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  • 特開-トリガー式液体噴出器 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024065551
(43)【公開日】2024-05-15
(54)【発明の名称】トリガー式液体噴出器
(51)【国際特許分類】
   B05B 11/00 20230101AFI20240508BHJP
   B65D 47/34 20060101ALI20240508BHJP
   F04B 9/14 20060101ALI20240508BHJP
【FI】
B05B11/00 102B
B05B11/00 102G
B05B11/00 102E
B65D47/34 100
F04B9/14 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022174476
(22)【出願日】2022-10-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】藤原 宏太郎
【テーマコード(参考)】
3E084
3H075
【Fターム(参考)】
3E084AA12
3E084AB01
3E084BA02
3E084CC03
3E084DA01
3E084DB12
3E084DC03
3E084FA09
3E084FB01
3E084GA01
3E084GB01
3E084HA03
3E084HC03
3E084HD01
3E084KB01
3E084LB02
3E084LC01
3E084LD22
3E084LD26
3H075AA01
3H075BB03
3H075BB22
3H075CC26
3H075CC36
3H075DA30
3H075DB14
3H075DB39
3H075DB40
(57)【要約】
【課題】現行品を流用しつつ、一回のトリガー部の操作で液体が噴出孔から噴出し続ける時間を長くする。
【解決手段】噴出器本体11とノズル部材12とを備え、噴出器本体は、縦供給筒部14と、トリガー部13、および主ポンプ部22を有するトリガー機構21と、貯留シリンダ17と、貯留プランジャ18と、を備え、ノズル部材の噴出孔12aと貯留シリンダ内とを連通する連通流路32は、噴出孔より内径が小さい絞り流路33を備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を収容する容器体に装着される噴出器本体と、
前記噴出器本体の前方に設けられ、液体を前方に向けて噴出する噴出孔が形成されたノズル部材と、を備え、
前記噴出器本体は、
上下方向に延びるとともに、前記容器体内から吸い上げられる液体が流通する縦供給筒部と、
前記縦供給筒部の前方に前方付勢状態で後方移動可能に設けられたトリガー部、および前記トリガー部の後方への移動によって前記縦供給筒部を通じて液体を前記噴出孔に向けて送り出す主ポンプ部を有するトリガー機構と、
前記縦供給筒部と前記ノズル部材との間に設けられるとともに、前記トリガー部の後方への移動によって、前記縦供給筒部内を通過した液体が内部に供給される貯留シリンダと、
前記貯留シリンダ内に前記貯留シリンダの中心軸線に沿う軸方向に移動可能に配置され、前記貯留シリンダ内への液体の供給に伴って前記軸方向のうちの一方側に向けて移動するとともに、前記軸方向のうちの他方側に向けて付勢される貯留プランジャと、を備え、
前記噴出孔と前記貯留シリンダ内とを連通する連通流路は、前記噴出孔より内径が小さい絞り流路を備えている、トリガー式液体噴出器。
【請求項2】
前記噴出孔の内径は、0.5mm以上0.6mm以下とされ、
前記絞り流路の内径は、0.3mm以上0.45mm以下とされている、請求項1に記載のトリガー式液体噴出器。
【請求項3】
前記噴出器本体は、前記貯留プランジャを、前記軸方向のうちの他方側に向けて付勢する付勢部材を備え、
前記付勢部材は、金属製のコイルばねとされるとともに、前記貯留プランジャを、前記軸方向のうちの他方側に向けて、30N以上60N以下の力で付勢している、請求項1または2に記載のトリガー式液体噴出器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トリガー式液体噴出器に関する。
【背景技術】
