(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024065621
(43)【公開日】2024-05-15
(54)【発明の名称】電池駆動式無線送信機
(51)【国際特許分類】
H04B 1/034 20060101AFI20240508BHJP
【FI】
H04B1/034
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022174580
(22)【出願日】2022-10-31
(71)【出願人】
【識別番号】000210403
【氏名又は名称】竹中エンジニアリング株式会社
(72)【発明者】
【氏名】瀬渡 政人
(72)【発明者】
【氏名】山本 雅也
【テーマコード(参考)】
5K060
【Fターム(参考)】
5K060AA14
5K060BB04
5K060CC04
5K060DD01
5K060MM06
5K060PP01
(57)【要約】
【課題】電池交換後に問題なく電池切れ検出状態から復旧する電池駆動式無線送信機を提供する。
【解決手段】本発明は、電池を電源とし各種信号を電波信号に乗せて送信する電池駆動式無線送信機であって、電池の電圧が予め設定した値以下に下がったことを検出する低電圧検出部と、電池カバーと、電池カバーの開閉を検出する電池カバー開閉検出部と、CPUとを備え、電池の電圧が予め設定した値以下に下がった場合、低電圧検出部から低電圧検出信号がCPUに入力され、CPUは電池切れ検出状態となり、CPUが電池切れ検出状態中に、電池カバーが開けられて電池カバー開閉検出部が電池カバーが開けられたことを検出し、電池カバー開閉検出部から電池カバー開信号がCPUへ入力されたとき、消費電流を増加し、CPUの電池切れ検出状態は、CPUがリセットされて復旧する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池を電源とし各種信号を電波信号に乗せて送信する電池駆動式無線送信機であって、
前記電池の電圧が予め設定した値以下に下がったことを検出する低電圧検出部と、電池カバーと、前記電池カバーの開閉を検出する電池カバー開閉検出部と、CPUとを備え、
前記電池カバーが開けられた場合、前記電池カバー開閉検出部は前記電池カバーが開けられたことを検出し、前記電池カバー開閉検出部から電池カバー開信号が前記CPUに入力され、
前記電池の電圧が予め設定した値以下に下がった場合、前記低電圧検出部から低電圧検出信号が前記CPUに入力され、前記CPUは電池切れ検出状態となり、
前記CPUが前記電池切れ検出状態中に、前記低電圧検出部からの前記低電圧検出信号が途絶えたとしても、電池切れ検出状態を維持し、
前記CPUが前記電池切れ検出状態中に、前記電池カバーが開けられて前記電池カバー開閉検出部が前記電池カバーが開けられたことを検出し、前記電池カバー開閉検出部から前記電池カバー開信号が前記CPUへ入力されたとき、消費電流を増加し、
前記CPUの前記電池切れ検出状態は、前記CPUがリセットされて復旧することを特徴とする
電池駆動式無線送信機。
【請求項2】
請求項1に記載の電池駆動式無線送信機において、
電波信号送信時、前記CPUに前記低電圧検出信号が入力された場合、前記CPUは電池切れ検出状態となることを特徴とする
電池駆動式無線送信機。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電池駆動式無線送信機において、
前記CPUが前記電池切れ検出状態中に、前記電池カバーが開けられて前記電池カバー開閉検出部が前記電池カバーが開けられたことを検出し、前記電池カバー開閉検出部から前記電池カバー開信号が前記CPUへ入力されたとき、前記CPUが消費電流増加モードに移行して消費電流を増加することを特徴とする
電池駆動式無線送信機。
【請求項4】
請求項1または2に記載の電池駆動式無線送信機において、
前記CPUが前記電池切れ検出状態中に、前記電池カバーが開けられて前記電池カバー開閉検出部が前記電池カバーが開けられたことを検出し、前記電池カバー開閉検出部から前記電池カバー開信号が前記CPUへ入力されたとき、前記CPUがポートに接続された負荷に電流を流して消費電流を増加することを特徴とする
電池駆動式無線送信機。
【請求項5】
請求項1または2に記載の電池駆動式無線送信機において、
前記電池カバー開閉検出部はスイッチにより開閉を検出することを特徴とする
電池駆動式無線送信機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池を電源とし各種信号を送信する電池駆動式無線送信機に関するものであり、特に電池電圧低下時の技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電池を電源とした電池駆動式無線送信機には、人体検知センサーを内蔵し検知信号を送信するものや、接点出力型の有線式センサーの検知出力を入力して接点の状態信号を送信するものや、機器に備わった押しボタンの操作に応じて信号を送信するものなどがある。
【0003】
これらの電池駆動式無線送信機には、電池の電圧が所定の値以下に低下した場合、電池切れ検出状態となり電池切れの情報を含んだ信号を対応する受信機に電波で送信し、電池交換のタイミングを知らせる機能が備わっているものがある(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電池の電圧は周囲温度や消費電流により変動するため、電池の電圧が所定の値以下に低下し電池切れ検出状態となったあと、再度所定の値を超えたとしても電池切れ検出状態を維持しておき、電池交換時に電池駆動式無線送信機から電池が取り外されCPUがリセットされて電池切れ検出状態から復旧するようにしている。
