IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本トムソン株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-揺動テーブル 図1
  • 特開-揺動テーブル 図2
  • 特開-揺動テーブル 図3
  • 特開-揺動テーブル 図4
  • 特開-揺動テーブル 図5
  • 特開-揺動テーブル 図6
  • 特開-揺動テーブル 図7
  • 特開-揺動テーブル 図8
  • 特開-揺動テーブル 図9
  • 特開-揺動テーブル 図10
  • 特開-揺動テーブル 図11
  • 特開-揺動テーブル 図12
  • 特開-揺動テーブル 図13
  • 特開-揺動テーブル 図14
  • 特開-揺動テーブル 図15
  • 特開-揺動テーブル 図16
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024065556
(43)【公開日】2024-05-15
(54)【発明の名称】揺動テーブル
(51)【国際特許分類】
   F16C 31/06 20060101AFI20240508BHJP
   F16H 25/20 20060101ALI20240508BHJP
   F16H 25/22 20060101ALI20240508BHJP
   F16C 29/04 20060101ALN20240508BHJP
【FI】
F16C31/06
F16H25/20 E
F16H25/22 Z
F16C29/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022174481
(22)【出願日】2022-10-31
(71)【出願人】
【識別番号】000229335
【氏名又は名称】日本トムソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136098
【弁理士】
【氏名又は名称】北野 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100137246
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 勝也
(74)【代理人】
【識別番号】100158861
【弁理士】
【氏名又は名称】南部 史
(74)【代理人】
【識別番号】100194674
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 覚史
(72)【発明者】
【氏名】下吉 拓明
(72)【発明者】
【氏名】加藤 悟
【テーマコード(参考)】
3J062
3J104
【Fターム(参考)】
3J062AB22
3J062BA14
3J062BA22
3J062CD06
3J062CD22
3J104AA04
3J104AA23
3J104AA33
3J104AA63
3J104AA65
3J104AA66
3J104AA74
3J104AA75
3J104AA76
3J104DA13
3J104DA20
3J104EA01
3J104EA02
(57)【要約】
【課題】寿命計算が容易であると共に、正確な位置決めを行うことができ、高速運転を適切に行うことができる揺動テーブルを提供する。
【解決手段】揺動テーブルは、ベース部と、ベース部に取り付けられるレールおよびレールに相対移動可能に取り付けられるスライダを含む直動機構と、スライダを直線往復運動させる駆動源と、スライダに取り付けられ、スライダと共に直線往復運動する第1支持部と、第1支持部に取り付けられる第1転がり軸受と、駆動源からの動力が伝達されて揺動運動可能なテーブル部と、テーブル部を支持する第2支持部と、第2支持部に取り付けられる第2転がり軸受と、第1軸部および第1軸部に対して偏心した位置に配置される第2軸部を含み、第1軸部が第1転がり軸受に支持され、第2軸部が第2転がり軸受に支持される偏心軸と、を備える。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース部と、
前記ベース部に取り付けられるレールおよび前記レールに相対移動可能に取り付けられるスライダを含む直動機構と、
前記スライダを直線往復運動させる駆動源と、
前記スライダに取り付けられ、前記スライダと共に直線往復運動する第1支持部と、
前記第1支持部に取り付けられる第1転がり軸受と、
