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特開2024-65611可変焦点眼鏡、視対象距離情報生成方法、視対象距離情報生成プログラムおよび可変焦点眼鏡用サーバ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024065611
(43)【公開日】2024-05-15
(54)【発明の名称】可変焦点眼鏡、視対象距離情報生成方法、視対象距離情報生成プログラムおよび可変焦点眼鏡用サーバ
(51)【国際特許分類】
   G02C 7/06 20060101AFI20240508BHJP
   G02C 11/00 20060101ALI20240508BHJP
   A61B 3/10 20060101ALI20240508BHJP
   A61B 3/113 20060101ALI20240508BHJP
【FI】
G02C7/06
G02C11/00
A61B3/10 800
A61B3/113
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022174565
(22)【出願日】2022-10-31
(71)【出願人】
【識別番号】592001975
【氏名又は名称】伊藤忠テクノソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【氏名又は名称】阿形 直起
(72)【発明者】
【氏名】塚本 琢磨
(72)【発明者】
【氏名】古川 雅弘
(72)【発明者】
【氏名】鈴置 昌宏
(72)【発明者】
【氏名】橋本 和俊
(72)【発明者】
【氏名】根岸 忠章
【テーマコード(参考)】
2H006
4C316
【Fターム(参考)】
2H006BD00
2H006CA00
4C316AA21
4C316AB13
4C316AB16
4C316FA08
4C316FC21
4C316FZ01
(57)【要約】
【課題】ユーザが観察する対象物に応じてレンズの焦点距離を適切に調整することを可能とする可変焦点眼鏡等を提供する。
【解決手段】可変焦点眼鏡は、可変焦点レンズと、可変焦点レンズを装着したユーザの眼の遠近調節に伴う毛様体筋の運動によって発生する電磁信号の情報を生成する第1センサと、可変焦点レンズを装着したユーザの眼球運動の情報を生成する第2センサと、電磁信号の情報および眼球運動の情報に基づいて、可変焦点レンズを装着したユーザが見ている対象物に応じた焦点距離を決定する決定部と、決定された焦点距離を有するように可変焦点レンズを調整する自動調整部と、を有する。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可変焦点レンズと、
前記可変焦点レンズを装着したユーザの眼の遠近調節に伴う毛様体筋の運動によって発生する電磁信号の情報を生成する第1センサと、
前記可変焦点レンズを装着したユーザの眼球運動の情報を生成する第2センサと、
前記電磁信号の情報および前記眼球運動の情報に基づいて、前記可変焦点レンズを装着したユーザが見ている対象物に応じた焦点距離を決定する決定部と、
前記決定された焦点距離を有するように前記可変焦点レンズを調整する自動調整部と、
を有することを特徴とする可変焦点眼鏡。
【請求項2】
前記自動調整部によって調整された可変焦点レンズの焦点距離を変更する操作を受け付ける受付部と、
前記受け付けた操作に応じた焦点距離を有するように前記可変焦点レンズを調整する手動調整部と、をさらに有する、
請求項1に記載の可変焦点眼鏡。
【請求項3】
前記電磁信号の情報、前記眼球運動の情報および前記操作に応じて調整された焦点距離を前記ユーザの識別情報に関連付けて記憶する記憶部をさらに有し、
前記決定部は、前記ユーザの識別情報に関連付けられた焦点距離のうちから、前記電磁信号の情報および前記眼球運動の情報に関連付けられた焦点距離を前記対象物に応じた焦点距離として決定する、
請求項2に記載の可変焦点眼鏡。
【請求項4】
前記可変焦点眼鏡の姿勢の情報を生成する第3センサをさらに有し、
前記決定部は、前記姿勢の情報にさらに基づいて、前記対象物に応じた焦点距離を決定する、
請求項1に記載の可変焦点眼鏡。
【請求項5】
可変焦点レンズを有する可変焦点眼鏡の焦点距離調整方法であって、
前記可変焦点レンズを装着したユーザの眼の遠近調節に伴う毛様体筋の運動によって発生する電磁信号の情報を取得し、
前記可変焦点レンズを装着したユーザの眼球運動の情報を取得し、
前記電磁信号の情報および前記眼球運動の情報に基づいて、前記可変焦点レンズを装着したユーザが見ている対象物に応じた焦点距離を決定し、
前記決定された焦点距離を有するように前記可変焦点レンズを調整する、
工程を有することを特徴とする焦点距離調整方法。
【請求項6】
可変焦点レンズを装着したユーザの眼の遠近調節に伴う毛様体筋の運動によって発生する電磁信号の情報を取得し、
前記可変焦点レンズを装着したユーザの眼球運動の情報を取得し、
前記電磁信号の情報および前記眼球運動の情報に基づいて、前記可変焦点レンズを装着したユーザが見ている対象物に応じた焦点距離を決定し、
前記決定された焦点距離を有するように前記可変焦点レンズを調整する、
ことをコンピュータに実行させることを特徴とする焦点距離調整プログラム。
【請求項7】
可変焦点レンズを装着したユーザの眼の遠近調節に伴う毛様体筋の運動によって発生する電磁信号の情報、および前記可変焦点レンズを装着したユーザの眼球運動の情報を取得する取得部と、
前記電磁信号の情報および前記眼球運動の情報に基づいて、前記可変焦点レンズを装着したユーザが見ている対象物に応じた焦点距離を決定する決定部と、
前記決定された焦点距離に関する情報を送信する通信部と、
を有することを特徴とする可変焦点眼鏡用サーバ。
【請求項8】
前記電磁信号の情報および前記眼球運動の情報が入力された場合に、ユーザが見ている対象物に応じた焦点距離を出力するようにあらかじめ学習された学習済みモデルを記憶する記憶部をさらに有し、
前記決定部は、前記取得された電磁信号の情報および眼球運動の情報を前記学習済みモデルに入力し、前記学習済みモデルの出力に基づいて前記対象物に応じた焦点距離を決定する、
請求項7に記載の可変焦点眼鏡用サーバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可変焦点眼鏡、焦点距離調整方法、焦点距離調整プログラムおよび可変焦点眼鏡用サーバに関する。
【背景技術】
【0002】
毛様体筋の信号を検知して、レンズの光学特性を調整することが知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-51355号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、毛様体筋の信号のみでは、ユーザが意図する物を見るのに適した焦点距離となるようにレンズの焦点距離を高精度に調整することは困難であった。
【0005】
本発明は、このような課題を解決するものであり、ユーザが観察する対象物に応じてレンズの焦点距離を適切に調整することを可能とする可変焦点眼鏡、焦点距離調整方法、焦点距離調整プログラムおよび可変焦点眼鏡用サーバを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態に係る可変焦点眼鏡は、可変焦点レンズと、可変焦点レンズを装着したユーザの眼の遠近調節に伴う毛様体筋の運動によって発生する電磁信号の情報を生成する第1センサと、可変焦点レンズを装着したユーザの眼球運動の情報を生成する第2センサと、電磁信号の情報および眼球運動の情報に基づいて、可変焦点レンズを装着したユーザが見ている対象物に応じた焦点距離を決定する決定部と、決定された焦点距離を有するように可変焦点レンズを調整する自動調整部と、を有することを特徴とする。
【0007】
また、可変焦点眼鏡は、自動調整部によって調整された可変焦点レンズの焦点距離を変更する操作を受け付ける受付部と、受け付けた操作に応じた焦点距離を有するように可変焦点レンズを調整する手動調整部と、をさらに有することが好ましい。
【0008】
また、可変焦点眼鏡は、電磁信号の情報、眼球運動の情報および操作に応じて調整された焦点距離をユーザの識別情報に関連付けて記憶する記憶部をさらに有し、決定部は、ユーザの識別情報に関連付けられた焦点距離のうちから、電磁信号の情報および眼球運動の情報に関連付けられた焦点距離を対象物に応じた焦点距離として決定することが好ましい。
