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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024065577
(43)【公開日】2024-05-15
(54)【発明の名称】増強した安定性を有する組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/81 20060101AFI20240508BHJP
   A61K 8/84 20060101ALI20240508BHJP
   A61K 8/19 20060101ALI20240508BHJP
   A61Q 1/10 20060101ALI20240508BHJP
【FI】
A61K8/81
A61K8/84
A61K8/19
A61Q1/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022174510
(22)【出願日】2022-10-31
(71)【出願人】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L’OREAL
【住所又は居所原語表記】14 Rue Royale,75008 PARIS,France
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【弁理士】
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】モハメド・ブララ
(72)【発明者】
【氏名】安部 裕子
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB131
4C083AB132
4C083AC102
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC212
4C083AC542
4C083AC782
4C083AD071
4C083AD072
4C083AD091
4C083AD092
4C083AD161
4C083CC11
4C083CC14
4C083DD39
4C083EE01
4C083EE03
(57)【要約】
【課題】高温下であっても経時的に安定であり、且つアイライナーに好適である組成物を提供すること。
【解決手段】(a)少なくとも1種の顔料と、(b)(メタ)アクリル酸、そのエステル及びその塩から選択される少なくとも2種のモノマーの少なくとも1種のアクリルコポリマーと、(c)少なくとも1種のポリウレタンと、(d)水とを含む、組成物であって、((b)アクリルコポリマーの量及び(c)ポリウレタンの量)/(a)顔料の量の質量比が、1.5以上、好ましくは2.0以上、より好ましくは2.5以上であり、(a)顔料が、カーボンブラックである、組成物に関する。本発明による組成物は、室温において又は高温下であっても、経時的に安定である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)少なくとも1種の顔料と、
(b)(メタ)アクリル酸、そのエステル及びその塩から選択される少なくとも2種のモノマーの少なくとも1種のアクリルコポリマーと、
(c)少なくとも1種のポリウレタンと、
(d)水と
を含む組成物であって、
((b)アクリルコポリマーの量及び(c)ポリウレタンの量)/(a)顔料の量の質量比が、1.5以上、好ましくは2.0以上、より好ましくは2.5以上であり、
(a)顔料が、カーボンブラックである、
組成物。
【請求項2】
組成物中の前記(a)顔料の量が、組成物の総質量に対して、1質量%~30質量%、好ましくは3質量%~20質量%、より好ましくは5質量%~10質量%である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記(b)アクリルコポリマーのための(メタ)アクリル酸エステルが、C1~C30アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート、C6~C10アリール基を有するアリール(メタ)アクリレート、及びC2~C6ヒドロキシアルキル基を有するヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートから選択される、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
組成物中の前記(b)アクリルコポリマーの量が、組成物の総質量に対して、0.001質量%~30質量%、好ましくは0.01質量%~20質量%、より好ましくは0.1質量%~10質量%である、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記(c)ポリウレタンが、少なくとも1つの尿素部分を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記(c)ポリウレタンが、少なくとも1つのポリシロキサン部分を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記(c)ポリウレタンが、ポリウレタン-6、ポリウレタン-35、ポリウレタン-93、ポリウレタン-99、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
組成物中の前記(c)ポリウレタンの量が、組成物の総質量に対して、1質量%~40質量%、好ましくは5質量%~35質量%、より好ましくは10質量%~30質量%である、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記(c)ポリウレタンの量/前記(b)アクリコポリマーの量の質量比が、4以上、好ましくは6以上、より好ましくは8以上である、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記(b)アクリルコポリマー及び/又は前記(c)ポリウレタンが、粒子の形態にある、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
組成物中の前記(d)水の量が、組成物の総質量に対して、10質量%~60質量%、好ましくは20質量%~50質量%、より好ましくは25質量%~47質量%である、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
少なくとも1種の界面活性剤を、組成物の総質量に対して、0.5質量%以下、好ましくは0.3質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下の量で含む、又は界面活性剤を全く含まない、請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
化粧用組成物、好ましくはメイクアップ組成物、より好ましくはアイライナー組成物である、請求項1から12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
ケラチン物質をメイクアップする美容方法であって、
前記ケラチン物質上に、請求項1から13のいずれか一項に記載の組成物を塗布する工程
を含む、美容方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケラチン物質に好適な組成物、好ましくは化粧用組成物、より好ましくはメイクアップ化粧用組成物、特定するとアイライナーに関し、且つ該組成物に関する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚及び粘膜表面等のケラチン物質のためのメイクアップを対象とする化粧用組成物、特に目のメイクアップ製品、例としてはアイライナー、特にペンシルの形態にあるアイライナーが存在してきた。
【0003】
一般に、これらの化粧用組成物は、例えば、メイクアップ目的のために本来の皮膚の色をコンシールすることが求められており、このコンシールが長時間続くことができることが好ましい。
【0004】
WO2020/004239は、アイライナーに好適であり、カーボンブラック及び特定の皮膜形成性コポリマーを含み、それによって持続するコンシール効果をもたらす組成物を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】WO2020/004239
【特許文献2】米国特許第3,383,351号
【特許文献3】米国特許第3,304,273号
【特許文献4】米国特許第3,523,095号
【特許文献5】米国特許第3,110,695号
【特許文献6】独国特許第1152536号
【特許文献7】米国特許第3,412,054号
【特許文献8】DE 10 2008 051727 A1
【特許文献9】DE 10 2007 019184
【特許文献10】EP-A0916647
【特許文献11】DE-A2446440
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】ISO 16128-1:2016、part 1
【非特許文献2】DIN 65467
【非特許文献3】DIN ISO 4629
【非特許文献4】DIN EN ISO 2114
【非特許文献5】Ullmanns Encyclopadie der technischen Chemie、第4版、第19巻、Verlag Chemie、Weinheim、31~38頁
【非特許文献6】Methoden der organischen Chemie(Houben-Weyl、Erweiterungs- und Folgebande zur 4.Auflage、Volume E20, H. Bartl and J. Falbe, Stuttgart、New York、Thieme 1987年、1671~1682頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
その一方で、増強した安定性、例えば粘度における経時的な安定性、特定すると高温下での経時的な安定性を保有する、改善した組成物への必要性が依然として存在する。
【0008】
本発明の目的は、高温下であっても経時的に安定であり、且つアイライナーに好適である、組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的は、
(a)少なくとも1種の顔料と、
(b)(メタ)アクリル酸、そのエステル及びその塩から選択される少なくとも2種のモノマーの少なくとも1種のアクリルコポリマーと、
(c)少なくとも1種のポリウレタンと、
(d)水と
を含む、組成物であって、
((b)アクリルコポリマーの量及び(c)ポリウレタンの量)/(a)顔料の量の質量比が、1.5以上、好ましくは2.0以上、より好ましくは2.5以上であり、
(a)顔料が、カーボンブラックである、組成物によって達成することができる。
【0010】
本発明による組成物中の(a)顔料の量は、組成物の総質量に対して、1質量%~30質量%、好ましくは3質量%~20質量%、より好ましくは5質量%~10質量%であってよい。
