(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024065455
(43)【公開日】2024-05-15
(54)【発明の名称】シャッターカーテン
(51)【国際特許分類】
E06B 9/15 20060101AFI20240508BHJP
E06B 9/17 20060101ALI20240508BHJP
【FI】
E06B9/15 B
E06B9/15 H
E06B9/17 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022174317
(22)【出願日】2022-10-31
(71)【出願人】
【識別番号】307038540
【氏名又は名称】三和シヤッター工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103137
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 滋
(74)【代理人】
【識別番号】100145838
【弁理士】
【氏名又は名称】畑添 隆人
(72)【発明者】
【氏名】高島 健一
(72)【発明者】
【氏名】初見 空
(57)【要約】
【課題】遮熱構造を備えたシャッターカーテンを提供する。
【解決手段】
各スラット2の面部20の外面には、遮熱層形成体4が設けてあり、複数枚のスラットの一部ないし全部のスラット2の面部20の内面には、スラット2の上側インターロック連結部21及び下側インターロック連結部22の間に位置して、スペーサ5が設けてあり、シャッターカーテン1の巻取時に、遮熱層形成体4とスペーサ5が当接するようになっている。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚のスラットを連結してなるシャッターカーテンにおいて、
各スラットは、面部と、前記面部の上側に形成された上側連結部と、前記面部の下側に形成された下側連結部と、からなり、
前記上側連結部、前記下側連結部は、垂直姿勢時の前記面部の外面を通る垂直面に対して内側に位置しており、
各スラットの前記面部の前記外面には、遮熱層形成体が設けてあり、
前記複数枚のスラットの一部ないし全部のスラットの前記面部の内面には、当該スラットの上側連結部及び下側連結部の間に位置して、スペーサが設けてあり、前記シャッターカーテンの巻取時に、前記遮熱層形成体と前記スペーサが当接するようになっている、
シャッターカーテン。
【請求項2】
前記遮熱層形成体の厚さは、前記スラットの厚さの略1倍から略2倍の寸法である、
請求項1に記載のシャッターカーテン。
【請求項3】
前記スペーサは、前記スラットの厚さと略同じ厚さを備えている、
請求項1に記載のシャッターカーテン。
【請求項4】
前記スペーサは、前記遮熱層形成体を設けた全てのスラットの前記面部の前記内面に設けてある、
請求項1に記載のシャッターカーテン。
【請求項5】
前記スペーサは、短尺要素であり、各スラットの面部の幅方向の同じ位置に間隔を存して複数のスペーサが設けてある、
請求項1~4いずれか1項に記載のシャッターカーテン。
【請求項6】
前記シャッターカーテンの垂直姿勢時には、上下に隣接するスラットにおいて、上側のスラットに設けた前記遮熱層形成体の下端と、下側のスラットに設けた前記遮熱層形成体の上端と、が少なくとも部分的に当接するようになっている、
請求項1に記載のシャッターカーテン。
【請求項7】
前記上側の遮熱層形成体の下端と、前記下側の遮熱層形成体の上端とは、前記シャッターカーテンの垂直姿勢時に嵌合するような形状となっている、
請求項6に記載のシャッターカーテン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャッターカーテンに係り、詳しくは、遮熱性能を有するシャッターカーテンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
倉庫、工場、店舗等の建物内の防火区画を開閉するために、いわゆる重量シャッターが用いられる場合があり、防火設備にも対応しているが、従来、重量シャッターには遮熱性能は要求されていない。しかしながら、重量シャッターに遮熱性能を持たせたいという要望がある。
【0003】
特許文献1には、建築用シャッターの遮熱構造が開示されている。このものは、スラットの厚み方向一側方に突出してインターロック結合部を形成し、スラット面部の他端側に遮熱体を設けたものである。十分な遮熱性能を確保するためには、遮熱体の厚さを大きくする必要があるが、当該文献は、遮熱体の厚さを大きくした場合に生じ得る不具合についての気付きを与えるものではない。
【特許文献1】特開平8-333969
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、遮熱構造を備えたシャッターカーテンを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明が採用した技術手段は、
複数枚のスラットを連結してなるシャッターカーテンにおいて、
各スラットは、面部と、前記面部の上側に形成された上側連結部と、前記面部の下側に形成された下側連結部と、からなり、
前記上側連結部、前記下側連結部は、垂直姿勢時の前記面部の外面を通る垂直面に対して内側に位置しており、
各スラットの前記面部の前記外面には、遮熱層形成体が設けてあり、
