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特開2024-65498情報処理装置、情報処理方法、および、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024065498
(43)【公開日】2024-05-15
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、および、プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 11/30 20060101AFI20240508BHJP
【FI】
G06F11/30 193
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022174397
(22)【出願日】2022-10-31
(71)【出願人】
【識別番号】500112146
【氏名又は名称】サイレックス・テクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(72)【発明者】
【氏名】中澤 宏輔
(72)【発明者】
【氏名】川嵜 雅央
【テーマコード(参考)】
5B042
【Fターム(参考)】
5B042MA08
5B042MA11
5B042MA16
5B042MC08
5B042MC25
(57)【要約】
【課題】センサによる検出漏れを抑制する。
【解決手段】情報処理装置10は、第一値および第二値のいずれかを有するセンサ値を複数格納可能である記憶部14と、センサ値を複数受信する受信部11と、(a)受信部11が受信した複数のセンサ値のうち第一値を有する複数の第一センサ値を取得し、複数の第一センサ値のうち受信時刻の順でM個(Mは2以上の整数)ごとにN個(Nは、Mより小さい1以上の整数)の第一センサ値を記憶部14に格納し、(b)受信部11が受信した複数のセンサ値のうち第二値を有する複数の第二センサ値を取得し、複数の第二センサ値のうち受信時刻の順でM個ごとにN個の第二センサ値を記憶部14に格納する、格納部12と、記憶部14に格納されている複数のセンサ値を出力する出力部15とを備え、格納部12は、対象期間に受信部11が受信した第一センサ値および第二センサ値を一のデータとして記憶部12に格納する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一値および第二値のいずれかを有するセンサ値を複数格納可能である記憶部と、
センサが出力する前記センサ値を複数受信する受信部と、
(a)前記受信部が受信した複数の前記センサ値のうち前記第一値を有する複数の第一センサ値を取得し、前記複数の第一センサ値のうち受信時刻の順でM個(Mは2以上の整数)ごとにN個(Nは、Mより小さい1以上の整数)の第一センサ値を前記記憶部に格納し、
(b)前記受信部が受信した複数の前記センサ値のうち前記第二値を有する複数の第二センサ値を取得し、前記複数の第二センサ値のうち受信時刻の順でM個ごとにN個の第二センサ値を前記記憶部に格納する、格納部と、
前記記憶部に格納されている複数の前記センサ値を出力する出力部とを備え、
前記格納部は、前記第一センサ値および前記第二センサ値を前記記憶部に格納する際には、予め定められた時間長を有する対象期間に前記受信部が受信した複数の前記センサ値に含まれる前記第一センサ値および前記第二センサ値を、まとめて一のデータとして前記記憶部に格納する
情報処理装置。
【請求項2】
前記格納部は、予め設定された、前記記憶部に格納すべき前記センサ値の個数である所定数、ならびに、予め設定された前記第一センサ値および前記第二センサ値の個数比率である所定比率に基づいて、前記第一センサ値の個数上限および前記第二センサ値の個数上限をそれぞれ決定し、当該各上限を超えるセンサ値を廃棄する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記格納部は、前記第一センサ値および前記第二センサ値を前記記憶部に格納する際には、
前記一のデータに含まれる前記センサ値の個数が、前記所定数より少ない場合には、前記対象期間の後に前記受信部が受信したセンサ値を前記一のデータに追加してから、前記第一センサ値および前記第二センサ値を前記記憶部に格納する
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記所定数は、前記記憶部への単位時間当たりの前記センサ値の書き込み個数に、前記受信部が前記センサ値を受信していた時間の時間長を乗じた数値である
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記格納部は、前記対象期間の後に前記受信部が受信した前記センサ値を前記一のデータに追加する際には、
前記対象期間の後に前記受信部が受信した1以上のセンサ値である1以上の後続センサ値のうち、当該後続センサ値を前記一のデータに追加すれば前記一のデータに含まれるセンサ値における構成比率が前記所定比率に近づくこととなる後続センサ値を、前記一のデータに追加する
請求項3または4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記受信部は、
複数の前記センサ値を受信する前に、複数のセンサ値である複数の学習用センサ値を受信し、
前記格納部は、
前記複数の学習用センサ値における前記第一センサ値および前記第二センサ値の構成比率を算出し、
算出した前記構成比率を前記所定比率として用いて、前記後続センサ値を前記一のデータに追加する
請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
Mは2であり、Nは1である
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
情報処理装置が実行する情報処理方法であって、
前記情報処理装置は、
第一値および第二値のいずれかを有するセンサ値を複数格納可能である記憶部を備え、
前記情報処理方法は、
センサが出力する前記センサ値を複数受信し、
受信した複数の前記センサ値のうち前記第一値を有する複数の第一センサ値を取得し、前記複数の第一センサ値のうち受信時刻の順でM個(Mは2以上の整数)ごとにN個(Nは、Mより小さい1以上の整数)の第一センサ値を前記記憶部に格納し、
受信した複数の前記センサ値のうち前記第二値を有する複数の第二センサ値を取得し、前記複数の第二センサ値のうち受信時刻の順でM個ごとにN個の第二センサ値を前記記憶部に格納し、
前記記憶部に格納されている複数の前記センサ値を出力し、
