IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 信栄製紙株式会社の特許一覧

特開2024-65653トイレットペーパーおよびトイレットペーパーの製造方法
<>
  • 特開-トイレットペーパーおよびトイレットペーパーの製造方法 図1
  • 特開-トイレットペーパーおよびトイレットペーパーの製造方法 図2
  • 特開-トイレットペーパーおよびトイレットペーパーの製造方法 図3
  • 特開-トイレットペーパーおよびトイレットペーパーの製造方法 図4
  • 特開-トイレットペーパーおよびトイレットペーパーの製造方法 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024065653
(43)【公開日】2024-05-15
(54)【発明の名称】トイレットペーパーおよびトイレットペーパーの製造方法
(51)【国際特許分類】
   A47K 10/16 20060101AFI20240508BHJP
【FI】
A47K10/16 B
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022174637
(22)【出願日】2022-10-31
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-02-13
(71)【出願人】
【識別番号】000190080
【氏名又は名称】コアレックス信栄株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095337
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100174425
【弁理士】
【氏名又は名称】水崎 慎
(74)【代理人】
【識別番号】100203932
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 克宗
(72)【発明者】
【氏名】黒崎 暁
【テーマコード(参考)】
2D135
【Fターム(参考)】
2D135AA20
2D135AA21
2D135AB02
2D135AB13
2D135AC11
2D135AD12
2D135AD27
(57)【要約】
【課題】正確なミシン目の位置を認識できるトイレットペーパー及びこのトイレットペーパーの製造方法を提供する。
【解決手段】原紙ロール10から引き出された原紙10aに、ミシン目カッター4を用いてミシン目を形成させ、ミシン目を形成させた位置であって、トイレットペーパーの幅方向における両端となる位置に、目印形成用ノズル5から所定の液体を付着させて目印を形成させ、この原紙10aを巻き取り部3で巻き取ってトイレットペーパーを製造する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状のペーパーをロール形状に巻回させたトイレットペーパーであって、
前記ロール形状の幅方向に延設されたミシン目と、
前記ミシン目上に形成され、前記ミシン目の位置を示す目印と、
を備え、
前記目印は、前記ペーパーの幅方向の両端に形成されている、
ことを特徴とするトイレットペーパー。
【請求項2】
前記目印が着色されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のトイレットペーパー。
【請求項3】
前記目印により、重なり合うペーパー同士が接着され、前記ロール形状のトイレットペーパーから前記ペーパーが引き出され、前記ペーパー同士が離れるときに、前記目印の接着力による抵抗が生じる、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のトイレットペーパー。
【請求項4】
前記目印は、前記ペーパーの幅方向の両端にのみ形成されている、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のトイレットペーパー。
【請求項5】
前記目印は、前記ペーパーの幅方向の両縁端に形成されている、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のトイレットペーパー。
【請求項6】
原紙ロールから引き出された帯状の原紙に、前記原紙の幅方向に延設されたミシン目を形成させる第1過程と、
前記原紙の前記ミシン目を形成させた位置に所定の液体を付着させる第2過程と、
