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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024065493
(43)【公開日】2024-05-15
(54)【発明の名称】ブラシ
(51)【国際特許分類】
   A46B 5/00 20060101AFI20240508BHJP
   A61H 7/00 20060101ALI20240508BHJP
【FI】
A46B5/00 F
A61H7/00 300E
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022174384
(22)【出願日】2022-10-31
(71)【出願人】
【識別番号】599083411
【氏名又は名称】株式会社 MTG
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 敬
【テーマコード(参考)】
3B202
4C100
【Fターム(参考)】
3B202AA11
3B202AB02
3B202BB07
3B202DB04
3B202EA01
3B202EB18
3B202EE01
3B202EF10
4C100AA04
4C100AA15
4C100BB01
4C100CA01
4C100DA01
(57)【要約】
【課題】マッサージしやすく、髪を梳かしやすいブラシを提供する。
【解決手段】ブラシ10は、ブラシ面11から突出する複数のピン12を備え、前記ピン12はそれぞれ突出端15に向かって幅寸法Wが小さくなる形状をなし、前記ピン12のうち前記突出端15を含むピン前部21は、弾性を持つ材料によって形成され、前記ピン12のうち前記突出端15とは反対側の後端16を含むピン後部22は、前記ピン前部21よりも硬い材料によって形成された芯部23を有している。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブラシ面から突出する複数のピンを備え、
前記ピンはそれぞれ突出端に向かって幅寸法が小さくなる形状をなし、
前記ピンのうち前記突出端を含むピン前部は、弾性を持つ材料によって形成され、
前記ピンのうち前記突出端とは反対側の後端を含むピン後部は、前記ピン前部よりも硬い材料によって形成された芯部を有している、ブラシ。
【請求項2】
前記ピン前部の前後方向の寸法は、前記ピン後部の前後方向の寸法よりも大きい、請求項1に記載のブラシ。
【請求項3】
前記ピン前部の前後方向の寸法は、前記ピン前部の最大幅寸法よりも大きい、請求項1に記載のブラシ。
【請求項4】
前記芯部の先端は、前記ピンの突出端よりも緩やかな丸み形状を有している、請求項1に記載のブラシ。
【請求項5】
前記弾性を持つ材料によって形成された第1部材と、
前記ピン前部よりも硬い材料によって形成された第2部材と、を備え、
前記第2部材は、筒状部を有し、
前記第1部材は、前記筒状部の内部に入り込んだアンカー部を有している、請求項1に記載のブラシ。
【請求項6】
前記ピンの前後方向の寸法は、前記ピンの最大幅寸法よりも大きい、請求項1に記載のブラシ。
【請求項7】
前記ブラシ面は、凹凸を有し、
前記ピンの後端は、前記凹凸に跨って配置され、
前記ピンの後端のうち前記ブラシ面の外周側に位置する部分は前記凹凸の頂部側に配置され、前記ピンの後端のうち前記ブラシ面の中心側に位置する部分は前記凹凸の底部側に配置されている、請求項1に記載のブラシ。
【請求項8】
ブラシ面から突出する複数のピンを備え、
前記ピンはそれぞれ突出端に向かって幅寸法が小さくなる形状をなし、
前記ピンに力が加わることによって前記ピンが弾性変形するときの前記突出端の移動範囲は、前記ピンの幅方向において前記ピンの後端よりも外側まで広がっている、ブラシ。
【請求項9】
