(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024065604
(43)【公開日】2024-05-15
(54)【発明の名称】オゾン除菌ブース
(51)【国際特許分類】
A61L 2/20 20060101AFI20240508BHJP
A61L 101/10 20060101ALN20240508BHJP
【FI】
A61L2/20 100
A61L101:10
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022174554
(22)【出願日】2022-10-31
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-08-21
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和4年1月21日に、社会福祉法人明石恵泉福祉会の特別養護老人ホーム恵泉(兵庫県明石市大久保町大窪3101-2)に、医療介護用衣類を除菌処理できるオゾン除菌ブースを、試用のために設置 令和4年7月12日に、社会福祉法人明石恵泉福祉会の特別養護老人ホーム恵泉(兵庫県明石市大久保町大窪3101-2)に、医療介護用寝具を除菌処理できるオゾン除菌ブースを、試用のために設置
(71)【出願人】
【識別番号】516227881
【氏名又は名称】株式会社日伸メディカル
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】後藤 彰大
【テーマコード(参考)】
4C058
【Fターム(参考)】
4C058AA03
4C058AA05
4C058AA12
4C058BB07
4C058DD11
4C058EE26
4C058JJ14
4C058JJ22
4C058JJ24
(57)【要約】
【課題】対象物を効果的に除菌することのできるオゾン除菌ブースを提供する。
【解決手段】オゾン除菌ブース1は、ブース10を構成するブース構成部材15と、オゾン発生装置100とを備える。ブース10は、対象物収容部11と、オゾン発生装置収容部12とを有する。対象物収容部11は、除菌処理の対象物である放射線防護衣2を収容できる。オゾン発生装置収容部12は、オゾン発生装置100を収容できる。オゾン発生装置100は、オゾン発生装置収容部12に収容される。オゾン発生装置100は、オゾン発生部121と、送風部122とを有する。オゾン発生部121は、オゾンを発生させる。送風部122は、オゾン発生部121が発生させたオゾンを含む空気を対象物収容部11に向けて送風する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブースを構成するブース構成部材と、
オゾン発生装置と
を備え、
前記ブースは、
除菌処理の対象物を収容できる対象物収容部と、
前記オゾン発生装置を収容できるオゾン発生装置収容部と
を有し、
前記オゾン発生装置は、
前記オゾン発生装置収容部に収容され、
オゾンを発生させるオゾン発生部と、
前記オゾン発生部が発生させたオゾンを含む空気を前記対象物収容部に向けて送風する送風部と
を有する、オゾン除菌ブース。
【請求項2】
前記ブースの上部に前記対象物収容部が位置し、前記ブースの下部に前記オゾン発生装置収容部が位置し、
前記送風部は、前記オゾン発生装置の上方に位置する前記対象物収容部に向けてオゾンを含む空気を送風する、請求項1に記載のオゾン除菌ブース。
【請求項3】
前記ブース構成部材は、
ブース用フレームと、
前記ブース用フレームを覆うシートカバーと、
前記シートカバーに取り付けられ、前記シートカバーの少なくとも一部を開閉可能なファスナーと、
前記ファスナーに沿って移動することによって、前記シートカバーの少なくとも一部を前記ファスナーとともに開閉するスライダーと
を有する、請求項1又は請求項2に記載のオゾン除菌ブース。
【請求項4】
前記対象物は、放射線防護衣である、請求項3に記載のオゾン除菌ブース。
【請求項5】
前記放射線防護衣を吊り下げるハンガーを備え、
前記ハンガーは、前記ブース用フレームに固定されている、請求項4に記載のオゾン除菌ブース。
【請求項6】
前記オゾン発生装置は、
第1時間が経過するまでの間、前記送風部に、前記オゾン発生部が発生させるオゾンを含む空気を前記対象物収容部へ送風させるオゾン発生運転を行い、
前記オゾン発生運転の終了後、第2時間が経過するまでの間、前記オゾン発生部を停止させた状態で、前記送風部に前記対象物収容部へ送風させるオゾン拡散運転を行う、請求項1又は請求項2に記載のオゾン除菌ブース。
【請求項7】
前記オゾン発生装置は、前記ブース内の空気に含まれるオゾンを吸着する吸着部を有する、請求項1又は請求項2に記載のオゾン除菌ブース。
【請求項8】
前記対象物は、医療介護用衣類であり、
前記ブース構成部材は、前記医療介護用衣類がかかったハンガーを吊り下げ可能なハンガー吊り下げ用パイプを有する、請求項1又は請求項2に記載のオゾン除菌ブース。
【請求項9】
前記対象物は、医療介護用寝具であり、
前記医療介護用寝具を保持し、かつ、前記ブース内に収容される寝具用フレームを備える、請求項1又は請求項2に記載のオゾン除菌ブース。
【請求項10】
前記オゾン発生部のオゾン発生方式は、オゾン生成用紫外線ランプを用いた紫外線ランプ方式、又は放電装置を用いた放電方式である、請求項1又は請求項2に記載のオゾン除菌ブース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オゾン除菌ブースに関する。
【背景技術】
【0002】
医療施設及び介護施設等において繰り返し使用される放射線防護衣、白衣等の衣類、及び寝具等は、細菌及びウイルス等を除去するために、定期的に除菌処理されている。