【0009】
また、可変焦点眼鏡は、可変焦点眼鏡の姿勢の情報を生成する第3センサをさらに有し、決定部は、姿勢の情報にさらに基づいて、対象物に応じた焦点距離を決定することが好ましい。
【0010】
本発明の実施形態に係る焦点距離調整方法は、可変焦点レンズを有する可変焦点眼鏡の焦点距離調整方法であって、可変焦点レンズを装着したユーザの眼の遠近調節に伴う毛様体筋の運動によって発生する電磁信号の情報を取得し、可変焦点レンズを装着したユーザの眼球運動の情報を取得し、電磁信号の情報および眼球運動の情報に基づいて、可変焦点レンズを装着したユーザが見ている対象物に応じた焦点距離を決定し、決定された焦点距離を有するように可変焦点レンズを調整する、工程を有することを特徴とする。
【0011】
本発明の実施形態に係る焦点距離調整プログラムは、可変焦点レンズを装着したユーザの眼の遠近調節に伴う毛様体筋の運動によって発生する電磁信号の情報を取得し、可変焦点レンズを装着したユーザの眼球運動の情報を取得し、電磁信号の情報および眼球運動の情報に基づいて、可変焦点レンズを装着したユーザが見ている対象物に応じた焦点距離を決定し、決定された焦点距離を有するように可変焦点レンズを調整する、ことをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0012】
本発明の実施形態に係る可変焦点眼鏡用サーバは、可変焦点レンズを装着したユーザの眼の遠近調節に伴う毛様体筋の運動によって発生する電磁信号の情報、および可変焦点レンズを装着したユーザの眼球運動の情報を取得する取得部と、電磁信号の情報および眼球運動の情報に基づいて、可変焦点レンズを装着したユーザが見ている対象物に応じた焦点距離を決定する決定部と、決定された焦点距離に関する情報を送信する通信部と、を有することを特徴とする。
【0013】
また、可変焦点眼鏡用サーバは、電磁信号の情報および眼球運動の情報が入力された場合に、ユーザが見ている対象物に応じた焦点距離を出力するようにあらかじめ学習された学習済みモデルを記憶する記憶部をさらに有し、決定部は、取得された電磁信号の情報および眼球運動の情報を学習済みモデルに入力し、学習済みモデルの出力に基づいて対象物に応じた焦点距離を決定することが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る可変焦点眼鏡、焦点距離調整方法、プログラムおよび可変焦点眼鏡用サーバは、ユーザが観察する対象物に応じてレンズの焦点距離を適切に調整することを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】焦点距離調整システム1の概略構成を示す図である。
図2】可変焦点眼鏡2のレンズの調整の概要について説明するための模式図である。
図3】可変焦点眼鏡2の斜視図である。
図4】可変焦点眼鏡2の機能ブロック図である。
図5】通信端末3の機能ブロック図である。
図6】サーバ4の機能ブロック図である。
図7】第1焦点距離テーブルT1のデータ構造の例を示す図である。
図8】第2焦点距離テーブルT2のデータ構造の例を示す図である。
図9】自動調整画面G1の例を示す図である。
図10】手動調整画面G2の例を示す図である。
図11】焦点距離調整処理の流れの例を示すシーケンス図である。
図12】決定処理の流れの例を示すフロー図である。
図13】焦点距離調整システム5の概略構成を示す図である。
図14】可変焦点眼鏡6の機能ブロック図である。
図15】焦点距離調整処理の流れの例を示すシーケンス図である。
図16】可変焦点眼鏡7の機能ブロック図である。
図17】焦点距離調整処理の流れの例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しつつ、本発明の様々な実施形態について説明する。本発明の技術的範囲はそれらの実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明及びその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0017】
図1は、本発明の実施形態に係る焦点距離調整システム1の概略構成を示す図である。焦点距離調整システム1は、可変焦点眼鏡2、通信端末3およびサーバ4を有する。可変焦点眼鏡2と通信端末3とは、近距離無線通信等の通信方式により通信可能である。通信端末3とサーバ4とは、インターネットまたはイントラネットであるネットワークNを介して通信可能である。可変焦点眼鏡2は、二つのレンズの焦点距離を調整可能な眼鏡である。焦点距離調整システム1は、可変焦点眼鏡2のユーザが観察する対象物に応じた焦点距離を有するように可変焦点眼鏡2のレンズを調整する。サーバ4は、可変焦点眼鏡用サーバの一例である。
【0018】
図2は、可変焦点眼鏡2のレンズの調整の概要について説明するための模式図である。図2は、人が近くの対象物P1を見る場合の視線方向S1、および遠くの対象物P2を見る場合の視線方向S2を示している。人の視線方向は、人が見ている対象物の距離に応じて異なる。例えば、図2に示すように、人が近くの対象物P1を見るとき、眼球は、視線方向S2が相対的に内側を向くような運動(輻輳運動)をする。一方、人が遠くの対象物P2を見るとき、眼球は、視線方向S1が相対的に外側を向くような運動(開散運動)をする。したがって、人の視線方向に基づいて、人が近くの対象物P1を見ようとしているのか、または遠くの対象物P2を見ようとしているのかが判定可能である。
【0019】
また、人は、毛様体筋Cの運動により対象物にピントを合わせる。人が近くの対象物P1を見ようとするとき、水晶体Lを囲む毛様体筋Cが緊張して収縮する。これにより、水晶体Lが毛様体筋Cに押されて厚くなるため、水晶体Lの焦点距離が短くなり、対象物P1にピントが合った状態となる。人が遠くの対象物P2を見ようとするとき、水晶体Lを囲む毛様体筋Cが弛緩して伸長する。これにより、水晶体Lが毛様体筋Cに引っ張られて薄くなるため、水晶体Lの焦点距離は長くなり、対象物P2にピントが合った状態となる。焦点距離が適切に調節され、対象物にピントが合った状態になると、毛様体筋Cはその緊張状態を維持する。
【0020】
一方、眼の調節機能の衰え等の原因により対象物にピントが合わない場合、毛様体筋Cは異なる運動をする。例えば、人が近くの対象物P1を見ようとしているが眼の調節機能の衰え等の原因により対象物P1にピントが合わない場合、水晶体Lの焦点距離をさらに短くするために毛様体筋Cはさらに緊張する。また、人が遠くの対象物P2を見ようとしているが対象物P2にピントが合わない場合、水晶体Lの焦点距離をさらに長くするために毛様体筋Cはさらに弛緩する。したがって、毛様体筋の運動に基づいて、対象物にピントが合ったか否かが判定可能である。
【0021】
焦点距離調整システム1は、可変焦点眼鏡2のユーザの眼の遠近調節に伴う毛様体筋の運動によって発生する電磁信号と、ユーザの眼球運動とに基づいて、対象物に応じた焦点距離を有するように可変焦点眼鏡2を調整する。
【0022】
図3は可変焦点眼鏡2の斜視図であり、図4は可変焦点眼鏡2の機能ブロック図である。可変焦点眼鏡2は、一対のレンズ211、フレーム212、記憶部22、通信部23、操作部24、電磁信号センサ25、眼球運動センサ26、姿勢センサ27、レンズ制御部28および処理部29を有する。電磁信号センサ25、眼球運動センサ26および姿勢センサ27は、それぞれ第1センサ、第2センサおよび第3センサの一例である。
【0023】
レンズ211は、電気信号によって焦点を調整可能な可変焦点レンズであり、例えば液晶レンズである。レンズ211は、二種類の液体間の界面を変化させることにより焦点距離を調整可能な液体レンズ等でもよい。
【0024】
フレーム212は、樹脂または金属により形成される。フレーム212は、一対のレンズ211を保持する。また、フレーム212は、記憶部22、通信部23、操作部24、電磁信号センサ25、眼球運動センサ26、姿勢センサ27、レンズ制御部28および処理部29を保持する。
【0025】
記憶部22は、プログラムおよびデータを記憶するための構成であり、例えば半導体メモリを備える。記憶部22は、プログラムとして、処理部29による処理に用いられるオペレーティングシステムプログラム、ドライバプログラム、アプリケーションプログラム等を記憶する。プログラムは、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)等のコンピュータ読取可能かつ非一時的な可搬型記憶媒体から記憶部22にインストールされる。