前記移動範囲は、隣接する前記ピン同士が接触しない範囲である、請求項8に記載のブラシ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブラシに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば下記特許文献1に記載されているように、毛髪などを洗うときに使用されるブラシが知られている。使用者は、ブラシを使用して髪を梳かしたり、頭皮などをマッサージしたりできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3098011号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなブラシは、マッサージしやすく、髪を梳かしやすいものが望まれている。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、マッサージしやすく、髪を梳かしやすいブラシを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明1のブラシは、ブラシ面から突出する複数のピンを備え、前記ピンはそれぞれ突出端に向かって幅寸法が小さくなる形状をなし、前記ピンのうち前記突出端を含むピン前部は、弾性を持つ材料によって形成され、前記ピンのうち前記突出端とは反対側の後端を含むピン後部は、前記ピン前部よりも硬い材料によって形成された芯部を有しているものである。
【0007】
本発明2のブラシは、ブラシ面から突出する複数のピンを備え、前記ピンはそれぞれ突出端に向かって幅寸法が小さくなる形状をなし、前記ピンに力が加わることによって前記ピンが弾性変形するときの前記突出端の移動範囲は、前記ピンの幅方向において前記ピンの後端よりも外側まで広がっているものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明1によれば、ピンは先細りの形状であるから、髪の間に通しやすい。ピン後部は芯部を有しているから、先細りの形状をなすピンであっても強度を確保しやすい。ピン前部は柔らかいから、ピンを頭皮などにあてても痛くなりにくい。したがって、マッサージしやすく、髪を梳かしやすくできる。
【0009】
本発明2によれば、ピンは先細りの形状であるから、髪に通しやすい。ピンの突出端の移動範囲は広いから、マッサージしやすい。したがって、マッサージしやすく、髪を梳かしやすくできる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施例におけるブラシを示す正面図
図2】ブラシを示す断面図であって、図1のA-A位置における断面に相当する断面図
図3】ブラシを示す断面図であって、図1のB-B位置における断面に相当する断面図
図4】ピンを示すブラシの一部拡大断面図
図5】斜め前方から見たブラシを示す分解斜視図
図6】斜め後方から見たブラシを示す分解斜視図
図7】第2部材を示す正面図
図8】第3部材を取り外した状態のブラシを示す背面図
図9】ブラシを置き台にセットする様子を示す斜視図
図10】ブラシを置き台にセットした状態を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の好ましい形態を以下に示す。
【0012】
本発明1のブラシにおいて、前記ピン前部の前後方向の寸法は、前記ピン後部の前後方向の寸法よりも大きいものとしてもよい。このような構成によれば、ピン前部を撓みやすくし、頭皮等へのあたり方を柔らかくできる。
【0013】
また、本発明1のブラシにおいて、前記ピン前部の前後方向の寸法は、前記ピン前部の最大幅寸法よりも大きいものとしてもよい。このような構成によれば、ピン前部を撓みやすくし、頭皮等へのあたり方を柔らかくできる。
【0014】
また、本発明1のブラシにおいて、前記芯部の先端は、前記ピンの突出端よりも緩やかな丸み形状を有しているものとしてもよい。このような構成によれば、芯部の先端からクラックが生じにくいから、ブラシの耐久性を向上できる。
【0015】
また、本発明1のブラシにおいて、前記弾性を持つ材料によって形成された第1部材と、前記ピン前部よりも硬い材料によって形成された第2部材と、を備え、前記第2部材は、筒状部を有し、前記第1部材は、前記筒状部の内部に入り込んだアンカー部を有しているものとしてもよい。このような構成によれば、アンカー部が筒状部の内部に入り込んで固まることによって、第1部材と第2部材との接合力が高まるから、ブラシの耐久性を向上できる。
【0016】
