(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024065658
(43)【公開日】2024-05-15
(54)【発明の名称】ヘッドマウントディスプレイ
(51)【国際特許分類】
H04N 5/64 20060101AFI20240508BHJP
【FI】
H04N5/64 511A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022174644
(22)【出願日】2022-10-31
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(72)【発明者】
【氏名】原 教之
(57)【要約】
【課題】コンバイナに傷付き或いは割れなどの不具合が生じることを防止するヘッドマウントディスプレイを提供する。
【解決手段】ヘッドマウントディスプレイ(91)は、前方からの外光(Lt2)と表示光(Lt1)とを合成するコンバイナ(3)と、コンバイナ(3)の前方に設けられた複数の係合部(KB1~KB4)と、長手を有する形状で形成され、長手の両端部近傍が係合部(KB1~KB4)に係合して自然状態よりも撓んだ弧状でコンバイナ(3)の前方に装着された光透過性を有する保護カバー(2)と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前方からの外光と表示光とを合成するコンバイナと、
前記コンバイナの前記前方に設けられた複数の係合部と、
長手を有する形状で形成され、前記長手の両端部近傍が前記係合部に係合して自然状態よりも撓んだ弧状で前記コンバイナの前記前方に装着された光透過性を有する保護カバーと、
を備えたヘッドマウントディスプレイ。
【請求項2】
前記保護カバーは、前記長手の両端部の幅よりも中央部の幅の方が大きく形成されている請求項1記載のヘッドマウントディスプレイ。
【請求項3】
前記保護カバーは、前記両端部近傍における前記長手の方向に沿う縁部が前記係合部に係合しており、短手の方向に沿う縁部が開放されている請求項1記載のヘッドマウントディスプレイ。
【請求項4】
前記係合部よりも前記長手の方向の中央寄りに、前記保護カバーの前記長手の方向に沿う両縁部それぞれに対して設けられ、前記保護カバーの前記長手の方向に沿う縁部と係合する複数の突起部を有し、
前記複数の突起部は、前記保護カバーの前記長手の方向において互いに異なる位置にある請求項1~3のいずれか1項に記載のヘッドマウントディスプレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘッドマウントディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、コンバイナを備えた透過型のヘッドマウントディスプレイが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されているようなコンバイナを備えた透過型のヘッドマウントディスプレイにおいて、コンバイナは外部に露出して取り付けられている。
そのため、屋外での使用,丁寧な取り扱いが難しい状況下での使用,或いは使用者の不注意などにおいて、コンバイナの表面に傷が付く、コンバイナに割れが生じる、などの不具合が生じることが懸念される。
【0005】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、コンバイナに傷付き或いは割れなどの不具合が生じることを防止するヘッドマウントディスプレイを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明は次の1)の構成を有する。
1)前方からの外光と表示光とを合成するコンバイナと、
前記コンバイナの前記前方に設けられた複数の係合部と、
長手を有する形状で形成され、前記長手の両端部近傍が前記係合部に係合して自然状態よりも撓んだ弧状で前記コンバイナの前記前方に装着された光透過性を有する保護カバーと、
を備えたヘッドマウントディスプレイである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、コンバイナに傷付き或いは割れなどの不具合が生じることを防止できる、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態に係るヘッドマウントディスプレイの実施例であるヘッドマウントディスプレイ91の斜視図である。