【0002】
トリガー式液体噴出器として、液体を貯留する主ポンプ部と、主ポンプ部を動作させるトリガー部と、を備える構成が開示されている。この構成によれば、トリガー部を後方に引くと、主ポンプ部のシリンダ内が加圧されることで、シリンダ内の液体が噴出孔に向けて流れる。これにより、液体が噴出孔を通じて噴出される。一方、トリガー部が前方に復帰する過程でシリンダ内が減圧されることで、容器体内の液体がシリンダ内に流入する。
例えば下記特許文献1には、主ポンプ部に加え、貯留ポンプ部を備えるトリガー式液体噴出器が開示されている。この種のトリガー式液体噴出器では、トリガー部の操作に伴い、主ポンプ部から送り出される液体のうち、一部の液体が噴出孔を通じて噴出される一方、残りの液体が貯留ポンプ部のシリンダ内に貯留される。そのため、トリガー部の操作を停止した場合には、貯留ポンプ部のシリンダ内に貯留された液体が噴出孔に向けて流れる。これにより、トリガー部を操作しない状態であっても、液体を連続的に噴出できるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-213497号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のトリガー式液体噴出器では、一回のトリガー部の操作で液体が噴出孔から噴出し続ける時間を長くすることに対する要望がある。
このような要望に対して、例えば噴出孔の内径を小さくすることが考えられるが、この場合、新たな成形金型が必要になる等、製造コストが増大する。
【0005】
本発明は、現行品を流用しつつ、一回のトリガー部の操作で液体が噴出孔から噴出し続ける時間を長くすることができるトリガー式液体噴出器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係るトリガー式液体噴出器は、液体を収容する容器体に装着される噴出器本体と、前記噴出器本体の前方に設けられ、液体を前方に向けて噴出する噴出孔が形成されたノズル部材と、を備え、前記噴出器本体は、上下方向に延びるとともに、前記容器体内から吸い上げられる液体が流通する縦供給筒部と、前記縦供給筒部の前方に前方付勢状態で後方移動可能に設けられたトリガー部、および前記トリガー部の後方への移動によって前記縦供給筒部を通じて液体を前記噴出孔に向けて送り出す主ポンプ部を有するトリガー機構と、前記縦供給筒部と前記ノズル部材との間に設けられるとともに、前記トリガー部の後方への移動によって、前記縦供給筒部内を通過した液体が内部に供給される貯留シリンダと、前記貯留シリンダ内に前記貯留シリンダの中心軸線に沿う軸方向に移動可能に配置され、前記貯留シリンダ内への液体の供給に伴って前記軸方向のうちの一方側に向けて移動するとともに、前記軸方向のうちの他方側に向けて付勢される貯留プランジャと、を備え、前記噴出孔と前記貯留シリンダ内とを連通する連通流路は、前記噴出孔より内径が小さい絞り流路を備えている。
【0007】
噴出孔と貯留シリンダ内とを連通する連通流路が、噴出孔より内径が小さい絞り流路を備えているので、トリガー部の後方への移動時に、縦供給筒部内および貯留シリンダ内をこの順に通過した液体が、噴出孔に到達するまでの間に、絞り流路を通過することで、圧力損失を生じさせて流速を低減することができる。したがって、一回のトリガー部の操作で液体が噴出孔から噴出し続ける時間を長くすることができる。この場合、例えば、トリガー部を複数回操作したときに、液体を途切れることなく噴出孔から連続的に噴出することを安定して実現すること等ができる。
連通流路が絞り流路を備えていることから、噴出孔の内径は変更する必要が無く、ノズル部材のうちの少なくとも噴出孔を有する部品は、現行品を流用することができる。
なお、連通流路と噴出孔との間にスピン流路を設けた場合には、絞り流路を通過した液体の流速を低減させることで、噴出される液滴径を大きくすることができる。
噴出孔ではなく絞り流路の寸法を調整することによって、噴出孔から噴出する液体の広がり等の噴出パターン、および一回のトリガー部の操作で液体が噴出孔から噴出し続ける時間等を、噴出する液体の種類、性状、および用途等に応じて変更することができる。
【0008】
前記噴出孔の内径は、0.5mm以上0.6mm以下とされ、前記絞り流路の内径は、0.3mm以上0.45mm以下とされてもよい。
