(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024065439
(43)【公開日】2024-05-15
(54)【発明の名称】酸素供給制御装置
(51)【国際特許分類】
A61M 16/00 20060101AFI20240508BHJP
【FI】
A61M16/00 305C
A61M16/00 345
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022174296
(22)【出願日】2022-10-31
(71)【出願人】
【識別番号】501002079
【氏名又は名称】株式会社ファーレックス
(74)【代理人】
【識別番号】100098545
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100189717
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 貴章
(72)【発明者】
【氏名】大村 昭人
(72)【発明者】
【氏名】平林 剛
(57)【要約】
【課題】外部からの酸素供給の影響を受けることなく自発呼吸における吸気開始(呼気終了)タイミングを算出できる酸素供給制御装置を提供すること。
【解決手段】呼吸フローセンサ1の信号から呼気フローピークポイントを検出する呼気フローピークポイント検出手段12と、複数の呼気フローピークポイントから一呼吸時間を算出する一呼吸時間算出手段14と、一呼吸時間算出手段14で算出される一呼吸時間と、あらかじめ設定したI:E比とから呼気時間を算出する呼気時間算出手段15と、呼気フローピークポイントと呼気時間から呼気終了後吸気相ポイントを算出する呼気終了後吸気相ポイント算出手段16と、呼気終了後吸気相ポイントを基準として酸素供給期間を決定する酸素供給期間決定手段17とを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鼻孔からの呼吸気流を検出する呼吸フローセンサを用いて酸素供給期間を決定し、決定した前記酸素供給期間に酸素を供給する酸素供給制御装置であって、
前記呼吸フローセンサの信号から呼気フローピークポイントを検出する呼気フローピークポイント検出手段と、
前記呼気フローピークポイント検出手段で検出される複数の前記呼気フローピークポイントから一呼吸時間を算出する一呼吸時間算出手段と、
前記一呼吸時間算出手段で算出される前記一呼吸時間と、あらかじめ設定したI:E比とから呼気時間を算出する呼気時間算出手段と、
前記呼気フローピークポイント検出手段で検出される前記呼気フローピークポイントと前記呼気時間算出手段で算出される前記呼気時間から呼気終了後吸気相ポイントを算出する呼気終了後吸気相ポイント算出手段と、
前記呼気終了後吸気相ポイント算出手段で算出される前記呼気終了後吸気相ポイントを基準として前記酸素供給期間を決定する酸素供給期間決定手段と
を有する
ことを特徴とする酸素供給制御装置。
【請求項2】
前記酸素供給期間決定手段では、
前記呼気終了後吸気相ポイントより第1設定時間前に酸素供給を開始し、
前記呼気終了後吸気相ポイントより第2設定時間後に前記酸素供給を終了する
ことを特徴とする請求項1に記載の酸素供給制御装置。
【請求項3】
鼻孔からの呼吸気流を検出する呼吸フローセンサを用いて酸素供給期間を決定し、決定した前記酸素供給期間に酸素を供給する酸素供給制御装置であって、
前記呼吸フローセンサの信号から呼気開始ポイントを検出する呼気開始ポイント検出手段と、
前記呼気開始ポイント検出手段で検出される複数の前記呼気開始ポイントから一呼吸時間を算出する一呼吸時間算出手段と、
前記一呼吸時間算出手段で算出される前記一呼吸時間と、あらかじめ設定したI:E比とから呼気時間を算出する呼気時間算出手段と、
前記呼気開始ポイント検出手段で検出される前記呼気開始ポイントと前記呼気時間算出手段で算出される前記呼気時間から呼気終了ポイントを算出する呼気終了ポイント算出手段と、
前記呼気終了ポイント算出手段で算出される前記呼気終了ポイントを基準として前記酸素供給期間を決定する酸素供給期間決定手段と
を有する
ことを特徴とする酸素供給制御装置。
【請求項4】
前記酸素供給期間決定手段では、
前記呼気終了ポイントより第3設定時間前に酸素供給を開始し、
前記呼気終了ポイントより第4設定時間後に前記酸素供給を終了する
ことを特徴とする請求項3に記載の酸素供給制御装置。
【請求項5】
鼻孔からの呼吸気流による圧力変化を検出する呼吸圧センサを用いて酸素供給期間を決定し、決定した前記酸素供給期間に酸素を供給する酸素供給制御装置であって、
前記呼吸圧センサの信号から呼気圧ピークポイントを検出する呼気圧ピークポイント検出手段と、
前記呼気圧ピークポイント検出手段で検出される複数の前記呼気圧ピークポイントから一呼吸時間を算出する一呼吸時間算出手段と、
前記一呼吸時間算出手段で算出される前記一呼吸時間と、あらかじめ設定したI:E比とから呼気時間を算出する呼気時間算出手段と、
前記呼気圧ピークポイント検出手段で検出される前記呼気圧ピークポイントと前記呼気時間算出手段で算出される前記呼気時間から呼気終了後吸気相ポイントを算出する呼気終了後吸気相ポイント算出手段と、
前記呼気終了後吸気相ポイント算出手段で算出される前記呼気終了後吸気相ポイントを基準として前記酸素供給期間を決定する酸素供給期間決定手段と
を有する
ことを特徴とする酸素供給制御装置。
【請求項6】
前記酸素供給期間決定手段では、
前記呼気終了後吸気相ポイントより第1設定時間前に酸素供給を開始し、
前記呼気終了後吸気相ポイントより第2設定時間後に前記酸素供給を終了する
ことを特徴とする請求項5に記載の酸素供給制御装置。
【請求項7】
鼻孔からの呼吸気流による圧力変化を検出する呼吸圧センサを用いて酸素供給期間を決定し、決定した前記酸素供給期間に酸素を供給する酸素供給制御装置であって、
前記呼吸圧センサの信号から呼気開始ポイントを検出する呼気開始ポイント検出手段と、
前記呼気開始ポイント検出手段で検出される複数の前記呼気開始ポイントから一呼吸時間を算出する一呼吸時間算出手段と、
前記一呼吸時間算出手段で算出される前記一呼吸時間と、あらかじめ設定したI:E比とから呼気時間を算出する呼気時間算出手段と、
前記呼気開始ポイント検出手段で検出される前記呼気開始ポイントと前記呼気時間算出手段で算出される前記呼気時間から呼気終了ポイントを算出する呼気終了ポイント算出手段と、
前記呼気終了ポイント算出手段で算出される前記呼気終了ポイントを基準として前記酸素供給期間を決定する酸素供給期間決定手段と
を有する
ことを特徴とする酸素供給制御装置。
【請求項8】
前記酸素供給期間決定手段では、
前記呼気終了ポイントより第3設定時間前に酸素供給を開始し、
前記呼気終了ポイントより第4設定時間後に前記酸素供給を終了する