【
図2】
図2は、ヘッドマウントディスプレイ91を使用者HBに装着した状態での左側面図である。
【
図3】
図3は、ヘッドマウントディスプレイ91を使用者HBに装着した状態での前面図である。
【
図4】
図4は、ヘッドマウントディスプレイ91が備える保護カバー2を示す図であり、
図4(a)が上面図、
図4(b)が平面図である。
【
図5】
図5は、
図3におけるS5-S5位置での模式的断面図である。
【
図6】
図6は、
図2におけるS6-S6位置での断面図である。
【
図7】
図7は、ヘッドマウントディスプレイ91の下部ガイド12における下突起部122を示す部分拡大斜視図である。
【
図8】
図8は、ヘッドマウントディスプレイ91の上部ガイド11における上突起部112,113を示す部分拡大斜視図である。
【
図9】
図9は、下部ガイド12における下案内部123を示す部分拡大斜視図である。
【
図10】
図10は、上部ガイド11における上案内部114を示す部分拡大斜視図である。
【
図11A】
図11Aは、保護カバー2の取り付け手順を説明するための第1の斜視図である。
【
図11B】
図11Bは、保護カバー2の取り付け手順を説明するための第2の斜視図である。
【
図11C】
図11Cは、保護カバー2の取り付け手順を説明するための第3の斜視図である。
【
図12】
図12は、保護カバー2の取り外し方法を説明するための斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施の形態に係るコンバイナ保護構造及びヘッドマウントディスプレイを、実施例のコンバイナ保護構造HK及びヘッドマウントディスプレイ91により説明する。以下の説明において、上下左右前後の各方向を、
図1に示される矢印の方向で規定する。この方向は、ヘッドマウントディスプレイ91を装着した使用者の頭部の向きを基準としている。
【0010】
図1~
図3に示されるように、ヘッドマウントディスプレイ91は、いわゆる透過型のヘッドマウントディスプレイ91であって、使用者の左右の目に跨るように宛がう本体部1と、本体部1の後部に取り付けられて本体部1を使用者HBの頭部に支持させるための装着具81とを備えている。
【0011】
装着具81は、本体部1の左右方向の側部に取り付けられた側部ベルト811.812と、上部に取り付けられた頂部ベルト813と、側部ベルト811,812及び頂部ベルト813が連結し後頭部に宛がわれるパッド814とを有する。
使用者HBは、装着具81を頭部に対し被るように装着することで、本体部1を手で支えることなく、顔の上部の左右の目の位置に安定して保持させることができる。
【0012】
図1~
図3を参照して本体部1の外観上の構成について説明する。
本体部1は、左右に細長く前後が開放した枠状を呈し、前面は光を透過可能に開放された左右に長い窓部1Wとされている。本体部1は概ね左右対称形状で形成されている。
窓部1Wの上縁には、前方にわずかに突出する上部ガイド11が設けられている。窓部1Wの下縁には、前方にわずかに突出する下部ガイド12が設けられている。
窓部1Wの最前位置には、透明な保護カバー2が着脱自在に取り付けられている。保護カバー2は、上部ガイド11及び下部ガイド12に、左右方向の中央部が前方に凸となる略筒面の一部となる形状で取り付けられている。
【0013】
上部ガイド11は、基部111と、基部111の左右対称となる位置に形成された一対の上突起部112,113と、基部111の左右方向の端部近傍に形成された上案内部114,115とを有する。
上突起部112,113は、保護カバー2の前方側において下方に突出している。上案内部114,115は、保護カバー2の前面側において下方に突出した部分を有する。
【0014】
下部ガイド12は、基部121と、基部121の左右方向の中央位置に形成された下突起部122と、基部121の左右方向の端部近傍に形成された下案内部123,124とを有する。
下突起部122は、保護カバー2の前方側において上方に突出している。下案内部123,124は、保護カバー2の前面側において上方に突出した部分を有する。
【0015】
