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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024065631
(43)【公開日】2024-05-15
(54)【発明の名称】画像処理装置及び画像処理方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 11/07 20060101AFI20240508BHJP
   G06F 11/30 20060101ALI20240508BHJP
【FI】
G06F11/07 151
G06F11/30 155
G06F11/30 140D
G06F11/07 140R
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022174599
(22)【出願日】2022-10-31
(71)【出願人】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鍜治本 晋明
【テーマコード(参考)】
5B042
【Fターム(参考)】
5B042GB08
5B042JJ15
5B042JJ40
(57)【要約】
【課題】画像の固着を効率良く検知すること。
【解決手段】実施形態の画像処理装置は、画像を生成する第1のコントローラと、第1のコントローラ又は第1のコントローラ以外の装置から入力された画像を出力する第2のコントローラと、を備える。第2のコントローラは、第1のコントローラからの画像入力が開始されたか否かに応じて、入力される画像の固着を検知する処理を行うか否かを決定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を生成する第1のコントローラと、前記第1のコントローラ又は前記第1のコントローラ以外の装置から入力された画像を出力する第2のコントローラと、を備え、
前記第2のコントローラは、
前記第1のコントローラからの画像入力が開始されたか否かに応じて、入力される画像の固着を検知する処理を行うか否かを決定する
画像処理装置。
【請求項2】
前記第2のコントローラは、
画像の入力元に応じて変化するレジスタの値を参照し、
前記値が前記第1のコントローラから画像が入力されていることを示している場合に、入力される画像の固着を検知する処理を行うことを決定する
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記第1のコントローラは、
カメラから入力された画像を加工して前記第2のコントローラに出力し、
前記第2のコントローラは、
前記第1のコントローラ又は前記カメラから入力された画像を出力し、
前記第1のコントローラからの画像入力が開始された場合に、入力される画像の固着を検知する処理を行うことを決定し、
前記第1のコントローラからの画像入力が開始されていない場合であって、前記カメラからの画像入力が開始された場合に、入力される画像の固着を検知する処理を行わないことを決定する
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記第1のコントローラは、
車両のギアの変更を示す信号を受信した場合に、前記車両に備えられたカメラから入力された画像を加工して前記第2のコントローラに出力し、
前記第2のコントローラは、
前記信号を受信した場合に、前記カメラから入力された画像を出力するとともに、前記第1のコントローラからの画像入力が開始されたか否かを確認し、
前記第1のコントローラからの画像入力が開始されたことを確認した場合に、入力される画像の固着を検知する処理を行うことを決定する
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記第1のコントローラは、
車両のギアがリバースに変更されたことを示す信号を受信した場合に、前記車両に備えられたカメラから入力された画像を加工して前記第2のコントローラに出力する処理を開始し、
前記第2のコントローラは、
前記信号を受信した場合に、前記カメラから入力された画像を出力するとともに、前記第1のコントローラからの画像入力が開始されたか否かを確認し、
前記第1のコントローラからの画像入力が開始されたことを確認した場合に、入力される画像の固着を検知することを決定する
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項6】
画像を生成する第1のコントローラと、前記第1のコントローラ又は前記第1のコントローラ以外の装置から入力された画像を出力する第2のコントローラと、を備えたコンピュータが実行する画像処理方法であって、
前記第2のコントローラは、
