより前記キャップ本体を容器とともに吊り下げる環状体を有し、
該環状体に、前記吊り下げ棒状体を、開放端を通して該貫通開口に導入する開口部と、該開放端の一方の側壁に片持ち支持され、もう一方の側壁に至るまで間に位置して該開口部を閉塞させるが、片持ち支持部を起点に傾倒させて該開口部を開放する可動片を設けたことを特徴とする吊り下げキャップ。
【請求項2】
前記可動片は、その自由端に、該自由端を前記もう一方の側壁につなげるが、前記片持ち支持部を起点とする傾倒にて破断可能な弱化部を有することを特徴とする請求項1に記載した吊り下げキャップ。
【請求項3】
前記片持ち支持部は、前記環状体の径方向外側に前記貫通開口側に向けて凹んだ凹部を有し、前記環状体の径方向内側に平滑部を有することを特徴とする請求項1または2に記載した吊り下げキャップ。
【請求項4】
前記蓋体は、前記吐出ノズルに嵌合させて該吐出ノズルの吐出口を閉塞する閉塞栓を備えた天板と、該天板の外縁部に垂下保持され、下端を前記キャップ本体の上面に当接させて該蓋体を閉姿勢に保持する周壁からなり、
前記天板は、前記環状体の、該蓋体に向かう回動にて前記貫通開口に着脱自在に嵌合可能な天面中央壁部と、該天面中央壁部の外縁部基端につながり、該蓋体の径方向外側に向かう下り勾配が付与された環状の天面傾斜壁部とを有することを特徴とする請求項1または2に記載した吊り下げキャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗顔料等の内容物を収容するチューブ容器等の口頚部に取り付けられる吊り下げキャップに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、洗顔料やシャンプー、コンディショナー等の内容物を収容する容器としてチューブ容器が広く利用されている(例えば特許文献1参照)。このようなチューブ容器の多くは、吐出口が下向きとなる倒立姿勢で保管できるように、容器本体の口部に取り付けられるキャップの蓋体の天面が平坦に形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022―81931号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通常、チューブ容器は、洗顔料やシャンプー等、浴室や洗面所などの水回りにおいて使用されることが多く、上記したように蓋体が下向きとなるように倒立姿勢で保管した際や、チューブ容器の胴部をスクイズして変形させた際に、チューブ容器の外表面に付着していた水滴がキャップに向かって流れ、チューブ容器の肩部とキャップとの隙間から水が浸入し、該キャップの内側に溜まった水が原因となって、カビの発生や雑菌の繁殖を引き起こすおそれがあった。
【0005】
そのため、従来よりチューブ容器に付着した水滴が、その胴部を伝って流れてきても、該チューブ容器の肩部とキャップとの隙間から水が浸入しないような種々のキャップ構造が開発されているが、さらに強固に水の浸入を防止することができるようなキャップの開発が求められている。
【0006】
とくに、近年、入浴をシャワーのみで済ます消費者の割合も増えていることから、シャワーを利用する環境下においてキャップの内側への水の浸入をより阻止することのできるキャップが求められており、また洗顔料やシャンプー、コンディショナー等を、浴室内のタオル掛けなどに引っ掛けて、立ったままの姿勢で手の届く範囲に保管したいという要望もある。
【0007】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであって、チューブ容器等の口頚部に取り付けられるキャップについて、該キャップ内への水の浸入を有効に防止することができ、またタオル掛け等に吊り下げ可能な構成を付与した吊り下げキャップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を実現するために開発した本発明の吊り下げキャップは、容器に充填された内容物を吐出させる吐出ノズルを有し、容器の口頚部に装着されるキャップ本体と、該キャップ本体にヒンジを介して開閉可能に支持され、閉姿勢に保持することにより該吐出ノズルの吐出口を閉塞して内容物の吐出を不可とする一方、開姿勢に保持することにより該吐出ノズルの吐出口を開放して内容物の吐出を可能とする蓋体と、該蓋体に設けられ、該キャップ本体を容器とともに吊り下げ可能な吊り下げ部材とを備えた吊り下げキャップであって、