図4に示されるように、保護カバー2は、例えば透明の樹脂板であって、外力が掛かっていない自然状態で、湾曲していない平板状を呈する。
保護カバー2は、長手を有する形状で可撓性をもって形成されている。保護カバー2は、左右両端部を接近させるよう人手で力を加えることで湾曲させることができる程度の材質及び板厚で形成されている。材料例は、PC(ポリカーボネート樹脂)の厚さ1.0mmの板材である。材料及びその厚さは、可撓性を有していれば上記に限定されず任意である。保護カバー2の第1面2F及び反対側の第2面2Bには、ハードコート及び反射防止膜がコーティングされている。コーティングの種類は限定されず任意である。また、保護カバー2はコーティングされてなくてもよく、コーティングの有無は任意である。
【0016】
保護カバー2は、左右方向に直線状に延びる第1の縁部である上縁部2aと、上縁部2aの両端部から互いにわずかに接近するように下方に延びる第2の縁部である右縁部2c及び左縁部2dと、左右方向の中央が下方に凸となる弧状で右縁部2c及び左縁部2dの下端部を繋ぐ下縁部2bとを有する概ね左右対称形状の板材である。右縁部2c及び左縁部2dは、上縁部2aの両端部から互いにわずかに接近するように下方に延びるものに限定されない。保護カバー2は、
図4において左右方向が長手、上下方向が短手となる。
上縁部2aの両端部近傍には、上方に突出する突出部2a1,2a2が形成されている。
下縁部2bの両端部近傍には、その両端部側に対し上下方向の幅を拡張するように下方にわずかに突出した段部2b1,2b2が形成されている。
下縁部2bは、左右の中央と段部2b1との間に、上方に切り込まれた切込み部2b3を有する。保護カバー2は、切込み部2b3を除いて左右対称に形成されている。突出部2a1,2a2の形成位置は任意である。また、上縁部2aおいて突出部2a1,2a2は形成されていなくてもよい。段部2b1,2b2の形成位置は任意である。また、下縁部2bにおいて突出部2a1,2a2は形成されていなくてもよい。
【0017】
切込み部2b3は、第1面2Fと第2面2Bとでコーティングが異なる、などの表裏を区別する必要がある場合において、本体部1に対し表裏の逆取り付けを防止するためなどに用いられる。
本例では、保護カバー2は、第1面2Fのハードコートが第2面2Bよりも厚くコーティングされている。そのため、第1面2Fが必ず外側を向く姿勢で取り付けられるように、装着状態で切込み部2b3に係合する突出部125を下部ガイド12に設けてある(
図1参照)。
【0018】
保護カバー2の内側には、左目に対応するコンバイナ3Lと、右目に対応するコンバイナ3Rとを含むコンバイナ3が配置されている。
【0019】
次に、本体部1の内部構造を、
図5及び
図6を参照して説明する。
図5は、左目HBeの光軸CLEを含む上下前後に延びる平面を切断面とした断面図である。
図6は、左目HBeの光軸CLEを含む前後左右に延びる平面を切断面とした断面図であり、左右中心線CLHを含む左目に対応した部分の断面図である。
【0020】
本体部1の内部には、左右の目それぞれに対応する光学系として、表示パネル71,ハーフミラー72が配置されている。また、本体部1の窓部1Wを塞ぐように既述のコンバイナ3が配置され、その前方に保護カバー2が配置されている。本体部1の内部構造は、左右対称構造であるので、代表として左目HBeに対応した光学系について説明する。
【0021】
図5に示されるように、表示パネル71は、本体部1の内部における上部に、前後左右方向に延在する姿勢で配置されている。表示パネル71は、例えば液晶表示パネルであって下面が表示面とされる。表示パネル71は、使用者が、このヘッドマウントディスプレイ91越しに見る実空間に重なって見えるように表示画像を表示する。
【0022】
表示パネル71の下方には、平板状のハーフミラー72が配置されている。ハーフミラー72は、下側が前方となる概ね45°の傾斜姿勢とされ、表示パネル71に表示された表示画像の光である表示光Lt1を前方に向くように反射する。
コンバイナ3Lはハーフミラー72の前方に配置されている。コンバイナ3Lはハーフミラーであって、外部からの実空間の外光Lt2を透過させると共に、ハーフミラー72で反射して入来した表示光Lt1を、ハーフミラー72に戻すように反射する。これにより、実空間の外光Lt2に表示画像の表示光Lt1が重畳された合成光Lt3が生成される。合成光Lt3は、ハーフミラー72を透過して左目HBeに達し、使用者に視認される。右目に対応した光学系も、左右対称で同様の構造である。
