IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 鬼怒川ゴム工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-ウェザーストリップの金型装置 図1
  • 特開-ウェザーストリップの金型装置 図2
  • 特開-ウェザーストリップの金型装置 図3
  • 特開-ウェザーストリップの金型装置 図4
  • 特開-ウェザーストリップの金型装置 図5
  • 特開-ウェザーストリップの金型装置 図6
  • 特開-ウェザーストリップの金型装置 図7
  • 特開-ウェザーストリップの金型装置 図8
  • 特開-ウェザーストリップの金型装置 図9
  • 特開-ウェザーストリップの金型装置 図10
  • 特開-ウェザーストリップの金型装置 図11
  • 特開-ウェザーストリップの金型装置 図12
  • 特開-ウェザーストリップの金型装置 図13
  • 特開-ウェザーストリップの金型装置 図14
  • 特開-ウェザーストリップの金型装置 図15
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024065444
(43)【公開日】2024-05-15
(54)【発明の名称】ウェザーストリップの金型装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/40 20060101AFI20240508BHJP
   B29C 45/26 20060101ALI20240508BHJP
   B29C 45/44 20060101ALI20240508BHJP
   B29C 33/44 20060101ALI20240508BHJP
【FI】
B29C45/40
B29C45/26
B29C45/44
B29C33/44
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022174304
(22)【出願日】2022-10-31
(71)【出願人】
【識別番号】000158840
【氏名又は名称】鬼怒川ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100205682
【弁理士】
【氏名又は名称】高嶋 一彰
(72)【発明者】
【氏名】大林 周平
(72)【発明者】
【氏名】野口 武志
【テーマコード(参考)】
4F202
【Fターム(参考)】
4F202AD05
4F202AD23
4F202AH23
4F202AR13
4F202CA11
4F202CB01
4F202CB12
4F202CK13
4F202CK32
4F202CK54
4F202CQ01
(57)【要約】
【課題】金型からのウェザーストリップの取り外し作業能率の向上が図れるウェザーストリップの金型装置を提供する。
【解決手段】センタコア26は、中空シール部の内部の中空部を成形するセンタコア本体33と、取付基部にセンタスリットを形成するセンタプレート34とを有している。両サイドコア27,28は、中空シール部の内部の中空部を成形するサイドコア本体36,37と、センタスリットの側部にサイドスリットを形成するサイドプレート38,39を有しており、センタコア本体の両端面に形成された位置決め用凸部46,46と各サイドコア本体の対向面に形成された位置決め用凹部47,48とを有する位置決め機構とを備え、これにより、スライド機構によりセンタコアと各サイドコアの最大上昇位置で、センタコア本体と各サイドコア本体の幅方向の位置決めをする。
【選択図】図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体あるいはドアに取り付けられる取付基部と、該取付基部から突出した中空シール部と、を有するウェザーストリップの型成形部を成形する金型装置であって、
前記金型装置は、
下型と、該下型に対して開閉可能に設けられた上型と、前記下型と上型との間に配置されて、前記下型に対して開閉可能に設けられた中子型と、を備え、
前記中子型は、
該中子型の横幅方向の中央位置に設けられて、前記型成形部の長手方向の中央部に位置する前記中空シール部の内部の中空部を成形するセンタコア本体及び該センタコア本体から延出して、前記取付基部にセンタスリットを形成するセンタプレートを有するセンタコアと、
前記センタコア本体の長手方向の両端側に配置されて、前記型成形部の長手方向の両端部に位置する前記中空シール部の内部の中空部を成形する一対のサイドコア本体及び該各サイドコア本体から延出して、前記センタスリットの側部にサイドスリットを形成する一対のサイドプレートを有し、前記センタコアと分割形成された一対のサイドコアと、
前記センタコアと両サイドコアのいずれか一方を、型成形時あるいは離型時にスライド移動させるスライド機構と、
前記センタコア本体の両端面と該両端面に対向配置される前記各サイドコア本体のそれぞれの対向面との間に、前記スライド機構を介して前記センタコアと各サイドコアが相対的にスライド移動して前記両者の最大上昇位置で前記センタコア本体と各サイドコア本体の幅方向の位置決めをする位置決め機構と、
を備えたことを特徴とするウェザーストリップの金型装置。
【請求項2】
請求項1に記載のウェザーストリップの金型装置であって、
前記位置決め機構は、前記センタコア本体の両端面にそれぞれ設けられた一対の位置決め用凸部あるいは位置決め用凹部と、前記各サイドコア本体の各対向面面にそれぞれ設けられて、前記各位置決め用凸部あるいは各位置決め用凹部にスライド可能に嵌合する位置決め用凹部あるいは位置決め用凸部と、を備えていることを特徴とするウェザーストリップの金型装置。
【請求項3】
請求項2に記載のウェザーストリップの金型装置であって、
前記センタコア本体の一対の位置決め用凸部あるいは位置決め用凹部に、前記各サイドコア本体の各位置決め用凹部あるいは位置決め用凸部が嵌合して、前記センタコア本体と各サイドコア本体の幅方向の位置決めがされた状態で、前記センタコア本体の各位置決め凸部あるいは各位置決め用凹部と各サイドコア本体の各位置決め用凹部あるいは各位置決め用凸部が嵌合した間の境界線上に線状の溝部が形成されていることを特徴とするウェザーストリップの金型装置。
