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特開2024-65642導電性被膜、除電構造、掃除機用ダストカップ、掃除機用吸込み口体、空気調和機及び掃除機用ハンドル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024065642
(43)【公開日】2024-05-15
(54)【発明の名称】導電性被膜、除電構造、掃除機用ダストカップ、掃除機用吸込み口体、空気調和機及び掃除機用ハンドル
(51)【国際特許分類】
   H05F 3/04 20060101AFI20240508BHJP
   A47L 9/10 20060101ALI20240508BHJP
   A47L 9/02 20060101ALI20240508BHJP
   A47L 9/28 20060101ALI20240508BHJP
   H01T 19/04 20060101ALI20240508BHJP
   F24F 13/20 20060101ALI20240508BHJP
【FI】
H05F3/04 B
A47L9/10 D
A47L9/02 Z
A47L9/28 D
H01T19/04
F24F1/0007 401C
【審査請求】未請求
【請求項の数】25
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022174619
(22)【出願日】2022-10-31
(71)【出願人】
【識別番号】391044797
【氏名又は名称】株式会社コーワ
(72)【発明者】
【氏名】中川 和紀
【テーマコード(参考)】
3B057
3B061
3B062
3L051
5G067
【Fターム(参考)】
3B057DB00
3B061AA06
3B061AA17
3B062AG08
3L051BJ10
5G067AA41
5G067DA01
5G067DA14
(57)【要約】
【課題】 製造が容易であると共に、耐久性に優れ、帯電部材が樹脂製品の場合にも容易に適用することができ、中和除電効果又は帯電防止効果を最大限発揮させることができる導電性被膜を提供する。
【解決手段】 帯電部材の中和除電を引き起こし、又は帯電を抑制させる導電性被膜10であって、導電性被膜10は平面視した状態で、複数の放電突起1、1・・が略全域に亘り、略均等配置されていると共に、放電突起1の突出方向は厚み方向に対して略垂直方向に形成されており、放電突起1の交わる2辺の内角が90度未満となるようにした。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯電部材の中和除電を引き起こし、又は帯電を抑制させる導電性被膜であって、
導電性被膜は平面視した状態で、複数の放電突起が略全域に亘り、略均等配置されていると共に、前記放電突起の突出方向は厚み方向に対して略垂直方向に形成されており、前記放電突起の交わる2辺の内角が90度未満であることを特徴とする導電性被膜
【請求項2】
帯電部材の中和除電を引き起こし、又は帯電を抑制させる導電性被膜であって
導電性被膜は平面視した状態で、複数の放電突起が並ぶ放電ユニットを2個有しており、
互いの前記放電ユニットは、前記放電突起が対向するように配置されており、
一方の前記放電ユニットの前記放電突起の先端部は、他方の前記放電ユニットの前記放電突起の根元部の近傍に形成されており、
前記放電突起の突出方向は厚み方向に対して略垂直方向に形成されており、
前記導電性被膜は平面視した状態で、前記放電突起の先端部及びその近傍が周囲の前記導電性被膜から離隔されていることを特徴とする導電性被膜
【請求項3】
導電性被膜は平面視した状態で、隣り合う放電突起の先端部同士の最短の距離は、放電突起の根元部の最大幅の距離以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の導電性被膜
【請求項4】
導電性被膜は平面視した状態で、複数の放電突起の先端部が略直線上に位置するように並ぶ放電ユニットを2個有しており、
互いの前記放電ユニットは、前記放電突起が対向するように配置されると共に、互いの前記放電突起の先端部は、各々の前記放電突起の先端部を結ぶ線により形成された仮想線を超えて形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の導電性被膜
【請求項5】
放電突起は、交わる2辺の一方又は両方の辺の略根本部近傍に、前記放電突起よりも突出長さが短い補助突起が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の導電性被膜
【請求項6】
帯電部材は略板状であると共に、一方の側面側に形成された帯電箇所と、相対する裏面側の位置に、請求項1又は2に記載の導電性被膜が形成されていることを特徴とする除電構造
【請求項7】
略有底円筒形状のケースと、該ケースの天面側を覆う吸気口を備えた蓋体と、を有し、前記ケースの表層に、請求項1又は2に記載の導電性被膜が形成されていることを特徴とする掃除機用ダストカップ
【請求項8】
ケースは、吸気口から吸いこまれる空気及び塵埃が最初に接触する底面又は側面に、導電性被膜が形成されていることを特徴とする請求項7に記載の掃除機用ダストカップ
【請求項9】
ケースは、底面から側面に亘り、導電性被膜が連続的に形成されていることを特徴とする請求項7に記載の掃除機用ダストカップ
【請求項10】
導電性被膜の放電突起の突出方向が、導電性被膜の近傍を流れる気流の方向と略同一方向となるように形成されていることを特徴とする請求項7に記載の掃除機用ダストカップ
【請求項11】
掃除機本体からケース及び蓋体を着脱可能に固定する操作部を有し、前記操作部は、導電性被膜よりも抵抗値が大であることを特徴とする請求項7に記載の掃除機用ダストカップ
【請求項12】
ケースは、帯電列において、塵埃よりもマイナスに帯電しやすい材質であることを特徴とする請求項7に記載の掃除機用ダストカップ
【請求項13】
下面に塵埃等を吸引するための開口を備えた吸込み口と、一端が吸込み口と連通すると共に、他端が電動送風機を備えた掃除機本体と連通するための吸引管と、を有し、
前記吸込み口又は前記吸引管の表層に、請求項1又は2のいずれか1項に記載の導電性被膜が形成されていることを特徴とする掃除機用吸込み口体
【請求項14】
吸込み口は、使用時の前進方向の外側面に導電性被膜が形成されていることを特徴とする請求項13に記載の掃除機用吸込み口体
【請求項15】
吸込み口は、被清掃面と略平行に当接する下面の帯電箇所の裏側に導電性被膜が形成されていることを特徴とする請求項13に記載の掃除域用吸込み口体
【請求項16】
吸込み口は、開口から吸引した塵埃を集約する吸込み室と、該吸込み室の内部に回転可能に軸支された回転清掃体と、該回転清掃体を回転させる駆動手段を内包する駆動室と、を有し、前記駆動室の内側面又は外側面に導電性被膜が形成されていることを特徴とする請求項13に記載の掃除機用吸込み口体
【請求項17】
吸込み口は、開口から吸引した塵埃を集約する吸込み室と、吸込み室の内部に回転可能に軸支された回転清掃体と、を有し、前記吸込み室は、前記回転清掃体の近傍の内壁面であって、吸引される気流の方向と放電突起の突出方向が略同一方向となるように導電性被膜が形成されていることを特徴とする請求項13に記載の掃除機用吸込み口体