【0011】
(b)アクリルコポリマーのための(メタ)アクリル酸エステルは、C1~C30アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート、C6~C10アリール基を有するアリール(メタ)アクリレート、及びC2~C6ヒドロキシアルキル基を有するヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートから選択することができる。
【0012】
本発明による組成物中の(b)アクリルコポリマーの量は、組成物の総質量に対して、0.001質量%~30質量%、好ましくは0.01質量%~20質量%、より好ましくは0.1質量%~10質量%であってよい。
【0013】
(c)ポリウレタンは、少なくとも1つの疎水性部分を含んでよい。
【0014】
(c)ポリウレタンは、少なくとも1つのポリシロキサン部分を含んでよい。
【0015】
(c)ポリウレタンは、ポリウレタン-6、ポリウレタン-35、ポリウレタン-93、ポリウレタン-99、及びこれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0016】
本発明による組成物中の(c)ポリウレタンの量は、組成物の総質量に対して、1質量%~40質量%、好ましくは5質量%~35質量%、より好ましくは10質量%~30質量%であってよい。
【0017】
(c)ポリウレタンの量/(b)アクリルコポリマーの量の質量比は、4以上、好ましくは6以上、より好ましくは8以上であってよい。
【0018】
(b)アクリルコポリマー及び/又は(c)ポリウレタンは、粒子の形態にあってよい。
【0019】
本発明による組成物中の(d)水の量は、組成物の総質量に対して、10質量%~60質量%、好ましくは20質量%~50質量%、より好ましくは25質量%~47質量%であってよい。
【0020】
本発明による組成物は、少なくとも1種の界面活性剤を、組成物の総質量に対して、0.5質量%以下、好ましくは0.3質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下の量で含んでもよく、又は本発明による組成物は、界面活性剤を全く含まなくてもよい。
【0021】
本発明による組成物は、化粧用組成物、好ましくはメイクアップ組成物、より好ましくはアイライナー組成物であってよい。
【0022】
本発明の別の態様は、ケラチン物質をメイクアップする美容方法であって、ケラチン物質上に、本発明による組成物を塗布する工程を含む、美容方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0023】
鋭意検討の結果、本発明者らは、高温下であっても経時的に安定であり且つアイライナーに好適である組成物を提供することが可能であることを発見した。
【0024】
そのため、本発明による組成物は、
(a)少なくとも1種の顔料と、
(b)(メタ)アクリル酸、そのエステル及びその塩から選択される少なくとも2種のモノマーの少なくとも1種のアクリルコポリマーと、
(c)少なくとも1種のポリウレタンと、
(d)水と
を含む組成物であって、
((b)アクリルコポリマーの量及び(c)ポリウレタンの量)/(a)顔料の量の質量比が、1.5以上、好ましくは2.0以上、より好ましくは2.5以上であり、
(a)顔料が、カーボンブラックである、
組成物である。
【0025】
本発明による組成物は、室温において又は高温下であっても、経時的に安定である。例えば、本発明による組成物の粘度は、高温下であっても、経時的に安定である。
【0026】
本発明による組成物は、アイライナーで安定である。例えば、本発明による組成物がアイライナーとして使用される場合、液状ペンタイプのディスペンサ又はパッケージ等の美容デバイスからのアイライナーの堆積の量は、高温下であっても経時的に安定であることができる。堆積量の安定性は、(a)顔料と、(b)アクリルポリマーと、(c)ポリウレタンとの混合物の美容デバイス中で、目詰まりを引き起こさない安定性を反映することができる。
【0027】
したがって、本発明による組成物は、優れた使用性を有する。
【0028】
本発明による組成物はまた、皮膚及び粘膜表面等のケラチン物質に、優れた美容効果又は性質、例えば良好な色コンシール効果、及び皮脂、又は例えば汗若しくは雨によってもたらされる水に対する持続的メイクアップ効果も、もたらすことができる。
【0029】
これ以降、本発明による組成物及び方法が、詳細に説明されることになる。
【0030】
[組成物]
(顔料)
本発明による組成物は、(a)少なくとも1種の顔料を含む。2種以上の顔料が使用される場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。
【0031】
本発明によれば、(a)顔料は、カーボンブラックである。
【0032】
本発明による組成物中の(a)顔料の量は、組成物の総質量に対して、1質量%以上、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上であってよい。
【0033】
その一方で、本発明による組成物中の(a)顔料の量は、組成物の総質量に対して、30質量%以下、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下であってよい。
【0034】
これに応じて、本発明による組成物中の(a)顔料の量は、組成物の総質量に対して、1質量%~30質量%、好ましくは3質量%~20質量%、より好ましくは5質量%~10質量%の範囲であってよい。
【0035】
ポリマー分散体、好ましくは以下に説明される(b)アクリルコポリマーを更に含む水性分散体の形態にある(a)顔料を使用することが好ましい。
【0036】
(アクリルコポリマー)
本発明による組成物は、(b)少なくとも1種のアクリルコポリマーを含む。2種以上のアクリルコポリマーが使用される場合、それらは、同一であっても異なっていてもよい。
【0037】
(b)アクリルコポリマーは、(メタ)アクリル酸、そのエステル及びその塩から選択される少なくとも2種のモノマーの、コポリマーである。
【0038】
(b)アクリルコポリマーは、(メタ)アクリル酸、そのエステル及びその塩から選択される少なくとも2種のモノマーを重合させることによって調製することができる。
【0039】
スチレン又はα-メチルスチレンは、(b)アクリルコポリマーのためのモノマーとして使用されない。そのため、(b)アクリルコポリマーは、スチレン又はα-メチルスチレンに由来する単位を含まない。
【0040】
(b)アクリルコポリマーのための(メタ)アクリル酸エステルが、C1~C30アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート、C6~C10アリール基を有するアリール(メタ)アクリレート、及びC2~C6ヒドロキシアルキル基を有するヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートから選択されることが好ましい。
【0041】
アルキル(メタ)アクリレートの中で、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート及びシクロヘキシルメタクリレートを挙げることができる。
【0042】
ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの中で、ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート及び2-ヒドロキシプロピルメタクリレートを挙げることができる。
【0043】
アリール(メタ)アクリレートの中で、ベンジルアクリレート及びフェニルアクリレートを挙げることができる。
【0044】
特に好ましい(メタ)アクリル酸エステルは、アルキル(メタ)アクリレートである。
【0045】
本発明によれば、該エステルのアルキル基は、フッ素化されている又は過フッ素化されている、のいずれかであってよく、すなわちアルキル基の水素原子の一部又は全ては、フッ素原子で置換されている。
【0046】
(b)アクリルコポリマーのための(メタ)アクリル酸塩は、(メタ)アクリル酸の金属塩又はアンモニウム塩から選択することができる。金属塩は、アルカリ金属塩、例えばナトリウム塩若しくはカリウム塩、又はアルカリ土類金属塩、例えばマグネシウム塩若しくはカルシウム塩であってよい。(b)アクリルコポリマーのための(メタ)アクリル酸塩は、(メタ)アクリル酸のアンモニウム塩から選択することができる。
【0047】
(b)アクリルコポリマーは、少なくとも1つのアンモニウム部分又は基を有してよい。アンモニウム部分若しくは基は、ペンダント基としてのアンモニウム塩部分若しくは基として存在してもよく、又はアルキル(メタ)アクリレートのアルキル基等の化学構造の主鎖中に存在してもよい。
【0048】
(b)アクリルコポリマーは、(メタ)アクリル酸アンモニウム塩から選択される少なくとも1種のモノマーと、(メタ)アクリル酸のエステルから選択される少なくとも1種のモノマーとの、コポリマーであってよい。
【0049】
(b)アクリルコポリマーは、アンモニウムアクリレートコポリマー、例えばInterpolymer社により販売されているSyntran PC5400及びSyntran KL219Cであってよい。
【0050】
(b)アクリルコポリマーが、アンモニウム部分又は基を有していない(メタ)アクリル酸のエステルから選択される少なくとも1種のモノマーと、アンモニウム部分又は基を有していない(メタ)アクリル酸のエステルから選択される少なくとも1種のモノマーとの、コポリマーであることが好ましいことがある。
【0051】
(b)アクリルコポリマーが、大東化成工業株式会社により販売されているDaitosol 3000SLPN-SD及びDaitosol 3000VSD等のアクリレートコポリマーであることが好ましいことがある。
【0052】
本発明の組成物が、2種以上の異なるアクリレートコポリマーを含むことが好ましいことがある。2種以上の異なるアクリレートコポリマーを組み合わせることにより、カーボンブラックである(a)顔料は、本発明による組成物中に、より安定に分散されうる。例えば、上記のDaitosol 3000SLPN-SDとDaitosol 3000VSDとを、10:1~1:1、好ましくは3:1~1.5:1の比で組み合わせることができる。
【0053】
(b)アクリルコポリマーが、アクリレートコポリマー(INCI名)であることが好ましい。
【0054】
(b)アクリルコポリマーは、好ましくは、特に(a)顔料と組み合わせることができる。例えば、(b)アクリルコポリマーは、(a)顔料の分散剤として使用することができる。
【0055】
(b)アクリルコポリマーは、粒子の形態にあってよい。粒子は、100nm以下の体積平均粒径を有してよい。
【0056】