また、本発明1及び本発明2のブラシにおいて、前記ピンの前後方向の寸法は、前記ピンの最大幅寸法よりも大きいものとしてもよい。このような構成によれば、ピンは細長いから、髪に通しやすい。したがって、髪を梳かしやすくできる。
【0017】
また、本発明1及び本発明2のブラシにおいて、前記ブラシ面は、凹凸を有し、前記ピンの後端は、前記凹凸に跨って配置され、前記ピンの後端のうち前記ブラシ面の外周側に位置する部分は前記凹凸の頂部側に配置され、前記ピンの後端のうち前記ブラシ面の中心側に位置する部分は前記凹凸の底部側に配置されているものとしてもよい。このような構成によれば、ピンのうちブラシ面の中心側の部分は長くて伸び易いから、ピンはブラシ面の外周側にたわみ易い。したがって、広い範囲をマッサージできる。
【0018】
また、本発明2のブラシにおいて、前記移動範囲は、隣接する前記ピン同士が接触しない範囲であるものとしてもよい。このような構成によれば、ピンは、弾性変形しても髪の間に通りやすい。したがって、髪を梳かしやすくできる。
【0019】
<実施例>
以下、本発明1及び本発明2を具体化した一実施例について、図1図10を参照しつつ詳細に説明する。本実施例におけるブラシ10は、主に人の頭皮のマッサージに用いられる。ブラシ10は、図1に示すように、ブラシ面11から突出する23本のピン12を有している。
【0020】
以下、各構成部材において、ピン12の突出方向先端側を前側、その反対側を後側、図1の上側を上側、下側を下側、ブラシ面11を正面から見たときの右側を右側、左側を左側として説明する。各図において、X軸の正方向側は右側、X軸の負方向側は左側、Y軸の正方向側は上側、Y軸の負方向側は下側、Z軸の正方向側は前側、Z軸の負方向側は後側を示す。X軸は、左右方向と平行である。Y軸は、上下方向と平行である。Z軸は、ピン12の中心軸Zと平行である。
【0021】
ブラシ面11は、図1に示すように、正面側から見ると、ハート形状をなしている。ブラシ10のうちブラシ面11を除く部位は、把持部13である(図2参照)。使用者は、把持部13を手で把持してブラシ10を移動させ、頭皮等をマッサージする。
【0022】
ブラシ面11には、複数の水抜き穴36,37,38が開口している。水抜き穴36,37,38は、正面側から見ると、ブラシ面11の外周縁に沿って細長く延びている。水抜き穴36は、ブラシ面11の上側領域に左右一対設けられている。左右の水抜き穴36は、ブラシ面11の左右の角部に沿って湾曲している。水抜き穴37は、ブラシ面11の下側領域に左右一対設けられている。左右の水抜き穴37は、ブラシ面11の左右の縁に沿って斜めに延びている。水抜き穴38は、ブラシ面11の下端に1つ設けられている。水抜き穴38は、ブラシ面11の左右方向における中心に位置している。水抜き穴36,37,38は、ブラシ面11の左右方向中心を基準に左右対称である。
【0023】
ブラシ10の上下方向の最大寸法Hは、図1に示すように、ブラシ10の左右方向の最大寸法W0よりも若干大きい。ブラシ10の長手方向は上下方向であり、ブラシ10の短手方向は左右方向である。図3に示すように、ブラシ10の右側面の前後方向の寸法DRは、左側面の前後方向の寸法DLよりも大きい。ブラシ10は、把持部13の左右の側面を親指と他の指とで挟んで把持できる。
【0024】
把持部13は、図9に示すように、正面側及び背面側から見ると、ブラシ面11と同様、ハート形状をなしている。把持部13は、連続した湾曲面によって形成されている。把持部13の上面14の左右方向における中心は下側に凹んでいる。把持部13の左右方向の寸法は、下端に向かって小さくなっている。
【0025】
ピン12は、図1に示すように、ブラシ面11の全域にバランスよく配置されている。ピン12の配置は、ブラシ面11の左右方向の中心を基準に左右対称である。ピン12は、ブラシ面11の中心部に配置された第1ピン12Fと、第1ピン12Fの外周側に配置された第2ピン12Sと、第2ピン12Sの外周側に配置された第3ピン12Tとを有している。第1ピン12F、第2ピン12S及び第3ピン12Tは、複数本ずつ設けられている。
【0026】