【請求項18】
吸込み口は、開口と吸引管とを連通させると共に、前記開口から吸引した塵埃を集約する吸込み室を有し、前記吸込み室は、吸引管側に向かい内径が狭まる狭小部に導電性被膜が形成されていることを特徴とする請求項13に記載の掃除機用吸込み口体
【請求項19】
被清掃面を走行可能に吸込み口に回転軸が軸支された車輪を有し、前記車輪の回転軸の長手方向と略平行に前記吸込み口に形成された面であって、且つ前記車輪の周面と対向する面に、導電性被膜が形成されていることを特徴とする請求項13に記載の掃除機用吸込み口体
【請求項20】
吸込み口を、被清掃面であって水平面に設置した状態において、前記吸込み口の下面であると共に、前記被清掃面と当接しない面に、導電性被膜が形成されていることを特徴とする請求項13に記載の掃除機用吸込み口体
【請求項21】
吸引管は、気流又は塵埃等が接触する部材の内面又は外面であって、鉛直下方側に導電性被膜が形成されていることを特徴とする請求項13に記載の掃除機用吸込み口体
【請求項22】
空気調和機本体と、該空気調和機本体に室内の空気を吸引する吸引口と、該吸引口から吸引された空気を熱交換する熱交換機と、前記吸引口から前記熱交換機に空気を誘導する送風ファンと、前記熱交換機より熱交換された空気を室内に吹出す吹出し口と、該吹出し口に設けられ前記吹出し口から吹出される空気の風向を調整するルーバーと、を有し、
前記ルーバーは略板状であって、気流の風向を調整する面の上流側に、放電突起の突出方向が下流側に向くように、請求項1又は2に記載の導電性被膜が形成されていることを特徴とする空気調和機
【請求項23】
空気調和機本体と、該空気調和機本体に室内の空気を吸引する吸引口と、該吸引口から吸引された空気を熱交換する熱交換機と、前記吸引口から前記熱交換機に空気を誘導する送風ファンと、前記熱交換機より熱交換された空気を室内に吹出す吹出し口と、該吹出し口に設けられ前記吹出し口から吹出される空気の風向を調整するルーバーと、を有し、
前記ルーバーは略板状であって、気流の風向を調整する面の裏面に、略全域に亘り請求項1又は2に記載の導電性被膜が形成されていることを特徴とする空気調和機
【請求項24】
塵埃等を吸引するための開口を備えた吸込み口に一端が連通すると共に、他端が電動送風機を備えた掃除機本体と直接又は間接的に連通する連結管部と、
前記連結管部に固定されると共に、電動送風機の動作を制御する操作スイッチを有するグリップ部と、を有する掃除機用ハンドルにおいて、
前記グリップ部は、内部に前記操作スイッチからの信号を受ける制御基板と、該制御基板と電気的に接続される配線と、前記制御基板及び前記配線が収容された基板収容室とを備えており、
前記基板収容室の内壁面に請求項1又は2に記載の導電性被膜が形成されていることを特徴とする掃除機用ハンドル
【請求項25】
導電性被膜は、制御基板の近傍に形成されていることを特徴とする請求項24に記載の掃除機用ハンドル
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯電部材を中和除電させ、又は帯電を抑制させる自己放電式の導電性被膜と、この導電性被膜が形成された、除電構造、掃除機用ダストカップ、掃除機用吸込み口体、空気調和機及び掃除機用ハンドルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、帯電部材に容易に着脱できる静電気帯電防止用貼着シートが知られている(特許文献1)。
【0003】
特許文献1に記載の静電気帯電防止用貼着シートは、導電性糸を織ることによってシート状に形成されたシート体と、該シート体の一方の面側に設けられた絶縁性粘着層と、該絶縁性粘着層の表面に剥離可能に設けられた離型紙とを具備し、前記離型紙を剥離して絶縁性粘着層を帯電部材の表面に貼着し得る如く構成し、前記シート体の外周側に、導電性糸を所定長さ突出させた集電部を設けたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3048117号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら上記特許文献1に記載の静電気帯電防止用貼着シートは、集電部が導電性糸を所定長さ突出させたものであることから、製造コストが嵩むと共に破損し易く耐久性に課題を有するものであった。また、帯電部材が樹脂製品の場合にも容易に適用することができ、中和除電効果又は帯電防止効果を最大限発揮させることができる構造の導電性被膜が必要とされていた。
【0006】
本発明は、前記従来の課題を解決するものであり、製造が容易であると共に、耐久性に優れ、帯電部材が樹脂製品の場合にも容易に適用することができ、中和除電効果又は帯電防止効果を最大限発揮させることができる導電性被膜と、この導電性被膜が形成された、除電構造、掃除機用ダストカップ、掃除機用吸込み口体、空気調和機及び掃除機用ハンドルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記従来の課題を解決するために、請求項1の発明は、帯電部材の中和除電を引き起こし、又は帯電を抑制させる導電性被膜であって、前記導電性被膜は平面視した状態で、複数の放電突起が略全域に亘り、略均等配置されていると共に、前記放電突起の突出方向は厚み方向に対して略垂直方向に形成されており、前記放電突起の交わる2辺の内角が90度未満であることを特徴としている。
【0008】
請求項1の発明では、放電突起の突出方向は厚み方向に対して略垂直方向に形成されており、放電突起の交わる2辺の内角が90度未満となるようにしているので、突起周辺の電界をより強く集中させることによって、コロナ放電による中和除電効果を高くすることができる。ここで、一般的に被膜の側面と表面とが交わる角は略直角であり、該略直角は被膜の外周全域に形成されておりコロナ放電しうるが、本発明の放電突起は2辺の内角が90度未満であるから、前記略直角より優先してコロナ放電が行われることで、突出方向への放電効率を高めることができる。さらに、複数の放電突起が導電性被膜の略全域に亘り、略均等に配置されているため、導電性被膜が形成された箇所を均等に除電させることができる。
【0009】
請求項2の発明は、帯電部材の中和除電を引き起こし、又は帯電を抑制させる導電性被膜であって導電性被膜は平面視した状態で、複数の放電突起が並ぶ放電ユニットを2個有しており、互いの前記放電ユニットは、前記放電突起が対向するように配置されており、一方の前記放電ユニットの前記放電突起の先端部は、他方の前記放電ユニットの前記放電突起の根元部の近傍に形成されており、前記放電突起の突出方向は厚み方向に対して略垂直方向に形成されており、前記導電性被膜は平面視した状態で、前記放電突起の先端部及びその近傍が周囲の前記導電性被膜から離隔されていることを特徴としている。
【0010】
請求項2の発明では、2個の放電ユニットの放電突起が対向するように配置されているのでより多くの放電突起を効率的に配置することができ、帯電部材を広範囲且つ均等に除電させることができる。また、一方の放電ユニットの放電突起の先端部は、他方の放電ユニットの放電突起の優角となる根元部の近傍に形成されているので、中和除電効果の及ぶ領域を、電界が集中しづらく且つコロナ放電が起きにくい放電突起の根元部まで広げることができ、帯電部材を広範囲且つ均等に除電させることができる。また、導電性被膜は平面視した状態で、放電突起の先端部及びその近傍が周囲の導電性被膜から離隔されているので、帯電部材との間でコロナ放電を促進させることができる。