本発明による組成物中の(b)アクリルコポリマーの量は、組成物の総質量に対して、0.001質量%以上、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上であってよい。本発明による組成物中の(b)アクリルコポリマーの量が、組成物の総質量に対して1質量%以上であることが、更により好ましいことがある。
【0057】
その一方で、本発明による組成物中の(b)アクリルコポリマーの量は、組成物の総質量に対して、30質量%以下、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下であってよい。本発明による組成物中の(b)アクリルコポリマーの量が、組成物の総質量に対して6質量%以下であることが、更により好ましいことがある。
【0058】
これに応じて、本発明による組成物中の(b)アクリルポリマーの量は、組成物の総質量に対して、0.001質量%~30質量%、好ましくは0.01質量%~20質量%、より好ましくは0.1質量%~10質量%の範囲であってよい。本発明による組成物中の(b)アクリルコポリマーの量が、組成物の総質量に対して1質量%~6質量%であることが、更により好ましいことがある。
【0059】
(ポリウレタン)
本発明による組成物は、(c)少なくとも1種のポリウレタンを含む。2種以上のポリウレタンが使用される場合、それらは、同一あっても異なっていてもよい。
【0060】
一実施形態では、(c)ポリウレタンは、以下に規定される(i)、(ii)及び/又は(iii)の反応生成物を含んでよい。
【0061】
反応生成物(i)は、式:
【0062】
【化1】
【0063】
(式中、
R1は、ジヒドロキシル官能性化合物の二価基から選ばれ、
R2は、脂肪族又は脂環式ポリイソシアネートの炭化水素基から選ばれ、
R3は、イオン性基で任意選択で置換されている低分子量ジオールの基から選ばれ、nは、約0~約5の範囲であり、mは、約1超である)
による任意のプレポリマーであってよい。
【0064】
二価基R1を付与するのに好適なジヒドロキシル化合物には、少なくとも2つのヒドロキシ基を有し、約700~約16,000、例えば約750~約5,000の範囲の数平均分子量を有するものが挙げられる。高分子量化合物の非限定的な例には、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリヒドロキシポリカーボネート、ポリヒドロキシポリアセタール、ポリヒドロキシポリアクリレート、ポリヒドロキシポリエステルアミド、ポリヒドロキシポリアルカジエン及びポリヒドロキシポリチオエーテルが挙げられる。様々な実施形態では、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール及びポリヒドロキシポリカーボネートを選ぶことができる。このような化合物の混合物もまた、本開示の範囲内にある。
【0065】
ポリエステルジオールは、脂肪族、脂環式又は芳香族ジカルボン酸又はポリカルボン酸、又はそれらの無水物;及び脂肪族、脂環式又は芳香族ジオールから選ばれるジオール等の二価アルコールから、任意選択で調製することができる。
【0066】
脂肪族ジカルボン酸又はポリカルボン酸は、例えば、コハク酸、フマル酸、グルタル酸、2,2-ジメチルグルタル酸、アジピン酸、イタコン酸、ピメル酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、マロン酸、2,2-ジメチルマロン酸、ノナンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、ドデカン-二酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、2,5-ノルボランジカルボン酸、ジグリコール酸、チオジプロピオン酸、2,5-ナフタレン-ジカルボン酸、2,6-ナフタレン-イジカルボン酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、シュウ酸、o-フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸又はトリメット酸から選ぶことができる。酸無水物は、更なる例示的な実施形態では、o-フタル酸無水物、トリメリット酸無水物若しくはコハク酸無水物、又はこれらの混合物から選ぶことができる。非限定的な例のみによれば、ジカルボン酸は、アジピン酸であってよい。
【0067】
二価アルコールは、例えば、エタンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、1,4-ジヒドロキシシクロヘキサン、1,4-ジメチロールシクロヘキサン、シクロヘキサンジメタノール、1,8-オクタンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオール、ネオペンチルグリコール、及びこれらの混合物から選ぶことができる。脂環式及び/又は芳香族ジヒドロキシル化合物はまた、ポリエステルポリオールの調製のための二価アルコールとして好適でありうる。
【0068】
ポリエステルジオールはまた、ラクトンのホモポリマー又はコポリマーからも選ぶことができ、これは、少なくとも一定の実施形態では、ラクトン又はラクトン混合物、例えばブチロラクトン、ε-カプロラクトン及び/又はメチル-ε-カプロラクトンの、適当な多官能性の、例えば二官能性の出発分子、例えば上に挙げた二価アルコールとの付加反応によって得られる。少なくとも一部の実施形態では、ε-カプロラクトンの相当するポリマーを選ぶことができる。
【0069】
ポリエステルポリオール、例えばポリエステルジオール、R1基は、ジカルボン酸、例えばアジピン酸の、ポリオール、例えばジオール、例えばヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、及びこれらの混合物との重縮合によって得ることができる。
【0070】
ヒドロキシル基を含有するポリカーボネートは、それ自体公知であるものを含み、例えばジオール、例えば(1,3)-プロパンジオール、(1,4)-ブタンジオール及び/又は(1,6)-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール又はテトラエチレングリコールを、炭酸ジアリール、例えば炭酸ジフェニル又はホスゲンと反応させることによって得られる生成物を含む。
【0071】
任意選択のポリエーテルポリオールは、反応性水素原子を含有する出発化合物を、アルキレンオキシド、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシド、テトラヒドロフラン若しくはエピクロヒドリンと、又はこれらのアルキレンオキシドの混合物と、反応させることによって、任意の公知の方法において得ることができる。少なくとも一定の実施形態では、ポリエーテルは、約10質量%超のエチレンオキシド単位を含有しない。例えば、エチレンオキシドの付加なしで得られるポリエーテルを選ぶことができる。
【0072】
ビニルポリマーで修飾されたポリエーテルはまた、本開示の様々な実施形態によれば、好適である。このタイプの生成物は、例えば、ポリエーテルの存在下でのスチレンとアクリロニトリルとの重合によって得ることができ、例えば米国特許第3,383,351号、同第3,304,273号、同第3,523,095号、同第3,110,695号、及び独国特許第1152536号に記載されているものである。
【0073】
選ばれうるポリチオエーテルには、チオグリコールそれ自体から得られる縮合生成物、並びに/又は他のグリコール、ジカルボン酸、ホルムアルデヒド、アミノカルボン酸及び/若しくはアミノアルコールから得られる縮合生成物が挙げられる。得られる生成物は、共成分に応じて、混合されたポリチオエーテル、ポリチオエーテルエステル又はポリチオエーテルエステルアミドの、いずれかである。
【0074】
任意選択のポリアセタールには、アルデヒドから調製されうる化合物、例えばホルムアルデヒド及びグリコールから調製されうる化合物、例えばジエチレングリコール、トリエチレングリコール、エトキシル化4,4'-(ジヒドロキシ)ジフェニル-ジメチルメタン及び(1,6)-ヘキサン-ジオールが挙げられるがこれらに限定されない。本開示の様々な非限定的な実施形態により有用であるポリアセタールはまた、環状アセタールを重合することによって調製することができる。
【0075】
任意選択のポリヒドロキシポリエステルアミド及びポリアミンには、例えば、飽和若しくは不飽和の、多塩基カルボン酸若しくはその無水物から、及び飽和若しくは不飽和の、多価アミノアルコールから、ジアミンから、又はポリアミンから、並びにこれらの混合物から得られる、主に直鎖状の縮合生成物が挙げられる。
【0076】
ヒドロキシル官能性を有するポリアクリレートの生成のための任意選択のモノマーは、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、無水マレイン酸、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、3-ヒドロキシプロピルアクリレート、3-ヒドロキシプロピルメタクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、2-イソシアナトエチルアクリレート及び2-イソシアナトエチルメタクリレートを含む。
【0077】
ジヒドロキシ化合物の混合物もまた、選ぶことができる。
【0078】
炭化水素系基R2を付与するための任意選択のポリイソシアネートには、例えば、約100~約1500、例えば約112~約1000、又は約140~約400の範囲の分子量を有する有機ジイソシアネートが挙げられる。
【0079】
任意選択のジイソシアネートは、一般式R2(NCO)2(式中、R2は、約4~18個の炭素原子を含む二価の脂肪族炭化水素基、約5~15個の炭素原子を含む二価の脂環式炭化水素基、約7~15個の炭素原子を含む二価の芳香脂肪族炭化水素基、又は約6~15個の炭素原子を含む二価の芳香族炭化水素基を表す)から選ばれるものである。選ばれうる有機ジイソシアネートの例には、テトラメチレンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン-1,3-ジイソシネート及びシクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、1-イソシアナト-3-イソシアナト-イメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート又はIPDI)、ビス(4-イソシアナトシクロヘキシル)-メタン、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン及び1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン及びビス(4-イソシアナト-3-メチルシクロヘキシル)メタンが挙げられるがこれらに限定されない。ジイソシアネートの混合物もまた使用することができる。
【0080】