【0026】
通信部23は、可変焦点眼鏡2を通信端末3と通信可能にする構成であり、通信インタフェース回路を備える。通信部23が備える通信インタフェース回路は、近距離無線通信等の通信インタフェース回路である。通信部23は、データを通信端末3から受信して処理部29に供給するとともに、処理部29から供給されたデータを通信端末3に送信する。
【0027】
操作部24は、ユーザの操作を受け付けるための構成である。図2に示す例では、操作部24は、フレーム212のつるに配置された複数のボタンを備える。操作部24は、利用者のボタンを押下する操作に応じた操作信号を生成し、処理部29に供給する。
【0028】
電磁信号センサ25は、可変焦点眼鏡2を装着したユーザの眼の遠近調節に伴う毛様体筋の運動によって発生する電磁信号の情報を生成するための構成である。電磁信号センサ25は、フレーム212が保持する二つのレンズ211の近傍にそれぞれ配置される。電磁信号センサ25は、アンテナ、増幅器およびA/D変換回路を有する。アンテナは、例えばシングルループアンテナであり、毛様体筋の運動によって発生する所定の周波数帯域の電磁信号を検出する。増幅器は、アンテナによって検出された信号を所定の振幅に増幅する。A/D変換回路は、増幅器によって増幅された信号をデジタル変換して電磁信号の情報を生成し、処理部29に供給する。
【0029】
眼球運動センサ26は、可変焦点眼鏡2を装着したユーザの眼球運動の情報を生成するための構成である。眼球運動センサ26は、光源およびカメラを備える。光源は、例えば近赤外LED(Light Emitting Diode)であり、ユーザの眼球に対して近赤外光を照射する。カメラは、近赤外光を反射するユーザの眼球を撮像する。眼球運動センサ26は、瞳孔点および近赤外光の反射点を含む動画像データを眼球運動の情報として生成し、処理部29に供給する。
【0030】
姿勢センサ27は、可変焦点眼鏡2の姿勢の情報を生成するための構成であり、例えば相互に直交する3軸方向の加速度および角速度を計測する6軸センサを備える。姿勢センサ27は、3軸方向の加速度および角速度を示す情報を可変焦点眼鏡2の姿勢の情報として生成し、処理部29に供給する。
【0031】
可変焦点眼鏡2の姿勢の情報は、ユーザが対象物を見ている状況に応じて変化する。例えば、ユーザが読書をしているような場合には、可変焦点眼鏡2はレンズ211が下方を向いた状態となる。このような場合には、ユーザは近くの対象物を見ようとしている可能性が高い。一方、ユーザが景色を眺めているような場合には、可変焦点眼鏡2はレンズ211が上方を向いた状態となる。このような場合には、ユーザは遠くの対象物を見ようとしている可能性が高い。したがって、姿勢の情報は、眼球運動の情報とともに、ユーザが近くの対象物を見ようとしているのか、遠くの対象物を見ようとしているのかの判定に用いられる。なお、以降では、眼の遠近調節に伴う毛様体筋の運動によって発生する電磁信号の情報、眼球運動の情報および可変焦点眼鏡2の姿勢の情報をセンサ情報と総称することがある。
【0032】
レンズ制御部28は、レンズ211の焦点距離を制御するための構成であり、例えば可変電圧源回路を備える。レンズ制御部28は、処理部29から供給される制御信号に基づいて異なる電圧をレンズ211に印加することにより、レンズ211の焦点距離を制御する。
【0033】
処理部29は、可変焦点眼鏡2の動作を統括的に制御するデバイスであり、一つまたは複数個のプロセッサおよびその周辺回路を備える。処理部29は、例えばCPU(Central Processing Unit)を備える。処理部29は、DSP(Digital Signal Processor)、LSI(Large Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等を備えてもよい。処理部29は、記憶部22に記憶されているプログラムに基づいて可変焦点眼鏡2の各種処理が適切な手順で実行されるように、各構成の動作を制御するとともに、各種の処理を実行する。
【0034】
処理部29は、取得部291、自動調整部292、手動調整部293およびレンズ情報送信部294を機能ブロックとして備える。これらの各部は、処理部29が実行するプログラムに基づいて実現される機能モジュールである。これらの各部は、ファームウェアとして可変焦点眼鏡2に実装されてもよい。
【0035】
図5は、通信端末3の機能ブロック図である。通信端末3は、ユーザが所持するスマートフォン、携帯電話機、PC(Personal Computer)、タブレット端末、携帯ゲーム機等の情報処理端末である。通信端末3は、可変焦点眼鏡2の焦点距離を調整するためのユーザの操作を受け付ける。通信端末3は、記憶部31、第1通信部32、第2通信部33、表示部34、操作部35および処理部36を有する。
【0036】
記憶部31は、プログラムおよびデータを記憶するための構成であり、例えば半導体メモリを備える。記憶部31は、プログラムとして、処理部36による処理に用いられるオペレーティングシステムプログラム、ドライバプログラム、アプリケーションプログラム等を記憶する。プログラムは、CD-ROM、DVD-ROM等のコンピュータ読取可能かつ非一時的な可搬型記憶媒体から記憶部31にインストールされる。
【0037】
第1通信部32は、通信端末3を可変焦点眼鏡2と通信可能にする構成であり、通信インタフェース回路を備える。第1通信部32が備える通信インタフェース回路は、近距離無線通信等の通信インタフェース回路である。第1通信部32は、データを可変焦点眼鏡2から受信して処理部36に供給するとともに、処理部36から供給されたデータを可変焦点眼鏡2に送信する。
【0038】
第2通信部33は、通信端末3をサーバ4と通信可能にする構成であり、通信インタフェース回路を備える。第2通信部33が備える通信インタフェース回路は、無線LAN(Local Area Network)、移動体通信等の通信インタフェース回路である。第2通信部33は、データをサーバ4から受信して処理部36に供給するとともに、処理部36から供給されたデータをサーバ4に送信する。
【0039】
表示部34は、画像を表示するための構成であり、例えば液晶ディスプレイまたは有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイを備える。表示部34は、処理部36から供給された表示データに基づいて画像を表示する。
【0040】
操作部35は、ユーザの操作を受け付けるための構成である。操作部35は、キーボード、キーパッド、マウス等を備える。操作部35は、表示部34と一体化されたタッチパネルを備えてもよい。操作部35は、利用者の操作に応じた操作信号を生成し、処理部36に供給する。
【0041】
処理部36は、通信端末3の動作を統括的に制御するデバイスであり、一つまたは複数個のプロセッサおよびその周辺回路を備える。処理部36は、例えばCPUを備える。処理部36は、DSP、LSI、ASIC、FPGA等を備えてもよい。処理部36は、記憶部31に記憶されているプログラムに基づいて通信端末3の各種処理が適切な手順で実行されるように、各構成の動作を制御するとともに、各種の処理を実行する。
【0042】
処理部36は、第1受付部361、中継部362、表示制御部363、第2受付部364および第3受付部365を機能ブロックとして備える。これらの各部は、処理部36が実行するプログラムによって実現される機能モジュールである。これらの各部は、ファームウェアとして通信端末3に実装されてもよい。
【0043】
図6は、サーバ4の機能ブロック図である。サーバ4は、ユーザが観察する対象物に応じたレンズ211の焦点距離を決定する。サーバ4は、記憶部41、通信部42および処理部43を有する。
【0044】
記憶部41は、プログラムおよびデータを記憶するための構成であり、例えば半導体メモリを備える。記憶部41は、プログラムとして、処理部43による処理に用いられるオペレーティングシステムプログラム、ドライバプログラム、アプリケーションプログラム等を記憶する。プログラムは、CD-ROM、DVD-ROM等のコンピュータ読取可能かつ非一時的な可搬型記憶媒体から記憶部41にインストールされる。