【0011】
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、導電性被膜は平面視した状態で、隣り合う放電突起の先端部同士の最短の距離は、放電突起の根元部の最大幅の距離以上であることを特徴としている。これにより、各々の放電突起の先端部周辺に帯電部材を十分配置することができ、効率よく除電領域を確保することができる。
【0012】
請求項4の発明は、請求項1又は2の発明において、導電性被膜は平面視した状態で、複数の放電突起の先端部が略直線上に位置するように並ぶ放電ユニットを2個有しており、互いの前記放電ユニットは、前記放電突起が対向するように配置されると共に、互いの前記放電突起の先端部は、各々の前記放電突起の先端部を結ぶ線により形成された仮想線を超えて形成されていることを特徴としている。これにより、一方の放電突起の先端部を、他方の放電突起の根元部の近傍まで確実に配置することができるため、さらに帯電部材を広範囲且つ均等に除電させることができる。
【0013】
請求項5の発明は、請求項1又は2の発明において、放電突起は、交わる2辺の一方又は両方の辺の略根本部近傍に、前記放電突起よりも突出長さが短い補助突起が形成されていることを特徴としている。これにより、中和除電効果の及ぶ領域を、電界が集中しづらく且つコロナ放電が起きにくい放電突起の根元部まで広げることができ、帯電部材を広範囲且つ均等に除電させることができる。
【0014】
請求項6の発明は、除電構造の発明であって、帯電部材は略板状であると共に、一方の側面側に形成された帯電箇所と、相対する裏面側の位置に、請求項1又は2の導電性被膜が形成されていることを特徴としている。これにより、導電性被膜の帯電部材側に、帯電面に溜まる電荷とは逆の電荷が引き寄せられることとなり、帯電面の電界強度が低下すると共に、導電性被膜のコロナ放電によって、帯電部材の帯電箇所と相対する裏面側近傍にも逆の電荷が増加するため、帯電面の電界強度をさらに低下させることができる。
【0015】
請求項7の発明は、掃除機用ダストカップの発明であって、略有底円筒形状のケースと、該ケースの天面側を覆う吸気口を備えた蓋体と、を有し、前記ケースの表層に、請求項1又は2に記載の導電性被膜が形成されていることを特徴としている。これにより、ケースの表層で帯電面側に導電性被膜が形成されている場合には、コロナ放電による中和除電効果が及ぼされる。また、帯電面と相対する面に導電性被膜が形成されている場合には、導電性被膜の帯電面側に、帯電面に溜まる電荷とは逆の電荷が引き寄せられることとなり、帯電面の電界強度が低下すると共に、導電性被膜のコロナ放電によって、帯電面と相対する面側近傍に逆の電荷が増加するため、帯電面の電界強度をさらに低下させることができる。
【0016】
請求項8の発明は、請求項7の発明において、ケースは、吸気口から吸いこまれる空気及び塵埃が最初に接触する底面又は側面に、導電性被膜が形成されていることを特徴としている。これにより、帯電し易い箇所に導電性被膜を形成して、コロナ放電を引き起こしやすくすると共に、塵埃が付着しやすい高帯電部位に中和除電効果を及ぼさせることができ、ケース表層への塵埃の付着を効率的に改善することができる。
【0017】
請求項9の発明は、請求項7の発明において、ケースは、底面から側面に亘り、導電性被膜が連続的に形成されていることを特徴としている。これにより、帯電が起こり易いケースの底面から側面に亘り塵埃が付着するのを防止できると共に、特にケース内から塵埃が離れやすくなるため、ごみ捨てを容易にできる。
【0018】
請求項10の発明は、請求項7の発明において、導電性被膜の放電突起の突出方向が、導電性被膜の近傍を流れる気流の方向と略同一方向となるように形成されていることを特徴としている。これにより、コロナ放電により空気分子から電離したイオンをより遠くまで運ぶことができ、除電領域を広げることができる。
【0019】
請求項11の発明は、請求項7の発明において、掃除機本体からケース及び蓋体を着脱可能に固定する操作部を有し、前記操作部は、導電性被膜よりも抵抗値が大であることを特徴としている。これにより、導電性被膜に溜まった電荷を操作部に触れた人体へと緩やかに逃がすことができ、火花放電による使用者への不快な刺激を防止することができる。
【0020】
請求項12の発明は、請求項7の発明において、ケースは、帯電列において、塵埃よりもマイナスに帯電しやすい材質であることを特徴としている。これにより、ケースの部分ごとの帯電電荷の極性のばらつきが抑制され、コロナ放電による中和除電効果を安定させることができる。
【0021】
請求項13の発明は、掃除機用吸込み口体の発明であって、下面に塵埃等を吸引するための開口を備えた吸込み口と、一端が吸込み口と連通すると共に、他端が電動送風機を備えた掃除機本体と連通するための吸引管と、を有し、前記吸込み口又は前記吸引管の表層に、請求項1又は2のいずれか1項に記載の導電性被膜が形成されていることを特徴としている。これにより、吸込み口又は吸引管の表層で帯電面側に導電性被膜が形成されている場合には、コロナ放電による中和除電効果が及ぼされる。また、帯電面と相対する面に導電性被膜が形成されている場合には、導電性被膜の帯電面側に、帯電面に溜まる電荷とは逆の電荷が引き寄せられることとなり、帯電面の電界強度が低下すると共に、導電性被膜のコロナ放電によって、帯電面と相対する面側近傍に逆の電荷が増加するため、帯電面の電界強度をさらに低下させることができる。
【0022】
請求項14の発明は、請求項13の発明において、吸込み口は、使用時の前進方向の外側面に導電性被膜が形成されていることを特徴としている。これにより、前進方向の外側面がコロナ放電による中和除電効果が及ぼされることとなり、同箇所に塵埃を付着し難くすることができる。また、被清掃面や吸引対象物に向けてもコロナ放電による効果を及ぼすことができる。
【0023】
請求項15の発明は、請求項13の発明において、吸込み口は、被清掃面と略平行に当接する下面の帯電箇所の裏側に導電性被膜が形成されていることを特徴としている。これにより、摩擦等により導電性被膜が擦り減るのを防ぐと共に、導電性被膜の帯電面側に帯電箇所に溜まる電荷とは逆の電荷が引き寄せられることとなり、帯電箇所の電界強度が低下すると共に、導電性被膜のコロナ放電によって、帯電面と相対する面側近傍に逆の電荷が増加するため、帯電面の電界強度をさらに低下させることができる。
【0024】
請求項16の発明は、請求項13の発明において、吸込み口は、開口から吸引した塵埃を集約する吸込み室と、該吸込み室の内部に回転可能に軸支された回転清掃体と、該回転清掃体を回転させる駆動手段を内包する駆動室と、を有し、前記駆動室の内側面又は外側面に導電性被膜が形成されていることを特徴としている。これにより、駆動手段は、静電気やその影響で付着する塵埃によって誤作動を起こす恐れがあるが、駆動室の内側面又は外側面に導電性被膜を形成することによって、コロナ放電により中和除電を行うことができるため、誤作動を防止することができる。
【0025】
