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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024065549
(43)【公開日】2024-05-15
(54)【発明の名称】ウインドウ駆動装置
(51)【国際特許分類】
   E05F 15/689 20150101AFI20240508BHJP
   B60J 1/17 20060101ALI20240508BHJP
   E05F 15/77 20150101ALN20240508BHJP
【FI】
E05F15/689
B60J1/17 A
E05F15/77
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022174474
(22)【出願日】2022-10-31
(71)【出願人】
【識別番号】000222934
【氏名又は名称】東洋電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124811
【弁理士】
【氏名又は名称】馬場 資博
(74)【代理人】
【識別番号】100187724
【弁理士】
【氏名又は名称】唐鎌 睦
(72)【発明者】
【氏名】吉田 卓
(72)【発明者】
【氏名】藤田 陽介
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 真弘
【テーマコード(参考)】
2E052
3D127
【Fターム(参考)】
2E052AA09
2E052BA01
2E052BA04
2E052CA06
2E052DA02
2E052DB02
2E052EA14
2E052EB01
2E052GB04
2E052GC06
2E052GD08
2E052KA12
2E052LA06
3D127AA02
3D127BB01
3D127CB05
3D127CC13
3D127DF03
3D127DF34
3D127FF03
3D127FF19
(57)【要約】
【課題】ウインドウの遠隔操作時における安全性のさらなる向上を図ること。
【解決手段】本発明のウインドウ駆動装置は、車両1に装備されたウインドウ10を開閉駆動する駆動装置11と、駆動装置によるウインドウの開閉駆動を制御する制御装置20と、を備え、制御装置20は、車両の内部に位置する操作装置にてウインドウを閉じる第一操作が行われた場合に、ウインドウの全閉位置近辺に位置する閉区間よりも開側に位置する第一区間において一定の第一速度でウインドウを閉じるよう駆動制御すると共に、閉区間において第一速度よりも低い速度でウインドウを閉じるよう駆動制御する第一駆動制御を行い、車両の外部に持ち出し可能な操作装置にてウインドウを閉じる第二操作が行われた場合に、第一区間において第一速度よりも低い速度でウインドウを閉じるよう駆動制御する第二駆動制御を行う。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に装備されたウインドウを開閉駆動する駆動装置と、
前記駆動装置による前記ウインドウの開閉駆動を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記車両の内部に位置する操作装置にて前記ウインドウを閉じる第一操作が行われた場合に、前記ウインドウの全閉位置近辺に位置する閉区間よりも開側に位置する第一区間において一定の第一速度で前記ウインドウを閉じるよう駆動制御すると共に、前記閉区間において前記第一速度よりも低い速度で前記ウインドウを閉じるよう駆動制御する第一駆動制御を行い、
前記車両の外部に持ち出し可能な操作装置にて前記ウインドウを閉じる第二操作が行われた場合に、前記第一区間において前記第一速度よりも低い速度で前記ウインドウを閉じるよう駆動制御する第二駆動制御を行う、
ウインドウ駆動装置。
【請求項2】
請求項1に記載のウインドウ駆動装置であって、
前記制御装置は、前記第二駆動制御を行う際に、前記第一区間において前記第一速度よりも低い一定の速度で前記ウインドウを閉じるよう駆動制御する、
ウインドウ駆動装置。
【請求項3】
請求項1に記載のウインドウ駆動装置であって、
前記制御装置は、前記第二駆動制御を行う際に、前記第一区間及び前記閉区間において前記第一速度よりも低い一定の速度で前記ウインドウを閉じるよう駆動制御する、
ウインドウ駆動装置。
【請求項4】
請求項3に記載のウインドウ駆動装置であって、
