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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024065628
(43)【公開日】2024-05-15
(54)【発明の名称】模型玩具
(51)【国際特許分類】
   A63H 33/30 20060101AFI20240508BHJP
【FI】
A63H33/30 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022174594
(22)【出願日】2022-10-31
(71)【出願人】
【識別番号】000128234
【氏名又は名称】株式会社エポック社
(74)【代理人】
【識別番号】110002022
【氏名又は名称】弁理士法人コスモ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】神山 圭
【テーマコード(参考)】
2C150
【Fターム(参考)】
2C150CA18
2C150DA33
2C150EB41
(57)【要約】
【課題】簡易な構成で、細部が現実的な動きで動作する模型玩具を提供する。
【解決手段】模型玩具は、設備模型と、設備模型のホルダ右壁部32R及びホルダ左壁部にその軸周りに回動可能に軸支される回動部材回動軸36aを有する回動部材36と、回動部材36にその軸周りに回動可能に軸支されるペーパ片部回動軸38aを有するペーパ片部38とを備え、ペーパ片部回動軸38aはその軸方向が回動部材回動軸36aと平行となるように回動部材回動軸36aからオフセットされた位置に設けられ、回動部材36は回動部材回動軸36aを挟んでペーパ片部回動軸38aが設けられた側とは反対側に重心位置36Cを有し、回動部材36を回動部材回動軸36aの軸周りに回動させることにより、重心位置36Cがペーパ片部回動軸38aよりも下側に位置する第1状態と、重心位置36Cがペーパ片部回動軸38aよりも上側に位置する第2状態との間で動作可能とされる。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部と、
前記本体部にその軸周りに回動可能に軸支される第1回動軸を有する第1回動部材と、
前記第1回動部材にその軸周りに回動可能に軸支される第2回動軸を有する第2回動部材と、を備え、
前記第2回動軸は、その軸方向が前記第1回動軸と平行となるように前記第1回動軸からオフセットされた位置に設けられ、
前記第1回動部材は、前記第1回動軸を挟んで前記第2回動軸が設けられた側とは反対側に重心位置を有し、
前記第1回動部材を前記第1回動軸の軸周りに回動させることにより、前記重心位置が前記第2回動軸よりも下側に位置する第1状態と、前記重心位置が前記第2回動軸よりも上側に位置する第2状態と、の間で動作可能とされる、
ことを特徴とする模型玩具。
【請求項2】
前記本体部は、前記第1状態において前記第1回動部材の下側で前記第1回動部材と当接する第1当接部を有する、ことを特徴とする請求項1に記載の模型玩具。
【請求項3】
前記本体部は、前記第2状態において前記第1回動部材の上側で前記第1回動部材と当接する第2当接部を有する、ことを特徴とする請求項1に記載の模型玩具。
【請求項4】
前記第2回動部材は、前記第2回動軸の軸方向と直交する方向に延びる延在部を有する、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の模型玩具。
【請求項5】
前記本体部は、前記延在部が露出するように前記第1回動部材を覆う覆い部を有し、
前記延在部は、トイレットペーパのペーパの一部を模した部材であり、
前記覆い部は、トイレットペーパホルダを模した部材である、