記第一センサ値および前記第二センサ値を前記記憶部に格納する際には、予め定められた時間長を有する対象期間に受信した複数の前記センサ値に含まれる前記第一センサ値および前記第二センサ値を、まとめて一のデータとして前記記憶部に格納する
情報処理方法。
【請求項9】
請求項8に記載の情報処理方法をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法、および、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
センサが繰り返し物理量を検出することで取得したセンサ値をサーバに送信し、そのセンサ値をサーバが受信して蓄積する技術がある。センサからサーバに送信されるセンサ値の単位時間当たりの個数が、サーバの処理能力に相当する個数を超えると、センサから送信されたすべてのセンサ値をサーバが処理することができないことがある。サーバが処理できなかったセンサ値は、サーバに蓄積されることがなく、言い換えれば、破棄される。
【0003】
このようにセンサ値等のデータが破棄されることを抑制するために、センサ値等のデータの一部を予め間引く技術がある。
【0004】
特許文献1には、音声データを間引く技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009-033684号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
センサからサーバに送信されるセンサ値等のデータに対して、そのデータの一部を間引く技術(例えば特許文献1参照)を適用する場合、情報処理装置の処理能力等によってはセンサ値のうち特徴的な値を有するセンサ値が間引かれてしまうことがある。その場合、センサ値によって本来検出され得る現象が検出されないこと、つまり、検出漏れが生じ得る。
【0007】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、センサによる検出漏れを抑制する情報処理装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る情報処理装置は、第一値および第二値のいずれかを有するセンサ値を複数格納可能である記憶部と、センサが出力する前記センサ値を複数受信する受信部と、(a)前記受信部が受信した複数の前記センサ値のうち前記第一値を有する複数の第一センサ値を取得し、前記複数の第一センサ値のうち受信時刻の順でM個(Mは2以上の整数)ごとにN個(Nは、Mより小さい1以上の整数)の第一センサ値を前記記憶部に格納し、(b)前記受信部が受信した複数の前記センサ値のうち前記第二値を有する複数の第二センサ値を取得し、前記複数の第二センサ値のうち受信時刻の順でM個ごとにN個の第二センサ値を前記記憶部に格納する、格納部と、前記記憶部に格納されている複数の前記センサ値を出力する出力部とを備え、前記格納部は、前記第一センサ値および前記第二センサ値を前記記憶部に格納する際には、予め定められた時間長を有する対象期間に前記受信部が受信した複数の前記センサ値に含まれる前記第一センサ値および前記第二センサ値を、まとめて一のデータとして前記記憶部に格納する情報処理装置である。
【0009】
これによれば、情報処理装置は、受信したセンサ値のうちの一部のセンサ値を記憶部に格納するときに、第一値を有するセンサ値をM個につきN個の割合で記憶部に格納するとともに、第二値を有するセンサ値をM個につきN個の割合で記憶部に格納するので、記憶部に格納されるセンサ値における第一値および第二値の構成比率を、センサが検出したセンサ値における第一値および第二値の構成比率に概ね一致させることができる。これにより、記憶部に格納されるセンサ値の構成比率が、センサが検出したセンサ値の構成比率と異なることが抑制され、適切な検出結果を得ることに寄与する。また、情報処理装置は、複数のセンサ値をまとめてデータとして記憶部に格納するので、センサ値を個別に記憶部に格納する場合よりも、格納に要する時間を短くすることができる。言い換えれば、情報処理装置は、格納に要する時間を短くすることで、与えられた時間内により多くのセンサ値を記憶部に格納することができる。よって、情報処理装置は、センサによる検出漏れを抑制することができる。
【0010】
また、前記格納部は、予め設定された、前記記憶部に格納すべき前記センサ値の個数である所定数、ならびに、予め設定された前記第一センサ値および前記第二センサ値の個数比率である所定比率に基づいて、前記第一センサ値の個数上限および前記第二センサ値の個数上限をそれぞれ決定し、当該各上限を超えるセンサ値を廃棄してもよい。
【0011】
これによれば、情報処理装置は、第一センサ値の個数上限および第二センサ値の個数上限を超えるセンサ値を廃棄するので、適切な個数の第一センサ値および第二センサ値を記憶部に格納することに、より容易に寄与する。よって、情報処理装置は、より多くのセンサ値を記憶部に格納しながら、センサによる検出漏れを抑制することができる。
【0012】
また、前記格納部は、前記第一センサ値および前記第二センサ値を前記記憶部に格納する際には、前記一のデータに含まれる前記センサ値の個数が、前記所定数より少ない場合には、前記対象期間の後に前記受信部が受信したセンサ値を前記一のデータに追加してから、前記第一センサ値および前記第二センサ値を前記記憶部に格納してもよい。
【0013】
これによれば、情報処理装置は、まとめて一のデータとして記憶部に格納するセンサ値の個数を、予め設定された所定数に近い個数にすることができる。これにより、一のデータに含まれるセンサ値の個数がほぼ均一になり、センサ値の取り扱いをより容易にすることができ、検出漏れの抑制により一層寄与する。よって、情報処理装置は、センサによる検出漏れをより一層抑制することができる。
【0014】
また、前記所定数は、前記記憶部への単位時間当たりの前記センサ値の書き込み個数に、前記受信部が前記センサ値を受信していた時間の時間長を乗じた数値であってもよい。
【0015】
これによれば、情報処理装置は、記憶部にセンサ値を格納する速度を超えない、比較的速い速度でセンサ値をまとめてデータとして記憶部に格納するので、記憶部に格納しようとして失敗することを抑制することができ、その結果、記憶部に格納されないセンサ値が発生することを抑制することができる。よって、情報処理装置は、記憶部にセンサ値を格納する速度を調整することで、センサによる検出漏れを抑制するとともに、より多くのセンサ値を記憶部に格納することができる。
【0016】
また、前記格納部は、前記対象期間の後に前記受信部が受信した前記センサ値を前記一のデータに追加する際には、前記対象期間の後に前記受信部が受信した1以上のセンサ値である1以上の後続センサ値のうち、当該後続センサ値を前記一のデータに追加すれば前記一のデータに含まれるセンサ値における構成比率が前記所定比率に近づくこととなる後続センサ値を、前記一のデータに追加してもよい。