ことを特徴とする請求項7に記載の酸素供給制御装置。
【請求項9】
前記一呼吸時間算出手段で算出される前記一呼吸時間に応じて前記I:E比を変更して前記呼気時間を算出する
ことを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の酸素供給制御装置。
【請求項10】
前記呼吸フローセンサを鼻カニューラに設ける
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の酸素供給制御装置。
【請求項11】
前記呼吸圧センサを鼻カニューラに設ける
ことを特徴とする請求項5から請求項8のいずれか1項に記載の酸素供給制御装置。
【請求項12】
前記鼻孔からの前記呼吸気流に含まれるCO2濃度を検出するCO2センサを用い、
前記呼気フローピークポイント検出手段で検出される前記呼気フローピークポイントにおけるCO2濃度がCO2濃度閾値より低ければ、前記呼気フローピークポイントでないと判断する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の酸素供給制御装置。
【請求項13】
前記鼻孔からの前記呼吸気流に含まれるCO2濃度を検出するCO2センサを用い、
前記呼気圧ピークポイント検出手段で検出される前記呼気圧ピークポイントにおけるCO2濃度がCO2濃度閾値より低ければ、前記呼気圧ピークポイントでないと判断する
ことを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の酸素供給制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人工呼吸器に用いる酸素供給制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
酸素ガス供給患者への酸素投与法は、低流量式、高流量式、リザーバー式の3種類に分類される。健常成人では吸気時におよそ30L/分の流量を必要とする。低流量式は供給される混合ガスの流量が30L/分より少なく、高流量式では30L/分以上である。
低流量式では、不足するガスを周囲の大気を吸入することで補うため、吸入酸素濃度の設定はできない。同じ酸素供給量であっても、患者吸気流量が大きい場合は大気による希釈が大きくなり、吸入酸素濃度は低下する。鼻カニューレでは通常酸素流量1L/分~3L/分で投与する。6L/分以上では鼻粘膜刺激が大きいために推奨されない。簡易酸素マスクはマスク内の呼気ガスを再呼吸する可能性があるために酸素流量を5L/分以上にする。
高流量式のベンチューリ―マスクでは供給混合ガスの総流量が30L/分で設定吸入酸素濃度となるよう設計されている。例えば12L50%ベンチューリマスクでは、12L/分の酸素ガスに加え、18L/分の大気ガスを合わせて50%酸素濃度ガスを30L/分で供給している。吸気ガスすべてを供給ガスで補うため、周囲の大気による希釈はなく、設定した吸入酸素濃度で供給することが可能である。
リザーバー式は呼気中にリザーバーバックに酸素をため、吸気時に通常流れる酸素とともにリザーバー内の酸素ガスを吸入させる。リザーバー式では再呼吸を防ぐために酸素流量を6L/分以上にする。
なお、特許文献1では、勾配変化閾値を、人工呼吸されるべき患者それぞれの呼気時定数に応じて算出し、フロー信号推移の勾配の増大が、呼気時定数に基づいて算出される勾配変化閾値を超える場合に、人工呼吸器の呼気動作から吸気動作への移行をトリガーするように構成した人工呼吸器を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば500L酸素ボンベを使用して酸素投与を行った場合、12L50%ベンチューリマスクでは1時間も使用できない。鼻カニューレ酸素流量1L/分でおよそ8時間、酸素流量2L/分ではおよそ4時間でボンベが空になる。
酸素供給を最も必要とする期間を酸素供給期間として決定できれば、酸素供給量を大幅に軽減でき、酸素ボンベの長時間使用や酸素ボンベの小型化、及び酸素濃縮器の低コスト化を図ることができる。
吸気開始のタイミングが分かれば、酸素供給を最も必要とする期間を決定することができる。
従って、特許文献1のように、呼気動作から吸気動作への移行を検知することが好ましいが、吸気動作時に酸素を供給する必要があることから、このような外部からの酸素供給の影響を受けることなく自発呼吸における吸気開始タイミングを検出することは困難である。
【0005】
そこで、本発明は、外部からの酸素供給の影響を受けることなく自発呼吸における吸気開始(呼気終了)タイミングを算出できる酸素供給制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の本発明の酸素供給制御装置は、鼻孔からの呼吸気流を検出する呼吸フローセンサ1を用いて酸素供給期間を決定し、決定した前記酸素供給期間に酸素を供給する酸素供給制御装置であって、前記呼吸フローセンサ1の信号から呼気フローピークポイントを検出する呼気フローピークポイント検出手段12と、前記呼気フローピークポイント検出手段12で検出される複数の前記呼気フローピークポイントから一呼吸時間を算出する一呼吸時間算出手段14と、前記一呼吸時間算出手段14で算出される前記一呼吸時間と、あらかじめ設定したI:E比とから呼気時間を算出する呼気時間算出手段15と、前記呼気フローピークポイント検出手段12で検出される前記呼気フローピークポイントと前記呼気時間算出手段15で算出される前記呼気時間から呼気終了後吸気相ポイントを算出する呼気終了後吸気相ポイント算出手段16と、前記呼気終了後吸気相ポイント算出手段16で算出される前記呼気終了後吸気相ポイントを基準として前記酸素供給期間を決定する酸素供給期間決定手段17とを有することを特徴とする。
請求項2記載の本発明は、請求項1に記載の酸素供給制御装置において、前記酸素供給期間決定手段17では、前記呼気終了後吸気相ポイントより第1設定時間前に酸素供給を開始し、前記呼気終了後吸気相ポイントより第2設定時間後に前記酸素供給を終了することを特徴とする。
請求項3記載の本発明の酸素供給制御装置は、鼻孔からの呼吸気流を検出する呼吸フローセンサ1を用いて酸素供給期間を決定し、決定した前記酸素供給期間に酸素を供給する酸素供給制御装置であって、前記呼吸フローセンサ1の信号から呼気開始ポイントを検出する呼気開始ポイント検出手段32と、前記呼気開始ポイント検出手段32で検出される複数の前記呼気開始ポイントから一呼吸時間を算出する一呼吸時間算出手段14と、前記一呼吸時間算出手段14で算出される前記一呼吸時間と、あらかじめ設定したI:E比とから呼気時間を算出する呼気時間算出手段15と、前記呼気開始ポイント検出手段32で検出される前記呼気開始ポイントと前記呼気時間算出手段15で算出される前記呼気時間から呼気終了ポイントを算出する呼気終了ポイント算出手段36と、前記呼気終了ポイント算出手段36で算出される前記呼気終了ポイントを基準として前記酸素供給期間を決定する酸素供給期間決定手段17とを有することを特徴とする。