前記制御装置は、前記第二駆動制御を行う際に、前記第一駆動制御を行う際における前記閉区間での速度と同一の一定の速度で、前記第一区間及び前記閉区間において前記ウインドウを閉じるよう駆動制御する、
ウインドウ駆動装置。
【請求項5】
請求項3に記載のウインドウ駆動装置であって、
前記制御装置は、前記第一駆動制御を行う際に、前記閉区間において前記第二駆動制御による速度より高速となるように駆動制御する、
ウインドウ駆動装置。
【請求項6】
請求項3に記載のウインドウ駆動装置であって、
前記制御装置は、前記第二駆動制御を行う際に、前記ウインドウの全開位置近辺に位置する開区間を除いた残りの区間である前記第一区間及び前記閉区間において、前記第一速度よりも低い一定の速度でウインドウを閉じるよう駆動制御する、
ウインドウ駆動装置。
【請求項7】
請求項1に記載のウインドウ駆動装置であって、
前記制御装置は、前記車両から検出した前記車両の状態を表す車両状態信号が予め設定された値であり、かつ、前記第二操作が行われた場合に、前記第二駆動制御を行う、
ウインドウ駆動装置。
【請求項8】
請求項7に記載のウインドウ駆動装置であって、
前記制御装置は、前記車両状態信号が前記車両が停止していることを表す値であり、かつ、前記第二操作が行われた場合に、前記第二駆動制御を行う、
ウインドウ駆動装置。
【請求項9】
請求項8に記載のウインドウ駆動装置であって、
前記制御装置は、前記車両状態信号であるシフトレバーの位置、サイドブレーキの状態、車速、のうち、少なくとも1つの値が前記車両が停止していることを表す値であり、かつ、前記第二操作が行われた場合に、前記第二駆動制御を行う、
ウインドウ駆動装置。
【請求項10】
車両に装備されたウインドウの開閉駆動を制御するウインドウ駆動制御方法であって、
前記車両の内部に位置する操作装置にて前記ウインドウを閉じる第一操作が行われた場合に、前記ウインドウの全閉位置近辺に位置する閉区間よりも開側に位置する第一区間において一定の第一速度で前記ウインドウを閉じるよう駆動制御すると共に、前記閉区間において前記第一速度よりも低い速度で前記ウインドウを閉じるよう駆動制御する第一駆動制御を行い、
前記車両の外部に持ち出し可能な操作装置にて前記ウインドウを閉じる第二操作が行われた場合に、前記第一区間において前記第一速度よりも低い速度で前記ウインドウを閉じるよう駆動制御する第二駆動制御を行う、
ウインドウ駆動制御方法。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のウインドウを開閉駆動するウインドウ駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載されたウインドウを開閉駆動するウインドウ駆動装置として、特許文献1に示す装置が開示されている。特許文献1では、操作者がウインドウを遠隔操作する際に、車両の周辺状況を確認できないことがあるため、異物との干渉の発生リスクを抑制する技術が記載されている。具体的に、特許文献1に記載の装置では、まず、車両に搭載の操作スイッチにてウインドウを閉じるよう駆動する場合には、特許文献1の図2(a)に示すように、通常速度として、区間A1では一定の速度V1で駆動し、全閉状態手前の区間A3,A2では、それまでの一定の速度V1よりも低い速度で駆動している。これに対して、操作者がウインドウを遠隔操作する際には、イグニッションスイッチがオフである場合に、特許文献1の図2(c)に示すように、区間A1では上述した一定の速度V1で駆動するものの、上述した全閉状態手前の区間よりもさらに開方向側の区間から、一定の速度V1よりも低い速度で駆動している。つまり、特許文献1では、通常は全閉状態手前の区間で低速とし、遠隔操作する際には、低速とする区間をさらに開方向側に広く設定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6955204号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、遠隔操作時には、操作者がウインドウを十分に確認できない場合もあり、上述した低速区間を広く設定したとしても、挟み込み発生の可能性について改善の余地があった。
【0005】
本発明の目的は、ウインドウの遠隔操作時における安全性のさらなる向上を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一形態であるウインドウ駆動装置は、
車両に装備されたウインドウを開閉駆動する駆動装置と、
