(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024065627
(43)【公開日】2024-05-15
(54)【発明の名称】表示システム及び表示方法
(51)【国際特許分類】
H04N 5/74 20060101AFI20240508BHJP
G09G 5/00 20060101ALI20240508BHJP
【FI】
H04N5/74 Z
G09G5/00 555D
G09G5/00 550C
G09G5/00 510B
G09G5/00 510V
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022174592
(22)【出願日】2022-10-31
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(74)【代理人】
【識別番号】100196058
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 彰雄
(72)【発明者】
【氏名】黒田 一平
【テーマコード(参考)】
5C058
5C182
【Fターム(参考)】
5C058BA23
5C058EA03
5C058EA54
5C182AA02
5C182AA03
5C182AA04
5C182AC03
5C182BA01
5C182BA03
5C182BA04
5C182BA06
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5C182BB01
5C182BB04
5C182BB05
5C182BB11
5C182BC01
5C182BC14
5C182BC22
5C182BC25
5C182BC26
5C182CA01
5C182CA21
5C182CC26
(57)【要約】
【課題】システム構成の簡略化と、システムコストの低減とを実現する。
【解決手段】表示システムは、表示画像を表示する複数の表示装置と、第1の通信規格に従う第1の映像信号に基づいて生成された表示画像を示す情報を、複数の表示装置に供給するコンピューターと、複数の表示装置が表示画像を表示する表示領域の解像度を示す画像情報を、外部の映像供給装置に送信することと、映像供給装置から、第1の通信規格とは異なる第2の通信規格に従う第2の映像信号を受信することと、第2の映像信号を第1の映像信号に変換してコンピューターに送信することと、を実行する通信装置と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示画像を表示する複数の表示装置と、
第1の通信規格に従う第1の映像信号に基づいて生成された前記表示画像を示す情報を、前記複数の表示装置に供給するコンピューターと、
前記複数の表示装置が前記表示画像を表示する表示領域の解像度を示す出力画像情報を、外部の映像供給装置に送信することと、
前記映像供給装置から、前記第1の通信規格とは異なる第2の通信規格に従う第2の映像信号を受信することと、
前記第2の映像信号を前記第1の映像信号に変換して前記コンピューターに送信することと、
を実行する通信装置と、
を備える、表示システム。
【請求項2】
前記通信装置は、
第1の解像度を示す第1の画像情報を記憶する第1の記憶装置と、
第2の解像度を示す第2の画像情報を記憶する第2の記憶装置と、
前記通信装置と前記映像供給装置とを接続する通信線のうち、前記出力画像情報が送信される第1の通信線の接続先を、前記第1の記憶装置と前記第2の記憶装置との間で切り替えるスイッチと、
を備える、請求項1に記載の表示システム。
【請求項3】
前記通信装置は、
前記外部から入力される第1の制御信号に基づいて、前記スイッチを制御する第1の制御装置、
をさらに備える、請求項2に記載の表示システム。
【請求項4】
前記通信装置は、
前記通信装置と前記映像供給装置とを接続する通信線のうち、前記出力画像情報が送信される第1の通信線と接続される第3の記憶装置と、
前記第3の記憶装置に対して情報の書き込みを行う書き込み装置と、
前記外部から入力される第2の制御信号に基づいて、前記書き込み装置を制御する第2の制御装置と、
を備え、
前記第2の制御装置は、前記第2の制御信号によって指示される第3の解像度を示す第3の画像情報を前記第3の記憶装置に書き込むことを、前記書き込み装置に指示する、
請求項1に記載の表示システム。
【請求項5】
前記複数の表示装置に含まれる複数のプロジェクターから投射される複数の表示画像を撮影する1以上のカメラ、
を備え、
前記1以上のカメラは、前記複数の表示画像を撮影することで得られた1以上の撮影画像を、前記コンピューターに送信し、
前記コンピューターは、前記1以上の撮影画像に基づいて、前記複数のプロジェクターが前記表示画像を表示する表示領域の解像度を示す前記出力画像情報を取得する、
請求項1から4のいずれか一項に記載の表示システム。
【請求項6】
前記コンピューターと通信し、前記複数の表示装置とは異なる操作モニターをさらに備え、
前記コンピューターは、前記表示画像とは異なる設定画像を、前記操作モニターに供給し、
前記操作モニターは、
前記設定画像を表示することと、
前記設定画像に対する操作を検出することと、
検出された前記操作に基づいて、前記表示画像に関する設定値を取得することと、
前記設定値を前記コンピューターに送信することと、
を実行し、
前記コンピューターは、前記設定値に基づいて前記表示画像を生成する、
請求項1から4のいずれか一項に記載の表示システム。
【請求項7】
前記第1の通信規格は、USB(Universal Serial Bus)であり、
前記第2の通信規格は、HDMI(High-Definition Multimedia Interface:登録商標)であり、
前記出力画像情報は、EDID(Extended Display Identification Data)である、
請求項1から4のいずれか一項に記載の表示システム。
【請求項8】
通信装置が、複数の表示装置が表示画像を表示する表示領域の解像度を示す出力画像情報を、映像供給装置に送信することと、
前記通信装置が、第2の通信規格に従う第2の映像信号を前記映像供給装置から受信することと、
前記通信装置が、前記第2の映像信号を、前記第2の通信規格とは異なる第1の通信規格に従う第1の映像信号に変換してコンピューターに送信することと、
前記コンピューターが、前記第1の映像信号に基づく表示画像を示す情報を、前記複数の表示装置に供給することと、
前記複数の表示装置が、前記表示画像を前記表示領域に表示することと、
