(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024065669
(43)【公開日】2024-05-15
(54)【発明の名称】薬液組成物及び空隙充填用組成物
(51)【国際特許分類】
C08G 18/20 20060101AFI20240508BHJP
C08G 18/00 20060101ALI20240508BHJP
C08G 18/48 20060101ALI20240508BHJP
E21D 11/00 20060101ALI20240508BHJP
C09K 17/30 20060101ALI20240508BHJP
C09K 17/18 20060101ALI20240508BHJP
C08G 101/00 20060101ALN20240508BHJP
【FI】
C08G18/20
C08G18/00 F
C08G18/48
E21D11/00 A
C09K17/30 P
C09K17/18 P
C08G101:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022174656
(22)【出願日】2022-10-31
(71)【出願人】
【識別番号】000117102
【氏名又は名称】旭有機材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094190
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 清路
(74)【代理人】
【識別番号】100151127
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 勝雅
(74)【代理人】
【識別番号】100151644
【弁理士】
【氏名又は名称】平岩 康幸
(72)【発明者】
【氏名】本村 勇太
(72)【発明者】
【氏名】▲柳▼ 智裕
【テーマコード(参考)】
2D155
4H026
4J034
【Fターム(参考)】
2D155JA00
2D155KB10
4H026CB08
4H026CC06
4J034BA03
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4J034QC01
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4J034RA10
4J034RA15
(57)【要約】
【課題】土を含む地盤の中に形成された空隙を満たすために用いられ、発泡ポリウレタン形成前には程よく流動性を有し、圧縮強度に優れた発泡体を与える空隙充填用組成物、及び、このような空隙充填用組成物の調製に用いられる、貯蔵安定性に優れる薬液組成物を提供する。
【解決手段】薬液組成物は、ポリオール、イミダゾール系触媒、三量化触媒及び泡化触媒を含有する。ポリオールは、数平均分子量が200~6000であるポリエーテルポリオールを含むことが好ましい。三量化触媒はカルボン酸塩を含むことが好ましい。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリイソシアネートと組み合わせて空隙充填用組成物の調製に用いられる薬液組成物であって、
ポリオール、イミダゾール系触媒、三量化触媒及び泡化触媒を含有することを特徴とする薬液組成物。
【請求項2】
前記ポリオールが、数平均分子量が200~6000であるポリエーテルポリオールを含む請求項1に記載の薬液組成物。
【請求項3】
前記ポリオールは、水酸基価が30~1000mgKOH/gのポリオールを含む請求項1に記載の薬液組成物。
【請求項4】
前記水酸基価が30mgKOH/g以上350mgKOH/g未満のポリオール、及び、水酸基価が350~1000mgKOH/gのポリオールが含まれる請求項3に記載の薬液組成物。
【請求項5】
前記三量化触媒がカルボン酸塩を含む請求項1に記載の薬液組成物。
【請求項6】
更に、難燃剤を含有する請求項1に記載の薬液組成物。
【請求項7】
更に、減粘剤を含有する請求項1に記載の薬液組成物。
【請求項8】
更に、発泡剤を含有する請求項1に記載の薬液組成物。
【請求項9】
請求項1に記載の薬液組成物と、ポリイソシアネートを含むポリイソシアネート組成物とが組み合わされてなる空隙充填用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土を含む地盤の中に形成された空隙を満たすために用いられる空隙充填用組成物及びその調製に用いられる薬液組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、土を含む地盤の中に、トンネル等の構造物を建設又は補修する工事において、例えば、コンクリート構造物と、その周りの地盤との間に空隙が形成されている場合、又は、地盤の内部に空隙が形成されている場合に、これらの空隙を埋めるため、モルタル充填工法、ベントナイトモルタル工法、エアモルタル工法、膨張材混入モルタル工法等が適用されてきた。しかしながら、近年、施工性及び止水性の観点から、空隙に薬剤を注入してポリウレタン発泡体を形成させ、空隙を満たす方法が提案されており、このような薬剤として、以下の技術が知られている。
【0003】
特許文献1には、活性水素基含有化合物(A)と有機ポリイソシアネート(B)からなる空隙充填用注入薬液組成物において、(B)が二核体を20~70質量%含有するジフェニルメタンジイソシアネート系多核縮合体であって、かつ、二核体が2,2′-ジフェニルメタンジイソシアネートと2,4′-ジフェニルメタンジイソシアネートを合計で5~60質量%含有するものであることを特徴とする、注入薬液組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