前記第1のコントローラからの画像入力が開始されたか否かに応じて、入力される画像の固着を検知する処理を行うか否かを決定する
画像処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理を行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像の出力に関する処理を行う装置に備えられた2つのプロセッサ(例えば、マイコン又はCPU(Central Processing Unit))のうち、一方のプロセッサが、他方のプロセッサの異常に対応する技術が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、第1のCPUと第2のCPUを備えた車両用データ処理装置が記載されている。第1のCPUは、カメラによって撮影された画像にガイド線及びHMI(Human Machine Interface)表示を付加した画像を出力する。第2のCPUは、第1のCPUの起動が完了していない場合、又は第1のCPUを含む基板の動作に異常が発生した場合に、第1のCPUに代わって、カメラによって撮影された画像をそのまま出力する。
【0004】
また、例えば、特許文献2には、メインマイコンと追加マイコンが備えられた車両用表示システムが記載されている。メインマイコンは、車外の映像に基づく複数フレームの表示画像を順番に出力する。追加マイコンは、メインマイコンから出力される複数のフレームの変化を基に、表示画像のフリーズ(固着)を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014-197370号公報
【特許文献2】特開2018-79839号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の技術には、出力される画像の固着を効率良く検知できない場合があるという問題がある。
【0007】
例えば、特許文献1には、第1のCPUを含む基板の異常検知を、どのような期間に行うかが記載されていない。特許文献1に記載の技術においては、第1のCPUが画像を出力していない間は、第2のCPUが画像を出力する。また、第2のCPUは、カメラによって撮影された画像をそのまま出力するため、固着のような異常が発生しづらいことが考えられる。そのため、特に第1のCPUが画像を出力していない期間に固着検知を含む異常検知を行うことは、特に画像の異常を検知するという目的においては無駄な場合がある。
【0008】
また、例えば、特許文献2には、メインマイコンの動作状況、特にメインマイコンが特にどのような画像を出力しているかに応じて、追加マイコンが固着の検出を行うことが記載されていない。メインマイコンが出力する画像によっては、固着が発生する可能性が非常に低いこともあるため、メインマイコンの動作状況を考慮せずに固着の検出を行う場合、無駄が発生することが考えられる。
【0009】
このように、従来の技術では、無駄な処理、及び検知漏れが発生することから、画像の固着検知を効率良く行うことができない場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る画像処理装置は、画像を生成する第1のコントローラと、第1のコントローラ又は第1のコントローラ以外の装置から入力された画像を出力する第2のコントローラと、を備える。第2のコントローラは、第1のコントローラからの画像入力が開始されたか否かに応じて、入力される画像の固着を検知する処理を行うか否かを決定する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、画像の固着を効率良く検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、画像処理装置の構成例を示す図である。
図2図2は、画像処理装置によって実行される処理のタイムチャートである。
図3図3は、電源MCUの処理の流れを示すフローチャートである。
図4図4は、SoCの処理の流れを示すフローチャートである。
図5図5は、映像ICの処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する画像処理装置及び画像処理方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0014】
図1を用いて、画像処理装置の構成を説明する。図1は、画像処理装置の構成例を示す図である。
【0015】
図1に示す画像処理装置10は、車両に搭載される。画像処理装置10は、カメラ20及び車両制御装置30と接続される。画像処理装置10は、例えばCAN(Controller Area Network)通信により、カメラ20及び車両制御装置30との間でデータの送受信を行う。
【0016】