【0009】
噴出孔の内径が、0.5mm以上0.6mm以下とされ、絞り流路の内径が、0.3mm以上0.45mm以下とされているので、霧状の噴出状態を維持しつつ、一回のトリガー部の操作で液体が噴出孔から噴出し続ける時間を、例えば0.8秒以上と確実に長くすることができる。
【0010】
前記噴出器本体は、前記貯留プランジャを、前記軸方向のうちの他方側に向けて付勢する付勢部材を備え、前記付勢部材は、金属製のコイルばねとされるとともに、前記貯留プランジャを、前記軸方向のうちの他方側に向けて、30N以上60N以下の力で付勢してもよい。
【0011】
付勢部材が、金属製のコイルばねとされるとともに、貯留プランジャを、前記軸方向のうちの他方側に向けて、30N以上60N以下の力で付勢しているので、連通流路が絞り流路を備えていても、液体を円滑に噴出孔から噴出することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の上記態様によれば、現行品を流用しつつ、一回のトリガー部の操作で液体が噴出孔から噴出し続ける時間を長くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係るトリガー式液体噴出器の部分縦断面図である。
図2図1の一部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係るトリガー式液体噴出器の実施形態について、図面を参照して説明する。
トリガー式液体噴出器1は、噴出器本体11と、ノズル部材12と、を備え、液体を収容する容器体Aに装着される。トリガー式液体噴出器1の各構成部品は、特に記載がなければ、樹脂材料を用いた成形品とされている。
【0015】
噴出器本体11は、縦供給筒部14と、接続筒部15と、装着キャップ16と、貯留シリンダ17と、貯留プランジャ18と、付勢部材19と、射出筒部20と、トリガー機構21と、ボール弁23と、貯留弁24と、を主に備え、液体を収容する容器体Aに装着される。
【0016】
縦供給筒部14の中心軸線O1に沿う容器体Aの底部側を下側といい、その反対側を上側といい、中心軸線O1に沿う方向を上下方向という。上下方向から見て、中心軸線O1に交差する方向のうちの1つの方向を前後方向といい、上下方向および前後方向の双方向に直交する方向を左右方向という。
【0017】
装着キャップ16は、容器体Aの口部に装着される。装着キャップ16は、縦供給筒部14を容器体Aの口部に固定する。
縦供給筒部14は、装着キャップ16を上下方向に貫いている。縦供給筒部14の下部内には、下端開口が容器体Aの底部内に位置するパイプ14aの上部が嵌合されている。容器体A内の液体は、パイプ14a内を通して吸い上げられ、縦供給筒部14内を上方に向けて流通する。
接続筒部15は、縦供給筒部14の上端部から前方に向けて延びている。接続筒部15の後端部は、縦供給筒部14内に開口している。接続筒部15の前端部は、噴出器本体11の外部に開口し、この開口に閉塞栓15aが嵌合され、接続筒部15の前端部の開口が閉塞(シール)されている。接続筒部15は、装着キャップ16から上方に離れている。
【0018】
トリガー機構21は、トリガー部13および主ポンプ部22を備えている。
主ポンプ部22は、シリンダ25およびピストン26を備え、トリガー部13の後方への移動によって、シリンダ25内の液体を、縦供給筒部14を通じてノズル部材12の噴出孔12aに向けて送り出す。
【0019】
シリンダ25は、接続筒部15と装着キャップ16との間に設けられている。シリンダ25の中心軸線(以下、シリンダ軸O2という)は、前後方向に延びている。シリンダ25は、縦供給筒部14から前方に向けて突出し、前方に向けて開口したシリンダ用筒部11a内に嵌合されている。シリンダ25は、前端部が開口し、かつ後端部が閉塞された横向きの有底筒状に形成されている。シリンダ25内は、前後方向に延びる連通路11bを通して縦供給筒部14内に連通している。
【0020】
ピストン26は、シリンダ25の内部に前後方向に移動可能に嵌合されている。ピストン26の前後方向の移動に伴って、シリンダ25の内部が加圧および減圧される。ピストン26は、後端部が開口し、かつ前端部が閉塞された横向きの有頂筒状に形成されている。ピストン26は、付勢部材11cにより前方に付勢されている。