前記所定の液体を付着させた原紙を巻回した後、ロール形状の複数のトイレットペーパーに切断する第3過程と、
を有し、
前記第2過程は、
前記第3過程の切断によって前記トイレットペーパーが形成されたときに前記トイレットペーパーの幅方向における両端の側となる各位置に、前記所定の液体を付着させることで目印を形成する、
ことを特徴とするトイレットペーパーの製造方法。
【請求項7】
前記第2過程は、
前記原紙の幅方向に配置された複数のノズルから前記所定の液体を出し、前記各位置に前記所定の液体を付着させる、
ことを特徴とする請求項6に記載のトイレットペーパーの製造方法。
【請求項8】
前記第2過程は、
任意の色を前記原紙に着色する前記所定の液体を用いる、
ことを特徴とする請求項6または請求項7に記載のトイレットペーパーの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ミシン目の位置を示す目印を設けたトイレットペーパーおよびこのトイレットペーパーの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
帯状のペーパーを巻回させたロール形状のトイレットペーパーには、このトイレットペーパーから引き出された帯状のペーパーを切り離し易くするため、帯状のペーパーの長手方向において、所定間隔を空けてミシン目が設けられているものがある。
一般的なトイレットペーパーは、一様な白色となるように製造されているため、肉眼で見た場合、ミシン目が設けられている位置を素早く見つけることが難しい。そのため、ミシン目が設けられていない位置でペーパーが切り離されることがある。
そこで、ミシン目の位置を容易に見つけることができるように、着色を施したトイレットペーパーがある。
【0003】
着色を施したトイレットペーパーには、例えば、帯状ペーパーに設けられた切取り線(ミシン目)の周囲に着色部を設けたトイレットペーパーが開示されている(特許文献1)。この着色部には、切取り線を含むように設けられた帯状の着色部、切取り線の下側や上側において、切取り線に平行に設けられたドット状の着色部がある。また、ミシン目と平行にブルーラインや文字や模様を印刷したトイレットペーパーが開示されている(特許文献2)。
【0004】
また、視覚障害者や高齢者でも容易にミシン目の位置を把握することができるように、目印とともに貫通孔等を設けたトイレットペーパーも開示されている(特許文献3)。このトイレットペーパーは、例えば、緑色に着色された目印をミシン目の位置に印刷し、このミシン目の位置に切欠きまたは貫通孔を設けて、この切欠きまたは貫通孔を目安にして一定の長さのペーパーを引き出すことができるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】登録実用新案第3140786号公報
【特許文献2】特開2012-130636号公報
【特許文献3】登録実用新案第3093320号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のトイレットペーパーでは、ミシン目の近傍に目印等が設けられているため、おおよそのミシン目の位置を把握することはできるが、正確なミシン目の位置を認識することは難しい。使用者がミシン目からずれた位置からトイレットペーパーを破ると、ミシン目に沿わず破れてしまい、所望の大きさや形状のトイレットペーパーを利用できなくなる。
【0007】
また、従来のトイレットペーパーは、上記のようにミシン目を囲むように、また、ミシン目に沿ってラインや複数の文字が印刷されているので、相当量のインクをペーパーに付着させることになる。このようにインクを付着させると、付着部分に相当量の水分が浸透して繊維結合が弱くなる。そのため、帯状のペーパーをロール形状に巻回する前に、付着させたインクを乾燥させる過程が必要になる。そのため、帯状のペーパーの幅方向について概ね両端間を乾燥させる必要がある。また、ミシン目の位置に切欠きや貫通孔を設ける場合には、ミシン目カッターに加えて、切欠きや貫通孔を形成するためのカッターを製造装置に備える必要がある。これらのことから、従来のミシン目位置を示す印等を設けたトイレットペーパーの製造では、コストを抑制することが難しくなり、販売価格が高くなる。
【0008】