請求項17の発明は、請求項13の発明において、吸込み口は、開口から吸引した塵埃を集約する吸込み室と、吸込み室の内部に回転可能に軸支された回転清掃体と、を有し、前記吸込み室は、前記回転清掃体の近傍の内壁面であって、吸引される気流の方向と放電突起の突出方向が略同一方向となるように導電性被膜が形成されていることを特徴としている。これにより、コロナ放電により空気分子から電離したイオンをより遠くまで運ぶことができ、除電領域を広げることができる。また、回転清掃体が除電されるため、塵埃が付着することを防止できる。
【0026】
請求項18の発明は、請求項13の発明において、吸込み口は、開口と吸引管とを連通させると共に、前記開口から吸引した塵埃を集約する吸込み室を有し、前記吸込み室は、吸引管側に向かい内径が狭まる狭小部に導電性被膜が形成されていることを特徴としている。吸引管側に向かい内径が狭まる狭小部は帯電し易いので、ここに導電性被膜を形成することによって、コロナ放電を引き起こしやすくすると共に、塵埃が付着しやすい高帯電部位に中和除電効果を及ぼさせることができ、狭小部に塵埃や異物が詰まることを防止できる。
【0027】
請求項19の発明は、請求項13の発明において、被清掃面を走行可能に吸込み口に回転軸が軸支された車輪を有し、前記車輪の回転軸の長手方向と略平行に前記吸込み口に形成された面であって、且つ前記車輪の周面と対向する面に、導電性被膜が形成されていることを特徴としている。これにより、コロナ放電により空気分子から電離したイオンを車輪に向けて運ぶことができ、効率よく車輪の中和除電を行うことができる。
【0028】
請求項20の発明は、請求項13の発明において、吸込み口を、被清掃面であって水平面に設置した状態において、前記吸込み口の下面であると共に、前記被清掃面と当接しない面に、導電性被膜が形成されていることを特徴としている。これにより、摩擦等により導電性被膜が擦り減るのを防ぐと共に、コロナ放電による中和除電効果を及ぼさせることができる。
【0029】
請求項21の発明は、請求項13の発明において、吸引管は、気流又は塵埃等が接触する部材の内面又は外面であって、鉛直下方側に導電性被膜が形成されていることを特徴としている。気流又は塵埃等が接触する部材の内面又は外面は帯電し易く、特に鉛直下方側の外面は吸込み口の使用時に地面に近づく又は接触するため塵埃が付着しやすい。また、鉛直下方側の内面においても吸引管に流入した塵埃等の衝突時に付着しやすく、これらの箇所に導電性被膜を形成することによって、コロナ放電を引き起こしやすくすると共に、塵埃が付着しやすい高帯電部位に中和除電効果を及ぼさせることができ、吸引管への塵埃の付着を効率的に改善することができる。また、吸引管を除電することで、静電気力による気流の圧力損失が減少し掃除機の吸引効率を上げることができる。
【0030】
請求項22の発明は、空気調和機の発明であって、空気調和機本体と、該空気調和機本体に室内の空気を吸引する吸引口と、該吸引口から吸引された空気を熱交換する熱交換機と、前記吸引口から前記熱交換機に空気を誘導する送風ファンと、前記熱交換機より熱交換された空気を室内に吹出す吹出し口と、該吹出し口に設けられ前記吹出し口から吹出される空気の風向を調整するルーバーと、を有し、前記ルーバーは略板状であって、気流の風向を調整する面の上流側に、放電突起の突出方向が下流側に向くように、請求項1又は2に記載の導電性被膜が形成されていることを特徴としている。ルーバーの表面は、通風が通過する際の摩擦によって帯電し易いので、ここに導電性被膜を形成することによって、コロナ放電を引き起こしやすくすると共に、塵埃が付着しやすい高帯電部位に中和除電効果を及ぼさせることができ、ルーバーへの塵埃の付着を効率的に改善することができる。また、放電突起の突出方向が下流側に向くようにすることによって、コロナ放電により空気分子から電離したイオンをより遠くまで運ぶことができ、除電領域を広げることができる。
【0031】
請求項23の発明は、空気調和機の発明であって、空気調和機本体と、該空気調和機本体に室内の空気を吸引する吸引口と、該吸引口から吸引された空気を熱交換する熱交換機と、前記吸引口から前記熱交換機に空気を誘導する送風ファンと、前記熱交換機より熱交換された空気を室内に吹出す吹出し口と、該吹出し口に設けられ前記吹出し口から吹出される空気の風向を調整するルーバーと、を有し、前記ルーバーは略板状であって、気流の風向を調整する面の裏面に、略全域に亘り請求項1又は2に記載の導電性被膜が形成されていることを特徴としている。これにより、導電性被膜の帯電面側に、帯電面に溜まる電荷とは逆の電荷が引き寄せられることとなり、帯電面の電界強度が低下すると共に、導電性被膜のコロナ放電によって、帯電面と相対する面側近傍に逆の電荷が増加するため、帯電面の電界強度をさらに低下させることができる。
【0032】
請求項24の発明は、掃除機用ハンドルの発明であって、塵埃等を吸引するための開口を備えた吸込み口に一端が連通すると共に、他端が電動送風機を備えた掃除機本体と直接又は間接的に連通する連結管部と、前記連結管部に固定されると共に、電動送風機の動作を制御する操作スイッチを有するグリップ部と、を有する掃除機用ハンドルにおいて、前記グリップ部は、内部に前記操作スイッチからの信号を受ける制御基板と、該制御基板と電気的に接続される配線と、前記制御基板及び前記配線が収容された基板収容室とを備えており、前記基板収容室の内壁面に請求項1又は2に記載の導電性被膜が形成されていることを特徴としている。これにより、各部に溜まった静電気が配線を通じて基板に流入し基板を介して人体に火花放電することを防止できると共に、静電気やその影響で付着する塵埃によって生じる誤作動を防止できる。
【0033】
請求項25の発明は、請求項24の発明において、導電性被膜は、制御基板の近傍に形成されていることを特徴としている。これにより、制御基板をより効率的に中和除電でき、人体への火花放電や、制御基板の誤作動をより防止できる。
【発明の効果】
【0034】
請求項1の導電性被膜の発明は、電界をより強く集中させることによって、コロナ放電による中和除電効果を高くすることができると共に、突出方向への放電効率を高めることができる。また、請求項2の発明は、より多くの放電突起を効率的に配置することができ、帯電部材を広範囲且つ均等に除電させることができると共に、帯電部材との間でコロナ放電を促進させることができる。また、請求項3の発明は、各々の放電突起の先端部周辺に帯電部材を十分配置することができ、効率よく除電領域を確保することができる。また、請求項4及び5の発明は、さらに帯電部材を広範囲且つ均等に除電させることができる。また、請求項6の除電構造の発明は、帯電面の電界強度を低下させることができる。
【0035】
請求項7の掃除機用ダストカップの発明は、帯電面の電界強度を低下させることができる。また、請求項8の発明は、塵埃が付着しやすい高帯電部位に中和除電効果を及ぼさせることができ、ケース表層への塵埃の付着を効率的に改善することができる。また、請求項9の発明は、帯電が起こり易いケースの底面から側面に亘り塵埃が付着するのを防止できると共に、特にケース内から塵埃が離れやすくなるため、ごみ捨てを容易にできる。また、請求項10の発明は、コロナ放電により空気分子から電離したイオンをより遠くまで運ぶことができ、除電領域を広げることができる。
【0036】
請求項11の掃除機用ダストカップの発明は、火花放電による使用者への不快な刺激を防止することができる。また、請求項12の発明は、コロナ放電による中和除電効果を安定させることができる。