土を含む地盤において、コンクリート構造物(トンネル等)と、その周りの地盤との間に形成されている空隙、又は、地盤の内部に形成されている空隙は、通常、不定形であるため、空隙を、発泡ポリウレタンで満たすためには、ポリオール及びポリイソシアネートを含む発泡体形成用の薬剤が空隙に供給された際に、程よく滞留し反応により空隙を余すことなく発泡体が形成されることが好ましい。また、上記のように、注入する薬剤を調製する前には、ポリオールを含む組成物、及び、ポリイソシアネートを含む組成物が準備されるが、これらのうち、特に、ポリオール含有組成物は、組成物を調製後、貯蔵されていない「調製仕立て」の組成物であったり、調製仕立てではない貯蔵品であったりする。ポリオール含有組成物が貯蔵品であるときに、ポリイソシアネートと併用すると、調製仕立てのものをポリイソシアネートと併用した場合に比べて、ゲルタイムが長くなる、即ち、ポリオール含有組成物の貯蔵安定性が十分でなく、薬剤におけるポリオール及びポリイソシアネートの反応性を低下させることがあった。ポリオール及びポリイソシアネートの反応性が低下すると、得られるポリウレタンからなる発泡体(発泡ポリウレタン)の圧縮強度が十分ではない傾向がある。
【0006】
本発明の目的は、土を含む地盤の中に形成された空隙を満たすために用いられ、発泡ポリウレタン形成前には程よく流動性を有し、圧縮強度に優れた発泡体を与える空隙充填用組成物、更には、このような空隙充填用組成物の調製に用いられる、貯蔵安定性に優れる薬液組成物を提供することである。
また、本発明の他の目的は、水中発泡性に優れる空隙充填用組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は以下に示される。
[1]ポリイソシアネートと組み合わせて空隙充填用組成物の調製に用いられる薬液組成物であって、
ポリオール、イミダゾール系触媒、三量化触媒及び泡化触媒を含有することを特徴とする薬液組成物。
[2]上記ポリオールが、数平均分子量が200~6000であるポリエーテルポリオールを含む上記[1]に記載の薬液組成物。
[3]上記ポリオールは、水酸基価が30~1000mgKOH/gのポリオールを含む上記[1]に記載の薬液組成物。
[4]上記水酸基価が30mgKOH/g以上350mgKOH/g未満のポリオール、及び、水酸基価が350~1000mgKOH/gのポリオールが含まれる上記[3]に記載の薬液組成物。
[5]上記三量化触媒がカルボン酸塩を含む上記[1]に記載の薬液組成物。
[6]更に、難燃剤を含有する上記[1]に記載の薬液組成物。
[7]更に、減粘剤を含有する上記[1]に記載の薬液組成物。
[8]更に、発泡剤を含有する上記[1]に記載の薬液組成物。
[9]上記[1]に記載の薬液組成物と、ポリイソシアネートを含むポリイソシアネート組成物とが組み合わされてなる空隙充填用組成物。
【発明の効果】
【0008】
本発明の空隙充填用組成物を、土を含む地盤の中に形成された空隙に適用すると、圧縮強度に優れた発泡体を形成することができる。従って、空隙がコンクリート等からなる構造物と、その周りの地盤との間に形成されている場合、又は、空隙が地盤の内部に形成されている場合に、これらの空隙に、本発明の空隙充填用組成物を供給し、反応させて、発泡ポリウレタンで満たすことにより、構造物又は地盤を強化することができる。更に、反応前(発泡ポリウレタン形成前)の組成物が程よい流動性を有する、又は、水中発泡性に優れるため、発泡ポリウレタンにより不定形の空隙を満たすことが容易となる。
また、このような空隙充填用組成物を調製する際に用いる本発明の薬液組成物が貯蔵品であっても、ポリイソシアネートとともにそれを含む空隙充填用組成物の反応時のゲルタイムが、調製仕立ての薬液組成物を含む空隙充填用組成物を用いたときの反応時のゲルタイムに比べて長すぎることはない。従って、本発明の薬液組成物は、貯蔵安定性に優れる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を説明する。ここで示す事項は例示的なもの及び本発明の実施形態を例示的に説明するためのものであり、本発明の原理と概念的な特徴とを最も有効に且つ難なく理解できる説明であると思われるものを提供する目的で述べたものである。この点で、本発明の根本的な理解のために必要で、ある程度以上に本発明の構成的な詳細を示すことを意図しておらず、本説明によって本発明の幾つかの形態が実際にどのように具現化されるかを当業者に明らかにするものである。
【0010】
本発明の薬液組成物は、ポリイソシアネートと組み合わせて空隙充填用組成物の調製に用いられる組成物である。そして、本発明の薬液組成物は、ポリオール、イミダゾール系触媒、三量化触媒及び泡化触媒を含有する。
【0011】
本発明において、上記ポリオールは、2個以上のヒドロキシ基を有するものであれば、特に限定されず、従来、公知のポリエーテルポリオール、エーテル結合を含まない脂肪族多価ヒドロキシ化合物、芳香族多価ヒドロキシ化合物、天然油脂系ポリオール(ヒマシ油等)、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートジオール、ポリジエンポリオール、アクリルポリオール等を用いることができる。
本発明の薬液組成物には、上記ポリオールが、単独で含まれてよいし、2種以上の組み合わせで含まれてもよい。
【0012】
本発明において、上記ポリオールは、ポリエーテルポリオールを含むことが好ましい。
【0013】
ポリエーテルポリオールは、主鎖又は側鎖にエーテル結合を含み、2個以上のヒドロキシ基を有するものであれば、特に限定されない。例えば、活性水素を2個以上含む有機化合物(2個以上のヒドロキシ基を含む化合物、1個以上のアミノ基を含む化合物等)に、アルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等)が付加されてなる化合物や、これらの化合物を除く、エーテル結合を含む多価アルコール等を用いることができる。
【0014】
本発明において、ポリエーテルポリオールは、活性水素を2個以上含む有機化合物に、アルキレンオキサイドが付加されてなる化合物が好ましい。このようなポリオールポリエーテルとしては、2個以上のヒドロキシ基を有する炭化水素化合物のアルキレンオキサイド付加物(ジオール系ポリエーテルポリオール、トリオール系ポリエーテルポリオール、スクロース系ポリエーテルポリオール、ソルビトール系ポリエーテルポリオール等)、1個以上、好ましくは2個以上のアミノ基を有する炭化水素化合物のアルキレンオキサイド付加物(エチレンジアミン系ポリエーテルポリオール、トリレンジアミン系ポリエーテルポリオール、フェノール類、アルデヒド類及びアミン化合物を反応させたマンニッヒ縮合物、このマンニッヒ縮合物にアルキレンオキサイドを付加させたマンニッヒ系ポリエーテルポリオール等)等が挙げられる。