本開示は、上記のような問題に鑑みなされたもので、正確なミシン目の位置を認識できるトイレットペーパー及びこのトイレットペーパーの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示に係るトイレットペーパーは、帯状のペーパーをロール形状に巻回させたトイレットペーパーであって、前記ロール形状の幅方向に延設されたミシン目と、前記ミシン目上に形成され、前記ミシン目の位置を示す目印と、を備え、前記目印は、前記ペーパーの幅方向の両端に形成されていることを特徴とする。
【0010】
また、本開示に係るトイレットペーパーは、前記目印が着色されていることを特徴とする。
【0011】
また、本開示に係るトイレットペーパーは、前記目印により、重なり合うペーパー同士が接着され、前記ロール形状のトイレットペーパーから前記ペーパーが引き出され、前記ペーパー同士が離れるときに、前記目印の接着力による抵抗が生じることを特徴とする。
【0012】
また、本開示に係るトイレットペーパーは、前記目印が前記ペーパーの幅方向の両端にのみ形成されていることを特徴とする。
【0013】
また、本開示に係るトイレットペーパーは、前記目印が前記ペーパーの幅方向の両縁端に形成されていることを特徴とする。
【0014】
また、本開示に係るトイレットペーパーの製造方法は、原紙ロールから引き出された帯状の原紙に、前記原紙の幅方向に延設されたミシン目を形成させる第1過程と、前記原紙の前記ミシン目を形成させた位置に所定の液体を付着させる第2過程と、前記所定の液体を付着させた原紙を巻回した後、ロール形状の複数のトイレットペーパーに切断する第3過程と、を有し、前記第2過程は、前記第3過程の切断によって前記トイレットペーパーが形成されたときに前記トイレットペーパーの幅方向における両端の側となる各位置に、前記所定の液体を付着させることで目印を形成することを特徴とする。
【0015】
また、本開示に係るトイレットペーパーの製造方法は、前記第2過程において、前記原紙の幅方向に配置された複数のノズルから前記所定の液体を出し、前記各位置に前記所定の液体を付着させることを特徴とする。
【0016】
また、本開示に係るトイレットペーパーの製造方法は、前記第2過程において、任意の色を前記原紙に着色する前記所定の液体を用いることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本開示のトイレットペーパーは、目印がミシン目上に形成され、かつ帯状のペーパーの両端に形成されているため、使用者がミシン目の位置を容易に認識することができる。
【0018】
本開示のトイレットペーパーの製造方法は、製造コストを抑制し、容易にミシン目の位置を認識できるトレイレットペーパーを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本開示に係るトイレットペーパーを製造するトイレットペーパー製造装置の概略構成を示す説明図である。
図2】原紙供給部から巻き取り部に搬送される原紙に目印を形成させる目印形成用ノズルを備えた部分を示す説明図である。
図3】巻き取り部によって原紙が巻き取られることによって製造されるロールを示す説明図である。
図4】本開示に係るトイレットペーパーの外観を示す斜視図である。
図5】本開示に係るトイレットペーパーの外観の他の例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、この発明の実施の一形態を説明する。
[実施形態]
図1は、本発明の実施形態によるトイレットペーパーを製造するトイレットペーパー製造装置1の概略構成を示す説明図である。図1は、トイレットペーパー製造装置1のうち、図示を省略した部分において製造された原紙ロール10を用いて、ミシン目ならびに目印を設けたペーパーを巻き取る部分を示したものである。
トイレットペーパー製造装置1は、図1に示した部分に原紙供給部2、巻き取り部3、ミシン目カッター4、目印形成用ノズル5を備えている。
【0021】
原紙ロール10は、後述するトイレットペーパー21等の複数個分の幅を有する原紙10aを巻き取ったもので、トイレットペーパー製造装置1の原紙供給部2に設置されている。
原紙供給部2は、帯状の原紙10aを巻回させた原紙ロール10を支持し、また、原紙ロール10を回転させながら原紙10aは引き出される。具体的には、原紙供給部2は、送り出しローラー11,12、ローラーやガイドを備え、送り出しローラー11,12を介して、原紙ロール10から引き出された原紙10aが、搬送手段(図示省略)によって矢印aが示す方向(以下、搬送方向)に搬送される。
上記の搬送手段は、原紙供給部2が設置された位置から、巻き取り部3が設置された位置まで、原紙ロール10から引き出された原紙10aを搬送する。