ことを特徴とする請求項4に記載の模型玩具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、模型玩具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、家庭用品を模した動作模型を備える模型玩具が知られている。例えば特許文献1には、蓋付き両手鍋やフライパンを模した付属形象物を上面に配置させた、ガスレンジを模した主形象物を有する玩具が開示されている。この玩具では、蓋付き両手鍋を模した付属形象物の蓋がボタンを押すことによって現実的な動作で開き、フライパンを模した付属形象物が主形象物の手を模した身体部に掴まれて、恰もフライパンをコンロ上で振り動かしているかのような現実的な動作で左右に反復動作する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-340968号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示される玩具では、両手鍋を模した付属形象物の蓋はバネによって動作し、フライパンを模した付属形象物を左右に反復動作させる主形象物の身体部はモータの駆動によって動作するギアやクランクによって動作する。このように模型玩具の細部を現実的な動きで動作させるために複雑な機構や部材が必要であった。
【0005】
本発明は、簡易な構成で、細部が現実的な動きで動作する模型玩具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の模型玩具は、本体部と、前記本体部にその軸周りに回動可能に軸支される第1回動軸を有する第1回動部材と、前記第1回動部材にその軸周りに回動可能に軸支される第2回動軸を有する第2回動部材と、を備え、前記第2回動軸は、その軸方向が前記第1回動軸と平行となるように前記第1回動軸からオフセットされた位置に設けられ、前記第1回動部材は、前記第1回動軸を挟んで前記第2回動軸が設けられた側とは反対側に重心位置を有し、前記第1回動部材を前記第1回動軸の軸周りに回動させることにより、前記重心位置が前記第2回動軸よりも下側に位置する第1状態と、前記重心位置が前記第2回動軸よりも上側に位置する第2状態と、の間で動作可能とされる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、簡易な構成で、細部が現実的な動きで動作する模型玩具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係る模型玩具の全体斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係る模型玩具の便器模型を上方側から見た斜視図であり、(a)はレバー部を手前に引く前の状態を示し、(b)はレバー部を手前に引いた後の状態を示す。
図3】本発明の実施形態に係る模型玩具の便器模型の断面図であり、(a)は図2(a)におけるIIIa-IIIa断面の断面図であり、(b)は図2(b)におけるIIIb-IIIb断面の断面図である。
図4】本発明の実施形態に係る模型玩具の設備模型の正面図であり、(a)はペーパ片模型を下方に引く前の状態を示し、(b)はペーパ片模型を下方に引いた後の状態を示す。
図5】本発明の実施形態に係る模型玩具の設備模型のペーパホルダを上方側から見た拡大斜視図である。
図6】本発明の実施形態に係る模型玩具の設備模型のペーパホルダを右側から見た一部透過拡大側面図であり、(a)はペーパ片模型を下方に引く前の状態を示し、(b)はペーパ片模型を下方に引いた後の状態を示す。
図7】本発明の実施形態に係る模型玩具の設備模型のペーパホルダの断面図であり、(a)は図4(a)におけるVIIa-VIIa断面の断面図であり、(b)は図4(b)におけるVIIb-VIIb断面の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図面を参照して本発明の実施形態について説明する。図1に示すように、本発明の実施形態ではトイレを模した模型玩具1について例示する。模型玩具1は、人形等を用いながら遊びができる玩具であり、便器を模した便器模型10と、トイレ設備品を模した設備模型(本体部)20を備えている。便器模型10と設備模型20は分離されており、個別に自由な向きで配置することができる。