前記駆動装置による前記ウインドウの開閉駆動を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
車両の内部に位置する操作装置にて前記ウインドウを閉じる第一操作が行われた場合に、前記ウインドウの全閉位置近辺に位置する閉区間よりも開側に位置する第一区間において一定の第一速度で前記ウインドウを閉じるよう駆動制御すると共に、前記閉区間において前記第一速度よりも低い速度で前記ウインドウを閉じるよう駆動制御する第一駆動制御を行い、
車両の外部に持ち出し可能な操作装置にて前記ウインドウを閉じる第二操作が行われた場合に、前記第一区間において前記第一速度よりも低い速度で前記ウインドウを閉じるよう駆動制御する第二駆動制御を行う、
という構成をとる。
【0007】
本発明の一形態であるウインドウ駆動制御方法は、
車両に装備されたウインドウの開閉駆動を制御するウインドウ駆動制御方法であって、
車両の内部に位置する操作装置にて前記ウインドウを閉じる第一操作が行われた場合に、前記ウインドウの全閉位置近辺に位置する閉区間よりも開側に位置する第一区間において一定の第一速度で前記ウインドウを閉じるよう駆動制御すると共に、前記閉区間において前記第一速度よりも低い速度で前記ウインドウを閉じるよう駆動制御する第一駆動制御を行い、
車両の外部に持ち出し可能な操作装置にて前記ウインドウを閉じる第二操作が行われた場合に、前記第一区間において前記第一速度よりも低い速度で前記ウインドウを閉じるよう駆動制御する第二駆動制御を行う、
という構成をとる。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、以上のように構成されることにより、車両のウインドウの遠隔操作時における安全性のさらなる向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1の実施形態におけるウインドウ駆動装置の構成を示すブロック図である。
図2図1に開示した制御装置の構成を示すブロック図である。
図3図1に開示したウインドウを閉じるときの速度を示す図である。
図4図1に開示したウインドウを閉じるときの速度を示す図である。
図5図1に開示したウインドウを閉じるときの速度を示す図である。
図6図1に開示したウインドウ駆動装置の動作を示すフローチャートである。
図7図1に開示したウインドウ駆動装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<実施形態1>
本発明の第1の実施形態を、図1乃至図7を参照して説明する。図1乃至図2は、ウインドウ駆動装置の構成を説明するための図であり、図3乃至図7は、ウインドウ駆動装置の動作を説明するための図である。
【0011】
[構成]
本発明におけるウインドウ駆動装置は、車両である自動車のウインドウ10を開閉駆動するためのものである。具体的に、ウインドウ駆動装置は、図1に示すように、車両1に装備されたウインドウ10を開閉駆動する駆動装置11と、駆動装置11によるウインドウ10の開閉駆動を制御する制御装置20と、を備える。そして、制御装置20には、ウインドウの開閉操作を行う操作装置として、車両1の内部に設置された車内操作スイッチ31と、車両の外に持ち出し可能な携帯操作スイッチ32と、が接続されている。また、制御装置20には、車両1に搭載された種々の車載装置40が接続されている。以下、各構成について詳述する。
【0012】
ウインドウ10は、車両1である自動車の運転席、助手席、後部座席などに設置されたウインドウである。そして、ウインドウ10は、駆動装置11にて開閉するよう駆動される。駆動装置11は、例えばモーターで構成されており、後述するように制御装置20からの制御指令に従い、ウインドウ10の開閉位置に応じた速度にて開閉駆動することとなる。特に、本実施形態では、図3の矢印に示すように、駆動装置11が、ウインドウ10を全開状態から全閉状態となるよう、つまり、下方から上方に向かって閉じるように駆動する場合を説明する。
【0013】