【0022】
トイレットペーパー製造装置1は、前述の搬送手段によって、搬送される原紙10aに、原紙10aの幅方向Xに延設されたミシン目を形成させるミシン目カッター4を備えて
いる。また、トイレットペーパー製造装置1は、搬送される原紙10aがミシン目カッター4を通過した後に到達する位置に、原紙10aに目印を形成させる目印形成用ノズル5を備えている。
また、トイレットペーパー製造装置1は、搬送される原紙10aが、目印形成用ノズル5を通過した後に到達する位置に、原紙10aを巻き取る巻き取り部3を備えている。
さらに、トイレットペーパー製造装置1は、搬送方向において、目印形成用ノズル5と巻き取り部3との間に、巻き取り部3に巻き取らせる原紙10aを切断して巻き取り終端部を形成させるペーパーカッター(図示省略)を備えている。
【0023】
巻き取り部3は、搬送手段によって搬送されてきた原紙10aを巻き付ける巻き取りシャフト30を備えている。この巻き取り部3は、巻き取りシャフト30の下方に配置され、原紙10aを巻き取りシャフト30に巻き取らせる巻き取りガイドローラー32および巻き取りガイドローラー33を備えている。
【0024】
また、巻き取り部3は、巻き取りシャフト30の上方に配置され、巻き取りシャフト30が巻き取っている原紙10a(ロール20)を押圧し、適当な張力を加えて巻き取りを行わせる加圧ローラー31を備えている。加圧ローラー31は、支持手段によって支持され、ロール20の巻き取りが進行することによって変化するロール外径に対応して、所定の押圧を加えることができる。
【0025】
トイレットペーパー製造装置1は、巻き取り部3において巻き取ったロール20を、複数の個所で輪切りにする切断手段を備えている。
【0026】
図2は、原紙供給部2から巻き取り部3に搬送される原紙10aに目印50を形成させる目印形成用ノズル5を備えた部分を示す説明図である。図2は、搬送手段によって搬送されている原紙10aを上方から視た状態を示している。
トイレットペーパー製造装置1は、搬送手段によって搬送される原紙10aの上方に、例えば取り付け部材を用いて固定された、複数の目印形成用ノズル5を備えている。
【0027】
複数の目印形成用ノズル5は、搬送されている原紙10aの幅方向Xに向けて配置され
ている。目印形成用ノズル5は、巻き取り部3によって原紙10aを巻き取ってロール20とし、このロール20を切断手段によって切断し、各トイレットペーパー21,22,23,24を形成したとき、各トイレットペーパー21,22,23,24において、幅方向Xの両端の側となる各位置に所定の液体を付着させることができるように、隣の目印
形成用ノズル5から間隔を空けて配置される。
配置する目印形成用ノズル5の個数は、例えば、ロール20を切断して形成されるトイレットペーパー21,22,23,24の個数の2倍とする。なお、トイレットペーパー製造装置1に備える目印形成用ノズル5の個数は、図2に示された数に限定されない。
【0028】
トイレットペーパー製造装置1は、各目印形成用ノズル5に所定の液体を供給する配管(図示省略)、所定の液体をタンク(図示省略)から配管を介して各目印形成用ノズル5に送り出すコンプレッサー(図示省略)、コンプレッサーや目印形成用ノズル5の動作を制御して、目印形成用ノズル5から噴霧される液量や噴霧のタイミングを調整する制御手段(図示省略)を備えている。
【0029】
次に、トイレットペーパー製造装置1の動作について説明する。
トイレットペーパー製造装置1は、例えば、抄紙機、乾燥機を用いて紙料から帯状の原紙10aを製造し、さらに、この帯状の原紙10aを巻き上げた原紙ロール10を製造する。
その後、原紙ロール10を原紙供給部2に設置し、原紙ロール10から引き出した帯状の原紙10aを、搬送手段によって巻き取り部3に搬送する。
この搬送の途中で、ミシン目カッター4を稼働させ、帯状の原紙10aに、帯状の幅方向Xに延設されたミシン目40を、搬送方向において所定の間隔を空けて設ける。ミシン
目40は、原紙10aの幅方向Xの両端を繋ぐように設けられる。
【0030】
トイレットペーパー製造装置1では、センサを用いて、搬送されている原紙10aのミシン目40の位置を検知する。トイレットペーパー製造装置1は、原紙10aのミシン目40を設けた部分が、目印形成用ノズル5の下方に搬送されると、コンプレッサー、目印形成用ノズル5等を制御して、目印形成用ノズル5から適量の所定の液体をミシン目40に向けて噴霧させる。