少なくとも一定の実施形態では、ジイソシアネートは、脂肪族及び脂環式ジイソシアネートから選ばれる。例えば、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート及びジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、並びにこれらの混合物を選ぶことができる。
【0081】
ジオール、例えば低分子量ジオール、R3の使用は、少なくとも一定の実施形態では、ポリマー鎖の補強を可能にすることができる。表現「低分子量ジオール」は、約50~約800、例えば約60~700、又は約62~200の範囲の分子量を有するジオールを意味する。これらは、様々な実施形態では、脂肪族、脂環式又は芳香族の各基を含有することができる。一定の例示的な実施形態では、化合物は、脂肪族基のみを含有する。選ばれうるジオールは、最大約20個の炭素原子を任意選択で有してよく、且つ例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロパン-1,2-ジオール、プロパン-1,3-ジオール、ブタン-1,4-ジオール、1,3-ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ブチルエチルプロパンジオール、シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ヘキサン-1,6-ジオール、ビスフェノールA(2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン)、水素化ビスフェノールA(2,2-ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン)、及びこれらの混合物から選ぶことができる。例えば、R3は、ネオペンチルグリコールに由来してよい。
【0082】
任意選択で、低分子量ジオールは、イオン性基又は潜在的イオン性基を含有することができる。イオン性基又は潜在的イオン性基を含有する好適な低分子量ジオールは、米国特許第3,412,054号に開示されているものから選ぶことができる。様々な実施形態では、化合物は、ジメチロールブタン酸(DMBA)、ジメチロールプロピオン酸(DMPA)及びカルボキシル含有カプロラクトンポリエステルジオールから選ぶことができる。イオン性基又は潜在的イオン性基を含有する低分子量ジオールが選ばれる場合、それらは、例えば、ポリウレタン分散体中にポリウレタン1グラム当たり約0.30meq未満の-COOHが存在するような量で使用することができる。少なくとも一定の例示的で非限定的な実施形態では、イオン性基又は潜在的イオン性基を含有する低分子量ジオールは使用されない。
【0083】
反応生成物(ii)は、式:
H2N-R4-NH2
(式中、
R4は、アルキレン基又はアルキレンオキシド基から選ばれ、前記基は、イオン性基又は潜在的イオン性基で置換されていない)
による少なくとも1種の鎖延長剤から選ぶことできる。
【0084】
反応生成物(ii)は、アルキレンジアミン、例えばヒドラジン、エチレン-ジアミン、プロピレンジアミン、1,4-ブチレンジアミン及びピペラジン;並びにアルキレンオキシドジアミン、例えばジプロピルアミンジエチレングリコール(Tomah Products社(Milton、WI)から入手可能なDPA-DEG)、2-メチル-1,5-ペンタンジアミン(DuPont社製のDytec A)、ヘキサンジアミン、イソホロン-ジアミン、及び4,4-メチレンジ(シクロヘキシルアミン)、及びTomah Products社(Milton、WI)から入手可能なエーテルアミンのDPAシリーズ、含まれるのはジプロピルアミンプロピレングリコール、ジプロピルアミンジプロピレングリコール、ジプロピルアミントリプロピレングリコール、ジプロピルアミンポリ(プロピレングリコール)、ジプロピルアミンエチレングリコール、ジプロピルアミンポリ(エチレングリコール)、ジプロピルアミン1,3-プロパンジオール、ジプロピルアミン2-メチル-1,3-プロパンジオール、ジプロピルアミン1,4-ブタンジオール、ジプロピルアミン1,3-ブタンジオール、ジプロピルアミン1,6-エキサンジオール及びジプロピルアミンシクロヘキサン-1,4-ジメタノール、及びこれらの混合物から任意選択で選ぶことができる。
【0085】
反応生成物(iii)は、式:
H2N-R5-NH2
(式中、
R5は、イオン性基又は潜在的イオン性基で置換されているアルキレン基から選ばれる)
による少なくとも1種の鎖延長剤から選ぶことできる。少なくとも一定の例示的な実施形態では、化合物は、イオン性基又は潜在的イオン性基、及び2つのイソシアネート反応性基を有してよい。
【0086】
本明細書で使用されるとき、イオン性基又は潜在的イオン性基には、第三級若しくは第四級アンモニウム基;カルボキシル基、カルボキシレート基、スルホン酸基及びスルホネート基等の基へと変換可能な基を含む基が挙げられる。挙げられたタイプの塩の基へと変換可能な基の少なくとも部分的な変換は、水と混合する前又はその間に起こりうる。具体的な化合物には、ジアミノスルホン酸塩、例えば、N-(2-アミノエチル)-2-アミノエタンスルホン酸(AAS)のナトリウム塩、又はN-(2-アミノエチル)-2-アミノプロピオン酸のナトリウム塩が挙げられる。
【0087】
少なくとも一定の実施形態では、R5は、スルホン酸基又はスルホネート基で置換されているアルキレン基を表す。例のみによれば、該化合物は、N-(2-アミノエチル)-2-アミノエタンスルホン酸のナトリウム塩から選ばれる。
【0088】
ポリウレタンは、ラテックスの形態、例えば水性ポリウレタン分散体の形態にあってよい。
【0089】
非限定的な例によれば、このようなポリウレタンラテックスポリマーには、プレポリマーの反応生成物を含む水性ポリウレタン分散体、例えばBayer社により名称BAYCUSAN(登録商標)で販売されているもの、例えば、BAYCUSAN(登録商標)C1000(INCI名: ポリウレタン-34)、BAYCUSAN(登録商標)C1001(INCI名: ポリウレタン-34)、BAYCUSAN(登録商標)C1003(INCI名: ポリウレタン-32)、BAYCUSAN(登録商標)C1004(INCI名: ポリウレタン-35)及びBAYCUSAN(登録商標)C1008(INCI名: ポリウレタン-48)が挙げられるがこれらに限定されない。様々な例示的な実施形態では、ポリウレタンラテックスは、イソフタル酸/アジピン酸/ヘキシレングリコール/ネオペンチルグリコール/ジメチロールプロパン酸/イソホロンジイソシアネートコポリマーの水性ポリウレタン分散体(INCI名: ポリウレタン-1、例えばLUVISET(登録商標)P.U.R、BASF社)、ポリカーボネートポリウレタン、脂肪族ポリウレタン及び脂肪族ポリエステルポリウレタン(例えばNEOREZ(登録商標)シリーズ、DSM、例えばNEOREZ(登録商標)R989及びNEOREZ(登録商標)R-2202)から選ぶことができるがこれらに限定されない。
【0090】
(c)ポリウレタンが少なくとも1つの尿素部分を含むことが好ましいことがある。
【0091】
別の実施形態では、(c)ポリウレタンは、コハク酸をベースとするポリエステルポリオールから構成されるポリウレタン/尿素ポリマーであってよい。
【0092】
ポリウレタン尿素ポリマーは、少なくとも
a)5~40wt%の、2以上の官能価を有する少なくとも1種の脂肪族又は芳香族ポリイソシアネートと、
b)40~90wt%の、コハク酸、及びその炭素スケルトンが2~12個の炭素原子を含有する少なくとも1種のジヒドロキシ化合物から構成される、2以上の官能価及び400~8000g/molのモル質量Mnを有する少なくとも1種のポリエステルポリオールと、
c)0.1~5wt%の、潜在的イオン性基を含有する、2以上の官能価を有する少なくとも1種のイソシアネート反応性化合物と、
d)0.1~17wt%の、32~400g/molのモル質量Mn及び1~3の官能価を有する少なくとも1種のポリアミンと、
e)任意選択で0~15wt%の、少なくとも1種の非イオン性のイソシアネート反応性親水化剤と、
f)任意選択で0~7.0wt%の、400g/mol未満のモル質量Mn及び2~4の官能価を有する、少なくとも1種のポリヒドロキシ化合物と、
g)任意選択で0~8.0wt%の、成分c)の潜在的イオン性基を中和するための少なくとも1種の中和剤と
の成分であって、
成分a)~g)の和が、100wt%以下であり、且つ
特に成分a)~g)の、ポリウレタン尿素ポリマーを構成するのに利用される成分のうちの少なくとも50wt%が、ISO 16128-1:2016、part 1に従った再生可能な源に由来する、
成分から構成されてよい。
【0093】
本発明による表現「再生可能な源に由来する」は、それぞれの材料について、材料源が、「再生可能な源に由来する」と呼ばれる材料のうちの90wt%超、又は好ましくは95wt%超、又は好ましくは99wt%超が植物又は発酵プロセスから生じるところから選択され、ここで、生きている有機物及び植物のみが、再生可能な源を造るための発酵プロセスに含まれることを意味する。これらの成分の天然起源の定義のための基本はまた、ISO 16128-1:2016、part 1、2頁にも見出すことができる。
【0094】
好ましいのは、少なくとも
a)7.5~40wt%の、2以上の官能価を有する少なくとも1種の脂肪族又は芳香族ポリイソシアネートと、
b)45~85wt%の、コハク酸、及びその炭素スケルトンが2~12個の炭素原子を含有する少なくとも2種の異なるジヒドロキシ化合物から構成される、2以上の官能価及び400~8000g/molの数平均モル質量Mnを有する少なくとも1種のポリエステルポリオールと、
c)0.4~4.5wt%の、潜在的イオン性基を含有する、2以上の官能価を有する少なくとも1種のイソシアネート反応性化合物と、
d)0.25~15wt%の、32~400g/molのモル質量及び1~3の官能価を有する少なくとも1種のポリアミンと、
e)任意選択で0~15wt%の、少なくとも1種の非イオン性のイソシアネート反応性親水化剤と、
f)任意選択で0~7.0wt%の、400g/mol未満のモル質量n及び2~4の官能価を有する少なくとも1種のポリヒドロキシ化合物と、
g)任意選択で0~8.0wt%の、成分c)の潜在的イオン性基を中和するための少なくとも1種の中和剤と
から構成されるポリウレタン尿素ポリマーであって、
成分a)~g)の和が、100wt%以下である、
ポリウレタン尿素ポリマーであってよい。
【0095】
特に好ましいのは、
a)10~30wt%の、2以上の官能価を有する少なくとも1種の脂肪族又は芳香族ポリイソシアネートと、
b)50~80wt%の、コハク酸、及びその炭素スケルトンが2~12個の炭素原子を含有する少なくとも2種の異なるジヒドロキシ化合物から構成される、2以上の官能価及び400~8000g/molの数平均モル質量Mnを有する少なくとも1種のポリエステルポリオールと、
c)0.75~4.0wt%の、潜在的イオン性基を含有する、2以上の官能価を有する少なくとも1種のイソシアネート反応性化合物と、