【0023】
図5に示されるように、上下方向の実空間の視野角は、左目HBeの光軸CLEに対し上方に角度θa、下方に角度θbである。例えば、角度θaは22.5°、角度θbは22.5°であり、垂直視野角は45°となる。一方、
図6に示されるように、左右方向の実空間の視野角は、左目HBeの光軸CLEに対し左方に角度θc,右方に角度θdである。例えば、角度θcは60.0°、角度θdは20.0°であり、水平視野角は120°となる。
上記の角度θa,角度θb,及び垂直視野角、並びに、角度θc,角度θd,及び水平視野角の値は限定されるものではなく任意に設定される。
保護カバー2は、少なくとも保護カバー2を装着していない状態のコンバイナ3の視野全体を覆う形状,大きさ,及び取り付け位置で、本体部1に装着される。
【0024】
次に、コンバイナ保護構造HKにおける、保護カバー2の取り付け構造の詳細を、
図7~
図10を主に参照して説明する。
本体部1は、複数の係合部として下案内部123,124及び上案内部114,115を有し、複数の突起部として下突起部122及び上突起部112,113を有する。
図7に示されるように、下部ガイド12の下突起部122は、下部ガイド12の基部121の左右方向の中央位置においてその最前縁部121fから前方に隆起し、かつ上方に突出するように形成されている。
【0025】
基部121には、下突起部122の後面である内面122aに対し後方に距離Daだけ離隔した位置に、内面122aと対向するように上方に延出した壁面を有する段部121aが形成されている。段部121aは、
図6にも示されるように、コンバイナ3の前面から離隔した位置に、上面視で左右対称の弧状で、基部121の左右全幅に亘り形成されている。段部121aの形成範囲は左右全幅に亘るものに限定されず任意である。
【0026】
下突起部122の内面122aと段部121aとの間には、保護カバー2の下縁部2bがさし込まれる。従って、距離Daは、保護カバー2の厚さに対し、同じかわずかに大きく設定される。
【0027】
図8に示されるように、上部ガイド11の上突起部112,113は、上部ガイド11の基部111の左右方向の中央に対し、それぞれ右方及び左方に距離L112,L113(
図3参照)隔てた位置に設けられている。この例において、距離L112と距離L113は同じである。
上突起部112,113は、上部ガイド11の最前縁部111fから前方に隆起し、かつ下方に突出するように形成されている。
【0028】
基部111には、上突起部112,113の後面である内面112a,113aに対し、後方に距離Dbだけ離隔した位置に、段部111aが形成されている。段部111aは、内面112a,113aと対向する壁面を有する。
段部111aは、下部ガイド12に形成された段部121aと同様に、コンバイナ3の前面から同じ距離だけ離隔した位置に、上面視で段部121aと同じ弧状の形状で、基部111の左右全幅に亘り形成されている。段部111aの形成範囲は左右全幅に亘るものに限定されず任意である。
【0029】
上突起部112,113の内面112a,113aと段部111aとの間の距離Dbの隙間には、保護カバー2の上縁部2aがさし込まれる。従って、距離Dbは、保護カバー2の厚さに対し、同じかわずかに大きく設定される。
【0030】
図9に示されるように、下部ガイド12の右端部近傍にある下案内部123は、下部ガイド12の基部121の右端部近傍において、段部121aとの間に距離Ddの隙間を生じるように、最前縁部121fから前方に隆起しかつ上方に突出するように形成されている。
すなわち、段部121aと下案内部123の内面123aとの間には、幅が距離Ddとなる溝が形成されている。溝の底となる部分は、隆起した隆起部123bとされている。この隆起部123bの形成有無は任意である。
【0031】
本体部1に保護カバー2が装着された状態で、保護カバー2の下縁部2bは、段部121aと内面123aとの間の溝に差し込まれている。従って、距離Ddは、保護カバー2の厚さに対し、同じかわずかに大きく設定される。
このように、段部121a及び下案内部123は、保護カバー2の下縁部2bの右端部側部位と係合する係合部KB1を構成している。