所定の液体は、例えば、水に任意の色素を含有させた液体であり、この液体により原紙10aの色と異なる色を、原紙10aに付ける。所定の液体を付着させた原紙10aは、搬送手段によって巻き取り部3に搬送される。
【0031】
図3は、巻き取り部3によって原紙10aが巻き取られることによって製造されるロール20を示す説明図である。
巻き取り部3に搬送された原紙10aは、巻き取りガイドローラー32,33に誘導されて巻き取りシャフト30に巻き付けられる。
巻き取りシャフト30は、順次、搬送される原紙10aを巻き取り、原紙10aと同じ幅のロール20を形成させる。
【0032】
巻き取り部3は、巻き取りシャフト30が原紙10aを巻き取り、ロール20を形成させているとき、ロール20の外周部分に、加圧ローラー31を用いて適当な押圧を加え、弛みや皺が生じないように巻き取りを行う。
トイレットペーパー製造装置1は、巻き取り部3に所定長さの原紙10aが巻き取られると、巻き取りガイドローラー32と目印形成用ノズル5との間に配置されたペーパーカッターを用いて、搬送手段によって搬送されている原紙10aを切断し、原紙10aの巻き取り、ロール20の製造を停止する。
【0033】
ロール20は、巻き取りシャフト30から取り外され、図3に示した切断位置60において、輪切りカッターを用いて輪切りにされ、ロール形状のトイレットペーパー21,22,23,24が形成される。
図3では、ロール20から4個のトイレットペーパー21,22,23,24が形成された状態を示しているが、ロール20から形成されるトイレットペーパー21,22,23,24の個数は4個に限定されない。
【0034】
図4は、トイレットペーパー21の外観を示す斜視図である。
トイレットペーパー21は、ロール形状に巻き取られたペーパー21aによって形成されている。このペーパー21aは、原紙10aを所定の大きさに切断したものである。
図3の切断位置60において、ロール20を輪切りにすると、図4に示したトイレットペーパー21が形成される。このトイレットペーパー21は、ロール形状の幅方向に延設されたミシン目40と、ミシン目40上に形成され、ミシン目40の位置を示す目印50とを備えている。
また、トイレットペーパー21と同様に、トイレットペーパー22,23,24は、ミシン目40及び目印50を備えている。
各目印50は、切断位置60を挟んで各トイレットペーパー21、22、23、24の幅方向Xの両端またはその近傍に設けられている。
【0035】
次に、原紙10aに目印50を形成させる製造過程を説明する。
目印形成用ノズル5は、目印形成用ノズル5の下方を移動している原紙10aに所定の液体を噴霧または滴下する。
このとき、目印形成用ノズル5は、ロール20を輪切りに切断してトイレットペーパー21,22,23,24を形成させたときに、各トイレットペーパー21,22,23,24の幅方向Xの両端部または各端部の近傍となる位置に、所定の液体を付着させ、目印
50を形成させる。
【0036】
目印形成用ノズル5は、例えば、1回の噴霧や滴下によって、各トイレットペーパー21,22,23,24の幅方向Xにおいて、5[mm]から10[mm]の大きさの目印
50が形成されるように、原紙10aの所定範囲に所定の液体を付着させる。目印50を上記の大きさに形成することにより、使用者がミシン目40の位置を認識することが容易となる。
【0037】
また、各トイレットペーパー21,22,23,24の幅方向Xの各縁端部分となる位
置、すなわち、図3に示した切断位置60に、紙繊維の隙間を広げる所定の液体を付着させて目印50を形成し、ミシン目40の位置で切り離し易くしてもよい。
ロール形状のトイレットペーパー21の幅方向Xの縁端部分に目印50を形成させた場
合、製造工程において上記の縁端部分に付着させた所定の液体が、縁端部分の紙繊維に浸透する。そうすると、図5に示すように、ミシン目40上かつ両側の縁端部分にのみ目印50が形成されたトイレットペーパー21となる。このトイレットペーパー21は、所定の液体が乾燥した後、他の部分に比べて破け易くなる。そのため、ペーパー21aの切り離しを、ミシン目40において、ペーパー21aの縁端部分から開始することが容易になる。
【0038】
目印形成用ノズル5は、所定の液体を付着させた原紙10aが、巻き取り部3によってロール形状に巻き取られ、ロール20が製造されたとき、原紙10aを巻回させた状態において、原紙10aに付着している所定の液体が、ミシン目40が形成されていない部分に浸み込むことを防止するために、適量の所定の液体を噴霧する。なお、目印形成用ノズル5が所定の液体を原紙10aに付着させた後、適当な乾燥手段を用いて原紙10aに付着している所定の液体を乾燥させ、その後、巻き取り部3において原紙10aを巻き取ることが好ましい。