【0010】
便器模型10は、連結部12により連結された便座14及びタンク16等を有している。設備模型20では、横長矩形板状に延びる床部22aと床部22aの長辺側の一辺から壁状に立ち上がる壁部22bに各トイレ設備品がそれぞれ設けられている。設備模型20は、壁部22bに設けられた鏡24、壁部22bにおいて鏡24の下側に設けられた洗面台26、及び壁部22bに設けられたトイレットペーパホルダを模したペーパホルダ30等を有している。
【0011】
以下では、便器模型10については、連結部12の延びる方向を前後方向として便座14が設けられた側を便器模型10の前側、その反対側(タンク16が設けられた側)を後側とし、便器模型10を前側(便座14側)から見たときの右側を便器模型10の右側、その反対側を左側として説明する。一方、設備模型20については、床部22aの短辺方向を前後方向として壁部22bと連ならない長辺側を設備模型20の前側、その反対側(壁部22bと連なる側)を後側とし、設備模型20を前側から見たときのペーパホルダ30側を設備模型20の右側とし、その反対側(便器模型10を前側から見たときの鏡24及び洗面台26側)を左側として説明する。
【0012】
まず、便器模型10について説明する。図1及び図2に示すように、便器模型10の便座14は、連結部12と連なる椀状の椀状部14a、椀状部14aの上側に設けられた便座部14b、便座部14bの蓋とされる便器蓋部14cを有している。椀状部14aの底部には、上下方向に開口する底部開口部14a1が設けられている。便器蓋部14cは、左右方向を軸方向として連結部12に回動可能に軸支された便器蓋部回動軸14c1を有している。便器蓋部14cは、便器蓋部回動軸14c1が回動することにより開閉される。
【0013】
また、便器模型10のタンク16は、貯水部16a、貯水部16aの右側面に設けられたレバー部16b、及び貯水部16aの上側に設けられて貯水部16aの蓋とされるタンク蓋部16cを有している。図2及び図3に示すように、レバー部16bは、前後方向を軸方向として貯水部16aの内側に回動可能に軸支されたレバー回動軸16b1と、レバー回動軸16b1の左右方向略中央部から下方に略板状に延びるレバー板状部16b2を有している。レバー部16bは、貯水部16aの外側でレバー回動軸16b1の軸周りに回動可能とされる。レバー部16bを回動させると、レバー回動軸16b1と共にレバー板状部16b2が回動し、レバー板状部16b2の下端部が前後に移動する。
【0014】
図3(a)及び(b)に示すように、連結部12の内側の空間には、前後にスライド可能に配置された略板状のスライド部12aが設けられている。スライド部12aの後端部には、レバー板状部16b2の下端部が係合される係合孔12a1が設けられている。このため、レバー部16bが回動されてレバー板状部16b2の下端部が前後に移動すると、スライド部12aが前後に移動する。レバー部16bが回動されない状態では、スライド部12aは連結部12の内側で後側に位置している(図3(a)参照)。レバー部16bが回動されると、スライド部12aは前方に移動してスライド部12aの前端部が底部開口部14a1から上方に露出するようになっている(図3(b)参照)。
【0015】
ここで、スライド部12aの前端部の上面には、例えば水洗トイレの水を表す水色の着色が施される。この場合、レバー部16bが回動されない状態では底部開口部14a1から椀状部14aの着色(例えば白色)が視認され、レバー部16bが回動されてスライド部12aの前端部が底部開口部14a1から露出した状態では底部開口部14a1から水色が視認される。このため、便器模型10で遊ぶ使用者は、レバー部16bを回動させることにより便座14に水洗トイレの水が流れたかのような感覚を抱くことができ、楽しむことができる。
【0016】