d)0.7~12wt%の、32~400g/molのモル質量及び1~3の官能価を有する少なくとも1種のポリアミンと、
e)任意選択で0~15wt%の、少なくとも1種の非イオン性のイソシアネート反応性親水化剤と、
f)任意選択で0~7.0wt%の、400g/mol未満のモル質量及び2~4の官能価を有する少なくとも1種のポリヒドロキシ化合物と、
g)任意選択で0~8.0wt%の、成分c)の潜在的イオン性基を中和するための少なくとも1種の中和剤と
から構成されるポリウレタン尿素ポリマーであって、
成分a)~g)の和が、100wt%以下である、
ポリウレタン尿素ポリマーであってよい。
【0096】
ポリエステルポリオールの数平均モル質量Mnは、23℃でのテトラヒドロフラン中、ポリスチレン標準に対するゲル浸透クロマトグラフィーによって決定することができる。
【0097】
本発明のために使用されるポリエステルポリオールは、DIN 65467に従ったDSC測定により決定されて、20K/分の加熱速度にて、-80℃~0℃の範囲にある、特に好ましくは-70℃~-10℃の範囲にある、ガラス転移温度Tgを有してよい。
【0098】
好適なポリイソシアネートa)は、当業者にそれ自体公知である、芳香族、芳香脂肪族、脂肪族又は脂環式ポリイソシアネートである。好適なポリイソシアネートa)は、例えば、1,4-ブチレンジイソシアネート、1,5-ペンタメチレンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、2,2,4-及び/若しくは2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、異性体ビス-(4,4'-イソシアナトシクロヘキシル)メタン、又は任意の所望の異性体含有量のそれらの混合物、1,4-シクロヘキシレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、2,4-及び/若しくは2,6-トルエンジイソシアネート、又は水素化2,4-及び/若しくは2,6-トルエンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、2,4'-若しくは4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート、1,3-及びl,4-ビス-(2-イソシアナト-プロパ-2-イル)-ベンゼン(TMXDI)、1,3-ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン(XDI)、(S)-アルキル2,6-ジイソシアナトヘキサノエート又は(L)-アルキル2,6-ジイソシアナトヘキサノエートである。
【0099】
2超の官能価を有するポリイソシアネートの相応した使用も可能である。これらには、ウレトジオン、イソシアヌレート、ウレタン、アロファネート、ビウレット、イミノオキサジアジンジオン及び/又はオキサジアジントリオン構造を有する修飾ジイソシアネート、並びに1分子当たり2つ超のNCO基を有する非修飾ポリイソシアネート、例えば4-イソシアナトメチル-l,8-オクタンジイソシアネート(ノナントリイソシアネート)又はトリフェニルメタン-4,4',4''-トリイソシアネートが挙げられる。
【0100】
好ましいのは、2~4、好ましくは2~2.6、特に好ましくは2~2.4の平均官能価を有する、唯一で脂肪族に及び/又は脂環式に結合されたイソシアネート基を有する、上に挙げたタイプのポリイソシアネート又はポリイソシアネート混合物でありうる。
【0101】
化合物b)として使用されうるポリエステルポリオールは、400~8000g/mol、好ましくは400~6000g/mol、特に好ましくは400~3000g/molの数平均分子量Mnを有することができる。ポリエステルポリオールの数平均分子量Mnは、23℃におけるテトラヒドロフラン中のポリスチレン標準に対するゲル浸透クロマトグラフィーによって決定することができる。DIN ISO 4629によるそれらのヒドロキシル数は、22~400mgKOH/g、好ましくは30~300mgKOH/g、特に好ましくは40~250mgKOH/gであってよく、且つそれらは、1~6、好ましくは1.5~4.0、特に好ましくは1.9~2.1のOH官能価を有してよい。
【0102】
ポリエステルポリオールb)は、好ましくはコハク酸、無水コハク酸及び/又はコハク酸エステルの、2~12個の炭素原子及び少なくとも2の官能価を有する、62~300g/molのモル質量を有する2種の異なるジヒドロキシ化合物との重縮合によって、従来技術に従って調製することができ、これは、分枝状であっても非分枝状であってもよく、そのヒドロキシル基は、第一級又は第二級である。ジヒドロキシ化合物はまた、エーテル基も含有することができる。好ましくは、ジヒドロキシ化合物は、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,10-デカンジオール、1,2-ドデカンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、及びヒドロキシル末端基を有するオリゴ-テトラヒドロフランからなる群から選択することができる。特に好ましくは、2種のジヒドロキシ化合物は、3~6個の炭素原子の炭素スケルトンを有するジオールから、最も特に好ましくはヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール及び1,3-プロパンジオールからなる群から選択することができる。ポリエステルポリオールb)の調製は、先行技術に従って、150~250℃の範囲の高温にて、1~100mbarの真空の適用で及び/又は窒素の流れ下で実施することができ、これは、エステル化又はエステル交換触媒を任意選択で使用し、該反応は、DIN EN ISO 2114による酸価が5mgKOH/gの値を下回る程度まで完了される。
【0103】
成分b)の調製のためのコハク酸は、再生の且つ再生可能な源から得ることができ、該調製プロセスは、デンプン又はバイオマスの発酵プロセスを介して進行することが多く、これは、例えばDE 10 2008 051727 A1及びDE 10 2007 019184に開示されている。好ましくは、コハク酸のうちの少なくとも50wt%は、再生可能な源に基づく。
【0104】
更に又は加えて、成分b)の少なくとも1種のジヒドロキシ化合物の少なくとも一部は、再生可能な源に由来してよく、したがって、本発明のためのポリウレタン/尿素ポリマーの再生可能な源から生じる炭素画分を増加させる。好ましくは、少なくとも1種のジヒドロキシ化合物成分b)は、1,4-ブタンジオール、1,3-プロパンジオール、イソプロパンジオール、1,6-ヘキサンジオール、エチレングリコールから選択することができ、これらは、再生可能な源又はそれらのうちの少なくとも2種の混合物に由来する。
【0105】
成分c)は、潜在的イオン性基を含有し、これは、カチオン性の性質又はアニオン性の性質のいずれかのものとすることができる。カチオン性、アニオン性又は非イオン性の分散作用を有する化合物は、例えばスルホニウム、アンモニウム、ホスホニウム、カルボキシレート、スルホネート、ホスホネートの各基、又は塩の形成によって上に挙げた基へと変換されうる基(潜在的イオン性基)若しくはポリエーテル基を含有するものであり、且つ存在しているイソシアネート反応性基によって巨大分子中に組み入れられうる基である。好ましい好適なイソシアネート反応性基は、ヒドロキシル基及びアミン基である。
【0106】
好適なイオン性又は潜在的イオン性化合物c)は、例えば、モノ-及びジ-ヒドロキシカルボン酸、モノ-及びジ-アミノカルボン酸、モノ-及びジ-ヒドロキシスルホン酸、モノ-及びジ-アミノスルホン酸、及びモノ-及びジ-ヒドロキシホスホン酸、又はモノ-及びジ-アミノホスホン酸、及びそれらの塩、例えばジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブチル酸、ヒドロキシピバル酸、N-(2-アミノエチル)-β-アラニン、2-(2-アミノ-エチルアミノ)-エタンスルホン酸、エチレンジアミン-プロピル-又は-ブチル-スルホン酸、1,2-又は1,3-プロピレンジアミン-β-エチルスルホン酸、リンゴ酸、クエン酸、グリコール酸、乳酸、グリシン、アラニン、タウリン、リジン、3,5-ジアミノ安息香酸、IPDIとアクリル酸との付加生成物(EP-A0916647、実施例1)並びにそのアルカリ塩及び/又はアンモニウム塩; 亜硫酸ナトリウムと、2-ブテン-1,4-ジオール、スルホン酸ポリエーテルとの付加物、2-ブテンジオールとNaHSO3とのプロポキシル化付加物であり、例えばDE-A2446440(5~9頁、式I~III)に記載されており、並びにカチオン性基へ変換されうる構造単位、例えば親水性鎖延長成分としてのN-メチル-ジエタノールアミンである。好ましいイオン性又は潜在的イオン性化合物は、カルボキシ又はカルボキシレート及び/又はスルホネートの各基及び/又はアンモニウム基を有するもの、且つ1.9~2.1の官能価を有するものである。特に好ましいイオン性化合物は、1.9~2.1のアミン官能価を有し且つイオン性基又は潜在的イオン性基としてのスルホネート基、例えばN-(2アミノエチル)-β-アラニンの塩、2-(2-アミノ-エチルアミノ)-エタンスルホン酸の塩、又はIPDIとアクリル酸との付加生成物を含有する(EP-A0916647、実施例1)。更に又は加えて、成分c)の少なくとも一部は、再生可能な源に由来することができ、したがって、本発明のためのポリウレタン/尿素ポリマーの再生可能な源から生じる炭素画分を増加させる。再生可能な源に由来するこれらの成分c)の例は、リンゴ酸、クエン酸、グリコール酸、乳酸、グリシン、アラニン、タウリン及びリジン、又はそれらの少なくとも2種の混合物からなる群から選択される。
【0107】
鎖延長のために使用されるポリアミンd)は、1~2の官能価を好ましくは有してよく、例えば、ジ-又はポリ-アミン及びヒドラジド、例えばエチレンジアミン、1,2-及び1,3-ジアミノプロパン、1,4-ジアミノブタン、1,6-ジアミノヘキサン、イソホロンジアミン; 2,2,4-及び2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、2-メチルペンタメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、1,3-及び1,4-キシレンジアミン、a,a,a',a'-テトラメチル-l,3-及び-1,4-キシレンジアミン及び4,4-ジアミノジシクロヘキシルメタン、ジメチルエチレンジアミン、ヒドラジン又はアジピン酸ジヒドラジドの異性体混合物である。
【0108】