請求項4記載の本発明は、請求項3に記載の酸素供給制御装置において、前記酸素供給期間決定手段17では、前記呼気終了ポイントより第3設定時間前に酸素供給を開始し、前記呼気終了ポイントより第4設定時間後に前記酸素供給を終了することを特徴とする。
請求項5記載の本発明の酸素供給制御装置は、鼻孔からの呼吸気流による圧力変化を検出する呼吸圧センサ5を用いて酸素供給期間を決定し、決定した前記酸素供給期間に酸素を供給する酸素供給制御装置であって、前記呼吸圧センサ5の信号から呼気圧ピークポイントを検出する呼気圧ピークポイント検出手段42と、前記呼気圧ピークポイント検出手段42で検出される複数の前記呼気圧ピークポイントから一呼吸時間を算出する一呼吸時間算出手段と、前記一呼吸時間算出手段で算出される前記一呼吸時間と、あらかじめ設定したI:E比とから呼気時間を算出する呼気時間算出手段と、前記呼気圧ピークポイント検出手段42で検出される前記呼気圧ピークポイントと前記呼気時間算出手段で算出される前記呼気時間から呼気終了後吸気相ポイントを算出する呼気終了後吸気相ポイント算出手段と、前記呼気終了後吸気相ポイント算出手段で算出される前記呼気終了後吸気相ポイントを基準として前記酸素供給期間を決定する酸素供給期間決定手段とを有することを特徴とする。
請求項6記載の本発明は、請求項5に記載の酸素供給制御装置において、前記酸素供給期間決定手段では、前記呼気終了後吸気相ポイントより第1設定時間前に酸素供給を開始し、前記呼気終了後吸気相ポイントより第2設定時間後に前記酸素供給を終了することを特徴とする。
請求項7記載の本発明の酸素供給制御装置は、鼻孔からの呼吸気流による圧力変化を検出する呼吸圧センサ5を用いて酸素供給期間を決定し、決定した前記酸素供給期間に酸素を供給する酸素供給制御装置であって、前記呼吸圧センサ5の信号から呼気開始ポイントを検出する呼気開始ポイント検出手段と、前記呼気開始ポイント検出手段で検出される複数の前記呼気開始ポイントから一呼吸時間を算出する一呼吸時間算出手段と、前記一呼吸時間算出手段で算出される前記一呼吸時間と、あらかじめ設定したI:E比とから呼気時間を算出する呼気時間算出手段と、前記呼気開始ポイント検出手段で検出される前記呼気開始ポイントと前記呼気時間算出手段で算出される前記呼気時間から呼気終了ポイントを算出する呼気終了ポイント算出手段と、前記呼気終了ポイント算出手段で算出される前記呼気終了ポイントを基準として前記酸素供給期間を決定する酸素供給期間決定手段とを有することを特徴とする。
請求項8記載の本発明は、請求項7に記載の酸素供給制御装置において、前記酸素供給期間決定手段では、前記呼気終了ポイントより第3設定時間前に酸素供給を開始し、前記呼気終了ポイントより第4設定時間後に前記酸素供給を終了することを特徴とする。
請求項9記載の本発明は、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の酸素供給制御装置において、前記一呼吸時間算出手段14で算出される前記一呼吸時間に応じて前記I:E比を変更して前記呼気時間を算出することを特徴とする。
請求項10記載の本発明は、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の酸素供給制御装置において、前記呼吸フローセンサ1を鼻カニューラ2に設けることを特徴とする。
請求項11記載の本発明は、請求項5から請求項8のいずれか1項に記載の酸素供給制御装置において、前記呼吸圧センサ5を鼻カニューラ2に設けることを特徴とする。
請求項12記載の本発明は、請求項1又は請求項2に記載の酸素供給制御装置において、前記鼻孔からの前記呼吸気流に含まれるCO2濃度を検出するCO2センサ4を用い、前記呼気フローピークポイント検出手段12で検出される前記呼気フローピークポイントにおけるCO2濃度がCO2濃度閾値より低ければ、前記呼気フローピークポイントでないと判断することを特徴とする。
請求項13記載の本発明は、請求項5又は請求項6に記載の酸素供給制御装置において、前記鼻孔からの前記呼吸気流に含まれるCO2濃度を検出するCO2センサ4を用い、前記呼気圧ピークポイント検出手段42で検出される前記呼気圧ピークポイントにおけるCO2濃度がCO2濃度閾値より低ければ、前記呼気圧ピークポイントでないと判断することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、呼気フローピークポイント又は呼気圧ピークポイントから呼気終了後吸気相ポイントを算出して酸素供給期間を決定することで、外部からの酸素供給の影響を受けることなく自発呼吸における吸気開始タイミングを呼気終了後吸気相ポイントとして算出できるため、酸素供給を最も必要とする期間を酸素供給期間として決定できる。従って、酸素供給量を大幅に軽減でき、酸素ボンベの長時間使用や酸素ボンベの小型化、及び酸素濃縮器の低コスト化を図ることができ、酸素ボンベを携帯しなければならない外出を容易にし、酸素ボンベを携帯した行動範囲を向上させることができる。
また、本発明によれば、呼気開始ポイントから呼気終了ポイントを算出して酸素供給期間を決定することで、外部からの酸素供給の影響を受けることなく自発呼吸における呼気終了ポイントを算出できるため、酸素供給を最も必要とする期間を酸素供給期間として決定できる。従って、酸素供給量を大幅に軽減でき、酸素ボンベの長時間使用や酸素ボンベの小型化、及び酸素濃縮器の低コスト化を図ることができ、酸素ボンベを携帯しなければならない外出を容易にし、酸素ボンベを携帯した行動範囲を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施例による酸素供給制御装置を示すブロック図及び説明図
【
図2】本発明の他の実施例による酸素供給制御装置を示すブロック図及び説明図
【
図3】本発明の更に他の実施例による酸素供給制御装置を示すブロック図及び説明図
【
図4】本発明の更に他の実施例による酸素供給制御装置を示すブロック図及び説明図
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の第1の実施の形態による酸素供給制御装置は、呼吸フローセンサの信号から呼気フローピークポイントを検出する呼気フローピークポイント検出手段と、呼気フローピークポイント検出手段で検出される複数の呼気フローピークポイントから一呼吸時間を算出する一呼吸時間算出手段と、一呼吸時間算出手段で算出される一呼吸時間と、あらかじめ設定したI:E比とから呼気時間を算出する呼気時間算出手段と、呼気フローピークポイント検出手段で検出される呼気フローピークポイントと呼気時間算出手段で算出される呼気時間から呼気終了後吸気相ポイントを算出する呼気終了後吸気相ポイント算出手段と、呼気終了後吸気相ポイント算出手段で算出される呼気終了後吸気相ポイントを基準として酸素供給期間を決定する酸素供給期間決定手段とを有するものである。