【0045】
通信部42は、サーバ4を通信端末3と通信可能にする構成であり、通信インタフェース回路を備える。通信部42が備える通信インタフェース回路は、近距離無線通信方式、無線LAN等の通信インタフェース回路である。通信部42は、データをサーバ4から受信して処理部43に供給するとともに、処理部43から供給されたデータをサーバ4に送信する。
【0046】
処理部43は、サーバ4の動作を統括的に制御するデバイスであり、一つまたは複数個のプロセッサおよびその周辺回路を備える。処理部43は、例えばCPUを備える。処理部43は、DSP、LSI、ASIC、FPGA等を備えてもよい。処理部43は、記憶部41に記憶されているプログラムに基づいてサーバ4の各種処理が適切な手順で実行されるように、各構成の動作を制御するとともに、各種の処理を実行する。
【0047】
処理部43は、決定部431および記憶処理部432を機能ブロックとして備える。これらの各部は、処理部43が実行するプログラムによって実現される機能モジュールである。これらの各部は、ファームウェアとしてサーバ4に実装されてもよい。
【0048】
サーバ4の記憶部41は、データとして、第1焦点距離テーブルT1および第2焦点距離テーブルT2を記憶する。第1焦点距離テーブルT1および第2焦点距離テーブルT2は、ユーザが対象物を見ている間のユーザまたは可変焦点眼鏡2の姿勢または運動を示す動態情報と、ユーザが見ている対象物に応じた適切なレンズ211の焦点距離との関係を記憶する。動態情報は、センサ情報に基づいて生成される情報である。動態情報は、電磁信号の情報に基づいて生成される毛様体筋の緊張状態の情報、眼球運動の情報に基づいて生成される視対象距離(眼と対象物との間の距離)の情報、姿勢情報に基づいて生成されるユーザが対象物を見ている状況の情報を含む。サーバ4は、第1焦点距離テーブルT1または第2焦点距離テーブルT2を参照することにより、可変焦点眼鏡2から取得したセンサ情報に基づいて対象物に応じた焦点距離を決定する。
【0049】
図7は、第1焦点距離テーブルT1のデータ構造の例を示す図である。第1焦点距離テーブルT1は、一般人が対象物を見ている間の動態情報と対象物に応じたレンズ211の焦点距離との関係を記憶するテーブルである。第1焦点距離テーブルT1は、ユーザの属性、動態情報、二つのレンズ211の焦点距離、二つのレンズ211のD値等を相互に関連付けて記憶する。
【0050】
ユーザの属性として、例えば、ユーザの年齢、性別、職業、運転免許の有無、国籍等が記憶される。動態情報として、毛様体筋の緊張状態、視対象距離およびユーザが可変焦点眼鏡2を利用している状況の情報が記憶される。毛様体筋の緊張状態の情報として、ユーザの毛様体筋が弛緩しているか、緊張しているか、または現在の緊張状態を維持しようとしているかを示す情報が記憶される。視対象距離の情報として、ユーザの左眼の視線方向と右眼の視線方向とのなす角、またはその角に基づいて推定されるユーザの眼と対象物との間の距離が記憶される。状況の情報として、可変焦点眼鏡2のレンズ211が下を向いているか、上を向いているかまたは水平方向を向いているかを示す情報が記憶される。状況の情報には、可変焦点眼鏡2が動いているか、静止しているかを示す情報が含まれてもよい。D値は、焦点距離に対応するレンズの度の強さを示す値であり、レンズの焦点距離の逆数の負値である。
【0051】
第1焦点距離テーブルT1のデータは、あらかじめ記憶部41に記憶される。第1焦点距離テーブルT1のデータは、例えば、各属性のユーザが対象物を見ている間のセンサ情報と、そのユーザが対象物を見るために適切な焦点距離との関係を示すデータを実験により取得し、取得した実験データに基づいて生成される。
【0052】
図8は、第2焦点距離テーブルT2のデータ構造の例を示す図である。第2焦点距離テーブルT2は、ユーザが対象物を見ている間の動態情報と対象物に応じたレンズ211の焦点距離との関係をユーザごとに記憶するテーブルである。第2焦点距離テーブルT2は、ユーザの識別情報、動態情報、二つのレンズ211の焦点距離、二つのレンズ211のD値等を相互に関連付けて記憶する。
【0053】
第2焦点距離テーブルT2は、ユーザの属性に代えてユーザの識別情報を記憶する点で第1焦点距離テーブルT1と相違する。すなわち、第2焦点距離テーブルT2のデータは、第1焦点距離テーブルT1に記憶されたセンサ情報と焦点距離との関係を、個別のユーザについてパーソナライズしたデータである。
【0054】
サーバ4は、ユーザが対象物を見ている間に可変焦点眼鏡2が生成したセンサ情報に基づいて、ユーザが見ている対象物に応じた焦点距離を決定する。このとき、ユーザの識別情報と、生成されたセンサ情報に対応する動態情報との組合せが第2焦点距離テーブルT2に記憶されていれば、サーバ4は、第2焦点距離テーブルT2においてその識別情報と動態情報とに関連付けられた焦点距離を対象物に応じた焦点距離として決定する。ユーザの識別情報と動態情報との組合せが第2焦点距離テーブルT2に記憶されていなければ、サーバ4は、第1焦点距離テーブルT1においてユーザの属性と動態情報とに関連付けられた焦点距離を対象物に応じた焦点距離として決定する。すなわち、サーバ4は、ユーザにパーソナライズされたデータが記憶されていればそのデータに基づいて、記憶されていなければ平均的なデータに基づいて、対象物に応じた焦点距離を決定する。これにより、サーバ4は対象物に応じた焦点距離を適切に決定することを可能とする。
【0055】
なお、第1焦点距離テーブルT1および第2焦点距離テーブルT2は、センサ情報に対応する動態情報に代えて、センサ情報そのものを記憶してもよい。すなわち、毛様体筋の緊張状態の情報に代えて電磁信号の情報が記憶され、視対象距離の情報に代えて眼球運動の情報が記憶され、状況の情報に代えて可変焦点眼鏡2の姿勢の情報が記憶されてもよい。
【0056】
図9は、通信端末3の表示部34に表示される自動調整画面G1の例を示す図である。自動調整画面G1は、レンズ211の焦点距離を自動的に調整するための操作を受け付けるための画面である。自動調整画面G1は、通信端末3によって焦点距離調整アプリケーションプログラムが実行されたときに表示される。自動調整画面G1は、自動調整開始ボタンG11およびD値表示オブジェクトG12を含む。
【0057】
自動調整開始ボタンG11は、サーバ4が決定した焦点距離を有するようにレンズ211を調整するためのオブジェクトである。ユーザによって操作部35が操作されて自動調整開始ボタンG11が選択されると、通信端末3は可変焦点眼鏡2からユーザの識別情報とセンサ情報とを受信し、サーバ4に送信する。通信端末3は、サーバ4がユーザの識別情報およびセンサ情報に基づいて決定した焦点距離の情報をサーバ4から受信して、可変焦点眼鏡2に送信する。可変焦点眼鏡2は、サーバ4によって決定された焦点距離を有するようにレンズ211を調整する。
【0058】
D値表示オブジェクトG12は、二つのレンズ211の現在の焦点距離に対応するD値を表示するオブジェクトである。自動調整開始ボタンG11が選択される前のD値は、可変焦点眼鏡2から取得された情報に基づいて表示されてもよく、通信端末3の記憶部31に記憶された、直前に焦点距離調整アプリケーションプログラムが実行されたときの情報に基づいて表示されてもよい。図9に示す例では、左のレンズ211のD値が「-3D」であり、右のレンズ211のD値も「-3D」であることが示されている。
【0059】
図10は、通信端末3の表示部34に表示される手動調整画面G2の例を示す図である。手動調整画面G2は、レンズの焦点距離を変更する操作を受け付けるための画面である。手動調整画面G2は、自動調整画面G1において自動調整開始ボタンG11が選択されて、レンズの焦点距離が調整された後に表示される。手動調整画面G2は、D値表示オブジェクトG12、焦点距離変更オブジェクトG21および確定ボタンG22を含む。
【0060】
焦点距離変更オブジェクトG21は、焦点距離を変更するためのボタンである。図10に示す例では、焦点距離変更オブジェクトG21は、二つのレンズ211のそれぞれについて、レンズ211の焦点距離を短くして度を強くするボタンとレンズ211の焦点距離を長くして度を弱くするボタンとを有する。図10に示す例に限られず、焦点距離変更オブジェクトG21は、D値を入力するためのテキストボックス、スライドバー等を有してもよい。
【0061】