を含む、表示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示システム及び表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ユーザーによって選択された解像度及びアスペクト情報を、EDID(Extended Display Identification Data)情報としてEDIDメモリーに書き込むことが可能なディスプレイが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、1台のディスプレイと、画像を供給するホストPC(Personal Computer)とを1対1で接続するケースしか考慮されていない。例えば、複数台の表示装置を用いて1つのコンテンツ画像を表示するシステムの場合には、ホストPCと複数台の表示装置との間に、コンテンツ画像を受信して各種処理を行う中継器を配置することが望まれるケースがある。従来手法では、そのような中継器を用いる場合に、複数台の表示装置によって表示画像が表示される表示領域に関する情報を送信できる構成について触れられてこなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一つの態様の表示システムは、表示画像を表示する複数の表示装置と、第1の通信規格に従う第1の映像信号に基づいて生成された前記表示画像を示す情報を、前記複数の表示装置に供給するコンピューターと、前記複数の表示装置が前記表示画像を表示する表示領域の解像度を示す出力画像情報を、外部の映像供給装置に送信することと、前記映像供給装置から、前記第1の通信規格とは異なる第2の通信規格に従う第2の映像信号を受信することと、前記第2の映像信号を前記第1の映像信号に変換して前記コンピューターに送信することと、を実行する通信装置と、を備える。
【0006】
本発明の一つの態様の表示方法は、通信装置が、複数の表示装置が表示画像を表示する表示領域の解像度を示す出力画像情報を、映像供給装置に送信することと、前記通信装置が、第2の通信規格に従う第2の映像信号を前記映像供給装置から受信することと、前記通信装置が、前記第2の映像信号を、前記第2の通信規格とは異なる第1の通信規格に従う第1の映像信号に変換してコンピューターに送信することと、前記コンピューターが、前記第1の映像信号に基づく表示画像を示す情報を、前記複数の表示装置に供給することと、前記複数の表示装置が、前記表示画像を前記表示領域に表示することと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】プロジェクションシステムの概略的な構成を示す図である。
【
図2】投射面上における第1投射領域及び第2投射領域の一例を示す図である。
【
図3】HDMIキャプチャーの概略的な構成を示すブロック図である。
【
図4】HDMIキャプチャーの変形例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照して説明する。ここで、以下の各図においては、各部材を認識可能な程度の大きさにするため、各部材の尺度を実際とは異ならせている場合がある。
【0009】
図1は、本実施形態におけるプロジェクションシステム1の概略的な構成を示す図である。プロジェクションシステム1は、複数のプロジェクターから投射面に投射される画像をタイリングすることにより、投射面上に1つの画像を表示するマルチプロジェクションシステムである。投射面は、専用の投射スクリーンでもよいし、壁面などの物体の表面でもよい。プロジェクションシステム1は、「表示システム」に対応する。
【0010】
一例として、プロジェクションシステム1は、2台のプロジェクター10A及び10Bを、表示装置として備える。以下の説明では、プロジェクター10Aを「第1のプロジェクター10A」と呼称し、プロジェクター10Bを「第2のプロジェクター10B」と呼称する場合がある。さらに、プロジェクションシステム1は、映像供給装置20と、HDMI(High-Definition Multimedia Interface:登録商標)キャプチャー30と、カメラ40と、操作モニター50と、コンピューター60と、を備える。
【0011】
第1のプロジェクター10A及び第2のプロジェクター10Bは、それぞれ、コンピューター60から出力される映像信号に基づいて、投射面に画像を投射する。以下の説明では、投射面上の領域のうち、第1のプロジェクター10Aによって画像が投射される領域を「第1投射領域100A」と呼称する場合がある。また、投射面上の領域のうち、第2のプロジェクター10Bによって画像が投射される領域を「第2投射領域100B」と呼称する場合がある。
【0012】
図2は、投射面上における第1投射領域100A及び第2投射領域100Bの一例を示す図である。
図2に示すように、第1のプロジェクター10A及び第2のプロジェクター10Bは、投射面上において第1投射領域100Aと第2投射領域100Bとが部分的に重なるように、水平方向に並べられる。
【0013】
図1に戻って説明を続けると、例えば、第1のプロジェクター10A及び第2のプロジェクター10Bは、それぞれ、HDMIケーブル等の通信ケーブルを介してコンピューター60と接続される。第1のプロジェクター10A及び第2のプロジェクター10Bは、コンピューター60と無線通信を行うことが可能なプロジェクターでもよい。
【0014】
映像供給装置20は、HDMIキャプチャー30を介してコンピューター60に映像信号を供給する。例えば、映像供給装置20は、ノート型PC等の汎用PC、DVD(Digital Versatile Disc)プレイヤー、クラウドネットワーク等のネットワークに接続されたサーバーなどである。また、映像供給装置20は、映像信号が保存されたハードディスクドライブ等の記憶装置でもよい。
【0015】
映像供給装置20は、HDMIケーブルを介してHDMIキャプチャー30と接続される。HDMIケーブルは、HDMI規格に従う通信ケーブルであり、HDMI規格で規定された役割を担う複数の通信線を有する。HDMIケーブルは、少なくとも、TMDS(Transition Minimized Differential Signaling)チャンネル用の複数の通信線と、DDC(Display Data Channel)用の通信線と、を有する。
【0016】
以下の説明では、TMDSチャンネル用の通信線を「TMDS通信線」と呼称し、DDC用の通信線を「DDC通信線」と呼称する場合がある。TMDS通信線は、HDMI規格に従う映像信号を伝送する役割を担う。DDC通信線は、EDIDを伝送する役割を担う。EDIDは、少なくとも、表示装置が対応可能な解像度、アスペクト比、映像タイプ、色度、及びガンマ値などのディスプレイ情報を含む。上記のように、本実施形態における表示装置とは、第1のプロジェクター10A及び第2のプロジェクター10Bである。
【0017】
映像供給装置20は、DDC通信線を介して、HDMIキャプチャー30からEDIDを受信する。映像供給装置20は、HDMIキャプチャー30から受信したEDIDに基づいて、オリジナルの映像を、表示装置に最適な映像フォーマットを有する映像に変換した後、HDMI規格に従う映像信号を、TMDS通信線を介してHDMIキャプチャー30に送信する。以下の説明では、映像供給装置20からHDMIキャプチャー30に送信される映像信号を、「HDMI映像信号」と呼称する場合がある。