前記複数枚のスラットの一部ないし全部のスラットの前記面部の内面には、当該スラットの上側連結部及び下側連結部の間に位置して、スペーサが設けてあり、前記シャッターカーテンの巻取時に、前記遮熱層形成体と前記スペーサが当接するようになっている、
シャッターカーテン、である。
典型的な態様では、シャッターカーテンは、複数枚のスラットをインターロック連結することで形成されており、上側連結部は上側インターロック連結部であり、下側連結部は下側インターロック連結部であり、以下の記載において、上側連結部、下側連結部を、それぞれ、上側インターロック連結部、下側インターロック連結部と置き換えることが可能である。
【0006】
1つの態様では、前記遮熱層形成体の厚さは、前記スラットの厚さ(見込寸法)の略1倍から略2倍の寸法である。
1つの態様では、前記スペーサは、前記スラットの厚さ(見込寸法)と略同じ厚さを備えている。
【0007】
1つの態様では、前記スペーサは、前記遮熱層形成体を設けた全てのスラットの前記面部の前記内面に設けてある。
1つの態様では、前記スペーサは、短尺要素であり、各スラットの面部の幅方向の同じ位置に間隔を存して複数のスペーサが設けてある。
【0008】
1つの態様では、前記シャッターカーテンの垂直姿勢時には、上下に隣接するスラットにおいて、上側のスラットに設けた前記遮熱層形成体の下端と、下側のスラットに設けた前記遮熱層形成体の上端と、が少なくとも部分的に当接するようになっている。
1つの態様では、前記上側の遮熱層形成体の下端と、前記下側の遮熱層形成体の上端とは、前記シャッターカーテンの垂直姿勢時に嵌合するような形状となっている。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、各スラットの面部の外面に遮熱層形成体を設けることで遮熱性能を向上させる一方、所定のスラットの面部の内面に、当該スラットの上側連結部及び下側連結部の間に位置して、スペーサを設けることで、シャッターカーテンの巻取時に、遮熱層形成体とスペーサが当接するようになっており、遮熱層形成体の厚さに起因する巻きの乱れを調整可能としている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態に係るシャッター装置(開口部全閉時)の正面図である。
【
図2】本実施形態に係るシャッターカーテンの部分側面図である。
【
図4】上図は、本実施形態に係るスラット(開口部全閉時)とガイドレールとの位置関係を示す部分正面図(室内側から見た図)であり、下図は、本実施形態に係るスラット(開口部全閉時)とガイドレールとの位置関係を示す横断面図である。
【
図5】本実施形態に係るスラットの縦断面図及び部分正面図(内側から見た)である。
【
図6】本実施形態に係るスラットの縦断面図である。
【
図7】本実施形態に係るシャッターカーテンが巻き取られた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1に示すように、本実施形態に係るシャッター装置は、複数枚のスラット2をインターロック連結してなるシャッターカーテン1と、シャッターカーテン1の幅方向両端部を受け入れて高さ方向に案内する左右のガイドレール3と、を備えている。開口部上方のシャッターケースCには、開口部開放時にシャッターカーテン1を巻き取る巻取りシャフト(図示せず)が設けてあり、開閉機Mによって巻取りシャフトを電動回転させることで、シャッターカーテン1を昇降させて開口部を開閉するようになっている。
【0012】
本実施形態に係るシャッター装置は、遮熱性能を備えた重量シャッターである。シャッターカーテン1を形成する複数枚のスラット2において、開口部全閉時に、開口部を閉鎖するスラット2には遮熱層形成体4が設けてあり、開口部全閉時には、遮熱性能を備えたスラット2(すなわち、遮熱層形成体4を備えたスラット2)からなるシャッターカーテン1によって、室内外空間が仕切られている。開口部全閉時に、シャッターケースC内に位置するスラット2´(巻取シャフト6に直接巻き取られる上端部位のスラット2´)には、必ずしも遮熱層形成体4を設ける必要はない(
図7参照)。
【0013】
各スラット2は、鋼板を所定形状に形成することで得られ、面部20と、面部20の上側に形成された上側インターロック連結部21と、面部20の下側に形成された下側インターロック連結部22と、からなる。スラット2が垂直姿勢にある時には、面部20は垂直に延びており、外面(開口部全閉時に室外側に面する)及び内面(開口部全閉時に室内側に面する)は垂直面を形成している。スラット2が垂直姿勢にある時には、上側インターロック連結部21は、面部20の上端から室内側かつ斜め上方に向かって湾曲状に延びており、先端側に係止部が形成されており、下側インターロック連結部22は、面部20の下端から室内側かつ斜め上方に向かって湾曲状に延びており、先端側が下方にカールすることで係止部が形成されている。
【0014】
上側インターロック連結部21、下側インターロック連結部22は、垂直姿勢時の面部20の外面を通る垂直面に対して内側に位置しており、各スラット2の面部20の外面には、遮熱層形成体4が設けてある。スラット2の面部20の内面には、上側インターロック連結部21と、下側インターロック連結部22と、の間に位置して、凹部が形成されており、凹部には、スペーサ5が設けてある。本実施形態に係るスペーサ5は、スラット2の巻き調整機能を有しており、比較的厚い遮熱層形成体4を採用することを可能としている。
