(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024065473
(43)【公開日】2024-05-15
(54)【発明の名称】印刷装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/32 20060101AFI20240508BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20240508BHJP
【FI】
B41J2/32 Z
B41J29/38 104
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022174351
(22)【出願日】2022-10-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104178
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 尚
(72)【発明者】
【氏名】宮林 宏和
(72)【発明者】
【氏名】坂部 拓児
(72)【発明者】
【氏名】平松 佑基
(72)【発明者】
【氏名】高橋 宏征
【テーマコード(参考)】
2C061
2C065
【Fターム(参考)】
2C061AQ04
2C061AQ05
2C061AS02
2C061AS14
2C061HJ10
2C061HK08
2C061HK11
2C061HN15
2C065AA01
2C065AD03
2C065CZ13
2C065CZ14
(57)【要約】
【課題】大型化を抑制できる印刷装置を提供する。
【解決手段】印刷装置1は、複数の電源により駆動可能であり、印刷データに基づき媒体に印刷を実行する。ヘッド10は、第一発熱素子群と第二発熱素子群とを備え、第一発熱素子群と第二発熱素子群との夫々の発熱素子を選択的に加熱することで媒体への印刷を実行する。搬送モータ9は、媒体を搬送する為の動力を発生させる。電力供給回路100は、ヘッド10と搬送モータ9とに電力を供給する。電力供給回路100は、ACアダプタ30がACアダプタジャック32に接続され、且つ、バッテリ29がバッテリ装着部34に接続されている場合、ACアダプタ30の電力である第一電力の少なくとも一部を、ヘッド10の第一発熱素子群に供給し、バッテリ29の電力である第二電力の少なくとも一部を、ヘッド10の第二発熱素子群に供給する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電源により駆動可能であり、印刷データに基づき媒体に印刷を実行する印刷装置であって、
第一発熱素子群と第二発熱素子群とを備え、前記第一発熱素子群と前記第二発熱素子群との夫々の発熱素子を選択的に加熱することで前記媒体への印刷を実行するヘッドと、
前記媒体を搬送する為の動力を発生させる搬送モータと、
第一電源を接続可能な第一接続部と、
第二電源を接続可能な第二接続部と、
前記ヘッドと前記搬送モータとに電力を供給する電力供給回路と
を備え、
前記電力供給回路は、
前記第一電源が前記第一接続部に接続され、且つ、前記第二電源が前記第二接続部に接続されている場合、
前記第一電源の電力である第一電力の少なくとも一部を、前記ヘッドの前記第一発熱素子群に供給し、
前記第二電源の電力である第二電力の少なくとも一部を、前記ヘッドの前記第二発熱素子群に供給する
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記第一電源から出力される第一電圧を計測する第一計測部と、
前記ヘッド、前記搬送モータ、前記電力供給回路を制御する制御部と
を備え、
前記電力供給回路は、前記第二電源から出力される第二電圧を昇圧又は降圧し、昇又は降圧された第三電圧を、前記ヘッドの前記第二発熱素子群に出力する昇降圧回路を備え、
前記制御部は、
前記第一計測部により計測された前記第一電圧を検出する第一検出処理と、
前記第一検出処理により検出された前記第一電圧と前記第三電圧とが等しくなるように、前記昇降圧回路を設定する第一設定処理と
を実行する
ことを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記第一電源から出力される第一電圧を計測する第一計測部と、
前記第二電源から出力される第二電圧を計測する第二計測部と、
前記ヘッド、前記搬送モータ、前記電力供給回路を制御する制御部と
を備え、
前記制御部は、
前記第一計測部により計測された前記第一電圧を検出する第一検出処理と、
前記第二計測部により計測された前記第二電圧を検出する第二検出処理と、
前記第一検出処理により検出された前記第一電圧と、前記第二検出処理により検出された前記第二電圧とを比較する比較処理と、
前記比較処理による比較結果に基づき、前記第一発熱素子群に供給可能な第一電力量と、前記第二発熱素子群に供給可能な第二電力量とが等しくなるように、前記第二発熱素子群への通電時間を設定する第二設定処理と
を実行する
ことを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記電力供給回路は、前記第二電源から出力される前記第二電圧を昇圧又は降圧し、所定範囲の何れかの電圧を、前記ヘッドの前記第二発熱素子群に出力する昇降圧回路を備え、
前記昇降圧回路から出力可能な電流の上限値は、前記昇降圧回路の出力電圧により制限され、
前記制御部は、