【0018】
HDMIキャプチャー30は、上記のように、HDMIケーブルを介して映像供給装置20と接続される。HDMIキャプチャー30は、HDMIケーブルに含まれるDDC通信線を介して、EDIDを映像供給装置20に送信する。HDMIキャプチャー30は、HDMIケーブルに含まれるTMDS通信線を介して、映像供給装置20からHDMI映像信号を受信する。HDMIキャプチャー30は、通信装置の一例である。
【0019】
また、HDMIキャプチャー30は、USB(Universal Serial Bus)ケーブルを介してコンピューター60と接続される。USBケーブルは、USB規格に従う通信ケーブルである。HDMIキャプチャー30は、映像供給装置20から受信したHDMI映像信号を、USB規格に従う映像信号であるUVC(USB Video Class)映像信号に変換し、USBケーブルを介して、UVC映像信号をコンピューター60に送信する。HDMIキャプチャー30の詳細な構成については、後で説明する。
【0020】
HDMIキャプチャー30からコンピューター60に送信されるUVC映像信号は、「第1の通信規格に従う第1の映像信号」に対応する。映像供給装置20からHDMIキャプチャー30に送信されるHDMI映像信号は、「第2の通信規格に従う第2の映像信号」に対応する。つまり、本実施形態では、USB規格が第1の通信規格に対応し、HDMI規格が第2の通信規格に対応する。このように、第1の通信規格と、第2の通信規格とは、互いに異なる通信規格である。
【0021】
カメラ40は、部分的に重なる第1投射領域100A及び第2投射領域100Bが画角内に収まる位置に配置される。カメラ40は、コンピューター60からの撮影要求信号に従って、画角内に収まるシーンの撮影を行う。以下の説明では、カメラ40が撮影を行うことで得られる画像を「撮影画像」と呼称する場合がある。撮影画像には、第1投射領域100A及び第2投射領域100Bに対応する画像が含まれる。カメラ40は、撮影画像を表す撮影画像信号をコンピューター60に出力する。
【0022】
例えば、カメラ40は、USBケーブル等の通信ケーブルを介してコンピューター60と接続される。カメラ40は、コンピューター60と無線通信を行うことが可能なカメラでもよい。なお、カメラ40は、後述のキャリブレーションの実行時に必要なデバイスであるため、キャリブレーションが終了した後には、コンピューター60からカメラ40を切り離してもよい。
【0023】
操作モニター50は、ユーザーの入力操作を受け付ける入力装置としての機能と、操作用GUI(Graphical User Interface)を表示する表示装置としての機能とを有する。例えば、操作モニター50は、タッチパネルモニターである。操作モニター50は、ユーザーによって操作されることで生じる電気信号を、操作信号としてコンピューター60に出力する。操作モニター50は、コンピューター60から出力される画像信号に基づいて操作用GUIを表示する。
【0024】
例えば、操作モニター50は、USBケーブル等の通信ケーブルを介してコンピューター60と接続される。なお、操作モニター50は、コンピューター60と無線通信を行うことが可能なタッチパネルモニターでもよい。また、操作モニター50は、タッチパネルモニターに限らず、非タッチ型モニターと、マウス及びキーボード等を含む入力装置との組み合わせでもよい。
【0025】
コンピューター60は、例えばノート型PC等の汎用PCである。コンピューター60は、HDMIキャプチャー30から送信されるUVC映像信号と、カメラ40から出力される撮影画像信号と、操作モニター50から出力される操作信号と、を受信する。また、コンピューター60は、第1のプロジェクター10A及び第2のプロジェクター10Bのそれぞれに映像信号を出力し、カメラ40に撮影要求信号を出力し、操作モニター50に画像信号を出力する。なお、以下の説明では、コンピューター60から第1のプロジェクター10Aに出力される映像信号を「第1の出力映像信号」と呼称し、コンピューター60から第2のプロジェクター10Bに出力される映像信号を「第2の出力映像信号」と呼称する場合がある。
【0026】
コンピューター60は、カメラ40から入力される撮影画像信号に基づいて、後述のキャリブレーションを行うことにより、少なくとも、スクリーンエリア110の4頂点の座標と、全画素対応マップと、を取得する。コンピューター60は、UVC映像信号及び全画素対応マップに基づいて、第1の出力映像信号及び第2の出力映像信号を生成する。
【0027】
[キャリブレーション]
上記のように、第1のプロジェクター10A及び第2のプロジェクター10Bは、投射面上において第1投射領域100Aと第2投射領域100Bとが部分的に重なるように、水平方向に並べられる。このように、第1のプロジェクター10A及び第2のプロジェクター10Bを配置した後に投射面を正面から視ると、
図2に示すように、投射面の三次元形状、及び投射面に対する第1のプロジェクター10A及び第2のプロジェクター10Bの向きのバラツキ等に起因して、第1投射領域100A及び第2投射領域100Bは、それぞれ矩形領域にならない場合が多い。
【0028】
この場合、ユーザーは、部分的に重なる第1投射領域100A及び第2投射領域100Bが画角内に収まる位置にカメラ40を配置した状態で、操作モニター50に表示される操作用GUIに対して、キャリブレーションの開始を指示する操作を行う。コンピューター60は、操作モニター50から入力される操作信号に基づいて、キャリブレーションの開始を指示する操作を検出すると、キャリブレーションを開始する。
【0029】
コンピューター60は、キャリブレーションを開始すると、第1のプロジェクター10A及び第2のプロジェクター10Bのそれぞれに格子パターン画像を投射させながら、カメラ40に撮影要求信号を出力することにより、カメラ40に対して画角内のシーンを撮影するように要求する。カメラ40は、コンピューター60からの要求に応じて、画角内のシーンを撮影し、格子パターン画像を含む撮影画像を表す撮影画像信号をコンピューター60に出力する。
【0030】
コンピューター60は、カメラ40から入力される撮影画像信号に基づいて、撮影画像の画像処理を行うことにより、カメラ40とパネルとの間の幾何学的関係を算出する。パネルとは、例えば、第1のプロジェクター10A及び第2のプロジェクター10Bのそれぞれに搭載された液晶パネルである。以下の説明では、第1のプロジェクター10Aのパネルを「第1パネル」と呼称し、第2のプロジェクター10Bのパネルを「第2パネル」と呼称する場合がある。カメラ40とパネルとの間の幾何学的関係は、第1パネルと第2パネルとのそれぞれについて個別に算出される。
【0031】