下部ガイド12の左端部近傍にある下案内部124は、下案内部123と左右対称形状に形成され、隆起部123bに対応する隆起部124bも左右対称形状で同様に形成されている(
図3参照)。また、下案内部124は、内面123aと左右対称の内面124aを有する(
図6参照)。
段部121a及び下案内部124は、保護カバー2の下縁部2bの左端部側部位と係合する係合部KB2を構成している。
【0032】
下部ガイド12の段部121aにおいて、右端部近傍に形成された下案内部123に対する中央寄りの近傍には、前方に突出する突出部125が形成されている。突出部125は、左端部近傍に形成された下案内部124の近傍には形成されてなく、左右方向の中央位置に対し右側にのみ形成されている。すなわち、下部ガイド12は、突出部125を除いて左右対称に形成されている。
突出部125は、本体部1に保護カバー2が装着された状態で、保護カバー2の切込み部2b3と係合する。
【0033】
図10に示されるように、上部ガイド11の上案内部114は、上部ガイド11の基部111の右端部近傍において段部111aに対し距離Deだけ離隔して下方に延びるよう形成された弧状のリブである。
段部111aと、上案内部114における段部111aと対向する内面114aとの間には、幅が距離Deとなる溝が形成されている。溝の底となる部分は、段部111aに沿って上方に向け抉れた凹部114bの一部とされている。この溝の形成有無は任意である。
【0034】
上部ガイド11の左端部近傍の上案内部115は、上案内部114と左右対称形状に形成され、凹部114bに対応する凹部115b(
図3参照)も、左右対称形状で同様に形成されている。上案内部115における段部111aと対向する面は、内面114aと左右対称の内面115aとされている(
図3参照)。
本体部1に保護カバー2が装着された状態で、保護カバー2の上縁部2aの右端部は、段部111aと上案内部114の内面114aとの間に差し込まれている。同様に、保護カバー2の上縁部2aの左端部は、段部111aと上案内部115の内面との間に差し込まれている。従って、距離Deは、保護カバー2の厚さに対しわずかに大きく設定される。このように、段部111a及び上案内部114は、保護カバー2の上縁部2aの右端部側部位と係合する係合部KB3を構成している。また、段部111a及び上案内部115は、保護カバー2の上縁部2aの左端部側部位と係合する係合部KB4を構成している。
【0035】
次に、上部ガイド11及び下部ガイド12に対し、保護カバー2を取り付ける手順について
図11A~
図11Cを参照して説明する。
まず、取り付ける保護カバー2を、上方側が直線状の上縁部2aとなり右側に切込み部2b3がある向きにする。次いで、
図11Aに示されるように、保護カバー2を、平板状態から、右縁部2c及び左縁部2dが後方側となるよう手によって湾曲させる(矢印DR1)。
【0036】
次いで、
図11Bに示されるように、湾曲させた保護カバー2の右上端部位を上案内部114の距離Deの隙間に差し込み、右下端部位を下案内部123の距離Ddの隙間に差し込む(矢印DR2)。同じように、保護カバー2の左上端部位及び左下端部位を、それぞれ上案内部115及び下案内部124に差し込む(矢印DR3)。
【0037】
保護カバー2の左右端部位を差し込み、保護カバー2を係合することで、保護カバー2の上下方向の移動が規制される。
湾曲させた保護カバー2は、平板状に戻ろうとする力が働くので保護カバー2の係合は自ずと進行する。それに伴い、保護カバー2において前方に突出した中央部位は、平板状になろうとして後方側へ移動する(矢印DR4)。
【0038】
これにより、
図11Cに示されるように、保護カバー2の上縁部2aは、上突起部112,113を乗り越えて(矢印DR5)
図1に示される状態になる。また、保護カバー2の下縁部2bも同様に、下突起部122を乗り越えて(矢印DR6)
図1に示される状態になる。