前記駆動源からの動力が伝達されて揺動運動可能なテーブル部と、
前記テーブル部を支持する第2支持部と、
前記第2支持部に取り付けられる第2転がり軸受と、
第1軸部および前記第1軸部に対して偏心した位置に配置される第2軸部を含み、前記第1軸部が前記第1転がり軸受に支持され、前記第2軸部が前記第2転がり軸受に支持される偏心軸と、を備える、揺動テーブル。
【請求項2】
前記直動機構は、直動案内ユニットを含む、請求項1に記載の揺動テーブル。
【請求項3】
前記第1転がり軸受および前記第2転がり軸受のうちの少なくともいずれか一方は、アンギュラベアリングを含む、請求項1または請求項2に記載の揺動テーブル。
【請求項4】
前記駆動源は、
ねじ軸および前記第1支持部に取り付けられるボールねじナットを備えるボールねじと、
前記ねじ軸を回転させるモータと、を含む、請求項1または請求項2に記載の揺動テーブル。
【請求項5】
水平方向に見て、前記テーブル部が水平であるとき、前記第1軸部の中心と前記第2軸部の中心とを結ぶ仮想線分の延びる方向は水平である、請求項1または請求項2に記載の揺動テーブル。
【請求項6】
前記スライダは、複数設けられている、請求項1または請求項2に記載の揺動テーブル。
【請求項7】
前記テーブル部は、曲面から構成される摺動面を有する摺動部を含み、
前記ベース部は、曲面から構成され、前記摺動面と接触する案内面を有し、前記テーブル部を案内する案内部を含む、請求項1または請求項2に記載の揺動テーブル。
【請求項8】
前記案内部は、前記レールを挟むように一対設けられている、請求項7に記載の揺動テーブル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、揺動テーブルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
基体と摺動体からなる摺動装置が知られている(例えば特許文献1参照)。特許文献1に開示の摺動装置によると、駆動方式としてウォームやピニオン等の噛合体を用いている。そして、この噛合体と噛み合うラック歯は、基体に固着された第1摺動部材側または摺動体に固着された第2摺動部材側に形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-99254号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
揺動テーブル(例えば、ゴニオステージ)において、従来のウォームギアを採用する駆動方式では、以下の点で問題があった。すなわち、ウォームギアを採用する駆動方式は、駆動に際しいわゆる滑り機構を利用しているため、装置の寿命の計算が難しい。また、装置として隙間が存在する構成であるため、バックラッシュが生じ、テーブル部の正確な位置決めが極めて困難である。さらに、高速で運転するにも限界がある。
【0005】
そこで、寿命計算が容易であると共に、テーブル部の正確な位置決めを行うことができ、高速運転を適切に行うことができる揺動テーブルを提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に従った揺動テーブルは、ベース部と、ベース部に取り付けられるレールおよびレールに相対移動可能に取り付けられるスライダを含む直動機構と、スライダを直線往復運動させる駆動源と、スライダに取り付けられ、スライダと共に直線往復運動する第1支持部と、第1支持部に取り付けられる第1転がり軸受と、駆動源からの動力が伝達されて揺動運動可能なテーブル部と、テーブル部を支持する第2支持部と、第2支持部に取り付けられる第2転がり軸受と、第1軸部および第1軸部に対して偏心した位置に配置される第2軸部を含み、第1軸部が第1転がり軸受に支持され、第2軸部が第2転がり軸受に支持される偏心軸と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
上記揺動テーブルによれば、寿命計算が容易であると共に、テーブル部の正確な位置決めを行うことができ、高速運転を適切に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本開示の実施の形態1における揺動テーブルを示す概略斜視図である。
図2図2は、図1に示す揺動テーブルの概略平面図である。
図3図3は、図1に示す揺動テーブルの概略側面図である。
図4図4は、図1に示す揺動テーブルの概略正面図である。