【0015】
2個以上のヒドロキシ基を有する炭化水素化合物としては、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2,2-ジエチル-1,3-プロパンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、1,10-デカメチレングリコール、1,2-テトラデカンジオール、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、ブチルエチルプロパンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリオキシエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ジテトラメチレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、ソルビタン、ジグリセリン、ジペンタエリスリトール等の脂肪族化合物;シクロヘキサンジオール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール、シクロヘプタンジオール、シクロオクタンジオール、1,1-シクロヘキサンジエタノール、ヒドロキシプロピルシクロヘキサノール、トリシクロ[5,2,1,02,6]デカン-ジメタノール、ビシクロ[4.3,0]-ノナンジオール、ジシクロヘキサンジオール、トリシクロ[5,3,1,1]ドデカンジオール、ビシクロ[4,3,0]ノナンジメタノール、トリシクロ[5,3,1,1]ドデカン-ジエタノール、ヒドロキシプロピルトリシクロ[5,3,1,1]ドデカノール、スピロ[3,4]オクタンジオール、ブチルシクロヘキサンジオール、1,1′-ビシクロヘキシリデンジオール、2,2-ビス-(4-ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、1,3-アダマンタンジオール等の脂環式化合物;ハイドロキノン、レゾルシン、ジヒドロキシフェニル、ナフタレンジオール、ジヒドロキシジフェニルエーテル、ビスフェノールA、ジエトキシ化ビスフェノールA、p-キシリレングリコール、m-キシリレングリコール、o-キシリレングリコール、4,4′-ビスヒドロキシメチルビフェニル、4,2′-ビスヒドロキシメチルビフェニル、2,2′-ビスヒドロキシメチルビフェニル、4,3′-ビスヒドロキシメチルビフェニル、3,3′-ビスヒドロキシメチルビフェニル、3,2′-ビスヒドロキシメチルビフェニル等の芳香族化合物が挙げられる。
【0016】
2個以上のアミノ基を有する炭化水素化合物としては、エチレンジアミン、1,3-トリメチレンジアミン、1,4-テトラメチレンジアミン、1,5-ペンタメチレンジアミン、1,6-ヘキサメチレンジアミン、1,7-ヘプタメチレンジアミン、1,8-オクタメチレンジアミン、2-メチル-1,8-オクタメチレンジアミン、1,9-ノナメチレンジアミン、1,10-デカメチレンジアミン、1,11-ウンデカンメチレンジアミン、1,12-ドデカメチレンジアミン、1,13-トリデカメチレンジアミン、1,14-テトラデカメチレンジアミン、1,15-ペンタデカメチレンジアミン、1,16-ヘキサデカメチレンジアミン、1,17-ヘプタデカメチレンジアミン、1,18-オクタデカメチレンジアミン、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン等の脂肪族化合物;o-フェニレンジアミン、m-フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミン、m-キシリレンジアミン、p-キシリレンジアミン、3,4-ジアミノジフェニルエーテル、4,4′-ジアミノジフェニルエーテル、2,2-ビス(4-アミノフェニル)プロパン、1,5-ジアミノナフタレン、1,8-ジアミノナフタレン、4,4′-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4′-ジアミノ-3,3′-ジエチル-5,5-ジメチルフェニルメタン、4,4′-ジアミノ-3,3′,5,5′-テトラメチルジフェニルメタン、2,4-ジアミノトルエン、2,2′-ジメチルベンジジン等の芳香族化合物;4,4′-ジアミノ-ジシクロヘキシレンメタン、4,4′-ジアミノ-ジシクロヘキシレンプロパン、4,4′-ジアミノ-3,3′-ジメチル-ジシクロヘキシレンメタン、1,4-ジアミノシクロヘキサン、ピペラジン等の脂環式化合物が挙げられる。
【0017】
本発明において、ポリエーテルポリオールは、空隙充填用組成物を用いて得られる発泡体の圧縮強度及び寸法安定性の観点から、2個以上のヒドロキシ基を有する炭化水素化合物のアルキレンオキサイド付加物、及び、2個以上のアミノ基を有する炭化水素化合物のアルキレンオキサイド付加物の少なくとも一方を含むことが好ましい。2個以上のヒドロキシ基を有する炭化水素化合物のアルキレンオキサイド付加物、及び、2個以上のアミノ基を有する炭化水素化合物のアルキレンオキサイド付加物が併含されてもよく、その場合、両者の含有量の合計を100質量%とすると、これらの含有割合は、それぞれ、好ましくは30~95質量%及び5~70質量%、より好ましくは40~90質量%及び10~60質量%、更に好ましくは50~85質量%及び15~50質量%である。
【0018】
本発明に係るポリエーテルポリオールは、更に好ましくは、活性水素を2個以上含む有機化合物に、アルキレンオキサイドが付加されてなる化合物であって、プロピレンオキサイドを、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、更に好ましくは90質量%以上、特に好ましくは95質量%以上含むアルキレンオキサイドを用いて得られたポリエーテルポリオールである。高い割合でプロピレンオキサイドを付加させて得られたポリエーテルポリオールを含む空隙充填用組成物を用いることにより、圧縮強度に優れた発泡体を形成することができる。
