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特開2024-65614データ収集装置、データ収集方法、データ収集プログラム、データ収集システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024065614
(43)【公開日】2024-05-15
(54)【発明の名称】データ収集装置、データ収集方法、データ収集プログラム、データ収集システム
(51)【国際特許分類】
   G01M 13/045 20190101AFI20240508BHJP
   G01D 9/00 20060101ALI20240508BHJP
   F16C 41/00 20060101ALI20240508BHJP
   F16C 19/52 20060101ALI20240508BHJP
【FI】
G01M13/045
G01D9/00 A
G01D9/00 F
F16C41/00
F16C19/52
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022174570
(22)【出願日】2022-10-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006220
【氏名又は名称】ミツミ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】木村 聡志
【テーマコード(参考)】
2F070
2G024
3J217
3J701
【Fターム(参考)】
2F070AA01
2F070CC01
2F070CC06
2F070CC11
2F070DD14
2F070FF09
2G024AC01
2G024BA27
2G024CA13
2G024DA09
2G024FA02
2G024FA06
2G024FA13
3J217JA02
3J217JA14
3J217JA15
3J217JA24
3J217JA38
3J217JB16
3J217JB84
3J217JB88
3J217JC10
3J701FA24
(57)【要約】
【課題】予知保全において有効なデータを取得することを目的としている。
【解決手段】転動体の通過振動を捉えた信号を取得するデータ取得部と、前記信号を用いて、前記通過振動を示す周波数のN次高調波の信号成分の振幅を算出するデータ処理部と、前記振幅に基づき、前記転動体を含む保全対象物の異常の度合いを推定した異常度が閾値を超える場合に、前記異常度の変化点近傍の所定期間に取得された前記信号を記憶装置に格納する収集制御部と、を有するデータ収集装置である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
転動体の通過振動を捉えた信号を取得するデータ取得部と、
前記信号を用いて、前記通過振動を示す周波数のN次高調波の信号成分の振幅を算出するデータ処理部と、
前記振幅に基づき、前記転動体を含む保全対象物の異常の度合いを推定した異常度が閾値を超える場合に、前記異常度の変化点近傍の所定期間に取得された前記信号を記憶装置に格納する収集制御部と、を有するデータ収集装置。
【請求項2】
前記所定期間は、
前記異常度が前記閾値を超えたタイミングよりの前のタイミングから前記異常度が前記閾値を超えたタイミングまでの第一の所定期間と、
前記異常度が前記閾値以下となると、前記異常度が前記閾値以下となったタイミングから、前記異常度が前記閾値以下となったタイミングより後のタイミングまでの第二の所定期間と、を含む、請求項1記載のデータ収集装置。
【請求項3】
前記所定期間は、
前記異常度が前記閾値を連続して超えている第三の所定期間を含む、請求項2記載のデータ収集装置。
【請求項4】
前記信号が一時的に格納される一時記憶装置と、前記信号が永続的に格納される記憶装置と、を有し、
前記収集制御部は、
前記異常度が前記閾値を超えた場合に、前記一時記憶装置に格納された前記信号のうち、前記第一の所定期間において前記一時記憶装置に格納された信号を、前記記憶装置に格納する、請求項3記載のデータ収集装置。
【請求項5】
前記収集制御部は、
前記異常度が前記閾値を超えた場合に、前記第三の所定期間と、前記第二の所定期間と、において取得された信号を、前記記憶装置に格納する、請求項4記載のデータ収集装置。
【請求項6】
前記第一の所定期間は、前記一時記憶装置の容量に応じて決められる、請求項4又は5記載のデータ収集装置。
【請求項7】
前記振幅に基づき、前記異常度を算出し、前記保全対象物の状態が異常であるか否かを判定する異常判定部を有し、
前記第一の所定期間又は前記第二の所定期間のうち少なくとも一方において、前記記憶装置に格納される信号の数は、前記異常度に応じて調整される、請求項6記載のデータ収集装置。
【請求項8】
データ収集装置によるデータ収集方法であって、前記データ収集装置が、
転動体の通過振動を捉えた信号を取得し、
前記信号を用いて、前記通過振動を示す周波数のN次高調波の信号成分の振幅を算出し、
前記振幅に基づき、前記転動体を含む保全対象物の異常の度合いを推定した異常度が閾値を超える場合に、前記異常度の変化点近傍の所定期間に取得された前記信号を記憶装置に格納する、データ収集方法。
【請求項9】
転動体の通過振動を捉えた信号を取得し、
前記信号を用いて、前記通過振動を示す周波数のN次高調波の信号成分の振幅を算出し、
前記振幅に基づき、前記転動体を含む保全対象物の異常の度合いを推定した異常度が閾値を超える場合に、前記異常度の変化点近傍の所定期間に取得された前記信号を記憶装置に格納する、処理をコンピュータに実行させる、データ収集プログラム。