本実施の形態によれば、呼気フローピークポイントから呼気終了後吸気相ポイントを算出して酸素供給期間を決定することで、外部からの酸素供給の影響を受けることなく自発呼吸における吸気開始タイミングを呼気終了後吸気相ポイントとして算出できるため、酸素供給を最も必要とする期間を酸素供給期間として決定できる。従って、酸素供給量を大幅に軽減でき、酸素ボンベの長時間使用や酸素ボンベの小型化、及び酸素濃縮器の低コスト化を図ることができ、酸素ボンベを携帯しなければならない外出を容易にし、酸素ボンベを携帯した行動範囲を向上させることができる。
【0010】
本発明の第2の実施の形態は、第1の実施の形態による酸素供給制御装置において、酸素供給期間決定手段では、呼気終了後吸気相ポイントより第1設定時間前に酸素供給を開始し、呼気終了後吸気相ポイントより第2設定時間後に酸素供給を終了するものである。
本実施の形態によれば、呼気終了後吸気相ポイントを基準として、呼気終了後吸気相ポイントの前後の時間帯に酸素供給を行うことで、供給する酸素を有効に肺胞に届けることができる。
【0011】
本発明の第3の実施の形態による酸素供給制御装置は、呼吸フローセンサの信号から呼気開始ポイントを検出する呼気開始ポイント検出手段と、呼気開始ポイント検出手段で検出される複数の呼気開始ポイントから一呼吸時間を算出する一呼吸時間算出手段と、一呼吸時間算出手段で算出される一呼吸時間と、あらかじめ設定したI:E比とから呼気時間を算出する呼気時間算出手段と、呼気開始ポイント検出手段で検出される呼気開始ポイントと呼気時間算出手段で算出される呼気時間から呼気終了ポイントを算出する呼気終了ポイント算出手段と、呼気終了ポイント算出手段で算出される呼気終了ポイントを基準として酸素供給期間を決定する酸素供給期間決定手段とを有するものである。
本実施の形態によれば、呼気開始ポイントから呼気終了ポイントを算出して酸素供給期間を決定することで、外部からの酸素供給の影響を受けることなく自発呼吸における呼気終了ポイントを算出できるため、酸素供給を最も必要とする期間を酸素供給期間として決定できる。従って、酸素供給量を大幅に軽減でき、酸素ボンベの長時間使用や酸素ボンベの小型化、及び酸素濃縮器の低コスト化を図ることができ、酸素ボンベを携帯しなければならない外出を容易にし、酸素ボンベを携帯した行動範囲を向上させることができる。
【0012】
本発明の第4の実施の形態は、第3の実施の形態による酸素供給制御装置において、酸素供給期間決定手段では、呼気終了ポイントより第3設定時間前に酸素供給を開始し、呼気終了ポイントより第4設定時間後に酸素供給を終了するものである。
本実施の形態によれば、呼気終了ポイントを基準として、呼気終了ポイントの前後の時間帯に酸素供給を行うことで、供給する酸素を有効に肺胞に届けることができる。
【0013】
本発明の第5の実施の形態による酸素供給制御装置は、呼吸圧センサの信号から呼気圧ピークポイントを検出する呼気圧ピークポイント検出手段と、呼気圧ピークポイント検出手段で検出される複数の呼気圧ピークポイントから一呼吸時間を算出する一呼吸時間算出手段と、一呼吸時間算出手段で算出される一呼吸時間と、あらかじめ設定したI:E比とから呼気時間を算出する呼気時間算出手段と、呼気圧ピークポイント検出手段で検出される呼気圧ピークポイントと呼気時間算出手段で算出される呼気時間から呼気終了後吸気相ポイントを算出する呼気終了後吸気相ポイント算出手段と、呼気終了後吸気相ポイント算出手段で算出される呼気終了後吸気相ポイントを基準として酸素供給期間を決定する酸素供給期間決定手段とを有するものである。
本実施の形態によれば、呼気圧ピークポイントから呼気終了後吸気相ポイントを算出して酸素供給期間を決定することで、外部からの酸素供給の影響を受けることなく自発呼吸における吸気開始タイミングを呼気終了後吸気相ポイントとして算出できるため、酸素供給を最も必要とする期間を酸素供給期間として決定できる。従って、酸素供給量を大幅に軽減でき、酸素ボンベの長時間使用や酸素ボンベの小型化、及び酸素濃縮器の低コスト化を図ることができ、酸素ボンベを携帯しなければならない外出を容易にし、酸素ボンベを携帯した行動範囲を向上させることができる。
【0014】
本発明の第6の実施の形態は、第5の実施の形態による酸素供給制御装置において、酸素供給期間決定手段では、呼気終了後吸気相ポイントより第1設定時間前に酸素供給を開始し、呼気終了後吸気相ポイントより第2設定時間後に酸素供給を終了するものである。
本実施の形態によれば、呼気終了後吸気相ポイントを基準として、呼気終了後吸気相ポイントの前後の時間帯に酸素供給を行うことで、供給する酸素を有効に肺胞に届けることができる。
【0015】
本発明の第7の実施の形態による酸素供給制御装置は、呼吸圧センサの信号から呼気開始ポイントを検出する呼気開始ポイント検出手段と、呼気開始ポイント検出手段で検出される複数の呼気開始ポイントから一呼吸時間を算出する一呼吸時間算出手段と、一呼吸時間算出手段で算出される一呼吸時間と、あらかじめ設定したI:E比とから呼気時間を算出する呼気時間算出手段と、呼気開始ポイント検出手段で検出される呼気開始ポイントと呼気時間算出手段で算出される呼気時間から呼気終了ポイントを算出する呼気終了ポイント算出手段と、呼気終了ポイント算出手段で算出される呼気終了ポイントを基準として酸素供給期間を決定する酸素供給期間決定手段とを有するものである。
本実施の形態によれば、呼気開始ポイントから呼気終了ポイントを算出して酸素供給期間を決定することで、外部からの酸素供給の影響を受けることなく自発呼吸における呼気終了ポイントを算出できるため、酸素供給を最も必要とする期間を酸素供給期間として決定できる。従って、酸素供給量を大幅に軽減でき、酸素ボンベの長時間使用や酸素ボンベの小型化、及び酸素濃縮器の低コスト化を図ることができ、酸素ボンベを携帯しなければならない外出を容易にし、酸素ボンベを携帯した行動範囲を向上させることができる。
【0016】
本発明の第8の実施の形態は、第7の実施の形態による酸素供給制御装置において、酸素供給期間決定手段では、呼気終了ポイントより第3設定時間前に酸素供給を開始し、呼気終了ポイントより第4設定時間後に酸素供給を終了するものである。
本実施の形態によれば、呼気終了ポイントを基準として、呼気終了ポイントの前後の時間帯に酸素供給を行うことで、供給する酸素を有効に肺胞に届けることができる。
【0017】
本発明の第9の実施の形態は、第1から第8のいずれかの実施の形態による酸素供給制御装置において、一呼吸時間算出手段で算出される一呼吸時間に応じてI:E比を変更して呼気時間を算出するものである。