【0006】
しかしながら、電池駆動式無線送信機は長電池寿命化を実現するため低消費電流で動作する設計となっており、古い電池が取り外されても機器内部に蓄えられた電荷により動作し続け、CPUがリセットされず電池切れ検出状態から復旧しないまま新品電池が取り付けられることがあるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)上記課題を解決するために、本発明の電池駆動式無線送信機は、電池を電源とし各種信号を電波信号に乗せて送信する電池駆動式無線送信機であって、前記電池の電圧が予め設定した値以下に下がったことを検出する低電圧検出部と、電池カバーと、前記電池カバーの開閉を検出する電池カバー開閉検出部と、CPUとを備え、前記電池カバーが開けられた場合、前記電池カバー開閉検出部は前記電池カバーが開けられたことを検出し、前記電池カバー開閉検出部から電池カバー開信号が前記CPUに入力され、前記電池の電圧が予め設定した値以下に下がった場合、前記低電圧検出部から低電圧検出信号が前記CPUに入力され、前記CPUは電池切れ検出状態となり、前記CPUが前記電池切れ検出状態中に、前記低電圧検出部からの前記低電圧検出信号が途絶えたとしても、電池切れ検出状態を維持し、前記CPUが前記電池切れ検出状態中に、前記電池カバーが開けられて前記電池カバー開閉検出部が前記電池カバーが開けられたことを検出し、前記電池カバー開閉検出部から前記電池カバー開信号が前記CPUへ入力されたとき、消費電流を増加し、前記CPUの前記電池切れ検出状態は、前記CPUがリセットされて復旧する。
【0008】
(2)(1)に記載の電池駆動式無線送信機において、電波信号送信時、前記CPUに前記低電圧検出信号が入力された場合、前記CPUは電池切れ検出状態となることが好ましい。
【0009】
(3)(1)または(2)に記載の電池駆動式無線送信機において、前記CPUが前記電池切れ検出状態中に、前記電池カバーが開けられて前記電池カバー開閉検出部が前記電池カバーが開けられたことを検出し、前記電池カバー開閉検出部から前記電池カバー開信号が前記CPUへ入力されたとき、前記CPUが消費電流増加モードに移行して消費電流を増加することが好ましい。
【0010】
(4)(1)または(2)に記載の電池駆動式無線送信機において、前記CPUが前記電池切れ検出状態中に、前記電池カバーが開けられて前記電池カバー開閉検出部が前記電池カバーが開けられたことを検出し、前記電池カバー開閉検出部から前記電池カバー開信号が前記CPUへ入力されたとき、前記CPUがポートに接続された負荷に電流を流して消費電流を増加することが好ましい。
【0011】
(5)(1)または(2)に記載の電池駆動式無線送信機において、前記電池カバー開閉検出部はスイッチにより開閉を検出することが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、電池交換後に問題なく電池切れ検出状態から復旧している電池駆動式無線送信機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の電池駆動式送信機の一実施形態のブロック図である。
【
図2】本発明の電池駆動式送信機を備えたワイヤレスシステムの一実施形態を示した構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図を参照して説明する。
【0015】
図2は、本発明の電池駆動式送信機の一実施形態を示した図である。本発明の電池駆動式送信機1は、電池カバー11とベースユニット12とで構成され、ベースユニット12には電子回路(図示せず)が収納され、電子回路の電源として電池101が接続できるようになっている。また、電池駆動式送信機1は、ベースユニット12に電池カバー11を装着して閉めて運用され、電池カバー11を開けて電池交換が行われる構造となっている。
【0016】
スイッチ109は電池カバー開閉検出部104(図示せず)に備えられ、電池カバー11がベースユニット12に装着され閉められたとき、電池カバー11に設けられた凸部(図示せず)によりスイッチ109が押されるようになっている。
【0017】
電池カバー11が開けられた場合、スイッチ109により電池カバー開閉検出部104は電池カバー11が開けられたことを検出し、電池カバー開閉検出部104から電池カバー開信号が後述するCPU103に出力され、電池カバー11が閉められた場合、スイッチ109により電池カバー開閉検出部104は電池カバー11が閉められたことを検出し、電池カバー開閉検出部104から電池カバー閉信号がCPU103に出力されるようになっている。
【0018】
図1は、電池駆動式送信機を備えたワイヤレスシステムの一実施形態を示した構成図である。電池駆動式送信機1は、電池101を電源とし、接点入力部105に接続された接点出力型の有線式センサーなどの検知出力信号が入力されると、CPU103で検知出力信号が処理され、送信部106から検知出力信号を電波信号に乗せて送信したり、表示灯107を点灯させたり、ブザーやスピーカー等を備えた音発生部108を鳴動させたりする。
【0019】
送信部106から送信された電波信号は、受信機2で受信され、受信機2は電波信号の内容に応じて図示しない警報器や通報装置などへ信号を送る。