次に、設備模型20について説明する。図1及び図4に示すように、鏡24は、縦長の略楕円形状とされる。洗面台26は、シンク26aと蛇口26bとを有している。洗面台26の右側の床部22a上には、トイレブラシ27が設けられている。トイレブラシ27は、ブラシ本体27aとブラシ本体27aの先端部(ブラシ部分)が収納されるトレイ部27bを有している。洗面台26の左側の床部22a上には、トイレ洗剤28が設けられている。また、ペーパホルダ30の下側には、前方側に突出する花型略円柱状のボス29が設けられている(図4等参照)。
【0017】
図1に示すように、ボス29には、便器模型10の便座部14b上に取り付け可能な略O字状の小型便座15を、引っ掛けて保持することができる。小型便座15には、便座部14bに取り付けられた状態で上方に突出する突出部15aが設けられている。小型の人形等を便座部14b上に載置する場合には、便器蓋部14cが開かれた状態で便座部14bに小型便座15を取り付けることにより、小型便座15上に載置される小型の人形等を便器蓋部14cと突出部15aの間で挟み込むようにして保持することができる。
【0018】
なお、図1及び図4では、トイレブラシ27及びトイレ洗剤28が洗面台26の近傍に配置された態様を図示しているが、トイレブラシ27及びトイレ洗剤28は、床部22a及び壁部22bから分離して自由な位置に配置することができる。例えば、ボス29に小型便座15が保持されていない場合には、ペーパホルダ30の下側(洗面台26の右側)の洗面台26から離れた位置にトイレブラシ27及びトイレ洗剤28の両者を配置することができる。
【0019】
図4図7を参照して、設備模型20の壁部22bの右側に設けられたペーパホルダ30について詳しく説明する。ペーパホルダ30は、洗面台26よりもやや高い位置に配置されている。ペーパホルダ30は、両板面を左右方向に向けた形で壁部22bから前方に略板状に突出するホルダ右壁部(覆い部)32R及びホルダ左壁部(覆い部)32Lを有している。図5及び図6に示すように、ホルダ右壁部32R及びホルダ左壁部32Lは、左右方向に間を空けて並んで設けられており、その前端縁が略円弧状とされている。ホルダ右壁部32R及びホルダ左壁部32Lは、壁部22bと一体に設けられている。
【0020】
図5に示すように、ホルダ右壁部32Rとホルダ左壁部32Lの間には、ホルダ蓋部(覆い部)34、回動部材(第1回動部材)36、及びペーパ片部(第2回動部材)38が設けられている。ホルダ蓋部34は、曲面状に屈曲した略板状の屈曲板面34bを有しており、ホルダ右壁部32Rとホルダ左壁部32Lの間の上側部分において両板面を略上下方向に向けた形で設けられている。なお、屈曲板面34bは、ホルダ右壁部32R及びホルダ左壁部32Lの略円弧状の前端縁に沿うように屈曲している(図6及び図7参照)。また、ホルダ蓋部34は、その後端部に左右方向を軸方向とするホルダ蓋部回動軸34aを有しており、ホルダ蓋部回動軸34aの両端部がそれぞれホルダ右壁部32R及びホルダ左壁部32Lに回動可能に軸支されることによりホルダ蓋部回動軸34aの軸周りに回動可能となっている。
【0021】
ホルダ右壁部32R及びホルダ左壁部32Lの内面側のホルダ蓋部回動軸34a寄りの位置には、内側に向けてブロック状に突出する蓋止め部32R1,32L1がそれぞれ設けられている。ホルダ蓋部34は、その下面が蓋止め部32R1,32L1にそれぞれ当接することにより閉じた状態とされ(図7(a)参照)、ホルダ蓋部回動軸34aの軸周りに回動されることにより、蓋止め部32R1,32L1から離れて屈曲板面34bが直立した姿勢となった開いた状態とされる(図5参照)。
【0022】
回動部材36は、左右方向を柱軸方向として設けられた略半円柱状の回動体36bを有している。回動体36bの左右両側からは、左右方向を軸方向とする回動部材回動軸(第1回動軸)36aが同一軸上かつ等しい長さでそれぞれ延びている。回動部材36は、左右両側の回動部材回動軸36aがそれぞれホルダ右壁部32R及びホルダ左壁部32Lに回動可能に軸支されることにより、ホルダ蓋部34、ホルダ右壁部32R、及びホルダ左壁部32Lによって覆われた形で回動部材回動軸36aの軸周りに回動可能となっている。
【0023】