焦点距離変更オブジェクトG21が選択されると、通信端末3は選択されたボタンに応じた信号を可変焦点眼鏡2に送信する。可変焦点眼鏡2は、選択されたボタンに応じてレンズ211の焦点距離が変更されるようにレンズ211を調整し、調整後の焦点距離の情報を通信端末3に送信する。通信端末3は、受信した焦点距離の情報に基づいて、D値表示オブジェクトG12の表示を更新する。例えば、「弱くする」と表示されたボタンが選択されると、D値が所定値だけ増加(絶対値が減少)する。また、「強くする」と表示されたボタンが選択されると、D値が所定値だけ減少(絶対値が増加)する。
【0062】
確定ボタンG22は、レンズ211の調整を終了し、レンズ211の焦点距離を確定するためのオブジェクトである。確定ボタンG22が選択されると、通信端末3は、レンズ211の調整が終了したことを示す信号と焦点距離の情報とをサーバ4に送信する。サーバ4は、自動調整開始ボタンが選択されたときに受信したセンサ情報と、レンズ211の調整が終了したときの焦点距離の情報とを関連付けて第2焦点距離テーブルT2に記憶する。このようにして、ユーザの手動調整を経てパーソナライズされたデータが第2焦点距離テーブルT2に記憶される。
【0063】
図11は、焦点距離調整システム1によって実行される焦点距離調整処理の流れの例を示すシーケンス図である。焦点距離調整処理は、ユーザが操作部35を操作したことに応じて、通信端末3の処理部36が焦点距離調整アプリケーションプログラムを実行したことに応じて開始する。焦点距離調整処理は、各装置の記憶部に記憶されたプログラムに基づいて、各装置の処理部が他の構成と協働することにより実現される。
【0064】
最初に、通信端末3の第1受付部361は、レンズ211の焦点距離を自動的に調整するための自動調整操作を受け付ける(ステップS101)。第1受付部361は、自動調整画面G1を表示部34に表示させる。第1受付部361は、自動調整画面G1において自動調整開始ボタンG11を選択する操作を自動調整操作として受け付ける。第1受付部361は、自動調整操作を受け付けると、第1通信部32を介して、自動調整開始信号を可変焦点眼鏡2に送信する。
【0065】
次に、可変焦点眼鏡2の取得部291は、センサ情報を取得する(ステップS102)。取得部291は、センサ情報として、ユーザの眼の遠近調節に伴う毛様体筋の運動によって発生する電磁信号の情報を電磁信号センサ25から取得する。取得部291は、センサ情報として、ユーザの眼球運動の情報を眼球運動センサ26から取得する。取得部291は、センサ情報として、可変焦点眼鏡2の姿勢の情報を姿勢センサ27から取得する。
【0066】
取得部291は、通信部23を介して、センサ情報と、あらかじめ記憶部22に記憶されたユーザの属性および識別情報とを通信端末3に送信する。通信端末3の中継部362は、第1通信部32を介してセンサ情報、ユーザの属性およびユーザの識別情報を可変焦点眼鏡2から受信し、第2通信部33を介してサーバ4に送信する。なお、以降では、ユーザの属性およびユーザの識別情報をユーザ情報と総称する。
【0067】
次に、サーバ4の決定部431は、センサ情報およびユーザ情報に基づいて、ユーザが見ている対象物に応じた焦点距離を決定する決定処理を実行する(ステップS103)。決定処理の詳細は後述する。
【0068】
決定部431は、通信部42を介して、決定された焦点距離の情報を通信端末3に送信する。通信端末3の中継部362は、第2通信部33を介して焦点距離の情報をサーバ4から受信し、第1通信部32を介して可変焦点眼鏡2に送信する。
【0069】
次に、可変焦点眼鏡2の自動調整部292は、サーバ4によって決定された焦点距離を有するようにレンズ211を調整する(ステップS104)。自動調整部292は、受信した情報が示す焦点距離に対応する電圧を印加するように、レンズ制御部28を制御する。
【0070】
レンズが調整されると、自動調整部292は、通信部23を介して、調整後のレンズ211の焦点距離の情報を通信端末3に送信する。
【0071】
次に、通信端末3の表示制御部363は、調整後の焦点距離の情報を表示する(ステップS105)。表示制御部363は、手動調整画面G2を表示部34に表示する。また、表示制御部363は、受信した焦点距離の情報に基づいて、手動調整画面G2のD値表示オブジェクトG12を更新する。
【0072】
次に、第2受付部364は、自動調整部292によって調整されたレンズ211の焦点距離を変更する手動調整操作を受け付ける(ステップS106)。第2受付部364は、手動調整画面G2の焦点距離変更オブジェクトG21を選択する操作を手動調整操作として受け付ける。
【0073】
第2受付部364は、第1通信部32を介して、受け付けた手動調整操作に応じた焦点距離の情報を可変焦点眼鏡2に送信する。
【0074】
次に、可変焦点眼鏡2の手動調整部293は、第2受付部364が受け付けた手動調整操作に応じた焦点距離を有するようにレンズ211を調整する(ステップS107)。手動調整部293は、受信した焦点距離の情報が示す焦点距離に対応する電圧を印加するように、レンズ制御部28を制御する。
【0075】
レンズが調整されると、手動調整部293は、通信部23を介して、調整後のレンズ211の焦点距離の情報を通信端末3に送信する。通信端末3の表示制御部363は、ステップS105と同様に、調整後の焦点距離の情報を表示する。
【0076】
なお、手動調整画面G2において焦点距離変更オブジェクトG21を選択する操作が繰り返された場合には、都度、ステップS106およびS107の処理が繰り返される。
【0077】
次に、通信端末3の第3受付部365は、レンズ211の調整を終了し、レンズ211の焦点距離を確定する確定操作を受け付ける(ステップS108)。第3受付部365は、手動調整画面G2の確定ボタンG22を選択する操作を確定操作として受け付ける。
【0078】
第3受付部365は、第2通信部33を介して、ユーザの識別情報、ステップS102で取得されたセンサ情報および確定操作を受け付けた時の焦点距離の情報をサーバ4に送信する。
【0079】
次に、サーバ4の記憶処理部432は、センサ情報および焦点距離の情報をユーザの識別情報に関連付けて記憶する(ステップS109)。記憶処理部432は、受信したセンサ情報、焦点距離の情報およびユーザの識別情報を相互に関連付けて第2焦点距離テーブルT2に記憶する。以上で、焦点距離調整処理が終了する。
【0080】
図12は、サーバ4によって実行される決定処理の流れの例を示すフロー図である。決定処理は、焦点距離調整処理のステップS103において実行される。
【0081】
最初に、決定部431は、通信部42を介して、ユーザ情報およびセンサ情報を受信して取得する(ステップS201)。決定部431は、取得したセンサ情報に基づいて動態情報を生成する。
【0082】
決定部431は、取得した電磁信号の情報に基づいて、ユーザの毛様体筋の緊張状態の情報を生成する。電磁信号の情報が電位の時間変化の情報である場合、決定部431は、取得した電位の時間変化と、あらかじめ記憶された電位の時間変化のパターンとのマッチングをとることにより、毛様体筋の緊張状態の情報を生成する。マッチングは、電位の時間変化の特徴量に基づいてとられてもよく、相関係数を算出することによってとられてもよい。
【0083】
また、決定部431は、取得した眼球運動の情報に基づいて、視対象間距離の情報を生成する。眼球運動の情報が瞳孔点および反射点を含む眼球の動画像データである場合、決定部431は、公知のアイトラッキング手法を用いて動画像データからユーザの左右の眼の視線方向を算出する。決定部431は、算出した左右の視線方向と、それらの視線方向がなす角の大きさとに基づいて、視対象間距離を推定する。
【0084】
また、決定部431は、取得した可変焦点眼鏡2の姿勢の情報に基づいて、ユーザが対象物を見ている状況の情報を生成する。姿勢の情報が3軸方向の加速度および角速度の情報である場合、決定部431は、3軸方向の加速度および角速度に基づいて、可変焦点眼鏡2が下方、上方または水平方向のいずれを向いているかを示す情報を生成する。
【0085】