【0003】
この除菌処理を実行する手段には、例えば、除菌処理を要する除菌対象物に対して液状の除菌剤を噴霧したり塗布したりする等の手段がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、液状の除菌剤を噴霧したり塗布したりする等の手段では、放射線防護衣の縫い目から液状の除菌剤が入って内部の遮蔽材(例えば鉛)を劣化させるおそれがあった。また、寝具等の厚みのある除菌対象物を内部まで除菌することは困難であった。
【0006】
本発明は、対象物を効果的に除菌することのできるオゾン除菌ブースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るオゾン除菌ブースは、ブースを構成するブース構成部材と、オゾン発生装置とを備える。前記ブースは、対象物収容部と、オゾン発生装置収容部とを有する。前記対象物収容部は、除菌処理の対象物を収容できる。前記オゾン発生装置収容部は、前記オゾン発生装置を収容できる。前記オゾン発生装置は、前記オゾン発生装置収容部に収容される。前記オゾン発生装置は、オゾン発生部と、送風部とを有する。前記オゾン発生部は、オゾンを発生させる。前記送風部は、前記オゾン発生部が発生させたオゾンを含む空気を前記対象物収容部に向けて送風する。
【0008】
本発明に係るオゾン除菌ブースにおいて、前記ブースの上部に前記対象物収容部が位置し、前記ブースの下部に前記オゾン発生装置収容部が位置することが好ましい。前記送風部は、前記オゾン発生装置の上方に位置する前記対象物収容部に向けてオゾンを含む空気を送風することが好ましい。
【0009】
本発明に係るオゾン除菌ブースにおいて、前記ブース構成部材は、ブース用フレームと、シートカバーと、ファスナーと、スライダーとを有することが好ましい。前記シートカバーは、前記ブース用フレームを覆う。前記ファスナーは、前記シートカバーに取り付けら、前記シートカバーの少なくとも一部を開閉可能である。前記スライダーは、前記ファスナーに沿って移動することによって、前記シートカバーの少なくとも一部を前記ファスナーとともに開閉する。
【0010】
本発明に係るオゾン除菌ブースにおいて、前記対象物は放射線防護衣であることが好ましい。
【0011】
本発明に係るオゾン除菌ブースは、前記放射線防護衣を吊り下げるハンガーを備えることが好ましい。前記ハンガーは、前記ブース用フレームに固定されていることが好ましい。
【0012】
本発明に係るオゾン除菌ブースにおいて、前記オゾン発生装置は、第1時間が経過するまでの間、前記送風部に、前記オゾン発生部が発生させるオゾンを含む空気を前記対象物収容部へ送風させるオゾン発生運転を行うことが好ましい。前記オゾン発生装置は、前記オゾン発生運転の終了後、第2時間が経過するまでの間、前記オゾン発生部を停止させた状態で、前記送風部に前記対象物収容部へ送風させるオゾン拡散運転を行うことが好ましい。
【0013】
本発明に係るオゾン除菌ブースは、前記ブース内の空気に含まれるオゾンを吸着する吸着部を有することが好ましい。
【0014】
本発明に係るオゾン除菌ブースにおいて、前記対象物は医療介護用衣類であることが好ましい。前記ブース構成部材は、前記医療介護用衣類がかかったハンガーを吊り下げ可能なハンガー吊り下げ用パイプを有することが好ましい。
【0015】
本発明に係るオゾン除菌ブースにおいて、前記対象物は医療介護用寝具であることが好ましい。前記オゾン除菌ブースは、前記医療介護用寝具を保持し、かつ、前記ブース内に収容される寝具用フレームを備えることが好ましい。
【0016】
本発明に係るオゾン除菌ブースにおいて、前記オゾン発生部のオゾン発生方式は、オゾン生成用紫外線ランプを用いた紫外線ランプ方式、又は放電装置を用いた放電方式であることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係るオゾン除菌ブースは、対象物を効果的に除菌することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】放射線防護衣の除菌に適したオゾン除菌ブースの斜視図である。
【
図5】菌種、CT値、及び不活化率を示す表である。
【
図6】医療介護用衣類の除菌に適したオゾン除菌ブースの斜視図である。
【
図7】医療介護用寝具の除菌に適したオゾン除菌ブースの斜視図である。
【
図8】医療介護用寝具の除菌に適したオゾン除菌ブースに含まれる寝具用フレームの斜視図である。
【
図9】医療介護用寝具の除菌に適したオゾン除菌ブースに含まれる寝具用フレームに寝具が吊り下げられた状態を示す斜視図である。
【
図10】オゾン発生装置による除菌消臭動作の一例を示すフローチャートである。
【
図11】医療介護用衣類の除菌消臭モードにおけるブース内のオゾン濃度とCT値の推移を示すグラフである。
【
図12】医療介護用寝具の除菌消臭モードにおけるブース内のオゾン濃度とCT値の推移を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0020】
<放射線防護衣の除菌消臭>
放射線防護衣は、手術室における放射線透視下での手術等、放射線検査室におけるX線撮影、骨塩定量検査、CT検査、消化管造影検査、血管造影検査、及び心臓カテーテル検査等、並びに、放射線治療室における放射線治療等で用いられる。放射線防護衣には、着用した人の汗のほかにも、細菌、ウイルス、薬品類、及び血液等が付着することがある。放射線防護衣の付着物を除去するために、従来、水拭き又はアルコール消毒等が行われていた。しかしながら、放射線防護衣の縫い目から水又はアルコール等が入ると、内部の遮蔽材(例えば鉛)が劣化するおそれがあった。加えて、水拭き又はアルコール消毒では、放射線防護衣のにおいを除去することが困難であった。
【0021】
