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特開2024-6561飲料水容器、ウォーターサーバ、及び飲料水容器の取付方法
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  • 特開-飲料水容器、ウォーターサーバ、及び飲料水容器の取付方法 図1
  • 特開-飲料水容器、ウォーターサーバ、及び飲料水容器の取付方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024006561
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】飲料水容器、ウォーターサーバ、及び飲料水容器の取付方法
(51)【国際特許分類】
   B67D 3/00 20060101AFI20240110BHJP
【FI】
B67D3/00 E
B67D3/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022107580
(22)【出願日】2022-07-04
(71)【出願人】
【識別番号】501418498
【氏名又は名称】矢崎エナジーシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145908
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 信雄
(74)【代理人】
【識別番号】100136711
【弁理士】
【氏名又は名称】益頭 正一
(72)【発明者】
【氏名】庄野 幸司
(72)【発明者】
【氏名】時久 知也
【テーマコード(参考)】
3E082
【Fターム(参考)】
3E082AA01
3E082BB01
3E082CC01
3E082DD01
3E082FF09
(57)【要約】
【課題】ウォーターサーバ本体に溜まる飲料水量が所定量になると閉じ所定量未満になると開く弁の有無に関わらず、操作者が飲料水容器の口部から出る飲料水の量を調整し易くすることができる飲料水容器を提供する。
【解決手段】飲料水容器30は、水道水を注ぎ入れるための第1開口部52、及びエアを通気させるための第2開口部54を有する容器本体31と、第1開口部52に着脱可能に取り付けられ、第1開口部52から注ぎ入れられた水道水を浄水して飲料水を生成する浄水部70と、弁18を有するウォーターサーバ本体10の場合には、第2開口部54を開状態に切り替え、弁18を有しないウォーターサーバ本体の場合には、第2開口部54を閉状態に切り替えるための切替部57と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水道水を注ぎ入れるための第1開口部、及びエアを通気させるための第2開口部を有する容器本体と、
前記第1開口部に着脱可能に取り付けられ、前記第1開口部から注ぎ入れられた水道水を浄水して飲料水を生成する浄水部と、
前記容器本体が取り付けられるウォーターサーバ本体が、前記容器本体の口部から流れて溜まる飲料水量が所定量になると前記容器本体の前記口部が取り付けられた流路を閉じ前記飲料水量が所定量未満になると前記流路を開く弁を有する場合には、前記第2開口部を開状態に切り替え、前記ウォーターサーバ本体が、前記弁を有しない場合には、前記第2開口部を閉状態に切り替えるための切替部と、
を備えることを特徴とする飲料水容器。
【請求項2】
請求項1に記載の飲料水容器と、
前記飲料水容器が取り付けられる前記ウォーターサーバ本体と、
を備えるウォーターサーバ。
【請求項3】
ウォーターサーバ本体に設けられ飲料水を収容可能なタンクに対して、請求項1に記載の飲料水容器を取り付ける飲料水容器の取付方法であって、
前記タンクにおける前記飲料水容器に差し込まれる容器差込部がいずれの会社の規格により製造されたものかを判別し、
前記会社の規格の前記容器差込部の構造に合わせて、前記飲料水容器に着脱可能で前記容器差込部に差し込まれる前記会社の規格の取付部を選択して前記飲料水容器に取り付け、
前記会社の規格の前記取付部が前記会社の規格の前記容器差込部に差し込まれるようにして前記飲料水容器を前記タンクに取り付ける、
ことを特徴とする飲料水容器の取付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料水容器、ウォーターサーバ、及び飲料水容器の取付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、飲料水を注ぎ出すための口部のみが開口する飲料水容器が開示されている。
【0003】