【請求項4】
請求項1に記載のウェザーストリップの金型装置であって、
前記スライド機構は、ウェザーストリップの型成形後に、前記下型に対して前記上型と中子型を型開きした状態で、前記両サイドコアを、型成形時における前記センタコアと同じ最大上昇位置から下方向へスライド移動させることを特徴とするウェザーストリップの金型装置。
【請求項5】
請求項1に記載のウェザーストリップの金型装置であって、
前記中子型は、前記センタコアと両サイドコアを両側から挟んだ状態で配置された上中型及び下中型を有し、
前記上中型と下中型は、前記センタコアと両サイドコアを挟んだ状態で連結部材によって連結されていると共に、前記連結部材が前記センタコアと両サイドコアにそれぞれ貫通形成された上下方向に長い摺動用孔に摺動可能に挿入されて、前記各サイドコアのスライド方向と同方向にスライド可能に設けられ、
前記両サイドコアは、両側部に形成された前記摺動用孔と該摺動用孔に挿通された前記連結部材を介して前記上中型と下中型に対してもスライド可能に設けられていることを特徴とするウェザーストリップの金型装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェザーストリップの型成形部を成形する金型装置、特にセンタコア本体と両サイドコア本体を位置決めする位置決め機構を備えた金型装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のウェザーストリップの型成形部を成形する金型装置としては、以下の特許文献1に記載されているものが知られている。
【0003】
このウェザーストリップの金型装置は、ウェザーストリップの型成形部を形成するコア金型を有し、このコア金型は、型成形部の上部コーナ部のほぼ中央の中空部を形成するためのセンタコアと、このセンタコアの両側に配置されて中央の中空部と連続する中空部を形成するための一対のサイドコアとを有している。
【0004】
センタコアは、センタコア本体と、該センタコア本体から一体的に延びるセンタ延出プレートと、を有している。
【0005】
両サイドコアは、2つのサイドコア本体と、該両サイドコア本体から一体的に延びる一対のサイド延出プレートと、を有している。この両サイド延出プレートは、連結部によってほぼコ字形状に連結されている。前記サイド延出プレートは、内側上中型及び内側下中型の間において、上下方向へ所定のストローク量だけスライド可能になっている。
【0006】
また、センタコア本体と各サイドコア本体は、各型で囲まれた空間の中央に設けられる。これらの成形面やセンタコア本体及び各サイドコア本体の外面によって、型成形部を成形するためのキャビティが形成されている。
【0007】
そして、前記金型装置で成形されたウェザーストリップに対して、まず、下型から上型及び外側上中型、外側下中型を離間させ、その後、各サイドコアを、ウェザーストリップと共に内側上中型及び内側下中型に対して上方へスライド移動させる。これによって、ウェザーストリップは、内側上中型及び内側下中型から離間させられると共に、中空部内のセンタコア本体がセンタスリットから自動的に取り外される。
【0008】
その後、ウェザーストリップの型成形部は、作業者によってウェザーストリップの左右方向へ引っ張ることによって各サイドスリットを介して両サイドコア本体から取り外されるようになっている。
【0009】
そして、コア金型が、センタコアと2つのサイドコアとに分割されていることから、ウェザーストリップの基端部に形成される各スリットが短いものとなるので、スリットを閉じて接着する必要がなくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特許第4140522号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、前記公報記載の従来のウェザーストリップの金型装置にあっては、センタコアと両サイドコアの間に、該サイドコアのスライド移動時において両者間の位置決めを行う手段を何ら備えていない。
【0012】
このため、特に、型締め時に、センタコアに対して両サイドコアをスライド下降させてセンタコア本体と各サイドコア本体の高さを同一にした場合に、センタコア本体に対して各サイドコア本体が幅方向に位置ずれが発生して、センタコア本体と両サイドコア本体との間に段差が生じるおそれがある。したがって、これらによって形成されるキャビティ形状に段差が発生して、ウェザーストリップの中空部の断面形状や肉厚が変化してしまい、この結果、ウェザーストリップの中空部の反力が変化してシール性能が低下するおそれがある。
【0013】
本発明は、前記従来の技術的課題に鑑みて案出されたもので、型締め時において、スライド機構を介して中子型のセンタコア本体とサイドコア本体が互いに最大上昇位置にスライド移動した際の高い位置決め精度が得られるウェザーストリップの金型装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本願請求項1に記載の発明は、車体あるいはドアに取り付けられる取付基部と、該取付基部から突出した中空シール部と、を有するウェザーストリップの型成形部を成形する金型装置であって、
前記金型装置は、
下型と、該下型に対して開閉可能に設けられた上型と、前記下型と上型との間に配置されて、前記下型に対して開閉可能に設けられた中子型と、を備え、
前記中子型は、
該中子型の横幅方向の中央位置に設けられて、前記型成形部の長手方向の中央部に位置する前記中空シール部の内部の中空部を成形するセンタコア本体及び該センタコア本体から延出して、前記取付基部にセンタスリットを形成するセンタプレートを有するセンタコアと、
前記センタコア本体の長手方向の両端側に配置されて、前記型成形部の長手方向の両端部に位置する前記中空シール部の内部の中空部を成形する一対のサイドコア本体及び該各サイドコア本体から延出して、前記センタスリットの側部にサイドスリットを形成する一対のサイドプレートを有し、前記センタコアと分割形成された一対のサイドコアと、