【請求項10】
転動体を含む保全対象物と、
前記転動体の通過振動を捉えた信号を取得するデータ取得部と、
前記信号を用いて、前記通過振動を示す周波数のN次高調波の信号成分の振幅を算出するデータ処理部と、
前記振幅に基づき、前記保全対象物の異常の度合いを推定した異常度が閾値を超える場合に、前記異常度の変化点近傍の所定期間に取得された前記信号を記憶装置に格納する収集制御部と、を有するデータ収集システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ収集装置、データ収集方法、データ収集プログラム、データ収集システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来では、保全対象物の保全業務を行う際に、保全対象物から取得したログデータを用いることが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-196812号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
予知保全では、予知保全の対象物を動作させたときのログデータを取得する間隔を、できるだけ短くすることが望ましい。しかしながら、取得したログデータのデータ量が多くなると、データを記録する際のコストやデータ処理にかかる時間が増加する。このため、従来では、予知保全において有効なデータのみを取得することが望まれている。
【0005】
開示の技術は、上記事情に鑑みてなされたものであり、予知保全において有効なデータを取得することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
開示の技術は、転動体(252)の通過振動を捉えた信号を取得するデータ取得部(320)と、
前記信号を用いて、前記通過振動を示す周波数のN次高調波の信号成分の振幅を算出するデータ処理部(330)と、
前記振幅に基づき、前記転動体(252)を含む保全対象物(250)の異常の度合いを推定した異常度が閾値を超える場合に、前記異常度の変化点近傍の所定期間(K1、K3)に取得された前記信号を記憶装置(380)に格納する収集制御部(350)と、を有するデータ収集装置(300)である。
【発明の効果】
【0007】
予知保全において有効なデータを取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第一の実施形態のデータ収集システムのシステム構成の一例を示す図である。
図2】データ収集装置によるデータの収集について説明する図である。
図3】第一の実施形態のデータ収集装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図4】第一の実施形態のデータ収集装置の処理を説明する第一のフローチャートである。
図5】第一の実施形態のデータ収集装置の処理を説明する第二のフローチャートである。
図6】第一の実施形態のデータ収集装置の処理を説明する第三のフローチャートである。
図7】第一の実施形態のデータ収集装置の処理を説明する第四のフローチャートである。
図8】第一の実施形態のデータ収集装置の処理を説明する第五のフローチャートである。
図9】異常判定部による異常判定について説明する第一の図である。
図10】異常判定部による異常判定について説明する第二の図である。
図11】第二の実施形態のデータ収集システムのシステム構成の一例を示す図である。
図12】第三の実施形態のデータ収集装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第一の実施形態)
以下に図面を参照して、第一の実施形態について説明する。図1は、第一の実施形態のデータ収集システムのシステム構成の一例を示す図である。
【0010】
本実施形態のデータ収集システム100は、センサ基板200と、データ収集装置300と、を有し、センサ基板200とデータ収集装置300とは、無線通信等によって通信を行う。尚、センサ基板200とデータ収集装置300との通信方法は、無線通信に限定されず、有線通信であってもよい。センサ基板200とデータ収集装置300とは、通信が可能であれば、どのような方法で接続されてもよい。また、無線通信を行う場合には、センサ基板200に別途電源が供給されてもよい。
【0011】
本実施形態のセンサ基板200には、ひずみゲージ210、アンプ220、ADC(Analog-to-Digital Converter)230、通信回路240が実装されている。
【0012】
尚、本実施形態では、ひずみゲージ210が実装された基板と、アンプ220、ADC(Analog-to-Digital Converter)230、通信回路240とが実装された基板とが、別々の基板であってもよい。
【0013】
ひずみゲージ210は、例えば、ベアリング250に設けられる。ベアリング250は、例えば、外輪(固定輪)251と、複数の転動体252と、内輪(回転輪)253とを有し、複数の転動体252は、外輪251と内輪253との間に転動自在に配設されている。
【0014】
ひずみゲージ210は、外輪251に取り付けられる。また、ひずみゲージ210は、転動体252がひずみゲージ210が設けられた位置を通過する際に、外輪251に生じるひずみを検出し、ひずみに応じた抵抗値の変化を示すアナログデータ(波形データ)を出力する。尚、図1の例では、ひずみゲージ210は外輪251に取り付けられるものとしたが、ひずみゲージ210は、外輪251以外に取り付けられていてもよい。
【0015】