また、特許文献1には、飲料水容器から出てウォーターサーバ本体に溜まる飲料水量が所定量になると閉じ所定量未満になると開く弁を有しないリターナブルタイプ用のウォーターサーバ本体が開示されている。この一方で、特許文献1には、飲料水容器から出てウォーターサーバ本体に溜まる飲料水量が所定量になると閉じ所定量未満になると開く弁を有するワンウェイタイプ用のウォーターサーバ本体が開示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-147562号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、特許文献1の飲料水容器がワンウェイタイプ用のウォーターサーバ本体に取り付けられる場合には、前述の弁により飲料水容器及びウォーターサーバ本体の間の飲料水の流路が狭められるために、飲料水の流れが抑制される。従って、前述の弁を有しないリターナブルタイプ用のウォーターサーバ本体の場合だけでなく前述の弁を有するワンウェイタイプ用のウォーターサーバ本体の場合にも飲料水の流れが抑制されない構成が望まれる。
【0006】
本発明は、かかる事情に鑑み、ウォーターサーバ本体に溜まる飲料水量が所定量になると閉じ所定量未満になると開く弁の有無に関わらず、操作者が飲料水容器の口部から出る飲料水の量を調整し易くすることができる飲料水容器を提供することを目的とする。また、本発明は、その飲料水容器を有するウォーターサーバ、及びその飲料水容器の取付方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る飲料水容器は、水道水を注ぎ入れるための第1開口部、及びエアを通気させるための第2開口部を有する容器本体と、前記第1開口部に着脱可能に取り付けられ、前記第1開口部から注ぎ入れられた水道水を浄水して飲料水を生成する浄水部と、前記容器本体が取り付けられるウォーターサーバ本体が、前記容器本体の口部から流れて溜まる飲料水量が所定量になると前記容器本体の前記口部が取り付けられた流路を閉じ前記飲料水量が所定量未満になると前記流路を開く弁を有する場合には、前記第2開口部を開状態に切り替え、前記ウォーターサーバ本体が、前記弁を有しない場合には、前記第2開口部を閉状態に切り替えるための切替部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ウォーターサーバ本体に溜まる飲料水量が所定量になると閉じ所定量未満になると開く弁の有無に関わらず、操作者が飲料水容器の口部から出る飲料水の量を調整し易くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1実施形態に係るウォーターサーバを示す斜視図である。
図2】(a)は、図1に示した一部構成を示す概略端面図である。(b)は、(a)に示した構成の第1の一部拡大図である。(c)は、(a)に示した構成の第2の一部拡大図であって、(a)とは異なる動作状態を示した図である。
図3】(a)は、第2開口部を有する蓋部の一部平面図である。(b)は、第2開口部を構成する部材の平面図である。(c)は、切替部の平面図である。(d)は、フィルタの斜視図である。(e)は、フィルタの分解斜視図である。
図4】(a)は、図1のウォーターサーバが弁を有しないタイプである場合に、図1に示した一部構成を示す概略端面図である。(b)は、(a)に示した構成の一部拡大図である。
図5】(a)は、本発明の第2実施形態に係る飲料水容器、及び弁を有するウォーターサーバ本体の構成を示す概略端面図である。(b)は、(a)に示した構成の一部拡大斜視図である。(c)は、(b)のA-A線に沿う概略端面図である。
図6】(a)は、切替部及びパッキンの分解斜視図である。(b)は、フィルタの分解斜視図である。
図7】(a)は、本発明の第2実施形態に係る飲料水容器、及び弁を有しないウォーターサーバ本体の構成を示す概略端面図である。(b)は、(a)に示した構成の一部拡大斜視図である。(c)は、(b)のB-B線に沿う概略端面図である。
図8】(a)は、変形例に係る蓋部において切替部が第2開口部を閉じた状態を示す一部拡大端面図である。(b)は、変形例に係る蓋部において切替部が第2開口部を開いた状態を示す一部拡大端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を好適な実施形態に沿って説明する。なお、本発明は、以下に示す実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。また、以下に示す実施形態においては、一部構成の図示や説明を省略している箇所があるが、省略された技術の詳細については、以下に説明する内容と矛盾が発生しない範囲内において、適宜公知又は周知の技術が適用される。