前記センタコアと両サイドコアのいずれか一方を、型成形時あるいは離型時にスライド移動させるスライド機構と、
前記センタコア本体の両端面と該両端面に対向配置される前記各サイドコア本体のそれぞれの対向面との間に、前記スライド機構を介して前記センタコアと各サイドコアが相対的にスライド移動して前記両者の最大上昇位置で前記センタコア本体と各サイドコア本体の幅方向の位置決めをする位置決め機構と、
を備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、スライド機構を介して中子型のセンタコア本体と両サイドコア本体が互いに最大上昇位置にスライド移動した際における高い位置決め精度を得ることができる。したがって、センタコア本体と両サイドコア本体によって形成されるキャビティ形状に段差の発生が防止されることから、ウェザーストリップの中空シール部の断面形状や肉厚が変化せず、この結果、前記中空シール部の反力の変化がなくなることからシール性能の低下を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態に供されるウェザーストリップを示す側面図である。
図2】(a)は図1のA-A線断面図、(b)は図1のB-B線断面図である。
図3】同ウェザーストリップの型成形部を示す斜視図である。
図4】本発明に係るウェザーストリップの金型装置の一実施形態を示す分解斜視図である。
図5】同金型装置の注入用型を上方に位置させた各金型を組み付けた状態を示す斜視図である。
図6】(a)は本実施形態の金型装置を型締めした状態を示す平面図、(b)は同金型装置の左側面図である。
図7】(a)は同金型装置を型開きした状態を示す平面図、(b)は同金型装置の左側面図である。
図8】本実施形態の金型装置を型締めした状態を示す断面図である。
図9】本実施形態に供される中子型の分解斜視図である。
図10】本実施形態に供される中子型のセンタコアの背面図である。
図11】本実施形態に供される中子型の両サイドコアの背面図である。
図12】本実施形態に供される中子型のセンタコアと両サイドコアが組み付けられた斜視図である。
図13】本実施形態に供されるセンタコアと両サイドコアが位置決め機構によって位置決めされた状態を示す斜視図である。
図14】本実施形態に供されるセンタコアと両サイドコアが位置決め機構によって位置決めされた状態を示す平面図である。
図15】センタコアに対して両サイドコアを下方向へ押し下げた状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明のウェザーストリップの金型装置の実施形態を図面に基づいて詳述する。
【0018】
図1は本発明の実施形態に供されるウェザーストリップの側面図、図2の(a)は図1のA-A線断面図、(b)は図1のB-B線断面図、図3図1に示す型成形部を下方から視た斜視図、図4は本実施形態に供される金型装置の分解斜視図、図5は同金型装置の注入用型を上方に位置させた各金型を組み付けた状態を示す斜視図、図6の(a)は本実施形態の金型装置を型締めした状態を示す平面図、(b)は同金型装置の左側面図、図7は本実施形態の金型装置を型締めした状態を示す断面図、図8の(a)は同金型装置を型開きした状態を示す平面図、(b)は同金型装置の左側面図である。
【0019】
車両である自動車のフロントドアの外周部には、図1に示すように、フロントドアと車体の開口部との間をシールするドアウェザーストリップ(以下、ウェザーストリップと称する)1が閉ループ状に配設されている。
【0020】
このウェザーストリップ1は、エチレン・プロピレン・ジエン共重合ゴム(EPDM)、あるいはオレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)などのゴム材料によって形成され、図1に示すように、押出成形部2,3と型成形部4、5とを備えている。押出成形部2,3は、図外の押出成形機によってほぼ直線状に形成されている。一方、型成形部4,5は、隣接する押出成形部2,3の端末部を連結するために、図4及び図5に示す型成形用の金型装置11によって曲線状に折曲形成されている。
【0021】
押出成形部2,3は、図2(b)及び図3に示すように、図外の自動車ドアのドアサッシュに取り付けられる取付基部6と、該取付基部6から車体方向に突出した中空シール部7と、前記中空シール部7の取付基部6側の基端部から延びる断面く字形状のシール部8と、を有している。なお、前記取付基部6の中空シール部7と反対側には、第1シールリップ8aが突設されていると共に、この第1シールリップ8aとシール部8との間に第2シールリップ8bが突設されている。
【0022】
型成形部4,5は、図2(a)に示すように、基本構造が押出成形部2,3とほぼ同じ断面形状であって、ドアサッシュに取り付けられる取付基部6と、該取付基部6から車体方向に突出した中空シール部7と、前記中空シール部7の取付基部6側の基端部から延びる断面がく字形状のシール部8及び各シールリップ8a、8bと、を有している。また、取付基部6は、幅方向のほぼ中央位置に、後述するセンタコア本体33やサイドコア本体36,37を取り出すための複数のスリットが貫通形成されている。
【0023】
この各スリットは、図3に示すように、型成形部4,5の長手方向のほぼ中央に有するセンタスリット9と、該センタスリット9の長手方向の両側部に有する2つのサイドスリット10,10と、を有している。このセンタスリット9と両サイドスリット10,10は、ウェザーストリップ1の長手方向に沿った細長い一定幅に形成されている。
【0024】
前記ウェザーストリップ1の型成形部4,5を成形する金型装置11は、図4図8に示すように、固定された下型12と、該下型12の上部に開閉可能に設けられた上型である可動型13と、下型12の上面に配置されて、前記可動型13に前後方向から対向配置された中子型14と、前記可動型13の上部に配置されて、前記各金型で構成される後述のキャビティ内に溶融樹脂材を注入する図外の射出成形機の注入用型15と、を備えている。