つまり、ひずみゲージ210は、ひずみを測定する測定対象物にひずみが生じると、ひずみに応じたアナログデータ(波形データ)を出力する。本実施形態において、ベアリング250は、ひずみゲージ210による測定対象物の一例である。また、本実施形態のベアリング250は、予知保全の対象となる保全対象物の一例である。
【0016】
本実施形態の保全対象物は、例えば、転動体が固定された部材上で自在に転動する構造を有するものであればよく、ベアリングに限定されない。
【0017】
また、本実施形態では、保全対象物のひずみを検出する手段の一例として、ひずみゲージ210を用いるが、ひずみの検出は、ひずみゲージ210以外の手段によって行われて
アンプ220は、ひずみゲージ210から出力されるアナログデータを増幅させる。ADC230は、増幅させたアナログデータをデジタルデータに変換する。通信回路240は、ADC230から出力されるデジタルデータを、データ収集装置300へ送信する。
【0018】
データ収集装置300は、通信部310、データ取得部320、データ処理部330、異常判定部340、収集制御部350、一時記憶部370、記憶部380を有する。
【0019】
尚、通信部310、データ取得部320、データ処理部330、異常判定部340、収集制御部350は、データ収集装置300の演算処理装置がメモリ装置に格納されたデータ収集プログラムを読み出して実行することで実現される。
【0020】
また、一時記憶部370は、一時的にデータを格納するものであり、例えば、データ収集装置300の有するRAM(Random Access Memory)等のメモリ装置によって実現される。記憶部380は、永続的にデータを格納するものであり、例えば、データ収集装置300が有するHDD(Hard Disk Drive)等の補助記憶装置によって実現されてよい。データ収集装置300のハードウェア構成の詳細は後述する。
【0021】
通信部310は、センサ基板200を含む外部の装置と通信を行う。具体的には、通信部310は、センサ基板200から送信されるデジタルデータを受信する。尚、通信部310は、予め設定された周期で、間欠的に、センサ基板200からデジタルデータを受信してもよい。
【0022】
データ取得部320は、通信部310が受信したデジタルデータを取得し、一時記憶部370に格納する。尚、データ取得部320が取得するデジタルデータは、転動体252の通過振動を捉えた時系列信号である。
【0023】
データ処理部330は、一時記憶部370に格納されたデジタルデータに対し、異常判定部340による異常判定を行うための処理を行い、処理が施された後のデータを一時記憶部370に格納する。具体的には、データ処理部330は、転動体252の通過振動を示す周波数のN次高調波の信号成分の振幅を算出する。より具体的には、データ処理部330は、転動体252の通過振動を示す周波数のN次高調波の信号成分の振幅から、さらに、一時記憶部370に格納されたデジタルデータの特徴量を算出する。特徴量の詳細は後述する。
【0024】
以下の説明では、デジタルデータに対してデータ処理部330の処理を行った後のデータを、処理済みデータと呼ぶ場合がある。処理済みデータは、予知保全の対象となるベアリング250から取得されるログデータの一例である。
【0025】
異常判定部340は、データ処理部330による処理が施された処理済みデータに基づき、保全対象物(ベアリング250)の状態を検出する。より具体的には、異常判定部340は、保全対象物の状態が異常であるか否かの判定に用いられる異常度の算出や、保全対象物の異常の予兆の検出等を行う。
【0026】
尚、本実施形態におけるベアリング250の異常とは、例えば、ベアリング250の損傷(転動体、外輪、内輪を含む)、グリスの劣化、異物混入による回転の不具合等である。
【0027】
例えば、ベアリング250の外輪251に傷が入ると、転動体252の通過振動の高調波成分の振幅値が増加する。本実施形態では、例えば、転動体252の通過振動の高調波成分の振幅値の変化を、外輪251に傷が入る前の予兆として検出してもよい。
【0028】
収集制御部350は、異常判定部340による判定結果に応じた期間に取得されたデジタルデータ(データ処理部330による処理を行う前の未処理データ)を、記憶部380に格納する。
【0029】
具体的には、収集制御部350は、異常判定部340により異常度が閾値を超えた場合に、異常が検出される前の第一の所定期間において、一時記憶部370に格納されたデジタルデータを、一時記憶部370から取り出して記憶部380に格納する。
【0030】
また、収集制御部350は、異常度が閾値を超えている間に取得されたデシタルデータを記憶部380に格納する。さらに、収集制御部350は、一度異常度が閾値を超えてから、異常度が閾値以下となった場合に、異常度が閾値以下となった後の第二の期間において取得されたデシタルデータを記憶部380に格納する。
【0031】
本実施形態では、このように、保全の対象となるベアリング250の状態において、異常度が閾値を超えている場合に、その直前の期間と、異常度が閾値を超えている期間と、異常度が閾値以下となった後の期間と、を含むデジタルデータのみを、記憶部380に格納して保存する。
【0032】
このため、本実施形態によれば、ベアリング250の保全において有効なデータのみを取得して保存することができる。また、本実施形態では、さらに、保存するデータの量を削減することができ、データを記録する際のコストやデータ処理にかかる時間を低減することができる。
【0033】
以下に、図2を参照して、本実施形態のデータ収集装置300によるデータの収集の仕方について説明する。図2は、データ収集装置によるデータの収集について説明する図である。