図2に示すように、コンピューター60は、カメラ40とパネルとの間の幾何学的関係に基づいて、第1投射領域100A及び第2投射領域100Bの両方の内側に収まる最大の矩形領域を、スクリーンエリア110として算出する。コンピューター60は、カメラ画像座標系におけるスクリーンエリア110の4頂点の座標と、カメラ40とパネルとの間の幾何学的関係とに基づいて、パネル画像座標系におけるパネルの画素の座標と、入力画像座標系における入力画像の画素の座標との対応関係を示す全画素対応マップを算出する。スクリーンエリア110は、表示領域の一例である。
【0032】
以下の説明では、第1パネルについて算出された全画素対応マップを「第1の全画素対応マップ」と呼称し、第2パネルについて算出された全画素対応マップを「第2の全画素対応マップ」と呼称する場合がある。入力画像とは、UVC映像信号が表す画像、すなわち、映像コンテンツとして、映像供給装置20からHDMIキャプチャー30を介してコンピューター60に供給される画像である。
【0033】
コンピューター60は、以上のようなキャリブレーションを実行することにより、少なくとも、スクリーンエリア110の4頂点の座標と、第1の全画素対応マップと、第2の全画素対応マップと、を取得する。なお、上記のようなキャリブレーションは、マルチプロジェクションシステムでは一般的に知られた処理であるので、カメラ40とパネルとの間の幾何学的関係と、全画素対応マップとのそれぞれの算出方法に関する説明は省略する。
【0034】
コンピューター60は、キャリブレーションが終了した後、HDMIキャプチャー30からUVC映像信号を受信すると、UVC映像信号が表す入力画像の各画素の画素値と、第1の全画素対応マップとに基づいて、第1パネルの各画素の画素値を決定することにより、第1パネル画像を生成する。また、コンピューター60は、入力画像の各画素の画素値と、第2の全画素対応マップとに基づいて、第2パネルの各画素の画素値を決定することにより、第2パネル画像を生成する。コンピューター60は、第1パネル画像を表す第1の出力映像信号を第1のプロジェクター10Aに出力し、第2パネル画像を表す第2の出力映像信号を第2のプロジェクター10Bに出力する。第1の出力映像信号および第2の出力映像信号は、表示画像を示す情報の一例である。また、第1パネル画像を表す第1の出力映像信号を第1のプロジェクター10Aに出力し、第2パネル画像を表す第2の出力映像信号を第2のプロジェクター10Bに出力することは、表示画像を示す情報を、複数の表示装置に供給することの一例である。
【0035】
これにより、第1パネル画像に対応する矩形の第1表示画像が第1のプロジェクター10Aから投射面に投射され、第2パネル画像に対応する矩形の第2表示画像が第2のプロジェクター10Bから投射面に投射される。その結果、投射面上のスクリーンエリア110内で、第1表示画像と第2表示画像とがタイリングされることにより、入力画像に対応する1つの矩形の表示画像が、スクリーンエリア110の全体にわたって表示される。
【0036】
上記のように、全画素対応マップがあれば、第1のプロジェクター10Aから投射される第1表示画像と、第2のプロジェクター10Bから投射される第2表示画像とを重ね合わせることができるが、第1表示画像と第2表示画像とが重なる領域の明るさが、他の領域と比べて大きくなる。そこで、コンピューター60は、キャリブレーションの実行時に、第1表示画像と第2表示画像とが重なる領域を含むスクリーンエリア110内の領域の明るさを均一にする目的で、各パネルの画素ごとに明るさを規定したブレンドマップを算出してもよい。
【0037】
コンピューター60は、キャリブレーションが終了した後に、表示画像とは異なる設定画像を、操作GUIの画像として操作モニター50に供給してもよい。この場合、操作モニター50は、設定画像を表示することと、設定画像に対する操作を検出することと、検出された操作に基づいて、表示画像に関する設定値を取得することと、設定値をコンピューター60に送信することと、を実行する。コンピューター60は、操作モニター50から供給される設定値と、UVC映像信号と、全画素対応マップとに基づいて表示画像を生成する。これにより、ユーザーは、操作モニター50を操作することにより、例えばスクリーンエリア110内に表示される表示画像の色合い等を調整できるため、ユーザーの利便性が向上する。
【0038】
[HDMIキャプチャー30の構成]
以下、
図3を参照しながら、HDMIキャプチャー30の構成について説明する。
図3は、HDMIキャプチャー30の概略構成を示すブロック図である。
図3に示すように、HDMIキャプチャー30は、HDMI受信器31と、信号変換器32と、デマルチプレクサー33と、第1の制御IC(Integrated Circuit)34と、第1のROM(Read Only Memory)35と、第2のROM36と、第3のROM37と、第4のROM38と、を備える。
【0039】
HDMI受信器31の入力端子は、映像供給装置20とHDMIキャプチャー30とを接続するHDMIケーブルに含まれるTMDS通信線210と接続される。HDMI受信器31は、TMDS通信線210を介して、映像供給装置20からHDMI映像信号を受信する。HDMI受信器31は、HDMI映像信号を処理可能な信号に変換して信号変換器32に出力する。
【0040】
信号変換器32の出力端子は、HDMIキャプチャー30とコンピューター60とを接続するUSBケーブルと接続される。信号変換器32は、HDMI受信器31から入力される信号をUVC映像信号S1に変換し、USBケーブルを介して、UVC映像信号S1をコンピューター60に送信する。
【0041】
デマルチプレクサー33は、入力端子P0と、第1出力端子P1と、第2出力端子P2と、第3出力端子P3と、第4出力端子P4と、を有する。デマルチプレクサー33は、第1の制御IC34から入力される選択信号S3に基づいて、第1出力端子P1、第2出力端子P2、第3出力端子P3及び第4出力端子P4のいずれか一つと、入力端子P0とを電気的に接続する。
【0042】
入力端子P0は、映像供給装置20とHDMIキャプチャー30とを接続するHDMIケーブルに含まれるDDC通信線220と接続される。第1出力端子P1は、第1のROM35と接続される。第2出力端子P2は、第2のROM36と接続される。第3出力端子P3は、第3のROM37と接続される。第4出力端子P4は、第4のROM38と接続される。
【0043】
第1のROM35は、第1の解像度を示す第1のEDIDを記憶する。第2のROM36は、第2の解像度を示す第2のEDIDを記憶する。第3のROM37は、第3の解像度を示す第3のEDIDを記憶する。第4のROM38は、第4の解像度を示す第4のEDIDを記憶する。例えば、HDMIキャプチャー30が市場に供給される前に、第1のROM35から第4のROM37に、第1のEDIDから第4のEDIDがそれぞれ書き込まれる。HDMIキャプチャー30を使用するユーザーは、第1のROM35から第4のROM37の内容を書き換えることはできない。
【0044】