【0019】
また、上記ポリエーテルポリオールは、空隙充填用組成物を用いて得られた発泡体の強度に優れることから、2個の活性水素を有する有機化合物に、アルキレンオキサイドが付加されてなる化合物、及び、3個以上の活性水素を有する有機化合物に、アルキレンオキサイドが付加されてなる化合物の少なくとも一方を含むことが好ましい。2個の活性水素を有する有機化合物のアルキレンオキサイド付加物、及び、3個以上の活性水素を有する有機のアルキレンオキサイド付加物が併含されてもよく、その場合、これらの含有割合は、それぞれ、好ましくは15~95質量%及び5~85質量%、より好ましくは20~85質量%及び15~80質量%、更に好ましくは25~75質量%及び25~75質量%である。尚、後者(3個以上の活性水素を有する有機化合物に、アルキレンオキサイドが付加されてなる化合物)は、2個以上のアミノ基を有する炭化水素化合物のアルキレンオキサイド付加物を含むことが好ましい。
【0020】
本発明において、上記ポリエーテルポリオールの少なくとも1つが、2個の活性水素を有する有機化合物に、アルキレンオキサイドが付加されてなる化合物である場合、発泡ポリウレタン形成前には程よく流動性を有し、圧縮強度に優れた発泡体を与える空隙充填用組成物が得られることから、JIS K 7252-2に準ずる方法や、水酸基価等から得られる数平均分子量が200~6000のポリエーテルポリオール(以下、「ポリエーテルポリオール(P)」という)を含むことが好ましい。上記ポリオールにおけるポリエステルポリオール(P)の含有割合は、好ましくは70質量%以上、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは96質量%以上である。
【0021】
本発明において、上記ポリエーテルポリオールの少なくとも1つが、3個以上の活性水素を有する有機化合物に、アルキレンオキサイドが付加されてなる化合物であって、2個以上のアミノ基を有する炭化水素化合物のアルキレンオキサイド付加物である場合、その数平均分子量は、好ましくは200~2000、より好ましくは250~1500、更に好ましくは300~600である。
【0022】
本発明において、ポリオールを構成するポリエーテルポリオールの含有割合の下限は、貯蔵安定性に優れる薬液組成物を与え、更に、発泡ポリウレタン形成前には程よく流動性を有し、圧縮強度に優れた発泡体を与える空隙充填用組成物が得られることから、ポリオール全量に対して、好ましくは70質量%であり、より好ましくは80質量%、更に好ましくは90質量%である。
【0023】
本発明において、本発明に係るポリオールは、水酸基価が30~1000mgKOH/gのポリオール(以下、「ポリオール(Q)」という)を含むことが好ましい。尚、この水酸基価(mgKOH/g)は、JIS K 0070に準ずる測定値である。
上記ポリオールを構成するポリオール(Q)の含有割合の下限は、貯蔵安定性に優れ、空隙充填用組成物を用いた場合に流動性に優れ、得られる発泡体の圧縮強度に優れることから、ポリオール全量に対して、好ましくは50質量%、更に好ましくは60質量%、特に好ましくは70質量%である。
【0024】
ポリオール(Q)は、特に限定されないが、ポリエーテルポリオールを含むことが好ましい。
【0025】
ポリオール(Q)は、水酸基価が30mgKOH/g以上350mgKOH/g未満のポリオール(以下、「ポリオール(Q1)」という)と、水酸基価が350~1000mgKOH/gのポリオール(以下、「ポリオール(Q2)」という)とを含むようにすることが特に好ましい。
ポリオール(Q1)及びポリオール(Q2)を併用する場合、強度がより良くなり、空隙内の湧水に接した際の水濁りが抑制され、発泡ポリウレタンを形成させる場合に、発泡安定性が良くなることで固結物の遮水性が向上することから、両者の含有割合は、これらの合計を100質量%とすると、それぞれ、好ましくは50~95質量%及び5~50質量%、より好ましくは60~90質量%及び10~40質量%である。
【0026】
本発明の薬液組成物の貯蔵安定性を改善し、薬液組成物をポリイソシアネートと併用した空隙充填用組成物により、得られる発泡体の圧縮強度を特に優れたものとするために、本発明の薬液組成物は、イミダゾール系触媒、三量化触媒及び泡化触媒を含有する。
【0027】
イミダゾール系触媒は、ウレタン化を促進する触媒であり、例えば、イミダゾール、1-メチルイミダゾール、2-メチルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-イソプロピルイミダゾール、1-イソブチル-2-メチルイミダゾール、2-ウンデシルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール等が挙げられる。本発明の薬液組成物に含まれるイミダゾール系触媒は、1種のみ又は2種以上とすることができる。
【0028】
本発明の薬液組成物に含まれるイミダゾール系触媒の含有量は、ポリオールの合計量を100質量部とした場合に、好ましくは0.1~12質量部、より好ましくは0.3~10質量部、更に好ましくは0.5~8質量部である。
【0029】
三量化触媒は、イソシアヌレート結合を形成して三量化を促進する触媒であり、例えば、カルボン酸塩、3級アンモニウム塩、4級アンモニウム塩、トリアジン化合物、アジリジン化合物、アルコラート化合物、フェノラート化合物、フェノール化合物等が挙げられる。本発明の薬液組成物に含まれる三量化触媒は、1種のみ又は2種以上とすることができる。
【0030】
カルボン酸塩としては、金属塩及びアンモニウム塩のいずれでもよく、カルボン酸としては、炭素数1~8の脂肪族カルボン酸が好ましい。金属塩としては、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、オクチル酸カリウム、オクチル酸ビスマス、オクチル酸ナトリウム、オクチル酸錫、オクチル酸鉛、ナフテン酸鉛、カプリル酸カリウム、ネオデカン酸ビスマス(ネオドデカン酸ビスマス)、ナフテン酸ビスマス等が挙げられる。
3級アンモニウム塩としては、トリメチルアンモニウム塩、トリエチルアンモニウム塩、トリフェニルアンモニウム塩等が挙げられる。