カメラ20は、車両に備えられる。本実施形態では、カメラ20は車両の後部に備えられる。例えば、カメラ20は、車両が後方に進行する際に車両の後方を撮影する。
【0017】
なお、カメラ20は、車両の前方及び車両の内部を撮影するものであってもよい。また、カメラ20は、車両の周囲を撮影するいわゆる全周囲カメラであってもよい。
【0018】
車両制御装置30は、車両を制御する。車両制御装置30は、例えばECU(Electronic Control Unit)である。車両制御装置30は、車両の動作に応じた信号を他の装置に送信する。例えば、車両制御装置30は、車両のギアがリバースに変更されたことを示すREV信号を送信する。
【0019】
画像処理装置10は、ディスプレイに画像を表示する。画像処理装置10は、入力された画像を加工することなくそのまま表示することができる。また、画像処理装置10は、入力された画像を加工することができる。また、画像処理装置10は、加工した画像を表示することができる。なお、ここでいう画像には、静止画像及び動画像の両方が含まれる。以降の説明では、動画像を映像と呼ぶ場合がある。
【0020】
なお、画像処理装置10には、撮影された車両の外部又は内部の画像、カーナビゲーションシステムの画面、車両に関する情報をドライバに提示するための画面、娯楽用の映像コンテンツ等が入力される。画像処理装置10は、画像だけでなく音声を出力することができる。画像処理装置10は、ディスプレイオーディオと呼ばれる場合がある。
【0021】
次に、画像処理装置10の構成及び動作について説明する。以下では、まず、画像処理装置10の構成について説明した後に、画像処理装置10の各構成における動作について説明することとする。
【0022】
[画像処理装置の構成]
図1に示すように、画像処理装置10は、表示部11、映像IC(Integrated Circuit)12、SoC(System on a Chip)13、記憶部14、電源MCU(Micro Controller Unit)15、及び信号検知回路16を備える。
【0023】
表示部11は、入力された信号を基に画像を表示する。表示部11は、例えば液晶ディスプレイ又は有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイである。
【0024】
映像IC12は、画像に関する処理を行うICである。映像IC12は、A/D変換回路121、映像MCU122、MUX(multiplexer)123及びレジスタ124を備える。
【0025】
A/D変換回路121は、入力されたアナログ信号をデジタル信号に変換する。A/D変換回路121は、変換によって得られたデジタル信号を出力する。
【0026】
映像MCU122は、送受信される信号、及び記憶装置に記憶されたデータを監視する。また、映像MCU122は、映像の固着を検知する処理を行う。
【0027】
例えば、映像MCU122は、映像におけるビューポイントと呼ばれる1つ以上の特定の画素(又は領域)が、一定時間変化しなかった場合に当該映像が固着していることを検知する。また、例えば、映像MCU122は、SoC13から出力された映像に対して固着検知を行う。なお、映像MCU122による固着検知の方法、及び固着検知の対象の映像はここで説明したものに限られない。
【0028】
MUX(multiplexer)123は、複数の信号を統合する。また、MUX123は、統合した信号を出力する。
【0029】
レジスタ124は、MCUの状態に関する情報を記憶する。
【0030】
SoC13は、入力された画像を加工する。SoC13は、加工した画像を出力する。SoC13が加工した画像を出力する処理を生成と呼ぶ。すなわち、SoC13は画像を生成する。
【0031】
SoC13は、HMIの追加、カメラ画像へのオブジェクト(ガイド線、コーションメッセージ等)の描画、I(Interlace)/P(Progressive)変換等を行う。
【0032】
例えば、SoC13は、カメラ20が車両の後方を撮影する場合、撮影された画像に車両の進路を予測するガイド線を重畳表示させる。
【0033】
例えば、SoC13は、カメラ20が車両の周囲を撮影する場合、撮影された画像をつなぎ合わせ、車両を上空から見下ろした鳥瞰視点の画像を生成する。
【0034】
記憶部14は、映像のデータを記憶する。記憶部14は、例えばフラッシュメモリである。
【0035】
電源MCU15は、入力された信号に応じて複数の装置に対して信号を出力する。
【0036】
信号検知回路16は、入力された信号の電圧の変化に応じた信号を出力する。例えば、信号検知回路16は、入力された信号の電圧が閾値を超えたか否かを二値の信号として出力する。
【0037】