ピン12は、図2及び図3に示すように、ブラシ面11から突出端15に向かって幅寸法Wが小さくなる先細りの円錐形状をなしている。全てのピン12において突出端15の前後方向の位置は同じである。ピン12の幅寸法Wは、ピン12の中心軸Zに直交する断面における径寸法である。ピン12の幅寸法Wは様々である(図1参照)。第1ピン12Fの幅寸法Wは、第3ピン12Tの幅寸法Wよりも小さい。ブラシ面11を前側から見た正面視において、第2ピン12Sの面積は、第1ピン12Fの面積よりも大きく、第3ピン12Tの面積よりも小さい。
【0027】
ピン12の周面17は、ピン12の後端16から突出端15まで段差のないテーパ面である。ピン12の後端16において、ピン12の周面17とブラシ面11とは交わっている。ピン12は、テーパ形状であるから折れにくい。ピン12の周面17は、ピン12が折れにくいという効果を奏する程度であれば段差を有していてもよい。段差は、ピン12の直径の10%程度であってもよい。ピン12の突出端15にはそれぞれ、突起18が設けられている(図4参照)。突起18の先端面は、半球形状をなしている。図4では、突起18の後端に段差があるけれども、この段差は無くてもよい。突起18の先端面は半球形状でなくてもよく、例えば突出端15を含む平坦な面であってもよい。
【0028】
ブラシ面11は、図3に示すように、凹凸31を有している。ブラシ面11を正面側から見ると、図1に示すように、凹凸31を構成する頂部32及び底部33はそれぞれブラシ面11の外形と相似形状をなすように連続している。頂部32は、凹凸31の前端であり、底部33は、凹凸31の後端である。頂部32と底部33とは、ブラシ面11の外縁側から中心側に向かって交互に配置されている。ブラシ面11の外縁部は、図3に示すように、頂部32である。ブラシ面11の中心部は底部33である。ブラシ面11の中心部の底部33は、XY平面に平行に近い面である。
【0029】
ピン12の後端16は、図1に示すように、凹凸31に跨って配置されている。ピン12の後端16のうちブラシ面11の外周側に位置する部分(外側後端16Sと称する。)は凹凸31の頂部32側に配置されている。ピン12の後端16のうちブラシ面11の中心側に位置する部分(中心側後端16Uと称する。)は凹凸31の底部33側に配置されている。
【0030】
図4に示すように、中心側後端16Uの前後方向の位置は、外側後端16Sの前後方向の位置よりも後側である。これによって、ピン12のうち中心側後端16Uを含む部分は前後方向に長く伸び易い。したがって、ピン12は、ブラシ面11の中心側よりも外周側(図4では右側)に倒れやすい。ピン12の突出端15の移動範囲19は、図1に示すように、XY平面においてピン12の外側後端16Sよりも外側まで広がっている。ピン12の突出端15の移動範囲19は、隣接するピン12同士が接触しない範囲である。
【0031】
図4に示すように、ピン12の前後方向の寸法L1は、ピン12の最大幅寸法W1よりも大きい。ピン12の前後方向の寸法L1は、基準点S1から突出端15までの中心軸Zに平行な長さ寸法である。基準点S1は、ピン12の後端16のうち最も前側に位置する点である。ピン12の最大幅寸法W1は、基準面S2におけるピン12の径寸法である。基準面S2は基準点S1を含み、中心軸Zに直交する。
【0032】
ピン12のうち突出端15を含むピン前部21は、弾性を持つ材料(軟質材と称する。)によって形成されている。軟質材は、柔らかい材質であり、頭皮のマッサージに適した硬度及び柔軟性を備えている。
【0033】
ピン12のうち後端16を含むピン後部22は、芯部23を有している。芯部23は、主にピン前部21よりも硬い材料(硬質材と称する。)によって形成されている。硬質材は、軟質材よりも硬く、たわみ難い性質を備えている。芯部23は、ブラシ面11よりも前側に突出している。芯部23は、円錐に近い形状をなしている。芯部23の周面24は、ピン12の周面17と概ね等しい勾配で傾斜している。芯部23の先端25は、ピン12の突出端15より緩やかな丸み形状を有している。芯部23の先端25は、半球状をなしている。芯部23の先端25の曲率半径は、突出端15の曲率半径よりも大きい。芯部23の内側は空洞部26である。空洞部26は、後方に開放されている。
【0034】