【0017】
これによれば、情報処理装置は、記憶部に格納されるセンサ値における第一値および第二値の構成比率を所定比率に概ね一致させることができる。これにより、記憶部に格納されるセンサ値が、所定比率と異なる構成比率になることが抑制され、適切な検出結果を得ることに寄与する。よって、情報処理装置は、センサによる検出漏れを抑制することができる。
【0018】
また、前記受信部は、複数の前記センサ値を受信する前に、複数のセンサ値である複数の学習用センサ値を受信し、前記格納部は、前記複数の学習用センサ値における前記第一センサ値および前記第二センサ値の構成比率を算出し、算出した前記構成比率を前記所定比率として用いて、前記後続センサ値を前記一のデータに追加してもよい。
【0019】
これによれば、情報処理装置は、学習用センサ値における第一値および第二値の構成比率を所定比率として用いることで、記憶部に格納されるセンサ値における第一値および第二値の構成比率を、学習用センサ値における第一値および第二値の構成比率に概ね一致させることができる。これにより、記憶部に格納されるセンサ値が、学習用センサ値の構成比率と異なる構成比率になることが抑制され、適切な検出結果を得ることに寄与する。よって、情報処理装置は、センサによる検出漏れを抑制することができる。
【0020】
また、Mは2であり、Nは1であってもよい。
【0021】
これによれば、情報処理装置は、受信したセンサ値のうちの一部のセンサ値を記憶部に格納するときに、第一値を有するセンサ値を1個おきに記憶部に格納するとともに、第二値を有するセンサ値を1個おきに記憶部に格納することで、容易に、記憶部に格納されるセンサ値における第一値および第二値の構成比率を、センサが検出したセンサ値における第一値および第二値の構成比率に概ね一致させることができる。よって、情報処理装置は、より容易に、センサによる検出漏れを抑制することができる。
【0022】
また、本発明の一態様に係る情報処理方法は、情報処理装置が実行する情報処理方法であって、前記情報処理装置は、第一値および第二値のいずれかを有するセンサ値を複数格納可能である記憶部を備え、前記情報処理方法は、センサが出力する前記センサ値を複数受信し、受信した複数の前記センサ値のうち前記第一値を有する複数の第一センサ値を取得し、前記複数の第一センサ値のうち受信時刻の順でM個(Mは2以上の整数)ごとにN個(Nは、Mより小さい1以上の整数)の第一センサ値を前記記憶部に格納し、受信した複数の前記センサ値のうち前記第二値を有する複数の第二センサ値を取得し、前記複数の第二センサ値のうち受信時刻の順でM個ごとにN個の第二センサ値を前記記憶部に格納し、前記記憶部に格納されている複数の前記センサ値を出力し、記第一センサ値および前記第二センサ値を前記記憶部に格納する際には、予め定められた時間長を有する対象期間に前記受信部が受信した複数の前記センサ値に含まれる前記第一センサ値および前記第二センサ値を、まとめて一のデータとして前記記憶部に格納する情報処理方法である。
【0023】
これによれば、上記情報処理装置と同様の効果を奏する。
【0024】
また、本発明の一態様に係るプログラムは、上記情報処理方法をコンピュータに実行させるプログラムである。
【0025】
これによれば、上記情報処理装置と同様の効果を奏する。
【0026】
なお、本発明は、装置として実現できるだけでなく、その装置を構成する処理手段をステップとする方法として実現したり、それらステップをコンピュータに実行させるプログラムとして実現したり、そのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体として実現したり、そのプログラムを示す情報、データ又は信号として実現したりすることもできる。そして、それらプログラム、情報、データ及び信号は、インターネット等の通信ネットワークを介して配信してもよい。
【発明の効果】
【0027】
本発明により、情報処理装置は、センサによる検出漏れを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1図1は、実施の形態に係る情報処理装置の構成を示す模式図である。
図2図2は、実施の形態に係るセンサ値とデータとの流れを示す説明図である。
図3図3は、実施の形態に係る情報処理装置の処理のフェーズを示すフロー図である。
図4図4は、実施の形態に係る学習フェーズに含まれる処理の流れを示すフロー図である。
図5図5は、実施の形態に係る受信フェーズに含まれる処理の流れを示すフロー図である。
図6図6は、実施の形態に係る調整フェーズに含まれる処理の流れを示すフロー図である。
図7図7は、実施の形態に係るセンサ値の処理の第一の具体例を示す説明図である。
図8図8は、実施の形態に係るセンサ値の処理の第二の具体例を示す説明図である。
図9図9は、実施の形態に係るセンサ値の処理の第三の具体例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0030】
以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序等は、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、より好ましい形態を構成する任意の構成要素として説明される。なお、同一の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。
【0031】
(実施の形態)
本実施の形態において、センサによる検出漏れを抑制する情報処理装置等について説明する。
【0032】
図1は、本実施の形態に係る情報処理装置10の構成を示す模式図である。図2は、本実施の形態に係るセンサ値とデータとの流れを示す説明図である。図1および図2を参照しながら、情報処理装置10の構成と、センサ値およびデータの流れとについて説明する。
【0033】
図1に示されるように、情報処理装置10は、受信部11と、格納部12と、バッファ部13と、記憶部14と、出力部15とを備える。情報処理装置10は、センサ5と通信可能に接続されており、センサ5からセンサ値を受信する。情報処理装置10とセンサ5との通信は、有線通信であってもよいし、無線通信であってもよい。
【0034】
センサ5は、所定の物理量を検出し、検出した物理量を反映したセンサ値を生成して送信する。センサ5は、所定の物理量の検出を繰り返し実行し、検出のたびにセンサ値31、32および33(センサ値31等ともいう、図2参照)を生成する。また、センサ5は、生成したセンサ値31等を順次に情報処理装置10に送信する。