付勢部材11cは、ピストン26内に挿入され、シリンダ軸O2と同軸に配設されている。付勢部材11cは、ピストン26の頂壁とシリンダ25の底壁とにより前後方向に挟まれている。付勢部材11cは金属製のコイルばねとなっている。
なお、付勢部材11cは、例えば樹脂材料等で形成されてもよく、また、付勢部材11cは、トリガー部13を前方に付勢してもよい。
【0021】
トリガー部13は、縦供給筒部14の前方に前方付勢状態で後方移動可能に設けられている。トリガー部13は、上下方向に延び、かつ上端部回りに前後方向に揺動可能に設けられている。トリガー部13の上端部は、ノズル部材12に連結されている。トリガー部13の上端部は、射出筒部20の直下に位置している。トリガー部13は、ピストン26およびシリンダ25の前方に設けられ、ピストン26およびシリンダ25を上下方向に跨いでいる。トリガー部13は、ピストン26に連係し、シリンダ25に対して進退可能に設けられている。トリガー部13には、後方に向けて突出し、ピストン26の頂壁の前面に当接した突起13aが形成されている。
【0022】
トリガー部13には、シリンダ25に対するトリガー部13の前後方向の移動を規制するロック位置、およびシリンダ25に対するトリガー部13の前後方向の移動を許容するロック解除位置の間を、左右方向に延びる回転軸線回りに回転可能に支持されたストッパ31が設けられている。
ストッパ31は、前記ロック位置において、トリガー部13から後方に向けて延び、シリンダ25の前端開口縁の下端部に当接し、前記ロック解除位置において、図1に二点鎖線で示されるように、シリンダ25の前端開口縁から離れ、前記回転軸線から下方に向けて延びる姿勢となる。
【0023】
貯留シリンダ17は、縦供給筒部14とノズル部材12との間に設けられ、トリガー部13の後方への移動によって、縦供給筒部14内を通過した液体が、貯留シリンダ17の内部に供給される。
貯留シリンダ17の中心軸線O3は、縦供給筒部14および接続筒部15の上方に位置し、前後方向に延びている。貯留シリンダ17の下端部は、縦供給筒部14および接続筒部15それぞれの上端部と一体に形成されている。
【0024】
貯留シリンダ17における前端部の下側部分には、貯留シリンダ17の内部のうち、貯留プランジャ18の前端部との間で画成された貯留空間17aと、接続筒部15内と、を連通する供給孔17bが形成されている。供給孔17bは、上下方向に延び、閉塞栓15aより後方に位置している。
貯留シリンダ17は、前端開口を閉塞する前端壁27を有する横向きの筒状に形成されている。前端壁27に、前後方向に貫き、貯留空間17aと射出筒部20内とを連通する連絡孔17cが形成されている。連絡孔17cは、中心軸線O3と同軸に配設されている。
【0025】
貯留プランジャ18は、貯留シリンダ17内に前後方向(軸方向)に移動可能に嵌合されている。貯留プランジャ18は、連絡孔17cを閉塞することで、供給孔17bおよび接続筒部15内を通じた縦供給筒部14内とノズル部材12の噴出孔12aとの連通を遮断する。貯留プランジャ18は、供給孔17bを通した貯留空間17aへの液体の供給に伴い、貯留空間17aの内圧が所定値を超えたときに、後方に移動する。この際、連絡孔17cが開放され、貯留空間17aが拡張し、供給孔17bを通過した液体が貯留空間17aに貯留され、連絡孔17c、貯留空間17a、供給孔17bおよび接続筒部15内を通じた縦供給筒部14内と噴出孔12aとの連通が許容される。貯留空間17aの内径は、8mm以上20mm以下(図示の例では約13mm)となっている。
【0026】
付勢部材19は、貯留シリンダ17内に設けられ、貯留プランジャ18を前方に向けて付勢している。付勢部材19は、金属製のコイルばねとなっているが、樹脂材料で形成されてもよい。付勢部材19が貯留プランジャ18に加える前方付勢力は、30N以上60N以下(図示の例では約45N)となっている。付勢部材19は、中心軸線O3と同軸に配設されている。
射出筒部20は、貯留シリンダ17の前端壁27から前方に向けて延びている。射出筒部20の中心軸線O4は、中心軸線O3に対して左右方向の位置が同じで上方に位置している。射出筒部20内は、連絡孔17c、貯留空間17a、供給孔17b、および接続筒部15内を通じて縦供給筒部14内に連通している。
【0027】