例えば、通常の呼吸状態では、I:E比は1:2と言われており、呼吸が荒くなり一呼吸時間が短くなるとI:E比は1:1のように、またゆっくりとした呼吸ではI:E比は1:3のように、呼吸の状態によってI:E比は変化する。本実施の形態によれば、呼吸の状態を一呼吸時間で判断し、判断した呼吸の状態に応じたI:E比を用いて呼気時間を算出することで、より正確な呼気時間を算出することができる。
【0018】
本発明の第10の実施の形態は、第1から第4のいずれかの実施の形態による酸素供給制御装置において、呼吸フローセンサを鼻カニューラに設けるものである。
本実施の形態によれば、鼻腔から酸素を供給する鼻カニューラに呼吸フローセンサを設けることで、鼻孔からの呼吸気流を正確に検出することができる。
【0019】
本発明の第11の実施の形態は、第5から第8のいずれかの実施の形態による酸素供給制御装置において、呼吸圧センサを鼻カニューラに設けるものである。
本実施の形態によれば、鼻腔から酸素を供給する鼻カニューラに呼吸圧センサを設けることで、鼻孔からの呼吸気流による圧力変化を正確に検出することができる。
【0020】
本発明の第12の実施の形態は、第1又は第2の実施の形態による酸素供給制御装置において、鼻孔からの呼吸気流に含まれるCO2濃度を検出するCO2センサを用い、呼気フローピークポイント検出手段で検出される呼気フローピークポイントにおけるCO2濃度がCO2濃度閾値より低ければ、呼気フローピークポイントでないと判断するものである。
本実施の形態によれば、体動などの影響による誤検出を無くすことができる。
【0021】
本発明の第13の実施の形態は、第5又は第6の実施の形態による酸素供給制御装置において、鼻孔からの呼吸気流に含まれるCO2濃度を検出するCO2センサを用い、呼気圧ピークポイント検出手段で検出される呼気圧ピークポイントにおけるCO2濃度がCO2濃度閾値より低ければ、呼気圧ピークポイントでないと判断するものである。
本実施の形態によれば、体動などの影響による誤検出を無くすことができる。
【実施例0022】
以下に本発明の実施例について説明する。
図1は本発明の一実施例による酸素供給制御装置を示すブロック図及び説明図である。
【0023】
図1(a)に示すように、本実施例による酸素供給制御装置は、鼻孔からの呼吸気流を検出する呼吸フローセンサ1を用いて酸素供給期間を決定し、決定した酸素供給期間に酸素を供給する。
呼吸フローセンサ1は、例えば鼻カニューラ2に設けることができる。鼻カニューラ2を用いることで、酸素供給装置3から鼻カニューラ2に酸素を供給することができる。本実施例のように呼気フローピークポイントを検出することで、鼻腔から酸素を供給する鼻カニューラ2に呼吸フローセンサ1を設けても、鼻孔からの呼吸気流、特に呼気気流を正確に検出することができる。ここで、呼気フローピークポイントとは、呼気気流が最も大きくなるポイントである。
なお、呼吸フローセンサ1は、鼻孔からの呼吸気流、特に呼気気流を検出することができればよく、NPPV(非侵襲的陽圧換気療法)マスクやCPAP(持続陽圧呼吸療法)マスクとともに用いることもできる。
また、呼吸フローセンサ1とともに、鼻孔からの呼吸気流に含まれるCO
2濃度を検出するCO
2センサ4を用いることが好ましい。
【0024】
本実施例による酸素供給制御装置は、呼吸フローセンサ1の信号から呼気気流を検出する気流検出手段11と、気流検出手段11で検出される気流から呼気フローピークポイントを検出する呼気フローピークポイント検出手段12と、呼気フローピークポイント検出手段12で検出される呼気フローピークポイントを記憶する呼気フローピークポイント記憶手段13と、呼気フローピークポイント記憶手段13に記憶される複数の呼気フローピークポイントから一呼吸時間を算出する一呼吸時間算出手段14と、一呼吸時間算出手段14で算出される一呼吸時間と、あらかじめ設定したI:E比とから呼気時間を算出する呼気時間算出手段15と、呼気フローピークポイント検出手段12で検出される呼気フローピークポイントと呼気時間算出手段15で算出される呼気時間から呼気終了後吸気相ポイントを算出する呼気終了後吸気相ポイント算出手段16と、呼気終了後吸気相ポイント算出手段16で算出される呼気終了後吸気相ポイントを基準として酸素供給期間を決定する酸素供給期間決定手段17とを有している。
【0025】
呼気時間算出手段15で用いるI:E比は、I:E比記憶手段18に記憶している。I:E比記憶手段18には、一呼吸時間算出手段14で算出される一呼吸時間に応じたI:E比を記憶している。例えば、通常の呼吸状態では、I:E比は1:2と言われており、呼吸が荒くなり一呼吸時間が短くなるとI:E比は1:1のように、またゆっくりとした呼吸ではI:E比は1:3のように、呼吸の状態によってI:E比は変化する。従って、一呼吸時間に応じたI:E比を記憶し、一呼吸時間に応じたI:E比を呼気時間算出手段15での算出に用いることで、より正確に呼気時間を算出することができる。
また、I:E比は、個人差に応じて設定することが好ましく、使用者の実績データを用いてI:E比を設定し、又は使用者の年齢や症状に応じてI:E比を設定することが好ましい。
酸素供給期間決定手段17では、呼気終了後吸気相ポイントより第1設定時間前に酸素供給を開始し、呼気終了後吸気相ポイントより第2設定時間後に酸素供給を終了する。
ここで、第1設定時間及び第2設定時間は、設定時間記憶手段19にあらかじめ記憶している。なお、第1設定時間及び第2設定時間についてもI:E比と同様に、一呼吸時間算出手段14で算出される一呼吸時間に応じた第1設定時間及び第2設定時間を記憶し、一呼吸時間に応じた第1設定時間及び第2設定時間を用いて酸素供給期間を決定することが好ましい。
【0026】
また、本実施例による酸素供給制御装置は、CO2センサ4の信号からCO2濃度を検出するCO2濃度検出手段21と、呼気フローピークポイント検出手段12で検出される呼気フローピークポイントにおけるCO2濃度がCO2濃度閾値以上であるかを判断する呼気フローピークポイント判断手段22とを有している。
呼気フローピークポイント判断手段22において、CO2濃度がCO2濃度閾値より低ければ、呼気フローピークポイントでないと判断する。
CO2濃度閾値は、CO2濃度閾値記憶手段23に記憶している。なお、CO2濃度閾値は、使用者に応じて設定することが好ましく、使用者の実績データを用いてCO2濃度閾値を設定し、又は使用者の年齢や症状に応じてCO2濃度閾値を設定することが好ましい。
酸素供給駆動手段24では、酸素供給期間決定手段17で決定される酸素供給期間、酸素供給装置3から酸素を供給する駆動信号を出力する。
【0027】
図1(b)に示すように、呼気相1における呼気フローピークポイントと呼気相2における呼気フローピークポイントとを呼気フローピークポイント検出手段12によって検出し、呼気フローピークポイント記憶手段13に記憶する。