次に、決定部431は、取得したユーザの識別情報と生成した動態情報との組合せが、第2焦点距離テーブルT2に記憶されているか否かを判定する(ステップS202)。決定部431は、取得したユーザの識別情報に関連付けられた動態情報を第2焦点距離テーブルT2から抽出する。決定部431は、生成した動態情報と一致する動態情報が抽出された場合に、取得したユーザの識別情報と生成した動態情報との組合せが第2焦点距離テーブルT2に記憶されていると判定する。決定部431は、取得した動態情報と一致する動態情報が抽出されていない場合に、取得したユーザの識別情報と生成した動態情報との組合せが第2焦点距離テーブルT2に記憶されていないと判定する。
【0086】
なお、決定部431は、生成した動態情報との差が所定の条件を満たす動態情報が第2焦点距離テーブルT2から抽出された場合に、取得したユーザの識別情報と生成した動態情報との組合せが第2焦点距離テーブルT2に記憶されていると判定してもよい。所定の条件は、動態情報の差が小さいと認められるための条件であり、例えば、毛様体筋の緊張状態の情報と視対象間距離の情報が一致し、ユーザが対象物を見ている状況の情報のみが異なる場合である。
【0087】
ユーザの識別情報およびセンサ情報の組合せが、第2焦点距離テーブルT2に記憶されている場合(ステップS202-Yes)、決定部431は、ユーザの識別情報およびセンサ情報の組合せに関連付けられた焦点距離を第2焦点距離テーブルT2から取得する(ステップS203)。決定部431は、取得した焦点距離を、ユーザが観察する対象物に応じた焦点距離として決定する。以上で、決定処理が終了する。
【0088】
ユーザの識別情報およびセンサ情報の組合せが、第2焦点距離テーブルT2に記憶されていない場合(ステップS202-No)、決定部431は、ユーザの属性およびセンサ情報の組合せに関連付けられた焦点距離を第1焦点距離テーブルT1から取得する(ステップS204)。決定部431は、取得した焦点距離を、ユーザが観察する対象物に応じた焦点距離として決定する。以上で、決定処理が終了する。
【0089】
以上説明したように、焦点距離調整システム1は、ユーザの眼の遠近調節に伴う毛様体筋の運動によって発生する電磁信号に関する情報と、ユーザの眼球運動に関する情報とに基づいて、ユーザが見ている対象物に応じたレンズ211の焦点距離を決定する。これにより、焦点距離調整システム1は、ユーザが観察する対象物に応じてレンズの焦点距離を適切に調整することを可能とする。
【0090】
また、焦点距離調整システム1は、レンズ211の焦点距離を変更する操作を受け付け、受け付けた操作に応じた焦点距離を有するようにレンズ211を調整する。これにより、焦点距離調整システム1は、レンズの焦点距離をユーザの操作に応じて適切に調整することを可能とする。
【0091】
また、焦点距離調整システム1は、操作に応じて調整された焦点距離をユーザの識別情報に関連付けて記憶する。焦点距離調整システム1は、焦点距離の決定において、ユーザの識別情報に関連付けられた焦点距離のうちからセンサ情報に関連付けられた焦点距離を対象物に応じたレンズ211の焦点距離として決定する。これにより、焦点距離調整システム1は、焦点距離を変更する操作を受け付けることなく、レンズ211の焦点距離をユーザごとに適切な値に調整することを可能とする。
【0092】
また、焦点距離調整システム1は、可変焦点眼鏡2の姿勢に関する情報にさらに基づいて対象物に応じた焦点距離を決定する。これにより、焦点距離調整システム1は、ユーザが対象物を観察する状況に応じてレンズ211の焦点距離を適切な値に調整することを可能とする。
【0093】
上述した説明では、眼球運動センサ26は光源およびカメラを備えるものとしたが、このような例に限られない。眼球運動センサ26は、赤外線測距センサ等の複数の測距センサを備えてもよい。複数の測距センサは、上瞼、下瞼、目頭、目尻等の眼の近傍の皮膚の複数の部分までの距離を測定し、距離の時間変化の情報を眼球運動の情報として生成する。
【0094】
この場合、決定処理のステップS201において、決定部431は、眼球運動センサ26と皮膚との間の距離の時間変化をあらかじめ記憶されたパターンと比較することにより視線方向を推定し、視対象距離の情報を生成する。また、この場合において、決定部431は、ユーザのまばたきの頻度を算出し、ユーザの疲労度を動態情報として推定してもよい。決定部431は、ユーザの疲労度を含む動態情報に基づいて、対象物に応じたレンズ211の焦点距離を決定する。例えば、ユーザの眼が疲労している場合にはレンズ211の度が弱くなるように焦点距離が設定される。このようにすることで、焦点距離調整システム1は、ユーザの眼の疲労度を考慮した適切な焦点距離を決定することを可能とする。
【0095】
上述した説明では、可変焦点眼鏡2は姿勢センサ27を有するものとしたが、可変焦点眼鏡2は姿勢センサ27を有しなくてもよい。この場合、センサ情報は可変焦点眼鏡2の姿勢の情報を含まず、動態情報はユーザが対象物を見ている状況の情報を含まない。このようにしても、焦点距離調整システム1は、電磁信号の情報および眼球運動の情報に基づいてレンズ211の焦点距離を適切に調整することができる。
【0096】
上述した説明では、決定処理のステップS204において、決定部431は第1焦点距離テーブルT1を参照して対象物に応じた焦点距離を決定するものとしたが、このような例に限られない。決定部431は、センサ情報を学習済みモデルに入力し、学習済みモデルの出力に基づいて対象物に応じた焦点距離を決定してもよい。この場合、サーバ4の記憶部41は、センサ情報が入力された場合にユーザが見ている対象物に応じた焦点距離を出力するようにあらかじめ学習された学習済みモデルを記憶する。学習済みモデルは、人工ニューラルネットワーク等の学習モデルを、ユーザが対象物を見ている間のセンサ情報と正解データである焦点距離とを含む教師データを用いて学習させることにより生成される。学習は、センサ情報を学習モデルに入力した場合に出力される焦点距離と正解データである焦点距離との誤差が小さくなるように学習モデルのパラメータを更新することによりなされる。このようにすることで、記憶部41が第1焦点距離テーブルT1を記憶する必要がなくなるため、記憶容量が低減される。
【0097】
上述した焦点距離調整処理のうちの一部のステップのみが実行されてもよい。例えば、焦点距離調整処理のステップS101-S105のみが実行され、ステップS106以降が実行されなくてもよい。このようにしても、焦点距離調整システム1は、ユーザが見ている対象物に応じてレンズ211の焦点距離を高精度に調整することができる。また、焦点距離調整処理のステップS101-S107のみが実行され、ステップS108以降が実行されなくてもよい。このようにしても、焦点距離調整システム1は、レンズの焦点距離をユーザの操作に応じて適切に調整することができる。
【0098】
上述した可変焦点眼鏡2、通信端末3およびサーバ4の機能の一部または全部は、他の装置によって実現されてもよい。例えば、焦点距離調整システム1はサーバ4を有しなくてもよい。この場合、サーバ4の機能の全部は、通信端末3によって実現される。
【0099】
図13は、本発明の他の実施形態に係る焦点距離調整システム5の概略構成を示す図である。焦点距離調整システム5は、可変焦点眼鏡2に代えて可変焦点眼鏡6を有する点および通信端末3を有しない点で焦点距離調整システム1と相違する。焦点距離調整システム5の可変焦点眼鏡6は、焦点距離調整システム1の可変焦点眼鏡2および通信端末3の機能に相当する機能を実現する。焦点距離調整システム5の構成のうち、焦点距離調整システム1と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。可変焦点眼鏡6とサーバ4とは、ネットワークNを介して通信可能である。
【0100】
図14は、可変焦点眼鏡6の機能ブロック図である。可変焦点眼鏡6は、通信部23に代えて通信部63を有する点、音声出力部60をさらに有する点および処理部29に代えて処理部69を有する点で可変焦点眼鏡2と相違する。
【0101】
通信部63は、可変焦点眼鏡6をサーバ4と通信可能にする構成であり、通信インタフェース回路を備える。通信部63が備える通信インタフェース回路は、無線LAN、移動体通信等の通信インタフェース回路である。通信部63は、データをサーバ4から受信して処理部69に供給するとともに、処理部69から供給されたデータをサーバ4に送信する。
【0102】
音声出力部60は、音声を出力するための構成であり、例えばスピーカを備える。音声出力部60は、処理部69から供給された音声信号を機械的な振動に変換することにより、音声信号に応じた音声を出力する。