以下では、オゾンにより放射線防護衣を除菌処理することのできるオゾン除菌ブース1Aを説明する。
【0022】
図1、
図2、
図3、及び
図4を参照して、実施形態に係るオゾン除菌ブース1について説明する。
図1は、放射線防護衣2の除菌に適したオゾン除菌ブース1Aの斜視図である。
図2は、オゾン発生装置100の正面図である。
図3は、オゾン発生装置100の背面図である。
図4は、オゾン発生装置100のブロック図である。
【0023】
図1に示されるように、オゾン除菌ブース1は、ブース10を構成するブース構成部材15と、オゾン発生装置100と、固定部材30と、ハンガー31とを備える。ブース10は、略直方体形状の空間である。ブース10内部の上側空間、より具体的にはブース10内部のうちのオゾン発生装置100より上側の空間は、除菌処理の対象物を収容できる対象物収容部11である。ブース10内部の下側空間は、オゾン発生装置100を収容できるオゾン発生装置収容部12である。除菌処理の対象物が放射線防護衣2である場合のオゾン除菌ブース1をオゾン除菌ブース1Aと記載する。
【0024】
ブース構成部材15は、ブース用フレーム20と、シートカバー50と、ファスナー51と、スライダー52とを備える。ブース用フレーム20は、例えば、表面がアルマイト処理されたアルミ部材によって構成される。ブース用フレーム20は、例えば、上方に配置される矩形状の枠と、枠の四隅から床側へと伸びる4本の脚とを有する。さらに、ブース用フレーム20には、固定部材30が固定されている。固定部材30は、対象物収容部11内に位置する。固定部材30には、図示しないブラケット等により、パイプ状のハンガー31が複数取り付けられている。固定部材30及びハンガー31は、例えば、表面がアルマイト処理されたアルミ部材によって構成される。
【0025】
除菌処理の対象物である放射線防護衣2は、放射線を遮蔽する遮蔽材(例えば鉛)を含むため、重い。そこで、本実施形態ではハンガー31を金属製とし、かつ、固定部材30に固定することにより、重い放射線防護衣2を吊り下げるために要する強度を確保する。
【0026】
シートカバー50は、例えば、防炎糸入りの透明なポリ塩化ビニルシートを縫製又は溶着等して形成される。シートカバー50は、オゾン発生装置100が発生させたオゾンを含む空気が、シートカバー50外部へ漏れることを抑制するための被覆材である。図示例のシートカバー50は、ブース用フレーム20の上面と4側面とを覆う形状である。シートカバー50の4側面は床面に接する長さ、すなわち4側面と床面とに隙間が生じない長さであることが好ましい。シートカバー50の4側面と床面とに隙間が生じていたとしても、この隙間からシートカバー50の外部へ漏れたオゾン濃度が0.1ppm以下であれば人体への影響はない。ここでいうオゾン濃度0.1ppmは、日本産業衛生学会により勧告されている労働環境のオゾンガス濃度許容値である。なお、シートカバー50は、ブース用フレーム20の上面と4側面に加えて、底面も覆う形状であってもよい。
【0027】
シートカバー50の4側面のうち、少なくとも1側面には、ファスナー51が取り付けられている。ファスナー51は、例えば、1側面の上下に延びている。ファスナー51には、ファスナー51に沿って移動可能なスライダー52が取り付けられている。ファスナー51に沿ってスライダー52が移動することにより、シートカバー50の1側面がファスナー51とともに開閉する。シートカバー50の1側面が開くことにより、放射線防護衣2を対象物収容部11に収容すること、及び対象物収容部11に収容されている放射線防護衣2を取り出すことが可能である。
【0028】
なお、ファスナー51の取り付け例は、図示例に限定されない。例えば、大きな開口を形成するために、シートカバー50の1側面のうちの2辺に沿ってファスナー51が取り付けられていてもよい。
【0029】
図2に示されるように、オゾン発生装置100は、筐体101と、操作パネル103とを有する。筐体101の上面には、吹出口102と操作パネル103とが設けられている。
図3に示されるように、オゾン発生装置100は、フィルターカバー111と、フィルター固定ねじ112とを有する。筐体101の背面には、吸気口110と、フィルターカバー111と、フィルター固定ねじ112とが設けられている。
【0030】
図4に示されるように、オゾン発生装置100は、オゾン発生部121、送風部122、制御部123、及び吸着部124を備える。なお、
図4において、電気信号の流れを実線矢印で示し、空気の流れを破線矢印で示す。また、
図4は、オゾン発生装置100を模式的に表したものであり、各部の位置等を限定するものではない。
【0031】
オゾン発生部121は、オゾンを発生させる。例えば、オゾン発生部121は、オゾン生成用紫外線ランプ121Aを有する。オゾン生成用紫外線ランプ121Aが特定の波長の紫外線を照射することにより、空気中にオゾンが生じる。オゾン生成用紫外線ランプ121Aを含むオゾン発生部121は、オゾン発生装置100の筐体101内に収容される。
【0032】
ここで、オゾンによる除菌消臭について説明する。オゾンは、強い酸化力により、細菌の細胞膜、並びにウイルスの核酸及びたんぱく質を破壊することで、細菌及びウイルスを不活化させる。また、オゾンは、臭気物質を無臭気物質に分解することで、消臭する。
【0033】
図5は、菌種、CT値、及び不活化率を示す表である。CT値(Concentration-Time Value)は、オゾンが菌及びウイルスを不活化する能力を示すための評価指標である。CT値[ppm・min]は、オゾン濃度[ppm]とオゾン接触時間[min]との積である。例えば、インフルエンザウイルス及びコロナウイルスはCT値60で不活化され、ヘルペスウイルスはCT値100で不活化される。オゾン発生装置100は、CT値に基づいて決定された運転時間でオゾン発生部121等を動作させる。これにより、放射線防護衣2が除菌されると同時に消臭される。