一呼吸時間算出手段14において、呼気相1における呼気フローピークポイントと呼気相2における呼気フローピークポイントとから一呼吸時間を算出することができる。
そして、呼気時間算出手段15において、あらかじめ設定したI:E比を用いることで、一呼吸時間から呼気時間を算出することができる。
そして、呼気終了後吸気相ポイント算出手段16において、呼気相2における呼気フローピークポイントと呼気時間とから呼気終了後吸気相ポイントを算出することができる。
そして、酸素供給期間決定手段17において、呼気終了後吸気相ポイントを基準として酸素供給期間を決定することができる。
図1(b)では、最もシンプルに、2つの呼気フローピークポイントを用いて一呼吸時間を算出する場合を示しているが、3つ以上の呼気フローピークポイントを用いて一呼吸時間を算出することで、安定した呼吸状態における一呼吸時間を正確に算出することができる。
【0028】
このように、本実施例によれば、呼気フローピークポイントから呼気終了後吸気相ポイントを算出して酸素供給期間を決定することで、外部からの酸素供給の影響を受けることなく自発呼吸における吸気開始タイミングを呼気終了後吸気相ポイントとして算出できるため、酸素供給を最も必要とする期間を酸素供給期間として決定できる。従って、酸素供給量を大幅に軽減でき、酸素ボンベの長時間使用や酸素ボンベの小型化、及び酸素濃縮器の低コスト化を図ることができ、酸素ボンベを携帯しなければならない外出を容易にし、酸素ボンベを携帯した行動範囲を向上させることができる。
また、本実施例によれば、呼気終了後吸気相ポイントを基準として、呼気終了後吸気相ポイントの前後の時間帯に酸素供給を行うことで、供給する酸素を有効に肺胞に届けることができる。
また、本実施例によれば、呼吸の状態を一呼吸時間で判断し、判断した呼吸の状態に応じたI:E比を用いて呼気時間を算出することで、より正確な呼気時間を算出することができる。
また、本実施例によれば、呼気フローピークポイント検出手段12で検出される呼気フローピークポイントにおけるCO2濃度がCO2濃度閾値より低ければ、呼気フローピークポイントでないと判断することで、体動などの影響による誤検出を無くすことができる。
【0029】
図2は本発明の他の実施例による酸素供給制御装置を示すブロック図及び説明図である。
【0030】
図2(a)に示すように、本実施例による酸素供給制御装置は、鼻孔からの呼吸気流を検出する呼吸フローセンサ1を用いて酸素供給期間を決定し、決定した酸素供給期間に酸素を供給する。
呼吸フローセンサ1は、例えば鼻カニューラ2に設けることができる。鼻カニューラ2を用いることで、酸素供給装置3から鼻カニューラ2に酸素を供給することができる。本実施例のように呼気開始ポイントを検出することで、鼻腔から酸素を供給する鼻カニューラ2に呼吸フローセンサ1を設けても、鼻孔からの呼吸気流、特に呼気気流を正確に検出することができる。ここで、呼気開始ポイントとは、吸気気流が減少した後の気流ゼロのポイントである。
なお、呼吸フローセンサ1は、鼻孔からの呼吸気流、特に呼気気流を検出することができればよく、NPPV(非侵襲的陽圧換気療法)マスクやCPAP(持続陽圧呼吸療法)マスクとともに用いることもできる。
【0031】
本実施例による酸素供給制御装置は、呼吸フローセンサ1の信号から呼気気流を検出する気流検出手段11と、気流検出手段11で検出される気流から呼気開始ポイントを検出する呼気開始ポイント検出手段32と、呼気開始ポイント検出手段32で検出される呼気開始ポイントを記憶する呼気開始ポイント記憶手段33と、呼気開始ポイント記憶手段33に記憶される複数の呼気開始ポイントから一呼吸時間を算出する一呼吸時間算出手段14と、一呼吸時間算出手段14で算出される一呼吸時間と、あらかじめ設定したI:E比とから呼気時間を算出する呼気時間算出手段15と、呼気開始ポイント検出手段32で検出される呼気開始ポイントと呼気時間算出手段15で算出される呼気時間から呼気終了ポイントを算出する呼気終了ポイント算出手段36と、呼気終了ポイント算出手段36で算出される呼気終了ポイントを基準として酸素供給期間を決定する酸素供給期間決定手段17とを有している。
【0032】
呼気時間算出手段15で用いるI:E比は、I:E比記憶手段18に記憶している。I:E比記憶手段18には、一呼吸時間算出手段14で算出される一呼吸時間に応じたI:E比を記憶している。例えば、通常の呼吸状態では、I:E比は1:2と言われており、呼吸が荒くなり一呼吸時間が短くなるとI:E比は1:1のように、またゆっくりとした呼吸ではI:E比は1:3のように、呼吸の状態によってI:E比は変化する。従って、一呼吸時間に応じたI:E比を記憶し、一呼吸時間に応じたI:E比を呼気時間算出手段15での算出に用いることで、より正確に呼気時間を算出することができる。
また、I:E比は、個人差に応じて設定することが好ましく、使用者の実績データを用いてI:E比を設定し、又は使用者の年齢や症状に応じてI:E比を設定することが好ましい。
酸素供給期間決定手段17では、呼気終了ポイントより第3設定時間前に酸素供給を開始し、呼気終了ポイントより第4設定時間後に酸素供給を終了する。
ここで、第3設定時間及び第4設定時間は、設定時間記憶手段19にあらかじめ記憶している。なお、第3設定時間及び第4設定時間についてもI:E比と同様に、一呼吸時間算出手段14で算出される一呼吸時間に応じた第3設定時間及び第4設定時間を記憶し、一呼吸時間に応じた第3設定時間及び第4設定時間を用いて酸素供給期間を決定することが好ましい。
【0033】
酸素供給駆動手段24では、酸素供給期間決定手段17で決定される酸素供給期間、酸素供給装置3から酸素を供給する駆動信号を出力する。
【0034】
図2(b)に示すように、呼気相1における呼気開始ポイントと呼気相2における呼気開始ポイントとを呼気開始ポイント検出手段32によって検出し、呼気開始ポイント記憶手段33に記憶する。
一呼吸時間算出手段14において、呼気相1における呼気開始ポイントと呼気相2における呼気開始ポイントとから一呼吸時間を算出することができる。
そして、呼気時間算出手段15において、あらかじめ設定したI:E比を用いることで、一呼吸時間から呼気時間を算出することができる。
そして、呼気終了ポイント算出手段36において、呼気相2における呼気開始ポイントと呼気時間とから呼気終了ポイントを算出することができる。
そして、酸素供給期間決定手段17において、呼気終了ポイントを基準として酸素供給期間を決定することができる。
図2(b)では、最もシンプルに、2つの呼気開始ポイントを用いて一呼吸時間を算出する場合を示しているが、3つ以上の呼気開始ポイントを用いて一呼吸時間を算出することで、安定した呼吸状態における一呼吸時間を正確に算出することができる。
【0035】