【0103】
処理部69は、第1受付部691、出力制御部692、第2受付部693および第3受付部694を機能ブロックとしてさらに備える点で処理部29と相違する。これらの各部は、処理部69が実行するプログラムによって実現される機能モジュールである。これらの各部は、ファームウェアとして可変焦点眼鏡6に実装されてもよい。
【0104】
図15は、焦点距離調整システム5によって実行される焦点距離調整処理の流れの例を示すシーケンス図である。焦点距離調整処理は、各装置の記憶部に記憶されたプログラムに基づいて、各装置の処理部が他の構成と協働することにより実現される。
【0105】
最初に、可変焦点眼鏡6の第1受付部691は、レンズ211の焦点距離を自動的に調整するための自動調整操作を受け付ける(ステップS301)。第1受付部691は、操作部24の所定のボタンを押下する操作を自動調整操作として受け付ける。
【0106】
次に、取得部291は、ステップS102と同様にしてセンサ情報を取得する(ステップS302)。
【0107】
取得部291は、通信部63を介して、センサ情報と、あらかじめ記憶部22に記憶されたユーザの属性および識別情報とをサーバ4に送信する。
【0108】
次に、サーバ4の決定部431は、ステップS103と同様にして、センサ情報およびユーザ情報に基づいて、ユーザが見ている対象物に応じた焦点距離を決定する決定処理を実行する(ステップS303)。
【0109】
決定部431は、通信部42を介して、決定された焦点距離の情報を可変焦点眼鏡6に送信する。
【0110】
次に、可変焦点眼鏡2の自動調整部292は、ステップS104と同様にして、サーバ4によって決定された焦点距離を有するようにレンズ211を調整する(ステップS304)。
【0111】
次に、可変焦点眼鏡6の出力制御部692は、調整後の焦点距離の情報を出力する(ステップS305)。出力制御部692は、調整後の焦点距離を読み上げる音声を音声出力部60から出力する。なお、ステップS305は省略されてもよい。この場合、可変焦点眼鏡6は音声出力部60を有しなくてもよい。
【0112】
次に、第2受付部693は、自動調整部292によって調整されたレンズ211の焦点距離を変更する手動調整操作を受け付ける(ステップS306)。第2受付部364は、操作部24の所定のボタンを押下する操作を手動調整操作として受け付ける。
【0113】
次に、手動調整部293は、ステップS107と同様に、第2受付部693が受け付けた手動調整操作に応じた焦点距離を有するようにレンズ211を調整する(ステップS307)。
【0114】
次に、第3受付部694は、レンズ211の調整を終了し、レンズ211の焦点距離を確定する確定操作を受け付ける(ステップS308)。第3受付部694は、操作部24の所定のボタンを押下する操作を確定操作として受け付ける。
【0115】
第3受付部694は、通信部63を介して、ユーザの識別情報、ステップS302で取得されたセンサ情報および確定操作を受け付けた時の焦点距離の情報をサーバ4に送信する。
【0116】
次に、サーバ4の記憶処理部432は、ステップS109と同様にして、センサ情報および焦点距離の情報をユーザの識別情報に関連付けて記憶する(ステップS309)。以上で、焦点距離調整処理が終了する。
【0117】
以上説明したように、焦点距離調整システム5は、ユーザが通信端末を所持していない場合であっても、焦点距離調整システム1と同様に、ユーザが観察する対象物に応じてレンズの焦点距離を適切に調整することを可能とする。
【0118】
図16は、本発明の他の実施形態に係る可変焦点眼鏡7の機能ブロック図である。可変焦点眼鏡7は、記憶部22に代えて記憶部72を有する点、通信部63を有しない点および処理部69に代えて処理部79を有する点で可変焦点眼鏡6と相違する。可変焦点眼鏡7は、焦点距離調整システム5の可変焦点眼鏡6およびサーバ4の機能に相当する機能を実現する。可変焦点眼鏡7の構成のうち、可変焦点眼鏡6と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0119】
記憶部72は、データとして第1焦点距離テーブルT1および第2焦点距離テーブルT2をさらに記憶する点で記憶部22と相違する。
【0120】
処理部79は、決定部791および記憶処理部792を機能ブロックとしてさらに備える点で処理部69と相違する。これらの各部は、処理部79が実行するプログラムによって実現される機能モジュールである。これらの各部は、ファームウェアとして可変焦点眼鏡7に実装されてもよい。
【0121】
図17は、可変焦点眼鏡7によって実行される焦点距離調整処理の流れの例を示すフロー図である。焦点距離調整処理は、記憶部72に記憶されたプログラムに基づいて、処理部79が他の構成と協働することにより実現される。
【0122】
最初に、第1受付部691は、ステップS301と同様に、レンズ211の焦点距離を自動的に調整するための自動調整操作を受け付ける(ステップS401)。
【0123】
次に、取得部291は、ステップS302と同様に、センサ情報を取得する(ステップS402)。
【0124】
次に、決定部791は、ステップS303と同様に、センサ情報およびユーザ情報に基づいて、ユーザが見ている対象物に応じた焦点距離を決定する決定処理を実行する(ステップS403)。
【0125】
次に、自動調整部292は、ステップS304と同様に、決定された焦点距離を有するようにレンズ211を調整する(ステップS404)。
【0126】
次に、出力制御部692は、ステップS305と同様に、調整後の焦点距離の情報を出力する(ステップS405)。
【0127】
次に、第2受付部693は、ステップS306と同様に、自動調整部292によって調整されたレンズ211の焦点距離を変更する手動調整操作を受け付ける(ステップS406)。
【0128】
次に、手動調整部293は、ステップS307と同様に、第2受付部693が受け付けた手動調整操作に応じた焦点距離を有するようにレンズ211を調整する(ステップS407)。
【0129】
次に、第3受付部694は、ステップS308と同様に、レンズ211の調整を終了し、レンズ211の焦点距離を確定する確定操作を受け付ける(ステップS408)。
【0130】
次に、記憶処理部792は、ステップS309と同様にして、センサ情報および焦点距離の情報をユーザの識別情報に関連付けて記憶する(ステップS409)。以上で、焦点距離調整処理が終了する。
【0131】
以上説明したように、可変焦点眼鏡7は、通信機能を備えることなく、焦点距離調整システム1と同様に、ユーザが観察する対象物に応じてレンズの焦点距離を適切に調整することを可能とする。
【0132】
当業者は、本発明の範囲から外れることなく、様々な変更、置換及び修正をこれに加えることが可能であることを理解されたい。例えば、上述した実施形態及び変形例は、本発明の範囲において、適宜に組み合わせて実施されてもよい。
【符号の説明】
【0133】
2 可変焦点眼鏡
211 レンズ
25 電磁信号センサ
26 眼球運動センサ
27 姿勢センサ
28 レンズ制御部
291 取得部
292 自動調整部
293 手動調整部
3 通信端末
361 第1受付部
364 第2受付部
4 サーバ
431 決定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
【手続補正書】
【提出日】2024-02-05
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
本発明は、可変焦点眼鏡、視対象距離情報生成方法、視対象距離情報生成プログラムおよび可変焦点眼鏡用サーバに関する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0005】
本発明は、このような課題を解決するものであり、ユーザが観察する対象物に応じてレンズの焦点距離を適切に調整することを可能とする可変焦点眼鏡、視対象距離情報生成方法、視対象距離情報生成プログラムおよび可変焦点眼鏡用サーバを提供することを目的とする。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