【0011】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係るウォーターサーバ1の構成を示す斜視図である。図1に示すウォーターサーバ1は、外観視して略四角柱形状となるウォーターサーバ本体10と、ウォーターサーバ本体10の上部に載置される飲料水容器30と、を有する。飲料水容器30は、ウォーターサーバ本体10のトップカバー11に載置されている。ウォーターサーバ1は、ウォーターサーバ本体10の筐体の前面側に供給ノズル12と、操作パネル13と、容器載置部14と、制御部15と、を有する。供給ノズル12は、ウォーターサーバ本体10の筐体の前面から奥まるように形成された凹部16の一部に形成され、ユーザの操作パネル13への操作に応じて飲料水を出水する出水口として機能するものである。操作パネル13は、ユーザからの操作を受け付けるパネルであって、例えば冷水の出水操作、温水の出水操作、温水の加熱操作等、種々の操作が可能となっている。
【0012】
容器載置部14は、供給ノズル12から供給される飲料水を受ける飲料容器が載置されるものであって、供給ノズル12の下側の所定高さ箇所に設けられている。容器載置部14は、その一部が凹部16内に収まっており、他の部分がウォーターサーバ本体10の筐体の前方に突出した状態で設置されている。制御部15は、ウォーターサーバ本体10の動作を制御する。なお、ウォーターサーバ1は、ワンウェイタイプ用のウォーターサーバ本体10を有し、後述するウォーターサーバ2(図4(a)参照)は、リターナブルタイプ用のウォーターサーバ本体20を有し、ウォーターサーバ本体が異なるが、ウォーターサーバ2とウォーターサーバ1とは外観がほぼ同じである。
【0013】
図2(a)は、図1に示した一部構成を示す概略端面図である。図2(b)は、図2(a)に示した構成の第1の一部拡大図である。図2(c)は、図2(a)に示した構成の第2の一部拡大図であって、図2(a)とは異なる動作状態を示している。図2(a)に示すように、飲料水容器30は、容器本体31と、浄水部70と、フィルタ90と、を有する。
【0014】
容器本体31は、主容器部40と、蓋部50と、取付部60と、を有する。主容器部40の上部は、開口している。また、主容器部40の下部は、上部よりも細く形成されて開口する口部40aを構成している。口部40aは、飲料水を注ぎ出すための部分であり、ウォーターサーバ本体10のトップカバー11の装着孔部11aに挿入される。
【0015】
蓋部50は固定部51を有する。固定部51が主容器部40の開口している側の部分に固定されることにより、蓋部50が主容器部40に対して固定される。また、蓋部50は、第1開口部52と、開閉蓋53と、第2開口部54と、切替部57と、第3開口部59と、を有する。
【0016】
第1開口部52は、水道水を注ぎ入れるための開口部である。この第1開口部52の下端には、後述の浄水部70が取り付けられる。
【0017】
開閉蓋53は、第1開口部52の上端に取り付けられる蓋部材であって、第1開口部52を開閉するものとして機能する。開閉蓋53が開状態のときにユーザは水道水を第1開口部52に注ぎ込むことができる。開閉蓋53が閉状態のときに水道水又は異物の混入が抑制される。
【0018】
第2開口部54は、容器本体31の内外を連通しエア(例えば空気)を通気させるための開口部である。この第2開口部54について、図2(b)の他に、図3(a)及び図3(b)を併用しつつ以下説明する。図3(a)は、第2開口部54を有する蓋部50の一部平面図である。図3(b)は、第2開口部54を構成する部材の平面図である。
【0019】
第2開口部54は、孔部55と、パッキン56と、切替部57とによって構成されている。図2(b)及び図3(a)に示されるように、蓋部50は孔部55を有する。孔部55は、蓋部50を上下(後述するエア通過方向L1)に貫通する部位である。孔部55は、段差55aを有する。孔部55内にはパッキン56が取り付けられる。以下、更に詳述する。
【0020】
パッキン56は、エア通過孔部56aと、切替操作孔部56cと、を有する。パッキン56は、例えばゴムで形成される。図2(b)に示されるように、エア通過孔部56aは、エアが通過するエア通過方向L1に開口する。切替操作孔部56cは、後述の切替部57を移動させる移動方向L2に開口する。移動方向L2は、エア通過方向L1と直交する。切替操作孔部56cはエア通過孔部56aと交差しており、切替操作孔部56cの底面56bは、エア通過孔部56aの側面よりも奥まって位置している。このようなパッキン56が蓋部50の孔部55に対して嵌合される。このように、第2開口部54は、孔部55と、パッキン56(特にエア通過孔部56a及び底面56b)と、切替部57(特に切替部57の先端面)と、により形成されている。