第1の制御IC34は、外部から入力される第1の制御信号S2に基づいて、デマルチプレクサー33を制御する。第1の制御IC34は、「第1の制御装置」に対応する。例えば、第1の制御信号S2が、第1のEDIDを送信することを指示する場合、第1の制御IC34は、入力端子P0が第1出力端子P1と接続される選択信号S3を、デマルチプレクサー33に出力する。この場合、デマルチプレクサー33は、入力端子P0と第1出力端子P1とを電気的に接続する。その結果、DDC通信線220と第1のROM35とが電気的に接続されるため、第1のEDIDが、DDC通信線220を介して、HDMIキャプチャー30から映像供給装置20へ送信される。
【0045】
例えば、第1の制御信号S2が、第2のEDIDを送信することを指示する場合、第1の制御IC34は、入力端子P0が第2出力端子P2と接続される選択信号S3を、デマルチプレクサー33に出力する。この場合、デマルチプレクサー33は、入力端子P0と第2出力端子P2とを電気的に接続する。その結果、DDC通信線220と第2のROM36とが電気的に接続されるため、第2のEDIDが、DDC通信線220を介して、HDMIキャプチャー30から映像供給装置20へ送信される。
【0046】
例えば、第1の制御信号S2が、第3のEDIDを送信することを指示する場合、第1の制御IC34は、入力端子P0が第3出力端子P3と接続される選択信号S3を、デマルチプレクサー33に出力する。この場合、デマルチプレクサー33は、入力端子P0と第3出力端子P3とを電気的に接続する。その結果、DDC通信線220と第3のROM37とが電気的に接続されるため、第3のEDIDが、DDC通信線220を介して、HDMIキャプチャー30から映像供給装置20へ送信される。
【0047】
例えば、第1の制御信号S2が、第4のEDIDを送信することを指示する場合、第1の制御IC34は、入力端子P0が第4出力端子P4と接続される選択信号S3を、デマルチプレクサー33に出力する。この場合、デマルチプレクサー33は、入力端子P0と第4出力端子P4とを電気的に接続する。その結果、DDC通信線220と第4のROM38とが電気的に接続されるため、第4のEDIDが、DDC通信線220を介して、HDMIキャプチャー30から映像供給装置20へ送信される。
【0048】
第1のROM35は、「第1の解像度を示す第1の画像情報を記憶する第1の記憶装置」に対応する。第2のROM36は、「第2の解像度を示す第2の画像情報を記憶する第2の記憶装置」に対応する。つまり、デマルチプレクサー33は、「通信装置と映像供給装置とを接続する通信線のうち、出力画像情報が送信される第1の通信線の接続先を、第1の記憶装置と第2の記憶装置との間で切り替えるスイッチ」に対応する。本実施形態において、「通信装置と映像供給装置とを結ぶ通信線のうち、画像情報が送信される第1の通信線」とは、HDMIキャプチャー30と映像供給装置20とを接続するHDMIケーブルに含まれる通信線のうち、EDIDが送信されるDDC通信線220である。HDMIキャプチャー30から映像供給装置20へ送信されるいずれかのEDIDは、出力画像情報の一例である。
【0049】
HDMIキャプチャー30は、コンピューター60から第1の制御信号S2を受信してもよいし、他の外部装置から第1の制御信号S2を受信してもよい。例えば、コンピューター60は、キャリブレーションにより算出したスクリーンエリア110の解像度に基づき、第1の制御信号S2を送信する。ここで、スクリーンエリア110の解像度を示すEDIDが、第1のEDIDと同じであると仮定する。この場合、コンピューター60は、第1のEDIDを送信することを指示する第1の制御信号S2をHDMIキャプチャー30に送信する。その結果、上記のように、DDC通信線220と第1のROM35とが電気的に接続されるため、第1のEDIDが、DDC通信線220を介して、HDMIキャプチャー30から映像供給装置20へ送信される。これにより、映像供給装置20は、第1のプロジェクター10A及び第2のプロジェクター10BのEDIDを取得でき、第1のプロジェクター10A及び第2のプロジェクター10Bに最適な映像フォーマットで映像を供給できる。
【0050】
また、第1投射領域100Aと第2投射領域100Bとが重畳するように、第1のプロジェクター10A及び第2のプロジェクター10Bから画像を投射させる、不図示のスタック投射を行う場合には、いずれかのプロジェクターに設定されるEDIDに基づき、第1の制御信号S2を送信してもよい。例えば、コンピューター60は、HDMIケーブルを介して、第1のプロジェクター10A及び第2のプロジェクター10Bと接続されたときに、第1のプロジェクター10A及び第2のプロジェクター10BのそれぞれからEDIDを受信する。第1のプロジェクター10A及び第2のプロジェクター10Bが、同じ仕様のプロジェクターである場合、第1のプロジェクター10A及び第2のプロジェクター10Bのそれぞれから同じEDIDが、コンピューター60に送信される。
【0051】
例えば、第1のプロジェクター10A及び第2のプロジェクター10Bからコンピューター60に送信されるEDIDが、第1のEDIDと同じであると仮定する。この場合、コンピューター60は、第1のEDIDを送信することを指示する第1の制御信号S2をHDMIキャプチャー30に送信する。その結果、上記のように、DDC通信線220と第1のROM35とが電気的に接続されるため、第1のEDIDが、DDC通信線220を介して、HDMIキャプチャー30から映像供給装置20へ送信される。これにより、映像供給装置20は、第1のプロジェクター10A及び第2のプロジェクター10BのEDIDを取得でき、第1のプロジェクター10A及び第2のプロジェクター10Bに最適な映像フォーマットで映像を供給できる。
【0052】
例えば、第1のプロジェクター10A及び第2のプロジェクター10Bとは仕様の異なる第3のプロジェクター及び第4のプロジェクターが、HDMIケーブルを介して、コンピューター60に接続された場合、コンピューター60は、第3のプロジェクター及び第4のプロジェクターからEDIDを受信する。
【0053】
例えば、第3のプロジェクター及び第4のプロジェクターからコンピューター60に送信されるEDIDが、第2のEDIDと同じであると仮定する。この場合、コンピューター60は、第2のEDIDを送信することを指示する第1の制御信号S2をHDMIキャプチャー30に送信する。その結果、上記のように、DDC通信線220と第2のROM36とが電気的に接続されるため、第2のEDIDが、DDC通信線220を介して、HDMIキャプチャー30から映像供給装置20へ送信される。これにより、映像供給装置20は、第3のプロジェクター及び第4のプロジェクターのEDIDを取得でき、第3のプロジェクター及び第4のプロジェクターに最適な映像フォーマットで映像を供給できる。
【0054】