【0034】
図2において、縦軸は異常判定部340により算出される異常度であり、横軸は時間である。つまり、図2では、異常判定部340により算出される異常度の変化を示している。
【0035】
図2において、閾値THは、異常判定部340により、ベアリング250の状態に何らかの変化が起きているか否かを判定するための異常度の閾値である。本実施形態では、異常度が閾値THより大きい場合に、異常度の変化点近傍の所定期間に取得されたデジタルデータが、異常検知のアルゴリズムの検討や改良する際に有効なデータとして検出される。
【0036】
また、本実施形態の閾値THは、予め初期値が設定されてよい。また、閾値THは、センサ基板200からのデータの取得が開始されて、データが蓄積されると、データ収集装置300の管理者等の経験則によって調整されてよい。
【0037】
また、閾値THは、予知保全の対象物のユーザに応じて設定されてよい。具体的には、閾値THは、ユーザが異常を検出したいタイミングや、予知保全の対象物の種類等に応じて調整されてよい。
【0038】
図2の例では、タイミングT2において、異常度が閾値THを超えており、タイミングT3において、異常度が閾値TH以下となっている。
【0039】
したがって、データ収集装置300は、タイミングT2において、タイミングT2より前のタイミングT1からタイミングT2までの期間K1の間に取得され、一時記憶部370に一時的に格納されているデジタルデータを読み出して、データが永続的に保存される記憶部380に格納する。
【0040】
また、データ収集装置300は、タイミングT3から、タイミングT3よりも後のタイミングT4までの期間K3において取得されるデジタルデータを、データが永続的に保存される記憶部380に格納する。
【0041】
また、図2の例では、タイミングT2からタイミングT3までの間は、異常度が閾値THを超えている。したがって、データ収集装置300は、タイミングT2からタイミングT3までの期間K2において取得されるデジタルデータを、データが永続的に保存される記憶部380に格納する。
【0042】
以下の説明では、期間K1を第一の所定期間、期間K3を第二の所定期間、期間K2を第三の所定期間と表現する場合がある。
【0043】
本実施形態では、第一の所定期間と第二の所定期間とは、予め設定されていてよい。第一の所定期間は、一時記憶部370の容量に応じて設定されてよい。第一の所定期間は、一時記憶部370の容量が大きいほど、長く設定することができる。
【0044】
第三の所定期間は、取得されたデシタルデータが、異常検知のアルゴリズムを検討する際に有効なデータである可能性が高い期間である。
【0045】
第二の所定期間は、第三の所定期間において検出される異常度の最大値に基づき、段階的に設定されていてもよい。例えば、第二の所定期間は、異常度の最大値が大きいほど長くなり、異常度の最大値が小さいほど短くなるように、段階的に設定されていてもよい。
【0046】
また、本実施形態では、例えば、第三の所定期間における異常度に応じて、記憶部380に格納するデジタルデータのデータ数を調整してもよい。
【0047】
デジタルデータとは、転動体252の通過振動を捉えた時系列信号である。したがって、本実施形態では、言い換えれば、第三の所定期間における異常度に応じて、記憶部380に格納する時系列信号の数を調整してもよい。
【0048】
具体的には、例えば、データ収集装置300は、第三の所定期間に検出された異常度が、閾値THよりも大きい閾値TH1を超えた場合、第二の所定期間において取得される全てのデジタルデータを記憶部380に格納してよい。
【0049】
言い換えれば、データ収集装置300は、第三の所定期間に検出された異常度が、閾値THよりも大きい閾値TH1を超えた場合、第二の所定期間において、データ取得部320がデジタルデータを取得する度に、取得されたデシタルデータを記憶部380に格納してよい。このようにすれば、データ取得部320が取得したデシタルデータの個数と同数のデシタルデータが記憶部380に格納される。
【0050】
また、データ収集装置300は、第三の所定期間に検出された異常度が、閾値THよりも大きい閾値TH1以下である場合、第二の所定期間において取得される全てのデジタルデータの個数よりも、少ない個数のデジタルデータを、記憶部380に格納してよい。
【0051】
具体的には、例えば、第三の所定期間に検出された異常度が、閾値THよりも大きい閾値TH1以下である場合、データ収集装置300は、データ取得部320が取得するデジタルデータのうち、奇数番目に取得されたデジタルデータを記憶部380に格納するようにしてよい。
【0052】
このようにすれば、第二の所定期間において、記憶部380に格納されるデシタルデータの個数は、データ取得部320が取得したデシタルデータの個数の約半分となる。
【0053】
また、本実施形態のデータ収集装置300は、異常度の変化点の近傍のデジタルデータの数が多くなるようにしてもよい。
【0054】
図2の例では、第三の所定期間である期間K2の間に、異常度が上昇から下降に転じる変化点が存在する。したがって、データ収集装置300は、この変化点を含む期間K4を、変化点の近傍期間とし、この期間に記憶部380に格納されるデータ数が、他の期間に記憶部380に格納されるデータの数よりも多くなるようにしてもよい。
【0055】
本実施形態では、このように、記憶部380に格納されるデータの数を調整することで、ベアリング250の故障の前兆を検知する等の保全において、有効なデータを効率的に収集することができる。
【0056】