【0021】
第3開口部59は、切替部57を移動させる開口部である。第3開口部59は、移動方向L2に開口しており、前述のパッキン56の切替操作孔部56cの大きさと略同じ大きさに開口している。第3開口部59と切替操作孔部56cとは連続する位置に配置されている。
【0022】
ここで、図2(a)に戻って説明する。浄水部70は、第1開口部52から注ぎ入れられた水道水を浄水して飲料水を生成するフィルタである。浄水部70の入口は、蓋部50の第1開口部52の下端に着脱可能に取り付けられる。浄水部70には、例えば、活性炭、ゼオライト、シリカサンド、麦飯石のフィルタが用いられる。浄水部70は、ユーザが任意に取り替え可能である。浄水部70は、ポンプ等で加圧するものであっても良い。
【0023】
図3(c)は、切替部57の平面図である。切替部57は把持部57aを有する。把持部57aは把持用孔部57b(図2(b)参照)を有する。把持用孔部57bは、飲料水容器30の販売業者が指を引っ掛けることができる孔であり、切替部57を後述の移動方向L2に操作し易くする機能を有する。飲料水容器30の販売業者は、把持用孔部57bに指を引っ掛けながら把持部57aを掴んで、切替部57を移動方向L2に沿って容器本体31内へと押し込むことで第2開口部54を閉じる。飲料水容器30の販売業者は、把持用孔部57bに指を引っ掛けながら把持部57aを掴んで、切替部57を移動方向L2に沿って容器本体31外へと引っ張ることで第2開口部54を開く。
【0024】
特に、後述のリターナブルタイプ用のウォーターサーバ本体20に対して飲料水容器30が取り付けられる場合に、切替部57は第2開口部54を閉状態に切り替えるために用いられる。また、ワンウェイタイプ用のウォーターサーバ本体10に対して飲料水容器30が取り付けられる場合に、切替部57は第2開口部54を開状態に切り替えるために用いられる。切替部57は、ユーザが誤って変更しないように、視認され難く構成されても良い。例えば、把持用孔部57bが第3開口部59内に配置されるように、切替部57の長さを図2(b)で示す構成よりも短く構成しても良い。なお、この場合には、把持用孔部57bに引っ掛ける引っ掛け棒等で切替部57を引っ張ったり手で押し込んだりして切替部57の位置を移動する必要がある。または、把持部57aを図示しないキャップ等により覆うように構成しても良い。
【0025】
図3(d)は、フィルタ90の斜視図である。図3(e)は、フィルタ90の分解斜視図である。フィルタ90は、外部から異物が第2開口部54を通過して容器本体31の内部に進入することを抑制するものである。フィルタ90は、台座91と、ろ紙92と、キャップ93と、を有する。台座91は、嵌合部91aと、被支持部91bと、を有する。嵌合部91aは、図3(a)に示す第2開口部54の孔部55の形状に合わせて形成される。嵌合部91aは、孔部55に嵌合される。被支持部91bは、第2開口部54の孔部55よりも大きく形成される。被支持部91bは、蓋部50に支持される。これらの嵌合部91a及び被支持部91bに対して、通過孔部91cが連通する。通過孔部91cは、エアが通過する孔である。
【0026】
ろ紙92は、台座91の通過孔部91c上に配置され、エアに含まれる異物等を除去するためのものである。なお、ろ紙92には、HEPAフィルタ(High Efficiency Particulate Air Filter)、ULPAフィルタ(Ultra Low Penetration Air Filter)等の雑菌を通し難いフィルタが用いられる。
【0027】
キャップ93は、異物等が容器本体31に進入するのを抑制しつつエアを通気させるための部材である。キャップ93は、ろ紙92が載置された台座91上に配置される。キャップ93は、エアが通過する複数の孔部93aを有する。
【0028】
ここで、図2に戻って説明する。図2(a)に示す取付部60は、口部40aに取り付けられる。取付部60は、容器差込部11bによって差し込まれることで不図示の弁を開放する。また、取付部60が容器差込部11bによって差し込まれることで、飲料水容器30がウォーターサーバ本体10に固定される。
【0029】
次に、ワンウェイタイプのウォーターサーバ本体10について説明する。ウォーターサーバ本体10は、トップカバー11と、タンク17と、を有する。
【0030】