【0034】
オゾン発生方式の1つである放電方式では、窒素酸化物(NOx)が生成される。NOxは、人体に有害であり、また金属等の腐食の原因にもなる。一方、オゾン生成用紫外線ランプ121Aを用いたオゾン発生方式では、NOxがほとんど発生しない。これは、酸素からオゾンを生成するエネルギーはあるが、窒素からNOxを生成するエネルギーがないためである。そのため、金属製のブース用フレーム20等の腐食を防止できる。加えて、放射線防護衣2に用いられている遮蔽物(例えば鉛)の腐食も防止できる。なお、オゾン発生部121のオゾン発生方式は、オゾン生成用紫外線ランプ121Aを用いたオゾン発生方式に限定されず、放電装置(図示せず)を用いた放電方式であってもよい。
【0035】
送風部122は、ファン等の送風機を含む。送風部122は、ブース10内の空気を吸気口110から吸い込み、吹出口102からブース10内へ吹き出す。送風部122の吸い込み及び吹き出しにより、筐体101内に破線矢印(
図4参照)で示す空気の流れが生じる。この風路上には、オゾン発生部121及び吸着部124が配置される。したがって、送風部122は、オゾン発生部121が発生させたオゾンを含む空気を、吹出口102から吹き出すことができる。
【0036】
図1に示すように、オゾン発生装置100は、ブース10下部のオゾン発生装置収容部12に収容される。図示例では、オゾン発生装置収容部12が対象物収容部11より下方の床面側に配置され、オゾン発生装置100が床面上に配置されている。また、吹出口102は、オゾン発生装置100の筐体101の上面に配置されている。したがって、送風部122は、オゾン発生装置100の上方に位置する対象物収容部11に向けて、オゾンを含む空気を送風することができる。
【0037】
制御部123は、操作パネル103が受け付けたユーザー操作に従い、オゾン発生部121及び送風部122の動作を制御する。例えば、ユーザーは、操作パネル103を操作することによって、放射線防護衣2の除菌消臭モード、後述する医療介護用衣類3の除菌消臭モード、及び後述する医療介護用寝具5の除菌消臭モードのいずれかを選択することができる。この場合、制御部123は、ユーザーが選択したモードに応じた運転時間の間、オゾン発生部121及び送風部122を動作させる。なお、各モードの詳細は後述する。
【0038】
制御部123は、例えば、CPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサと、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)のようなメモリとを有する。例えば、制御部123は、メモリに予め記憶されたコンピュータプログラムをプロセッサが実行することにより、オゾン発生部121及び送風部122を上記各モードで動作させる。
【0039】
図4に破線矢印で示される風路上には、吸着部124が配置される。吸着部124は、例えば、活性炭フィルター124Aを有する。活性炭フィルター124Aは、ブース10内の空気に含まれるオゾンを吸着する。より詳しくは、送風部122が吸気口110を介してブース10内の空気を筐体101内に取り込んだ際に、取り込んだ空気に含まれているオゾンを吸着する。また、活性炭フィルター124Aは、取り込んだ空気に含まれるゴミ及び埃等を吸着する。
【0040】
活性炭フィルター124Aは、フィルターカバー111(
図3を参照)に取り付けられる。活性炭フィルター124Aが取り付けられた状態のフィルターカバー111は、フィルター固定ねじ112によって筐体101の吸気口110に固定される。活性炭フィルター124Aにゴミ及び埃等が付着すると送風部122の送風能力が低下し、結果として除菌消臭能力も低下する。また、活性炭フィルター124Aは高濃度のオゾンガスに曝されると劣化し、オゾン吸着力が低下する。そのため、活性炭フィルター124Aは定期的に交換されることが好ましい。したがって、フィルターカバー111は、フィルター固定ねじ112等の取り外しが容易な部材により吸気口110に固定されることが好ましい。
【0041】
オゾンは、自己分解によって酸素に戻るため、薬剤のような残留性はない。そのため、ブース10内で除菌処理した放射線防護衣2にはオゾンが付着するが、付着したオゾンはいずれ酸素になる。また、除菌処理によりブース10内に拡散したオゾンは、吸着部124によって吸着されることにより効率的に除去される。したがって、ユーザーは、除菌処理の終了後すぐにシートカバー50を開けて放射線防護衣2を取り出すことが可能となる。換言すれば、オゾン除菌ブース1,1Aは、除菌処理とは別にオゾン除去処理を行う必要がないため、時間短縮が可能となる。
【0042】
<医療介護用衣類の除菌消臭>
オゾン除菌ブース1は、放射線防護衣2の除菌消臭に限らず、医療介護用衣類の除菌消臭に用いることが可能である。以下では、オゾンにより医療介護用衣類を除菌処理することのできるオゾン除菌ブース1Bについて説明する。なお、当然のことながら、オゾン除菌ブース1Bは、医療介護用衣類の除菌処理に限らず、臭い又はウイルス等が付着した可能性のある私服等の衣類の除菌処理に用いることもできる。
【0043】
図6は、医療介護用衣類3の除菌に適したオゾン除菌ブース1Bの斜視図である。
図6において
図1と同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0044】
図6に示されるように、オゾン除菌ブース1Bは、ブース10を構成するブース構成部材15と、オゾン発生装置100と、ハンガー吊り下げ用パイプ60と、小物置き部61と、固定部材35,36とを備える。ブース構成部材15は、ブース用フレーム20と、シートカバー50と、ファスナー51と、スライダー52とを備える。ブース10内部の上側空間は、医療介護用衣類3を収容できる対象物収容部11である。ブース10内部の下側空間は、オゾン発生装置100を収容できるオゾン発生装置収容部12である。