回動体36bのうち回動部材回動軸36aよりも前側の部分は、その左右両側が両板面を左右方向に向けた形で前方側に略板状に突出しており、それぞれ回動右壁部36R、回動左壁部36Lとなっている。回動右壁部36Rと回動左壁部36Lの間には、後述するペーパ片部38が設けられている。このように回動部材回動軸36aよりも前側の部分は、その左右両側のみに回動体36bの一部が設けられている。このため回動部材36は、回動体36bのうち回動部材回動軸36aより後側の部分に重心位置36Cを有している(図6及び図7参照)。
【0024】
図6及び図7に示すように、回動体36bの後端部(重心位置36Cより後側の部位)には、後方側に向けて突出する回動突起部36b1が設けられている。一方、壁部22bのうちホルダ右壁部32R及びホルダ左壁部32Lの間の部分には、ホルダ右壁部32R及びホルダ左壁部32Lの下端部と重なる位置に回動部材36側に向けて前方に迫り出した下側当接部(第1当接部)22b1が設けられており、ホルダ右壁部32R及びホルダ左壁部32Lの上端部と重なる位置にホルダ蓋部回動軸34a側に向けて前方に迫り出した上側当接部(第2当接部)22b2が設けられている。
【0025】
回動部材36ではその重心位置36Cが回動部材回動軸36aより後側に位置することから、通常は、重力により、回動体36bのうち回動部材回動軸36aより後側の部分が回動部材回動軸36aより下側に位置した状態(以下、「通常状態(第1状態)」という。)とされる(図6(a)参照)。通常状態では、回動突起部36b1が下側当接部22b1に当接することにより、重心位置36Cが回動部材回動軸36aの更に下側に位置するような回動方向(図6及び図7では時計回りの方向)に回動部材36が回動することが規制される(図7(a)参照)。
【0026】
ペーパ片部38は、回動右壁部36Rと回動左壁部36Lの間に設けられており(図5参照)、トイレットペーパのペーパ片を模した略板状のペーパ片模型(延在部)38bを有している。ペーパ片部38の上端部には、左右方向を軸方向とするペーパ片部回動軸(第2回動軸)38aが設けられている。ペーパ片模型38bは、両板面を前後方向に向けた形でペーパ片部回動軸38aから下方(ペーパ片部回動軸38aの軸方向と直交する方向)に延びている。
【0027】
ペーパ片部38は、ペーパ片部回動軸38aの両端部がそれぞれ回動右壁部36R及び回動左壁部36Lに回動可能に軸支されることによりペーパ片部回動軸38aの軸周りに回動可能となっている。このようにペーパ片部回動軸38aは、回動部材回動軸36aより前側に設けられている。換言すれば、回動部材36は、回動部材回動軸36aを挟んでペーパ片部回動軸38aが設けられた側とは反対側に重心位置36Cを有しており、ペーパ片部回動軸38aは、回動部材回動軸36aと平行となるように回動部材回動軸36aからオフセットされた位置に設けられている。なお、通常状態では、ペーパ片部回動軸38aは、回動部材回動軸36aより上側に位置している(図6(a)参照)。
【0028】
このような構成により、通常状態からペーパ片模型38bを把持して下方(回動部材回動軸36aの軸周り方向とは異なる方向)に引くことができる。ペーパ片模型38bを下方に引くと、ペーパ片部回動軸38aを軸支する回動体36bは、ペーパ片部回動軸38aが回動部材回動軸36aより下側に位置するような回動方向(図6及び図7では反時計回りの方向)へと回動する。そして、回動突起部36b1が上側当接部22b2に当接することにより、ペーパ片部回動軸38aが回動部材回動軸36aより更に下側に位置するような回動方向に回動部材36が回動することが規制され(図7(b)参照)、ペーパ片部回動軸38aが回動部材回動軸36aより下側に位置した状態(以下、「回動状態(第2状態)」という。)とされる(図6(b)参照)。
【0029】