【0035】
センサ5が検出を行うタイミングは、予め定められた固定の時間間隔(例えば0.1秒~数秒程度)ごとのタイミングであってもよいし、何らかのイベントが発生したタイミング、または、何らかの条件が満たされたタイミングであってもよい。
【0036】
センサ5が生成するセンサ値は、2値(第一値および第二値ともいう)のいずれかを有する。第一値および第二値の表現の態様(言い換えれば、具体的な値の表現)はどのようなものであってもよく、オン値およびオフ値と表現する場合を例として説明する。第一値および第二値の表現の別の態様として、0および1としてもよい。
【0037】
センサ5は、例えば、無線通信装置が出力する電波の受信信号強度(RSSI(Received Signal Strength Indicator))を検出するセンサである。受信信号強度は、一般に連続値を有する。この場合、センサ5は、無線通信装置が出力する電波を、通信に必要な品質で受信することができるか否かを示すセンサ値を出力する。より具体的には、センサ5は、無線通信装置が出力する電波を受信し、その受信した電波の受信信号強度が閾値より大きい場合に第一値を有するセンサ値を出力し、その受信した電波の受信信号強度が閾値以下である場合に第二値を有するセンサ値を出力する。
【0038】
なお、センサ5が検出する物理量は、上記のほか、温度または湿度等であってもよい。
【0039】
受信部11は、センサ5と通信可能に接続される通信インタフェースである。受信部11は、センサ5が出力するセンサ値31等を順次に受信する。
【0040】
格納部12は、受信部11がセンサ5から受信したセンサ値を記憶部14に格納する。格納部12は、情報処理装置10が備えるプロセッサ(例えばCPU(Central Processing Unit))(不図示)が所定のプログラムを実行することで実現され得る。
【0041】
具体的には、格納部12は、受信部11がセンサ5から受信したセンサ値31等を順次に取得し、取得したセンサ値31等を、取得するたびに順次にバッファ部13に格納する。
【0042】
そして、格納部12は、受信部11が受信した複数のセンサ値のうち第一値を有する複数の第一センサ値を取得し、複数の第一センサ値のうち受信時刻の順でM個ごとにN個の第一センサ値をバッファ部13に存置する。格納部12は、複数の第一センサ値のうちバッファ部13に存置する第一センサ値を除く第一センサ値を破棄する。また、格納部12は、受信部11が受信した複数のセンサ値のうち第二値を有する複数の第二センサ値を取得し、複数の第二センサ値のうち受信時刻の順でM個ごとにN個の第二センサ値をバッファ部13に存置する。格納部12は、複数の第二センサ値のうちバッファ部13に存置する第二センサ値を除く第二センサ値を破棄する。ここで、Mは2以上の整数であり、NはMより小さい1以上の整数である。
【0043】
例えば、Mは2であり、Nは1である。この場合、格納部12は、第一センサ値のうち受信時刻の順で2個に1個の第一センサ値、つまり、受信時刻の順で1個おきの第一センサ値をバッファ部13に存置する。格納部12は、バッファ部13に存置する第一センサ値を除く第一センサ値を破棄する。また、格納部12は、第二センサ値のうち受信時刻の順で2個に1個の第二センサ値、つまり、受信時刻の順で1個おきの第二センサ値をバッファ部13に存置する。格納部12は、バッファ部13に存置する第二センサ値を除く第二センサ値を破棄する。
【0044】
なお、MおよびNは、上記の値に限られず、例えば、Mが3であり、Nが1であってもよい。この場合、格納部12は、第一センサ値のうち受信時刻の順で3個に1個の第一センサ値、つまり、3個ごとの第一センサ値のうちの1個をバッファ部13に存置し、残りの2個の第一センサ値を破棄する。また、格納部12は、第二センサ値のうち受信時刻の順で3個ごとの第二センサ値のうちの1個をバッファ部13に存置し、残りの2個の第二センサ値を破棄する。MおよびNが他の値をとるときにも同様の説明が成立する。
【0045】
図2には、複数のセンサ値31等のうちの一部として、センサ値31および32がバッファ部13に格納される場合が示されている。
【0046】
その後、格納部12は、予め定められた時間長を有する期間(対象期間ともいう)に受信部11が受信した複数のセンサ値31等に含まれていた第一センサ値および第二センサ値であって、バッファ部13に格納されている第一センサ値および第二センサ値を、まとめて一のデータ35として記憶部14に格納する。このように、一旦バッファ部13に格納した後、所定数をまとめて記憶部14に格納することにより、記憶部14へのアクセス頻度を減らして処理速度を速くすることができる。
【0047】
ここで、格納部12は、第一センサ値および第二センサ値をデータ35として記憶部14に格納する際には、データ35に含まれるセンサ値の個数が、予め設定された所定数より少ない場合には、対象期間の後に受信部11が受信したセンサ値(後続センサ値ともいう)をデータ35に追加する。
【0048】
所定数は、記憶部14への単位時間当たりのセンサ値の書き込み可能個数に、対象期間の時間長(言い換えれば、受信部11がセンサ値を受信していた時間の時間長)を乗じた数値であり得る。例えば、単位時間を1秒とし、記憶部14への単位時間当たりのセンサ値の書き込み個数が10個である場合、対象期間が0.5秒間であるとき、所定数は5である。なお、所定数として、上記数値より小さい数値を用いることもできる。所定数は、格納部12により算出され得る。
【0049】
格納部12は、対象期間の後に受信部11が受信したセンサ値をデータ35に追加する際には、対象期間の後に受信部11が受信した1以上の後続センサ値のうち、当該後続センサ値をデータ35に追加した場合に、データ35に含まれることになる第一センサ値および第二センサ値の構成比率が所定比率に近づく後続センサ値を、データ35に追加することができる。格納部12は、上記所定比率として、学習フェーズ(後述)で受信した複数のセンサ値(学習用センサ値ともいう)の構成比率を用いることができる。構成比率は、第一センサ値と第二センサ値との比率である。
【0050】
バッファ部13は、受信部11がセンサ5から受信した複数のセンサ値31等が一時的に格納される記憶領域である。バッファ部13は、比較的高速に情報が記録される記憶装置(例えばRAM(Random Access Memory))上に設けられた記憶領域である。言い換えれば、バッファ部13に情報が記録される速度は、記憶部14に情報が記録される速度より速い。
【0051】
バッファ部13には、受信部11がセンサ5から受信した複数のセンサ値31等が格納部12によって格納される。その後、バッファ部13に格納された複数のセンサ値31等のうちの一部が存置され、残部が破棄された後に、読み出される。