4級アンモニウム塩としては、テトラアルキルアンモニウム塩(テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩等)、ヒドロキシアルキルアンモニウム塩(ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウム塩、ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウム塩等)、テトラフェニルアンモニウム塩、メチルトリエチルアンモニウム塩、エチルトリメチルアンモニウム塩、プロピルトリメチルアンモニウム塩、ブチルトリメチルアンモニウム塩、ペンチルトリメチルアンモニウム塩、ヘキシルトリメチルアンモニウム塩、ヘプチルトリメチルアンモニウム塩、オクチルトリメチルアンモニウム塩、ノニルトリメチルアンモニウム塩、デシルトリメチルアンモニウム塩、ウンデシルトリメチルアンモニウム塩、ドデシルトリメチルアンモニウム塩、トリデシルトリメチルアンモニウム塩、テトラデシルトリメチルアンモニウム塩、ヘプタデシルトリメチルアンモニウム塩、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム塩、ヘプタデシルトリメチルアンモニウム塩、オクタデシルトリメチルアンモニウム塩、(2-ヒドロキシプロピル)トリメチルアンモニウム塩、ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウム塩、ヒドロキシエチル-2-ヒドロキシプロピルジメチルアンモニウム塩等が挙げられる。
トリアジン化合物としては、2,4,6-トリス(ジアルキルアミノアルキル)ヘキサヒドロ-S-トリアジン等が挙げられる。
アジリジン化合物としては、2-エチルアジリジン等が挙げられる。
アルコラート化合物としては、ナトリウムアルコキシド等が挙げられる。
フェノラート化合物としては、カリウムフェノキシド等が挙げられる。
フェノール化合物としては、トリス(ジアルキルアミノアルキル)フェノール、2,4-ビス(ジアルキルアミノアルキル)フェノール等が挙げられる。
これらの三量化触媒のうち、カルボン酸塩及び4級アンモニウム塩が特に好ましい。
【0031】
本発明の薬液組成物に含まれる三量化触媒の含有量は、ポリオールの合計量を100質量部とした場合に、好ましくは0.1~10質量部、より好ましくは0.3~8質量部、更に好ましくは0.5~5質量部である。
【0032】
泡化触媒は、空隙充填用組成物とするために併用されるポリイソシアネートと、発泡剤との反応を促進して、好ましくは炭酸ガスを発生させるものである。このような泡化触媒としては、アミン化合物が好ましく用いられる。
【0033】
アミン化合物としては、脂肪族第三級アミン、芳香族アミン、グアニジン誘導体等が挙げられる。本発明の薬液組成物に含まれる泡化触媒は、1種のみ又は2種以上とすることができる。
【0034】
脂肪族第三級アミンとしては、トリエチレンジアミン、N,N,N′,N′′,N′′-ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N,N′,N′′,N′′′,N′′′-ヘキサメチルトリエチレンテトラミン、ビス(N,N-ジメチルアミノ-2-エチル)エーテル、N,N,N′-トリメチルアミノエチルエタノールアミン、N,N,N′-トリメチル-N′-(2-ヒドロキシエチル)ビス(2-アミノエチル)エーテル、N,N′,N′-トリメチル-N-(2-メトキシエチル)エチレンジアミン、N,N,N′-トリメチルアミノエチルピペラジン、N,N-ジメチルアミノエトキシエタノール、2,2′-ジモルホリノジエチルエーテル、トリエチルアミン等が挙げられる。
【0035】
芳香族アミンとしては、ジエチルトルエンジアミン等のジアルキルトルエンジアミン等が挙げられる。
【0036】
グアニジン誘導体としては、N,N,N′,N′-テトラメチルグアニジン等のN,N,N′,N′-テトラメチルグアニジン等が挙げられる。
【0037】
本発明の薬液組成物に含まれる泡化触媒の含有量は、ポリオールの合計量を100質量部とした場合に、好ましくは0.1~5質量部、より好ましくは0.2~4質量部、更に好ましくは0.3~3質量部である。
【0038】
本発明の薬液組成物は、必要に応じて、イミダゾール系触媒、三量化触媒及び泡化触媒以外に、3級アミン、有機金属化合物(上記カルボン酸塩を除く)等の、他の触媒を含有することができる。
樹脂化触媒としては、N,N,N′,N′-テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N′,N′-テトラメチルプロパンジアミン、N,N,N′,N′-テトラメチルヘキサンジアミン、トリエチレンジアミン、33%トリエチレンジアミン・67%ジプロピレングリコール、N,N-ジメチルアミノヘキサノール、N,N-ジメチルアミノエタノール、N-メチル-N′-ヒドロキシエチルピペラジン、N-メチルモルフォリン、1-メチルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール等が挙げられる。更に、イソシアヌレート化触媒としては、2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、N,N′,N′′-トリス(ジメチルアミノプロピル)-ヘキサヒドロ-s-トリアジン等が挙げられる。
本発明の薬液組成物が他の触媒を含有する場合、その含有割合の上限は、ポリオールの合計量を100質量部とすると、好ましくは5質量部、より好ましくは4質量部、更に好ましくは3質量部である。
【0039】
本発明の薬液組成物は、上記の必須成分に加えて、更に、発泡剤、発泡体のセル構造を均一化する整泡剤、粘度調整剤(増粘剤、減粘剤等)、難燃剤、架橋剤、ホルムアルデヒド捕捉剤、可塑剤、酸化防止剤、抗菌剤、腐食防止剤等の添加剤を含有することができる。
【0040】