【0037】
請求項13の掃除機用吸込み口体の発明は、帯電面の電界強度をさらに低下させることができる。また、請求項14の発明は、塵埃を付着し難くすることができると共に、被清掃面や吸引対象物に向けてコロナ放電による効果を及ぼすことができる。また、請求項15の発明は、摩擦等により導電性被膜が擦り減るのを防ぐと共に、帯電面の電界強度をさらに低下させることができる。
【0038】
請求項16の掃除機用吸込み口体の発明は、駆動手段は、静電気やその影響で付着する塵埃によって誤作動を起こす恐れがあるが、駆動室の内側面又は外側面に導電性被膜を形成することによって、コロナ放電により中和除電を行うことができるため、誤作動を防止することができる。また、請求項17の発明は、コロナ放電により空気分子から電離したイオンをより遠くまで運ぶことができ、除電領域を広げることができる。また、請求項18の発明は、コロナ放電を引き起こしやすくすると共に、塵埃が付着しやすい高帯電部位に中和除電効果を及ぼさせることができ、狭小部に塵埃や異物が詰まることを防止できる。また、請求項19の発明は、効率よく車輪の中和除電を行うことができる。また、請求項20の発明は、摩擦等により導電性被膜が擦り減るのを防ぐと共に、コロナ放電による中和除電効果を及ぼさせることができる。また、請求項21の発明は、コロナ放電を引き起こしやすくすると共に、塵埃が付着しやすい高帯電部位に中和除電効果を及ぼさせることができ、吸引管への塵埃の付着を効率的に改善することができる。
【0039】
請求項22の空気調和機の発明は、コロナ放電を引き起こしやすくすると共に、塵埃が付着しやすい高帯電部位に中和除電効果を及ぼさせることができ、ルーバーへの塵埃の付着を効率的に改善することができる。また、請求項23の発明は、効率よく中和除電を行うことができる。また、請求項24の発明は、各部に溜まった静電気が配線を通じて基板に流入し基板を介して人体に火花放電することを防止できると共に、静電気やその影響で付着する塵埃によって生じる誤作動を防止できる。また、請求項25の掃除機用ハンドルの発明は、制御基板をより効率的に中和除電でき、人体への火花放電や、制御基板の誤作動をより防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】本発明に係る導電性被膜の第1実施形態を示す斜視図
図2】本発明に係る導電性被膜の第1実施形態を示す平面図
図3】(a)導電性被膜の実験を行った結果を示す写真(放電突起の数が多い場合)(b)導電性被膜の実験を行った結果を示す写真(放電突起の数が少ない場合)
図4】(a)~(c)本発明に係る除電構造を説明する概略図
図5】(a)本発明に係る導電性被膜の第2実施形態を示す平面図(b)本発明に係る導電性被膜の第3実施形態を示す平面図
図6】(a)本発明に係る導電性被膜の第4実施形態を示す平面図(b)本発明に係る導電性被膜の第5実施形態を示す平面図(c)本発明に係る導電性被膜の第6実施形態を示す平面図
図7】(a)本発明に係る導電性被膜の第7実施形態を示す平面図(b)本発明に係る導電性被膜の第8実施形態を示す平面図
図8】(a)本発明に係る導電性被膜の第9実施形態を示す平面図(b)本発明に係る導電性被膜の第10実施形態を示す平面図
図9】本発明に係る掃除機用ダストカップを示す斜視図
図10】本発明に係る掃除機用ダストカップを示す断面図
図11】本発明に係る掃除機用吸込み口体を示す斜視図
図12】本発明に係る掃除機用吸込み口体を示す底面図
図13】(a)本発明に係る掃除機用吸込み口体を示す断面図(b)本発明に係る掃除機用吸込み口体を絨毯に接地した状態の断面図
図14】本発明に係る掃除機用吸込み口体を示す一部拡大斜視図
図15】本発明に係る空気調和機を示す斜視図
図16】(a)本発明に係る空気調和機を示す一部拡大斜視図(ルーバーを開けた状態)(b)本発明に係る空気調和機を示す一部拡大斜視図(ルーバーを閉じた状態)
図17】本発明に係る掃除機用ハンドルを含む電気掃除機を示す斜視図
図18】本発明に係る掃除機用ハンドルを示す断面図
図19】本発明に係る掃除機用ハンドルを示す一部拡大断面図
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。尚、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。図1は、本発明に係る導電性被膜の第1実施形態を示す斜視図であり、図2は同平面図である。これらの図面を用いて第1実施形態の導電性被膜について以下に説明する。
【0042】
第1実施形態の導電性被膜10は、複数(8個)の放電突起1、1・・・が略全域に亘り、略均等配置されていると共に、放電突起の突出方向は、導電性被膜10の厚み方向に対して略垂直方向に形成されている。また、放電突起1の交わる2辺の内角が90度未満となるようにしている。好適には、30度前後にするのが好ましい。また、導電性被膜10の材質は、電気が流れやすい性質を有する材料であれば特に限定されるものではなく、導電性被膜10と帯電部材4との固定方法は、例えばテープ状にした接着固定、メッキによる表面処理加工、ホットスタンプ等の熱圧着加工、シルク印刷等の印刷を施す方法などが想定される。
【0043】
導電性被膜10は平面視した状態で、複数の放電突起が並ぶ放電ユニット2を2個有しており、互いの放電ユニット2、2は、放電突起1、1が対向するように配置されており、一方の放電ユニット2の放電突起1の先端部1aは、他方の放電ユニット2の放電突起1の根元部1bの近傍に形成されている。また、導電性被膜10は平面視した状態で、放電突起1の先端部1a及びその近傍が周囲の導電性被膜10から離隔されるように貫通した溝部3が形成されている。上記のように構成された導電性被膜10は略板状の帯電部材4に固定されるとコロナ放電によって図2の破線で示す除電領域5を形成させることができる。尚、破線で示す除電領域5の大きさは、実環境においては帯電部材4の帯電量や室内環境によって変動するものであるが、本発明の説明においては代表的な大きさに統一して表記している。
【0044】
また、導電性被膜10は平面視した状態で、隣り合う放電突起の先端部1a、1a同士の最短の距離は、放電突起の根元部1bの最大幅の距離以上となるようにするのが好ましい。これにより、隣り合う放電突起の先端部1a、1aの周辺に帯電部材を十分配置することができるため、効率よく除電領域5を確保することができる。
【0045】
図3(a)及び(b)は、導電性被膜のコロナ放電による中和除電効果を確認する実験を行った結果を示す写真であり、図3(a)は、放電突起11の数が多い導電性被膜13aを帯電部材14aに固定した場合を示し、図3(b)は、放電突起12の数が少ない導電性被膜13bを帯電部材14bに固定した場合を示しており、中和除電効果を及ぼしている除電領域15a、15bは黒色になっている。尚、放電突起11、12の交わる2辺の内角の角度は両方とも60度にしている。この実験でわかることは、放電突起12の数が少ない導電性被膜の方が放電突起一つあたりの除電領域が大きい事と、隣り合う放電突起12、12の距離が大きくなると、中和除電されない領域16が生じてくるという事である。すなわち、放電突起から比較的近い範囲をムラなく除電したい場合は、図3(a)のように数を多く距離を小さくとることが望ましく、放電突起からより遠くへ除電効果を及ばせたい場合は図3(b)のように数を少なく距離を大きくとることが望ましい。