【0052】
記憶部14は、受信部11がセンサ5から受信した複数のセンサ値31等のうち調整フェーズ(後述)を経て所定の一部分がデータ35として格納される記憶領域である。記憶部14は、記憶装置(例えばHDD(Hard Disk Drive))上に設けられた記憶領域である。言い換えれば、記憶部14に情報が記録される速度は、バッファ部13に情報が記録される速度より遅い。記憶部14には、受信部11がセンサ5から受信した複数のセンサ値31等を含むデータ35が格納部12によって格納され、その後、読み出される。
【0053】
例えば、記憶部14には、センサ値31等を含むデータ35が格納部12によって格納される。記憶部14には、データ35と同様に生成された、別のセンサ値を含むデータ35Aおよび35Bが格納されていてもよい。
【0054】
出力部15は、格納部12によって記憶部14に格納されたデータ35(つまり、複数のセンサ値31等)を出力する。出力部15は、例えば、データ35を、他の装置に通信回線を通じて送信することで出力してもよい。また、出力部15は、例えば、データ35を表示画面(不図示)によって表示することによって出力してもよいし、データ35をスピーカ(不図示)により音声出力することによって出力してもよい。
【0055】
以降において、情報処理装置10の処理について説明する。
【0056】
図3は、本実施の形態に係る情報処理装置10の処理のフェーズを示すフロー図である。
【0057】
図3に示されるように、情報処理装置10は、学習フェーズの処理を実行し(ステップS1)、その後、受信フェーズ(ステップS2)および調整フェーズ(ステップS3)の処理を繰り返し実行する。
【0058】
学習フェーズは、情報処理装置10が、受信フェーズを実行する前に、受信フェーズで取得されると予期されるセンサ値のオン値とオフ値との構成比率(単に構成比率ともいう)と、単位時間当たりの記憶部14へのセンサ値の書き込み可能個数とを取得する処理フェーズである。
【0059】
受信フェーズは、情報処理装置10が、センサ5が物理量を検出して生成したセンサ値を受信する処理フェーズである。
【0060】
調整フェーズは、情報処理装置10が、受信フェーズで受信したセンサ値に応じて記憶部14に記憶するセンサ値の個数を調整したうえで、センサ値を記憶部14に記憶する処理フェーズである。
【0061】
なお、受信フェーズまたは調整フェーズの処理を実行中に、当該処理の実行を中止して学習フェーズの処理を実行することもあり得る。
【0062】
以降において、各処理フェーズに含まれる処理を説明する。
【0063】
図4は、本実施の形態に係る学習フェーズ(図3のステップS1)に含まれる処理の流れを示すフロー図である。
【0064】
ステップS101において、受信部11は、センサ5が出力するセンサ値を受信する。ここで受信するセンサ値を学習用センサ値ともいう。本ステップにおいて、受信部11は、予め定められた時間長(例えば10秒等)を有する期間(学習用期間ともいう)、センサ5が出力するセンサ値を受信する。
【0065】
ステップS102において、格納部12は、単位時間当たりの学習用センサ値の受信個数を算出する。格納部12は、学習用期間において受信した学習用センサ値の受信個数を、学習用期間の時間長で除することで、単位時間当たりの学習用センサ値の受信個数を算出する。
【0066】
ステップS103において、格納部12は、単位時間当たりの記憶部14へのセンサ値の書き込み個数を取得する。格納部12は、ステップS101で受信した学習用センサ値を実際に記憶部14に格納することで、単位時間当たりの記憶部14へのセンサ値の書き込み個数を取得してもよいし、情報処理装置10の仕様(例えば、記憶部14のハードウェア仕様、または、情報処理装置10の内部バスの仕様)に基づいて単位時間当たりの記憶部14へのセンサ値の書き込み個数を取得してもよい。
【0067】
ステップS104において、格納部12は、学習用センサ値のオン値とオフ値との構成比率(所定比率に相当)を算出する。所定比率は、学習用期間において受信した学習用センサ値に含まれるオン値とオフ値との構成比率である。ここでは、下記(式1)のように、オン値の個数に対するオフ値の個数の比率を構成比率と定義する。
【0068】
構成比率 = オフ値の個数 / オン値の個数 (式1)
【0069】
なお、構成比率として、オフ値の個数に対するオン値の個数の比率、または、全数(つまり、オン値の個数とオフ値の個数との和)に対するオン値またはオフ値の個数の比率を用いてもよい。また、「オン値の個数:オフ値の個数」または「オフ値の個数:オン値の個数」というように比の形で表現してもよい。
【0070】
なお、この学習フェーズで得られた所定比率を用いて、後述する受信フェーズの際、バッファ部13内にキャッシュするオン値の個数およびオフ値の個数に上限を設けることが望ましい。ここでは、下記(式2)および(式3)のように、所定比率に基づいて、オン値の個数およびオフ値の個数の上限を算出する。このように、バッファ部13内のオン値の個数およびオフ値の個数の上限をそれぞれ考慮することで、対象期間が経過し受信フェーズ終了の際に、バッファ部13内に所定数よりも多い数のセンサ値が保存されることはなくなる。つまり、所定数より多くなることでセンサ値を破棄する必要がなくなる。
【0071】
オン値の個数の上限 = 所定数 / {1+(所定比率)} (式2)
【0072】
オフ値の個数の上限 = 所定数 / {1+1/(所定比率)} (式3)
【0073】
図4に示される一連の処理により、情報処理装置10は、受信フェーズで取得されると予期されるセンサ値の構成比率と、単位時間当たりの記憶部14へのセンサ値の書き込み個数とを取得する。
【0074】
図5は、本実施の形態に係る受信フェーズ(図3のステップS2)に含まれる処理の流れを示すフロー図である。
【0075】
ステップS201において、情報処理装置10は、対象期間を開始する処理をする。対象期間は、検出対象である現象を検出する期間である。具体的には、受信部11は、当該対象期間内の経過時間の計測を開始する。
【0076】
ステップS202において、受信部11は、センサ5が出力するセンサ値を1個受信し、受信したセンサ値をバッファ部13に格納する。
【0077】
ステップS203において、格納部12は、ステップS202で受信部11が受信したセンサ値がオン値であるか否かを判定する。オン値であると判定した場合(ステップS203でYes)には、ステップS204に進み、そうでない場合(ステップS203でNo)には、ステップS211に進む。
【0078】