発泡剤は、触媒の存在下、ポリオールとポリイソシアネートとの反応によって生成するポリウレタンを発泡せしめて、発泡ポリウレタンを形成させる成分である。本発明において、発泡剤(発泡剤源を含む)としては、水、物理発泡剤として炭酸ガス、炭化水素、含ハロゲン化合物等が挙げられる。これらのうち、ポリイソシアネートと反応して発泡剤としての炭酸ガスが生成される発泡剤源である水が好ましい。本発明の薬液組成物が水を含有する場合、その含有割合の上限は、ポリオールの合計量を100質量部とすると、好ましくは10質量部、より好ましくは8質量部、更に好ましくは5質量部である。また、水の含有割合の下限は、好ましくは0.1質量部、より好ましくは0.3質量部、更に好ましくは0.5質量部である。
物理発泡剤において、含ハロゲン化合物としては、ハイドロフルオロカーボン、ハロゲン化オレフィン(ハイドロフルオロオレフィン、ハイドロクロロフルオロオレフィン)が挙げられる。物理発泡剤は非フロン系が好ましく、ハロゲン化アルケンがより好ましい。物理発泡剤を用いる場合、その含有割合の上限は、ポリオール成分の合計量を100質量部とすると、好ましくは50質量部、より好ましくは40質量部、更に好ましくは30質量部である。また、物理発泡剤の含有割合の下限は、好ましくは1質量部、より好ましくは2質量部、更に好ましくは5質量部である。
尚、通常、空隙周辺(内部を含む)の地盤の含水率は様々であるので、地盤環境によっては、発泡剤として作用する水のみを含む薬液組成物、水を含まず物理発泡剤のみを含む薬液組成物、水と物理発泡剤を含む薬液組成物、又は、水も物理発泡剤も含まない薬液組成物をポリイソシアネートと併用することがあり得る。このうち、空隙の端部への充填性と経済性の観点から、水及び/又は物理発泡剤を用いることが好ましい。
【0041】
整泡剤は、ノニオン系、アニオン系及びカチオン系のいずれの化合物でもよいが、ノニオン系整泡剤を含むことが好ましい。用いられる整泡剤は、1種のみでも、2種以上でもよい。
具体的な整泡剤としては、オルガノポリシロキサン、ポリオキシアルキレン変性ジメチルポリシロキサン、ポリシロキサンオキシアルキレン共重合体等のシリコーン系化合物や、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油脂肪酸エステル、ラウリル脂肪酸エチレンオキシド付加物、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル等が挙げられる。これらのうち、シリコーン系化合物が好ましい。
【0042】
本発明の薬液組成物が整泡剤を含有する場合、その含有割合は、ポリオールの合計量を100質量部とすると、好ましくは0.1~5質量部、より好ましくは0.2~3質量部、更に好ましくは0.5~2.5質量部である。
【0043】
本発明の薬液組成物の粘度(25℃)は、ポリイソシアネートと併用して得られた空隙充填用組成物の、土を含む地盤における、コンクリート等からなる構造物と、その周りの地盤との間に形成されている空隙、又は、地盤の内部に形成されている空隙への供給作業性、更には、得られる発泡体の圧縮強度に優れることから、好ましくは20~500mPa・s、より好ましくは30~400mPa・s、更に好ましくは40~300mPa・sである。尚、上記粘度は、JIS K 7117-1に準拠する測定値であり、B型粘度計を用いて測定することができる。
上記の好ましい粘度とするために、本発明の薬液組成物は、粘度調整剤を含有することができる。
【0044】
粘度調整剤は、好ましくは減粘剤であり、例えば、メタノール、エタノール等のアルコール;エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ等のエーテル;プロピレンカーボネート等の環状エステル;ジカルボン酸アルキルエステル;エチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート;石油系炭化水素類等を用いることができる。
【0045】
本発明の薬液組成物が減粘剤を含有する場合、その含有割合の上限は、ポリオールの合計を100質量部とすると、好ましくは20質量部、より好ましくは15質量部、更に好ましくは10質量部である。
【0046】
難燃剤としては、有機リン酸エステル、リン酸塩、スズ酸塩、ハロゲン化合物(有機リン酸エステルを除く)、ホウ素化合物、金属水酸化物、赤リン、リン酸エステルアミド、ホスホニトリル化合物、有機ホスホン酸化合物、有機ホスフィン酸化合物、ホスフィンオキシド、トリアゾール化合物、テトラゾール化合物、トリアジン化合物、環状モノウレイド、環状ジウレイド、アミジン化合物等が挙げられる。本発明の薬液組成物が難燃剤を含有する場合、含まれる難燃剤は、1種のみ又は2種以上とすることができる。
【0047】
有機リン酸エステルとしては、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリ(2-エチルヘキシル)ホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフェート、トリス(フェニルフェニル)ホスフェート、トリナフチルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、ジフェニル(2-エチルヘキシル)ホスフェート、ジ(イソプロピルフェニル)フェニルホスフェート、モノイソデシルホスフェート、2-アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2-メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、ジフェニル-2-アクリロイルオキシエチルホスフェート、ジフェニル-2-メタクリロイルオキシエチルホスフェート、メラミンホスフェート、ジメラミンホスフェート、メラミンピロホスフェート、トリフェニルホスフィンオキサイド、トリクレジルホスフィンオキサイド、メタンホスホン酸ジフェニル、フェニルホスホン酸ジエチル、レジルシノールビス(ジフェニルホスフェート)、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)、ホスファフェナンスレン、トリス(β-クロロプロピル)ホスフェート等のモノリン酸エステル;トリアルキルポリホスフェート、レゾルシノールポリフェニルホスフェート、レゾルシノールポリ(ジ-2,6-キシリル)ホスフェート、ハイドロキノンポリ(2,6-キシリル)ホスフェート、レゾルシノールポリフェニルホスフェート、ビスフェノールAポリクレジルホスフェート、ビスフェノールAポリクレジルホスフェート等の縮合リン酸エステル等が挙げられる。