【0025】
なお、以下では型成形部4,5を、説明の便宜上、一方側の型成形部4について説明する。
【0026】
下型12は、鉄系金属材で肉厚な板状に形成されて、図4に示すように、上面の所定位置にウェザーストリップ1の型成形部4を成形するキャビティの一部を構成する半割り状の第1キャビティ構成凹部16が下型12の幅方向に沿って円弧曲線状に形成されている。この第1キャビティ構成凹部16は、長手方向のほぼ中央部が型成形部4を成形する下側中央凹部16aと、該下側中央凹部16aの長手方向の両端部に有し、前記押出成形部2,3の各端末部2a、3aが載置保持される下側両側凹部16b、16bと、を有している。
【0027】
また、下型12は、前記中子型14が後述する枢支機構を介して型開きした際の最大回動位置規制する図外の開度位置規制機構が設けられている。
【0028】
前記枢支機構は、具体的に図示しないが、下型12の上面に立設された左右一対の支持部と、該支持部の上端部に貫通形成された支持孔に挿通された支軸と、中子型14の後述するセンタコア26の下端部のほぼ中央位置から下方に突設された図外の突出片の幅方向に貫通形成されて前記支軸が摺動可能に挿入される挿入孔と、を有している。これによって、中子型14は、下型12に対してセンタコア26の突出片に挿通された枢支機構の支軸を支点として回動しながら開閉可能に支持されている。なお、センタコア26の突出片は、開度位置規制機構の一部としても構成されている。
【0029】
可動型13は、図4図8に示すように、下型12の上面に中子型14の方向へ水平にスライド移動可能(開閉可能)に設けられ、中子型14側の前端部には、前記下型12に対する型締め時(型閉じ時)に、下型12の第1キャビティ構成凹部16と協働してキャビティを構成する半割り状の第2キャビティ構成凹部22が可動型13の幅方向に沿って円弧曲線状に形成されている。この第2キャビティ構成凹部22は、長手方向のほぼ中央部が型成形部4を成形する上側中央凹部22aと、該上側中央凹部22aの長手方向の両端部に有し、前記押出成形部2,3の各端末部2a、3aの上から保持される上側両側凹部22b、22bと、を有している。
【0030】
また、可動型13は、両側部にそれぞれ前後2つ摺動用ピン(図示せず)がそれぞれ突設されており、この4つの摺動用ピンが、下型12の上面に固定された図外の左右一対のスライドレールの上面上を摺動して前後方向(開閉方向)へスライド移動可能に設けられている。また、可動型13は、前記各スライドレールの上端面の前後所定位置に形成された前後各2つの係合溝に前記各摺動用ピンが係合して型締め時における最大前方移動位置が規制されるようになっている。
【0031】
なお、可動型13は、本実施形態では手動によって前後方向(型締め、離型方向)へスライド移動されるようになっているが、例えば、電動や油圧シリンダなどを用いて自動でスライド移動させることも可能である。
【0032】
図9は本実施形態に供される中子型の分解斜視図、図10は本実施形態に供される中子型のセンタコアの背面図、図11は本実施形態に供される中子型の両サイドコアの背面図、図12は本実施形態に供される中子型のセンタコアと両サイドコアが組み付けられた状態を示す斜視図、図13は本実施形態に供されるセンタコアと両サイドコアが位置決め機構によって位置決めされた状態を示す斜視図、図14は本実施形態に供されるセンタコアと両サイドコアが位置決め機構によって位置決めされた状態を示す平面図である。
【0033】
中子型14は、図9図13に示すように、下中型24と、上中型25と、該下中型24と上中型25の間に挟持状態に配置されたセンタコア26と、該センタコア26の左右両側に同じく各上下中型24,25に挟持状態に配置され、上下方向へスライド可能に配置された一対のサイドコア27,28と、を有している。
【0034】
下中型24と上中型25は、それぞれ肉厚な鉄系金属板によって外形状がほぼハウス形状に形成されて、複数(本実施形態では4本)のショルダーボルト29によって一体に結合されている。各ショルダーボルト29は、内部に六角溝が形成された円柱状の頭部29aと、該頭部29aの一端から延びた軸部29bと、該軸部29bの先端部に一体に設けられて、軸部29bの外径よりも小さな雄ねじ部29cと、を有している。軸部29bと雄ねじ部29cとの間には、互いの外径の相違による段差面29dがそれぞれ形成されている。
【0035】
前記下中型24は、図9に示すように、両側部の左右上下位置に前記各ショルダーボルト29の雄ねじ部29cが螺着締結される4つの雌ねじ孔24aがそれぞれ形成されている。また、下中型24は、可動型13側の先端部に、ウェザーストリップ1の取付基部6の中空シール部7側に一部を成形する第3キャビティ構成凹部30が形成されている。
【0036】
また、下中型24は、各サイドコア27、28側の一側面の下側で、かつ前記下側の一対の雌ねじ孔24aよりも外側の位置に一対の嵌合部である第1スライド溝31が形成されている。この各第1スライド溝31は、上下方向に長い長円状に形成されて、これらが第1スライド機構の一部を構成している。
【0037】
前記上中型25は、図9に示すように、両側部の前記下中型24の各雌ねじ孔24aに対応する位置に前記各ショルダーボルト29の軸部29bが挿入される4つのボルト挿入孔25aが貫通形成されている。また、上中型25は、同じく可動型13側の先端部に、ウェザーストリップ1の取付基部6の中空シール部7と反対側の一部を成形する第4キャビティ構成凹部32が形成されている。
【0038】
前述した図外の突出片は、ほぼく字形状に形成されて、上端部がセンタコア26の下部の幅方向の中央位置に有する凹溝内にボルト固定されていると共に、下端部がストッパ突出部方向へ傾斜状に折り曲げられている。そして、この突出片は、中子型14が枢支機構を介して下型12の対して最大に回動して型開きした際に、先端縁が前記ストッパ突出部に当接して最大開度位置を規制する突き当て部としても機能している。すなわち、この突出片は、中子型14の型開き時に、先端縁がストッパ突出部の一側面に当接することによって中子型14のそれ以上の開動位置を規制し、その最大開度θは約110°に設定されている。この突出片と前記ストッパ突出部とによって開度位置規制機構が構成されている。