【0020】
また、電波信号が正常に伝えられているかを受信機2にて確認できるように、電池駆動式送信機1は予め定められた周期ごとに送信部106から定期送信信号を電波信号に乗せて送信するようにCPU103で制御している。
【0021】
低電圧検出部102は、電池101の電圧を監視し、予め設定した値以下に下がったことを検出し、その低電圧検出信号は低電圧検出部102からCPU103に入力され、CPU103は電池切れ検出状態となり、電池切れ検出状態中に前述した検知出力信号や定期送信信号などの信号を電波信号に乗せて送信するときに、電池切れ信号も電波信号に乗せて送信し、電池交換のタイミングを受信機2に知らせる。
【0022】
電池の電圧が周囲温度や負荷により変動することを考慮して、CPU103は、電池の電圧が再度所定の値を超え、低電圧検出部102からの低電圧検出信号が途絶えたとしても、電池切れ検出状態を維持しておき、電池切れ検出状態からの復旧はCPUがリセットされた時に行われる。
【0023】
電池切れ検出状態において、電池カバー11が開けられた場合、スイッチ109により電池カバー開閉検出部104は電池カバー11が開けられたことを検出し、電池カバー開閉検出部104から電池カバー開信号がCPU103に入力され、CPU103は、通常の消費電流状態から消費電流が多い消費電流増加モードに移行する。その後、電池カバー11が閉められるとスイッチ109により電池カバー開閉検出部104は電池カバー11が閉められたことを検出し、電池カバー開閉検出部104から電池カバー閉信号がCPU103に入力され、CPU103は、消費電流増加モードが解除され、通常の消費電流状態に戻る。
【0024】
電池駆動式送信機は長電池寿命化を実現するため低消費電流で動作する設計となっており、消費電流増加モードに移行しない場合、電池を交換しようとし古い電池が取り外されたとしても機器内部に蓄えられた電荷により動作し続けCPUがリセットされないまま新しい電池が取り付けられる可能性があるが、本実施形態によれば、電池切れ検出状態中に電池カバーが開けられたときに消費電流増加モードに移行し消費電流を増やすことにより古い電池が取り外されると機器内部に蓄えられた電荷がなくなりCPUがリセットされ、電池交換後に問題なく電池切れ検出状態から復旧させることができる。
【0025】
また、電池カバー開信号がCPU103に入力された場合、電池切れ検出状態に関係なく常時CPU103を消費電流増加モードにしていると、機器設置時やベースユニット12にある機能設定スイッチ110による設定変更などのメンテナンス時に電池カバー11を開けた場合、または電池カバー11を開けたまま長時間放置された場合、あるいはカバーの開閉を検出するスイッチが壊れた場合に、無駄な消費電流が流れてしまうため、電池寿命が著しく低下してしまう恐れがあるが、本実施形態では電池寿命低下を防ぐことができる。
【0026】
また、電池切れ検出状態中に常時消費電流増加モードにしている場合も同様に電池寿命が著しく低下してしまう恐れがあるが、本実施形態では電池寿命低下を防ぐことができる。
【0027】
また、上述の実施形態において、CPU103は電波信号送信時に低電圧検出信号の入力を監視し、電波信号送信時に低電圧検出信号が入力された場合、電池切れ検出状態となるようにしてもよい。電波信号送信時に消費電流が増加し電池の電圧が下がるため、電波送信時の監視で問題なく、電波信号送信時の監視とすることでCPU103の処理が軽減される。また、予め設定した回数連続した電波信号送信時にCPU103へ低電圧検出信号が入力された場合、CPU103が電池切れ検出状態となるようにしてもよい。複数回連続で低電圧であることを検出することで誤検出を低減し信頼性が高くなる。
【0028】
また、上述の実施形態では、電池カバー開閉検出部104から電池カバー開信号がCPU103に入力されたとき、CPU103が消費電流増加モードに移行して消費電流を増加していたが、CPU103のポートに接続された抵抗などの負荷に電流を流して消費電流を増加してもよい。
【0029】
また、上述の実施形態では、接点入力部105に接点出力型の有線式センサーを接続していたが、単なるスイッチや接点出力型の機器を接続してもよい。
【0030】
また、上述の実施形態にある表示灯107はなくてもよく、音発生部108もなくてもよい。
【0031】
また、上述の実施形態では、スイッチ109は機械的なスイッチを用いたが、リードスイッチなどの磁気的なスイッチやフォトインタラプタなどの電気的なスイッチを用いてもよい。
【0032】
また、上述の実施形態では、電池駆動式送信機を接点入力型としたが、接点入力部105の代わりに、人体検知や傾き検知、振動検知などのセンサーを備えセンサーの検知出力信号を送信する電池駆動式送信機や、押しボタンスイッチを備え押しボタンの操作に応じた信号を送信する電池駆動式送信機としてもよい。
【0033】
以上、本発明の実施形態を説明したが、上述の実施形態は例として提示したものであり、本発明の範囲は、これらに限定するものではなく、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0034】
1・・・電池駆動式送信機
2・・・受信機
11・・・電池カバー
12・・・ベースユニット
101・・・電池
102・・・低電圧検出部
103・・・CPU
104・・・電池カバー開閉検出部
105・・・接点入力部
106・・・送信部
107・・・表示灯
108・・・音発生部
109・・・スイッチ
110・・・機能設定スイッチ