上突起部112,113及び下突起部122を乗り越えた保護カバー2は、湾曲した状態から平板状に復帰しようとする。すなわち、保護カバー2の左右方向の中央部位は、段部111a及び段部121aを後方に付勢し、左右方向の端部側部位は、上案内部114,115及び下案内部123,124を前方に付勢する。段部111a及び段部121a、並びに、上案内部114,115及び下案内部123,124は剛体であるから、保護カバー2の後方への付勢力は段部111a及び段部121aからの前方への反力と釣り合う。また、保護カバー2の上案内部114,115に対する前方への付勢力は、上案内部114,115それぞれの内面114a,115aからの後方への反力と釣り合う。また、保護カバー2の下案内部123,124に対する前方への付勢力は、下案内部123,124それぞれの内面123a,124aからの後方への反力と釣り合う。
これにより、保護カバー2は、段部111a及び段部121a、並びに、内面114a,115a及び内面123a,124aに当接した状態で維持される。すなわち、保護カバー2は、自然状態よりも撓んだ弧状で本体部1に装着されている。保護カバー2の自然状態は、この例において平板状である。
【0039】
保護カバー2の上下方向の幅は、
図4に示されるように、左右方向の中央部が最も大きく、左端及び右端に向かうに従って徐々に小さくなっている。
これにより、保護カバー2は、本体部1における段部111a及び121aに密着する所定位置に装着されたら、その後の左右方向への移動は実質的に生じない。
【0040】
また、保護カバー2が段部111a及び121aに密着するように装着される際に、保護カバー2の上縁部2aにおける突出部2a1,2a2は、それぞれ上部ガイド11における凹部114b,115bに係合する。また、下部ガイド12の隆起部123b,124bは、それぞれ保護カバー2の下縁部2bにおける段部2b1,2b2に係合する。
これにより、保護カバー2は、左右方向の位置決めがより確実になされ、仮に左右方向の外力が付与されても、位置がずれる虞はほとんどない。
保護カバー2は、上部ガイド11と下部ガイド12との間に装着された状態で、上下方向のガタ付がほとんど生じないようになっている。すなわち、上部ガイド11と下部ガイド12と間の保護カバー2が装着される部位の上下間隔は、保護カバー2と同じかわずかに大きく設定されている。
【0041】
湾曲した保護カバー2の平板状への復帰力によっては、上突起部112,113及び下突起部122を自ずと乗り越えられない場合もあり得るが、指などで軽く押し込むことで容易に乗り越えさせることができる。
【0042】
上部ガイド11の上突起部112,113、及び下部ガイド12の下突起部122は、保護カバー2の第1面2Fにおける視野に影響しない一部を覆うように突出している。これにより、保護カバー2の前方への意図しない脱落を防止する。
【0043】
複数の係合部である上案内部114,115及び下案内部123,124よりも左右方向(保護カバー2の長手方向)の中央寄りには、複数の突起部112,113,122が形成されている。突起部112,113は保護カバー2の長手方向に沿う両縁部のうちの上縁部2aと係合し、突起部122は下縁部2bと係合する。
上突起部112,113と下突起部122とは、上下方向の同じ位置には配置されず、互いに左右方向の異なる位置に配置されている。そのため、保護カバー2を取り付ける際のこれらの突起部の乗り越えに伴う変形が容易となる。
これにより、保護カバー2の取り付けを、より簡単に容易に行うことができる。
また、次に説明する保護カバー2の取り外しもより簡単かつ容易になる。
【0044】
図12は、本体部1に装着されている保護カバー2を取り外す方法を説明するための斜視図である。
図12に示されるように、保護カバー2の右縁部2c及び左縁部2dを、指Fgによって内側に向かって押す(矢印DR7)。これにより、保護カバー2の左右方向の中央部が、上突起部112,113及び下突起部122を乗り越えて前方に突出するようにたわむ(矢印DR8)。
以降、保護カバー2の中央部を前方に引き出すことで保護カバー2の左右両端部位は、下案内部123及び上案内部114、並びに、下案内部124及び上案内部115から抜けて本体部1から取り外される。
このように、保護カバー2は、右縁部2c及び左縁部2dを指によって中央に向け押し込むことができ、これによって本体部1から取り外すことができる。
【0045】
保護カバー2は、幅方向(各図における上下方向)に保持され左右の縁部である左縁部2d及び右縁部2cが開放されている。これにより、本体部1に取り付けられた保護カバー2を、
図12に示されるように指によって撓ませて取り出す作業は、大変容易である。
【0046】