図5図5は、後述するテーブル部を取り除き、一部の部材を破線で表した状態を示す実施の形態1における揺動テーブルを示す概略斜視図である。
図6図6は、図5に示す揺動テーブルの概略平面図である。
図7図7は、図5に示す揺動テーブルの概略側面図である。
図8図8は、図5に示す揺動テーブルの概略正面図である。
図9図9は、図5に示す揺動テーブルを後述するベース部を含み、Y-Z平面で切断した場合の概略断面図である。
図10図10は、図9に示す揺動テーブルの概略平面図である。
図11図11は、図9に示す揺動テーブルの概略側面図である。
図12図12は、図9に示す揺動テーブルの概略正面図である。
図13図13は、図10に示す領域XIIIの拡大図である。
図14図14は、図13に示す揺動テーブルの概略側面図である。
図15図15は、後述するテーブル部を揺動により傾斜させた状態を示す揺動テーブルの概略側面図である。
図16図16は、傾斜させる前、すなわち、後述するテーブル部が水平な状態を示す揺動テーブルの概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[実施形態の概要]
本開示の揺動テーブルは、ベース部と、ベース部に取り付けられるレールおよびレールに相対移動可能に取り付けられるスライダを含む直動機構と、スライダを直線往復運動させる駆動源と、スライダに取り付けられ、スライダと共に直線往復運動する第1支持部と、第1支持部に取り付けられる第1転がり軸受と、駆動源からの動力が伝達されて揺動運動可能なテーブル部と、テーブル部を支持する第2支持部と、第2支持部に取り付けられる第2転がり軸受と、第1軸部および第1軸部に対して偏心した位置に配置される第2軸部を含み、第1軸部が第1転がり軸受に支持され、第2軸部が第2転がり軸受に支持される偏心軸と、を備える。
【0010】
本開示の揺動テーブルによると、直動機構に含まれるスライダは、駆動源からの動力により直線往復運動する。スライダに取り付けられた第1支持部は、スライダと共に直線往復運動する。そうすると、偏心軸を介して第2支持部に取り付けられるテーブル部は、第1支持部の直線往復運動に伴って揺動運動する。ここで、偏心軸の第1軸部は、第1転がり軸受によって支持され、偏心軸の第2軸部は、第2転がり軸受によって支持されている。このような構成は、滑り機構と異なり、転動体の疲労等に基づく寿命計算が容易である。また、第1転がり軸受および第2転がり軸受を採用する構成であるため、ウォームギアを採用する駆動方式と異なり、隙間が生じないため、テーブル部の正確な位置決めを行うことができると共に、高速運転に適している。したがって、このような揺動テーブルによると、寿命計算が容易であると共に、テーブル部の正確な位置決めを行うことができ、高速運転を適切に行うことができる。ここで、テーブル部の正確な位置決めとは、揺動運動により傾斜するテーブル部の傾斜の角度を正確に決めることができることをいう。
【0011】
上記揺動テーブルにおいて、直動機構は、直動案内ユニットを含んでもよい。このようにすることにより、円滑にテーブル部を揺動させることができると共に、さらに正確に位置決めを行うことができる。
【0012】
上記揺動テーブルにおいて、第1転がり軸受および第2転がり軸受のうちの少なくともいずれか一方は、アンギュラベアリングを含んでもよい。このようにすることにより、偏心軸を適切に支持しながら、円滑にテーブル部を揺動させることができ、正確な寿命計算を行うことができる。
【0013】
上記揺動テーブルにおいて、駆動源は、ねじ軸および第1支持部に取り付けられるボールねじナットを備えるボールねじと、ねじ軸を回転させるモータと、を含んでもよい。このようにすることにより、モータの回転運動をスライダの直動運動に変換して、より円滑にテーブル部を揺動させることができると共にモータの回転を制御して、高速運転および正確な位置決めを実施することができる。
【0014】
上記揺動テーブルにおいて、水平方向に見て、テーブル部が水平であるとき、第1軸部の中心と第2軸部の中心とを結ぶ仮想線分の延びる方向は水平であってもよい。このようにすることにより、テーブル部の位置が水平であるときの揺動テーブルの安定性を確保することができる。
【0015】
上記揺動テーブルにおいて、スライダは、複数設けられていてもよい。このようにすることにより、複数のスライダによって第1支持部の直線往復運動を正確に行うことができ、より正確な位置決めおよび高速運転を実施することができる。
【0016】