トップカバー11は、装着孔部11aと、容器差込部11bと、支持面部11dと、を有する。装着孔部11aは、容器本体31の口部40aが挿入される孔である。容器差込部11bは、容器本体31の口部40aに取り付けられた取付部60に差し込まれる部分である。容器差込部11bは、先端に開口部11cを有する中空部材である。開口部11cは、円形に開口している。支持面部11dは、容器本体31を支持する面である。
【0031】
タンク17は、飲料水容器30の容器本体31の口部40aから流れてくる飲料水が溜まるタンクである。タンク17には、図示しない冷却器が設けられており、タンク17内に導入された常温の飲料水が図示しない冷却器によって冷却されて冷水化される。タンク17は、弁18を有する。弁18は、弁体18aと、フロート18bと、弁座18cと、を有する。
【0032】
図2(a)に示されるように、タンク17内の飲料水量が所定量未満となると、フロート18bの下端が下方へ移動し弁体18aが弁座18cから遠ざかる。弁体18aは、容器差込部11bの下方を開放する。容器差込部11bの下方の開放により容器差込部11b内の流路が開かれ、飲料水が飲料水容器30の主容器部40の口部40aからタンク17へと流れる。
【0033】
これとは反対に、図2(c)に示されるように、タンク17内の飲料水量が所定量に達すると、フロート18bの下端が上方へ移動し弁体18aが弁座18cに接触する。弁体18aは、容器差込部11bの下方を閉塞する。容器差込部11bの下方の閉塞により容器差込部11b内の流路が閉じられ、飲料水容器30からタンク17への飲料水の流れが停止される。このような弁18の動作の結果、タンク17内では、飲料水が所定の水面高さで維持されることとなる。
【0034】
なお、このような弁18は、ワンウェイタイプ用のウォーターサーバ本体10に設けられるが、後述するリターナブルタイプ用のウォーターサーバ本体20には設けられていない。ワンウェイタイプ用のウォーターサーバ本体10には、潰れるタイプの飲料水容器が装着されるので、飲料水容器が潰れつつ飲料水が出水されて飲料水容器とタンクとの間の圧力が均衡し難い。そのため、タンク内の水位が高くなり過ぎないようにするために弁18が用いられる。この一方で、後述するリターナブルタイプ用のウォーターサーバ本体20には、潰れないタイプの飲料水容器が装着されるので、飲料水容器とタンクとの間の圧力が均衡するように構成することができる。そのため、弁18がない構成も可能である。
【0035】
図4(a)は、図1のウォーターサーバが弁18を有しないタイプである場合に、図1に示した一部構成を示す概略端面図である。図4(b)は、(a)に示した構成の一部拡大図である。図4(a)に示されるように、ウォーターサーバ2において、ウォーターサーバ本体20は弁18を有していない。また、ウォーターサーバ2において、飲料水容器30の容器本体31は、第2開口部54が切替部57によって閉状態に切り替えられる。
【0036】
次に、図2を参照しつつ、ユーザのウォーターサーバが弁18を有するワンウェイタイプ用のウォーターサーバ本体10を有し、飲料水容器30の販売業者がウォーターサーバ本体10に飲料水容器30を取り付ける操作をする場合について説明をする。飲料水容器30の販売業者は、ワンウェイタイプ用のウォーターサーバ本体10を有するウォーターサーバのユーザに対して飲料水容器30を販売してウォーターサーバ本体10に取り付けるときに、切替部57を第3開口部59内から引っ張って、第2開口部54を開放させる。
【0037】
このような飲料水容器30を用いる場合におけるユーザの操作、並びにユーザの操作による水道水及びエアの状況について説明をする。例えば、タンク17の水量が十分であり、主容器部40の水量が不十分である場合を想定して、以下説明する。ユーザは、水道水を浄水して飲みたい場合には、開閉蓋53を開いて浄水部70に水道水を注ぎ込み、開閉蓋53を閉じる。水道水は、浄水部70により浄水されて浄水後の飲料水が生成される。浄水後の飲料水は、主容器部40に溜められていく。主容器部40に浄水後の飲料水が溜められていく過程においてエアは、第1開口部52及び第2開口部54を通じて容器本体31の外部に排出される。エア排出後においては開閉蓋53が閉じられていることから、エアの気圧は、第2開口部54を通じて容器本体31内の浄水後の飲料水の上にかかる。よって、浄水後の飲料水は、エアの気圧を受けて、容器差込部11bの開口部11cを通ってスムーズにタンク17へと流れる。
【0038】