【0045】
オゾン除菌ブース1Bでは、ブース用フレーム20に、固定部材35が固定されている。固定部材35は、対象物収容部11内に位置する。固定部材35には、ハンガー4を吊り下げるためのハンガー吊り下げ用パイプ60が固定されている。
図6の例では、ハンガー吊り下げ用パイプ60が、2つの固定部材35の間に配置され、ハンガー吊り下げ用パイプ60の一方端部が一方の固定部材35に固定され、ハンガー吊り下げ用パイプ60の他方端部が他方の固定部材35に固定されている。医療介護用衣類3は放射線防護衣2に比べて軽いため、
図1を参照して説明したオゾン除菌ブース1Aのように金属製のハンガー31を固定部材30に固定する必要はなく、一般的なハンガー4を利用可能である。ハンガー4には、医療介護用衣類3がかけられる。
【0046】
また、ブース用フレーム20に固定部材36が固定されてもよい。固定部材36は、対象物収容部11とオゾン発生装置収容部12とを区切る位置に配置される。固定部材36には、小物置き部61が固定されている。
図6の例では、小物置き部61が2つの固定部材36の間に配置され、小物置き部61の一方端辺が一方の固定部材36に固定され、小物置き部61の他方端辺が他方の固定部材36に固定されている。小物置き部61の上面には、除菌処理の対象物としての小物類が載置可能である。小物置き部61は、例えば、多数の孔が開いた板状部材であり、アルマイト処理されたアルミ部材によって構成される。オゾン発生装置100の吹出口102から吹き出した空気は、小物置き部61に開いた多数の孔を通って対象物収容部11へ流れる。なお、小物置き部61は、板状部材に限定されない。例えば、複数の細い棒状部材を並べることによって小物置き部61を構成してもよい。
【0047】
<医療介護用寝具の除菌消臭>
【0048】
オゾン除菌ブース1は、放射線防護衣2の除菌消臭に限らず、医療介護用寝具の除菌消臭に用いることが可能である。以下では、オゾンにより医療介護用寝具を除菌処理することのできるオゾン除菌ブース1Cについて説明する。なお、当然のことながら、オゾン除菌ブース1Cは、医療介護用寝具の除菌処理に限らず、臭い又はウイルス等が付着した可能性のある、医療介護用以外の一般の寝具の除菌処理に用いることもできる。
【0049】
図7は、医療介護用寝具5の除菌に適したオゾン除菌ブース1Cの斜視図である。
図8は、医療介護用寝具5の除菌に適したオゾン除菌ブース1Cに含まれる寝具用フレーム70の斜視図である。
図9は、医療介護用寝具5の除菌に適したオゾン除菌ブース1Cに含まれる寝具用フレーム70に医療介護用寝具5が吊り下げられた状態を示す斜視図である。
図7、
図8、及び
図9において
図1と同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0050】
図7、
図8、及び
図9に示されるように、オゾン除菌ブース1Cは、ブース10を構成するブース構成部材15と、オゾン発生装置100と、寝具用フレーム70とを備える。ブース構成部材15は、ブース用フレーム20と、シートカバー50と、ファスナー51と、スライダー52とを備える。ブース10内部の上側空間は、医療介護用寝具5を収容できる対象物収容部11である。ブース10内部の下側空間は、オゾン発生装置100を収容できるオゾン発生装置収容部12である。
【0051】
オゾン除菌ブース1Cにおいて、シートカバー50は、ブース用フレーム20の上面と4側面と底面とを覆う形状である。放射線防護衣2及び医療介護用衣類3に比べて医療介護用寝具5は分厚いため、放射線防護衣2及び医療介護用衣類3の除菌に必要なオゾン濃度に比べて医療介護用寝具5の除菌に必要なオゾン濃度を高くする必要がある。そのため、医療介護用寝具5用のオゾン除菌ブース1Cに用いるシートカバー50は、ブース用フレーム20の上面と4側面と底面とを隙間なく覆う形状であることが好ましい。これにより、高濃度のオゾンガスが外部へ漏れることを抑制できる。
【0052】
ここで、シートカバー50の4側面のうちの1側面をシートカバー開閉部50Aと記載し、底面をシートカバー底面部50Bと記載する。シートカバー開閉部50Aの上辺は、シートカバー50の上面の1辺と接続されている。シートカバー開閉部50Aの上辺を除く3辺には、ファスナー51が取り付けられている。よって、シートカバー開閉部50A全体が開閉可能であり、シートカバー50が大きく開口可能である。なお、高濃度のオゾンガスが外部へ漏出することを抑制するために、ファスナー51として、気密ファスナーあるいは防水ファスナーと呼ばれる、通常のファスナーに比べて閉じた際の気密性を向上させたものを用いることが好ましい。あるいは、ファスナー51の裏面側をシート(例えば、シートカバー50と同じ素材)で覆う構造とすることで、気密性を向上させてもよい。
【0053】
ブース10は、内部に寝具用フレーム70を収容できる。シートカバー50のシートカバー開閉部50Aが開くことにより、寝具用フレーム70を対象物収容部11に収容すること、及び対象物収容部11に収容されている寝具用フレーム70を取り出すことが可能である。寝具用フレーム70は、例えば4つのキャスター71を有し、容易に移動可能である。寝具用フレーム70は、医療介護用寝具5を保持することができる形状であればよく、
図7~
図9に例示する形状に限定されない。
【0054】
<オゾン発生装置の運転モード>
次に、オゾン発生装置100の各運転モードについて説明する。