【0015】
遮熱層形成体4は、各スラット2と略同じ高さ寸法、略同じ幅寸法を備えており、 遮熱層形成体4の厚さは、スラット2の厚さの略1倍から略2倍の寸法である。遮熱層形成体4の厚さを大きくすることで、遮熱性能を向上させることができる。図示の態様では、遮熱層形成体4の厚さD2は、スラット2の厚さD1の略2倍の寸法である(
図6参照)。
【0016】
シャッターカーテン1の全閉姿勢において、遮熱層形成体4の幅方向両端部は、ガイドレール3内に位置している。
図4に示すように、ガイドレール3の外面は、室内側見付面30と、室外側見付面31と、室内側見込面32と、室外側見込面33を備え、ガイドレール3の溝部は、室内側内面34と、室外側内面35と、底面36と、から形成されており、溝部に、スラット2及び遮熱層形成体4が受け入れられている。スペーサ5は、スラット2の面部20の内面において、ガイドレール3の外側に位置する部位に設けてある。
【0017】
本実施形態に係る遮熱層形成体4は、ケース体と、ケース体に充填された遮熱材44と、からなり、ケース体は、外側見付面40と、上面部41と、下面部42と、内側見付面43と、からなる中空体であり、内部に遮熱材44が充填されている。本実施形態では、ケース体の幅方向両端部が開放しているが、側面部によって塞いでもよい。遮熱層形成体4を形成する材料は限定されないが、本実施形態に係るケース体は例えばFRPから形成されており、遮熱材44は例えばセルロース等の遮熱性能を備えた公知の材料から形成されている。
【0018】
ケース体4の内側見付面43の高さ寸法は、スラット2の面部20の高さ寸法と略同じであり、面部20の外面全域に内側見付面43を当接させた状態で固定される。本実施形態では、スペーサ5を取り付ける螺子54を利用して、遮熱層形成体4がスラット2に取り付けられる。
【0019】
本実施形態に係る遮熱層形成体4のケース体の上面部41は、側面視二等辺三角形状の凸部410と、凸部410の前後のフラット部411、411と、からなり、下面部42は、側面視二等辺三角形状の凹部420と、凹部420の前後のフラット部421、421と、からなる。
【0020】
シャッターカーテン1を形成する上下に隣接する任意のスラット2において、開口部全閉時(シャッターカーテンの垂直姿勢時)には、上側に位置するスラット2に設けられた上側の遮熱層形成体4の下面部42と、下側に位置するスラット2に設けられた下側の遮熱層形成体4の上面部41とは、上側の凹部420に下側の凸部410が嵌まり、下側のフラット部411に上側のフラット部421が当接して載った状態となる。
【0021】
このように、上側の遮熱層形成体の下端と、下側の遮熱層形成体の上端とが、シャッターカーテン1の垂直姿勢時に嵌合するような形状となっており、開口部全閉時に、シャッターカーテン1の外面に高さ方向に連続状に遮熱層が形成されるようになっている。上側の遮熱層形成体の下端と下側の遮熱層形成体の上端の嵌合形状は、図示の態様(側面視二等辺三角形)に限定されるものではなく、側面視方形状の凸部と凹部、段部状の凸部と凹部等の他の組み合わせであってもよい。
【0022】
本実施形態において、遮熱層形成体4を設けた全てのスラット2の面部20の内面にスペーサ5が設けてある。本実施形態に係るスペーサ5は、外側見付面50、フラット状の上面部51、フラット状の下面部52、内側見付面53と、を備えた短尺要素である。本実施形態では、各スラット2の面部20の幅方向の同じ位置に間隔を存して複数のスペーサ5が設けてある。
図1に示す態様では、各スラット2の幅方向の4箇所の同じ位置にスペーサ5が設けてある。
【0023】
スペーサ5は、外側見付面50に形成した凹部500から差し入れる螺子54によって、スラット2の面部20に固定されており、さらに、螺子54は、スラット2の面部20及び遮熱層形成体4のケース体の内側見付面43を貫設しており、スペーサ5、スラット2、遮熱層形成体4が螺子54で一体化されている。
【0024】
本実施形態に係るスペーサ5は、各スラット2の厚さと略同じ厚さを備えている。スペーサ5の高さ寸法は、上側インターロック連結部21と下側インターロック連結部22との間に形成された凹部をできる限り占めることができる寸法となっている。具体的には、スペーサ5の下面部52は、下側のインターロック連結部22に当接しており、上面部51は、上側のスラット2の下側インターロック連結部22が回転を許容する高さ位置にある。
【0025】
図7に、本実施形態に係るシャッターカーテンが巻き取られた状態を示す。スラット2の上側インターロック連結部21及び下側インターロック連結部22の間に位置してスペーサ5を設けたことで、シャッターカーテン1の巻取時に、既に巻かれているスラット2の面部20の外面に設けた遮熱層形成体4に、重ねて巻かれるスラット2のスペーサ5が当接することが観察される。こうすることで、シャッターカーテン1の巻取時に、既に巻かれているスラット2の面部20の外面に設けた遮熱層形成体4がスラット2の凹部に落ち込んで、巻が乱れたり、遮熱層形成体4がスラット2の凹部に引っ掛かってしまうようなことを防止している。
【符号の説明】
【0026】
1 シャッターカーテン
2 スラット
20 面部
21 上側インターロック連結部
22 下側インターロック連結部
3 ガイドレール
4 遮熱層形成体
5 スペーサ