ボール弁23および貯留弁24は、縦供給筒部14内に設けられている。
ボール弁23は、連通路11bの下方に設けられている。ボール弁23は、シリンダ25内の加圧時に、縦供給筒部14内を通じた容器体A内とシリンダ25内との連通を遮断するとともに、シリンダ25内の減圧時に上方に向けて変位することで、縦供給筒部14内を通じた容器体A内とシリンダ25内との連通を許容する逆止弁とされている。
貯留弁24は、ボール弁23および連通路11bの上方に設けられている。貯留弁24は、縦供給筒部14内から接続筒部15内を通じた貯留空間17aへの液体の供給を許容するとともに、貯留空間17aから接続筒部15内を通じた縦供給筒部14内への液体の流出を規制する逆止弁とされている。
【0028】
ノズル部材12は、噴出器本体11の前方に設けられ、液体を前方に向けて噴出する噴出孔12aを有している。ノズル部材12は、射出筒部20に外嵌された装着筒部28と、装着筒部28の前端部内に設けられたノズル軸部29と、ノズル軸部29に装着されたノズルキャップ30と、を備えている。噴出孔12a、装着筒部28、ノズル軸部29、およびノズルキャップ30は、中心軸線O4と同軸に配設されている。
装着筒部28のうち、後部が射出筒部20に外嵌され、前部は射出筒部20から前方に突出している。ノズル軸部29は、射出筒部20から前方に離れている。ノズルキャップ30に、前方に開口した噴出孔12aが形成されている。
【0029】
装着筒部28の前部のうち、ノズル軸部29より後方に位置する部分内に、前後方向の全長にわたってアダプタ筒28aが嵌合されている。なお、アダプタ筒28aは、装着筒部28と一体に形成されてもよい。
噴出孔12aと貯留空間17aとを連通する連通流路32は、アダプタ筒28a内と、射出筒部20内と、連絡孔17cと、を備えている。連通流路32は前後方向に延びている。連通流路32と噴出孔12aとは、ノズルキャップ30の内面と、ノズル軸部29の外面と、の間に設けられたスピン流路34を通して連通する。
【0030】
図2に示されるように、連通流路32は、噴出孔12aより内径が小さい絞り流路33を備えている。噴出孔12aの内径は、0.5mm以上0.6mm以下とされ、絞り流路33の内径は、0.3mm以上0.45mm以下とされている。
絞り流路33は、連通流路32における前後方向の中間部に設けられている。絞り流路33の流路断面積は、連通流路32において最小となっている。絞り流路33の流路長は、連通流路32において最短となっている。
【0031】
絞り流路33は、アダプタ筒28aの後端部内に設けられている。連通流路32の前端部32aは、アダプタ筒28aの前端部内に設けられている。連通流路32の前端部32aは、ノズル軸部29の後端面に向けて開口し、かつ前方に向かうに従い拡径している。連通流路32のうち、前端部32aと絞り流路33との接続部分32bの内径は、前後方向の全長にわたって同じになっている。
なお、貯留シリンダ17の前端壁27に、連絡孔17cを形成せず、絞り流路33を形成してもよい。
【0032】
次に、トリガー式液体噴出器1の作用について説明する。
トリガー部13の複数回の操作によって、トリガー式液体噴出器1の各部内に液体が充填されているものとする。
【0033】
付勢部材11cの前方付勢力に抗して、トリガー部13をピストン26とともに後方に移動させると、シリンダ25内が加圧され、シリンダ25内の液体が、連通路11bを通して縦供給筒部14内に供給される。この際、ボール弁23が下方に押し付けられるとともに、貯留弁24が押し上げられることにより、縦供給筒部14内の液体が、接続筒部15内および供給孔17bを通じて貯留シリンダ17の貯留空間17aに供給され、貯留空間17aが加圧される。
【0034】
これにより、貯留プランジャ18が、付勢部材19の前方付勢力に抗して後方に向けて移動し、拡張した貯留空間17aに液体が貯留されるとともに、接続筒部15内、供給孔17b、貯留空間17a、連通流路32、およびスピン流路34を通じた縦供給筒部14内と噴出孔12aとの連通が許容され、圧力が高まった貯留空間17aの液体が、連通流路32およびスピン流路34を通じて噴出孔12aに供給され、噴出孔12aから前方に向けて噴出される。
【0035】
上述のように、トリガー部13を後方に引く操作を行う毎に、貯留プランジャ18を後方に移動させて、拡張した貯留空間17a内に液体を溜めながら、液体が噴出孔12aから噴出される。