【0039】
目印形成用ノズル5から噴霧する所定の液体は、弱い接着力を有するものを用いることが好ましい。弱い接着力を有する所定の液体を用いる場合には、原紙10aに付着させた所定の液体が完全に乾燥する前(貼り合わせ接着が可能な時間内)に、この原紙10aを巻き取り部3に到達させ、ロール形状に巻き取らせる。
この所定の液体の接着力は、例えば、図4のトイレットペーパー21を形成しているペーパー21a同士を重ねて接着させておき、これらを後で剥がすときに各ペーパー21aが不意に破れない程度の強さである。
【0040】
また、接着力を有する所定の液体を用いる場合には、原紙10aをロール形状に巻き取る際に、ロール形状の内側となる面に接着力が生じるように、原紙10aに所定の液体を付着させる。
上記のようにロール形状の内側面において接着を行うと、例えば、図4のトイレットペーパー21において、ロール形状の最も外側のペーパー21aを引き出すとき、このロール形状外側に位置するペーパー21aは、目印50の位置においてロール形状内側のペーパー21aに接着されている。
このように、目印50の位置においてロール形状内側のペーパー21aに接着されていると、ロール形状外側のペーパー21aを引き出すとき、ロール形状外側のペーパー21aに設けられている目印50の位置において、使用者の引き出し動作に抵抗が生じ、視覚以外の感覚によって、使用者がミシン目40の位置を認識できる。
【0041】
本開示のトイレットペーパーは、ミシン目40上に目印50が形成されているため、使用者がミシン目40の位置を容易に認識することができ、トイレットペーパー21からペーパー21aをミシン目40の位置で容易に切り離すことができる。
【0042】
また、本開示のトイレットペーパーは、弱い接着力を有する所定の液体を付着させて目印50を形成させているため、例えば、使用者が、トイレットペーパー21からペーパー21aを引き出し、重なり合っているペーパー21a同士が離れるときに、目印50の位置で抵抗が生じる。そのため、使用者はミシン目40の位置を容易に認識できる。さらに、目印50が着色されている場合、視力が悪い使用者でも容易にミシン目40の位置を認識できる。
【0043】
また、本開示の実施形態によるトイレットペーパーの製造方法によれば、原紙ロール10から引き出された原紙10aを巻き取り部3に搬送する途中において、所定の液体を原紙10aに付着させて目印50を形成させているので、トイレットペーパー製造装置1の製造過程を簡素にして、ミシン目40の位置を示す目印50を形成させることができる。
したがって、製造コストを抑制して、目印50を形成させたトイレットペーパー21を製造することができる。
【符号の説明】
【0044】
1 トイレットペーパー製造装置
2 原紙供給部
3 巻き取り部
4 ミシン目カッター
5 目印形成用ノズル
10 原紙ロール
10a 原紙
11,12 送り出しガイドローラー
20 ロール
21,22,23,24 トイレットペーパー
21a 帯状ペーパー
30 巻き取りシャフト
31 加圧ローラー
32,33 巻き取りガイドローラー
40 ミシン目
50 目印
60 切断位置
X 幅方向
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2023-09-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状のペーパーをロール形状に巻回させたトイレットペーパーであって、
前記ロール形状の幅方向に延設されたミシン目と、
前記ミシン目上かつ前記ペーパーの幅方向の両縁端に形成され、前記ミシン目の位置を示す目印と、
を備え、
前記目印の形状が半円状であり、前記両縁端から前記ミシン目の中心に向けて、前記目印の幅が小さくなる、
ことを特徴とするトイレットペーパー。
【請求項2】
前記目印が着色されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のトイレットペーパー。
【請求項3】
前記目印により、重なり合うペーパー同士が接着され、前記ロール形状のトイレットペーパーから前記ペーパーが引き出され、前記ペーパー同士が離れるときに、前記目印の接着力による抵抗が生じる、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のトイレットペーパー。