以上詳述した本発明の一態様のコンバイナ保護構造HK及びヘッドマウントディスプレイ91によれば、コンバイナ3の前方に透明の保護カバー2が装着されているので、物がコンバイナ3と接触することが効果的に防止される。すなわち、コンバイナ3に傷付け或いは割れなどの不具合が生じることを防止できる。
【0047】
また、保護カバー2は、本体部1から工具を使うことなく容易に取り外すことができる。これにより、保護カバー2の交換などのメインテナンスが容易である。
【0048】
また、保護カバー2は自然状態で平板状であり、装着状態で緩やかな湾曲形状とされている。そのため、保護カバー2は、装着状態で平板状態に戻ろうとする力を常に本体部1に対し付与している。これにより、保護カバー2は、装着状態でのガタ付きがなく、過剰な外力をかけない限り外れることはない。
保護カバー2は、自然状態で平板状であるものに限定されない。保護カバー2は自然状態で湾曲していてもよく、その湾曲度合が、保護カバー2が本体部1に装着された状態での湾曲度合と異なっていればよい。例えば、保護カバー2は、自然状態で、本体部1に装着された状態での湾曲度合よりも小さい湾曲度合で湾曲していてもよい。
【0049】
以上詳述した実施例は、その構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において変形した変形例としてもよい。
【0050】
保護カバー2の形状は、上下方向の幅が左右方向の中央部が最も大きく、左端及び右端に向かうに従って徐々に小さくなっているものでなくてもよい。例えば、上下方向の幅が左右方向で一定となる形状であってもよい。この場合でも、本体部1に装着された保護カバー2は、平板状に復帰しようとする力で付勢する面との間で生じる摩擦力によって、左右方向の位置決めがなされ本体部1に対しずれることなく安定して装着される。
【0051】
保護カバー2は、第1面2Fと第2面2Bとを区別する例を説明したが、表裏の区別なく使用可能なものであってもよい。この場合、保護カバー2に、切込み部2b3を左右の一方側ではなく左右対称となる位置で両側に形成することで、突出部125を有する本体部1に対して、表裏逆付けに配慮することなく取り付けが可能となる。すなわち、保護カバー2は、その表裏区別の要否によらず本体部1に装着可能である。
また、本体部1に対し、保護カバー2の表裏区別のないもののみを装着する場合は、保護カバー2の切込み部2b3及び本体部1の突出部125の両方が不要である。
【0052】
保護カバー2の形状及び材質は限定されない。保護カバー2は、上縁部2aが直線状である例を説明したが、曲線状であってもよい。左右方向の中央部の幅が左右端部の幅よりも大きい形状であることが望ましい。
上部ガイド11に形成する上突起部112,113の数、及び下部ガイド12に形成する下突起部122の数は限定されない。また、上部ガイド11に形成する上案内部114,115の数、及び下部ガイド12に形成する下案内部123,124の数は限定されない。
保護カバー2は必ずしも無色透明であるものに限定されない。保護カバー2が光透過性を有するか否かは任意である。
【符号の説明】
【0053】
1 本体部
1W 窓部
11 上部ガイド
111 基部
111a 段部
111f 最前縁部
112,113 上突起部
112a,113a 内面
114,115 上案内部
114a,115a 内面
114b,115b 凹部
12 下部ガイド
121 基部
121a 段部
121f 最前縁部
122 下突起部
122a 内面
123,124 下案内部
123a,124a 内面
123b,124b 隆起部
125 突出部
2 保護カバー
2B 第2面
2F 第1面
2a 上縁部
2a1,2a2 突出部
2b 下縁部
2b1,2b2 段部
2b3 切込み部
2c 右縁部
2d 左縁部
3,3L,3R コンバイナ
71 表示パネル
72 ハーフミラー
81 装着具
811,812 側部ベルト
813 頂部ベルト
814 パッド
91 ヘッドマウントディスプレイ
CLH 左右中心線
CLE 光軸
Da,Db,Dd,De 距離
Fg 指
HB 使用者
HBe 左目
HK コンバイナ保護構造
KB1,KB2 ,KB3,KB4 係合部
Lt1 表示光
Lt2 外光
Lt3 合成光
L112,L113 距離
θa,θb,θc,θd 角度