【0036】
その後、トリガー部13を解放すると、付勢部材11cの弾性復元力(付勢力)によってピストン26がシリンダ25内を前方に向けて復元移動するので、トリガー部13も前方に復元移動する。そのため、シリンダ25内が減圧して、容器体Aの内圧よりも低い圧力になるので、貯留弁24が閉弁したままの状態でボール弁23が上昇し、容器体A内の液体が、縦供給筒部14内を上昇し、連通路11bを通してシリンダ25内に供給される。
【0037】
トリガー部13の後方に向けた操作を停止すると、縦供給筒部14内、接続筒部15内、および供給孔17bを通じた貯留空間17aへの液体の供給は停止するものの、付勢部材19の付勢力によって貯留プランジャ18が前方移動しはじめる。この際、貯留空間17aから縦供給筒部14内への液体の流出は、貯留弁24によって規制される。これにより、貯留空間17aに溜まった液体を、連通流路32およびスピン流路34を通じて噴出孔12aに供給し、噴出孔12aを通じて前方に向けて引き続き噴出することができる。すなわち、トリガー部13を後方に引く操作を行ったときだけでなく、トリガー部13を操作しない場合であっても液体が噴出されることとなり、液体の連続噴出を行うことができる。
【0038】
以上説明したように、本実施形態によるトリガー式液体噴出器1によれば、噴出孔12aと貯留空間17aとを連通する連通流路32が、噴出孔12aより内径が小さい絞り流路33を備えているので、トリガー部13の後方への移動時に、縦供給筒部14内および貯留空間17aをこの順に通過した液体が、噴出孔12aに到達するまでの間に、絞り流路33を通過することで、圧力損失を生じさせて流速を低減することができる。したがって、一回のトリガー部13の操作で液体が噴出孔12aから噴出し続ける時間を長くすることができる。この場合、例えば、トリガー部13を複数回操作したときに、液体を途切れることなく噴出孔12aから連続的に噴出することを安定して実現すること等ができる。
【0039】
連通流路32が絞り流路33を備えていることから、噴出孔12aの内径は変更する必要が無く、ノズル部材12のうちの少なくとも噴出孔12aを有するノズルキャップ30は、現行品を流用することができる。
連通流路32と噴出孔12aとの間にスピン流路34が設けられているので、絞り流路33を通過した液体の流速を低減させることで、噴出される液滴径を大きくすることができる。
噴出孔12aではなく絞り流路33の寸法を調整することによって、噴出孔12aから噴出する液体の広がり等の噴出パターン、および一回のトリガー部13の操作で液体が噴出孔12aから噴出し続ける時間等を、噴出する液体の種類、性状、および用途等に応じて変更することができる。
【0040】
噴出孔12aの内径が、0.5mm以上0.6mm以下とされ、絞り流路33の内径が、0.3mm以上0.45mm以下とされているので、霧状の噴出状態を維持しつつ、一回のトリガー部13の操作で液体が噴出孔12aから噴出し続ける時間を、例えば0.8秒以上と確実に長くすることができる。
【0041】
貯留プランジャ18を前方付勢する付勢部材19が、金属製のコイルばねとされるとともに、貯留プランジャ18を、前方に向けて30N以上60N以下の力で付勢しているので、連通流路32が絞り流路33を備えていても、液体を円滑に噴出孔12aから噴出することができる。
【0042】
なお、本発明の技術範囲は、前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0043】
例えば、トリガー部13にストッパ31を設けなくてもよい。
貯留シリンダ17の中心軸線O3は、前後方向に交差する方向に延びてもよい。
【0044】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記実施形態および変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0045】
1 トリガー式液体噴出器
11 噴出器本体
12 ノズル部材
12a 噴出孔
13 トリガー部
14 縦供給筒部
17 貯留シリンダ
18 貯留プランジャ
21 トリガー機構
22 主ポンプ部
32 連通流路
33 絞り流路
A 容器体
O3 貯留シリンダの中心軸線
図1
図2