【0039】
前記センタコア26は、型成形部4の中央に位置するコーナ部の中空シール部7の中空部7aを形成するためのものである。一対のサイドコア27,28は、中央の中空シール部7に連続する両側の中空シール部7の中空部7aを形成するためものである。
【0040】
センタコア26は、図9及び図10に示すように、前記下中型24と上中型25との間に配置されており、センタコア本体33と、該センタコア本体33の下部から一体に延出したセンタプレート34と、を有している。
【0041】
センタコア26は、図10にも示すように、幅方向の両側部に前記各ショルダーボルト29が挿入する摺動用孔である4つの第1ボルト摺動用孔26aが貫通形成されている。この各第1ボルト摺動用孔26aは、それぞれが上下方向に長い長孔状に形成されており、この各第1ボルト摺動用孔26aと各ショルダーボルト29を介して前記上中型25と下中型24がセンタコア26に対し上下摺動可能になっている。そして、上下中型24、25は、各ショルダーボルト29が各第1ボルト摺動用孔26aの各上端縁に当接した状態で、最大上方移動位置が規制され、各第1ボルト摺動用孔26aの各下端縁に当接した状態で、最大下方移動位置が規制されるようになっている。
【0042】
また、センタコア26は、各サイドコア27,28側の一側面の上側でかつ前記各第1ボルト摺動用孔26aよりも外側の位置に嵌合部である左右一対の第2スライド溝35が形成されている。この各第2スライド溝35は、上下方向に長い矩形孔状に形成され、第1スライド機構の一部を構成している。
【0043】
センタコア本体33は、図9及び図10に示すように、センタプレート34の先端部に一体的に固定され、型成形部4におけるウェザーストリップ1の長手方向に沿って延設されていると共に、横断面形状が中空シール部7の中空部7aの断面形状を形成する形状になっている。
【0044】
センタプレート34は、均一な肉厚の細長い板状に形成されて、センタコア本体33の幅方向の中央に形成された断面矩形状の保持孔に挿入されていると共に、図外のボルトなどによってセンタコア本体33に固定されている。
【0045】
各サイドコア27,28は、図9及び図11に示すように、センタコア26の下中型24側の一側面の両側に沿って配置されて、前記センタコア26と下中型24との間に各ショルダーボルト29を介して上下摺動可能に設けられており、2つのサイドコア本体36、37と、該各サイドコア本体36、37の下部から一体に延出したサイドプレート38、39と、を有している。
【0046】
また、各サイドコア27,28は、幅方向の両側部に前記各ショルダーボルト29が挿入する4つの第2ボルト摺動用孔27a、28aが貫通形成されている。この各第2ボルト摺動用孔27a、28aは、それぞれが上下方向に細長い長孔状に形成されており、この各第2ボルト摺動用孔27a、28aと各ショルダーボルト29を介して前記上下中型24,25と両サイドコア27,28が相対的に上下摺動可能になっている。つまり、両サイドコア27,28は、上中型25と下中型24に対して独立して上下摺動可能になっている。
【0047】
前記各ショルダーボルト29とセンタコア26の各第1ボルト摺動用孔26a及び各サイドコア27,28の各第2ボルト摺動用孔27a、28aが、第2スライド機構を構成している。
【0048】
そして、両サイドコア27,28は、各ショルダーボルト29に各第2ボルト摺動用孔27a、28aの各下端縁27b、28bが当接した状態で、最大上方移動位置が規制され、各第2ボルト摺動用孔27a、28aの各上端縁27c、28cに当接した状態で、最大下方移動位置が規制されるようになっている。
【0049】
また、両サイドコア27,28は、図9及び図11に示すように、センタコア26側と下中型24側のそれぞれの両側面で、かつ前記各第2ボルト摺動用孔27a、28aよりも外側の位置に、上下左右各一対の嵌入部である第1スライド突部40、40と第2スライド突部41、41がそれぞれ設けられている。各第1,第2スライド突部40、41は、それぞれ上下方向に長い長円状に形成されている。各第1スライド突部40、40は、センタコア26方向へ突出して前記各第2スライド溝35、35内に摺動可能に嵌合している。一方、各第2スライド突部41、41は、下中型24方向へ突出して前記第1スライド溝31、31内に摺動可能に嵌合している。
【0050】
したがって、各サイドコア27,28は、下中型24とセンタコア26に対して上下スライド可能に設けられ、第1,第2スライド突部40、41が各第1、第2スライド溝31,35の上端縁に当接した上昇位置で、各サイドコア本体36、37がセンタコア本体33と同じ高さになる。また、各サイドコア27,28は、各スライド突部40、41が各スライド溝31,35の下端縁31b、35bに当接した下降位置で、各サイドコア本体36、37がセンタコア本体33よりも約20mm程度スライド下降した位置に規制されるように構成されている。
【0051】
つまり、各サイドコア27,28は、各スライド溝31,35と各スライド突部40,41を介してセンタコア26に対して上下方向へ約20mm程度スライド移動可能になっている。
【0052】
したがって、各サイドコア本体36、37は、後述する型締め時に、中子型14が枢支機構を介して閉じ方向へ回動すると、後述する押し上げ機構を介してセンタコア本体33と同じ高さの最大上昇位置になり、型開き時には、下降してセンタコア本体33から下方向へ約20mm程度スライド移動可能になっている。前記第1、第2スライド溝31,35及び第1、第2スライド突部40,41が、第1スライド機構を構成している。
【0053】
この第1スライド機構は、各サイドコア27,28を下方向へスライド移動させるには、手動で行うようになっているが、上方向へスライド移動させるには、後述する押し上げ機構によって自動的に押し上げるようになっている。
【0054】