上記揺動テーブルにおいて、テーブル部は、曲面から構成される摺動面を有する摺動部を含んでもよい。ベース部は、曲面から構成され、摺動面と接触する案内面を有し、テーブル部を案内する案内部を含んでもよい。このようにすることにより、摺動面を有する摺動部および案内面を有する案内部によって、テーブル部の揺動運動をより円滑にすることができる。
【0017】
上記揺動テーブルにおいて、案内部は、レールを挟むように一対設けられていてもよい。このようにすることにより、より適切に揺動するテーブル部を案内することができる。
【0018】
[実施形態の具体例]
次に、本開示の揺動テーブルの具体的な実施の形態の一例を、図面を参照しつつ説明する。以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付しその説明は繰返さない。
【0019】
(実施の形態1)
まず、本開示の実施の形態である実施の形態1について説明する。図1は、本開示の実施の形態1における揺動テーブルを示す概略斜視図である。図1および以下に示す図において、Y方向は、後述するレールの延びる方向であり、揺動テーブルの長手方向を示し、X方向は、揺動テーブルの短手方向を示し、Z方向は、揺動テーブルの厚さ方向(高さ方向)を示す。X方向、Y方向およびZ方向はそれぞれ、直交している。図2は、図1に示す揺動テーブルの概略平面図である。図2は、図1に示す揺動テーブルを矢印IIで示す向きに見た図である。図3は、図1に示す揺動テーブルの概略側面図である。図3は、図1に示す揺動テーブルを矢印IIIで示す向きに見た図である。図4は、図1に示す揺動テーブルの概略正面図である。図4は、図1に示す揺動テーブルを矢印IVで示す向きに見た図である。
【0020】
図5は、後述するテーブル部を取り除き、一部の部材を破線で表した状態を示す実施の形態1における揺動テーブルを示す概略斜視図である。図6は、図5に示す揺動テーブルの概略平面図である。図6は、図5に示す揺動テーブルを矢印VIで示す向きに見た図である。図7は、図5に示す揺動テーブルの概略側面図である。図7は、図5に示す揺動テーブルを矢印VIIで示す向きに見た図である。図8は、図5に示す揺動テーブルの概略正面図である。図8は、図5に示す揺動テーブルを矢印VIIIで示す向きに見た図である。
【0021】
図9は、図5に示す揺動テーブルを後述するベース部を含み、Y-Z平面で切断した場合の概略断面図である。図10は、図9に示す揺動テーブルの概略平面図である。図10は、図9に示す揺動テーブルを矢印Xで示す向きに見た図である。図11は、図9に示す揺動テーブルの概略側面図である。図11は、図9に示す揺動テーブルを矢印XIで示す向きに見た図である。図12は、図9に示す揺動テーブルの概略正面図である。図12は、図9に示す揺動テーブルを矢印XIIで示す向きに見た図である。図13は、図10に示す領域XIIIの拡大図である。図14は、図13に示す揺動テーブルの概略側面図である。図15は、後述するテーブル部を揺動により傾斜させた状態を示す揺動テーブルの概略側面図である。図16は、傾斜させる前、すなわち、後述するテーブル部が水平な状態を示す揺動テーブルの概略側面図である。
【0022】
図1図16を参照して、本開示の実施の形態1に係る揺動テーブル10は、ベース部11と、直動機構12と、駆動源13と、第1支持部14と、第1転がり軸受15と、テーブル部16と、第2支持部18と、第2転がり軸受19と、偏心軸20と、を含む。本実施形態においては、第1転がり軸受15および第2転がり軸受19は共に、アンギュラベアリングである。次に、各部材の構成について説明する。
【0023】
ベース部11は、厚さ方向であるZ方向に見て矩形状である。ベース部11は、揺動テーブル10の土台となる部分であり、各部材が直接または間接的に取り付けられる。ベース部11は、板状のベース板34と、一対の案内部17a、案内部17bと、を含む。
【0024】
一対の案内部17a、案内部17bは、ベース板34と一体に構成されている。案内部17aおよび案内部17bは、後述するレール21を挟むようにX方向に間隔をあけて設けられている。案内部17aおよび案内部17bはそれぞれ、ベース板34から立ち上がるように設けられている。案内部17aは、曲面から構成され、後述する摺動面38aと接触する案内面29aを有する。案内部17bは、曲面から構成され、後述する摺動面38bと接触する案内面29bを有する。案内面29aおよび案内面29bはそれぞれ、案内部17aおよび案内部17bそれぞれのZ方向の端部に設けられている。案内面29aおよび案内面29bはそれぞれ、X方向に見て円弧状である。案内面29aおよび案内面29bの曲率は、同じである。案内面29aおよび案内面29bは、テーブル部16の揺動運動時において、テーブル部16を案内する。