上記のように、本実施形態におけるHDMIキャプチャー30は、異なる複数のEDIDを予め保持しており、外部から入力される第1の制御信号S2に応じて、異なる複数のEDIDのいずれか一つを映像供給装置20に送信する。これにより、映像供給装置20にEDIDを提供するEDIDエミュレーターを使用する必要がなくなるため、システム構成の簡略化と、システムコストの低減とを実現できる。また、HDMIキャプチャー30は、異なる複数のEDIDを予め保持しているため、EDIDエミュレーターを使用することなく、様々な仕様のプロジェクターに対応可能なプロジェクションシステム1を提供できる。
【0055】
なお、例えば、HDMIキャプチャー30の筐体に、ロータリースイッチ又はディップスイッチ等で構成されたEDID選択スイッチを設け、ユーザーがEDID選択スイッチを操作することにより、EDID選択スイッチから選択信号がデマルチプレクサー33に出力される構成を採用してもよい。
【0056】
例えば、ユーザーが、EDID選択スイッチを操作することにより、第1のEDIDを選択した場合、入力端子P0が第1出力端子P1と接続される選択信号が、EDID選択スイッチからデマルチプレクサー33に出力される。その結果、DDC通信線220と第1のROM35とが電気的に接続されるため、第1のEDIDが、DDC通信線220を介して、HDMIキャプチャー30から映像供給装置20へ送信される。
【0057】
このように、EDID選択スイッチをHDMIキャプチャー30に設けることにより、ユーザーは、HDMIキャプチャー30が保持する複数のEDIDの中から任意のEDIDを選択することができるため、ユーザーの利便性が向上する。
【0058】
なお、EDID選択スイッチを設ける場合、第1の制御IC34は不要となるため、第1の制御IC34をHDMIキャプチャー30から削除してもよいが、EDID選択スイッチと、第1の制御IC34とを併用してもよい。EDID選択スイッチと、第1の制御IC34とを併用する場合、HDMIキャプチャー30の筐体に、モード切替えスイッチを設け、ユーザーがモード切替えスイッチを操作することにより、EDID選択スイッチから出力される選択信号と、第1の制御IC34から出力される選択信号S3とのいずれか一方が、デマルチプレクサー33に入力される構成を採用してもよい。
【0059】
例えば、ユーザーが、モード切替えスイッチを操作することにより、第1モードを選択した場合、EDID選択スイッチから出力される選択信号が、デマルチプレクサー33に入力される。一方、ユーザーが、モード切替えスイッチを操作することにより、第2モードを選択した場合、第1の制御IC34から出力される選択信号S3が、デマルチプレクサー33に入力される。
【0060】
このように、EDID選択スイッチと、第1の制御IC34とを併用する構成を採用する場合、ユーザーは、HDMIキャプチャー30が保持する複数のEDIDの中から、手動で任意のEDIDを選択する第1モードと、コンピューター60によって自動で最適なEDIDを選択する第2モードとを、状況に応じて切り替えることができるため、ユーザーの利便性が向上する。
【0061】
(本実施形態の効果)
以上のように、本実施形態のプロジェクションシステム1は、表示画像を表示する2台のプロジェクター10A及び10Bと、USB規格に従うUVC映像信号に基づいて生成された表示画像を示す情報、すなわち第1の出力映像信号及び第2の出力映像信号をプロジェクター10A及び10Bに供給するコンピューター60と、プロジェクター10A及び10Bが表示画像を表示するスクリーンエリア110の解像度を示すEDIDを、外部の映像供給装置20に送信することと、映像供給装置20から、USB規格とは異なるHDMI規格に従うHDMI映像信号を受信することと、HDMI映像信号をUVC映像信号に変換してコンピューター60に送信することと、を実行するHDMIキャプチャー30と、を備える。
【0062】
上記のように本実施形態のプロジェクションシステム1は、映像供給装置20と複数のプロジェクター10A及び10Bとの間に、HDMIキャプチャー30及びコンピューター60を中継器として配置し、HDMIキャプチャー30から映像供給装置20へEDIDを送信する構成を採用する。これにより、映像供給装置20にEDIDを提供するEDIDエミュレーターを使用する必要がなくなるため、システム構成の簡略化と、システムコストの低減とを実現できる。
【0063】
本実施形態のプロジェクションシステム1において、HDMIキャプチャー30は、第1の解像度を示す第1のEDIDを記憶する第1のROM35と、第2の解像度を示す第2のEDIDを記憶する第2のROM36と、HDMIキャプチャー30と映像供給装置20とを接続する通信線のうち、EDIDが送信されるDDC通信線220の接続先を、第1のROM35と第2のROM36との間で切り替えるデマルチプレクサー33と、を備える。
【0064】
上記のように、本実施形態のHDMIキャプチャー30は、複数のROMによって、異なる複数のEDIDを予め保持し、デマルチプレクサー33によって、異なる複数のEDIDのいずれか一つが、DDC通信線220を介して映像供給装置20に送信される構成を採用する。このような構成を備えるHDMIキャプチャー30を中継器として使用することにより、EDIDエミュレーターを使用することなく、様々な仕様のプロジェクターに対応可能なプロジェクションシステム1を提供できる。
【0065】
本実施形態のプロジェクションシステム1において、HDMIキャプチャー30は、外部から入力される第1の制御信号S2に基づいて、デマルチプレクサー33を制御する第1の制御IC34をさらに備える。
【0066】
上記の構成を備えるHDMIキャプチャー30によれば、ユーザーが特定の操作を行わなくとも、外部から入力される第1の制御信号S2に応じて、異なる複数のEDIDのいずれか一つが映像供給装置20に送信されるため、ユーザーの利便性が向上する。
【0067】
本実施形態のプロジェクションシステム1は、複数の表示装置に含まれる2台のプロジェクター10A及び10Bから投射される複数の表示画像を撮影するカメラ40、を備え、カメラ40は、複数の表示画像を撮影することで得られた撮影画像を、コンピューター60に送信し、コンピューター60は、撮影画像に基づいて、2台のプロジェクター10A及び10Bが表示画像を表示するスクリーンエリア110の解像度を示すEDIDを取得する。
【0068】
上記の構成を備えるプロジェクションシステム1によれば、カメラ40から得られる撮影画像に基づいてスクリーンエリア110の解像度を示すEDIDを取得することができるため、表示装置として複数のプロジェクターを用いる場合にも対応できる。
【0069】
本実施形態のプロジェクションシステム1は、コンピューター60と通信し、2台のプロジェクター10A及び10Bとは異なる操作モニター50をさらに備え、コンピューター60は、表示画像とは異なる設定画像を、操作モニター50に供給し、操作モニター50は、設定画像を表示することと、設定画像に対する操作を検出することと、検出された操作に基づいて、表示画像に関する設定値を取得することと、設定値をコンピューター60に送信することと、を実行し、コンピューター60は、設定値に基づいて表示画像を生成する。