各サイドコア本体36、37は、各サイドプレート38、39の先端部に一体的に固定され、型成形部4におけるウェザーストリップ1の長手方向に沿って延設されていると共に、横断面形状が両サイドの中空シール部7の内部の中空部7aの断面形状を形成する形状になっている。
【0055】
各サイドプレート38、39は、均一な肉厚の細長い板状に形成されて、各サイドコア27、28のそれぞれの幅方向の中央に形成された保持孔に挿入されていると共に、図外のボルトなどによって各サイドコア27,28に固定されている。
【0056】
前記押し上げ機構は、具体的に図示しないが、下型12の上面の幅方向の両側に設けられた左右一対のガイド片と、下中型24の下部両側に突設されて、前記各ガイド片に係合する左右一対の係合突起部と、を有している。
【0057】
前記各ガイド片は、上部にほぼU字形状のガイド溝がそれぞれ形成されている。この各ガイド溝は、前記枢支機構の各支持部側の一側面が底面まで前方へ下り傾斜状に形成されていると共に、該各一側面に対向する他側面がほぼ垂直状に立ち上がっている。
【0058】
前記各係合突起部は、円柱のピン状に形成されて、中子型14を前方へ倒した所定角度位置から各ガイド溝の各一側面に当接しつつこの傾斜面の傾斜角度に沿って摺動案内される。そして、中子型14は、各係合突起部が各一側面に沿って案内移動されるに伴って全体がこの一側面の傾斜面で前方(可動型13方向)に押し出されて、係合突起部が底面に到達した時点で最大上昇位置になるように構成されている。
【0059】
このとき、各サイドコア27,28は、4本のショルダーボルト29が第2ボルト摺動用孔27a、28aの各上端縁に当接して上中型25と下中型24の上昇移動に伴ってセンタコア26に対して上昇移動するようになっている。
【0060】
また、型開き時において、中子型14を、枢支機構を介して開方向に回動させると、前記各係合突起部が各ガイド溝の各一側面の傾斜面に沿って移動して中子型14が立ち上がると、上下中型24、25が各ショルダーボルト29を介してセンタコア26に対して自重によって下降移動する。このとき、各サイドコア27,28は下降せずにセンタコア26と同じ高さに保持される。その後、各サイドコア27,28を、第1スライド機構と各ショルダーボルト29を介してセンタコア26に対して手動により下降移動させるようになっている。
【0061】
すなわち、型締め時には、上下中型24、25と各サイドコア27,28は、押し上げ機構によって漸次上方向へスライド移動が開始され、型締め完了とともに最大上昇位置に保持される。つまり、型締め時には、押し上げ機構によって上下中型24、25とび各サイドコア27,28が自動的に上昇移動して、第1スライド機構の第1、第2スライド溝31,35の各上端縁31a、35aに各スライド突部40,41の上端縁が当接して最大上昇位置が規制された状態で、各サイドコア本体36、37の上端面がセンタコア本体33の上端面と同一高さになるように設定されている。
【0062】
そして、前記センタコア本体33の長手方向の両端面と各サイドコア本体36、37の各対向面の間には、位置決め機構が設けられている。この位置決め機構は、図9及び図13図14に示すように、センタコア本体33の長手方向の両端面に突設された一対の位置決め用凸部46、46と、各サイドコア27,28の前記センタコア本体33の両端面に対向する各対向面にそれぞれ形成されて、前記各位置決め用凸部46,46に嵌合して上下にスライド移動可能な位置決め用凹部47,48と、を有している。
【0063】
各位置決め用凸部46、46は、センタコア本体33の両端面の幅方向の中央位置に上下方向に沿って延設されていると共に、横断面がほぼ台形状に形成されている。各位置決め用凹部47,48は、各サイドコア本体36、37の各対向面の幅方向の中央位置に上下方向に沿って延設されていると共に、横断面形状が前記位置決め用凸部46,46の横断面形状に対応してほぼ台形状に形成されている。そして、各位置決め用凹部47,48が、前記両サイドコア本体36,37の上昇移動に伴って位置決め用凸部46,46に下方から嵌合して、両サイドコア27,28が第1スライド機構を介して最大上昇位置に到達した時点で、センタコア本体33と両サイドコア本体36,37の幅方向の位置決めが行われるようになっている(図13図14参照)。
【0064】
なお、前記各位置決め用凸部46,46と位置決め用凹部47,48とは、センタコア26に対して両サイドコア27,28が上下方向へスライド移動している間は勿論のこと、両サイドコア17,28が最大下降位置や最大上昇位置においても互いに外れることなく常に嵌合状態になっている。
【0065】
また、図13及び図14に示すように、前記最大上昇位置で前記センタコア本体33と両サイドコア本体36,37の幅方向Wの位置決めがされた状態で、前記センタコア本体33の各位置決め用凸部46,46と各サイドコア本体36,37の各位置決め用凹部47,48が嵌合した間の境界線上に沿った線状の溝部49が形成されている。この溝部49は、各位置決め用凸部46,46と各位置決め用凹部47,48の嵌合形状に沿った凹凸線状に形成されて、その溝深さは中空シール部7の中空部7aの内面形状に影響を与えない深さになっている。
【0066】
〔本実施形態の金型装置によるウェザーストリップの製造方法〕
以下、前記の構成からなる金型装置によるウェザーストリップ1の型成形部4の製造法について説明する。
【0067】
型成形を行うには、まず、図5に示すように、予め注入用型15を下型12及び可動型13の上面から所定の昇降機によって所定の高さまで上昇移動させておく。
次に、可動型13を、各摺動用ピンを各スライドレール上でスライド移動させて下型12に対して手動によって水平に下型12の第1キャビティ構成凹部16の方向へ移動させて位置決め保持する。
【0068】
続いて、中子型14を、枢支機構を介して型開きした状態とする。つまり、中子型14のセンタコア26の下端部(枢支機構の支軸)を中心として上端部側を上方に持ち上げて型開きする。この型開きした状態で、ウェザーストリップ1の押出成形部2,3の端末部2a、3aを下型12の第1キャビティ構成凹部16のサイドコア本体36、37のセンタコア26に面しない側の長手方向端部に所定長さだけはめ込みセットする。