【0025】
直動機構12は、本実施形態においては、直動案内ユニットである。直動機構12は、レール21と、複数、本実施形態においては、2つのスライダ22a、スライダ22bと、を含む。レール21は、ベース部11、具体的には、ベース板34のX方向の中央の領域に長手方向をY方向として載置するように取り付けられる。レール21は、複数のボルトによりベース板34に取り付けられ、固定される。レール21には、転動体が転動するレール軌道面が長手方向に沿って凹むように設けられている。
【0026】
スライダ22a、スライダ22bはそれぞれ、レール21に取り付けられる。スライダ22a、スライダ22bにはそれぞれ、転動体が転動するスライダ軌道面が長手方向に沿って凹むように設けられている。スライダ22aのスライダ軌道面とレール軌道面との間には、複数の転動体、例えばボールが設けられる。同様に、スライダ22bのスライダ軌道面とレール軌道面との間には、複数の転動体、例えば、ボールが設けられる。直動案内ユニットとしての直動機構12は、スライダ22a、スライダ22bをレール21の長手方向に円滑に直線往復運動させることができる。
【0027】
駆動源13は、スライダ22a、スライダ22bを直線往復運動させる。駆動源13は、本実施形態においては、ボールねじ23と、モータ24と、を含む。ボールねじ23は、ボールねじナット25と、ねじ軸26と、を含む。ねじ軸26は、長手方向がY方向に延びるように設けられている。ねじ軸26の外径面にはねじ溝が設けられている。ねじ軸26は、モータ24により回転する。ボールねじナット25は、ねじ軸26に取り付けられており、ねじ溝とボールねじナット25に設けられた軌道面との間には、転動体(ボール)が配置されている。ねじ軸26の回転により、ボールねじナット25は、ねじ軸26の長手方向であるY方向に直線往復運動を行う。
【0028】
第1支持部14は、ブロック状であり、ボールねじナット25に取り付けられている。また、第1支持部14は、スライダ22aおよびスライダ22bの上に載置されるようにして取り付けられている。すなわち、ボールねじナット25、第1支持部14、スライダ22aおよびスライダ22bはそれぞれ取り付けられて一体として動くように構成されている。ねじ軸26の回転によりボールねじナット25、ボールねじナット25に取り付けられた第1支持部14、第1支持部14に取り付けられたスライダ22aおよびスライダ22bが連動してY方向に直線往復運動を行う。第1支持部14には、X方向に貫通する貫通孔が設けられており、この貫通孔内に第1転がり軸受15が取り付けられている。本実施形態においては、第1支持部14に設けられた貫通孔に第1転がり軸受15の外輪が嵌め込まれるようにして取り付けられている。
【0029】
テーブル部16は、板状であって、Z方向においてベース部11を覆うようにして取り付けられている。テーブル部16は、駆動源からの動力が伝達されて揺動可能である。テーブル部16は、X-Y平面に平行とすることが可能な平面37を有する載置部27を含む。載置部27の平面37は、Z方向において露出する面となる。載置部27の平面37と厚さ方向において反対側に位置する面が、ベース部11と対向することになる。テーブル部16の揺動運動により、載置部27の平面37は、水平方向に対して傾斜することになる。載置部27のX方向の両端には、ベース板34側に突出する鍔部35aおよび鍔部35bが設けられている。鍔部35aおよび鍔部35bのZ方向の端面は、曲面で構成されている。鍔部35aのZ方向の端面および鍔部35bのZ方向の端面はそれぞれ、X方向に見て円弧状である。
【0030】
テーブル部16は、曲面から構成される摺動面38aを有する摺動部28aを含む。テーブル部16は、曲面から構成される摺動面38bを有する摺動部28bを含む。摺動部28aおよび摺動部28bはそれぞれ、載置部27のうち、ベース板34と対向する面にボルトにより取り付けられている。本実施形態においては、摺動部28aおよび摺動部28bはそれぞれ、載置部27に着脱自在に取り付けられている。摺動部28aは、鍔部35aと接触するように配置されている。摺動部28bは、鍔部35bに接触するように配置されている。摺動面38aおよび摺動面38bはそれぞれ、X方向に見て円弧状である。摺動面38aおよび摺動面38bの曲率は、同じである。