前記昇降圧回路の前記出力電圧を前記所定範囲内で変化させた場合の夫々で、前記印刷データに基づき前記ヘッドが駆動されて印刷が実行された場合の平均の印刷速度である平均速度を算出する算出処理と、
前記算出処理による算出結果のうち前記平均速度が最も速くなる場合の前記出力電圧を決定する決定処理と、
前記決定処理により決定された前記出力電圧が前記昇降圧回路から出力されるように、前記昇降圧回路を設定する第三設定処理と
を実行する
ことを特徴とする請求項3に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記決定処理により、前記出力電圧のうち前記昇降圧回路が出力可能な最小の前記出力電圧が決定され、
前記第三設定処理は、
前記決定処理により決定された前記最小の前記出力電圧が出力されるよう前記昇降圧回路を設定し、
前記第三設定処理により前記出力電圧が設定された前記昇降圧回路から出力可能な電流の上限値は、前記所定範囲内で前記出力電圧が設定された前記昇降圧回路から出力可能な電流の上限値のうち最も大きい値となる
ことを特徴とする請求項4に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記第二電源から供給された電力の一部は、前記搬送モータに供給される
ことを特徴とする請求項1~5の何れか一つに記載の印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の印刷装置は、電池又は外部給電装置からの電源供給により駆動する。印刷装置は、電池及び外部給電装置の両方が接続された場合、外部給電装置からの給電を優先する。印刷装置は、電池及び外部給電装置の両方が接続された状態で、且つ高速印刷の実行が指示された場合、電池からの給電を優先する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記印刷装置では、印刷をより高速化する為に大きな電力でヘッドを駆動しようとする場合、電池等の電源を大型化する必要がある。故に、印刷装置が大型化してしまう可能性があった。
【0005】
本発明の目的は、大型化を抑制できる印刷装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る印刷装置は、複数の電源により駆動可能であり、印刷データに基づき媒体に印刷を実行する印刷装置であって、第一発熱素子群と第二発熱素子群とを備え、前記第一発熱素子群と前記第二発熱素子群との夫々の発熱素子を選択的に加熱することで前記媒体への印刷を実行するヘッドと、前記媒体を搬送する為の動力を発生させる搬送モータと、第一電源を接続可能な第一接続部と、第二電源を接続可能な第二接続部と、前記ヘッドと前記搬送モータとに電力を供給する電力供給回路とを備え、前記電力供給回路は、前記第一電源が前記第一接続部に接続され、且つ、前記第二電源が前記第二接続部に接続されている場合、前記第一電源の電力である第一電力の少なくとも一部を、前記ヘッドの前記第一発熱素子群に供給し、前記第二電源の電力である第二電力の少なくとも一部を、前記ヘッドの前記第二発熱素子群に供給することを特徴とする。
【0007】
印刷装置は、第一電源の第一電力と第二電源の第二電力を効率よく使用して、第一発熱素子群と第二発熱素子群の発熱素子を加熱できる。これにより、印刷装置は、ヘッドの駆動の為に電源を大型化する必要がない。故に、印刷装置は、大型化するのを抑制できる。更に、印刷装置は、2つの電源を使用して、印刷速度の高速化も可能である。
【0008】
本発明に係る印刷装置において、前記第一電源から出力される第一電圧を計測する第一計測部と、前記ヘッド、前記搬送モータ、前記電力供給回路を制御する制御部とを備え、前記電力供給回路は、前記第二電源から出力される第二電圧を昇圧又は降圧し、昇又は降圧された第三電圧を、前記ヘッドの前記第二発熱素子群に出力する昇降圧回路を備え、前記制御部は、前記第一計測部により計測された前記第一電圧を検出する第一検出処理と、前記第一検出処理により検出された前記第一電圧と前記第三電圧とが等しくなるように、前記昇降圧回路を設定する第一設定処理とを実行してもよい。印刷装置は、第一電圧と第三電圧とが等しくなるように、昇降圧回路を設定する。これにより、第一発熱素子群が所定時間で消費可能な消費電力量と第二発熱素子群が所定時間で消費可能な消費電力量とが等しくなる。故に、印刷装置は、媒体の印刷ムラを抑制できる。
【0009】
本発明に係る印刷装置において、前記第一電源から出力される第一電圧を計測する第一計測部と、前記第二電源から出力される第二電圧を計測する第二計測部と、前記ヘッド、前記搬送モータ、前記電力供給回路を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記第一計測部により計測された前記第一電圧を検出する第一検出処理と、前記第二計測部により計測された前記第二電圧を検出する第二検出処理と、前記第一検出処理により検出された前記第一電圧と、前記第二検出処理により検出された前記第二電圧とを比較する比較処理と、前記比較処理による比較結果に基づき、前記第一発熱素子群に供給可能な第一電力量と、前記第二発熱素子群に供給可能な第二電力量とが等しくなるように、前記第二発熱素子群への通電時間を設定する第二設定処理とを実行してもよい。印刷装置は、ライン毎の印刷において、印刷データの通電時間に基づき第一発熱素子群を加熱し、設定された通電時間に基づき第二発熱素子群を加熱する。これにより、印刷装置は、媒体の印刷ムラを抑制できる。
【0010】