車内操作スイッチ31は、車両1の内部に設置され、車両1の座席に着座する操作者がウインドウ10の開閉操作を行うための操作装置である。車内操作スイッチ31は、例えば、対応するウインドウ10が設置された座席のドアに設けられたアームレスト上に配置されている。そして、車内操作スイッチ31は、対応するウインドウ10に対する操作者からの操作により開閉指令(第一操作)の入力を受け付けると、かかる開閉指令を制御装置20に通知する。特に、本実施形態では、車内操作スイッチ31に、ウインドウ10を全開状態から全閉状態となるよう閉じる操作が入力される場合を説明する。なお、本実施形態では、後述するように、車内操作スイッチ31に、ウインドウ10を全開状態から自動で全閉状態となるよう閉じる操作であるオート閉操作が入力される場合や、ウインドウ10を全開状態から手動で全閉状態となるよう閉じる操作であるマニュアル閉操作が入力される場合も対象とし、さらには、ウインドウ10を途中まで閉じている半開き状態から全閉状態となるよう閉じる操作が入力される場合も対象とする。
【0014】
携帯操作スイッチ32は、近距離無線通信機能を備えた携帯端末にて構成され、操作者が車両1の外に持ち出すことが可能である。そして、携帯操作スイッチ32は、操作者がウインドウ10の開閉操作を行うためのスイッチが搭載されており、対応するウインドウ10に対する操作者からの操作により開閉指令(第二操作)の入力を受け付けると、かかる開閉指令を制御装置20に近距離無線通信にて出力する。つまり、携帯操作スイッチ32は、車両1の外部の位置からウインドウ10の開閉指令を制御装置20に出力することができる。特に、本実施形態では、携帯操作スイッチ32に、ウインドウ10を全開状態から全閉状態となるよう閉じる操作が入力される場合を説明する。なお、本実施形態では、後述するように、携帯操作スイッチ32に、ウインドウ10を全開状態から自動で全閉状態となるよう閉じる操作であるオート閉操作が入力される場合や、ウインドウ10を全開状態から手動で全閉状態となるよう閉じる操作であるマニュアル閉操作が入力される場合も対象とし、さらには、ウインドウ10を途中まで閉じている半開き状態から全閉状態となるよう閉じる操作が入力される場合も対象とする。なお、携帯操作スイッチ32は、例えば、ドアロックの施錠開錠を遠隔で行うスマートキーまたはスマートフォンなどの携帯機器がある。
【0015】
車載装置40は、車両1に搭載され、車両1の状態を検出することができる装置である。例えば、車載装置40は、車速センサ、シフトレバー、サイドブレーキであり、それぞれ車速、シフトレバーの位置、サイドブレーキの状態、といった車両1の状態を表す車両状態信号を取得して、制御装置20に通知する。なお、上述した車載装置40は一例であって、車両1の状態を検出することができる装置であればいかなる装置であってもよい。
【0016】
制御装置20は、演算装置及び記憶装置を備えた情報処理装置で構成されている。そして、制御装置20は、図2に示すように、ウインドウ操作指令取得部21、ウインドウ駆動制御部22、車両状態信号取得部23、を備える。ウインドウ操作指令取得部21、ウインドウ駆動制御部22、車両状態信号取得部23の各機能は、演算装置が記憶装置に記憶されたプログラムを実行することで実現される。また、制御装置20は、図2に示すように、ウインドウ制御情報記憶部24を備える。ウインドウ制御情報記憶部24は、記憶装置にて構成される。以下、各構成について詳述する。
【0017】
ウインドウ制御情報記憶部24は、ウインドウ10を開閉する際における制御内容を表すウインドウ制御情報を記憶する。特に、本実施形態では、ウインドウ10を閉じる際におけるウインドウ10の開閉位置に対する駆動速度を指定するウインドウ制御情報を記憶する。ここで、図3乃至図5に、ウインドウ制御情報記憶部24に記憶されるウインドウ制御情報の一例を示す。
【0018】
図3の上図は、ウインドウ10の開閉位置の範囲、つまり、ウインドウ10の上端が位置する区間を示す図である。この図に示すように、ウインドウ10の開閉位置として、全開位置近辺つまり全開状態の位置から所定の距離だけ閉じた位置までの開区間R1と、全閉位置近辺つまり全閉状態の位置から全閉となる前の所定の距離だけ開いた位置までの閉区間R3と、それ以外の位置である中間区間R2(第一区間)と、が設定されている。つまり、中間区間R2は、閉区間R3よりもウインドウ10が開く側に位置しており、開区間R1と閉区間R3との間に位置している。なお、中間区間R2は、開区間R1及び閉区間R3の何れよりも広い区間であることとする。
【0019】