前記吊り下げ部材は、前記蓋体にヒンジを介して回動可能に支持され、貫通開口に吊り下げ棒状体を挿通させることにより前記キャップ本体を容器とともに吊り下げる環状体を有し、
該環状体に、前記吊り下げ棒状体を、開放端を通して該貫通開口に導入する開口部と、該開放端の一方の側壁に片持ち支持され、もう一方の側壁に至るまで間に位置して該開口部を閉塞させるが、片持ち支持部を起点に傾倒させて該開口部を開放する可動片を設けたことを特徴とする。
【0009】
なお、本発明の吊り下げキャップにおいて、前記可動片は、その自由端に、該自由端を前記もう一方の側壁につなげるが、前記片持ち支持部を起点とする傾倒にて破断可能な弱化部を有することが好ましい。
【0010】
また、本発明の吊り下げキャップにおいて、前記片持ち支持部は、前記環状体の径方向外側に前記貫通開口側に向けて凹んだ凹部を有し、前記環状体の径方向内側に平滑部を有することが好ましい。
【0011】
また、本発明の吊り下げキャップにおいて、前記蓋体は、前記吐出ノズルに嵌合させて該吐出ノズルの吐出口を閉塞する閉塞栓を備えた天板と、該天板の外縁部に垂下保持され、下端を前記キャップ本体の上面に当接させて該蓋体を閉姿勢に保持する周壁からなり、前記天板は、前記環状体の、該蓋体に向かう回動にて前記貫通開口に着脱自在に嵌合可能な天面中央壁部と、該天面中央壁部の外縁部基端につながり、該蓋体の径方向外側に向かう下り勾配が付与された環状の天面傾斜壁部とを有することが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の吊り下げキャップによれば、キャップ本体にヒンジを介して開閉可能に支持された蓋体に、環状体からなる吊り下げ部材を、ヒンジを介して回動可能に設け、該環状体の貫通開口にタオル掛け等の吊り下げ棒状体を挿通することで、該吊り下げ部材をフックとして利用し、浴室等において吊り下げキャップ(および容器)を吊り下げて保管することができるため、水滴がキャップ本体内に浸入することがなく、カビや雑菌の繁殖等を防止することができる。
【0013】
また、使用にあたっては、吊り下げ棒状体に吊り下げたまま、蓋体を開放することでキャップ本体に設けた吐出口を露出させて内容物を取り出すことができ、消費者が立った姿勢のまま使用に供することができる。
【0014】
また、本発明の吊り下げキャップによれば、前記吊り下げ部材の、前記貫通開口内に吊り下げ棒状体を導入するための開口部の開放端に、一方の側壁に片持ち支持された可動片を有し、該可動片によって前記開口部が閉塞または開放するように構成されているため、該吊り下げ部材を吊り下げ棒状体に引っ掛けて吊り下げた際に、前記可動片が開口部を閉塞するように機能することで、該吊り下げ部材が容易に吊り下げ用棒状体から脱落するのを防止することができ、安心して使用することができる。
【0015】
また、本発明の吊り下げキャップによれば、蓋体の天板が、天面中央壁部と、該天面中央壁部の外縁部基端につながり、該蓋体の径方向外側に向かう下り勾配が付与された環状の天面傾斜壁部とから構成されているため、吊り下げ棒状体に吊り下げた状態で、シャワー等の水滴が当たっても、水滴は、天面傾斜壁部に沿って流れ落ちるため、蓋体やキャップ本体内に溜まることがなくカビや雑菌の繁殖を抑制することができる。
【0016】
さらに、本発明の吊り下げキャップによれば、前記天面中央壁部と、前記吊り下げ部材の貫通開口および開口部とが着脱自在に嵌合するように構成されているため、吊り下げキャップを、吊り下げ棒状体に吊り下げて使用しない場合には、前記吊り下げ部材を前記蓋体に向けて回動させて、前記貫通開口および前記開口部を前記天面中央壁部に嵌合させることで前記吊り下げ部材がフラつくことがなく、また吊り下げキャップの天面が平坦になり容器を倒立姿勢で保管することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明にしたがう吊り下げキャップを容器本体に装着した状態を示した図であり、(a)は平面図、(b)は正面図である。