このように、本実施例によれば、呼気開始ポイントから呼気終了ポイントを算出して酸素供給期間を決定することで、外部からの酸素供給の影響を受けることなく自発呼吸における吸気開始タイミングを呼気終了ポイントとして算出できるため、酸素供給を最も必要とする期間を酸素供給期間として決定できる。従って、酸素供給量を大幅に軽減でき、酸素ボンベの長時間使用や酸素ボンベの小型化、及び酸素濃縮器の低コスト化を図ることができ、酸素ボンベを携帯しなければならない外出を容易にし、酸素ボンベを携帯した行動範囲を向上させることができる。
また、本実施例によれば、呼気終了ポイントを基準として、呼気終了ポイントの前後の時間帯に酸素供給を行うことで、供給する酸素を有効に肺胞に届けることができる。
また、本実施例によれば、呼吸の状態を一呼吸時間で判断し、判断した呼吸の状態に応じたI:E比を用いて呼気時間を算出することで、より正確な呼気時間を算出することができる。
【0036】
図3は本発明の更に他の実施例による酸素供給制御装置を示すブロック図及び説明図である。
【0037】
図3(a)に示すように、本実施例による酸素供給制御装置は、鼻孔からの呼吸気流による圧力変化を検出する呼吸圧センサ5を用いて酸素供給期間を決定し、決定した酸素供給期間に酸素を供給する。
呼吸圧センサ5は、例えば鼻カニューラ2に設けることができる。鼻カニューラ2を用いることで、酸素供給装置3から鼻カニューラ2に酸素を供給することができる。本実施例のように呼気圧ピークポイントを検出することで、鼻腔から酸素を供給する鼻カニューラ2に呼吸圧センサ5を設けても、鼻孔からの呼吸気流による圧力変化、特に呼気気流による圧力変化を正確に検出することができる。ここで、呼気圧ピークポイントとは、呼気気流による圧力が最も大きくなるポイントである。
なお、呼吸圧センサ5は、鼻孔からの呼吸気流による圧力変化、特に呼気気流による圧力変化を検出することができればよく、NPPV(非侵襲的陽圧換気療法)マスクやCPAP(持続陽圧呼吸療法)マスクとともに用いることもできる。
また、呼吸圧センサ5とともに、鼻孔からの呼吸気流に含まれるCO
2濃度を検出するCO
2センサ4を用いることが好ましい。
【0038】
本実施例による酸素供給制御装置は、呼吸圧センサ5の信号から呼気気流による圧力を検出する圧検出手段41と、圧検出手段41で検出される圧力から呼気圧ピークポイントを検出する呼気圧ピークポイント検出手段42と、呼気圧ピークポイント検出手段42で検出される呼気圧ピークポイントを記憶する呼気圧ピークポイント記憶手段43と、呼気圧ピークポイント記憶手段43に記憶される複数の呼気圧ピークポイントから一呼吸時間を算出する一呼吸時間算出手段14と、一呼吸時間算出手段14で算出される一呼吸時間と、あらかじめ設定したI:E比とから呼気時間を算出する呼気時間算出手段15と、呼気圧ピークポイント検出手段42で検出される呼気圧ピークポイントと呼気時間算出手段15で算出される呼気時間から呼気終了後吸気相ポイントを算出する呼気終了後吸気相ポイント算出手段16と、呼気終了後吸気相ポイント算出手段16で算出される呼気終了後吸気相ポイントを基準として酸素供給期間を決定する酸素供給期間決定手段17とを有している。
【0039】
呼気時間算出手段15で用いるI:E比は、I:E比記憶手段18に記憶している。I:E比記憶手段18には、一呼吸時間算出手段14で算出される一呼吸時間に応じたI:E比を記憶している。例えば、通常の呼吸状態では、I:E比は1:2と言われており、呼吸が荒くなり一呼吸時間が短くなるとI:E比は1:1のように、またゆっくりとした呼吸ではI:E比は1:3のように、呼吸の状態によってI:E比は変化する。従って、一呼吸時間に応じたI:E比を記憶し、一呼吸時間に応じたI:E比を呼気時間算出手段15での算出に用いることで、より正確に呼気時間を算出することができる。
また、I:E比は、個人差に応じて設定することが好ましく、使用者の実績データを用いてI:E比を設定し、又は使用者の年齢や症状に応じてI:E比を設定することが好ましい。
酸素供給期間決定手段17では、呼気終了後吸気相ポイントより第1設定時間前に酸素供給を開始し、呼気終了後吸気相ポイントより第2設定時間後に酸素供給を終了する。
ここで、第1設定時間及び第2設定時間は、設定時間記憶手段19にあらかじめ記憶している。なお、第1設定時間及び第2設定時間についてもI:E比と同様に、一呼吸時間算出手段14で算出される一呼吸時間に応じた第1設定時間及び第2設定時間を記憶し、一呼吸時間に応じた第1設定時間及び第2設定時間を用いて酸素供給期間を決定することが好ましい。
【0040】
また、本実施例による酸素供給制御装置は、CO2センサ4の信号からCO2濃度を検出するCO2濃度検出手段21と、呼気圧ピークポイント検出手段42で検出される呼気圧ピークポイントにおけるCO2濃度がCO2濃度閾値以上であるかを判断する呼気圧ピークポイント判断手段25とを有している。
呼気圧ピークポイント判断手段25において、CO2濃度がCO2濃度閾値より低ければ、呼気圧ピークポイントでないと判断する。
CO2濃度閾値は、CO2濃度閾値記憶手段23に記憶している。なお、CO2濃度閾値は、使用者に応じて設定することが好ましく、使用者の実績データを用いてCO2濃度閾値を設定し、又は使用者の年齢や症状に応じてCO2濃度閾値を設定することが好ましい。
酸素供給駆動手段24では、酸素供給期間決定手段17で決定される酸素供給期間、酸素供給装置3から酸素を供給する駆動信号を出力する。
【0041】
図3(b)に示すように、呼気相1における呼気圧ピークポイントと呼気相2における呼気圧ピークポイントとを呼気圧ピークポイント検出手段12によって検出し、呼気圧ピークポイント記憶手段43に記憶する。
一呼吸時間算出手段14において、呼気相1における呼気圧ピークポイントと呼気相2における呼気圧ピークポイントとから一呼吸時間を算出することができる。
そして、呼気時間算出手段15において、あらかじめ設定したI:E比を用いることで、一呼吸時間から呼気時間を算出することができる。
そして、呼気終了後吸気相ポイント算出手段16において、呼気相2における呼気圧ピークポイントと呼気時間とから呼気終了後吸気相ポイントを算出することができる。
そして、酸素供給期間決定手段17において、呼気終了後吸気相ポイントを基準として酸素供給期間を決定することができる。
図3(b)では、最もシンプルに、2つの呼気圧ピークポイントを用いて一呼吸時間を算出する場合を示しているが、3つ以上の呼気圧ピークポイントを用いて一呼吸時間を算出することで、安定した呼吸状態における一呼吸時間を正確に算出することができる。
【0042】