図10は、オゾン発生装置100による除菌消臭動作の一例を示すフローチャートである。以下では、ユーザーが操作パネル103を操作して「放射線防護衣2の除菌消臭モード」を選択し、「開始」を選択した場合を例に、オゾン発生装置100による除菌消臭動作を説明する。
【0055】
操作パネル103が「放射線防護衣2の除菌消臭モード」の「開始」操作を受け付けた場合、制御部123は、オゾン発生準備運転を行う(ステップS1)。オゾン発生準備運転において、制御部123は、所定時間(例えば、60秒)が経過するまでの間、送風部122に送風を行わせる。
【0056】
オゾン発生準備運転の終了後、制御部123は、第1時間(例えば、5秒)が経過するまでの間、オゾン発生運転を行う(ステップS2)。オゾン発生運転において、制御部123は、オゾン発生部121にオゾンを発生させるとともに、送風部122にオゾンを含む空気を対象物収容部11へ送風させる。オゾン発生運転により、オゾンを含む空気が対象物収容部11へ送られる。
【0057】
オゾン発生運転の終了後、制御部123は、第2時間(例えば、115秒)が経過するまでの間、オゾン拡散運転を行う(ステップS3)。オゾン拡散運転において、制御部123は、オゾン発生部121を停止させた状態で、送風部122に対象物収容部11へ送風させる。オゾン発生運転により対象物収容部11へ送られたオゾンを含む空気は、オゾン拡散運転により対象物収容部11内に拡散する。放射線防護衣2に付着している細菌及びウイルスは、オゾンと接触することにより破壊され不活化される。また、放射線防護衣2に付着している臭気物質は、オゾンと接触することにより無臭気物質に分解される。
【0058】
また、オゾン拡散運転においては、送風部122が動作することにより、ブース10内の空気が吸気口110に取り込まれ、オゾンが吸着部124に吸着される。したがって、オゾン発生装置100は、オゾン拡散運転においてブース10内のオゾンの拡散とオゾンの吸着との両方の動作を行っている。なお、オゾン発生運転の時間(すなわち、ステップS2の第1時間)を長くすることでブース10内のオゾン濃度が上昇しやすくなり、結果として除菌消臭モードの運転時間を短くできる。反対にオゾン拡散運転の時間(すなわち、ステップS3の第2時間)を長くすることでブース10内のオゾン濃度が減少しやすくなり、結果として除菌消臭モードの運転時間を短くできる。
【0059】
放射線防護衣2の除菌消臭モードにおいては、例えばCT値100を目標とする。そして、目標CT値に到達することが期待される目安の時間(目標CT値到達時間)が、制御部123に予め設定されている。制御部123は、最初のオゾン発生運転(ステップS2)から目標CT値到達時間のカウントを開始する。制御部123は、ステップS2のオゾン発生運転とステップS3のオゾン拡散運転とを繰り返し行い、目標CT値到達時間になると(ステップS4:YES)、オゾン発生装置100の運転を停止する。目標CT値到達時間になっていなければ(ステップS4:NO)、制御部123の処理はステップS2へ戻る。なお、目標CT値到達時間は、測定又はシミュレーション等によって事前に決定される。
【0060】
図11は、医療介護用衣類3の除菌消臭モードにおけるオゾン除菌ブース1Bのブース10内のオゾン濃度とCT値の推移を示すグラフである。グラフの横軸が時間、縦軸がブース10内のオゾン濃度及びCT値である。この例においては、ブース10内に医療介護用衣類3は収容されていない。また、測定時の平均温度は20.8度、平均相対湿度は17.0%であった。オゾン発生装置100がオゾン発生運転とオゾン拡散運転とを繰り返し行うことにより、ブース10内のオゾン濃度が徐々に上昇し、約2.4ppmを維持した。また、運転開始1時間弱でCT値が100ppm・minを超え、細菌及びウイルスが不活化された。この測定結果から、目標のCT値100が期待できる目安の目標CT値到達時間(
図10のステップS4)を1時間と決定した。
【0061】
なお、目標のCT値100が期待できる目安の目標CT値到達時間は、ブース10の容積、オゾン発生装置100による単位時間あたりのオゾン発生量、温度、及び相対湿度等により変動する。そのため、目標CT値到達時間は、これらの条件を考慮して決定されることが好ましい。
【0062】
放射線防護衣2の除菌消臭モードにおいても、オゾン除菌ブース1Aのブース10内のオゾン濃度及びCT値の推移は、
図11に示されるオゾン濃度及びCT値の推移と似た傾向となる。放射線防護衣2の除菌消臭モードにおいても、測定結果から、目標のCT値100が期待できる目安の目標CT値到達時間(
図10のステップS4)を決定すればよい。
【0063】
図10のフローチャートでは、目標CT値到達時間になると動作を終了したが、これに限定されない。例えば、ユーザーが操作パネル103を操作して「停止」を選択するまで、制御部123は、ステップS2のオゾン発生運転とステップS3のオゾン拡散運転とを繰り返し行ってもよい。ユーザーが操作パネル103を操作して「停止」を選択すると、制御部123は、オゾン発生装置100の運転を停止する。
【0064】
次に、医療介護用衣類3の除菌消臭モードについても一例を説明する。操作パネル103が「医療介護用衣類3の除菌消臭モード」の「開始」操作を受け付けた場合、制御部123は、
図10のフローチャートに示されるステップS1~S4の動作を行う。例えば、医療介護用衣類3の除菌消臭モードにおいても、放射線防護衣2の除菌消臭モードと同様に、目標のCT値を100とする。目標のCT値100が期待できる目安の目標CT値到達時間は、測定又はシミュレーション等によって事前に決定される。
【0065】
次に、医療介護用寝具5の除菌消臭モードについても一例を説明する。操作パネル103が「医療介護用寝具5の除菌消臭モード」の「開始」操作を受け付けた場合、制御部123は、