本発明に係る印刷装置において、前記電力供給回路は、前記第二電源から出力される前記第二電圧を昇圧又は降圧し、所定範囲の何れかの電圧を、前記ヘッドの前記第二発熱素子群に出力する昇降圧回路を備え、前記昇降圧回路から出力可能な電流の上限値は、前記昇降圧回路の出力電圧により制限され、前記制御部は、前記昇降圧回路の前記出力電圧を前記所定範囲内で変化させた場合の夫々で、前記印刷データに基づき前記ヘッドが駆動されて印刷が実行された場合の平均の印刷速度である平均速度を算出する算出処理と、前記算出処理による算出結果のうち前記平均速度が最も速くなる場合の前記出力電圧を決定する決定処理と、前記決定処理により決定された前記出力電圧が前記昇降圧回路から出力されるように、前記昇降圧回路を設定する第三設定処理とを実行してもよい。印刷装置は、第一電源と第二電源を使用してヘッドを駆動する場合に、印刷ムラを抑制しつつ、印刷の高速化を図ることができる。
【0011】
本発明に係る印刷装置において、前記決定処理により、前記出力電圧のうち前記昇降圧回路が出力可能な最小の前記出力電圧が決定され、前記第三設定処理は、前記決定処理により決定された前記最小の前記出力電圧が出力されるよう前記昇降圧回路を設定し、前記第三設定処理により前記出力電圧が設定された前記昇降圧回路から出力可能な電流の上限値は、前記所定範囲内で前記出力電圧が設定された前記昇降圧回路から出力可能な電流の上限値のうち最も大きい値となってもよい。この場合、印刷装置は、第二発熱素子群へ供給可能な電流を最大限に設定できる。
【0012】
本発明に係る印刷装置において、前記第二電源から供給された電力の一部は、前記搬送モータに供給されてもよい。印刷装置は、第二電源の第二電力を第二発熱素子群と搬送モータに供給することで、効率的に電力を使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図3】印刷装置1の電力供給回路100を示す回路図である。
【
図4】第一メイン処理を示すフローチャートである。
【
図5】印刷装置1Aの電力供給回路100Aを示す回路図である。
【
図6】第一電圧に対する第二電圧の比Rと、通電時間に対する倍率との関係を示す図表である。
【
図7】第二メイン処理を示すフローチャートである。
【
図8】印刷装置1Bの電力供給回路100Bを示す回路図である。
【
図9】昇降圧回路39の第三電圧と、出力可能な最大電流との関係を示す図表である。
【
図10】第三メイン処理を示すフローチャートである。
【
図11】速度演算処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図面を参照し、本発明の第一実施形態に係る印刷装置1を説明する。以下では、
図1の左下方、右上方、左上方、右下方、上方、及び下方を、夫々、印刷装置1の前方、後方、左方、右方、上方、及び下方とする。
【0015】
図1に示す印刷装置1は、複数の電源により駆動可能である。複数の電源は、バッテリ29、及びACアダプタ30等を含む。印刷装置1は、印刷データに基づき媒体Mに画像の印刷を実行する。媒体Mは特定の媒体に限定されないが、例えばシート状又はテープ状であり、本実施形態では感熱タイプのカット紙である。
【0016】
図1に示すように、印刷装置1はケース2を備える。ケース2は直方体状であり、前後方向と上下方向よりも左右方向に長い。ケース2の後下部にはバッテリ装着部34(
図3参照)が設けられる。バッテリ装着部34は、バッテリ29(
図3参照)を接続可能である。ケース2の右端部には、ACアダプタジャック32等が設けられる。ACアダプタジャック32は、外部電源としてのACアダプタ30(
図3参照)を接続可能である。
【0017】
表示部4は、印刷装置1の左端部且つ前端部の上面に設けられる。表示部4は、各種の情報を表示可能である。表示部4は、例えばLEDである。操作部7は、ケース2の左端部の上面に設けられる。操作部7は、各種指示を入力する為の物理ボタンである。操作部7は、各種指示を入力できればよく、ダイヤル、タッチパネル等の構成でもよい。
【0018】
図2を参照して印刷装置1の電気的構成を説明する。印刷装置1は、電力供給回路100、及び印刷部3を備える。電力供給回路100は、バッテリ29(
図3参照)、及びACアダプタ30(
図3参照)の各電力を、印刷部3に供給する。ACアダプタ30により供給される電力は、第一電力という。バッテリ29により供給される電力は、第二電力という。なお、第一電力は第二電力よりも大きくてもよいし、小さくてもよい。
【0019】
印刷部3は、CPU21、ROM22、RAM24、記憶装置28、駆動回路11、12、搬送モータ9、サーマルヘッド(以下、「ヘッド10」という。)、操作部7、及び表示部4を備える。
【0020】
ROM22、RAM24、記憶装置28、操作部7、表示部4、及び駆動回路11、12は、夫々CPU21に電気的に接続されている。ROM22には、印刷装置1の制御上必要な各種のプログラムが記憶されている。CPU21は、これらのプログラムに基づいて各種演算を行う。RAM24には、記憶エリアが設けられる。記憶エリアには、各種演算データが記憶される。記憶装置28には、各種データ等が記憶される。
【0021】
操作部7は、CPU21に接続され、各種指示をCPU21に送信する。表示部4は、CPU21に接続され、各種情報を表示する。
【0022】
駆動回路11には、搬送モータ9が接続される。搬送モータ9は、ケース2の内部に設けられる。搬送モータ9は、媒体Mを搬送する為の動力を発生させる。搬送モータ9は、駆動回路11の駆動により媒体Mを搬送する。