芯部23の周面24は、外面部27によって覆われている。外面部27は、ピン前部21と同一材料の軟質材によって形成されている。外面部27は、ピン前部21及びブラシ面11に連なっている。外面部27の厚さ寸法とブラシ面11の厚さ寸法とは概ね等しい。
【0035】
図4に示すように、ピン前部21の前後方向の寸法L2は、ピン後部22の前後方向の寸法L3よりも大きい。ピン前部21の前後方向の寸法L2は、芯部23の先端25からピン12の突出端15までの中心軸Zに平行な長さ寸法である。ピン前部21の前後方向の寸法L2は、例えば1cm、誤差±10%の範囲であると良い。ピン後部22の前後方向の寸法L3は、基準面S2から芯部23の先端25までの中心軸Zに平行な長さ寸法である。
【0036】
ピン前部21の前後方向の寸法L2は、ピン前部21の最大幅寸法W2よりも大きい。ピン前部21の最大幅寸法W2は、芯部23の先端25を含む中心軸Zに直交する面におけるピン12の径寸法である。ピン前部21の最大幅寸法W2は、ピン12の頂点の角度αから算出されている(図4参照)。ピン12の頂点の角度αは、15度以上、40度以下であると良く、30度±1度であるとさらに良い。ピン前部21の最大幅寸法W2は、2.6mm以上、7.3mm以下であると良く、5.5mm±0.5mmであるとさらに良い。
【0037】
ブラシ10は、図5及び図6に示すように、第1部材41、第2部材42及び第3部材43を有している。第1部材41は、軟質材によって形成されている。軟質材は、ポリエステル系熱可塑性エラストマー(TPEE)やシリコン樹脂などであってよい。第2部材42及び第3部材43はそれぞれ硬質材によって形成されている。硬質材は、ABS樹脂などであってよい。第1部材41と第2部材42とは、インサート成形によって一体となっている。第2部材42は、第1部材41の後側に接合されている。第1部材41の後面と第2部材42の前面とは密着している。第3部材43は、一体化した第1部材41及び第2部材42の後側に組み付けられている。
【0038】
第1部材41は、図5に示すように、ピン前部21、外面部27及びブラシ面11を一体に有している。第1部材41は、第2部材42の前面の全体を覆う。第1部材41の後面は、図6に示すように、ブラシ面11と同じ凹凸形状をなしている。第1部材41の後面は、複数のアンカー部44を有している。アンカー部44については後ほど詳しく説明する。
【0039】
第2部材42は、図5に示すように、芯部23及び基盤部46を一体に有している。基盤部46の外形は、ブラシ面11の外形と同様のハート形状をなしている。基盤部46は、ブラシ面11と同様の凹凸形状を有している。基盤部46の凹凸形状は、第1部材41の後面の凹凸形状に密着する。基盤部46は、図6に示すように、複数の筒状部47を有している。筒状部47は、基盤部46から後側に突出している。筒状部47は、円筒状をなしている。筒状部47の内側は、円形断面の貫通孔である。筒状部47は、芯部23を避けた位置に配置されている(図7参照)。
【0040】
アンカー部44は、筒状部47の内側に入り込んでいる(図3参照)。アンカー部44は、円筒状をなしている。アンカー部44は、筒状部47を貫通している。アンカー部44は、筒状部47の内周面に密着している。アンカー部44の後端は、筒状部47の後端より後側に突出している。アンカー部44の後端部には、鍔部45が設けられている。鍔部45は、筒状部47の後面に密着している。鍔部45は、後側から見ると円環状をなしている(図8参照)。
【0041】
第1部材41及び第2部材42は、筒状部47及びアンカー部44によって構成された接合部48において互いに強固に接合している。接合部48は、図8に示すように、複数設けられている。接合部48は、基盤部46の全域にバランスよく分散して配置されている。接合部48の配置は、左右方向の中心を基準に左右対称である。
【0042】
第3部材43は、図5に示すように、前面側が開放された容器状をなしている。第3部材43の前面側は、接合された状態の第1部材41及び第2部材42によって塞がれる(図3参照)。第2部材42と第3部材43との間は空洞になっている。第3部材43は、第2部材42の後面の全体を覆っている。第3部材43の外面は、意匠面を形成している。
【0043】