次に、図3を参照して、本実施形態のデータ収集装置300のハードウェア構成について説明する。図3は、第一の実施形態のデータ収集装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0057】
本実施形態のデータ収集装置300は、それぞれバスBで相互に接続されている入力装置31、出力装置32、ドライブ装置33、補助記憶装置34、メモリ装置35、演算処理装置36及びインターフェース装置37を含むコンピュータであり、データ収集装置の一例である。
【0058】
入力装置31は、各種の情報の入力を行うための装置であり、例えばタッチパネル等より実現される。出力装置32は、各種の情報の出力を行うためものであり、例えばディスプレイ等により実現される。インターフェース装置37は、ネットワークに接続する為に用いられる。
【0059】
通信部310、データ取得部320、データ処理部330、異常判定部340、収集制御部350を実現させるデータ収集プログラムは、データ収集装置300を制御する各種プログラムの少なくとも一部である。データ収集プログラムは、例えば、記憶媒体38の配布やネットワークからのダウンロード等によって提供される。データ収集プログラムを記録した記憶媒体38は、情報を光学的、電気的或いは磁気的に記録する記憶媒体、ROM、フラッシュメモリ等の様に情報を電気的に記録する半導体メモリ等、様々なタイプの記憶媒体を用いることができる。
【0060】
また、データ収集プログラムは、データ収集プログラムを記録した記憶媒体38がドライブ装置33にセットされると、記憶媒体38からドライブ装置33を介して補助記憶装置34にインストールされる。ネットワークからダウンロードされたデータ収集プログラムは、インターフェース装置37を介して補助記憶装置34にインストールされる。
【0061】
記憶部380を実現する補助記憶装置34は、データ収集装置300にインストールされたデータ収集プログラムを格納すると共に、データ収集装置300による各種の必要なファイル、データ等を格納する。一時記憶部370を実現するメモリ装置35は、データ収集装置300の起動時に補助記憶装置34からデータ収集プログラムを読み出して格納する。そして、演算処理装置36はメモリ装置35に格納されたデータ収集プログラムに従って、後述するような各種処理を実現している。
【0062】
次に、図4乃至図8を参照して、本実施形態のデータ収集装置300の処理について説明する。図4は、第一の実施形態のデータ収集装置の処理を説明する第一のフローチャートである。
【0063】
図4では、データ収集装置300全体の処理を示す。まず、データ収集装置300は、通信部310が受信したデジタルデータを取得する(ステップS401)。ステップS401の処理の詳細は後述する。
【0064】
続いて、データ収集装置300は、ステップS401で取得したデジタルデータを一時記憶部370に、一時的に保存する(ステップS402)。
【0065】
続いて、データ収集装置300は、正常データの取得が完了したか否かを判定する(ステップS403)。言い換えれば、データ収集装置300は、正常データの収集期間が経過したか否かを判定している。
【0066】
収集期間とは、ベアリング250が正常な状態で動作していると推定される期間であり、正常データとは、収集期間中に取得されたデジタルデータから算出された特徴量である。
【0067】
本実施形態の収集期間とは、例えば、ベアリング250の工場出荷時から所定の期間であってもよいし、ベアリング250の稼働時間が所定時間に到達するまでの期間であってもよい。本実施形態の収集期間は、任意に設定が可能であってもよい。
【0068】
ステップS403において、正常データの取得が完了した場合、データ収集装置300は、正常データの取得後のデータ収集を行い(ステップS404)、ステップS406へ進む。正常データの取得が完了した場合とは、正常データの収集期間が経過した場合である。
【0069】
ステップS403において、正常データの取得が完了していない場合、データ収集装置300は、正常データの取得を行い(ステップS405)、ステップS406へ進む。正常データの取得が完了していない場合とは、正常データの収集期間が経過していない場合である。ステップS404とステップS405の処理の詳細は後述する。
【0070】
ステップS404,ステップS405に続いて、データ収集装置300は、データの収集が終了したか否かを判定する(ステップS406)。
【0071】
ステップS406において、データの収集が終了していない場合、データ収集装置300は、ステップS401へ戻る。ステップS404において、データの収集が終了した場合、データ収集装置300は、処理を終了する。
【0072】
次に、図5を参照して、データ収集装置300によるデジタルデータの取得について説明する。図5は、データ収集装置の処理を説明する第二のフローチャートである。図5では、図4のステップS404の詳細を示す。
【0073】
データ収集装置300において、データ取得部320は、指定された期間が経過したか否かを判定する(ステップS501)。指定された期間とは、例えば、24時間であってよい。
【0074】
ステップS501において、指定された時間が経過した場合、データ収集装置300は、後述するステップS506へ進み、一時記憶部370に格納されたデシタルデータを記憶部380に格納する。本実施形態では、このように、指定された時間毎に、一時記憶部370に格納されたデジタルデータを記憶部380に格納することで、保全の対象物が正常に動作している記録を残すことができる。
【0075】