【0023】
駆動回路12には、ヘッド10が接続される。ヘッド10は、ケース2の内部に設けられる。ヘッド10は複数の発熱素子を含む。ヘッド10は、第一発熱素子群と第二発熱素子群とを備える。第一発熱素子群は、第一端子VH1(
図3参照)を介して電力を供給される。第二発熱素子群は、第二端子VH2(
図3参照)を介して電力を供給される。ヘッド10は、第一発熱素子群と第二発熱素子群との夫々の発熱素子を選択的に加熱する。CPU21は、駆動回路11、12により、搬送モータ9とヘッド10を夫々駆動することで、媒体Mに印刷を実行する。
【0024】
図3を参照して、電力供給回路100を説明する。電力供給回路100は、バッテリ29と、ACアダプタ30に基づき、ヘッド10、搬送モータ9等に各電力を供給する。以下、ACアダプタ30から出力される出力電圧は、第一電圧という。バッテリ29により出力される出力電圧は、第二電圧という。第一電圧は第二電圧よりも大きくてもよいし、小さくてもよい。例えばACアダプタ30の第一電圧は15Vであり、バッテリ29の第二電圧は9Vである。
【0025】
電力供給回路100は、ACアダプタジャック32、バッテリ装着部34、昇降圧回路39、ADC25、及びFB制御部23等を備える。ACアダプタジャック32は、ACアダプタ30を接続可能である。ACアダプタジャック32は、ヘッド10の第一端子VH1に接続される。つまり、ACアダプタ30の第一電圧は、第一発熱素子群に出力される。
【0026】
バッテリ装着部34は、バッテリ29を接続可能である。バッテリ装着部34は、昇降圧回路39に接続される。昇降圧回路39は、所定の入力レンジを有し、バッテリ29の第二電力で駆動する。昇降圧回路39は、例えばスイッチング電源ICである。ここで、昇降圧回路39が出力する電力を第三電力という。昇降圧回路39の出力側は、ヘッド10の第二端子VH2と搬送モータ9に接続される。より詳細には、電力供給回路100は、昇降圧回路39が出力する電力である第三電力の少なくとも一部を、ヘッド10の第二発熱素子群と、搬送モータ9とに供給する。よって、バッテリ29から供給された電力の一部は、搬送モータ9に供給される。
【0027】
昇降圧回路39は、バッテリ29から出力される第二電圧を昇圧又は降圧する。昇降圧回路39は、昇圧又は降圧された出力電圧(以下、「第三電圧」ともいう。)を、ヘッド10の第二発熱素子群に出力する。また、昇降圧回路39は、第三電圧を搬送モータ9に出力する。
【0028】
ACアダプタ30の第一電圧の検出には、ADC(Analog Digital Converter)25が使用される。ADC25は、ACアダプタ30から出力される第一電圧を計測する。ADC25による検出結果は、CPU21に送信される。
【0029】
FB制御部23は、CPU21の指令に基づき、昇降圧回路39の第三電圧を制御する。FB制御部23は、例えばデジタルポテンショメータであり、昇降圧回路39の出力側のフィードバックに用いられる分圧抵抗値を変更する。これにより、昇降圧回路39からの第三電圧の大きさが変更される。このような制御を、「昇降圧回路39を設定する」ともいう。
【0030】
図4を参照して、第一メイン処理について説明する。まず、ユーザにより印刷装置1に電源が接続される。この場合、バッテリ装着部34にバッテリ29が接続され、ACアダプタジャック32にACアダプタ30が接続される。ユーザによる操作部7の操作で印刷装置1に電源が投入されると、CPU21は、ROM22からプログラムを読み出して第一メイン処理を実行する。
【0031】
第一メイン処理が実行されると、CPU21は、印刷データを受け付けたか否か判断する(S101)。印刷データを受け付けていないと判断した場合(S101:NO)、CPU21は、処理を戻して待機する。
【0032】
印刷データを受け付けたと判断した場合(S101:YES)、CPU21は、ADC25により計測された第一電圧を検出する(S103)。CPU21は、検出された第一電圧と第三電圧とが等しくなるように、昇降圧回路39を設定する(S105)。
【0033】
この場合、CPU21は、FB制御部23により昇降圧回路39の出力側の分圧抵抗値を所望の値に変更する。これにより、昇降圧回路39が出力する第三電圧が第一電圧と同じ値になる。例えば、第一電圧が15Vであり、第二電圧が9Vである場合、昇降圧回路39の第三電圧は15Vに昇圧される。故に、所定の時間で、ヘッド10の第一発熱素子群が消費可能な消費電力量と、ヘッド10の第二発熱素子群が消費可能な消費電力量とが等しくなる。これにより、印刷時、第一発熱素子群で印刷された画像の濃度と、第二発熱素子群で印刷された画像の濃度とが概ね同じとなる。従って、印刷ムラが発生するのを抑制できる。
【0034】
CPU21は、受け付けた印刷データに基づき、媒体Mに印刷を実行する(S107)。CPU21は処理をS101に戻す。
【0035】
以上説明したように、電力供給回路100は、ACアダプタ30がバッテリ装着部34に接続され、且つ、バッテリ29がACアダプタジャック32に接続されている場合、ACアダプタ30の電力である第一電力の少なくとも一部を、ヘッド10の第一発熱素子群に供給し、昇降圧回路39の電力である第三電力の少なくとも一部を、ヘッド10の第二発熱素子群に供給する。
【0036】