次に、ユーザのウォーターサーバが弁18を有しないリターナブルタイプ用のウォーターサーバ本体20を有し、飲料水容器30の販売業者がウォーターサーバ本体20に対して、飲料水容器30を取り付ける操作をする場合について説明をする(図4参照)。飲料水容器30の販売業者は、リターナブルタイプ用のウォーターサーバ本体20を有するウォーターサーバのユーザに対して飲料水容器30を販売してウォーターサーバ本体20に取り付けるときに、切替部57を第3開口部59へと押し込む。飲料水容器30の販売業者は、切替部57を第3開口部59及び切替操作孔部56c内で摺動させ、切替部57の先端を底面56bに当接させる。飲料水容器30の販売業者は、切替部57によりエア通過孔部56aを閉塞させることにより、第2開口部54を閉塞させる。
【0039】
このような飲料水容器30を用いる場合におけるユーザの操作、並びにユーザの操作による水道水及びエアの状況について説明をする。例えば、タンク17の水量が十分であり、主容器部40の水量が不十分である場合を想定して、以下説明する。ユーザは、水道水を浄水して飲みたい場合には、開閉蓋53を開いて浄水部70に水道水を注ぎ込み、開閉蓋53を閉じる。水道水は、浄水部70により浄水されて浄水後の飲料水が生成される。浄水後の飲料水は、主容器部40に溜められていく。主容器部40に浄水後の飲料水が溜められていく過程においてエアは、第1開口部52を通じて容器本体31の外部に排出される。エア排出後においては開閉蓋53が閉じられていることから、エアの気圧は、第2開口部54を通じて容器本体31内の浄水後の飲料水の上にかかることがない。但し、容器本体31の内部の圧力とタンク17の内部の圧力とが均衡しているため、浄水後の飲料水はタンク17の内部に浄水後の飲料水の消費に従って流れすぎない。
【0040】
以上で説明した構成によれば、弁18を有するウォーターサーバ本体10の場合には容器本体31の第2開口部54が切替部57により開けられる。そのため、容器本体31の口部40a及びタンク17を結ぶ流路が弁18の存在により狭くても、容器本体31の内部の飲料水が、第2開口部54が閉じられる場合に比べて容器本体31から外部のタンク17へと出水され易くすることができる。また、弁18を有しないウォーターサーバ本体20の場合には容器本体31の第2開口部54が切替部57により閉じられる。そのため、容器本体31とウォーターサーバ本体20との間で圧力が均衡し易く、容器本体31の内部の飲料水が、第2開口部54が開かれる場合に比べて出水され過ぎないようにすることができる。その結果、操作者(例えば飲料水容器30の販売業者)は、ウォーターサーバが弁18を有する場合にも弁18を有しない場合にも、飲料水容器30の口部40aから出る飲料水の量を調整し易くすることができる。
【0041】
すなわち、仮に、弁18を有するウォーターサーバ本体10に対して第2開口部54を有しない飲料水容器30が取り付けられたとする。この場合には、容器本体31の内部の浄水後の飲料水は、出水されて減るごとに水面上に受ける気圧を受けられなくなり、しかも弁18によって飲料水のタンク17への移動が制限されることから、タンク17へ出る飲料水の量は非常に少なくなる。しかし、本実施形態では第2開口部54を開放し、気圧の関係を利用して飲料水がタンク17へ移動し易くするため、たとえ弁18を有するウォーターサーバ本体10に飲料水容器30を取り付けたとしても、タンク17へ出る飲料水の量を確保することができる。
【0042】
また、仮に、弁18を有しないウォーターサーバ本体20に対して飲料水容器30が取り付けられたときに常時開放された開口を有するとする。この場合には、容器本体31の内部のエアの量と飲料水量とタンク17の内部のエアの量と飲料水量とで、圧力の均衡が取れず、しかも弁18を有しないことから、浄水後の飲料水が容器本体31からタンク17へと流れ過ぎてしまう。しかし、本実施形態では第2開口部54を閉塞し、気圧の関係を利用して飲料水がタンク17へ移動し難くするため、たとえ弁18を有しないウォーターサーバ本体20に飲料水容器30を取り付けたとしても、タンク17へ飲料水が出過ぎることを防止できる。
【0043】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係るウォーターサーバ100、200に用いられる飲料水容器130について説明する。第2実施形態の構成のうち、第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して、説明を省略する。
【0044】
図5(a)は、本発明の第2実施形態に係る飲料水容器130、及び弁18を有するウォーターサーバ本体10の構成を示す概略端面図である。図5(b)は、(a)に示した構成の一部拡大斜視図である。図5(c)は、図5(b)のA-A線に沿う端面図である。第2実施形態における飲料水容器130の蓋部150の第2開口部154、及びフィルタ190の構成は、第1実施形態における飲料水容器30の蓋部50の第2開口部54、及びフィルタ90と異なる。図5(a)に示されるように、飲料水容器130は、容器本体131と、浄水部70と、フィルタ190と、を有する。