ステップS204において、格納部12は、ステップS202で受信部11が受信したセンサ値が、対象期間中の奇数番目のオン値であるか否かを判定し、かつ、バッファ部13のオン値の個数が(式2)で定まるオン値の個数の上限未満であるか否か(つまり、所定比率に基づく上限を考慮し受信したセンサ値を存置してもよいか否か)を判定する。受信したセンサ値が対象期間中の奇数番目のオン値であると判定し、かつ、バッファ部13のオン値の個数がオン値の個数の上限未満であると判定した場合(ステップS204でYes)には、ステップS205に進み、そうでない場合(ステップS204でNo)には、ステップS206に進む。なお、受信したセンサ値が奇数番目であるか否かによって存置するか破棄するかを決めたのは、Mを2とし、Nを1とするポリシー例(前述)に基づく。
【0079】
ステップS205において、格納部12は、ステップS202で受信部11が受信したセンサ値を、バッファ部13に存置する。
【0080】
ステップS206において、格納部12は、ステップS202で受信部11が受信したセンサ値をバッファ部13から破棄し、ステップS207に進む。
【0081】
ステップS207において、格納部12は、対象期間が終了したか否かを判定する。具体的には、格納部12は、ステップS201で対象期間内の経過時間の計測を開始してから、対象期間の時間長として定められた時間が経過したか否かを判定する。対象期間が終了したと判定した場合(ステップS207でYes)には、図5に示される一連の処理を終了し、そうでない場合(ステップS207でNo)には、対象期間が終了するまで一連の処理を繰り返すべく、ステップS202に進む。
【0082】
一方、S203で受信したセンサ値がオン値でない(オフ値である)場合、ステップS211において、格納部12は、ステップS202で受信部11が受信したセンサ値が、対象期間中の奇数番目のオフ値であるか否かを判定し、かつ、バッファ部13のオフ値の個数が(式3)で定まるオフ値の個数の上限未満であるか否か(つまり、所定比率に基づく上限を考慮し受信したセンサ値を存置してもよいか否か)を判定する。受信したセンサ値が対象期間中の奇数番目のオフ値であると判定し、かつ、バッファ部13のオフ値の個数がオフ値の個数の上限未満であると判定した場合(ステップS211でYes)には、ステップS212に進み、そうでない場合(ステップS211でNo)には、ステップS213に進む。
【0083】
ステップS212において、格納部12は、ステップS202で受信部11が受信したセンサ値を、バッファ部13に存置し、ステップS207に進む。
【0084】
ステップS213において、格納部12は、ステップS202で受信部11が受信したセンサ値をバッファ部13から破棄し、ステップS207に進む。
【0085】
図5に示される一連の処理により、情報処理装置10は、センサ5が物理量を検出して生成したセンサ値を受信する。
【0086】
図6は、本実施の形態に係る調整フェーズ(図3のステップS3)に含まれる処理の流れを示すフロー図である。
【0087】
ステップS301において、格納部12は、バッファ部13に格納されているセンサ値の個数が所定数より少ないか、または、等しいかを判定する。センサ値の個数が所定数より少ないと判定した場合(ステップS301で「少ない」)には、ステップS302に進み、センサ値の個数が所定数と等しいと判定した場合(ステップS301で「等しい」)には、ステップS321に進む。
【0088】
なお、上述したように、受信フェーズでオン値およびオフ値の上限を考慮して受信したことにより、センサ値の個数が所定数より多くなる場合はない。また、調整フェーズにおいては、受信フェーズで用いた所定比率に基づくオン値およびオフ値の上限は考慮しない。
【0089】
ステップS302において、受信部11は、センサ5が出力するセンサ値を1個受信する。受信するセンサ値は、後続センサ値に相当する。
【0090】
ステップS303において、格納部12は、ステップS302で受信した後続センサ値をバッファ部13に格納すると、格納した後続センサ値がオン値であるかオフ値であるかを判定したうえで、そのセンサ値をバッファ部13に追加すれば、バッファ部13におけるセンサ値の構成比率が、学習フェーズで算出した所定比率に近づくか否かを判定する。バッファ部13に含まれることになるセンサ値の構成比率が所定比率に近づくと判定した場合(ステップS303でYes)には、ステップS304に進み、そうでない場合(ステップS303でNo)には、ステップS305に進む。
【0091】
ステップS304において、格納部12は、ステップS302で受信したセンサ値をバッファ部13に格納する。
【0092】
ステップS305において、格納部12は、ステップS302で受信したセンサ値を破棄する。
【0093】
ステップS304またはS305を実行したら、格納部12は、再び、ステップS301を実行する。
【0094】
なお、ステップS302およびS303を複数回実行しても、受信したセンサ値をバッファ部13に格納した場合にバッファ部13に含まれることになるセンサ値の構成比率が所定比率に近づくと判定されない場合には、図6に示される一連の処理を中止し、学習フェーズ(図3のステップS1)を実行するようにしてもよい。ステップS302およびS303を複数回実行してもセンサ値の構成比率が所定比率に近づくと判定されないときには、現時点のセンサ値の構成比率が、学習フェーズを実行したときのセンサ値の構成比率から変化してしまった等の要因により、構成比率が所定比率に近づくことが予期されないと判断されるからである。上記のように学習フェーズを実行するまでのステップS302およびS303の実行回数は、例えば、所定数の2分の1~3分の1程度とすることができる。
【0095】
ステップS301でバッファ部13に格納されているセンサ値の個数が所定数に等しい場合、ステップS321において、格納部12は、バッファ部13に格納されている複数(所定数)のセンサ値を読み出し、まとめてデータ35として記憶部14に格納する。
【0096】
図6に示される一連の処理により、情報処理装置10は、受信フェーズで受信したセンサ値に応じて記憶部14に記憶するセンサ値の個数を調整したうえで、センサ値を記憶部14に記憶する。
【0097】
以降において、センサ5が取得したセンサ値の具体例を用いて、バッファ部13および記憶部14に格納されるセンサ値およびデータについて説明する。
【0098】
図7は、本実施の形態に係るセンサ値の処理の第一の具体例を示す説明図である。
【0099】