そして、ウインドウ制御情報は、図3の下図及び図4,5に示すように、ウインドウ10の開閉位置を表す区間R1,R2,R3毎における速度を指定する情報が含まれる。このうち、図3の下図は、上述した車内操作スイッチ31からウインドウ10を閉じる操作指令(第一操作)を受けた場合に適用される第一ウインドウ制御情報である。つまり、第一ウインドウ制御情報は、車両1に乗車している操作者が車両1の内部からウインドウ10を閉じる操作指令を入力した際に適用される、車内操作用のウインドウ駆動速度が設定されている。具体的に、第一ウインドウ制御情報は、図3の下図に示すように、全開状態から閉じ始めの開区間R1では、停止状態から閉じる速度が徐々に早くなり第一速度V1まで達するよう設定され、中間区間R2では、一定の第一速度V1で閉じるよう設定されている。そして、第一ウインドウ制御情報は、全閉状態となる閉区間R3では、全閉状態の位置に向かうにつれて第一速度V1から徐々に速度が低下して第一速度V1よりも低速な第二速度V2となり、その後は一定の第二速度V2で全閉状態となるよう設定されている。
【0020】
次に、図4及び図5に示すウインドウ制御情報について説明する。図4及び図5に示す各ウインドウ制御情報は、上述した携帯操作スイッチ32からウインドウ10を閉じる操作指令(第二操作)を受けた場合に適用される第二ウインドウ制御情報である。つまり、第二ウインドウ制御情報は、車両1に乗車していない操作者が車両1の外部からウインドウ10を閉じる操作指令を入力した際に適用される、携帯操作用のウインドウ駆動速度が設定されている。なお、図4及び図5の上図、下図にそれぞれ示す第二ウインドウ制御情報は、いずれも異なるパターンの第二ウインドウ制御情報を示している。
【0021】
具体的に、図4の上図に示す第二ウインドウ制御情報の場合には、全開状態から閉じ始めの開区間R1では、停止状態から閉じる速度が徐々に早くなり、上述した第一速度V1よりも低速な第二速度V2まで達するよう設定され、その後の中間区間R2及び閉区間R3では、一定の第二速度V2で閉じるよう設定されており、そのまま全閉状態となる。このように、図4の上図の例における第二ウインドウ制御情報では、中間区間R2及び閉区間R3における速度が、第一ウインドウ制御情報の中間区間R2で設定されている第一速度V1よりも低速であり、閉区間R3で設定されている第二速度V2と同一で、一定に設定されていることとなる。また、図4の下図に示す第二ウインドウ制御情報の場合には、全開状態から閉じ始めの開区間R1では、停止状態から閉じる速度が徐々に早くなり、上述した第二速度V2よりもさらに低速な第三速度V3まで達するよう設定され、その後の中間区間R2及び閉区間R3では、一定の第三速度V3で閉じるよう設定されており、そのまま全閉状態となる。このように、図4の下図の例における第二ウインドウ制御情報では、中間区間R2及び閉区間R3における速度が、第一ウインドウ制御情報の中間区間R2で設定されている第一速度V1及び閉区間R3で設定されている第二速度V2よりもさらに低速な第三速度V3で一定に設定されていることとなる。これにより所定区間におけるモーター制御を単純化することができ、制御設計における難易度を抑えることができる。また、ウインドウの位置を常に監視する必要がなくなるため、コスト低減に寄与出来る。なお、第二ウインドウ制御情報の中間区間R2及び閉区間R3における速度は、第一ウインドウ制御情報の中間区間R2で設定されている第一速度V1よりも低速であればいかなる速度であってもよい。
【0022】
また、図5の上図に示す第二ウインドウ制御情報の場合には、全開状態から閉じ始めの開区間R1では、停止状態から閉じる速度が徐々に早くなり、上述した第一速度V1よりも低速な第二速度V2まで達するよう設定され、その後の中間区間R2では、一定の第二速度V2で閉じるよう設定されている。そして、第二ウインドウ制御情報は、全閉状態となる閉区間R3では、全閉状態の位置に向かうにつれて第二速度V2から徐々に速度が低下して第二速度V2よりも低速な第三速度V3となり、その後は一定の第三速度V3で全閉状態となるよう設定されている。このように、図5の上図の例における第二ウインドウ制御情報では、中間区間R2における速度が、第一ウインドウ制御情報の中間区間R2で設定されている第一速度V1よりも低速な第二速度V2で一定に設定されており、閉区間R3ではさらに低速に設定されている。つまり、第二ウインドウ制御情報における中間区間R2及び閉区間R3の速度は、必ずしも一定でなくてもよい。このとき、第二ウインドウ制御情報における中間区間R2の速度は、第一ウインドウ制御情報の中間区間R2で設定されている第一速度V1よりも低速であればいかなる速度であってもよい。
【0023】