印刷装置1は、ACアダプタ30の第一電力とバッテリ29の第二電力を効率よく使用して、第一発熱素子群と第二発熱素子群の発熱素子を加熱できる。これにより、印刷装置1は、ヘッド10の駆動の為に電源を大型化する必要がない。故に、印刷装置1は、大型化するのを抑制できる。更に、印刷装置1は、2つの電源を使用して、印刷速度の高速化も可能である。
【0037】
昇降圧回路39は、バッテリ29から出力される第二電圧を昇圧又は降圧し、昇圧又は降圧された第三電圧を、ヘッド10の第二発熱素子群に出力する。CPU21は、ADC25により計測された第一電圧を検出する。CPU21は、検出された第一電圧と第三電圧とが等しくなるように、昇降圧回路39を設定する。これにより、第一発熱素子群が所定時間で消費可能な消費電力量と第二発熱素子群が所定時間で消費可能な消費電力量とが等しくなる。故に、印刷装置1は、媒体Mの印刷ムラを抑制できる。
【0038】
バッテリ29から供給された電力の一部は、搬送モータ9に供給される。印刷装置1は、バッテリ29の第二電力を第二発熱素子群と搬送モータ9に供給することで、効率的に電力を使用できる。
【0039】
図5~
図7を参照して第二実施形態の印刷装置1Aについて説明する。以下の説明では、上記実施形態と同様の機能を有する構成には同じ符号を付して説明を省略又は簡略化する。第二実施形態の印刷装置1Aは、電力供給回路100の代わりに電力供給回路100Aを備える点が異なる。電力供給回路100Aでは、バッテリ29の第二電圧が直接ヘッド10の第二端子VH2に供給され、昇降圧回路39の第三電圧が搬送モータ9に供給される。電力供給回路100Aは、ADC26を更に備える。ADC26は、バッテリ29から出力される第二電圧を計測する。計測された第二電圧の情報は、CPU21に送信される。なお、第二実施形態では、第二電圧が第一電圧以下であることを前提とする。
【0040】
ここで、電力供給回路100Aでは、ヘッド10へ出力される各電圧の大きさが異なる。このため、ACアダプタ30の供給可能な第一電力量と、バッテリ29の供給可能な第二電力量との大きさが異なる。従って、所定時間の間に、第一発熱素子群と第二発熱素子群とが消費可能な電力が異なる。この場合、第一発熱素子群で印刷された画像の濃度と、第二発熱素子群で印刷された画像の濃度が異なり、印刷時の印刷ムラが発生する可能性がある。
【0041】
印刷ムラの発生を抑制する為、CPU21は、駆動回路12を制御して、所定時間に第一発熱素子に供給可能な第一電力量に対して、第二発熱素子に供給可能な第二電力量が等しくなるように、第二発熱素子群への通電時間を制御する。より詳細には、CPU21は、第一電圧に対する第二電圧の比Rに基づき、第二発熱素子群への通電時間を決定する。通電時間は、
図6に示すテーブルAに基づき設定される。
【0042】
図6に示すテーブルAは、例えば記憶装置28に予め記憶されている。ここで、第一電圧に対する第二電圧の比Rが0.75<R≦1となる場合、第二発熱素子群の通電時間が、元の印刷データの通電時間の1.5倍に設定される。また、第一電圧に対する第二電圧の比Rが0.5<R≦0.75となる場合、第二発熱素子群への通電時間が、元の印刷データの通電時間の2倍に設定される。第一電圧に対する第二電圧の比RがR≦0.5となる場合、第二発熱素子群への通電時間が、元の印刷データの通電時間の2.5培に設定される。例えば、第一電圧が15Vであり、第二電圧が9Vである場合、比Rは「0.6」となる。この場合、第二発熱素子群への通電時間は元の印刷データの2培となる。
【0043】
図7を参照して、第二メイン処理について説明する。ユーザによる操作部7の操作で印刷装置1Aに電源が投入されると、CPU21は、ROM22からプログラムを読み出して第二メイン処理を実行する。CPU21は、印刷データを受け付けたか否か判断する(S201)。印刷データを受け付けていないと判断した場合(S201:NO)、CPU21は、処理を戻して待機する。
【0044】
印刷データを受け付けたと判断した場合(S201:YES)、CPU21は、ADC25により計測された第一電圧を検出する(S203)。CPU21は、ADC26により計測された第二電圧を検出する(S205)。CPU21は、第一電圧に対する第二電圧の比Rが0.75よりも大きく且つ1以下であるか否か判断する(S207)。
【0045】
第一電圧に対する第二電圧の比Rが0.75よりも大きく且つ1以下であると判断した場合(S207:YES)、CPU21は、テーブルAを参照して、第二発熱素子群への通電時間を、印刷データの通電時間の1.5倍に設定する(S209)。CPU21は処理をS217へ進める。
【0046】
一方、第一電圧に対する第二電圧の比Rが0.75よりも大きく且つ1以下ではないと判断した場合(S207:NO)、CPU21は、第一電圧に対する第二電圧の比Rが0.5よりも大きく且つ0.75以下となるか否か判断する(S211)。第一電圧に対する第二電圧の比Rが0.5よりも大きく且つ0.75以下となる場合(S211:YES)、CPU21は、テーブルAを参照して、第二発熱素子群への通電時間を、印刷データの通電時間の2倍に設定する(S213)。CPU21は処理をS217へ進める。
【0047】
一方、第一電圧に対する第二電圧の比Rが0.5よりも大きく且つ0.75以下でないと判断した場合(S211:NO)、比Rが0.5以下となるので、CPU21は、第二発熱素子群への通電時間を、印刷データの通電時間の2.5倍に設定する(S215)。CPU21は処理をS217へ進める。
【0048】