図7には、受信部11が対象期間に9個のセンサ値41、42、43、44、45、46、47、48および49(それぞれ、オン値、オン値、オフ値、オフ値、オン値、オン値、オン値、オフ値およびオフ値を有する)を順次にセンサ5から受信する場合が示されている。また、所定数は5であるとする。所定数が5であるのは、例えば、記憶部14へのセンサ値の書き込み個数が1秒あたり10個であり、対象期間が0.5秒間である場合に相当する。所定比率は、3/2(つまり、1.5)であるとする。したがって、オン値の個数の上限が2であり、オフ値の個数の上限が3である。
【0100】
格納部12は、上記9個のセンサ値41~49を受信し、受信した9個のセンサ値41~49をバッファ部13に格納する。そして、格納部12は、奇数番目のオン値および奇数番目のオフ値をバッファ部13に存置し、それ以外のオン値およびオフ値を破棄する。
【0101】
また、センサ値47は3個目のオン値であり、オン値の個数の上限を超えているので、格納部12は3個目のオン値を破棄する。具体的には、格納部12は、センサ値41(1番目のオン値)、センサ値43(1番目のオフ値)、センサ値45(3番目のオン値)およびセンサ値48(3番目のオフ値)をバッファ部13に存置し、センサ値42(2番目のオン値)、センサ値44(2番目のオフ値)、センサ値46(4番目のオン値)およびセンサ値49(4番目のオフ値)を破棄する。なお、センサ値42等の破棄は、図7においてバツ印「×」で示されている。以降の図でも同様である。したがって対象期間が終了した時点T1において、バッファ部13には、4個のセンサ値41、43、45、および48が格納されている。この個数4は、所定数より1個足りない状態である。そこで、受信部11はセンサ5からセンサ値50を受信する(図6のステップS302)。センサ値50はオフ値を有する。この場合センサ値の構成比率は2/2(=1)から3/2(=1.5)となり所定比率1.5に近づくと判定し、(図6のステップS303でYes)、センサ値50をバッファ部13に格納する(図6のステップS304)。
【0102】
その後、時点T2において、格納部12は、バッファ部13に格納されている5つのセンサ値41、43、45、48および50をデータ35として記憶部14に格納する(図6のステップS321)。
【0103】
図8は、本実施の形態に係るセンサ値の処理の第二の具体例を示す説明図である。
【0104】
図8には、受信部11が対象期間に8個のセンサ値51、52、53、54、55、56、57および58(それぞれ、オン値、オン値、オフ値、オフ値、オフ値、オフ値およびオフ値、オフ値を有する)を順次にセンサ5から受信する場合が示されている。また、所定数は5であり、所定比率は、3/2(つまり、1.5)であるとすると、オン値の個数の上限が2であり、オフ値の個数の上限が3である。
【0105】
格納部12は、受信部11が受信した8個のセンサ値51~58をバッファ部13に格納する。そして、格納部12は、奇数番目のオン値および奇数番目のオフ値をバッファ部13に存置し、それ以外のオン値およびオフ値を破棄する。
【0106】
具体的には、格納部12は、センサ値51(1番目のオン値)、センサ値53(1番目のオフ値)、センサ値55(3番目のオフ値)、および、センサ値57(5番目のオフ値)をバッファ部13に存置し、センサ値52(2番目のオン値)、センサ値54(2番目のオフ値)、センサ値56(4番目のオフ値)、および、センサ値58(6番目のオフ値)を破棄する。
【0107】
対象期間を終了した時点T3において、バッファ部13には、4個のセンサ値51、53、55および57が格納されている。なお、この例ではオン値の個数が1であるのに対して、オフ値の個数は3であり、オフ値の個数の上限を超えてはいない。
【0108】
格納部12は、時点T3において、バッファ部13に格納されているセンサ値の個数である4が所定数である5より少ないと判定する(図6のステップS301で「少ない」)。
【0109】
そこで、受信部11はセンサ5からセンサ値59を受信する(図6のステップS302)。センサ値59はオン値を有する。センサ値59がオン値であるので、格納部12は、センサ値59をバッファ部13に格納した場合に、バッファ部13に格納されているセンサ値の構成比率が3/1(=3)から3/2(=1.5)になり、所定比率1.5に近づくと判定し(図6のステップS303でYes)、センサ値59をバッファ部13に格納する(図6のステップS304)。
【0110】
その後、時点T4において、格納部12は、バッファ部13に格納されている5つのセンサ値51、53、55、57および59をデータ35として記憶部14に格納する(図6のステップS321)。
【0111】
このように、情報処理装置10は、対象期間が経過した時点でバッファ部13に格納されているセンサ値が所定数に満たない場合には、バッファ部13に格納されているセンサ値の構成比率を所定比率に近づける後続センサ値を加えてデータ35を生成して記憶部14に格納する。
【0112】
図9は、本実施の形態に係るセンサ値の処理の第三の具体例を示す説明図である。
【0113】
図9には、図8と同様に、受信部11が対象期間に8個のセンサ値51、52、53、54、55、56、57および58(それぞれ、オン値、オン値、オフ値、オフ値、オフ値、オフ値およびオフ値、オフ値を有する)を順次にセンサ5から受信する場合が示されている。また、所定数は5であり、所定比率は、3/2(つまり、1.5)であるとする。したがって、オン値の個数の上限は2であり、オフ値の個数の上限は3である。
【0114】
格納部12は、図8と同様に、8個のセンサ値51~58をバッファ部13に格納する。図8における場合と同様に、対象期間を終了した時点T3において、バッファ部13には、4個のセンサ値51、53、55および57(オン値が1個、オフ値が3個)が格納されている。
【0115】
格納部12は、時点T3において、バッファ部13に格納されているセンサ値の個数である4が所定数である5より少ないと判定する(図6のステップS301で「少ない」)。なお、この場合もオン値およびオフ値ともに上限を超えてはいない。
【0116】
そこで、受信部11はセンサ5からセンサ値5Aを受信する(図6のステップS302)。センサ値5Aはオフ値を有する。センサ値59がオフ値であるので、格納部12は、センサ値5Aをバッファ部13に格納した場合に、バッファ部13に格納されているセンサ値の構成比率が所定比率に近づかない(つまり所定比率から遠ざかる)と判定し(図6のステップS303でNo)、センサ値5Aを破棄する(図6のステップS305)。
【0117】
その後、受信部11はセンサ5からセンサ値5B、5C、5D、5Eおよび5Fを順次に受信する(図6のステップS302)。センサ値5B、5C、5D、5Eおよび5Fはオフ値を有する。格納部12は、センサ値5Aの場合と同様にセンサ値5B、5C、5D、5Eおよび5Fを破棄する(図6のステップS305)。
【0118】