【0046】
図4(a)~(c)は、本発明に係る除電構造を説明する概略図である。これらの図に示すように、帯電部材4は略板状であると共に、一方の側面側に形成された帯電箇所4aと、相対する裏面側の位置に、前述した導電性被膜10が形成されている。まず、図4(a)に示すように、帯電箇所4aはマイナスの電荷で帯電しており、これと相対する裏面側の位置に導電性被膜10を形成することによって、導電性被膜10の中の帯電箇所4a側がプラス帯電となり、帯電箇所4aの電界強度を低下させることができる。
【0047】
また、帯電箇所4aと相対する裏面側では、図4(b)に示すように、導電性被膜10のコロナ放電が行われて、近傍の空気分子から電離した正イオンが引き寄せられることとなり、図4(c)に示すように、帯電箇所4aの電界強度をさらに低下させる中和除電効果を奏することができる。
【0048】
図5(a)は、本発明に係る導電性被膜の第2実施形態を示す平面図である。帯電部材4に固定されている第2実施形態の導電性被膜20は、外縁の直線に対して略90度の外側方向に突出する放電突起21が複数形成されており、導電性被膜20の周囲は、破線で示す除電領域25となるようにしている。これにより、放電突起21の角度、配置される数及び隣り合う放電突起21、21間の距離を調節することによって、導電性被膜20が形成されている部分の周囲を略カバーするように除電することができる。
【0049】
図5(b)は、本発明に係る導電性被膜の第3実施形態を示す平面図である。帯電部材4に固定されている第3実施形態の導電性被膜30は、放電突起31が、交わる2辺の両方の辺の根本部近傍に、放電突起31よりも突出長さが短い補助突起36が形成されている。これにより、中和除電効果の及ぶ除電領域は、除電領域35aに加えて放電突起31の根元部31bの除電領域35bまで広げることができ、帯電部材4を広範囲且つ均等に除電させることができる。尚、補助突起36は、交わる2辺の両方の辺の略中央に形成しているが、どちらか一方の辺の根本部近傍に形成してもよく、これも本発明に含まれる。また補助突起自体にも補助突起を設けるというように連続的に補助突起を設ける場合も本発明に含まれる。その他の構成は第2実施形態と同様なので説明は省略する。
【0050】
図6(a)は、本発明に係る導電性被膜の第4実施形態を示す平面図である。帯電部材4に固定されている第4実施形態の導電性被膜40は、放電突起41と、それよりも小さい放電突起46の2種類の放電突起が形成されていると共に、各々の放電突起の先端部近傍に破線で示す除電領域45が形成されている。また、放電突起41は、外縁の直線に対して略90度の外側方向に突出するものと、内側方向に突出するものが形成されて一つの放電ユニット42が形成されており、2個の放電ユニット42、42は互いの内側方向に突出する放電突起41が溝部43を挟んで対向するように配置している。また、内側方向に突出する放電突起41の先端部41aは、対向する放電突起41の根元部41bの近傍に形成されている。また、放電突起41と放電突起46を繋ぐ導線部47は、角部を有さない曲線となるように形成されている。これにより、角部を設けないことによって意図しない部分からの放電を抑制することができ、効率のよい除電を行うことができる。
【0051】
図6(b)は、本発明に係る導電性被膜の第5実施形態を示す平面図である。帯電部材4に固定されている第5実施形態の導電性被膜50は、円形の外縁の円周線に対して略90度の外側方向に突出する放電突起51が複数形成されており、導電性被膜50が形成されている部分の周囲は破線で示す除電領域55となるようにしている。これにより、導電性被膜50の外周全体にムラなく中和除電効果を及ぼさせることができると共に、除電効果の及びにくい根元部の領域を小さくすることができる。
【0052】
図6(c)は、本発明に係る導電性被膜の第6実施形態を示す平面図である。帯電部材4に固定されている第6実施形態の導電性被膜60は、平面視した状態で、複数の放電突起61、61・・・の先端部61aが略直線上に位置するように並ぶ放電ユニット62aと、複数の放電突起61、61・・・の先端部61bが段違いに位置する62bとを有しており、互いの放電ユニット62a、62bは、放電突起61、61が対向するように配置されると共に、互いの放電突起の先端部61a、61a及び先端部61b、61bは、各々の放電突起の先端部を結ぶ線により形成された仮想線A、Bを超えて形成される構成としている。これにより、より多くの放電突起を効率的に配置することができ、帯電部材を広範囲且つ均等に除電させることができる。また本実施形態のように互いのユニットが離隔されている場合も本発明に含まれる。
【0053】
図7(a)は、本発明に係る導電性被膜の第7実施形態を示す平面図である。尚、帯電部材は描かれていない。第7実施形態の導電性被膜70は、図6(a)を用いて説明した第4実施形態の導電性被膜40を拡大させたものであり、導電性被膜70の内部に複数行の溝部73、73を形成して、左右方向に延出する放電突起71の行の数及び個数を増やすと共に、放電突起71よりも小さい放電突起76の数も増やした実施形態である。
【0054】
図7(b)は、本発明に係る導電性被膜の第8実施形態を示す平面図である。尚、帯電部材は描かれていない。第8実施形態の導電性被膜80は、図1及び図2を用いて説明した第1実施形態の導電性被膜10を拡大させたものであり、導電性被膜80の内部に複数行の溝部83、83を形成して、左右方向に延出する放電突起81の行の数及び個数を増やした実施形態である。
【0055】
図8(a)は、本発明に係る導電性被膜の第9実施形態を示す平面図である。尚、帯電部材は描かれていない。第9実施形態の導電性被膜90は、導電性被膜90の内部に複数行の溝部93、93を形成して、左右方向に複数個及び複数行配置される放電突起91の突出方向が、上下交互となるように左右方向に配置される構成としている。これにより、単位面積あたりに配置される放電突起91の数を最大限まで増やすことができるので、除電させたい領域の内部における除電されにくい領域を減らすことができる。
【0056】
図8(b)は、本発明に係る導電性被膜の第10実施形態を示す平面図である。尚、帯電部材は描かれていない。第10実施形態の導電性被膜100は、外形状を長方形のテープ状にしたものである。作用効果は、第9実施形態の導電性被膜90と同様であり、導電性被膜100の内部に複数行の溝部103、103を形成して、単位面積あたりに配置される放電突起101の数を最大限まで増やすことができるので、除電させたい領域の内部における除電されにくい領域を減らすことができる。尚、導電性被膜100の裏面にあらかじめ接着材が塗布された状態としておけば、除電させたい場所の大きさに合わせて導電性被膜100をはさみ等で切り取って帯電部材に貼り付けることにより、簡易にその効果を発揮させることができる。
【0057】
図9は、本発明に係る掃除機用ダストカップを示す斜視図であり、図10は、同断面図である。これらの図面を用いて本発明に係る掃除機用ダストカップについて以下に説明する。掃除機用ダストカップ110は、略有底円筒形状のケース111と、該ケース111の天面側を覆う吸気口112aを備えた蓋体112とを有しており、ケースの表層111aに、前述した導電性被膜113のいずれかが形成される構成としている。