また、図5の下図に示す第二ウインドウ制御情報の場合には、全開状態から閉じ始めの開区間R1では、停止状態から閉じる速度が徐々に早くなり、上述した第一速度V1よりも低速な第四速度V4まで達するよう設定され、その後の中間区間R2では、速度が徐々に遅くなり、第四速度V4速度よりも低速な上述した第二速度V2まで達するよう設定されている。そして、第二ウインドウ制御情報は、全閉状態となる閉区間R3では、一定の第二速度V2で全閉状態となるよう設定されている。このように、図5の下図の例における第二ウインドウ制御情報では、中間区間R2における速度が、第一ウインドウ制御情報の中間区間R2で設定されている第一速度V1よりも低速な速度で設定されており、特に、閉じる方向に向かって徐々に速度が低下するよう設定されている。つまり、第二ウインドウ制御情報における中間区間R2の速度は、必ずしも一定でなくてもよい。このとき、第二ウインドウ制御情報における中間区間R2の速度は、閉じる方向に向かって必ずしも徐々に低速となることに限定されず、第一ウインドウ制御情報の中間区間R2で設定されている第一速度V1よりも低速であればいかなる速度に設定されていてもよい。また、第二ウインドウ制御情報における中間区間R2の最低速度は、必ずしも上述した第二速度V2であることに限定されず、いかなる速度であってもよい。さらに、第二ウインドウ制御情報における閉区間R3の速度は、上述した第二速度V2であることに限定されず、また、必ずしも一定であることに限定されない。
【0024】
ウインドウ操作指令取得部21は、上述したように車内操作スイッチ31及び携帯操作スイッチ32から、ウインドウ10の開閉指令を取得する。特に、本実施形態では、ウインドウ10を全開状態から全閉状態となるよう閉じる指令として、上述したオート閉操作の指令を取得する。但し、ウインドウ操作指令取得部21は、上述したマニュアル閉操作を取得してもよく、半開き状態から全閉状態となるよう閉じる操作の指令を取得してもよい。
【0025】
ウインドウ駆動制御部22は、上述したようにウインドウ10の開閉指令を取得すると、駆動装置11を駆動制御して、ウインドウ10の開閉制御を行う。特に、本実施形態では、ウインドウ駆動制御部22は、ウインドウ10を閉じる指令を取得すると、上述したウインドウ制御情報記憶部24に記憶されているウインドウ制御情報に従って、ウインドウ10を閉じる制御を行う。具体的に、ウインドウ駆動制御部22は、車内操作スイッチ31からウインドウ10を閉じる指令、例えば、オート閉操作の指令を取得すると、図3の下図に示す第一ウインドウ制御情報に従って、ウインドウ10を閉じる制御を行う(第一駆動制御)。つまり、この場合、ウインドウ駆動制御部22は、車両内に位置する操作者からウインドウ10を閉じる指令を取得しているため、車内操作用の駆動速度が設定された第一ウインドウ制御情報に従って制御する。一方、ウインドウ駆動制御部22は、携帯操作スイッチ32からウインドウ10を閉じる指令、例えば、オート閉操作の指令を取得すると、図4及び図5に示すいずれかの第二ウインドウ制御情報に従って、ウインドウ10を閉じる制御を行う(第二駆動制御)。つまり、この場合、ウインドウ駆動制御部22は、車両の外部に位置する操作者からウインドウ10を閉じる指令を取得しているため、携帯操作用の駆動速度が設定された第二ウインドウ制御情報に従って制御する。
【0026】
なお、ウインドウ駆動制御部22は、上述したマニュアル閉操作を取得した場合や、半開き状態から全閉状態となるよう閉じる操作の指令を取得した場合も、上述同様に、ウインドウ制御情報に従ってウインドウを閉じる制御を行う。このとき、ウインドウ駆動制御部22は、例えば、その時点におけるウインドウ10の位置と、ウインドウ制御情報におけるウインドウの区間とを照合し、対応するウインドウ制御装置における駆動速度にてウインドウ10を閉じるよう制御する。
【0027】
なお、ウインドウ駆動制御部22は、上述したように、携帯操作スイッチ32からウインドウ10を閉じる指令を取得したことに加えて、車両1が停止している場合に、上述同様のウインドウ10の制御を行ってもよい(第二駆動制御)。具体的に、ウインドウ駆動制御部22は、車両状態信号取得部23にて取得された、車両1の車速、シフトレバーの位置、サイドブレーキの状態、といった車両状態信号を取得する。なお、車両状態信号取得部23は、一定の時間間隔で、あるいは、ウインドウ駆動制御部22からの要求に応じて、車載装置40である車速センサ、シフトレバー、サイドブレーキから、それぞれ車速、シフトレバーの位置、サイドブレーキの状態、といった車両状態信号を取得し、ウインドウ駆動制御部22に通知している。そして、ウインドウ駆動制御部22は、取得した車両状態信号から、車両1が停止状態であるか否かを判定する。