【0045】
容器本体131は、主容器部40と、蓋部150と、取付部60と、を有する。蓋部150は固定部51を有する。固定部51が主容器部40の開口している側の部分に固定されることにより、蓋部150が主容器部40に対して固定される。また、蓋部150は、第1開口部52と、開閉蓋53と、第2開口部154と、を有する。
【0046】
第2開口部154は、蓋部150の孔部55と、パッキン156と、切替部157と、円筒状台座191と、により構成されている。
【0047】
図6(a)は、切替部157及びパッキン156の分解斜視図である。パッキン156は、エア通過孔部156aを有する。パッキン156は図5に示す蓋部150の孔部55に嵌合される。
【0048】
切替部157は、平板部157aと、把持部157bと、摺動部157cと、を有する。把持部157bは逆U字状に形成される。把持部157bは平板部157aの一方の面に固定される。把持部157bは、飲料水容器130の販売業者が掴んで摺動部157cを上下に操作するための部分である。
【0049】
摺動部157cは円筒状に形成される。摺動部157cは平板部157aの他方の面に固定される。摺動部157cは、パッキン156のエア通過孔部156aに挿通されて摺動する。また、摺動部157cは通過孔部157dを有する。通過孔部157dがパッキン156のエア通過孔部156aの上端よりも上方に位置してパッキン156によって閉塞されていないときに、エアは、通過孔部157dを通過して摺動部157c内を通過する。通過孔部157dがパッキン156のエア通過孔部156aの上端よりも下方に位置してパッキン156によって閉塞されているときに、エアは、通過孔部157dを通過することができず摺動部157c内を通過することができない。
【0050】
図6(b)は、フィルタ190の分解斜視図である。フィルタ190は、前述の円筒状台座191と、ろ紙92と、キャップ93と、を有する。円筒状台座191は、円筒部191aと、台座部191bと、を有する。台座部191bは、円筒部191aの内部に固定されている。二点鎖線の円内に拡大して記載されるように、台座部191bは通過孔部191cを有する。また、このため、前述の第2開口部154は、孔部55と、パッキン156(特にエア通過孔部156a)と、切替部157(特に通過孔部157d)と、円筒状台座191(特に円筒部191aと、通過孔部191c)と、により形成されている。
【0051】
ろ紙92は、円筒状台座191の台座部191b上の通過孔部191cの上に配置され、エアに含まれる異物等を除去するためのものである。
【0052】
キャップ93は、異物等が通過孔部191cへと進入するのを抑制しつつエアを通気させるための部材である。キャップ93は、ろ紙92が載置された円筒状台座191の台座部191b上に配置される。キャップ93は、エアが通過する複数の孔部93aを有する。
【0053】
図7(a)は、本発明の第2実施形態に係る飲料水容器130、及び弁18を有しないウォーターサーバ本体20の構成を示す概略端面図である。図7(b)は、(a)に示した構成の一部拡大斜視図である。図7(c)は、図7(b)のB-B線に沿う端面図である。
【0054】
図7に示されるように、切替部157の摺動部157cがエア通過孔部156aに挿入され、通過孔部157dが閉塞される。そのため、エアは、キャップ93の複数の孔部93aから入っても平板部157aで容器本体131への進入を阻止される。
【0055】
こうした構成によれば、第1実施形態では蓋部50が第3開口部59を有していたが、第2実施形態では蓋部150が第3開口部59を有していなくても良い。そのため、蓋部150の厚みを薄く形成することができる。
【0056】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えてもよいし、可能な範囲で適宜他の技術を組み合わせてもよい。
【0057】
前述の第1及び第2実施形態では、取付部60及び容器差込部11bは、1種類の構成であり、これについての飲料水容器30、130の取付方法について説明したが、これに限定されなくても良い。例えば、ウォーターサーバ本体10、20に設けられ飲料水を収容可能なタンク17に対して飲料水容器30、130を取り付ける飲料水容器30、130の取付方法について、以下のようにしても良い。最初に、飲料水容器30、130の販売業者は、タンク17における飲料水容器30、130に差し込まれる容器差込部11bがいずれの会社の規格により製造されたものであるかを判別する。次に、飲料水容器30、130の販売業者は、会社の容器差込部11bの構造に合わせて、飲料水容器30、130に着脱可能で容器差込部11bに差し込まれる特定の会社の規格の取付部60を選択して飲料水容器30、130に取り付ける。それから、飲料水容器30、130の販売業者は、特定の会社の規格の取付部60が特定の会社の規格の容器差込部11bに差し込まれるようにして飲料水容器30、130をタンク17に取り付ける。