【0048】
リン酸塩としては、モノリン酸(リン酸、亜リン酸、次亜リン酸)、ピロリン酸又はポリリン酸と、周期律表IA族~IV族の金属、アンモニア、脂肪族アミン及び芳香族アミンから選ばれる少なくとも一種とから形成された塩等が挙げられる。
周期律表IA族~IV族の金属としては、リチウム、ナトリウム、カルシウム、バリウム、鉄(II)、鉄(III)、アルミニウム等が挙げられる。
脂肪族アミンとしては、メチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン、ピペラジン等が挙げられる。
芳香族アミンとしては、ピリジン、トリアジン、メラミン等が挙げられる。
【0049】
モノリン酸塩としては、リン酸アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム等のアンモニウム塩;リン酸一ナトリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、亜リン酸一ナトリウム、亜リン酸二ナトリウム、次亜リン酸ナトリウム等のナトリウム塩;リン酸一カリウム、リン酸二カリウム、リン酸三カリウム、亜リン酸一カリウム、亜リン酸二カリウム、次亜リン酸カリウム等のカリウム塩;リン酸一リチウム、リン酸二リチウム、リン酸三リチウム、亜リン酸一リチウム、亜リン酸二リチウム、次亜リン酸リチウム等のリチウム塩;リン酸二水素バリウム、リン酸水素バリウム、リン酸三バリウム、次亜リン酸バリウム等のバリウム塩;リン酸一水素マグネシウム、リン酸水素マグネシウム、リン酸三マグネシウム、次亜リン酸マグネシウム等のマグネシウム塩;リン酸二水素カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸三カルシウム、次亜リン酸カルシウム等のカルシウム塩;リン酸亜鉛、亜リン酸亜鉛、次亜リン酸亜鉛等の亜鉛塩等が挙げられる。
【0050】
ポリリン酸塩としては、ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸ピペラジン、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸アンモニウムアミド、ポリリン酸アルミニウム等が挙げられる。
【0051】
リン酸塩を含む難燃剤として、リン酸塩に対して、シランカップリング剤処理、メラミン樹脂で被覆する等の耐水性改良処理等が施された複合物を用いることもできる。
【0052】
スズ酸塩としては、スズ酸亜鉛、スズ酸バリウム、スズ酸ナトリウム、スズ酸カリウム、スズ酸コバルト、スズ酸マグネシウム等が挙げられる。
【0053】
ハロゲン化合物(有機リン酸エステルを除く)は、好ましくは含臭素化合物であり、特に好ましくは含臭素芳香族化合物である。
含臭素芳香族化合物としては、ヘキサブロモベンゼン、ペンタブロモトルエン、ヘキサブロモビフェニル、デカブロモビフェニル、ヘキサブロモシクロデカン、デカブロモジフェニルエーテル、オクタブロモジフェニルエーテル、ヘキサブロモジフェニルエーテル、ビス(ペンタブロモフェノキシ)エタン、エチレン-ビス(テトラブロモフタルイミド)、テトラブロモビスフェノールA、臭素化ビスフェノールAを用いて製造されたポリカーボネートオリゴマー、このポリカーボネートオリゴマーと、ビスフェノールAとの共重合物、臭素化ビスフェノールAと、エピクロルヒドリンとの反応生成物(ジエポキシ化合物)、臭素化フェノール類と、エピクロルヒドリンとの反応生成物(モノエポキシ化合物)、ポリ(臭素化ベンジルアクリレート)、臭素化ポリフェニレンエーテル、臭素化ビスフェノールA、塩化シアヌール及び臭素化フェノールの縮合物、臭素化(ポリスチレン)、ポリ(臭素化スチレン)、架橋臭素化ポリスチレン、架橋又は非架橋臭素化ポリ(α-メチルスチレン)等が挙げられる。
【0054】
ホウ素化合物としては、ホウ砂、酸化ホウ素、ホウ酸、ホウ酸塩等が挙げられる。
酸化ホウ素としては、三酸化二ホウ素、三酸化ホウ素、二酸化二ホウ素、三酸化四ホウ素、五酸化四ホウ素等が挙げられる。
ホウ酸塩としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、又は、周期律表第4族、第12族若しくは第13族の金属のホウ酸金属塩、ホウ酸アンモニウム等が挙げられる。ホウ酸金属塩としては、ホウ酸リチウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、ホウ酸セシウム等のホウ酸アルカリ金属塩;ホウ酸マグネシウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸バリウム等のホウ酸アルカリ土類金属塩;ホウ酸ジルコニウム、ホウ酸亜鉛、ホウ酸アルミニウム等が挙げられる。
【0055】
金属水酸化物としては、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化鉄、水酸化ニッケル、水酸化ジルコニウム、水酸化チタン、水酸化亜鉛、水酸化銅、水酸化バナジウム、水酸化スズ等が挙げられる。
【0056】
本発明において、難燃剤は、有機リン酸エステルを含むことが好ましい。
本発明の薬液組成物が難燃剤を含有する場合、その割合は、ポリオールの合計量を100質量部とすると、好ましくは3~100質量部、より好ましくは5~80質量部、更に好ましくは10~60質量部である。
【0057】
本発明において、薬液組成物を製造する方法は、特に限定されない。原料成分を所定の割合で用い、これらを混合することにより、薬液組成物を製造することができる。
【0058】
次に、本発明の空隙充填用組成物について、説明する。本発明の空隙充填用組成物は、上記の薬液組成物と、ポリイソシアネートを含むポリイソシアネート組成物とが組み合わされてなる組成物である。
【0059】
上記ポリイソシアネート組成物は、ポリイソシアネートを含む一方、ポリイソシアネートのイソシアネート基と反応しない成分を含んでもよい組成物である。尚、このポリイソシアネート組成物は、ポリイソシアネートのみからなるものであってもよい。