図10のフローチャートに示されるステップS1~S3の動作を行う。医療介護用寝具5の内部まで除菌消臭ができるよう、目標のCT値を例えば3000~5000とする。制御部123は、オゾン発生準備運転(ステップS1)を30秒間行い、続いてオゾン発生運転(ステップS2)を第1時間(例えば、30分)が経過するまで行う。続いて制御部123は、オゾン拡散運転(ステップS3)を第2時間(例えば、150分)が経過するまで行う。制御部123は、オゾン拡散運転終了後、オゾン発生装置100の運転を停止する。
【0066】
図12は、医療介護用寝具5の除菌消臭モードにおけるオゾン除菌ブース1Cのブース10内のオゾン濃度とCT値の推移を示すグラフである。グラフの横軸が時間、縦軸がブース10内のオゾン濃度及びCT値である。この例においては、ブース10内に医療介護用寝具5は収容されていない。また、測定時の平均温度は19.4度、平均相対湿度は20.3%であった。オゾン発生装置100が30分間オゾン発生運転を行うことにより、ブース10内のオゾン濃度は最高72ppmまで上昇した。続けてオゾン発生装置100が150分間オゾン拡散運転を行うことにより、ブース10内にオゾンが拡散するとともに、ブース10内のオゾンが吸着部124に吸着されてオゾン濃度が徐々に減少していった。オゾン発生装置100の運転開始から180分後には、ブース10内のオゾン濃度は0.27ppmまで減少した。CT値は約3200となり、医療介護用寝具5は内部まで除菌消臭された。
【0067】
なお、オゾン発生装置100の動作中、送風部122の風量は、一定でもよいし、可変でもよい。例えば、ブース10に収容された対象物の量に応じて風量を変更してもよい。また、例えば、ブース10に収容された対象物の種類に応じて風量を変更してもよい。また、例えば、オゾン発生運転とオゾン拡散運転とで風量を変更してもよい。
【0068】
以上、本発明の実施形態について、図面(
図1~
図12)を参照しながら説明した。但し、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。
【0069】
図1~
図12を参照して説明した実施形態では、ポリ塩化ビニルシート等によって構成されるシートカバー50を用いてブース用フレーム20を被覆したが、ステンレス等の金属によって構成される板状部材を用いて被覆してもよい。オゾン生成用紫外線ランプ121Aを用いたオゾン発生方式ではNO
xがほとんど生成されず、金属が腐食しにくいためである。
【0070】
図1~
図12を参照して説明した実施形態では、オゾン発生装置100をブース10の下側空間に載置したが、上側空間に載置してもよい。その場合、例えば、多数の孔が開いた板状部材等をブース用フレーム20の上部に固定し、板状部材等の上にオゾン発生装置100を載置する。ただし、オゾン発生装置100の上面に設けられた吹出口102から吹き出したオゾンがすぐ上のシートカバー50に当たって反転するため、吸気口110に取り込まれて吸着部124に吸着されやすい。そのため、オゾン発生装置100を下側空間に載置した場合に比べて、上側空間に載置した場合は除菌消臭の効率が下がる。その場合には、オゾン発生装置100の筐体101下部(より具体的には底面等)に吹出口102を設けることが好ましい。あるいは、オゾン発生装置100の制御部123(
図4)が実行するコンピュータプログラムを変更することによって、目標のCT値に到達するようにオゾン発生運転(
図10のステップS2)の時間を長くしてもよい。
【0071】
また、
図1に示すオゾン除菌ブース1Aでは、対象物収容部11において複数のハンガー31を1列に配置したが、ハンガー31の配置はこれに限定されない。例えば、対象物収容部11の上部にハンガー31を一列配置するとともに、対象物収容部11の中間部にハンガー31をもう一列配置してもよい。上部のハンガー31に放射線防護衣2の上衣をかけ、中間部のハンガー31に放射線防護衣2の下衣をかける等、対象物収容部11の空間を効率的に使用可能である。また、オゾン除菌ブース1Aの対象物収容部11に、オゾン除菌ブース1Bの小物置き部61と同様の小物置き部を設けてもよい。
【0072】
また、
図6に示すオゾン除菌ブース1Bでは、対象物収容部11に1つのハンガー吊り下げ用パイプ60を配置したが、複数のハンガー吊り下げ用パイプ60を並べて配置してもよい。例えば、対象物収容部11の上部にハンガー吊り下げ用パイプ60を配置するとともに、対象物収容部11の中間部にハンガー吊り下げ用パイプ60を配置してもよい。上部のハンガー吊り下げ用パイプ60に医療介護用衣類3の上衣をかけ、中間部のハンガー吊り下げ用パイプ60に医療介護用衣類3の下衣を書ける等、対象物収容部11の空間を効率的に使用可能である。また、小物置き部61の位置は、ハンガー吊り下げ用パイプ60より下方に限定されず、ハンガー吊り下げ用パイプ60より上方に配置されてもよい。
【0073】
また、ブース用フレーム20にキャスターを取り付けて、オゾン除菌ブース1A,1Bを移動可能な構成としてもよい。
【0074】
なお、図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示している。したがって、図示された各構成要素の厚み、長さ等は、図面作成の都合上から実際とは異なる。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明に係るオゾン除菌ブースは、医療施設及び介護施設等における放射線防護衣、医療介護用衣類、及び医療介護用寝具等の除菌処理に適用できる。
【符号の説明】
【0076】
1,1A,1B,1C オゾン除菌ブース
2 放射線防護衣
3 医療介護用衣類
4 ハンガー
5 医療介護用寝具
10 ブース
11 対象物収容部
12 オゾン発生装置収容部
15 ブース構成部材
20 ブース用フレーム
30,35,36 固定部材
31 ハンガー