【0069】
次に、センタコア26に対して各サイドコア27,28が同一に高さにある中子型14を、枢支機構を介して下型12方向に倒しつつセンタコア本体33と各サイドコア本体36,37を、下型12の第1キャビティ構成凹部16と可動型13の第2キャビティ構成凹部22の間の所定位置にセットして型締めする(図6a、b参照)。
これによって、押出成形部2、3が金型装置に対して取付固定されると共に、両キャビティ構成凹部16,22との間及び中子型14の第3キャビティ構成凹部30、第4キャビティ構成凹部32との間にキャビティが形成される。また、このとき、センタプレート34の先端部と各サイドプレート38、39の先端部も、キャビティ内に位置した形になっている(図7)。
【0070】
その後、注入用型15を下型12と可動型13の上面に所定位置まで下降移動させて、射出成形機から注入用型15を介して前記キャビティ内に可塑化状態にあるEPDMゴムなどをゲート15aから注入して充填する。次に、EPDMゴムを加硫固化させることによって型成形部4の成形作業が完了する。
【0071】
次に、型成形されたウェザーストリップ1の取り出し作業について説明する。
【0072】
まず、注入用型15を上昇させた後に、可動型13を、図8(a)(b)に示すように、図外のスライドレールを介して下型12から離間する方向(型開き方向)へ所定位置まで後退移動させる。
【0073】
その後、上下中型24、25の前端部を、型成形されたウェザーストリップ1と一緒に手で持ち上げると、中子型14全体が、下型12から枢支機構の支軸を中心に回動して起き上がって型開きする。
【0074】
このとき、中子型14は、突出片の先端縁がストッパ突出部の一側面に当接することによって最大開度が規制される。つまり、突出片の先端縁が、ストッパ突出部に当接して可動型13のそれ以上の開動位置が規制された最大開度θは約110°まで開かれる。
【0075】
また、このように中子型14を最大開度位置まで回動させて行くと、上中型25と下中型24は、センタコア26に対して各ショルダーボルト29を介して自重によって下降移動する。この状態では、型成形されたウェザーストリップ1が、センタコア26のセンタコア本体33と各サイドコア27,28の各サイドコア本体36、37に取り付けられた状態にある。したがって、センタコア26は勿論のこと、各サイドコア27,28も下降することなく、センタコア26と同じ高さ位置に保持されている。
【0076】
図15はセンタコアに対して両サイドコアを下方向へ押し下げた状態を示す正面図である。
【0077】
次に、両サイドコア27,28を、図13の白抜き矢印に示すように、センタコア26に対してウェザーストリップ1と一緒に第1スライド機構を介して下方向へ手動でスライド移動させる。そうすると、ウェザーストリップ1は、図15に示すように、型成形部4の中央部4aがセンタコア26のセンタコア本体33で支持された状態で、両サイドコア本体36,37が両サイドプレート38、39で形成された各サイドスリット10、10から抜け出して自動的に取り外される。
【0078】
つまり、型成形部4は、長手方向の両端部4b、4bが両サイドコア27,28から自動的に取り外されてフリーな状態になるが、中央部4aがセンタコア本体33に残された状態になる。
【0079】
したがって、その後、作業者が、ウェザーストリップ1の型成形部4の中央部4aを手で持ってほぼ垂直上方向へ持ち上げると、該中央部4aを、センタスリット9を介してセンタコア本体33から簡単に取り外すことができる。
【0080】
次に、ウェザーストリップ1の型成形部4を再度成形する際には、まず、前述のように、押出成形部2、3の端末部を下型12の第1キャビティ構成凹部16の各サイドコア本体36、37の長手方向端部に所定長さだけはめ込みセットする。その後、型開き状態にある中子型14を下型12に対して枢支機構を介して前方へ倒して行く。
【0081】
そうすると、押し上げ機構が、上下中型24、25を、第2スライド機構を介してセンタコア26に対して自動的に上方向へ約20mm程度押し上げる。同時に、両サイドコア本体36,37も、上下中型24、25と一緒に第1スライド機構を介して約20mm程度、つまり、センタコア26のセンタコア本体33の高さ位置までスライド移動する。
【0082】
このとき、両サイドコア本体36、37が、センタコア本体33の下までスライド移動すると、ここから位置決め機構の各位置決め用凹部47,48が各位置決め用凸部46、46に嵌合した状態で各サイドコア本体36,37がセンタコア本体33に対して左右の位置決めをされながら上方向へ移動する。その後、両サイドコア本体36、37が、第1スライド機構によって最大上方向への移動が規制されて上端面とセンタコア本体33の上端面とが同一高さになる。
【0083】
したがって、この時点で、両サイドコア本体36、37は、位置決め機構によってセンタコア本体33と幅方向Wの位置決めがなされる。つまり、両サイドコア本体36、37の各両側面が、センタコア本体33の両側面と幅方向Wでずれることなく、同一平面に位置決めされる。
【0084】
以上のように、本実施形態によれば、中子型14は、センタコア26と2つのサイドコア27,28に分割形成されていることから、ウェザーストリップ1の取付基部6の各スリット9,10,10の長手方向の長さも十分に短くなり、各スリット9,10,10の間が閉止された状態になる。このため、型成形後にスリットを閉じて接着する必要がなくなる。また、設計の際にスリットを閉じるための変形部を見込む必要もなくなる。この結果、作業工数や設計工数を大幅に削減できので、これらの作業能率の向上が図れると共に、コストの低減化も図れる。
【0085】
また、特に、前述したように、ウェザーストリップ1の型成形後に、下型12に対して可動型13と中子型14の型開きを行うと共に、両サイドコア27,28を、センタコア26に対して下方向へスライド移動させる。これによって、両サイドコア27,28は、各サイドプレート38,39と両サイドスリット10,10を介してウェザーストリップ1の型成形部4の長手方向の両端部4b、4bから自動的に離脱する。と同時に、センタコア26は、型成形部4の長手方向の中央部4aを支持した状態になる。