ここで、第1のコントローラ及び第2のコントローラ(以降、区別せずにコントローラと呼ぶ)は、コンピュータのCPUがコントローラとして機能し、ROM(Read Only Memory)に記憶されたプログラムを読み出して実行することによって実現される。
【0038】
SoC13は、第1のコントローラの一例である。映像MCU122は、第2のコントローラの一例である。
【0039】
また、コントローラは、CPU、DSP(Digital Signal Processor)、ECU、FPGA(Field Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)等によって実現されてもよい。
【0040】
また、コントローラは、単一のプロセッサであってもよいし、マルチプロセッサ構成であってもよい。また、コントローラは、単一のソケットで接続される単一のチップ内に複数のコアを有するマルチコア構成であってもよい。
【0041】
[画像処理装置の動作]
図2を用いて、画像処理装置10の動作を説明する。図2は、画像処理装置によって実行される処理のタイムチャートである。なお、以降の説明において、時刻taから時刻t(ただしt≧t)までの時間をt-tのように表記する。
【0042】
また、初期状態では、映像MCU122は映像の固着検知を行わないものとする。
【0043】
カメラ20は、撮影した画像を画像処理装置10に入力する。カメラ20は、撮影を行っていない間は画像処理装置10に画像を入力しない。
【0044】
カメラ20は、特定の条件が満たされている場合に撮影を行う。カメラ20は、車両のギアがリバースである場合に撮影を行うものとする。カメラ20は、車両のギアの情報を車両制御装置30から取得する。
【0045】
車両制御装置30は、車両のギアがリバースに変更された場合、画像処理装置10にREV信号を送信する。
【0046】
信号検知回路16は、REV信号の電圧が閾値を超えた場合(時刻t)、REV-DET信号を電源MCU15に送信する(時刻t)。
【0047】
電源MCU15は、REV-DET信号を受信すると、映像IC12及びSoC13に対してREV-OUT信号を送信する(時刻t)。
【0048】
SoC13は、REV-OUT信号を受信すると、カメラ20から入力された画像を加工する処理を開始する(時刻t)。
【0049】
このとき、A/D変換回路121は、カメラ20から出力された画像をSoC13に出力しているものとする。A/D変換回路121は、映像MCU122を介して画像をSoC13に出力してもよいし、画像を直接SoC13に出力してもよい。
【0050】
SoC13は、時刻tに、映像IC12との間でI2C(Inter-Integrated Circuit)通信を確立する処理を開始する(UBOOT1)。そして、SoC13は、時刻tに、画像処理を行うためにプログラム及びデータをメインメモリへ展開する処理(UBOOT2)を開始する。さらに、SoC13は、時刻tに、実際に画像を加工する処理(Kernel)を開始する。その後、SoC13は、時刻tに、加工済みの画像(SoCカメラ画像)の出力を開始する。
【0051】
映像IC12は、I2C通信が確立すると(時刻t)、表示部11が出力する映像をバイパスカメラ画像に切り替える処理を開始する。なお、ここで説明する映像IC12の処理は、実際には映像MCU122によって行われてもよい。
【0052】
この時点では、表示部11は、映像として黒画像を出力しているものとする。また、映像IC12は、バイパスカメラ画像への切り替えが行われるまでは、記憶部14から取得したデータに基づく映像を表示部11に出力させてもよい。
【0053】
映像IC12は、映像を切り替える処理が終了すると(時刻t)、バイパスカメラ画像を表示部11に出力する。バイパスカメラ画像は、カメラ20から入力された画像であって、SoC13による加工が行われていない画像である。
【0054】
時刻tに、SoC13によるSoCカメラ画像の出力が開始される。また、時刻tに、映像IC12及び表示部11によるSoCカメラ画像の出力が開始される。
【0055】
さらに、時刻t、又は時刻tとほぼ同時に映像MCU122による固着検知が有効になる。なお、時刻tとほぼ同時とは、時刻tから後に説明する監視周期だけ時間が経過するまでの間である。
【0056】
このように、映像MCU122は、バイパスカメラ画像が出力されている間は固着検知を無効化しておき、バイパスカメラ画像と比べて固着する可能性が高いSoCカメラ画像が出力されている間は固着検知を有効化する。これにより、SoCカメラ画像の固着検知を無駄なく行うことが可能になる。
【0057】
[固着検知の有効化手順]
映像IC12には、SoC13又はSoC13以外の装置(例えばカメラ20)から画像が入力される。そして、映像IC12は、SoC13又はSoC13以外の装置から入力された画像を出力する。