50 シートカバー
50A シートカバー開閉部
50B シートカバー底面部
51 ファスナー
52 スライダー
60 ハンガー吊り下げ用パイプ
61 小物置き部
70 寝具用フレーム
71 キャスター
100 オゾン発生装置
101 筐体
102 吹出口
103 操作パネル
110 吸気口
111 フィルターカバー
112 フィルター固定ねじ
121 オゾン発生部
121A オゾン生成用紫外線ランプ
122 送風部
123 制御部
124 吸着部
124A 活性炭フィルター
【手続補正書】
【提出日】2023-04-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブースを構成するブース構成部材と、
オゾン発生装置と
を備え、
前記ブースは、
除菌処理の対象物を収容できる対象物収容部と、
前記オゾン発生装置を収容できるオゾン発生装置収容部と
を有し、
前記オゾン発生装置は、
前記オゾン発生装置収容部に収容され、
オゾンを発生させるオゾン発生部と、
前記オゾン発生部が発生させたオゾンを含む空気を前記対象物収容部に向けて送風する送風部と、
ハンガーと
を備え、
前記ブース構成部材は、ブース用フレームを有し、
前記対象物は、放射線防護衣を含み、
前記ハンガーは、棒状であり、前記放射線防護衣を吊り下げ、
前記ハンガーの一端は、前記ブース用フレームに固定されており、前記ハンガーの他端は、固定されていない、オゾン除菌ブース。
【請求項2】
前記ブースの上部に前記対象物収容部が位置し、前記ブースの下部に前記オゾン発生装置収容部が位置し、
前記送風部は、前記オゾン発生装置の上方に位置する前記対象物収容部に向けてオゾンを含む空気を送風する、請求項1に記載のオゾン除菌ブース。
【請求項3】
前記ブース構成部材は、
前記ブース用フレームを覆うシートカバーと、
前記シートカバーに取り付けられ、前記シートカバーの少なくとも一部を開閉可能なファスナーと、
前記ファスナーに沿って移動することによって、前記シートカバーの少なくとも一部を前記ファスナーとともに開閉するスライダーと
を有する、請求項1又は請求項2に記載のオゾン除菌ブース。
【請求項4】
前記オゾン発生装置は、
第1時間が経過するまでの間、前記送風部に、前記オゾン発生部が発生させるオゾンを含む空気を前記対象物収容部へ送風させるオゾン発生運転を行い、
前記オゾン発生運転の終了後、第2時間が経過するまでの間、前記オゾン発生部を停止させた状態で、前記送風部に前記対象物収容部へ送風させるオゾン拡散運転を行う、請求項1又は請求項2に記載のオゾン除菌ブース。
【請求項5】
前記オゾン発生装置は、前記ブース内の空気に含まれるオゾンを吸着する吸着部を有する、請求項1又は請求項2に記載のオゾン除菌ブース。
【請求項6】
前記対象物は、医療介護用衣類を含み、
前記ブース構成部材は、前記医療介護用衣類がかかったハンガーを吊り下げ可能なハンガー吊り下げ用パイプを有する、請求項1又は請求項2に記載のオゾン除菌ブース。
【請求項7】
前記対象物は、医療介護用寝具を含み、
前記医療介護用寝具を保持し、かつ、前記ブース内に収容される寝具用フレームを備える、請求項1又は請求項2に記載のオゾン除菌ブース。
【請求項8】
前記オゾン発生部のオゾン発生方式は、オゾン生成用紫外線ランプを用いた紫外線ランプ方式、又は放電装置を用いた放電方式である、請求項1又は請求項2に記載のオゾン除菌ブース。
【手続補正書】
【提出日】2023-06-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブースを構成するブース構成部材と、
オゾン発生装置と
を備え、
前記ブースは、
除菌処理の対象物を収容できる対象物収容部と、
前記オゾン発生装置を収容できるオゾン発生装置収容部と
を有し、
前記オゾン発生装置は、
前記オゾン発生装置収容部に収容され、
オゾンを発生させるオゾン発生部と、
前記オゾン発生部が発生させたオゾンを含む空気を前記対象物収容部に向けて送風する送風部と、
ハンガーと
を備え、
前記ブース構成部材は、ブース用フレームを有し、
前記対象物は、放射線防護衣を含み、
前記ハンガーは、棒状であり、前記放射線防護衣を吊り下げ、
前記ハンガーの一端は、前記ブース用フレームに固定されており、前記ハンガーの他端は、固定されていない、オゾン除菌ブース。
【請求項2】
前記ブースの上部に前記対象物収容部が位置し、前記ブースの下部に前記オゾン発生装置収容部が位置し、
前記送風部は、前記オゾン発生装置の上方に位置する前記対象物収容部に向けてオゾンを含む空気を送風する、請求項1に記載のオゾン除菌ブース。
【請求項3】
前記ブース構成部材は、
前記ブース用フレームを覆うシートカバーと、
前記シートカバーに取り付けられ、前記シートカバーの少なくとも一部を開閉可能なファスナーと、
前記ファスナーに沿って移動することによって、前記シートカバーの少なくとも一部を前記ファスナーとともに開閉するスライダーと
を有する、請求項1又は請求項2に記載のオゾン除菌ブース。
【請求項4】
前記オゾン発生装置は、
第1時間が経過するまでの間、前記送風部に、前記オゾン発生部が発生させるオゾンを含む空気を前記対象物収容部へ送風させるオゾン発生運転を行い、
前記オゾン発生運転の終了後、第2時間が経過するまでの間、前記オゾン発生部を停止させた状態で、前記送風部に前記対象物収容部へ送風させるオゾン拡散運転を行う、請求項1又は請求項2に記載のオゾン除菌ブース。
【請求項5】
前記オゾン発生装置は、前記ブース内の空気に含まれるオゾンを吸着する吸着部を有する、請求項1又は請求項2に記載のオゾン除菌ブース。
【請求項6】
前記オゾン発生部のオゾン発生方式は、オゾン生成用紫外線ランプを用いた紫外線ランプ方式、又は放電装置を用いた放電方式である、請求項1又は請求項2に記載のオゾン除菌ブース。