成分d)が基本的にまた、NCO基に向けた異なる反応性の活性水素を含有する化合物、例えば第一級アミノ基に加えて第二級アミノ基もまた含有する化合物、又は(第一級又は第二級)アミノ基に加えてOH基もまた含有する化合物を含むことが考えられうる。その例は、第一級/第二級アミン、例えば3-アミノ-1-メチルアミノプロパン、3-アミノ-1-エチルアミノプロパン、3-アミノ-1-シクロヘキシルアミノプロパン、3-アミノ-1-メチルアミノブタン、更にアルカノールアミン、例えばN-アミノエチルエタノールアミン、エタノールアミン、3-アミノプロパノール又はネオペンタノールアミンである。
【0109】
好ましいのは、ジエタノールアミン及び/又はヒドラジン及び/又はイソホロンジアミン(IPDA)及び/又はエチレンジアミンであってよい。特に好ましいのは、ヒドラジン及び/又はイソホロンジアミン及び/又はエチレンジアミンであってよい。最も特に好ましいのは、ヒドラジンとIPDAとの混合物であってよい。
【0110】
非イオン性親水化作用を有する好適な化合物e)は、例えば、少なくとも1つのヒドロキシ基又はアミノ基を含有するポリオキシアルキレンエーテルである。このようなポリエーテルは、エチレンオキシドに由来する30wt%~100wt%の量の構造単位を含有する。1~2の官能価を有する好適な直鎖状ポリエーテルが存在するが、また、式(I):
【0111】
【化2】
【0112】
(式中、
R1及びR2は、それぞれ他とは独立に、1~18個の炭素原子を有する二価の脂肪族、脂環式又は芳香族の各基を示し、これは、酸素原子及び/又は窒素原子によって割り込まれてよく、
R3は、アルコキシ末端ポリエチレンオキシド基を表す)
の化合物も存在する。
【0113】
非イオン性親水作用を有する化合物e)は、例えばまた、統計平均として、1分子当たり5~70、好ましくは7~55のエチレンオキシド単位を有する一価ポリアルキレンオキシドポリエーテルアルコールであり、好適な出発分子のアルコキシル化によってそれ自体公知である方法において得られる(例えばUllmanns Encyclopadie der technischen Chemie、第4版、第19巻、Verlag Chemie、Weinheim、31~38頁)。
【0114】
好適な出発分子は、例えば、飽和モノアルコール、例えばメタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、sec-ブタノール、異性体のペンタノール、ヘキサノール、オクタノール及びノナノール、n-デカノール、n-ドデカノール、n-テトラデカノール、n-ヘキサデカノール、n-オクタデカノール、シクロヘキサノール、異性体のメチルシクロヘキサノール又はヒドロキシメチルシクロヘキサン、3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタン又はテトラヒドロフルフリルアルコール、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル、例えばジエチレングリコールモノブチルエーテル、不飽和アルコール、例えばアリルアルコール、1,1-ジメチルアリルアルコール又はオレインアルコール、芳香族アルコール、例えばフェノール、異性体のクレソール又はメトキシフェノール、芳香脂肪族アルコール、例えばベンジルアルコール、アニスアルコール又はケイ皮アルコール、第二級モノアミン、例えばジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、ビス-(2-エチルヘキシル)-アミン、N-メチル-及びN-エチル-シクロヘキシルアミン又はジシクロヘキシルアミン並びに複素環第二級アミン、例えばモルホリン、ピロリジン、ピペリジン又はlH-ピラゾールである。好ましい出発分子は、飽和のモノアルコールである。特に好ましいのは、出発分子としてのジエチレングリコールモノブチルエーテルの使用である。
【0115】
アルコキシル化反応に好適なアルキレンオキシドは、特にエチレンオキシド及びプロピレンオキシドであり、これらは、任意の所望のシークエンスにおける或いは付加混合物におけるアルコキシル化反応において使用されうる。
【0116】
アルキレンオキシドの数平均モル質量Mnは、1の官能価を伴って、300g/mol~6000g/mol、好ましくは500g/mol~4000g/mol、特に好ましくは750g/mol~3000g/molである。アルキレンオキシドの数平均分子量Mnは、23℃でのテトラヒドロフラン中、ポリスチレン標準に対するゲル浸透クロマトグラフィーによって決定される。
【0117】
このタイプの好適な非イオン性親水化の単官能性化合物e)は、例えば、単官能性アルコキシポリエチレングリコール、例えばメトキシポリエチレングリコール(MPEG Carbowax(登録商標)2000又はMethoxy PEG-40、分子量範囲1800~2200、The Dow Chemical Company社)、単官能性ポリエーテルモノアルキルエーテル、例えばBayer Material Science社製の、2250g/molの平均モル質量Mnを有する、ブタノール及びエチレンオキシド並びにプロピレンオキシドから構成されるLB 25、単官能性ポリエーテアミン(Jeffamine(登録商標)M 1000、PO/EOモル比3/19、及びM 2070、PO/EOモル比10/31、Huntsman Corp.社)である。
【0118】
化合物e)として好ましくは使用されるものに、MPEG Carbowax(登録商標)2000、LB 25又はJeffamine(登録商標)M 2070がある。MPEG Carbowax(登録商標)2000又はLB 25が特に好ましい。
【0119】
ポリウレタン樹脂の形成において任意選択で使用されうる低分子量ポリオールf)は、一般に、ポリマー鎖の補強及び/又は分枝をもたらす。分子量は、好ましくは62~200であり、それらの官能価は、好ましくは2~3である。好適なポリオールc)は、脂肪族、脂環式又は芳香族の各基を含有することができる。例えば、1分子当たり最大約20個の炭素原子を有する低分子量ポリオール、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブチレングリコール、シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,6-ヘキサンジオール、ヒドロキノンジヒドロキシエチルエーテル、ビスフェノールA(2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン)、水素化ビスフェノールA(2,2-ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン)、及びこれらの混合物、並びにトリメチロールプロパン、グリセロール又はペンタエリスリトールをここで挙げることができる。エステルジオール、例えばδ-ヒドロキシブチル-δ-ヒドロキシ-カプロン酸エステル、ω-ヒドロキシヘキシル-γ-ヒドロキシブチル酸エステル、アジピン酸(β-ヒドロキシエチル)エステル又はテレフタル酸ビス(β-ヒドロキシエチル)エステルを使用することもまた可能である。特に好ましいのは、ヘキサンジオール及び/又はトリメチロールプロパン及び/又はブタンジオールである。
【0120】
中和剤g)は、それがアミノ基を含有していない場合にa)、b)及びc)からの、並びにそれが出発分子中で既に実施されていない場合に任意選択でe)及びf)からの、ポリウレタンプレポリマーの調製の後に又はその間に、潜在的イオン性基c)を中和するために任意選択で使用されることになり、それらの基の部分的な又は完全な塩の形成は、アニオン性で及び/又はカチオン性で分散作用を有する。アニオン性基の場合、その目的のために使用される、塩基、例えばアンモニア、炭酸アンモニウム又は炭酸水素、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、水酸化カリウム又は炭酸ナトリウム、好ましくはトリエチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン又はジイソプロピルエチルアミンがある。塩基の量は、アニオン性基の量のうちの50~100%、好ましくは60~90%である。カチオン性基の場合、硫酸ジメチルエステル又はコハク酸が使用される。エーテル基で非イオン性親水化された化合物のみが使用される場合、中和の工程は省かれる。中和はまた、分散する水が既に中和剤を含有している場合、分散と同時に実施することができる。
【0121】
水性分散体の形態にあるポリウレタン/尿素ポリマーの調製は、均質な相中で、1つ又は複数の段階において実施することができ、又は複数段階の反応の場合、分散相中で、部分的に実施することができる。重付加が完全に又は部分的に実施されている場合、分散、乳化又は溶解の工程が行われる。次いで、分散相中の更なる重付加又は改質が、任意選択で実施される。
【0122】
先行技術から公知である全てのプロセスを、水性分散体の形態にあるポリウレタン/尿素ポリマーの調製のために使用することができ、例えば乳化剤/剪断力、アセトン、プレポリマー混合、溶融乳化、ケチミン及び固体自発性分散の各方法、又はそれらに由来するものである。これらの方法の概要は、Methoden der organischen Chemie(Houben-Weyl、Erweiterungs- und Folgebande zur 4.Auflage、Volume E20, H. Bartl and J. Falbe, Stuttgart、New York、Thieme 1987年、1671~1682頁)に見出されることになる。溶融乳化及びアセトン方法が好ましい。アセトン方法が特に好ましい。
【0123】
普通、第一級又は第二級アミノ基を含有しない構成成分a)~g)のうちの全て又はいくつか、及び1種又は複数のポリイソシアネートa)が、ポリウレタンプレポリマーを調製するために反応器中に置かれ、且つ水と混和性であるがイソシアネート基に向けて不活性である溶媒で任意選択で希釈されるが、好ましくは溶媒なしであり、好ましくは50~120℃の範囲で高温に加熱される。
【0124】
好適な溶媒は、例えば、アセトン、ブタノン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセトニトリル、ジプロピレングリコールジメチル及び1-メチル-2-ピロリドンであり、これらは、調製の開始時のみならず後からも、任意選択で一部分ずつ添加することができる。アセトン及びブタノンが好ましい。例えば、任意選択で添加される溶媒の、例えばアセトンの、常圧沸騰温度を超えて、常圧下で又は昇圧下で反応を実施することが可能である。
【0125】
イソシアネート付加反応を促進させることで知られる触媒、例えばトリエチルアミン、l,4-ジアザビシクロ-[2,2,2]-オクタン、ジオクタン酸スズ又はジラウリン酸ジブチルスズを更に、同時に反応容器中に入れてもよいし、又は後で添加されてもよい。ジラウリン酸ジブチルスズが好ましい。
【0126】