【0058】
ここで、レジスタ124の特定のアドレスには、画像の入力元に応じて変化する値が格納されている。この値は、SoC13からSoCカメラ画像の入力が開始された際に変化する。当該アドレスの値は、例えばSoCカメラ画像が入力中であることを示す値と、カメラ20からの画像が入力中であることを示す値との2種類の値を持つ二値であってもよい。
【0059】
映像MCU122は、画像の入力元に応じて変化するレジスタ124の値を参照し、当該値がSoC13から画像が入力されていることを示している場合に、固着検知を有効化する。固着検知を有効化することは、入力される画像の固着を検知する処理を行うことを決定すること、及び実際に固着検知を開始することを含む。
【0060】
このように、映像MCU122は、レジスタ124の特定の値を参照するだけで、容易に固着検知を有効化するタイミングを判断できる。
【0061】
このように、映像MCU122は、SoC13からの画像入力が開始されたか否かに応じて、入力される画像の固着を検知する処理を行うか否かを決定する。
【0062】
例えば、映像MCU122は、特定の監視周期(例えば1ms~5ms程度)でレジスタ124を監視することで、タイムラグを発生させることなく固着検知を有効化できる。その結果、画像処理装置10は、出力される画像の固着を効率良く検知できる。
【0063】
また、映像MCU122は、レジスタ124の値がカメラ20から画像が入力されていることを示している場合、固着検知を無効化する。すなわち、映像MCU122は、SoC13からの画像入力が開始されていない場合であって、カメラ20からの画像入力が開始された場合に、入力される画像の固着を検知する処理を行わないことを決定する。
【0064】
これにより、映像MCU122は、固着検知の有効化だけでなく、固着検知の無効化を、タイムラグを発生することなく行うことができる。その結果、画像処理装置10は、出力される画像の固着をさらに効率良く検知できる。
【0065】
なお、レジスタ124の値は、SoCカメラ画像が入力中であるか否かを優先的に示すものであってもよい。その場合、SoC13とカメラ20の両方から映像IC12に画像が入力されている場合、レジスタ124の値は、SoCカメラ画像が入力中であることを示す値となる。SoC13から映像IC12に画像が入力されていない場合、レジスタ124の値は、カメラ20からの画像が入力中であることを示す値となる。
【0066】
前述の特許文献1又は特許文献2に記載の技術において発生する無駄をなくすため、例えばREV信号の発生時点(時刻t)から一定時間が経過した後に画像の固着検知を開始することが考えられる。この場合、実際に画像の出力が開始されるタイミングと、固着検知が開始されるタイミングとの間にタイムラグが生じ、検知漏れが発生することがあり得る。
【0067】
例えば、REV信号の発生時点から2.5秒が経過したタイミングで固着検知を有効化する場合を考える。時刻tからSoC13がKernelを実行中のある時点(時刻t)までの時間t-tが2秒程度である。そして、tから2.5秒が経過した時刻tは、tより後である。
【0068】
このため、時間t-tだけタイムラグが発生する。また、タイムラグの間に検知漏れが発生する可能性がある。なお、SoCカメラ画像の出力が開始される前に、時刻tから2.5秒が経過した場合は、固着検知が無駄に有効化される期間が発生する。
【0069】
本実施形態によれば、固着検知が無駄に有効化される期間が削減されるだけでなく、タイムラグによる検知漏れが生じることが防止される。
【0070】
図2の例では、SoC13は、車両のギアがリバースに変更されたことを示す信号(REV-OUT信号)を受信した場合に、車両に備えられたカメラ20から入力された画像を加工して映像MCU122に出力する処理を開始する。また、映像MCU122は、REV-OUT信号を受信した場合、カメラ20から入力された画像を出力するとともに、SoC13からの画像入力が開始されたか否かを確認する。そして、映像MCU122は、SoC13からの画像入力が開始されたことを確認した場合に、入力される画像の固着を検知することを決定する。
【0071】
なお、SoC13及び映像MCU122が処理を開始するトリガは、上記のREV-OUT信号に限られず、車両のギアの変更を示す任意の信号であってよい。
【0072】
これにより、映像MCU122は、車両の動作に追従して固着検知を有効化することができる。その結果、画像処理装置10は、車両の動作に合わせて、出力される画像の固着をさらに効率良く検知できる。
【0073】
[画像処理装置の処理の流れ]
フローチャートを用いて、電源MCU15、映像IC12、SoC13の処理の流れを説明する。
【0074】