図2図1(a)のA-A位置における断面図である。
図3図1の吊り下げキャップについて、吊り下げ部材を、ヒンジを介して回動させて上方に引き上げた状態を示す図であり、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は右側面図である。
図4】(a)は、図3(a)のB-B位置における断面図であり、(b)は、蓋体を、ヒンジを介して上方に引き上げて吐出ノズルの吐出口を開放させた状態を示す断面図である。
図5】吊り下げキャップを吊り下げ棒状体に吊り下げた状態を示した図であり、(a)は蓋体を閉めた状態であり、(b)は蓋体を開けた状態である。
図6】吊り下げキャップを吊り下げ棒状体に吊り下げた状態で内容物を吐出ノズルから吐出させた状態を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明にしたがう吊り下げキャップを、チューブ容器に装着した状態で示した図であり、(a)は平面図、(b)は正面図であり、図2図1(a)のA-A位置における断面図であり、図3は、図1の吊り下げキャップについて、吊り下げ部材を、ヒンジを介して回動させて上方に引き上げた状態を示す図であり、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は右側面図であり、図4(a)は、図3(a)のB-B位置における断面図であり、(b)は、蓋体を、ヒンジを介して上方に引き上げて吐出ノズルの吐出口を開放させた状態を示した断面図である。
【0019】
図1~4における符号1は、内容物を収容するチューブ容器、2は、チューブ容器1の口頚部にねじ止めされチューブ容器1内を密封保持する吊り下げキャップである。
【0020】
チューブ容器1は、合成樹脂等の素材からなり、下端部が溶着等により封止されて内側に内容物の充填空間を有する容器本体11と、該容器本体11の上端部に溶着等により固着されるヘッド12とから構成されている。容器本体11は、胴部を押圧して内容物を吐出ノズルから押し出すことができるように可撓性を有する材料で構成され、一方、ヘッド12は、吊り下げキャップ2を取り付ける口頚部を構成するため剛性を有する材料で構成されている。
なお、本実施形態では、容器としてチューブ容器1を一例として示しているが、口頚部に吊り下げキャップ2を装着することができればどのようなものであってもよい。
【0021】
ヘッド12は、円環壁12aと、円環壁12aの上端部から容器本体11の軸線Oに向かって上方に傾斜して延在する傾斜壁12bと、傾斜壁12bの内端部から上方に向けて延在する円筒状の口頚部12cとを備えている。口頚部12cの外周壁には、後述する吊り下げキャップ2を装着するための雄ネジ部12dが設けられている。また、口頚部12cの下端部(傾斜壁12bとの連結部)には、装着した吊り下げキャップ2の回り止めとなる2つの大小の突起(図示しない)が間隔をあけて設けられている。
【0022】
吊り下げキャップ2は、ヘッド12の口頚部12cに装着されるキャップ本体3と、キャップ本体3にヒンジ6を介して開閉可能に支持される蓋体4と、蓋体4にヒンジ7を介して回動可能に支持される吊り下げ部材5と、から構成されている。なお、本実施形態では、吊り下げキャップ2を構成するキャップ本体3と、蓋体4と、吊り下げ部材5およびヒンジ6、7が一体で形成されて一部材とすることにより、部品点数の削減を図るようにしているが、それぞれ異なる部材によって形成してもよい。
【0023】
キャップ本体3は、内筒31と外筒32とを有し、該内筒31と外筒32は上端部に設けた天壁33を介して一体に構成されている。また、内筒31と外筒32との間には、板状をなす回り止めリブ34が設けられている。
【0024】