【0058】
これにより、ケースの表層111aで帯電面側に導電性被膜が形成されている場合には、コロナ放電による中和除電効果が及ぼされる。また、帯電面と相対する面に導電性被膜が形成されている場合には、導電性被膜113の帯電面側に、帯電面に溜まる電荷とは逆の電荷が引き寄せられることとなり、帯電面の電界強度が低下すると共に、導電性被膜113のコロナ放電によって、帯電面と相対する面側近傍に逆の電荷が増加するため、帯電面の電界強度をさらに低下させることができる。
【0059】
尚、ケース111は、吸気口112aから吸いこまれる空気及び塵埃が最初に接触する底面111b又は側面111cに、導電性被膜113が形成されているのが好ましい。これにより、帯電し易い箇所に導電性被膜113を形成して、コロナ放電を引き起こしやすくすると共に、塵埃が付着しやすい高帯電部位に中和除電効果を及ぼさせることができ、ケース表層への塵埃の付着を効率的に改善することができる。
【0060】
また、ケース111は、底面111bから側面111cに亘り、導電性被膜が連続的に形成される構成としてもよい。これにより、最も帯電し易い箇所に導電性被膜を形成して、効果的に塵埃が付着するのを防止することができる。また、特にケース内から塵埃やごみが離れやすくなるため、ごみ捨てを容易にできる。
【0061】
また、導電性被膜113の放電突起の突出方向が、導電性被膜の近傍を流れる気流の方向と略同一方向となるように形成される構成としてもよい。これにより、コロナ放電により空気分子から電離したイオンをより遠くまで運ぶことができ、除電領域を広げることができる。
【0062】
また、掃除機本体からケース111及び蓋体112を着脱可能に固定する操作部を有し、操作部114は、導電性被膜よりも抵抗値が大である構成としてもよい。これにより、導電性被膜に溜まった電荷を操作部に触れた人体へと緩やかに逃がすことができ、火花放電による使用者への不快な刺激を防止することができる。尚、操作部は電荷を緩やかに逃がすだけの導電性を有していることが好ましい。また、導電性被膜と操作部は常時あるいは操作部の操作時に導通する構成となっている。
【0063】
また、ケース111は、帯電列において、塵埃よりもマイナスに帯電しやすい材質であることが好ましい。これにより、ケースの部分ごとの帯電電荷の極性のばらつきが抑制され、コロナ放電による中和除電効果を安定させることができる。
【0064】
図11は、本発明に係る掃除機用吸込み口体を示す斜視図であり、図12は、同底面図、図13(a)は、同断面図、図13(b)は、絨毯に接地した状態の断面図、図14は、本発明に係る掃除機用吸込み口体を示す一部拡大斜視図である。尚、図12において回転清掃体を省略している。これらの図面を用いて本発明に係る掃除機用吸込み口体について以下に説明する。
【0065】
掃除機用吸込み口体120は、下面に塵埃等を吸引するための開口121aを備えた吸込み口121と、一端が吸込み口121と連通すると共に、他端が電動送風機を備えた掃除機本体と連通するための吸引管122とを有しており、吸込み口121又は吸引管122の表層に、前述した本発明に係る導電性被膜123a、123b、123f、123g、123hが形成されている。これにより、吸込み口121又は吸引管122の表層で帯電面側に導電性被膜が形成されている場合には、コロナ放電による中和除電効果が及ぼされる。また、帯電面と相対する面に導電性被膜が形成されている場合には、導電性被膜の帯電面側に、帯電面に溜まる電荷とは逆の電荷が引き寄せられることとなり、帯電面の電界強度が低下すると共に、導電性被膜のコロナ放電によって、帯電面と相対する面側近傍に逆の電荷が増加するため、帯電面の電界強度をさらに低下させることができる。
【0066】
また、吸込み口121は、使用時の前進方向の外側面に導電性被膜123bが形成される構成とすることができる。これにより、前進方向の外側面がコロナ放電による中和除電効果が及ぼされることとなり、同箇所に塵埃を付着し難くすることができる。また、放電突起の先端部側を被清掃面方向に向けることによって、被清掃面や吸引対象物に向けてもコロナ放電による効果を及ぼすことができる。
【0067】
また、吸込み口121は、被清掃面と略平行に当接する下面127の帯電箇所の裏側に導電性被膜123dが形成される構成とすることができる。これにより、摩擦等により導電性被膜123dが擦り減るのを防ぐと共に、帯電箇所に溜まる電荷とは逆の電荷が引き寄せられることとなり、帯電箇所の電界強度が低下すると共に、導電性被膜123dのコロナ放電によって、帯電面と相対する面側近傍に逆の電荷が増加するため、帯電面の電界強度をさらに低下させることができる。
【0068】
また、吸込み口121は、開口121aから吸引した塵埃を集約する吸込み室126と、吸込み室126の内部に回転可能に軸支された回転清掃体124と、回転清掃体124を回転させる駆動手段を内包する駆動室125とを有しており、駆動室125の内側面又は外側面に導電性被膜123aが形成される構成とすることができる。駆動手段が発する電界による静電気やその影響で付着する塵埃によって、誤作動を起こす恐れがあり、駆動室125の内側面又は外側面に導電性被膜を形成することによって、コロナ放電により中和除電を行うことができるため、誤作動を防止することができる。
【0069】
また、吸込み口121は、開口121aから吸引した塵埃を集約する吸込み室126と、吸込み室126の内部に回転可能に軸支された回転清掃体124とを有しており、吸込み室126は、回転清掃体124の近傍の内壁面であって、吸引される気流の方向と放電突起の突出方向が略同一方向となるように導電性被膜123cが形成される構成とすることができる。これにより、コロナ放電により空気分子から電離したイオンをより遠くまで運ぶことができ、除電領域を広げることができる。
【0070】
また、吸込み口121は、開口121aと吸引管122とを連通させると共に、開口121aから吸引した塵埃を集約する吸込み室126を有しており、吸込み室126は、吸引管122側に向かい内径が狭まる狭小部126aに導電性被膜123eが形成される構成とすることができる。吸引管122側に向かい内径が狭まる狭小部126aは帯電し易いので、ここに導電性被膜123eを形成することによって、コロナ放電を引き起こしやすくすると共に、塵埃が付着しやすい高帯電部位に中和除電効果を及ぼさせることができ、狭小部に塵埃や異物が詰まることを防止できる。
【0071】
また、被清掃面を走行可能に吸込み口121に回転軸が軸支された車輪128を有し、車輪128の回転軸の長手方向と略平行に吸込み口121に形成された面であって、且つ車輪128の周面と対向する面129に、導電性被膜123fが形成される構成とすることができる。これにより、コロナ放電により空気分子から電離したイオンを車輪に向けて運ぶことができ、効率よく車輪128の中和除電を行うことができる。尚、車輪128に中和除電効果を及ぼさせるためには、導電性被膜123fが形成された面129と車輪128の前方側の周面との距離はできるだけ短くするのが好ましい。また、図14に示すように、導電性被膜123fに、交わる2辺の内角の角度が大きい放電突起6aと、交わる2辺の内角の角度が小さい放電突起6bの2種類を使用するのが好ましい。車輪128の周面に近い箇所に角度が大きい放電突起6aを配置し、車輪の周面から離れている箇所に角度が小さい放電突起6bを配置することによって、導電性被膜123fの全体として均等にコロナ放電を行うことができる。