【請求項4】
前記目印により、前記ペーパーの紙繊維の隙間が広げられている、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のトイレットペーパー。
【請求項5】
前記目印は、前記ペーパーの幅方向の両縁端にのみ形成されている、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のトイレットペーパー。
【請求項6】
請求項1に記載のトイレットペーパーを製造するためのトイレットペーパーの製造方法であって、
原紙ロールから引き出された帯状の原紙に、前記原紙の幅方向に延設されたミシン目を形成させる第1過程と、
前記原紙の前記ミシン目を形成させた位置に所定の液体を付着させる第2過程と、
前記所定の液体を付着させた原紙を巻回した後、ロール形状の複数のトイレットペーパーに切断する第3過程と、
を有し、
前記第2過程は、
前記第3過程の切断によって前記トイレットペーパーが形成されたときに前記トイレットペーパーの幅方向における両端の側となる各位置に、前記所定の液体を付着させることで目印を形成する、
ことを特徴とするトイレットペーパーの製造方法。
【請求項7】
前記第2過程は、
前記原紙の幅方向に配置された複数のノズルから前記所定の液体を出し、前記各位置に前記所定の液体を付着させる、
ことを特徴とする請求項6に記載のトイレットペーパーの製造方法。
【請求項8】
前記第2過程は、
任意の色を前記原紙に着色する前記所定の液体を用いる、
ことを特徴とする請求項6または請求項7に記載のトイレットペーパーの製造方法。
【手続補正書】
【提出日】2023-12-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状のペーパーをロール形状に巻回させたトイレットペーパーであって、
前記ロール形状の幅方向に延設されたミシン目と、
前記ミシン目上かつ前記ペーパーの幅方向の両縁端に形成され、前記ミシン目の位置を示す目印と、
を備え、
前記目印により、前記ペーパーの紙繊維の隙間が広げられ、
前記目印の形状が半円状であり、前記両縁端から前記ミシン目の中心に向けて、前記目印の幅が小さくなる、
ことを特徴とするトイレットペーパー。
【請求項2】
前記目印が着色されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のトイレットペーパー。
【請求項3】
前記目印により、重なり合うペーパー同士が接着され、前記ロール形状のトイレットペーパーから前記ペーパーが引き出され、前記ペーパー同士が離れるときに、前記目印の接着力による抵抗が生じる、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のトイレットペーパー。
【請求項4】
前記目印は、前記ペーパーの幅方向の両縁端にのみ形成されている、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のトイレットペーパー。
【請求項5】
ロール形状を有し、このロール形状の幅方向に延設されたミシン目及び前記ミシン目上かつ前記ミシン目の両縁端に形成され、前記ミシン目の位置を示す目印を備え、前記目印の形状が半円状であり、前記両縁端から前記ミシン目の中心に向けて、前記目印の幅が小さくなるトイレットペーパーを製造するためのトイレットペーパーの製造方法であって、
原紙ロールから引き出された帯状の原紙に、前記原紙の幅方向に延設された前記ミシン目を形成させる第1過程と、
前記原紙の前記ミシン目を形成させた位置に所定の液体を付着させる第2過程と、
前記所定の液体を付着させた前記原紙を巻回した後、前記ロール形状の複数の前記トイレットペーパーに切断する第3過程と、
を有し、
前記第2過程は、
前記第3過程の切断によって前記トイレットペーパーが形成されたときに前記トイレットペーパーの幅方向における両端の側となる各位置に、前記所定の液体を付着させることで前記目印を形成する、
ことを特徴とするトイレットペーパーの製造方法
【請求項6】
記第2過程は、
前記原紙の幅方向に配置された複数のノズルから前記所定の液体を出し、前記各位置に前記所定の液体を付着させる、
ことを特徴とする請求項5に記載のトイレットペーパーの製造方法。
【請求項7】
前記第2過程は、
任意の色を前記原紙に着色する前記所定の液体を用いる、
ことを特徴とする請求項5または請求項6に記載のトイレットペーパーの製造方法。