内筒31は、内周壁に雌ネジ部31aを有し、ヘッド12の口頚部12cの外周壁に設けられた雄ネジ部12dに螺合する他、アンダーカット嵌合することで、吊り下げキャップ2をチューブ容器1の口頚部12cに着脱可能に装着することができる。なお、本実施形態では、雌ネジ部31aと雄ネジ部12dとの螺合に際し、吊り下げキャップ2を最後まで回転させると、回り止めリブ34が、前記した2つの大小の突起の間に挟まれるため、吊り下げキャップ2が不用意に回転して外れてしまう不具合を防止することできる。
【0025】
天壁33は、上面から立ち上がる筒状の吐出ノズル35が設けられている。また、天壁33の裏面には、口頚部12cの内周壁に沿って嵌め入れて、容器本体11を密封するシールリング36が垂下保持されている。
【0026】
キャップ本体3は、合成樹脂製等の素材を用いて製造することができるが、素材の材質についてはとくに限定されない。また、本実施形態では、円筒状のものを一例として示しているが、図示した形状に限定されない。
【0027】
蓋体4は、キャップ本体3の天壁33の周縁部にヒンジ6を介して開閉可能に支持され、図4(b)に示すように蓋体4を開閉させることで吐出ノズル35を密閉および開放させることができる。蓋体4は、天板41と天板41の外縁部に垂下保持された周壁42とから構成され、図1および図2に示す蓋体4の閉姿勢においては、周壁42の下縁部が、キャップ本体3の天壁33の外周縁部に設けた凹部33aと着脱自在にアンダーカット嵌合し、蓋体4を閉姿勢に保持することができる。
【0028】
天板41は、天面中央壁部41aと、該天面中央壁部41aの外縁部基端につながり、蓋体4の径方向外側に向かう下り勾配が付与された環状の天面傾斜壁部41bとを有している。
【0029】
天面中央壁部41aは外周形状が、後述する吊り下げ部材5の、環状体51に設けられた貫通開口52および開口部53の内周形状と略同形からなり、吊り下げ部材5を、ヒンジ7を支点に蓋体4に向かって回動させ、下方に押し込むことで、天壁中央壁部41aの外周縁部と、貫通開口52および開口部53の内周縁部とがアンダーカット嵌合するように構成されている。
【0030】
天面中央壁部41aの裏面には、円環状の閉塞栓43と、該閉塞栓43の内側にシールリング44が垂下保持されている。図2に示すように蓋体4を閉じると、閉塞栓43内に吐出ノズル35が挿入し、該閉塞栓43の内周壁と吐出ノズル35の外周壁とが嵌合すると共に、シールリング44が吐出ノズル35の吐出口35aの内周壁に沿って嵌り込むことで、吐出口35aを密閉することができる。
【0031】
周壁42は、外周縁部にキャップ本体3と蓋体4とをつなぐヒンジ6と、蓋体4と後述する吊り下げ部材5とをつなぐヒンジ7とを有している。なお、ヒンジ6とヒンジ7は、容器本体11の軸線Oを挟んで互いに対向する位置に設けられている。また、ヒンジ7は、蓋体4を開閉する際に手指で押し上げ、押し下げるための指掛かりとしての機能を有している。
【0032】
吊り下げ部材5は、蓋体4にヒンジ7を介して回動可能に支持されている。吊り下げ部材5は、貫通開口52を有する環状体51と、環状体51の外周縁部から垂下保持された周壁56と、を有し、該環状体51は、貫通開口52につながる開口部53と、該開口部53の開放端に設けられた可動片54と、を有している。
【0033】
環状体51は、ヒンジ7に対向する位置の外周縁部に、径方向外側に向けて突出する突出部55を有し、該突出部55を指掛かりとして吊り下げ部材5をヒンジ7を介して回動させて起立姿勢と倒伏姿勢とに変更することができる。
【0034】
吊り下げ部材5は、蓋体4(天面中央壁部41a)に嵌合されているため、使用開始前や図4に示すように蓋体4を開放させた際に、吊り下げ部材5がフラつくことがなく、また吊り下げ部材5(および天面中央壁部41a)を底面として、容器を倒立姿勢にして保持することもできる。
【0035】
なお、吊り下げ部材5は、タオル掛け等の吊り下げ棒状体8に容器を吊り下げるためのフックとなるもので、使用に際しては環状体51を、突起部55を指掛かりとして上方に引き起こして起立姿勢に保持し、開口部53を通して貫通開口52内に吊り下げ用棒状体8を挿通させる。