例えば、車速が「0」、シフトレバーの位置が「P(パーキング)」、サイドブレーキの状態が「ON」である場合に、車両1が停止状態であると判定する。ウインドウ駆動制御部22は、携帯操作スイッチ32からウインドウ10を閉じる指令を取得した際に、車両1が停止状態であると判定した場合には、上述したように、図4及び図5に示すいずれかの第二ウインドウ制御情報に従って、ウインドウ10を閉じる制御を行う。一方で、ウインドウ駆動制御部22は、車両1が停止状態ではないと判定した場合には、携帯操作スイッチ32からウインドウ10を閉じる指令を取得したとしても、ウインドウ10を閉じる制御は行わない。
【0028】
上述したように車両状態信号の取得を行うことにより、例えば、車両のエンジンが稼働していない状態においてもウインドウの開閉操作を行うことができ、車内室空間をより快適な状態とすることが出来る。
【0029】
なお、ウインドウ駆動制御部22は、車両状態信号が上述したような値である場合に車両1が停止状態であることを判定することに限定されず、他の値であっても車両1が停止状態であると判定してもよい。また、車両状態信号取得部23は、上述した車載装置40以外の装置から車両状態信号を取得してもよく、ウインドウ駆動制御部22は、いかなる車両状態信号から車両1が停止状態であることを判定してもよい。
【0030】
[動作]
次に、上述したウインドウ駆動装置の動作、特に、制御装置20の動作を、主に図6あるいは図7のフローチャートを参照して説明する。はじめに、図6のフローチャートを参照して説明する。
【0031】
制御装置20は、車内操作スイッチ31及び携帯操作スイッチ32から、ウインドウ10を閉じる指令を取得する(ステップS1)。このとき、制御装置20は、車内操作スイッチ31からウインドウ10を閉じる指令を取得した場合には(ステップS2で「車内」)、図3の下図に示すような車内操作用の駆動速度が設定された第一ウインドウ制御情報に従って、ウインドウ10を閉じる制御を行う(ステップS3)。一方、制御装置20は、携帯操作スイッチ32からウインドウ10を閉じる指令を取得した場合には(ステップS2で「携帯」)、図4及び図5に示すような携帯操作用の駆動速度が設定されたいずれかの第二ウインドウ制御情報に従って、ウインドウ10を閉じる制御を行う(ステップS4)。
【0032】
次に、図7のフローチャートを参照して、他の動作例を説明する。この動作例は、上述した動作とは、携帯操作スイッチ32からウインドウ10を閉じる指令を取得した場合の動作が異なる。具体的に、制御装置20は、携帯操作スイッチ32からウインドウ10を閉じる指令を取得した場合には(ステップS2で「携帯」)、さらに車両状態信号から車両1が停止状態であるかを判定する(ステップS2’)。そして、制御装置20は、車両1が停止状態である場合には(ステップS2’でYes)、図4及び図5に示すような携帯操作用の駆動速度が設定されたいずれかの第二ウインドウ制御情報に従って、ウインドウ10を閉じる制御を行う(ステップS4)。一方で、制御装置20は、車両1が停止状態でない場合には(ステップS2’でNo)、ウインドウ10を閉じる制御を行わない。
【0033】
このように、本実施形態におけるウインドウ駆動装置は、車両1の外部からウインドウを閉じる操作を受け付けた場合には、車両の内部から閉じる操作を受け付けてウインドウを閉じる時よりも低速で駆動制御している。特に、本実施形態では、図3乃至5に示すようなウインドウが全閉状態となる近辺の閉区間R3より開側に位置する中間区間R2において、車内操作用の第一速度V1よりも低い速度(例えば、一定の第二速度V2あるいは第三速度V3、又は、第四速度V4から徐々に低下する速度)で制御している。つまり、ウインドウ10が広く開いている区間においてもより低速で閉じるよう制御している。このため、遠隔操作時には、操作者がウインドウを十分に確認できない場合もあるが、低速区間をより広く設定することで、挟み込み発生を有効に抑制することができる。その結果、ウインドウ10の遠隔操作時における安全性のさらなる向上を図ることができる。
【0034】
以上、上記実施形態等を参照して本願発明を説明したが、本願発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明の範囲内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。
【0035】
<付記>