ブラシ10は、図9及び図10に示すように、置き台50を備えている。置き台50は、台部51と枠部52とを有している。台部51と枠部52とは一体に形成されている。台部51の下面は、水平である。枠部52は、把持部13の外周縁に沿った形状をなしている。ブラシ10は、図9の矢印に示すように、後側から枠部52に嵌合される。枠部52は、把持部13の外周縁に引っ掛かる。枠部52は、左右方向から見ると台部51から斜め前方に立ち上がっている。枠部52の上端は、枠部52の下端よりも前側に位置している。ブラシ10を置き台50に置いた状態において、ブラシ面11は、台部51の接地面に対して傾斜した状態に保持される。ブラシ10を使用する場合、図10に示す状態から把持部13を把持して、ブラシ10を後側に持ち上げる。これによって、ブラシ10は置き台50から離れ、頭皮等のマッサージに用いられる。
【0044】
ブラシ10は、洗髪の際に使用できる。この場合、ブラシ10の内部に水が浸入することがある。ブラシ10の内部に入った水は、ブラシ10を置き台50に置いたときに、ブラシ面11の下側領域に設けられた水抜き穴37,38から排水される。このとき、ブラシ面11の上側領域に設けられた左右の水抜き穴36からブラシ10の内部に空気が流入しやすいから、排水機能を向上できる。また、多数の水抜き穴36,37,38によってブラシ10の内部とブラシ10の外部とが通じているから、ブラシ10の内部に外気が流れ込みやすい。これによって、ブラシ10の内部を乾燥しやすくできる。
【0045】
本実施例に係るブラシ10の使用例を説明する。使用者は把持部13を把持し、ブラシ10を頭部に当てる。ピン12の突出端15は頭部に当たり、ピン前部21は使用者の頭部の形状にあわせて弾性変形する。ピン前部21は軟質材によって形成されているから、使用者は痛みを感じにくい。また、ピン12はブラシ面11の外周側に倒れやすいから、使用者の頭部の広い範囲にフィットしやすい。使用者は、ピン12によって、頭部の広範囲を適度な力でマッサージできる。
【0046】
また、ピン12は、先細りの形状をなし、弾性変形した状態であっても隣接するピン12同士は離れている。ピン後部22は、芯部23を有しているから、ピン12は細くても適度な硬さを有している。使用者は、ブラシ10を動かして、ピン12を髪の間に容易に通すことができる。ピン12の硬度は、JIS K 6253に規定するデュロメータタイプA硬度で50以上、かつ65以下であると良く、60であるとさらに良い。A硬度が70以上である場合、使用者は痛みを感じやすいから、A硬度は70未満であると良い。
【0047】
こうして使用者は、ブラシ10を適宜動かすことによって、頭髪を梳かして整えたり、頭皮を好適にマッサージしたりできる。
【0048】
上記のように構成された実施例によれば、以下の効果を奏する。ブラシ10は、ブラシ面11から突出する複数のピン12を備えている。ピン12はそれぞれ突出端15に向かって幅寸法Wが小さくなる形状をなしている。突出端15を含むピン前部21は、軟質材によって形成されている。後端16を含むピン後部22は、芯部23を有している。芯部23は、ピン前部21よりも硬い硬質材によって形成されている。この構成によれば、ピン12は先細りの形状であるから、髪の間に通しやすい。ピン後部22は芯部23を有しているから、先細りの形状をなすピン12であっても強度を確保しやすい。ピン前部21は柔らかいから、ピン12を頭皮などにあてても痛くなりにくい。したがって、マッサージしやすく、髪を梳かしやすくできる。
【0049】
また、ピン前部21の前後方向の寸法L2は、ピン後部22の前後方向の寸法L3よりも大きい。この構成によれば、ピン前部21を撓みやすくし、頭皮等へのあたり方を柔らかくできる。
【0050】
また、ピン前部21の前後方向の寸法L1は、ピン前部21の最大幅寸法W2よりも大きい。この構成によれば、ピン前部21を撓みやすくし、頭皮等へのあたり方を柔らかくできる。
【0051】
また、芯部23の先端25は、ピン12の突出端15よりも緩やかな丸み形状を有している。この構成によれば、芯部23の先端25からクラックが生じにくいから、ブラシ10の耐久性を向上できる。
【0052】