【0070】
上記の構成を備えるプロジェクションシステム1によれば、ユーザーは、操作モニター50を操作することにより、例えばスクリーンエリア110内に表示される表示画像の色合い等を調整できるため、ユーザーの利便性が向上する。
【0071】
本実施形態のプロジェクションシステム1において、第1の通信規格は、USBであり、第2の通信規格は、HDMIであり、出力画像情報は、EDIDである。
これにより、出力画像情報としてEDIDを用いることができるため、映像供給装置20とHDMIキャプチャー30とがHDMI通信することにより、各種データの通信を行うことができる。
【0072】
本実施形態の表示方法は、HDMIキャプチャー30が、2台のプロジェクター10A及び10Bが表示画像を表示するスクリーンエリア110の解像度を示すEDIDを、映像供給装置20に送信することと、HDMIキャプチャー30が、HDMI規格に従うHDMI映像信号を映像供給装置20から受信することと、HDMIキャプチャー30が、HDMI映像信号を、HDMI規格とは異なるUSB規格に従うUVC映像信号に変換してコンピューター60に送信することと、コンピューター60が、UVC映像信号に基づく表示画像を示す情報、すなわち第1の出力映像信号及び第2の出力映像信号を2台のプロジェクター10A及び10Bに供給することと、2台のプロジェクター10A及び10Bが、表示画像をスクリーンエリア110に表示することと、を含む。
【0073】
本実施形態の表示方法によれば、EDIDエミュレーターを使用することなく、映像供給装置20と複数のプロジェクター10A及び10Bとの間に配置されたHDMIキャプチャー30から映像供給装置20へEDIDを送信するため、表示画像がスクリーンエリア110に表示されるまでの工程を簡略化できる。
【0074】
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0075】
例えば、上記実施形態では、2台のプロジェクター10A及び10Bを表示装置として備えるプロジェクションシステム1を例示したが、本開示はこれに限定されず、プロジェクターの台数は、1台以上であればよい。また、表示装置はプロジェクターに限定されず、液晶ディスプレイ及び有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイなどの他の表示装置でもよい。
【0076】
例えば、上記実施形態では、第1のプロジェクター10A及び第2のプロジェクター10Bは、それぞれ、HDMIケーブルの通信ケーブルを介してコンピューター60と接続される構成と、無線通信により通信を行う構成とを例示したが、本開示はこれに限定されず、VGA(Video Graphics Array)、LAN(Local Area Network)、USB、或いはRS-232C等の規格に沿って通信を行ってもよい。
【0077】
例えば、上記実施形態では、通信装置の一例であるHDMIキャプチャー30が、映像供給装置20からHDMI映像信号を受信する構成を例示したが、通信装置が受信する映像信号はHDMI映像信号に限定されない。例えば、通信装置が映像供給装置20からVGAケーブルの通信ケーブルを介してVGA映像信号を受信してもよいし、通信装置が映像供給装置20と無線通信によって接続され、無線通信に適した映像信号を受信してもよい。この場合、出力画像情報の送信は、HDMIケーブルを介するEDIDの送信に限定されず、LAN、USB、或いはRS-232C等の規格に沿った通信によって出力画像情報を送信する構成としてもよい。
【0078】
例えば、上記実施形態で説明したHDMIキャプチャー30は、異なる複数のEDIDを予め保持しており、外部から入力される第1の制御信号S2に応じて、異なる複数のEDIDのいずれか一つを映像供給装置20に送信する。HDMIキャプチャー30の構成は、これに限定されない。以下、
図4を参照しながら、HDMIキャプチャー30の変形例について説明する。
【0079】
図4は、変形例におけるHDMIキャプチャー30の概略構成を示すブロック図である。
図4に示される構成要素のうち、
図3に示される構成要素と同じ構成要素には、
図3と同じ符号を付し、以下での説明を省略する。
図4に示すように、変形例におけるHDMIキャプチャー30は、HDMI受信器31と、信号変換器32と、第5のROM71と、ROMライター72と、第2の制御IC73と、を備える。
【0080】
第5のROM71は、HDMIキャプチャー30と映像供給装置20とを接続するHDMIケーブルに含まれる通信線のうち、EDIDが送信されるDDC通信線220と接続される。第5のROM71は、「第3の記憶装置」に対応する。
【0081】
ROMライター72は、第2の制御IC73からの指示に応じて、第5のROM71に対して情報の書き込みを行う書き込み装置である。第2の制御IC73は、外部から入力される第2の制御信号S4に基づいて、ROMライター72を制御する。具体的には、第2の制御IC73は、第2の制御信号S4によって指示される解像度を示すEDIDを第5のROM71に書き込むことを、ROMライター72に指示する。第2の制御IC73は、「第2の制御装置」に対応する。第2の制御信号S4によって指示される解像度を示すEDIDは、「第2の制御信号によって指示される第3の解像度を示す第3の画像情報」に対応する。
【0082】
変形例においても、HDMIキャプチャー30は、コンピューター60から第2の制御信号S4を受信してもよいし、他の外部装置から第2の制御信号S4を受信してもよい。例えば、ユーザーは、操作モニター50を操作することにより、コンピューター60に対して、所望のEDIDが第5のROM71に書き込まれる第2の制御信号S4を出力することを指示することができる。
【0083】
コンピューター60は、操作モニター50から入力される操作信号に基づいて、ユーザーから上記の指示を受けたことを検出した場合、ユーザーによって指定されたEDIDが第5のROM71に書き込まれる第2の制御信号S4を出力する。その結果、ユーザーによって指定されたEDIDが第5のROM71に書き込まれ、第5のROM71に書き込まれたEDIDは、DDC通信線220を介して映像供給装置20に送信される。
【0084】
上記のように、変形例におけるHDMIキャプチャー30によれば、第5のROM71に記憶されるEDIDを書き換えることができるため、EDIDエミュレーターを使用することなく、様々な仕様のプロジェクターに対応可能なプロジェクションシステム1を提供できる。
【0085】
〔本開示のまとめ〕
以下、本開示のまとめを付記する。
【0086】