このように、本実施例によれば、呼気圧ピークポイントから呼気終了後吸気相ポイントを算出して酸素供給期間を決定することで、外部からの酸素供給の影響を受けることなく自発呼吸における吸気開始タイミングを呼気終了後吸気相ポイントとして算出できるため、酸素供給を最も必要とする期間を酸素供給期間として決定できる。従って、酸素供給量を大幅に軽減でき、酸素ボンベの長時間使用や酸素ボンベの小型化、及び酸素濃縮器の低コスト化を図ることができ、酸素ボンベを携帯しなければならない外出を容易にし、酸素ボンベを携帯した行動範囲を向上させることができる。
また、本実施例によれば、呼気終了後吸気相ポイントを基準として、呼気終了後吸気相ポイントの前後の時間帯に酸素供給を行うことで、供給する酸素を有効に肺胞に届けることができる。
また、本実施例によれば、呼吸の状態を一呼吸時間で判断し、判断した呼吸の状態に応じたI:E比を用いて呼気時間を算出することで、より正確な呼気時間を算出することができる。
また、本実施例によれば、呼気圧ピークポイント検出手段42で検出される呼気圧ピークポイントにおけるCO2濃度がCO2濃度閾値より低ければ、呼気圧ピークポイントでないと判断することで、体動などの影響による誤検出を無くすことができる。
【0043】
図4は本発明の更に他の実施例による酸素供給制御装置を示すブロック図及び説明図である。
【0044】
図4(a)に示すように、本実施例による酸素供給制御装置は、鼻孔からの呼吸気流による圧力変化を検出する呼吸圧センサ5を用いて酸素供給期間を決定し、決定した酸素供給期間に酸素を供給する。
呼吸圧センサ5は、例えば鼻カニューラ2に設けることができる。鼻カニューラ2を用いることで、酸素供給装置3から鼻カニューラ2に酸素を供給することができる。本実施例のように呼気開始ポイントを検出することで、鼻腔から酸素を供給する鼻カニューラ2に呼吸圧センサ5を設けても、鼻孔からの呼吸気流による圧力変化、特に呼気気流による圧力変化を正確に検出することができる。ここで、呼気開始ポイントとは、吸気気流による圧力が減少した後の気流による圧ゼロのポイントである。
なお、呼吸圧センサ5は、鼻孔からの呼吸気流による圧力変化、特に呼気気流による圧力変化を検出することができればよく、NPPV(非侵襲的陽圧換気療法)マスクやCPAP(持続陽圧呼吸療法)マスクとともに用いることもできる。
【0045】
本実施例による酸素供給制御装置は、呼吸圧センサ5の信号から呼気気流を検出する圧検出手段41と、圧検出手段41で検出される気流による圧力変化から呼気開始ポイントを検出する呼気開始ポイント検出手段32と、呼気開始ポイント検出手段32で検出される呼気開始ポイントを記憶する呼気開始ポイント記憶手段33と、呼気開始ポイント記憶手段33に記憶される複数の呼気開始ポイントから一呼吸時間を算出する一呼吸時間算出手段14と、一呼吸時間算出手段14で算出される一呼吸時間と、あらかじめ設定したI:E比とから呼気時間を算出する呼気時間算出手段15と、呼気開始ポイント検出手段32で検出される呼気開始ポイントと呼気時間算出手段15で算出される呼気時間から呼気終了ポイントを算出する呼気終了ポイント算出手段36と、呼気終了ポイント算出手段36で算出される呼気終了ポイントを基準として酸素供給期間を決定する酸素供給期間決定手段17とを有している。
【0046】
呼気時間算出手段15で用いるI:E比は、I:E比記憶手段18に記憶している。I:E比記憶手段18には、一呼吸時間算出手段14で算出される一呼吸時間に応じたI:E比を記憶している。例えば、通常の呼吸状態では、I:E比は1:2と言われており、呼吸が荒くなり一呼吸時間が短くなるとI:E比は1:1のように、またゆっくりとした呼吸ではI:E比は1:3のように、呼吸の状態によってI:E比は変化する。従って、一呼吸時間に応じたI:E比を記憶し、一呼吸時間に応じたI:E比を呼気時間算出手段15での算出に用いることで、より正確に呼気時間を算出することができる。
また、I:E比は、個人差に応じて設定することが好ましく、使用者の実績データを用いてI:E比を設定し、又は使用者の年齢や症状に応じてI:E比を設定することが好ましい。
酸素供給期間決定手段17では、呼気終了ポイントより第3設定時間前に酸素供給を開始し、呼気終了ポイントより第4設定時間後に酸素供給を終了する。
ここで、第3設定時間及び第4設定時間は、設定時間記憶手段19にあらかじめ記憶している。なお、第3設定時間及び第4設定時間についてもI:E比と同様に、一呼吸時間算出手段14で算出される一呼吸時間に応じた第3設定時間及び第4設定時間を記憶し、一呼吸時間に応じた第3設定時間及び第4設定時間を用いて酸素供給期間を決定することが好ましい。
【0047】
酸素供給駆動手段24では、酸素供給期間決定手段17で決定される酸素供給期間、酸素供給装置3から酸素を供給する駆動信号を出力する。
【0048】
図4(b)に示すように、呼気相1における呼気開始ポイントと呼気相2における呼気開始ポイントとを呼気開始ポイント検出手段32によって検出し、呼気開始ポイント記憶手段33に記憶する。
一呼吸時間算出手段14において、呼気相1における呼気開始ポイントと呼気相2における呼気開始ポイントとから一呼吸時間を算出することができる。
そして、呼気時間算出手段15において、あらかじめ設定したI:E比を用いることで、一呼吸時間から呼気時間を算出することができる。
そして、呼気終了ポイント算出手段36において、呼気相2における呼気開始ポイントと呼気時間とから呼気終了ポイントを算出することができる。
そして、酸素供給期間決定手段17において、呼気終了ポイントを基準として酸素供給期間を決定することができる。
図4(b)では、最もシンプルに、2つの呼気開始ポイントを用いて一呼吸時間を算出する場合を示しているが、3つ以上の呼気開始ポイントを用いて一呼吸時間を算出することで、安定した呼吸状態における一呼吸時間を正確に算出することができる。
【0049】
このように、本実施例によれば、呼気開始ポイントから呼気終了ポイントを算出して酸素供給期間を決定することで、外部からの酸素供給の影響を受けることなく自発呼吸における吸気開始タイミングを呼気終了ポイントとして算出できるため、酸素供給を最も必要とする期間を酸素供給期間として決定できる。従って、酸素供給量を大幅に軽減でき、酸素ボンベの長時間使用や酸素ボンベの小型化、及び酸素濃縮器の低コスト化を図ることができ、酸素ボンベを携帯しなければならない外出を容易にし、酸素ボンベを携帯した行動範囲を向上させることができる。
また、本実施例によれば、呼気終了ポイントを基準として、呼気終了ポイントの前後の時間帯に酸素供給を行うことで、供給する酸素を有効に肺胞に届けることができる。
また、本実施例によれば、呼吸の状態を一呼吸時間で判断し、判断した呼吸の状態に応じたI:E比を用いて呼気時間を算出することで、より正確な呼気時間を算出することができる。
本発明による酸素供給制御装置によれば、酸素供給量を大幅に軽減でき、酸素ボンベの長時間使用や酸素ボンベの小型化、及び酸素濃縮器の低コスト化を図ることができ、酸素ボンベを携帯しなければならない外出を容易にし、酸素ボンベを携帯した行動範囲を向上させることができる。