【0086】
したがって、その後、作業者は、型成形部4の中央部4aを持って垂直上方向へ引き上げれば、ウェザーストリップ1を簡単かつ容易に取り外すことが可能になる。つまり、ウェザーストリップ1の最終的な取り外し作業は、型成形部4の中央部4aを持ち上げるだけであるから、この取り外し作業が極めて容易になり、該取り外し作業能率の向上が図れる。
【0087】
しかも、最終的な取り外しは型成形部4の中央部4aを、斜め上方に引き上げるのではなく、ほぼ垂直方向へ引き上げるだけであるから、センタコア26のセンタプレート34がセンタスリット9の孔縁に引っ掛かることなくスムーズに引き上げることができるので、センタスリット9の孔縁に亀裂や切り裂きなどが発生することがない。
【0088】
また、ウェザーストリップ1の再型成形時には、固定状態にあるセンタコア26に対して下方位置にある各サイドコア27,28を、第1スライド機構を介して上方へ移動させると、前述のように、位置決め機構によって各サイドコア本体36、37が前記センタコア本体33の両側面に沿ってスライド案内されると共に、センタコア本体33と両サイドコア本体36、37の幅方向Wの位置決めがなされる。これによって、センタコア26に対する各サイドコア27,28の安定したスライド移動が可能になると共に、前記センタコア本体33と各サイドコア本体36、37の幅方向Wが位置決めされることから、センタコア26と両サイドコア27,28の位置決め精度が高くなる。
【0089】
したがって、センタコア本体33と両サイドコア本体36,37によって形成されるキャビティ形状に段差の発生が防止される。このため、ウェザーストリップ1の中空シール部7の断面形状や肉厚が変化せず、この結果、ウェザーストリップ1の中空シール7の反力の変化がなくなることからシール性能の低下を抑制できる。
【0090】
前記位置決め機構は、センタコア26に設けられた各位置決め用凸部46、46と各サイドコア27,28に設けられた位置決め用凹部47,48によって構成されていることから、構造が簡素化されて製造作業が容易になると共に、コストを削減できる。
【0091】
また、前記センタコア本体33の各位置決め用凸部46,46と各サイドコア本体36,37の各位置決め用凹部47,48が嵌合した間の境界線上に沿った線状の溝部49が形成されていることから、型成形部4の中空シール部7を成形した後には、中空部7aの内面に溝部49に沿った線状の微小突部が形成されることになる。ただし、この微小突部は、成形後において形成されていることが視認あるいは触手で認識できる程度のもので、中空シール部7の中空部7aの内面形状に影響を与えることはない。
【0092】
また、センタコア26に対する両サイドコア27,28の最大上方位置を第1スライド機構によって機械的に規制することができることから、センサなどの電子機器を用いる必要がなく、この点でも金型装置の製造コストを削減できる。
【0093】
また、型成形後において、ウェザーストリップ1を取り外す際に、下型12に対する可動型13の最大開度θを約110°に設定したことによって、作業者が、ウェザーストリップ1をセンタコア本体33から取り外す作業中に姿勢を変えずに行えるので、この取り外し作業が容易になる。
【0094】
本発明は、各実施形態の構成に限定されるものではなく、例えば、位置決め機構は、前記実施形態ではセンタコア26に対してサイドコア27,28が上下スライド移動するものに適用したが、サイドコア27,28に対してセンタコア26が上下スライド移動するものに適用することも可能である。
【0095】
また、位置決め機構は、センタコア本体33の両側面に位置決め用凹部をそれぞれ形成し、両サイドコア本体36,37の対向面に、前記センタコア本体33の位置決め用凹部に嵌合する位置決め用凸部をそれぞれ形成することも可能である。さらに、センタコア本体33の長手方向の一端面に位置決め用凸部を、他端面に位置決め用凹部を設け、一方のサイドコア本体36の対向面に位置決め凹部を、他方のサイドコア本体37の対向面に位置決め凸部を設けることも可能である。
【0096】
また、前記両サイドコア27,28を、第1スライド機構を介して下方向へスライド移動させる移動手段としては、手動に代えて油圧や電動アクチュエータなどを用いることも可能である。
【0097】
本実施形態では、ウェザーストリップ1の取り付け対象をドアとしたが車体とすることも可能である。
【0098】
さらに、第1スライド機構の各第1スライド溝31や各第2スライド溝35を、貫通した長孔に形成することも可能である。さらに、この第1スライド溝31を凸部とし、第1、第2スライド突部40,41をスライド溝あるいはスライド孔とすることも可能である。
【符号の説明】
【0099】
1…ウェザーストリップ
2・3…押出成形部
4・5…型成形部
6…取付基部
7…中空シール部
7a…中空部
9…センタスリット
10…サイドスリット
11…金型装置
12…下型
13…可動型(上型)
15…注入用型
16…第1キャビティ構成凹部
22…第2キャビティ構成凹部
24…下中型
25…上中型
26…センタコア
26a…第1ボルト摺動用孔(第2スライド機構)
27・28…サイドコア
27a・28a…第2ボルト摺動用孔(第2スライド機構)
29…ショルダーボルト(連結部材・第2スライド機構)
30…第3キャビティ構成凹部
31…第1スライド溝(嵌合部、第1スライド機構)
32…第4キャビティ構成凹部
33…センタコア本体
34…センタプレート
35…第2スライド溝(第2スライド機構)
36・37…サイドコア本体
38・39…サイドプレート
40・41…第1スライド突部(嵌入部、第1スライド機構)
46…位置決め用凸部(位置決め機構)
47・48…位置決め用凹部(位置決め機構)
49…溝部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15