ステップS501において、指定された時間が経過してしない場合、データ収集装置300は、一時記憶部370に格納されているデジタルデータの特徴量を算出する(ステップS502)。ステップS502の詳細は後述する。
【0076】
続いて、データ収集装置300は、異常判定部340により、一時記憶部370に格納された処理済みデータを用いて、異常度を算出する(ステップS503)。ステップS503の処理の詳細は後述する。
【0077】
続いて、データ収集装置300は、ステップS503で算出された異常度が閾値THを超えたか否かを判定する(ステップS504)。言い換えれば、データ収集装置300は、ステップS503で算出された異常度が閾値THより大きいか否かを判定する。
【0078】
ステップS504において、ステップS503で算出された異常度が閾値THをより大きい場合、データ収集装置300は、収集制御部350により、一時記憶部370に、過去に取得されたデジタルデータが格納されているか否かを判定する(ステップS505)。
【0079】
ステップS505において、一時記憶部370に、過去に取得されたデジタルデータが格納されていない場合、収集制御部350は、現在一時記憶部370に格納されているデジタルデータを記憶部380に格納し(ステップS506)、処理を終了する。
【0080】
ステップS505において、一時記憶部370に、過去に取得されたデジタルデータが格納されている場合、収集制御部350により、一時記憶部370に格納されているデジタルデータのうち、第一の所定期間において一時記憶部370に格納されたデジタルデータを読み出して、記憶部380に格納し(ステップS507)、ステップS506へ進む。
【0081】
また、データ収集装置300は、ステップS504において、異常度が閾値TH以下であった場合、収集制御部350により、第二の所定期間中は、異常度が閾値THより大きいか否かを判定する(ステップS508)。
【0082】
言い換えれば、収集制御部350は、現在から第二の所定期間を遡ったときに、第二の所定期間の間、連続して異常度が閾値THより大きいか否かを判定している。
【0083】
ステップS508において、現在から第二の所定期間を遡っても、異常度が閾値THより大きい場合、収集制御部350は、ステップS506へ進む。
【0084】
ステップS508において、第二の所定期間を遡った場合に異常度が閾値TH以下となる場合、データ収集装置300は、図4のステップS406へ進む。
【0085】
次に、図6を参照して、図4のステップS405の処理について説明する。図6は、第一の実施形態のデータ収集装置の処理を説明する第三のフローチャートである。
【0086】
本実施形態のデータ収集装置300は、収集制御部350により、ステップS402で一時記憶部370に格納されたデジタルデータを記憶部380に格納する(ステップS601)。
【0087】
続いて、データ収集装置300は、データ処理部330により、データ取得部320が取得したデジタルデータの特徴量を算出する(ステップS602)。ステップS602の詳細は後述する。
【0088】
続いて、データ収集装置300は、ステップS602で算出した特徴量を一時記憶部370に格納し(ステップS603)、図4のステップS406へ進む。
【0089】
次に、図7を参照して、データ処理部330による特徴量の算出について説明する。図7は、第一の実施形態のデータ収集装置の処理を説明する第四のフローチャートである。
図7では、図5のステップS502、図6のステップS602の処理の詳細を示す。
【0090】
本実施形態のデータ収集装置300は、データ処理部330により、データ取得部320が取得したデジタルデータに対し、高速フーリエ変換処理(FFT;fast Fourier transform)を実行し、周波数領域の波形データを取得する(ステップS701)。
【0091】
続いて、データ処理部330は、取得した周波数領域の波形データから、パワーが極大値かつ最大値となる周波数を算出し、その周波数を転動体252の通過振動の周波数とする(ステップS702)。以下の説明では、転動体252の通過振動の周波数の波形を基本波形と呼び、基本波形を示す波形データを基本波形データと呼ぶ場合がある。また、転動体252の通過振動とは、転動体252が、外輪251においてひずみゲージ210が取り付けられた箇所を通過する際に生じる外輪251の振動を示す。
【0092】
続いて、データ処理部330は、基本波形の周波数の+10%から-10%までの範囲の周波数成分を抽出する。なお、+10%から-10%とする範囲は、一例であり、これに限定されない。また、データ処理部330は、転動体252の通過振動のN次高調波成分のそれぞれについて、周波数の+10%から-10%までの範囲の周波数成分を抽出する(ステップS703)。なお、本実施形態では、基本波形の周波数は、N=1のときであり、N次高調波とは、N=5、6、7の周波数の高調波とした。ただし、Nの値は、これに限定されるものではない。
【0093】
続いて、データ処理部330は、抽出した各周波数成分に対して逆FFTを行って、周波数領域の波形データを時間領域の波形データとし、各波形データの時間領域における振幅の実効値を算出し、この実効値を特徴量とし(ステップS704)、図5のステップS503、図6のステップS603のそれぞれへ進む。
【0094】
具体的には、データ処理部330は、基本波形の周波数を中心とした+10%から-10%までの範囲の周波数成分に対し、逆FFTを行った結果の波形データの振幅の実効値を算出する。また、データ処理部330は、N次高調波成分(N=5、6、7)を中心とした+10%から-10%までの範囲の周波数成分に対し、逆FFTを行った結果の波形データの振幅の実効値を算出する。