【0036】
可動片54は、一方の端部が開口部53の開放端53aの一方の側壁53a1に片持ち支持され(片持ち支持部54a)、他方の端部が自由端54bとなっている。なお、可動片54は、前記開放端53aの他方の側壁53a2まで延在して、開口部53を閉塞させるように位置するが、片持ち支持部54aを起点に傾倒させることにより、該開口部53を開放することができるように構成されている。したがって、上記したように貫通開口52内に吊り下げ用棒状体8を挿通させる際には、まず可動片54を環状体51の径方向内側に傾倒させて開口部53を開放し、該開口部53から吊り下げ棒状体8を挿通させ、その後、可動弁54を元の閉塞姿勢とすることで、貫通開口52から吊り下げ用棒状体8が脱落するのを効果的に防止することができる。
【0037】
なお、可動弁54の自由端54bは、使用開始まで開放端53aの他方の側壁53a2に、薄肉にすることにより形成された弱化部によって連結しておき、使用開始にあたって片持ち支持部54aを起点として可動弁54を傾倒させることで前記弱化部を破断させて使用に供することが好ましい。
【0038】
また、片持ち支持部54aは、環状体51の径方向外側に、貫通開口52に向けて凹んだ凹部54cを有する一方、環状体51の径方向内側は平滑部となっている。これにより、可動弁54を、片持ち支持部54aを起点として、環状体51の径方向内側に傾倒しやすくすることができる一方、径方向外側には変形しにくくなるという効果が期待できる。
【0039】
さらに、開口部53は、キャップ本体3と蓋体4とをつなぐヒンジ6の幅方向の中心と、環状体51と蓋体4とをつなぐヒンジ7の幅方向の中心とを結ぶ直線L(図1参照)に対して交差する向きに設けられている。これにより、吊り下げ部材5を、引き起こして起立姿勢にした際に、開口部53が環状体51の側部に位置することになり、該開口部53から吊り下げ用棒状体8を挿入しやすくなる。
【0040】
図5は、吊り下げキャップ2を、タオル掛け等の吊り下げ棒状体8に吊り下げた状態を示した図であり、(a)は蓋体4を閉めた状態であり、(b)は蓋体4を開けた状態である。図6は、吊り下げキャップ2を吊り下げ用棒状体8に吊り下げた状態で内容物を吐出ノズル35から吐出させた状態を示した図である。
【0041】
図5に示すように、吊り下げ棒状体8に吊り下げた状態でシャワー等の水が、吊り下げキャップ2にかかったとしても、水滴Wは蓋体4の天面傾斜壁部41bを伝って下方に流れ落ちるため、水滴Wが蓋体4の表面やキャップ本体3内に滞留することがなく、カビや雑菌の繁殖を抑制することができる。
また、図6のように吊り下げ棒状体8に吊り下げたまま、蓋体4を開放して吐出ノズル35から内容物を吐出させることもでき、消費者が立った姿勢のまま使用に供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明の吊り下げキャップは、クリーム状、粘稠状等の化粧品や飲食品、医薬品、洗剤等を充填する容器のキャップとして好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0043】
1 チューブ容器
11 容器本体
12 ヘッド
12a 円環壁
12b 傾斜壁
12c 口頚部
12d 雄ネジ
12e 大突起
12f 小突起
2 吊り下げキャップ
3 キャップ本体
31 内筒
31a 雌ネジ部
32 外筒
33 天壁
33a 凹部
34 回り止めリブ
35 吐出ノズル
35a 吐出口
36 シールリング
4 蓋体
41 天板
41a 天面中央壁部
41b 天面傾斜壁部
42 周壁
43 閉塞栓
44 シールリング
5 吊り下げ部材
51 環状体
52 貫通開口
53 開口部
53a 開放端
53a1 側壁
53a2 側壁
54 可動片
54a 片持ち支持部
54b 自由端
54c 凹部
55 突出部
56 周壁
6、7 ヒンジ
8 吊り下げ棒状体
W 水滴

図1
図2
図3
図4
図5
図6