【0058】
より分かり易く以下に述べる。例えば、取付部60がA社、B社、C社の各々の規格で形成されたものであり、容器差込部11bがA社、B社、C社の各々の規格で形成されたものであり、ユーザがB社のウォーターサーバ本体10、20を使用している場合を想定する。この場合に、最初に、飲料水容器30、130の販売業者は、ユーザがB社のウォーターサーバ本体10(又はウォーターサーバ本体20)を使用していることを確認し、容器差込部11bがB社の規格により製造されたものであることを判別する。飲料水容器30、130の販売業者は、そのB社の規格の容器差込部11bの構造に合わせて、B社の規格の取付部60を選択して飲料水容器30、130に取り付ける。それから、飲料水容器30、130の販売業者は、B社の規格の取付部60がB社の規格の容器差込部11bに差し込まれるようにして飲料水容器30、130をタンク17に取り付ける。なお、飲料水容器30、130の販売業者は、容器差込部11bがA社(またはC社)の規格で形成されたものであった場合には、飲料水容器30、130にA社(またはC社)の規格で形成された取付部60を取り付けて対処する。
【0059】
また、前述の第1及び第2実施形態では、飲料水容器30、130の販売業者が切替部57、157の切替操作を行うものであったが、これに限定されなくても良い。例えば、ユーザが切替部57、157の切替操作を行っても良い。
【0060】
図8(a)は、変形例に係る蓋部250において切替部257が第2開口部254を閉じた状態を示す一部拡大端面図である。図8(b)は、変形例に係る蓋部250において切替部257が第2開口部254を開いた状態を示す一部拡大端面図である。前述の第1及び第2実施形態では、切替部57、157の切替操作によって第2開口部54、154が開閉される構成であったが、これに限定されなくても良い。切替部257としてボールバルブが用いられ、この切替部257の切替操作によって第2開口部254が開閉される構成であっても良い。
【0061】
図8(a)に示されるように、切替部257は、ボールシート257aと、ボール257bと、ステム257cと、レバー257dと、を有する。ボール257b、ステム257c、及びレバー257dは、ステム257cを軸として矢印方向に回動可能に構成されている。ボール257bは、ボールシート257aに対して回動するように構成されている。そして、図8(a)に示されるように、ボール257bの開口257b1が孔部55と連続していない状態では、エアは、ボール257bによって通過を阻まれる。図8(b)に示されるように、ボール257bの開口257b1が孔部55と連続している状態では、エアは、通過可能となる。この図8(b)の状態の場合には、第2開口部254は、孔部55と、ボール257bの開口257b1と、によって構成される。
【符号の説明】
【0062】
1、2、100、200 :ウォーターサーバ
10、20 :ウォーターサーバ本体
11 :トップカバー
11a :装着孔部
11b :容器差込部
11c :開口部
11d :支持面部
12 :供給ノズル
13 :操作パネル
14 :容器載置部
15 :制御部
16 :凹部
17 :タンク
18 :弁
18a :弁体
18b :フロート
18c :弁座
30、130 :飲料水容器
31、131 :容器本体
40 :主容器部
40a :口部
50、150、250 :蓋部
51 :固定部
52 :第1開口部
53 :開閉蓋
54、154、254 :第2開口部
55 :孔部
56、156 :パッキン
56a、156a :エア通過孔部
56b :底面
56c :切替操作孔部
57、157、257 :切替部
57a :把持部
57b :把持用孔部
59 :第3開口部
60 :取付部
70 :浄水部
90、190 :フィルタ
91 :台座
91a :嵌合部
91b :被支持部
91c、191c :通過孔部
92 :ろ紙
93 :キャップ
93a :孔部
157a :平板部
157b :把持部
157c :摺動部
157d :通過孔部
191 :円筒状台座
191a :円筒部
191b :台座部
L1 :エア通過方向
L2 :移動方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8