【0031】
第2支持部18はテーブル部16に取り付けられており、テーブル部16を支持する。第2支持部18は、テーブル部16の載置部27のうち、ベース板34と対向する面に取り付けられている。第2支持部18もブロック状である。具体的には、第2支持部18は、X方向に見て、Y方向の幅がベース部11に近づくにしたがって狭くなるテーパー状部分を有する。第2支持部18には、X方向に貫通する貫通孔が設けられており、この貫通孔内に第2転がり軸受19が取り付けられている。本実施形態においては、第2支持部18に設けられた貫通孔に第2転がり軸受19の外輪が嵌め込まれるようにして取り付けられている。
【0032】
偏心軸20は、軸方向がX方向となるように取り付けられる。偏心軸20は、第1軸部31と、第2軸部32と、連結部33と、を含む。連結部33は、板状であって、第1軸部31と第2軸部32とを連結するように設けられる。第2軸部32は、第1軸部31に対して偏心した位置に配置される。具体的には、第1軸部のX方向の端部と第2軸部32のX方向の端部とをそれぞれの軸部の中心をずらした状態、すなわち、偏心した状態で連結する。偏心軸20は、第2軸部32の中心36bを回転中心として回転する。この場合、第2軸部32は、自転運動となる。第2軸部32は、第1軸部31に対して偏心した位置に配置されているため、第1軸部31は、第2軸部32の中心36bを回転中心とした公転運動となる。なお、第1軸部31の中心36aおよび第2軸部32の中心36bについては、図15および図16において図示している。
【0033】
偏心軸20は、第1転がり軸受15および第2転がり軸受19によって支持されている。具体的には、偏心軸20の第1軸部31が、第1転がり軸受15に支持されている。また、偏心軸20の第2軸部32が、第2転がり軸受19に支持されている。本実施形態においては、第1転がり軸受15に含まれる内輪の内側に第1軸部31が嵌め込まれる。また、第2転がり軸受19に含まれる内輪の内側に第2軸部32が嵌め込まれる。ここで、水平方向に見て、テーブル部16、具体的には、載置部27の平面37が水平であるとき、第1軸部31の中心36aと第2軸部32の中心36bとを結ぶ仮想線分39の延びる方向は水平であるように構成される。なお、仮想線分39については、図15および図16において、一点鎖線で図示している。また、テーブル部16が揺動し、平面37が傾斜するとこの仮想線分39も傾斜する。
【0034】
次に、揺動テーブル10の動作について説明する。モータ24からの回転力の伝達により、ボールねじ23のねじ軸26が回転する。そうすると、ねじ軸26に取り付けられたボールねじナット25がY方向に直線運動を行う。このボールねじナット25の直線運動に連動して、第1支持部14も直線運動を行う。この第1支持部14の直線運動に応じて、偏心軸20が回転する。この偏心軸20の回転により、一対の案内部17aの案内面29aおよび案内部17bの案内面29bに案内されて、第2支持部18と共に、テーブル部16が揺動する。テーブル部16の揺動により、載置部27の平面37が傾斜する。
【0035】
このような構成の揺動テーブル10によると、直動機構に含まれるスライダ22aおよびスライダ22bは、駆動源13からの動力により直線往復運動する。スライダ22aおよびスライダ22bに取り付けられた第1支持部14は、スライダ22aおよびスライダ22bと共に直線往復運動する。そうすると、偏心軸20を介して第2支持部18に取り付けられるテーブル部16は、第1支持部14の直線往復運動に伴って揺動運動する。ここで、偏心軸20の第1軸部31は、第1転がり軸受15によって支持され、偏心軸20の第2軸部32は、第2転がり軸受19によって支持されている。このような構成は、滑り機構と異なり、転動体の疲労等に基づく寿命計算が容易である。また、第1転がり軸受15および第2転がり軸受19を採用する構成であるため、ウォームギアを採用する駆動方式と異なり、隙間が生じないため、テーブル部16の正確な位置決めを行うことができると共に、高速運転に適している。したがって、このような揺動テーブル10によると、寿命計算が容易であると共に、テーブル部16の正確な位置決めを行うことができ、高速運転を適切に行うことができる。
【0036】
本実施形態においては、直動機構12は、直動案内ユニットを含む。よって、円滑にテーブル部16を揺動させることができると共に、さらに正確に位置決めを行うことができる。