S209、S213、S215の何れかの処理で、第二発熱素子群への通電時間の倍率が設定されると、CPU21は、印刷データと、設定された通電時間の倍率とに基づき、媒体Mへ印刷を実行する(S217)。この場合、印刷装置1Aは、第二電力量が第一電力量に概ね等しい状態で印刷が可能となる。CPU21は、処理をS201へ戻す。
【0049】
以上説明したように、CPU21は、検出された第一電圧と、検出された第二電圧とを比較する。CPU21は、比較結果に基づき、第一発熱素子群に供給可能な第一電力量と、第二発熱素子群に供給可能な第二電力量とが等しくなるように、第二発熱素子群への通電時間を設定する。印刷装置1Aは、ライン毎の印刷において、印刷データの通電時間に基づき第一発熱素子群を加熱し、設定された通電時間に基づき第二発熱素子群を加熱する。これにより、印刷装置1Aは、媒体Mの印刷ムラを抑制できる。
【0050】
図8~
図11を参照して第三実施形態の印刷装置1Bについて説明する。以下の説明では、上記実施形態と同様の機能を有する構成には同じ符号を付して説明を省略又は簡略化する。第一実施形態の印刷装置1Bは、後述の平均速度を演算する点が異なる。
【0051】
印刷装置1Bは、第一実施形態の電力供給回路100に代えて、電力供給回路100Bを備える点が異なる。電力供給回路100Bは、電力供給回路100に対してADC27を更に備える。ADC27は、昇降圧回路39から出力される出力電圧、即ち第三電圧を計測する。ADC27による検出結果は、CPU21に送信される。
【0052】
また、印刷装置1Bでは、第二実施形態と同様にテーブルAを参照して、第二発熱素子群の通電時間を制御して印刷する。なお、第二実施形態とは異なり、印刷装置1Bでは、ACアダプタ30と昇降圧回路39の電圧比、即ち第一電圧に対する第三電圧の比Rを演算して、テーブルAを参照する。
【0053】
ここで、印刷装置1AのテーブルAを参照するので、第一電圧≧第三電圧の関係が成立する。第一電圧は例えば15Vである。バッテリ29の第二電圧は例えば9Vである。なお、昇降圧回路39では、所定範囲の間で設定可能な第三電圧と、第三電圧の大きさに基づく最大電流が予め定められている。所定範囲とは、例えば7V~15Vの間である。例えば第三電圧は、9Vの第二電圧を昇圧して、10.5V又は15Vとなる。例えば第三電圧は、9Vの第二電圧を降圧して、7Vとなる。
【0054】
例えば、
図9に示すテーブルBの条件A~条件Cのように第三電圧と最大電流が定められる。テーブルBは予め記憶装置28に記憶されている。昇降圧回路39から出力可能な電流の上限値は、昇降圧回路39の第三電圧により制限される。条件Aでは、第三電圧を15Vに設定した場合、出力可能な最大電流が3Aに制限される。条件Bでは、第三電圧を10.5Vに設定した場合、出力可能な最大電流が4Aに制限される。条件Cでは、第三電圧を7Vに設定した場合、出力可能な最大電流が7Aに制限される。
【0055】
CPU21は、条件A~条件Cで駆動する場合の平均速度を演算できる。ここで、平均速度とは、印刷データに基づきヘッド10が駆動されて印刷が実行された場合の平均の印刷速度である。平均速度は、印刷データに含まれるオンドット数、及び各条件A~条件Cの情報に基づき演算される。例えば、CPU21は、条件A~条件Cのうち、最も平均速度が速い条件で印刷を実行させる。
【0056】
図10、
図11を参照して、第三メイン処理について説明する。ユーザによる操作部7の操作で印刷装置1Bに電源が投入されると、CPU21は、ROM22からプログラムを読み出して第三メイン処理を実行する。第三メイン処理が開始されると、CPU21は、印刷データを受け付けたか否か判断する(S301)。印刷データを受け付けていないと判断した場合(S301:NO)、CPU21は、処理を戻して待機する。
【0057】
印刷データを受け付けたと判断した場合(S301:YES)、CPU21は、
図11に示す速度演算処理を実行する(S303)。速度演算処理を実行されると、CPU21は、昇降圧回路39が条件Aに設定され、且つ受け付けた印刷データに基づき印刷を実行する場合の平均速度を演算する(S401)。
【0058】
CPU21は、昇降圧回路39が条件Bに設定され、且つ受け付けた印刷データに基づき印刷を実行する場合の平均速度を演算する(S403)。CPU21は、昇降圧回路39が条件Cに設定され、且つ印刷データに基づき印刷を実行する場合の平均速度を演算する(S405)。CPU21は、処理をメイン処理に戻す。
【0059】
メイン処理に処理が戻ると、CPU21は、条件A~条件Cのうち、条件Aでの平均速度が最も速いか否か判断する(S305)。条件Aでの平均速度が最も速いと判断した場合(S305:YES)、CPU21は、条件Aに基づき昇降圧回路39の第三電圧を決定する(S307)。この場合、昇降圧回路39の第三電圧は、例えば15Vに決定される。CPU21は、FB制御部23を制御して、決定した第三電圧が出力されるように昇降圧回路39を設定する(S309)。例えば第三電圧が15Vとなる場合、昇降圧回路39の出力可能な最大電流は3Aに制限される。CPU21は、処理をS321へ進める。
【0060】
条件A~条件Cのうち条件Aでの平均速度が最も早くないと判断した場合(S305:NO)、CPU21は、条件A~条件Cのうち条件Bでの平均速度が最も速いか否か判断する(S311)。条件Bでの平均速度が最も速いと判断した場合(S311:YES)、CPU21は、条件Bに基づき昇降圧回路39の第三電圧を決定する(S313)。この場合、昇降圧回路39の第三電圧は、例えば10.5Vに決定される。CPU21は、FB制御部23を制御して、決定した第三電圧が出力されるように昇降圧回路39を設定する(S315)。例えば第三電圧が10.5Vとなる場合、昇降圧回路39の出力可能な最大電流は4Aに制限される。CPU21は、処理をS321へ進める。