上記実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうる。以下、本発明におけるウインドウ駆動装置及びウインドウ駆動制御方法の概略を説明する。但し、本発明は、以下の構成に限定されない。
【0036】
(付記1)
車両に装備されたウインドウを開閉駆動する駆動装置と、
前記駆動装置による前記ウインドウの開閉駆動を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
車両の内部に位置する操作装置にて前記ウインドウを閉じる第一操作が行われた場合に、前記ウインドウの全閉位置近辺に位置する閉区間よりも開側に位置する第一区間において一定の第一速度で前記ウインドウを閉じるよう駆動制御すると共に、前記閉区間において前記第一速度よりも低い速度で前記ウインドウを閉じるよう駆動制御する第一駆動制御を行い、
車両の外部に持ち出し可能な操作装置にて前記ウインドウを閉じる第二操作が行われた場合に、前記第一区間において前記第一速度よりも低い速度で前記ウインドウを閉じるよう駆動制御する第二駆動制御を行う、
ウインドウ駆動装置。
(付記2)
付記1に記載のウインドウ駆動装置であって、
前記制御装置は、前記第二駆動制御を行う際に、前記第一区間において前記第一速度よりも低い一定の速度で前記ウインドウを閉じるよう駆動制御する、
ウインドウ駆動装置。
(付記3)
付記1に記載のウインドウ駆動装置であって、
前記制御装置は、前記第二駆動制御を行う際に、前記第一区間及び前記閉区間において前記第一速度よりも低い一定の速度で前記ウインドウを閉じるよう駆動制御する、
ウインドウ駆動装置。
(付記4)
付記3に記載のウインドウ駆動装置であって、
前記制御装置は、前記第二駆動制御を行う際に、前記第一駆動制御を行う際における前記閉区間での速度と同一の一定の速度で、前記第一区間及び前記閉区間において前記ウインドウを閉じるよう駆動制御する、
ウインドウ駆動装置。
(付記5)
付記3に記載のウインドウ駆動装置であって、
前記制御装置は、前記第一駆動制御を行う際に、前記閉区間において前記第二駆動制御による速度より高速となるように駆動制御する、
ウインドウ駆動装置。
(付記6)
付記3に記載のウインドウ駆動装置であって、
前記制御装置は、前記第二駆動制御を行う際に、前記ウインドウの全開位置近辺に位置する開区間を除いた残りの区間である前記第一区間及び前記閉区間において、前記第一速度よりも低い一定の速度でウインドウを閉じるよう駆動制御する、
ウインドウ駆動装置。
(付記7)
付記1に記載のウインドウ駆動装置であって、
前記制御装置は、車両から検出した車両の状態を表す車両状態信号が予め設定された値であり、かつ、前記第二操作が行われた場合に、前記第二駆動制御を行う、
ウインドウ駆動装置。
(付記8)
付記7に記載のウインドウ駆動装置であって、
前記制御装置は、前記車両状態信号が車両が停止していることを表す値であり、かつ、前記第二操作が行われた場合に、前記第二駆動制御を行う、
ウインドウ駆動装置。
(付記9)
付記8に記載のウインドウ駆動装置であって、
前記制御装置は、前記車両状態信号であるシフトレバーの位置、サイドブレーキの状態、車速、のうち、少なくとも1つの値が車両が停止していることを表す値であり、かつ、前記第二操作が行われた場合に、前記第二駆動制御を行う、
ウインドウ駆動装置。
(付記10)
車両に装備されたウインドウの開閉駆動を制御するウインドウ駆動制御方法であって、
車両の内部に位置する操作装置にて前記ウインドウを閉じる第一操作が行われた場合に、前記ウインドウの全閉位置近辺に位置する閉区間よりも開側に位置する第一区間において一定の第一速度で前記ウインドウを閉じるよう駆動制御すると共に、前記閉区間において前記第一速度よりも低い速度で前記ウインドウを閉じるよう駆動制御する第一駆動制御を行い、
車両の外部に持ち出し可能な操作装置にて前記ウインドウを閉じる第二操作が行われた場合に、前記第一区間において前記第一速度よりも低い速度で前記ウインドウを閉じるよう駆動制御する第二駆動制御を行う、
ウインドウ駆動制御方法。
【符号の説明】
【0037】
1 車両
10 ウインドウ
11 駆動装置
20 制御装置
21 ウインドウ操作指令取得部
22 ウインドウ駆動制御部
23 車両状態信号取得部
24 ウインドウ制御情報記憶部
31 車内操作スイッチ
32 携帯操作スイッチ
40 車載装置


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7