【0095】
言い換えれば、データ処理部330は、N次高調波成分に基づき算出されたそれぞれの振幅の実効値を特徴量として算出する。本実施形態の特徴量とは、転動体252の回転の状態を示す値であり、言い換えれば、ベアリング250(保全対象物)の状態を示す値である。
【0096】
なお、収集期間に一時記憶部370に保存された特徴量群が処理済みデータである。処理済みデータは、デジタルデータとは別に、一時記憶部370に格納されてよい。また、以下の説明では、収集期間に一時記憶部370に保存された特徴量群を、正常データと呼ぶ場合がある。
【0097】
本実施形態の正常データには、N=5と対応する特徴量群と、N=6と対応する特徴量群と、N=7と対応する特徴量群とが含まれる。
【0098】
次に、図8を参照して、異常度の算出について説明する。図8は、第一の実施形態のデータ収集装置の処理を説明する第五のフローチャートである。図8に示す処理は、主に異常判定部340によって行われる処理であり、図5のステップS503の詳細を示す。
【0099】
本実施形態の異常判定部340は、一時記憶部370から正常データを読み出し、正規化パラメータを抽出する(ステップS801)。
【0100】
具体的には、異常判定部340は、正常データに含まれるN=5と対応する特徴量群と、N=6と対応する特徴量群と、N=7と対応する特徴量群と、のそれぞれについて、平均値と分散と算出する。
【0101】
続いて、異常判定部340は、正常データの正規化に用いた正規化パラメータを用いて、評価データを正規化する(ステップS802)。評価データとは、収集期間が経過した後に、データ取得部320が取得したデジタルデータに基づき、データ処理部330が算出したN=5、6、7のそれぞれと対応する特徴量である。
【0102】
また、異常判定部340は、この評価データを、ステップS602で用いた正規化パラメータ(平均値と分散)を用いて正規化し、後述する特徴量空間における座標を示す値とする。
【0103】
続いて、異常判定部340は、特徴量を座標値とした空間上における、ステップS602で正規化された評価データの近傍のデータ密度と、ステップS801で正規化された正常データの近傍のデータ密度の比を算出し(ステップS803)、ステップS405へ進む。本実施形態では、データ密度の比を異常度とする。異常度とは、ベアリング250の状態が異常であるか否かを判定する際の指標なる値である。
【0104】
以下に、図9及び図10を参照して、異常判定部340による異常判定ついて、さらに説明する。尚、本実施形態では、特徴量空間は、N次高調波成分(N=5、6、7)に応じた4次元で表現されるものであるが、図9及び図10の説明では、理解を容易にするため、特徴量空間を2次元の空間として説明する。
【0105】
図9は、異常判定部による異常判定について説明する第一の図である。図9の例では、横軸をN=5と対応した特徴量とし、縦軸をN=6と対応した特徴量としており、正規化後評価データが正常なデータである場合を示している。
【0106】
図9において、点群51は、ステップS601で正規化された正常データを示す。また、点52は、N=5と対応する正規化後の正常データと、N=6と対応する正規化後の正常データとを用いて、正規化した評価データを示す。以下の図9及び図10の説明では、正規化後の正常データと、正規化後の評価データを、正規化後正常データと、正規化後評価データと呼ぶ。
【0107】
異常判定部340は、特徴量空間において、正規化後評価データ52の近傍に配置されたデータの密度を算出する(例;近傍数3)。本実施形態では、近傍数を3つとしているため、正規化後評価データ52を中心に、周囲のデータが3つ含まれる領域Rが特定される。図9の例では、正規化後評価データ52の近くに配置された3つの正規化後正常データ51a、51b、51cを含む領域Rが特定される。尚、近傍数は、3に限定されない。
【0108】
また、異常判定部340は、正規化後正常データ51a、51b、51cのそれぞれを含む領域R1、R2、R3を特定する。
【0109】
そして、異常判定部340は、領域Rにおけるデータ密度と、領域R1、R2、R3のそれぞれにおける正規化後正常データのデータ密度とを算出する。具体的には、異常判定部340は、領域R、R1、R2、R3内の正規化後正常データの個数をデータ密度としてもよい。
【0110】
次に、異常判定部340は、領域Rのデータ密度と、領域R1、R2、R3の平均データ密度との比率を、異常度として算出する。
【0111】
図9の例では、正規化後評価データ52を取得したときのデジタルデータは、ベアリング250が正常な状態において取得された正常時のデータと言える。
【0112】
図10は、異常判定部による異常判定について説明する第二の図である。図10では、横軸をN=5と対応した特徴量とし、縦軸をN=6と対応した特徴量としており、正規化後評価データが異常なデータである場合を示している。
【0113】
図10の例では、異常判定部340は、領域Rと、正規化後正常データ51d、51e、51fのそれぞれを含む領域R4、R5、R6を特定する。そして、異常判定部340は、領域Rのデータ密度と、領域R4、R5、R6の平均データ密度との比率を、異常度として算出する。
【0114】
図10の例では、正規化後評価データ52を取得したときのデジタルデータは、ベアリング250が異常な状態において取得された異常時のデータと言える。
【0115】
本実施形態の異常判定部340は、例えば、図8に示すように、正規化後評価データ52が異常のデータとなることが、複数回続いた場合に、ベアリング250の異常を検出してもよい。