ペーパホルダ30は、上記のような動作態様により、通常状態において、重心位置36Cがペーパ片部回動軸38aよりも下側に位置し、回動状態において、重心位置36Cがペーパ片部回動軸38aよりも上側に位置するように動作する。ここで、図4(a)に示すように、通常状態における設備模型20では、ペーパ片模型38bの下端の高さ位置H1は、洗面台26のシンク26aの上端の高さ位置H2よりも高い位置に位置する。通常状態から回動状態へと移行されると、図4(b)に示すように、ペーパ片模型38bは、その下端の高さ位置H3がシンク26aの上端の高さ位置H2に近い高さ位置まで移動する。そして、回動状態からペーパ片模型38bの把持を離すと、重力により、重心位置36Cが回動部材回動軸36aの下側に位置するような回動方向(図6及び図7では時計回りの方向)に回動部材36が回動し、再び通常状態へと移行する。
【0030】
なお、図4(a)及び(b)に示すように、回動部材36は、通常状態及び回動状態において、その左右両側がホルダ右壁部32R及びホルダ左壁部32Lに覆われ、その上側及び前側がペーパ片模型38b及び閉じた状態のホルダ蓋部34に覆われ、回動右壁部36R及び回動左壁部36Lのみが前方に露出した状態とされる。このため、回動部材36は、ホルダ蓋部34が閉じた状態でペーパホルダ30の外側から視認され難いものとなっている。
【0031】
以上説明したように、設備模型20では、通常状態においてペーパホルダ30からペーパ片模型38bが下方に延びており、バネ等の部材や複雑な機構を用いることなく、ペーパ片模型38bを回動状態となるまで下方に引くことができる。このとき、回動部材36はペーパホルダ30の外側から視認され難いので、模型玩具1で遊ぶ使用者は、恰もトイレットペーパのペーパロールからペーパの先端部を下方に真っ直ぐに引いたかのような現実的な動作が行われた感覚を抱き、楽しむことができる。このように本実施形態では、簡易な構成で、細部が現実的な動きで動作する模型玩具1を提供することができる。
【0032】
さらに、通常状態から回動状態へと移行される際には、重力に抗って、即ち重心位置36Cが回動部材回動軸36aの下側に位置するような回動方向へ回動部材36が回動しようとする力に抗って、ペーパ片模型38bを下方に引くことになる。このため、ペーパ片模型38bを下方に引く際には抵抗が生じ、使用者はこれが恰もトイレットペーパのペーパロールからペーパを引くときの抵抗感であるかのような錯覚を抱くため、より現実的な動作が行われた感覚を抱き、一層楽しむことができる。
【0033】
以上のような本発明の実施形態によれば、下記の態様の模型玩具及び調理玩具を提供することができる。
【0034】
第1の態様に係る模型玩具は、本体部と、前記本体部にその軸周りに回動可能に軸支される第1回動軸を有する第1回動部材と、前記第1回動部材にその軸周りに回動可能に軸支される第2回動軸を有する第2回動部材と、を備え、前記第2回動軸は、その軸方向が前記第1回動軸と平行となるように前記第1回動軸からオフセットされた位置に設けられ、前記第1回動部材は、前記第1回動軸を挟んで前記第2回動軸が設けられた側とは反対側に重心位置を有し、前記第1回動部材を前記第1回動軸の軸周りに回動させることにより、前記重心位置が前記第2回動軸よりも下側に位置する第1状態と、前記重心位置が前記第2回動軸よりも上側に位置する第2状態と、の間で動作可能とされる。
【0035】
この構成によれば、第2回動軸が第1回動軸からオフセットされた位置に設けられることにより、第2回動部材を第1回動軸の軸周り方向とは異なる方向に引くことができ、第2回動軸を軸支する第1回動部材を回動させることができる。また、第1回動軸を挟んで第2回動軸とは反対側に第1回動部材の重心位置が設けられることにより、第2回動軸を有する第2回動部材を下方に引くことで第1状態から第2状態に移行させることができ、第2回動部材を引く力を解放することで重力により第2状態から再び第1状態に移行させることができる。
【0036】