図3は、電源MCUの処理の流れを示すフローチャートである。図3に示すように、電源MCU15は、特定の信号が発生するまで待機する(ステップS101、No)。すなわち、電源MCU15は、車両制御装置30から信号検知回路16を介して特定の信号(例えばREV-DET信号)を受信するまで待機する。
【0075】
特定の信号が発生すると(ステップS101、Yes)、電源MCU15は、映像IC12とSoC13に信号が発生したことを通知する(ステップS102)。すなわち、電源MCU15は、特定の信号(例えばREV-DET)を受信すると、当該信号の発生を映像IC12とSoC13で解釈可能な形式(例えばREV-OUT信号)で通知する。
【0076】
図4は、SoCの処理の流れを示すフローチャートである。図4に示すように、SoC13は、特定の信号が発生したことが通知されるまで待機する(ステップS201、No)。すなわち、SoC13は、電源MCU15から通知に相当する信号(例えばREV-OUT信号)を受信するまで待機する。
【0077】
特定の信号が発生したことが通知されると(ステップS201、Yes)、SoC13は、映像IC12から取得したカメラ画像(カメラ20によって撮影された画像)を基にSoCカメラ画像を生成する(ステップS202)。そして、SoC13は、生成した画像を映像IC12に出力する(ステップS203)。
【0078】
すなわち、ステップS203以降は、映像IC12にSoC13によって加工されたカメラ画像が入力される。
【0079】
図5は、映像ICの処理の流れを示すフローチャートである。図5に示す各処理は、映像MCU122によって実行される。図5に示すように、映像MCU122は、特定の信号が発生したことが通知されるまで待機する(ステップS301、No)。すなわち、映像MCU122は、電源MCU15から通知に相当する信号(例えばREV-OUT信号)を受信するまで待機する。
【0080】
特定の信号が発生したことが通知されると(ステップS301、Yes)、映像MCU122は、SoC13からSoC画像(SoCから入力される画像)が取得可能であるか否かを確認する(ステップS302)。
【0081】
映像MCU122は、SoC13からSoC画像を取得可能であれば(ステップS302、Yes)、表示部11にSoC画像を出力する(ステップS303)。
【0082】
一方、映像MCU122は、SoC13からSoC画像を取得可能でなければ(ステップS302、No)、表示部11にバイパスカメラ画像(カメラ画像そのもの)を出力する(ステップS304)。
【0083】
すなわち、映像MCU122は、SoC13による画像の出力が開始された後は、SoC画像を出力する。
【0084】
なお、映像IC12は、映像MCU122を介さずにA/D変換回路121及びMUX123を介して表示部11に直接バイパスカメラ画像を出力してもよい。
【0085】
ここで、映像MCU122は、レジスタ124の値を確認する(ステップS305)。当該レジスタ124の値には、映像IC12にSoC13から画像が入力されているか否かが示されている。
【0086】
レジスタ124の値が映像IC12にSoC13から画像が入力されていないことを示す値である場合(ステップS305、バイパスカメラ側)、映像MCU122は、固着検知を無効化する(ステップS306)。すなわち、映像MCU122は、バイパスカメラ画像については固着検知を行わない。
【0087】
なお、SoC13から映像IC12へ画像が入力されていない場合の画像の入力元は、バイパスカメラに限られず、例えば記憶部14等にあらかじめ保存された画像であってもよい。
【0088】
一方、レジスタ124の値が映像IC12にSoC13から画像が入力されていることを示す値である場合(ステップS305、SoC側)、映像MCU122は、固着検知を有効化する(ステップS307)。すなわち、映像MCU122は、SoC画像については固着検知を行う。
【0089】
ステップS306又はステップS307の後、映像MCU122はステップS302に戻る。
【0090】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細及び代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲及びその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神又は範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0091】
10 画像処理装置
11 表示部
12 映像IC
13 SoC
14 記憶部
15 電源MCU
16 信号検知回路
20 カメラ
30 車両制御装置
121 A/D変換回路
122 映像MCU
123 MUX
124 レジスタ
図1
図2
図3
図4
図5