反応の開始時に添加されなかった第一級又は第二級アミノ基を含有しない、あらゆる構成成分(a)及び/又は(b)~(f)を、次いでその中に計量供給する。ポリウレタンプレポリマーの調製における、イソシアネート基の、イソシアネート反応性基に対する比は、0.90~4.00、好ましくは1.20~3.00、特に好ましくは1.40~2.50である。成分a)の、b)、c)、e)及びf)との反応は、イソシアネート反応性基の総量に基づいて、部分的に又は完全にではあるが好ましくは完全に、実施される。変換の程度は、普通、反応混合物の以下のNCO含有量によって監視される。その終わりに、両方の分光測定、例えば赤外線又は近赤外線スペクトル、屈折率及び化学分析の決定、例えば除去されたサンプルの滴定を実施することができる。遊離イソシアネート基を含有するポリウレタンプレポリマーは、溶媒なしで又は溶液中で得られる。次いで、更なるプロセス工程では、これが未だ実施されていない又は部分的にしか実施されていない場合、得られたプレポリマーは、上に挙げた溶媒の助けを伴って溶解される。
【0127】
次いで、可能なNH2-及び/又はNH-官能性成分c)及びd)が、残りのイソシアネート基と反応される。この鎖延長/末端化は、分散前に溶媒中で、分散の間に、又は分散後に水中で、のいずれかで実施することができる。好ましくは、鎖延長は、水中の分散前に実施される。
【0128】
鎖延長の程度、すなわち鎖延長のために使用される化合物のNCO-反応性基の、プレポリマーの遊離NCO基に対する当量比は、40~100%、好ましくは60~100%、特に好ましくは70~100%である。
【0129】
任意選択で水中溶液にある又は溶媒中にあるアミン成分c)及びd)は、該プロセス中で、個々に又は混合物において使用することができ、添加の任意のシークエンスが原則として可能である。
【0130】
水又は有機溶媒が希釈液として付随的に使用されるとき、希釈液含有量は、好ましくは70~95wt%である。
【0131】
プレポリマーからの水性分散体の形態にあるポリウレタン/尿素ポリマーの調製を、鎖延長に続いて実施することができる。その終わりに、鎖延長されて溶解されたポリウレタンポリマーは、任意選択で顕著な剪断を伴って、例えば激しい撹拌を伴って、分散水中に導入され、又は逆に、分散水がポリマー溶液中へと撹拌される。好ましくは、水が、溶解されたプレポリマーに添加される。
【0132】
分散の工程後に分散体中に依然として含有されている溶媒は、普通、続いて、蒸留によって除去される。分散の間の除去も、溶媒は、同様に可能である。
【0133】
水性分散体の形態にあるポリウレタン/尿素ポリマーの固体含有量は、20~70wt%、好ましくは30~65wt%、特に好ましくは32~62wt%であってよい。
【0134】
好ましい実施形態によれば、成分b)は、コハク酸の、その炭素スケルトンが2~12個の炭素原子を含有し且つコハク酸が再生可能な源に由来する少なくとも1種のジヒドロキシ化合物との反応生成物を含む。
【0135】
好ましい実施形態によれば、ジヒドロキシ化合物は、再生可能な源に由来する1,4-ブタンジオール若しくは1,3-プロパンジオール又は両方を含む。好ましい実施形態によれば、ポリウレタン/尿素ポリマーは、コハク酸、及びその炭素スケルトンが2~12個の炭素原子を含有する少なくとも2種の異なるジヒドロキシ化合物から構成される、2以上の官能価、及び400~8000g/mol、又は好ましくは500~6000g/mol、又は好ましくは600~3000g/molのモル質量Mnを有する、45~85wt%、又は好ましくは50~80wt%の少なくとも1種のポリエステルポリオールから構成されてよい。
【0136】
好ましい実施形態によれば、ポリウレタン/尿素ポリマーは、7.5~35wt%、好ましくは10~30wt%、又は好ましくは15~25wt%の少なくとも1種の芳香族又は脂肪族ポリイソシアネート、好ましくは脂肪族ポリイソシアネートから構成されてよい。好ましくは、ポリイソシアネートは、前に挙げた脂肪族ポリイソシアネートのうちの1種、特に好ましくはHDI又はIPDIである。
【0137】
好ましい実施形態によれば、ポリウレタン/尿素ポリマーは、潜在的イオン性基を含有する、2以上の官能価を有する、0.5~4.5wt%、又は好ましくは0.75~4.0wt%の少なくとも1種のイソシアネート反応性化合物から構成されてよい。
【0138】
好ましい実施形態によれば、ポリウレタン/尿素ポリマーは、32~400g/molのモル質量Mn、及び1~3、好ましくは1.5~2.5の官能価を有する、0.25~15.0wt%、好ましくは0.7~12wt%の少なくとも1種のポリアミンから構成されてよい。
【0139】
好ましい実施形態によれば、ポリエステルポリオールは、DIN 65467に従ったDSC測定により、20K/分の加熱速度にて決定して、-80℃~0℃の範囲のガラス転移温度Tgを有してよい。
【0140】
ポリウレタン/尿素ポリマーの例として、ポリウレタン-93(例えば、Covestro社により販売されているBaycusan(登録商標)eco E1000)、ポリウレタン-99、及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0141】
(c)ポリウレタンが、少なくとも1つのポリシロキサン部分を含むことがまた、好ましいことがある。
【0142】
別の実施形態では、(c)ポリウレタンは、ポリシロキサン/ポリウレタンブロックコポリマーであってよい。
【0143】
ポリシロキサン/ポリウレタンブロックコポリマーは、式(II):
-O-P-O-CO-NH-R-NH-CO- (II)
(式中、
Pは、ポリシロキサンセグメントであり、
Rは、脂肪族C1~C20炭化水素基、脂環式C3~C20炭化水素基、及び芳香族C6~C20炭化水素基、例えばC1~C20アルキレン基、C6~C20アリーレン基、C3~C20シクロアルキレン基、及びこれらの組合せから選ばれる二価基であり、これらの基は任意選択で置換されている)
の繰り返し単位を含んでよい。
【0144】
更なる実施形態では、ポリシロキサンセグメントPは、式(III):
【0145】
【化3】
【0146】
(式中、
A基は、同一であっても異なっていてもよく、エチレン不飽和を欠く又は実質的に欠く芳香族基及び一価のC1~C20炭化水素基から選ばれ、
Yは、二価の炭化水素基であり、
zは、ポリシロキサンセグメントの質量平均分子量が300~10,000の範囲であるように選ばれる整数である)
のものから選ぶことができる。
【0147】
別の実施形態では、二価基Yは、式-(CH2)a-(式中、aは、1~10の範囲の整数である)のアルキレン基から選ぶことができる。
【0148】
A基は、例えば、C1~8アルキル基、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル及びオクチルの各基; C3~8シクロアルキル基、例えばシクロヘキシル基; C6~10アリール基、例えばフェニル; C7~10アリールアルキル基、例えばベンジル及びフェニルエチル、並びにトリル及びキシリルの各基から選ぶことができる。
【0149】
非会合性ポリウレタンの非限定的な例には、BASF社により商品名Luviset(登録商標)PURで販売されているジメチロールプロピオン酸/イソホロンジイソシアネート/ネオペンチルグリコール/ポリエステルジオールコポリマー(INCI名: ポリウレタン-1の名称でも知られる)、及びBASF社により商品名Luviset(登録商標)Si PUR Aで販売されているジメチロールプロピオン酸/イソホロンジイソシアネート/ネオペンチルグリコール/ポリエステルジオール/シリコーンジアミンコポリマー(INCI名: ポリウレタン-6の名称でも知られる)が挙げられる。
【0150】
(c)ポリウレタンは非中和において使用されてよく、そのため非イオン性形態である。
【0151】
(c)ポリウレタンは、粒子の形態にあってよい。粒子は、100nm以下の体積平均粒径を有してよい。
【0152】
(c)ポリウレタンが、ポリウレタン-6、ポリウレタン-35、ポリウレタン-93、ポリウレタン-99、及びこれらの混合物からなる群から選択されることが好ましい。
【0153】
本発明による組成物中の(c)ポリウレタンの量は、組成物の総質量に対して、1質量%以上、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上であってよい。
【0154】
その一方で、本発明による組成物中の(c)ポリウレタンの量は、組成物の総質量に対して、40質量%以下、好ましくは35質量%以下、より好ましくは30質量%以下であってよい。
【0155】
これに応じて、本発明による組成物中の(c)ポリウレタンの量は、組成物の総質量に対して、1質量%~40質量%、好ましくは5質量%~35質量%、より好ましくは10質量%~30質量%の範囲であってよい。
【0156】
(質量比)
本発明では、((b)アクリルコポリマーの量及び(c)ポリウレタンの量)/(a)顔料の量の質量比は、1.5以上、好ましくは2.0以上、より好ましくは2.5以上である。
【0157】
その一方で、((b)アクリルコポリマーの量及び(c)ポリウレタンの量)/(a)顔料の量の質量比は、5以下、好ましくは4以下、より好ましくは3以下であってよい。
【0158】
そのため、((b)アクリルコポリマーの量及び(c)ポリウレタンの量)/(a)顔料の量の質量比は、1.5~5、好ましくは2.0~4、より好ましくは2.5~3であってよい。
【0159】
本発明では、(b)アクリルコポリマーの量/(a)顔料の量の質量比は、0.01以上、好ましくは0.05以上、より好ましくは0.1以上であってよい。
【0160】
その一方で、(b)アクリルコポリマーの量/(a)顔料の量の質量比は、1以下、好ましくは0.8以下、より好ましくは0.6以下であってよい。
【0161】
そのため、(b)アクリルコポリマーの量/(a)顔料の量の質量比は、0.01~1、好ましくは0.05~0.8、より好ましくは0.1~0.6であってよい。
【0162】
本発明では、(c)ポリウレタンの量/(a)顔料の量の質量比は、0.1以上、好ましくは0.5以上、より好ましくは1以上であってよい。
【0163】
その一方で、(c)ポリウレタンの量/(a)顔料の量の質量比は、5以下、好ましくは4以下、より好ましくは3以下であってよい。
【0164】
そのため、(c)ポリウレタンの量/(a)顔料の量の質量比は、0.1~5、好ましくは0.5~4、より好ましくは1~3であってよい。
【0165】
本発明では、(c)ポリウレタンの量/(b)アクリルコポリマーの量の質量比は、4以上、好ましくは6以上、より好ましくは8以上であってよい。
【0166】
その一方で、(c)ポリウレタンの量/(b)アクリルコポリマーの量の質量比は、20以下、好ましくは15以下、より好ましくは10以下であってよい。
【0167】
そのため、(c)ポリウレタンの量/(b)アクリルコポリマーの量の質量比は、4~20、好ましくは6~15、より好ましくは8~10であってよい。
【0168】
(水)
本発明による組成物は、(d)水、好ましくは脱イオン水を含む。
【0169】
本発明による組成物中の(d)水の量は、組成物の総質量に対して、10質量%以上、好ましくは20質量%以上、より好ましくは25質量%以上であってよい。
【0170】