【0116】
また、本実施形態では、ベアリングの異常の有無を検出する際に、保全対象物となるベアリング毎に、正常データを収集し、収集した正常データを基準とする。そして、本実施形態では、特徴量空間上で、保全対象物のベアリングの正常データのデータ密度に着目し異常度を算出している。このため、本実施形態では、異常を検出する条件が一定であれば、ベアリングの機種が異なっても、ベアリングの種類によって事前に基準値を設定する必要がない。
【0117】
さらに、本実施形態の異常判定部340は、異常度が閾値を超えた場合に、ベアリング250の異常を検出するものとしたが、異常判定部340は、異常度に応じて、異常の予兆を検出してもよい。
【0118】
具体的には、例えば、異常判定部340は、異常度が閾値に到達する前の段階で、異常の予兆を検出し、異常の予兆があることを示す通知を、通信部310によって、外部へ送信してもよい。
【0119】
(第二の実施形態)
以下に図面を参照して、第二の実施形態について説明する。第二の実施形態は、データ収集装置300の機能を、半導体集積回路によって実現した点が、第一の実施形態と相違する。よって、第二の実施形態の説明では、第一の実施形態と同様の機能構成を有するものには、第一の実施形態の説明で用いた符号を付与し、その説明を省略する。
【0120】
図11は、第二の実施形態のデータ収集システムのシステム構成の一例を示す図である。本実施形態のデータ収集システム100Aは、センサ基板200と、データ収集装置400とを含む。データ収集システム100Aにおいて、データ収集装置400は、データ収集装置300の各部の機能を有する回路を1つに認めた、用途特定向け集積回路(ASIC;application specific integrated circuit)である。
【0121】
本実施形態のデータ収集装置400は、通信回路410、データ取得回路420、データ処理回路430、異常判定回路440、収集制御回路450、一時記憶装置470、記憶装置480を有する。
【0122】
通信回路410は、センサ基板200と通信を行う。データ取得回路420は、データ取得部320の機能を実現する。データ処理回路430は、データ処理部330の機能を実現する。異常判定回路440は、異常判定部340の機能を実現する。収集制御回路450は、収集制御部350の機能を実現する。一時記憶装置470は、一時記憶部370に対応する。記憶装置480は、記憶部380に対応する。
【0123】
尚、データ収集装置400は、記憶装置480を含むものとしたが、これに限定されない。データ収集装置400は、記憶装置480を有していなくてもよく、その場合には、記憶装置480は、データ収集装置400の外部に実装されて、データ処理回路430と異常判定回路440と収集制御回路450とに接続されればよい。
【0124】
本実施形態では、このように、データ収集装置300の機能を集積回路であるデータ収集装置400とすることで、例えば、センサ基板200上に、データ収集装置400を実装することができる。
【0125】
したがって、本実施形態では、保全対象物の異常を検知するためのデータ収集装置300を配置する必要がなく、特に、上位装置の内部に、ベアリング250と、センサ基板200とデータ収集装置400とを内蔵させることができる。
【0126】
(第三の実施形態)
以下に図面を参照して、第三の実施形態について説明する。第三の実施形態では、第二の実施形態に示すデータ収集装置にセンサ基板を含めた点が、第二の実施形態と相違する。よって、以下の第三の実施形態の説明では、第二の実施形態との相違点について説明し、第二の実施形態と同様の機能構成については、第二の実施形態の説明で用いた符号を付与し、説明を省略する。
【0127】
図12は、第三の実施形態のデータ収集装置を示す図である。本実施形態のデータ収集装置400Aは、ひずみゲージ210、アンプ220、ADC230、データ取得回路420、データ処理回路430、異常判定回路440、収集制御回路450を有する。また、本実施形態のデータ収集装置400Aは、データ処理回路430によってデータが書き込まれ、異常判定回路440によってデータが読み出される一時記憶装置470が接続される。
【0128】
本実施形態では、このように、データ収集装置400Aにひずみゲージ210を含む構成とすることで、データ収集装置400Aを保全対象物の外輪に取り付けるだけで、この保全対象物における転動体252の転動によって生じる振動の異常を検出することができる。
【0129】
また、本実施形態のデータ収集装置400Aは、ベアリング250を含んでいないが、データ収集装置400Aには、ベアリング250が含まれてもよい。
【0130】
以上、各実施形態に基づき本発明の説明を行ってきたが、上記実施形態に示した要件に本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の主旨をそこなわない範囲で変更することができ、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0131】
100、100A データ収集システム,200 センサ基板,210 ひずみゲージ,220 アンプ,230 ADC,240 通信回路,300 データ収集装置,310 通信部,320 データ取得部,330 データ処理部,340 異常判定部,350 収集制御部,370,一時記憶部,380 記憶部,400、400A データ収集装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12