ブラシ10は、軟質材によって形成された第1部材41と、硬質材によって形成された第2部材42と、を備えている。第2部材42は、筒状部47を有している。第1部材41は、筒状部47の内部に入り込んだアンカー部44を有している。この構成によれば、アンカー部44が筒状部47の内部に入り込んで固まることによって、第1部材41と第2部材42との接合力が高まるから、ブラシ10の耐久性を向上できる。
【0053】
また、ピン12の前後方向の寸法L1は、ピン12の最大幅寸法W1よりも大きい。この構成によれば、ピン12は細長いから、髪の間に通しやすい。したがって、髪を梳かしやすくできる。
【0054】
また、ブラシ面11は、凹凸31を有している。ピン12の後端16は、凹凸31に跨って配置されている。ピン12の後端16のうちブラシ面11の外周側に位置する外側後端16Sは凹凸31の凸側に配置されている。ピン12の後端16のうちブラシ面11の中心側に位置する中心側後端16Uは凹凸31の凹側に配置されている。この構成によれば、ピン12のうちブラシ面11の中心側後端16Uを含む部分は長くて伸び易いから、ピン12はブラシ面11の外周側にたわみ易い。したがって、広い範囲をマッサージできる。
【0055】
また、ピン12に力が加わることによってピン12が弾性変形するときの突出端15の移動範囲19は、ピン12の幅方向においてピン12の後端16よりも外側まで広がっている。この構成によれば、ピン12は先細りの形状であるから、髪に通しやすい。ピン12の突出端15の移動範囲19は広いから、マッサージしやすい。したがって、マッサージしやすく、髪を梳かしやすくできる。
【0056】
また、移動範囲19は、隣接するピン12同士が接触しない範囲である。この構成によれば、ピン12は、弾性変形しても髪の間に通りやすい。したがって、髪を梳かしやすくできる。
【0057】
<他の実施例>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、例えば次のような実施例も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施例においてピン12の突出端15の前後方向の位置は揃っている。しかしながら、ピンの突出端の前後方向の位置は揃っていなくても良い。
(2)上記実施例においてブラシ10のうちブラシ面11を除く部分は把持部13である。これに限らず、ブラシは、把持部として柄を備えていても良い。
(3)上記実施例においてブラシ10は、人の頭皮のマッサージに用いられる。これに限らず、ブラシは、人の身体等、頭皮以外の部位のマッサージに用いられるものであってもよい。
(4)上記実施例においてピン12の本数や形状の具体例を説明した。これに限らず、ピンの本数や形状は変更してもよい。例えばピンは、多角錐形状であってもよい。
(5)上記実施例では、ピン後部は芯部を有している。これに限らず、ピンは芯部を有していなくても良い。この場合、例えばピン後部の内部は空洞であってもよいし、外面部を含むピン後部の全体を、ピン前部よりも硬い材料によって中実な円錐台形状に形成してもよい。
(6)上記実施例では、ブラシ面は凹凸を有している。これに限らず、ブラシ面は平坦な面であってもよい。
(7)上記実施例においてブラシ10の内部に水が浸入した際の水抜き穴について説明した。これに限らず、ブラシは、内部に水が浸入しないように水密構造にしてもよい。具体的には、第1部材、第2部材及び第3部材の嵌合部にパッキンを用いてもよい。また、ブラシを水密構造にした場合、ブラシの内部に振動モータおよび駆動源等を設置させることもできる。
【符号の説明】
【0058】
L1…ピンの前後方向の寸法
L2…ピン前部の前後方向の寸法
L3…ピン後部の前後方向の寸法
W…幅寸法
W1…ピンの最大幅寸法
W2…ピン前部の最大幅寸法
10…ブラシ
11…ブラシ面
12…複数のピン
15…突出端
16…後端
16S…外側後端(ピンの後端のうちブラシ面の外周側に位置する部分)
16U…中心側後端(ピンの後端のうちブラシ面の中心側に位置する部分)
19…突出端の移動範囲
21…ピン前部
22…ピン後部
23…芯部
25…先端
31…凹凸
32…頂部
33…底部
41…第1部材
42…第2部材
44…アンカー部
47…筒状部
図1
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