次に、受信部11はセンサ5からセンサ値5Gを受信する(図6のステップS302)。センサ値5Gはオン値を有する。センサ値5Gがオン値であるので、格納部12は、センサ値5Gをバッファ部13に格納した場合に、バッファ部13に格納されているセンサ値の構成比率が所定比率に近づくと判定し(図6のステップS303でYes)、センサ値5Gをバッファ部13に格納する(図6のステップS304)。
【0119】
その後、時点T5において、格納部12は、バッファ部13に格納されている5つのセンサ値51、53、55、57および5Gをデータ35として記憶部14に格納する。
【0120】
このように、情報処理装置10は、対象期間が経過した時点でバッファ部13に格納されているセンサ値が所定数に満たない場合には、バッファ部13に格納されているセンサ値の構成比率を所定比率に近づける後続センサ値を加えてデータ35を生成して記憶部14に格納する。
【0121】
以上のように、本実施の形態の情報処理装置は、受信したセンサ値のうちの一部のセンサ値を記憶部に格納するときに、第一値を有するセンサ値をM個につきN個の割合で記憶部に格納するとともに、第二値を有するセンサ値をM個につきN個の割合で記憶部に格納するので、記憶部に格納されるセンサ値における第一値および第二値の構成比率を、センサが検出したセンサ値における第一値および第二値の構成比率に概ね一致させることができる。これにより、記憶部に格納されるセンサ値の構成比率が、センサが検出したセンサ値の構成比率と異なることが抑制され、適切な検出結果を得ることに寄与する。また、情報処理装置は、複数のセンサ値をまとめてデータとして記憶部に格納するので、センサ値を個別に記憶部に格納する場合よりも、格納に要する時間を短くすることができる。言い換えれば、情報処理装置は、格納に要する時間を短くすることで、与えられた時間内により多くのセンサ値を記憶部に格納することができる。よって、情報処理装置は、センサによる検出漏れを抑制することができる。
【0122】
また、情報処理装置は、第一センサ値の個数上限および第二センサ値の個数上限を超えるセンサ値を廃棄するので、適切な個数の第一センサ値および第二センサ値を記憶部に格納することに、より容易に寄与する。よって、情報処理装置は、より多くのセンサ値を記憶部に格納しながら、センサによる検出漏れを抑制することができる。
【0123】
また、情報処理装置は、まとめて一のデータとして記憶部に格納するセンサ値の個数を、予め設定された所定数に近い個数にすることができる。これにより、一のデータに含まれるセンサ値の個数がほぼ均一になり、センサ値の取り扱いをより容易にすることができ、検出漏れの抑制により一層寄与する。よって、情報処理装置は、センサによる検出漏れをより一層抑制することができる。
【0124】
また、情報処理装置は、記憶部にセンサ値を格納する速度を超えない、比較的速い速度でセンサ値をまとめてデータとして記憶部に格納するので、記憶部に格納しようとして失敗することを抑制することができ、その結果、記憶部に格納されないセンサ値が発生することを抑制することができる。よって、情報処理装置は、記憶部にセンサ値を格納する速度を調整することで、センサによる検出漏れを抑制するとともに、より多くのセンサ値を記憶部に格納することができる。
【0125】
また、情報処理装置は、記憶部に格納されるセンサ値における第一値および第二値の構成比率を所定比率に概ね一致させることができる。これにより、記憶部に格納されるセンサ値が、所定比率と異なる構成比率になることが抑制され、適切な検出結果を得ることに寄与する。よって、情報処理装置は、センサによる検出漏れを抑制することができる。
【0126】
また、情報処理装置は、学習用センサ値における第一値および第二値の構成比率を所定比率として用いることで、記憶部に格納されるセンサ値における第一値および第二値の構成比率を、学習用センサ値における第一値および第二値の構成比率に概ね一致させることができる。これにより、記憶部に格納されるセンサ値が、学習用センサ値の構成比率と異なる構成比率になることが抑制され、適切な検出結果を得ることに寄与する。よって、情報処理装置は、センサによる検出漏れを抑制することができる。
【0127】
また、情報処理装置は、受信したセンサ値のうちの一部のセンサ値を記憶部に格納するときに、第一値を有するセンサ値を1個おきに記憶部に格納するとともに、第二値を有するセンサ値を1個おきに記憶部に格納することで、容易に、記憶部に格納されるセンサ値における第一値および第二値の構成比率を、センサが検出したセンサ値における第一値および第二値の構成比率に概ね一致させることができる。よって、情報処理装置は、より容易に、センサによる検出漏れを抑制することができる。
【0128】
なお、本発明は、装置として実現できるだけでなく、その装置を構成する処理手段をステップとする方法として実現したり、それらステップをコンピュータに実行させるプログラムとして実現したり、そのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能なCD-ROM等の記録媒体として実現したり、そのプログラムを示す情報、データ又は信号として実現したりすることもできる。そして、それらプログラム、情報、データ及び信号は、インターネット等の通信ネットワークを介して配信してもよい。
【0129】
以上、本発明の情報処理装置等について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。例えば、上記した実施の形態の説明では、奇数番目のセンサ値のみバッファ部に存置し、偶数番目のセンサ値を破棄、すなわち受信したセンサ値の1/2のみをバッファ部に存置しているが、存置する割合は1/2に限るものではなく、センサ値の受信頻度や情報処理装置の処理能力に応じて、一般的にN/M(Mは2以上の整数、Nは1以上でMより小さい整数)の形態で適宜選択してよい。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0130】
本発明は、センサ値を記憶し、処理する情報処理装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0131】
5 センサ
10 情報処理装置
11 受信部
12 格納部
13 バッファ部
14 記憶部
15 出力部
31、32、33、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、5A、5B、5C、5D、5E、5F、5G センサ値
35、35A、35B データ
T1、T2、T3、T4、T5 時点
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9