このため、上記の構成によれば、例えば、第2回動部材をトイレットペーパのペーパ片を模した形状とすることにより、第1回動部材をトイレットペーパのペーパロールと見立てて第1回動部材に軸支された第2回動部材を下方に引くことができる。そして、第2回動部材を引く力を解放することで、再び第1状態に移行して第2回動部材が上方に戻る。さらに、第1状態から第2状態に移行する際、重力に抗って重心位置が第2回動軸よりも上側に位置するように第1回動部材を回動させるため、第2回動部材を下方に引くことにより抵抗が生じ、これが、トイレットペーパのペーパ片を引くときの抵抗感と錯覚される。これにより、使用者は恰もトイレットペーパのペーパ片をペーパロールから下方に引き出したかのような感覚を抱くことができる。このように上記の構成によれば、簡易な構成で、細部が現実的な動きで動作する模型玩具を提供することができる。
【0037】
第2の態様に係る模型玩具は、前記本体部は、前記第1状態において前記第1回動部材の下側で前記第1回動部材と当接する第1当接部を有する。
【0038】
この構成によれば、第1状態において第1回動部材が第1当接部と当接することにより、第1回動部材が第1当接部と当接する位置よりも更に下側に回動することが規制される。このため、第1状態において第1回動部材が所望の位置よりも過度に回動することを防止することができる。
【0039】
第3の態様に係る模型玩具は、前記本体部は、前記第2状態において前記第1回動部材の上側で前記第1回動部材と当接する第2当接部を有する。
【0040】
この構成によれば、第2状態において第1回動部材が第2当接部と当接することにより、第1回動部材が第2当接部と当接する位置よりも更に上側に回動することが規制される。このため、第2状態において第1回動部材が所望の位置よりも過度に回動することを防止することができる。
【0041】
第4の態様に係る模型玩具は、前記第2回動部材は、前記第2回動軸の軸方向と直交する方向に延びる延在部を有する。
【0042】
この構成によれば、延在部を把持等して引くことにより第2回動部材を介して第1回動部材を回動し易くすることができる。また、延在部は一方向に延びる部分であるので、第2回動部材のうち延在部をトイレットペーパのペーパ片に一層似せた形状とすることができる。
【0043】
第5の態様に係る模型玩具は、前記本体部は、前記延在部が露出するように前記第1回動部材を覆う覆い部を有し、前記延在部は、トイレットペーパのペーパの一部を模した部材であり、前記覆い部は、トイレットペーパホルダを模した部材である。
【0044】
この構成によれば、トイレットペーパのペーパ片を模した延在部が覆い部から露出し、第1回転部材が覆い部に覆われることにより、第1回転部材の形状に関係なく、覆い部をトイレットペーパホルダとして一層似せた形状とすることができる。
【0045】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。例えば上記の実施形態では、第2回動部材をトイレットペーパのペーパ片を模した形状とし、第1回動部材をトイレットペーパのペーパロールと見立てた構成を例示したが、これに限定されない。第2回動軸が第1回動軸からオフセットされた位置に配置された他の形状を模した模型玩具であってもよい。
【符号の説明】
【0046】
1 模型玩具 10 便器模型
12 連結部 12a スライド部
12a1 係合孔 14 便座
14a 椀状部 14a1 底部開口部
14b 便座部 14c 便器蓋部
14c1 便器蓋部回動軸 15 小型便座
15a 突出部 16 タンク
16a 貯水部 16b レバー部
16b1 レバー回動軸 16b2 レバー板状部
16c タンク蓋部 20 設備模型
22a 床部 22b 壁部
22b1 下側当接部 22b2 上側当接部
24 鏡 26 洗面台
26a シンク 26b 蛇口
27 トイレブラシ 28 トイレ洗剤
29 ボス 30 ペーパホルダ
32L ホルダ左壁部 32L1 蓋止め部
32R ホルダ右壁部 32R1 蓋止め部
34 ホルダ蓋部 34a ホルダ蓋部回動軸
34b 屈曲板面 36 回動部材
36C 重心位置 36L 回動左壁部
36R 回動右壁部 36a 回動部材回動軸
36b 回動体 36b1 回動突起部
38 ペーパ片部 38a ペーパ片部回動軸
38b ペーパ片模型
H1,H2,H3 高さ位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7