【0061】
一方、条件A~条件Cのうち条件Bでの平均速度が最も早くないと判断した場合(S311:NO)、CPU21は、条件Cでの平均速度が最も速いので、条件Cに基づき昇降圧回路39の第三電圧を決定する(S317)。この場合、昇降圧回路39の第三電圧は、例えば7Vに決定される。CPU21は、FB制御部23を制御して、決定した第三電圧が出力されるように昇降圧回路39を設定する(S319)。例えば第三電圧が7Vとなる場合、昇降圧回路39の出力可能な最大電流は7Aに制限される。この電流の上限値は、所定範囲内で第三電圧が設定された昇降圧回路39から出力可能な電流の上限値のうち最も大きい値となる。CPU21は、処理をS321へ進める。
【0062】
S309、S315、S319の何れかの処理で、昇降圧回路39が設定されると、CPU21は、第二実施形態と同様にテーブルA(
図6参照)を参照して、第一電圧に対する第三電圧の比Rに基づき、通電時間の倍率を決定する(S321)。例えば、第一電圧が15Vで且つ第三電圧が7Vの場合、比Rが0.5以下となるので、倍率は2.5に設定される。CPU21は、印刷データと、決定された通電時間の倍率とに基づき、媒体Mへ印刷を実行する(S323)。CPU21は、処理をS301へ戻す。
【0063】
以上説明したように、昇降圧回路39は、バッテリ29から出力される第二電圧を昇圧又は降圧し、所定範囲の15V、10.5V、7Vの何れかの電圧を、ヘッド10の第二発熱素子群に出力する。昇降圧回路39から出力可能な電流の上限値は、昇降圧回路39の第三電圧により制限される。CPU21は、昇降圧回路39の第三電圧を所定範囲内の15V、10.5V、7Vで変化させた場合の夫々で、印刷データに基づきヘッド10が駆動されて印刷が実行された場合の平均の印刷速度である平均速度を算出する。CPU21は、算出結果のうち平均速度が最も速くなる場合の第三電圧を決定する。CPU21は、決定された第三電圧が昇降圧回路39から出力されるように、昇降圧回路39を設定する。
【0064】
印刷装置1Bは、ACアダプタ30とバッテリ29を使用してヘッド10を駆動する場合に、印刷ムラを抑制しつつ、印刷の高速化を図ることができる。また、印刷装置1Bは、例えば、1ラインの印刷で必要となる電流が多いので、1ラインを複数に分割して印刷する場合がある。この場合、印刷速度は低下する。このような場合でも、印刷装置1Bは、例えば第三電圧を低く設定することで、ヘッド10に供給可能な電流を確保できる。これにより、印刷装置1Bは、分割して印刷することなく印刷を実行できる。故に、印刷装置1Bは、印刷の高速化を図ることができる。
【0065】
条件Cに昇降圧回路39を設定した場合、第三電圧のうち昇降圧回路39が出力可能な最小の第三電圧が決定される。CPU21は、決定された最小の第三電圧が出力されるよう昇降圧回路39を設定する。第三電圧が設定された昇降圧回路39から出力可能な電流の上限値は、所定範囲内で第三電圧が設定された昇降圧回路39から出力可能な電流の上限値のうち最も大きい値となる。この場合、印刷装置1Bは、第二発熱素子群へ供給可能な電流を最大限に設定できる。
【0066】
上記実施形態において、ACアダプタジャック32が本発明の「第一接続部」に相当する。ACアダプタ30が本発明の「第一電源」に相当する。バッテリ装着部34が本発明の「第二接続部」に相当する。バッテリ29が本発明の「第二電源」に相当する。ADC25が本発明の「第一計測部」に相当する。ADC26が本発明の「第二計測部」に相当する。昇降圧回路39の第三電圧が本発明の「出力電圧」に相当する。CPU21が本発明の「制御部」に相当する。CPU21が実行するS103の処理が本発明の「第一検出処理」に相当する。CPU21が実行するS105の処理が本発明の「第一設定処理」に相当する。CPU21が実行するS203の処理が本発明の「第一検出処理」に相当する。CPU21が実行するS205の処理が、本発明の「第二検出処理」に相当する。CPU21が実行するS207、S211の処理が、本発明の「比較処理」に相当する。CPU21が実行するS209、S213、S215の処理が、本発明の「第二設定処理」に相当する。CPU21が実行するS401、S403、S405の処理が、本発明の「算出処理」に相当する。CPU21が実行するS307、S313、S317の処理が、本発明の「決定処理」に相当する。CPU21が実行するS309、S315、S319の処理が、本発明の「第三設定処理」に相当する。
【0067】
本発明は上記実施形態から更に変更できる。なお、上記実施形態、及び下記変形例に開示された技術は、矛盾しない範囲で組み合わせてよい。上記印刷装置1、1A、1Bは、感熱タイプのカット紙に印刷を実行するものであったがこれに限らない。例えば、印刷装置1、1A、1Bは、熱転写型のプリンタであってもよいし、インクジェットプリンタであってもよい。
【0068】
上記実施形態では、バッテリ29、ACアダプタ30の二つの電源で駆動されたがこれに限らない。例えば、ACアダプタ30の代わりに、USB給電部で駆動されてもよい。USB給電部は、いわゆる「USB Power Delivery」である。
【0069】