【0072】
また、吸込み口121を、被清掃面であって水平面に設置した状態において、吸込み口121の下面127であると共に、被清掃面と当接しない面に、導電性被膜123gが形成される構成とすることができる。これにより、摩擦等により導電性被膜123gが擦り減るのを防ぐと共に、コロナ放電による中和除電効果を及ぼさせることができる。
【0073】
また、吸引管122は、気流又は塵埃等が接触する部材の内面又は外面であって、鉛直下方側に導電性被膜123hが形成される構成とすることができる。気流又は塵埃等が接触する部材の内面又は外面は帯電し易く、特に鉛直下方側の外面は吸込み口の使用時に地面に近づく又は接触するため塵埃が付着しやすい。また、鉛直下方側の内面においても吸引管に流入した塵埃等の衝突時に付着しやすく、これらの箇所に導電性被膜を形成することによって、コロナ放電を引き起こしやすくすると共に、塵埃が付着しやすい高帯電部位に中和除電効果を及ぼさせることができ、吸引管への塵埃の付着を効率的に改善することができる。また、吸引管を除電することで、静電気力による気流の圧力損失が減少し掃除機の吸引効率を上げることができる。
【0074】
図15は、本発明に係る空気調和機を示す斜視図である。また、図16(a)は、本発明に係る空気調和機を示す一部拡大斜視図であり、ルーバーを開けた状態を示している。また、図16(b)は、本発明に係る空気調和機を示す一部拡大斜視図であり、ルーバーを閉じた状態を示している。これらの図面を用いて本発明に係る空気調和機について以下に説明する。
【0075】
本発明に係る空気調和機130は、空気調和機本体131と、空気調和機本体131に室内の空気を吸引する吸引口132と、吸引口132から吸引された空気を熱交換する熱交換機(図示せず)と、吸引口132から熱交換機に空気を誘導する送風ファン(図示せず)と、熱交換機より熱交換された空気を室内に吹出す吹出し口133と、吹出し口133に設けられ、吹出し口133から吹出される空気の風向を調整するルーバー134とを有している。
【0076】
そして、図16(a)に示す実施形態では、ルーバー134は略板状であって、気流の風向を調整する面の上流側に、放電突起135aの突出方向が下流側に向くように、前述の導電性被膜135が形成されている。ルーバー134の表面は、通風が通過する際の摩擦によって帯電し易いので、ここに導電性被膜を形成することによって、コロナ放電を引き起こしやすくすると共に、塵埃が付着しやすい高帯電部位に中和除電効果を及ぼさせることができ、ルーバーへの塵埃の付着を効率的に改善することができる。また、放電突起135aの突出方向が下流側に向くようにすることによって、コロナ放電により空気分子から電離したイオンをより遠くまで運ぶことができ、除電領域を広げることができる。
【0077】
また、図16(b)に示す実施形態では、ルーバー134は略板状であって、気流の風向を調整する面の裏面に、略全域に亘り前述の導電性被膜136が形成されている。尚、図16(b)では導電性被膜136が形成されている箇所を示すためにルーバー134が閉じた状態を示しているが、導電性被膜136による中和除電効果が奏されるのは、図16(a)と同様のルーバー134を開けた状態で吹出し口133から空気が吹出されている状態の時である。これにより、導電性被膜136の帯電面側に、帯電面に溜まる電荷とは逆の電荷が引き寄せられることとなり、帯電面の電界強度が低下すると共に、導電性被膜136のコロナ放電によって、帯電面と相対する面側近傍に逆の電荷が増加するため、帯電面の電界強度をさらに低下させることができる。尚、図16(a)で説明した前述の実施形態と組み合わせることによって、中和除電効果をさらに高めることができ、これも本発明に含まれる。
【0078】
図17は、本発明に係る掃除機用ハンドルを含む電気掃除機を示す斜視図であり、図18は、本発明に係る掃除機用ハンドルを示す断面図、図19は、同一部拡大断面図である。これらの図面を用いて本発明に係る掃除機用ハンドルについて以下に説明する。尚、本発明に係る掃除機用ハンドルが適用される電気掃除機の形態は、図17に示す形態に限定されるものではなく、キャニスタータイプやアップライトタイプの電気掃除機にも適用することができる。
【0079】
本発明に係る掃除機用ハンドル140は、塵埃等を吸引するための開口を備えた吸込み口141に一端が連通すると共に、他端が電動送風機142aを備えた掃除機本体142と直接又は間接的に連通する連結管部143と、連結管部143に固定されると共に、電動送風機142aの動作を制御する操作スイッチ144aを有するグリップ部144とを有している。
【0080】
また、グリップ部144は、内部に操作スイッチ144aからの信号を受ける制御基板145と、この制御基板145と電気的に接続される配線と、制御基板145及び配線が収容された基板収容室146とを備えており、基板収容室146の内壁面に前述した本発明に係る導電性被膜147が形成されている。基板収容室146の内壁面は帯電し易いので、ここに導電性被膜147を形成することによって、各部に溜まった静電気が配線を通じて基板に流入し基板を介して人体に火花放電することを防止できると共に、静電気やその影響で付着する塵埃によって生じる誤作動を防止できる。
【0081】
尚、導電性被膜147は、制御基板145の近傍に形成されているのが好ましい。これにより、制御基板をより効率的に中和除電でき、人体への火花放電や、制御基板の誤作動をより防止できる。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明に係る導電性被膜及び除電構造は、掃除機用ダストカップ、掃除機用吸込み口体、空気調和機及び掃除機用ハンドルに適用されて利用される。
【符号の説明】
【0083】
1、6a、6b、11、12、21、31、41、46、51、61、135a 放電突起
1a 先端部
1b、31b 根元部
2、62a、62b 放電ユニット
3、73、83、93、103 溝部
4、14a、14b 帯電部材
4a 帯電箇所
5、15a、15b、25、35a、35b、45、55、65 除電領域
10、13a、13b、20、30、40、50、60、70、80、90、100、113、123a、123b、123c、123d、123e、123g、123h、135、136、147 導電性被膜
16 中和除電されない領域
36 補助突起
47 導線部
110 掃除機用ダストカップ
111 ケース
111a ケースの表層
111b ケースの底面
111c ケースの側面
112 蓋体
112a 吸気口
114 操作部
120 掃除機用吸込み口体
121、141 吸込み口
121a 開口
122 吸引管
124 回転清掃体
125 駆動室
126 吸込み室
126a 狭小部
127 下面
128 車輪
129 車輪の前方側の周面と対向する面
130 空気調和機
131 空気調和機本体
132 吸引口
133 吹出し口
134 ルーバー
140 掃除機用ハンドル
142 掃除機本体
142a 電動送風機
143 連結管部
144 グリップ部
144a 操作スイッチ
145 制御基板
146 基板収容室
A、B 仮想線
図1
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