本発明の実施形態に係る可変焦点眼鏡は、可変焦点レンズと、可変焦点レンズを装着したユーザの眼球運動の情報を生成する第2センサと、ユーザの左右の目の視線方向を算出し、算出した左右の目の視線方向と左右の目の視線方向のなす角の大きさとに基づいて、ユーザの左右の目とユーザが見ている対象物との距離である視対象距離の情報を生成する決定部と、を有することを特徴とする。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
また、可変焦点眼鏡は、可変焦点レンズを装着したユーザの目の遠近調節に伴う毛様体筋の運動によって発生する電磁信号の情報を生成する第1センサと、可変焦点レンズを調整する自動調整部と、をさらに有し、決定部は、電磁信号の情報および眼球運動の情報に基づいて、可変焦点レンズを装着したユーザが見ている対象物に応じた焦点距離を決定し、自動調整部は、決定された焦点距離を有するように可変焦点レンズを調整することが好ましい。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
また、可変焦点眼鏡は、自動調整部によって調整された可変焦点レンズの焦点距離を変更する操作を受け付ける受付部と、受け付けた操作に応じた焦点距離を有するように可変焦点レンズを調整する手動調整部と、をさらに有することが好ましい。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
また、可変焦点眼鏡は、電磁信号の情報、眼球運動の情報および操作に応じて調整された焦点距離をユーザの識別情報に関連付けて記憶する記憶部をさらに有し、決定部は、ユーザの識別情報に関連付けられた焦点距離のうちから、電磁信号の情報および眼球運動の情報に関連付けられた焦点距離を対象物に応じた焦点距離として決定することが好ましい。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
また、可変焦点眼鏡は、可変焦点眼鏡の姿勢の情報を生成する第3センサをさらに有し、決定部は、姿勢の情報にさらに基づいて、対象物に応じた焦点距離を決定することが好ましい。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
本発明の実施形態に係る視対象距離情報生成方法は、可変焦点レンズを装着したユーザの眼球運動の情報を取得し、ユーザの左右の目の視線方向を算出し、算出した左右の目の視線方向と左右の目の視線方向のなす角の大きさとに基づいて、ユーザの左右の目とユーザが見ている対象物との距離である視対象距離の情報を生成する、工程を有することを特徴とする。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
本発明の実施形態に係る視対象距離情報生成プログラムは、可変焦点レンズを装着したユーザの眼球運動の情報を取得し、ユーザの左右の目の視線方向を算出し、算出した左右の目の視線方向と左右の目の視線方向のなす角の大きさとに基づいて、ユーザの左右の目とユーザが見ている対象物との距離である視対象距離の情報を生成する、ことをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
本発明の実施形態に係る可変焦点眼鏡用サーバは、可変焦点レンズを装着したユーザの眼球運動の情報を取得する取得部と、ユーザの左右の目の視線方向を算出し、算出した左右の目の視線方向と左右の目の視線方向のなす角の大きさとに基づいて、ユーザの左右の目とユーザが見ている対象物との距離である視対象距離の情報を生成する決定部と、を有することを特徴とする。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
本発明に係る可変焦点眼鏡、視対象距離情報生成方法、視対象距離情報生成プログラムおよび可変焦点眼鏡用サーバは、ユーザが観察する対象物に応じてレンズの焦点距離を適切に調整することを可能とする。
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0083
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0083】
また、決定部431は、取得した眼球運動の情報に基づいて、視対象距離の情報を生成する。眼球運動の情報が瞳孔点および反射点を含む眼球の動画像データである場合、決定部431は、公知のアイトラッキング手法を用いて動画像データからユーザの左右の眼の視線方向を算出する。決定部431は、算出した左右の視線方向と、それらの視線方向がなす角の大きさとに基づいて、視対象距離を推定する。
【手続補正14】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0086
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0086】
なお、決定部431は、生成した動態情報との差が所定の条件を満たす動態情報が第2焦点距離テーブルT2から抽出された場合に、取得したユーザの識別情報と生成した動態情報との組合せが第2焦点距離テーブルT2に記憶されていると判定してもよい。所定の条件は、動態情報の差が小さいと認められるための条件であり、例えば、毛様体筋の緊張状態の情報と視対象距離の情報が一致し、ユーザが対象物を見ている状況の情報のみが異なる場合である。
【手続補正15】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可変焦点レンズと
記可変焦点レンズを装着したユーザの眼球運動の情報を生成する第2センサと
ユーザの左右の目の視線方向を算出し、算出した左右の目の視線方向と前記左右の目の視線方向のなす角の大きさとに基づいて、ユーザの左右の目とユーザが見ている対象物との距離である視対象距離の情報を生成する決定部と
有することを特徴とする可変焦点眼鏡。
【請求項2】
前記可変焦点レンズを装着したユーザの目の遠近調節に伴う毛様体筋の運動によって発生する電磁信号の情報を生成する第1センサと、
前記可変焦点レンズを調整する自動調整部と、をさらに有し、
前記決定部は、前記電磁信号の情報および前記眼球運動の情報に基づいて、前記可変焦点レンズを装着したユーザが見ている対象物に応じた焦点距離を決定し、
前記自動調整部は、前記決定された焦点距離を有するように前記可変焦点レンズを調整する、
請求項1に記載の可変焦点眼鏡。
【請求項3】
前記自動調整部によって調整された可変焦点レンズの焦点距離を変更する操作を受け付ける受付部と、
前記受け付けた操作に応じた焦点距離を有するように前記可変焦点レンズを調整する手動調整部と、をさらに有する、
請求項に記載の可変焦点眼鏡。
【請求項4】
前記電磁信号の情報、前記眼球運動の情報および前記操作に応じて調整された焦点距離を前記ユーザの識別情報に関連付けて記憶する記憶部をさらに有し、
前記決定部は、前記ユーザの識別情報に関連付けられた焦点距離のうちから、前記電磁信号の情報および前記眼球運動の情報に関連付けられた焦点距離を前記対象物に応じた焦点距離として決定する、
請求項に記載の可変焦点眼鏡。
【請求項5】
前記可変焦点眼鏡の姿勢の情報を生成する第3センサをさらに有し、
前記決定部は、前記姿勢の情報にさらに基づいて、前記対象物に応じた焦点距離を決定する、
請求項2に記載の可変焦点眼鏡。
【請求項6】
可変焦点レンズを有する可変焦点眼鏡の視対象距離情報生成方法であって、
前記可変焦点レンズを装着したユーザの眼球運動の情報を取得し、
ユーザの左右の目の視線方向を算出し、
算出した左右の目の視線方向と前記左右の目の視線方向のなす角の大きさとに基づいて、ユーザの左右の目とユーザが見ている対象物との距離である視対象距離の情報を生成する、
工程を有することを特徴とする視対象距離情報生成方法。
【請求項7】
可変焦点レンズを装着したユーザの眼球運動の情報を取得し、
ユーザの左右の目の視線方向を算出し、
算出した左右の目の視線方向と前記左右の目の視線方向のなす角の大きさとに基づいて、ユーザの左右の目とユーザが見ている対象物との距離である視対象距離の情報を生成する、
ことをコンピュータに実行させることを特徴とする視対象距離情報生成プログラム。
【請求項8】
可変焦点レンズを装着したユーザの眼球運動の情報を取得する取得部と、
ユーザの左右の目の視線方向を算出し、算出した左右の目の視線方向と前記左右の目の視線方向のなす角の大きさとに基づいて、ユーザの左右の目とユーザが見ている対象物との距離である視対象距離の情報を生成する決定部と、
を有することを特徴とする可変焦点眼鏡用サーバ。