上記実施形態では、ACアダプタ30の第一電力がヘッド10の第一発熱素子群に供給され、バッテリ29の第二電力が昇降圧回路39又はヘッド10の第二発熱素子群に供給されたがこれに限らない。例えば、ACアダプタ30の第一電力が昇降圧回路39又はヘッド10の第二発熱素子群に供給され、バッテリ29の第二電力がヘッド10の第一発熱素子群に供給されてもよい。
【0070】
上記実施形態では、ACアダプタ30は15Vの第一電圧を出力し、バッテリ29は9Vの第二電圧を出力したがこれに限らない。例えば、ACアダプタ30の第一電圧、及びバッテリ29の第二電圧は適宜変更してもよい。第一電圧と第二電圧の大小関係は適宜変更してもよい。これに応じて、バッテリ29の第二電力と、ACアダプタ30の第一電力の大小関係は適宜変更してもよい。
【0071】
上記実施形態の印刷装置1では、バッテリ29の第二電圧を、昇降圧回路39により昇降圧したがこれに限らない。例えば、第二電圧が第一電圧よりも低い場合、昇圧回路を実装すればよい。また、第二電圧が第一電圧よりも高い場合、降圧回路を実装すればよい。
【0072】
印刷装置1では、上記実施形態の昇降圧回路39を実装しなくてもよい。例えば、ACアダプタ30の第一電圧と、バッテリ29の第二電圧とを予め同じ電圧に設計してもよい。この場合、ACアダプタ30の電力である第一電力の少なくとも一部が、ヘッド10の第一発熱素子群に供給される。また、バッテリ29の電力である第二電力の少なくとも一部が、ヘッド10の第二発熱素子群に供給される。このような場合でも、印刷装置1は、第一実施形態と同様の効果を得る。
【0073】
上記実施形態の印刷装置1では、バッテリ29の第二電圧を昇降圧したがこれに限らない。例えば、昇降圧回路39は、バッテリ29の第二電圧ではなく、ACアダプタ30の第一電圧を昇降圧してもよい。この場合、昇降圧後の電圧が第一発熱素子群に出力され、第二電圧が第二発熱素子群に直接出力されればよい。昇降圧後の電圧が第二電圧と等しくなればよい。また、印刷装置1は、電力供給回路100の構成に加えて、ACアダプタ30の第一電圧を昇降圧する電源ICを更に備えてもよい。この場合、電源ICから出力される電圧が、昇降圧回路39の第三電圧と等しくなればよい。
【0074】
上記実施形態の印刷装置1では、ADC25が設けられたがこれに限らない。例えば印刷装置1Bのように、ADC27を更に備えてもよい。この場合、第一メイン処理では、例えば、昇降圧回路39を設定した後に、ADC25、27の出力結果を比較してもよい。
【0075】
上記実施形態の印刷装置1Aでは、
図6に示すテーブルAに基づき通電時間が制御されたがこれに限らない。例えば、比Rの比較範囲をより詳細にして(例えば0.1毎)、通電時間の倍率を定めてもよい。この場合、印刷装置1Aでは、詳細な通電時間の設定が可能となり、第一発熱素子群に供給可能な第一電力量と、第二発熱素子群に供給可能な第二電力量の差をより少なくできる。
【0076】
上記実施形態の印刷装置1Aでは、第二電圧が第一電圧以下の場合を想定したがこれに限らない。例えば、第一電圧が第二電圧以下となってもよい。この場合、第一電圧に対する第二電圧の比Rは、1以上となる。その比Rに応じて、通電時間を短く設定すればよい。また、これに対応可能なテーブルAを備えるとよい。
【0077】
上記実施形態の印刷装置1Aでは、第二発熱素子への通電時間を制御したがこれに限らない。例えば、印刷装置1Aは、第一発熱素子群への通電時間を制御してもよい。これに対応可能なテーブルAを備えるとよい。
【0078】
上記実施形態の印刷装置1Bでは、昇降圧回路39の第三電圧は、7V~15Vの所定範囲内で設定されたがこれに限らない。例えば、所定範囲は、電源ICの仕様に応じて適宜設定すればよい。昇降圧回路39の出力は、条件A~条件Cで変更可能であったがこれに限らない。例えば、昇降圧回路39の出力は、これらの条件以外の条件でも駆動可能でもよい。また、条件は、条件A~条件Cの3つではなく、2つでもよいし、4以上でもよい。これに応じたテーブルBを備えるとよい。
【0079】
印刷装置1Bでは、第二発熱素子群の通電時間の制御にテーブルAを使用したがこれに限らない。例えば、印刷装置1Bは、テーブルBの情報により最適化したテーブルを使用して、通電時間の制御を行ってもよい。
【0080】
なお、CPU21の代わりに、マイクロコンピュータ、ASIC、FPGA (Field Programmable Gate Array)等が、プロセッサとして用いられてもよい。メイン処理は、複数のプロセッサによって分散処理されてもよい。印刷部3は、例えば、フラッシュメモリ、HDD等の他の非一時的な記憶媒体を備えてもよい。非一時的な記憶媒体は、情報を記憶する期間に関わらず、情報を留めておくことが可能な記憶媒体であればよい。非一時的な記憶媒体は、一時的な記憶媒体(例えば、伝送される信号)を含まなくてもよい。
【0081】
各種のプログラムは、例えば、図示外のネットワークに接続されたサーバからダウンロードされて(即ち、伝送信号として送信され)、フラッシュメモリ、HDD等に記憶されてもよい。この場合、各種のプログラムは、サーバに備えたHDD等の非一時的な記憶媒体に保存されていればよい。
【符号の説明】
【0082】
1、1A、1B 印刷装置
9 搬送モータ
10 ヘッド
21 CPU
25、26、27 ADC
29 バッテリ
30 ACアダプタ
32 ACアダプタジャック
34 バッテリ装着部
39 昇降圧回路
100、100A、100B 電力供給回路