【0037】
本実施形態においては、第1転がり軸受および第2転がり軸受は共に、アンギュラベアリングである。よって、偏心軸20を適切に支持しながら、円滑にテーブル部16を揺動させることができ、正確な寿命計算を行うことができる。
【0038】
本実施形態においては、駆動源13は、ねじ軸26および第1支持部14に取り付けられるボールねじナット25を備えるボールねじ23と、ねじ軸26を回転させるモータ24と、を含む。よって、モータ24の回転運動をスライダ22aおよびスライダ22bの直動運動に変換して、より円滑にテーブル部16を揺動させることができると共にモータ24の回転を制御して、高速運転および正確な位置決めを実施することができる。
【0039】
本実施形態においては、水平方向に見て、テーブル部16が水平であるとき、第1軸部31の中心36aと第2軸部32の中心36bとを結ぶ仮想線分39の延びる方向は水平である。よって、テーブル部16の位置が水平であるときの揺動テーブル10の安定性を確保することができる。
【0040】
本実施形態においては、スライダ22aおよびスライダ22bは、複数、具体的には、2つ設けられている。よって、複数のスライダ22aおよびスライダ22bによって第1支持部14の直線往復運動を正確に行うことができ、より正確な位置決めおよび高速運転を実施することができる。
【0041】
本実施形態においては、テーブル部16は、曲面から構成される摺動面38aを有する摺動部28aおよび曲面から構成される摺動面38bを有する摺動部28bを含む。ベース部11は、曲面から構成され、摺動面38aと接触する案内面29aを有し、テーブル部16を案内する案内部17aおよび曲面から構成され、摺動面38bと接触する案内面29bを有し、テーブル部16を案内する案内部17bを含む。よって、摺動面38a、摺動面38bをそれぞれ有する摺動部28aおよび摺動部28b、および案内面29aおよび案内面29bをそれぞれ有する案内部17aおよび案内部17bによって、テーブル部16の揺動運動をより円滑にすることができる。
【0042】
本実施形態においては、案内部17aおよび案内部17bは、レール21を挟むように一対設けられている。よって、より適切に揺動するテーブル部16を案内することができる。
【0043】
(他の実施の形態)
なお、上記実施の形態においては、案内部17aおよび案内部17bは、レール21を挟むように一対設けられていることとしたが、これに限らず、いずれか一方を設けることとしてもよい。
【0044】
また、上記実施の形態においては、スライダ22aおよびスライダ22bは、複数設けられることとしたが、これに限らず、スライダは1つであってもよい。
【0045】
なお、上記実施の形態においては、駆動源13は、ねじ軸26および第1支持部14に取り付けられるボールねじナット25を備えるボールねじ23と、ねじ軸26を回転させるモータ24と、を含むこととしたが、これに限らず、駆動源13は、直線往復運動を行うことができる他の機構、例えばリニアモータを用いてもよい。また、上記実施の形態において、直動機構として直動案内ユニットを用いることとしたが、これに限らず、他の直動機構を採用することとしてもよい。
【0046】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、どのような面からも制限的なものではないと理解されるべきである。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって規定され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0047】
10 揺動テーブル、11 ベース部、12 直動機構、13 駆動源、14 第1支持部、15 第1転がり軸受、16 テーブル部、17a,17b 案内部、18 第2支持部、19 第2転がり軸受、20 偏心軸、21 レール、22a,22b スライダ、23 ボールねじ、24 モータ、25 ボールねじナット、26 ねじ軸、27 載置部、28a,28b 摺動部、29a,29b 案内面、31 第1軸部、32 第2軸部、33 連結部、34 ベース板、35a,35b 鍔部、36a,36b 中心、37 平面、38a,38b 摺動面、39 仮想線分。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16