(付記1)表示画像を表示する複数の表示装置と、第1の通信規格に従う第1の映像信号に基づいて生成された前記表示画像を示す情報を、前記複数の表示装置に供給するコンピューターと、前記複数の表示装置が前記表示画像を表示する表示領域の解像度を示す出力画像情報を、外部の映像供給装置に送信することと、前記映像供給装置から、前記第1の通信規格とは異なる第2の通信規格に従う第2の映像信号を受信することと、前記第2の映像信号を前記第1の映像信号に変換して前記コンピューターに送信することと、を実行する通信装置と、を備える、表示システム。
【0087】
付記1に記載の表示システムによれば、映像供給装置と複数の表示装置との間に、通信装置及びコンピューターを中継器として配置し、通信装置から映像供給装置へ出力画像情報を送信する構成を採用する。これにより、映像供給装置に出力画像情報を提供する専用の装置を使用する必要がなくなるため、システム構成の簡略化と、システムコストの低減とを実現できる。
【0088】
(付記2)前記通信装置は、第1の解像度を示す第1の画像情報を記憶する第1の記憶装置と、第2の解像度を示す第2の画像情報を記憶する第2の記憶装置と、前記通信装置と前記映像供給装置とを接続する通信線のうち、前記出力画像情報が送信される第1の通信線の接続先を、前記第1の記憶装置と前記第2の記憶装置との間で切り替えるスイッチと、を備える、付記1に記載の表示システム。
【0089】
付記2に記載の表示システムにおいて、通信装置は、複数の記憶装置によって、異なる複数の画像情報を予め保持し、スイッチによって、異なる複数の画像情報のいずれか一つが、第1の通信線を介して映像供給装置に送信される構成を採用する。このような構成を備える通信装置を中継器として使用することにより、映像供給装置に出力画像情報を提供する専用の装置を使用することなく、様々な仕様の表示装置に対応可能な表示システムを提供できる。
【0090】
(付記3)前記通信装置は、前記外部から入力される第1の制御信号に基づいて、前記スイッチを制御する第1の制御装置、をさらに備える、付記2に記載の表示システム。
【0091】
付記3に記載の表示システムが備える通信装置によれば、ユーザーが特定の操作を行わなくとも、外部から入力される第1の制御信号に応じて、異なる複数の画像情報のいずれか一つが映像供給装置に送信されるため、ユーザーの利便性が向上する。
【0092】
(付記4)前記通信装置は、前記通信装置と前記映像供給装置とを接続する通信線のうち、前記出力画像情報が送信される第1の通信線と接続される第3の記憶装置と、前記第3の記憶装置に対して情報の書き込みを行う書き込み装置と、前記外部から入力される第2の制御信号に基づいて、前記書き込み装置を制御する第2の制御装置と、を備え、前記第2の制御装置は、前記第2の制御信号によって指示される第3の解像度を示す第3の画像情報を前記第3の記憶装置に書き込むことを、前記書き込み装置に指示する、付記1に記載の表示システム。
【0093】
付記4に記載の表示システムによれば、第3の記憶装置に記憶される画像情報を書き換えることができるため、映像供給装置に出力画像情報を提供する専用の装置を使用することなく、様々な仕様の表示装置に対応可能な表示システムを提供できる。
【0094】
(付記5)前記複数の表示装置に含まれる複数のプロジェクターから投射される複数の表示画像を撮影する1以上のカメラ、を備え、前記1以上のカメラは、前記複数の表示画像を撮影することで得られた1以上の撮影画像を、前記コンピューターに送信し、前記コンピューターは、前記1以上の撮影画像に基づいて、前記複数のプロジェクターが前記表示画像を表示する表示領域の解像度を示す前記出力画像情報を取得する、付記1から4のいずれか一つに記載の表示システム。
【0095】
付記5に記載の表示システムによれば、カメラから得られる撮影画像に基づいて表示領域の解像度を示す出力画像情報を取得することができるため、表示装置として複数のプロジェクターを用いる場合にも対応できる。
【0096】
(付記6)前記コンピューターと通信し、前記複数の表示装置とは異なる操作モニターをさらに備え、前記コンピューターは、前記表示画像とは異なる設定画像を、前記操作モニターに供給し、前記操作モニターは、前記設定画像を表示することと、前記設定画像に対する操作を検出することと、検出された前記操作に基づいて、前記表示画像に関する設定値を取得することと、前記設定値を前記コンピューターに送信することと、を実行し、前記コンピューターは、前記設定値に基づいて前記表示画像を生成する、付記1から5のいずれか一つに記載の表示システム。
【0097】
付記6に記載の表示システムによれば、ユーザーは、操作モニターを操作することにより、例えば表示領域に表示される表示画像の色合い等を調整できるため、ユーザーの利便性が向上する。
【0098】
(付記7)前記第1の通信規格は、USB(Universal Serial Bus)であり、前記第2の通信規格は、HDMI(High-Definition Multimedia Interface:登録商標)であり、前記出力画像情報は、EDID(Extended Display Identification Data)である、付記1から6のいずれか一つに記載の表示システム。
【0099】
付記7に記載の表示システムによれば、出力画像情報としてEDIDを用いることができるため、映像供給装置と通信装置とがHDMI通信することにより、各種データの通信を行うことができる。
【0100】
(付記8)通信装置が、複数の表示装置が表示画像を表示する表示領域の解像度を示す画像情報を、映像供給装置に送信することと、前記通信装置が、第2の通信規格に従う第2の映像信号を前記映像供給装置から受信することと、前記通信装置が、前記第2の映像信号を、前記第2の通信規格とは異なる第1の通信規格に従う第1の映像信号に変換して前記コンピューターに送信することと、前記コンピューターが、前記第1の映像信号に基づく表示画像を示す情報を、前記複数の表示装置に供給することと、前記複数の表示装置が、前記表示画像を前記表示領域に表示することと、を含む、表示方法。
【0101】
付記8に記載の表示方法によれば、映像供給装置に出力画像情報を提供する専用の装置を使用することなく、映像供給装置と複数の表示装置との間に配置された通信装置から映像供給装置へ出力画像情報を送信するため、表示画像が表示領域に表示されるまでの工程を簡略化できる。
【符号の説明】
【0102】
1…プロジェクションシステム(表示システム)、10A…第1のプロジェクター、10B…第2のプロジェクター、20…映像供給装置、30…HDMIキャプチャー(通信装置)、31…HDMI受信器、32…信号変換器、33…デマルチプレクサー(スイッチ)、34…第1の制御IC(第1の制御装置)、35…第1のROM(第1の記憶装置)、36…第2のROM(第2の記憶装置)、37…第3のROM、38…第4のROM、71…第5のROM(第3の記憶装置)、72…ROMライター(書き込み装置)、73…第2の制御IC(第2の制御装置)、40…カメラ、50…操作モニター、60…コンピューター