本発明による組成物中の(d)水の量は、組成物の総質量に対して、60質量%以下、好ましくは50質量%以下、より好ましくは47質量%以下であってよい。
【0171】
本発明による組成物中の(d)水の量は、組成物の総質量に対して、10質量%~60質量%、好ましくは20質量%~50質量%、より好ましくは25質量%~47質量%であってよい。
【0172】
(任意選択の添加剤)
本発明による組成物はまた、化粧品の分野で通常使用される任意の任意選択の添加剤も含んでよく、例えば、油、溶媒、ゴム、樹脂、親水性増粘剤、疎水性増粘剤、抗酸化剤、上記成分(b)及び(c)以外の皮膜形成剤、保存剤、例えばフェノキシエタノール、香料、中和剤、消毒薬、UV遮蔽剤、化粧活性剤、例えばビタミン、保湿剤、皮膚軟化剤又はコラーゲン保護剤、並びにこれらの混合物から選ばれる。
【0173】
本発明による組成物はまた、少なくとも1種のアルカリ性剤、例えばトリエタノールアミン、トロメタミン、アミノメチルプロパンジオール及びアミノメチルプロパノールも含むことができる。本発明による組成物中のアルカリ性剤の量は、組成物の総質量に対して、0.05質量%~1質量%、好ましくは0.1質量%~0.5質量%であってよい。アルカリ性剤を添加することにより、カーボンブラックである(a)顔料は、本発明による組成物中に、より安定に分散することができる。
【0174】
本発明による組成物はまた、1~5個の炭素原子を含有する低級モノアルコール、C3~C4ケトン又はC3~C4アルデヒド等の少なくとも1種の水混和性溶媒も含むことができる。好ましくは使用されうる水混和性溶媒は、エタノールである。水混和性溶媒の含有量は、本発明による組成物の総質量に対して、0.1質量%~15質量%、なおも良好には1質量%~8質量%の範囲とすることができる。
【0175】
本発明による組成物中に存在しうる上記の任意選択の添加剤の性質及び量を、所望の美容特性が該添加剤により影響を受けないように調節することが、当業者にとって常法である。
【0176】
本発明による組成物中の界面活性剤の量が限定されていることが好ましい。本発明による組成物中の界面活性剤の量が限定されている場合、本発明による組成物は、持続するメイクアップ効果を更に増強することができる。
【0177】
界面活性剤は、カチオン性、アニオン性、両性及び非イオン性の各界面活性剤、好ましくはアニオン性及び非イオン性の各界面活性剤、より好ましくは非イオン性の界面活性剤から選択することができる。
【0178】
例えば、本発明による組成物中の界面活性剤の量は、組成物の総質量に対して、0.5質量%以下、好ましくは0.3質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下であってよい。本発明による組成物が界面活性剤を全く含まないことが、最も好ましい。
【0179】
[調製]
本発明による組成物は、上に記載した必須成分と任意選択の成分とを従来の方法で混合して調製することができる。
【0180】
例えば、本発明による組成物は、
(a)カーボンブラックである少なくとも1種の顔料と、
(b)(メタ)アクリル酸、そのエステル及びその塩から選択される少なくとも2種のモノマーの少なくとも1種のアクリルコポリマーと、
(c)少なくとも1種のポリウレタンと、
(d)水と

((b)アクリルコポリマーの量及び(c)ポリウレタンの量)/(a)顔料の量の質量比が、1.5以上、好ましくは2.0以上、より好ましくは2.5以上であるように、混合する工程を含む方法によって調製することができる。
【0181】
任意選択の成分のうちのいずれかを更に混合することが可能である。
【0182】
(a)顔料と(b)アクリルコポリマーとが、(d)水の一部と最初に混合されて、(b)アクリルポリマーと共に分散された(a)顔料の水性分散体を調製し、次いで、該水性分散体が、(c)ポリウレタンと、好ましくは(d)水の残りと更に混合されて本発明による組成物を得ることが、より好ましいことがある。
【0183】
混合は、室温(例えば25℃)等の任意の温度で、好ましくは30℃以上、好ましくは40℃以上、より好ましくは50℃以上の温度で、実施することができる。上記の任意選択の成分のいずれかと更に混合することが好ましい。
【0184】
本発明による化粧用組成物が、液体、好ましくは(a)顔料の分散体、より好ましくは(a)顔料の水性分散体の形態にあることが好ましい。
【0185】
[美容的使用及び方法]
本発明による組成物は、化粧用組成物、好ましくはメイクアップ化粧用組成物(特に、アイメイクアップ化粧用組成物)、より好ましくはアイライナーであってよい。
【0186】
本発明による化粧用組成物は、美容トリートメント、好ましくは、皮膚、及びまぶたの端等の粘膜表面等のケラチン物質の、メイクアップのために使用することができる。
【0187】
例えば、本発明による組成物は、ケラチン物質上に本発明による組成物を塗布する工程を含む、皮膚及び粘膜表面等のケラチン物質をメイクアップするための美容方法のために使用することができる。
【0188】
本発明による組成物は、ケラチン物質の本来の色をコンシールする等の、美容効果、特にメイクアップ効果をもたらすことができる。更に、本発明による組成物は、持続的メイクアップ効果を及ぼすことができる。
【0189】
本発明はまた、
(a)カーボンブラックである少なくとも1種の顔料と、
(b)(メタ)アクリル酸、そのエステル及びその塩から選択される少なくとも2種のモノマーの少なくとも1種のアクリルコポリマーと、
(d)水と
を、
((b)アクリルコポリマーの量及び(c)ポリウレタンの量)/(a)顔料の量の質量比が、1.5以上、好ましくは2.0以上、より好ましくは2.5以上であるように含む組成物を安定化するための、当該組成物中の(c)少なくとも1種のポリウレタンの使用にも関する。
【実施例0190】
本発明は、実施例によって、より詳細な方法で記載されることになる。しかしながら、これらの実施例は、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。以下の実施例は、本発明の分野における非限定的な例示として提示される。
【0191】
(実施例1~3及び比較例1)
[調製]
表1に示す実施例1~3及び比較例1による以下の組成物を、表1に示す成分を室温(25℃)にて混合して調製した。表1に示す成分の量の数値は、別段の指定がない限り、全て、活性原料の「質量%」に基づく。
【0192】
【表1A】
【0193】
【表1B】
【0194】
[評価]
(粘度安定性)
実施例1~3及び比較例1による組成物のそれぞれの粘度を、ARES-RFSタイプのレオメータを用いて25℃及び100s-1の剪断速度にて、組成物の調製後24時間(初期のバルク粘度)、45℃での調製1か月後(45℃での1か月後のバルク粘度)、及び45℃での調製2か月後(45℃での2か月後のバルク粘度)のタイミングにおいて、測定した。
【0195】
45℃での2か月における粘度の変化(45℃での2か月後のバルク安定性変化)を、以下の等式によって算出した:
45℃での2か月後のバルク安定性変化(%)=100×(45℃での2か月後のバルク粘度-初期のバルク粘度)/初期のバルク粘度
【0196】
「45℃での2か月後のバルク安定性変化」の値を、以下の判定基準に従って分類した。
非常に良好: 10%未満
良好: 10%~25%未満
普通: 25%~75%未満
不良: 75%以上
【0197】
結果を、表1中の「2か月後のバルク安定性スコア」の行に示す。
【0198】
(初期の堆積)
実施例1~3及び比較例1による組成物のそれぞれを、アイライナーとして、液状ペンタイプのパッケージ中に充填した。5種のアイライナーサンプルを、実施例1~3及び比較例1による組成物のそれぞれのために調製した。5種のアイライナーサンプルの堆積量を、基質の表面上に10本のラインを描き、調製24時間後のタイミングで平均して測定した(初期の堆積平均)。
【0199】
堆積量の平均値を、以下の判定基準に従って分類した。
非常に良好: 20mg超~30mg
良好: 10mg超~20mg
普通: 5mg超~10mg
不良: 5mg以下
【0200】
結果を、表1中の「初期の堆積平均スコア」の行に示す。
【0201】
(堆積安定性)
実施例1~3及び比較例1による組成物のそれぞれを、アイライナーとして液状ペンタイプのパッケージ中に充填した。5種のアイライナーサンプルを、実施例1~3及び比較例1による組成物のそれぞれのために調製した。5種のアイライナーサンプルの堆積量を、基質の表面上に10本のラインを描き、45℃での調製1か月後に(45℃での1か月後の堆積平均)、及び45℃での調製2か月後に(45℃での2か月後の堆積平均)平均して測定した。
【0202】
45℃での1か月又は2か月における堆積量の平均値の変化(1か月後の堆積変化又は2か月後の堆積変化)を、以下の等式により算出した:
1か月後の堆積変化(%)=100×(45℃での1か月後の堆積平均-初期の堆積平均)/初期の体積平均
2か月後の堆積変化(%)=100×(45℃での2か月後の堆積平均-初期の堆積平均)/初期の体積平均
【0203】
1か月後の堆積変化の値及び2か月後の堆積変化の値を、以下の判定基準に従って分類した。
非常に良好: 25%未満
良好: 25%~50%未満
普通: 50%~75%未満
不良: 75%以上
【0204】
結果を、表1中の「1か月後の堆積安定性スコア」及び「2か月後の堆積安定性スコア」の行に示す。
【0205】
(持続効果)
実施例1~3及び比較例1による組成物のそれぞれを、アイライナーとして液状ペンタイプのパッケージ中に充填し、1本のラインをパネリストの手の裏に描いた。10分間乾燥させた後、表2に示す組成を有する人工皮脂を、該ライン上に落とし、続いてそれを指で30回こすった。ラインの外観を目視観察により評価した。
非常に良好: 薄片又は汚れは見られなかった
良好: 薄片又は汚れはほとんど見られなかった
普通: 小さい薄片又は汚れが見られた
不良: ラインは維持されなかった
【0206】
【表2】
【0207】
結果を、表1中の「持続性」の行に示す。
【0208】
(黒さ)
実施例1~3及び比較例1による組成物のそれぞれを、アイライナーとして液状ペンタイプのパッケージ中に充填し、5本のラインをパネリストの手の裏に描いた。ラインの黒さを目視観察によって評価した。
非常に良好: 皮膚の色は黒色のラインによって完全にコンシールされた
良好: 皮膚の色は黒色のラインによってコンシールされた
普通: 皮膚の色のほとんどは黒色のラインによってコンシールされた
不良: 皮膚の色は黒色のラインによってコンシールされなかった
【0209】
結果を、表1中の「黒さ強度」の行に示す。
【0210】
(概要)
本発明に相当する実施例1~3による組成物は、高温下において2か月後であっても、粘度及び堆積量の点で優位な安定性を示している。実施例1~3による組成物はまた、持続効果又は黒さの点で良好な美容効果を示しており、これは、コンシール効果を反映している。
【0211】
ポリウレタンを一切含まず本発明に相当しない比較例1による組成物は、それが、持続効果及び黒さの点で良好な美容効果を示してはいるが、粘度及び堆積量の点で劣った安定性を示している。
【外国語明細書】