【0060】
ポリイソシアネートは、薬液組成物中のポリオールと反応することにより、ポリウレタン(樹脂)を生成させるものであり、分子中に2つ以上のイソシアネート基を有する化合物である。
【0061】
ポリイソシアネートとしては、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー、ポリイソシアネートのイソシアヌレート変性体又はカルボジイミド変性体等が挙げられる。ポリイソシアネート組成物に含まれるポリイソシアネートは、1種のみでも2種以上でもよい。
【0062】
芳香族ポリイソシアネートとしては、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ポリトリレントリイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、3,3′-ジメチルジフェニル-4,4′-ジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ジアニシジンジイソシアネート、イソプロピリデンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、トリフェニルメタンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、ジメチルトリフェニルメタンテトライソシアネート等が挙げられる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2-プロピレンジイソシアネート、2,3-ブチレンジイソシアネート、1,3-ブチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、リジントリイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート等が挙げられる。
脂環式ポリイソシアネートとしては、イソホロンジイソシアネート(3-イソシアネートメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート)、1,3-シクロペンタンジイソシアネート、1,3-シクロヘキサンジイソシアネート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、メチル-2,4-シクロヘキサンジイソシアネート、メチル-2,6-シクロヘキサンジイソシアネート、4,4′-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,4-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、ノルボルネンジイソシアネート等が挙げられる。
【0063】
本発明において、ポリイソシアネートは、芳香族ポリイソシアネートを含むことが好ましい。
ポリイソシアネート組成物を構成するポリイソシアネートの合計量に対する、芳香族ポリイソシアネートの含有割合の下限は、好ましくは70質量%、より好ましくは80質量%、更に好ましくは90質量%である。
【0064】
ポリイソシアネート組成物は、ポリイソシアネート以外に、他の成分を含有することができる。他の成分としては、上記薬液組成物に含まれてもよいとした添加剤のうち、ポリイソシアネートと反応しない成分を用いることができる。
【0065】
本発明に係るポリイソシアネート組成物に含まれるポリイソシアネートは、薬液組成物に含まれるポリオールと反応して、圧縮強度に優れる発泡体を与える成分である。ここで、本発明の空隙充填用組成物におけるポリオール及びポリイソシアネートの間には、好ましい含有割合がある。本発明においては、ポリイソシアネートのイソシアネート基と、ポリオール全体のヒドロキシ基との当量比(NCO/OH)が、好ましくは0.8~6、より好ましくは1~4となるように、薬液組成物及びポリイソシアネート組成物が構成される。
【0066】
ここで、本発明の空隙充填用組成物は、土を含む地盤において、これをコンクリート等からなる構造物と、その周りの地盤との間に形成されている空隙、又は、地盤の内部に形成されている空隙に供給することにより、ポリオールとポリイソシアネートとを反応(硬化反応)させて圧縮強度に優れた発泡体を形成させ、空隙を発泡ポリウレタンで満たす材料である。空隙充填用組成物の使用に際しては、上記の空隙の体積、空隙周辺(内部を含む)の含水率、空隙充填用組成物のゲルタイム等によって、空隙を程よく滞留させるために、組成物の供給方法を選択してもよい。例えば、注入管を用いることができる。具体的な供給方法は、以下の(A)、(B)及び(C)に例示され、簡単に説明すると、予め、薬液組成物及びポリイソシアネート組成物の混合物(空隙充填用組成物)を準備し、これを空隙に供給するか、あるいは、薬液組成物及びポリイソシアネート組成物が空隙で合流するように、別々に供給するというものである。即ち、「空隙充填用組成物」は、どのタイミングで形成されてもよい。後者の場合は、薬液組成物及びポリイソシアネート組成物が空隙で合流したときに、「空隙充填用組成物」が形成される。
(A)予め、別々に準備した、薬液組成物と、ポリイソシアネート組成物とを、所定の割合で混合した後、得られた1液型混合物からなる空隙充填用組成物を、注入管を通して空隙に供給する方法
(B)予め、別々に準備した、薬液組成物と、ポリイソシアネート組成物とを、別々に、注入管を通して圧送し、空隙への供給直前の、注入管内で、所定の割合で合流させ、得られた混合物からなる空隙充填用組成物を空隙に圧送する方法
(C)予め、別々に準備した、薬液組成物と、ポリイソシアネート組成物とを、別々に、注入管を通して圧送し、各注入管の出口外側の空隙で、所定の割合で合流させる方法
【0067】
上記方法(A)に好適な空隙充填用組成物は、薬液組成物及びポリイソシアネート組成物を混合することにより製造することができる。混合手段として、高速撹拌機、衝突混合機等を用いることができる。
【0068】
本発明の空隙充填用組成物の15℃におけるゲルタイムは、施工時のハンドリングと固結物の強度の発現時間の観点から、好ましくは10~600秒、より好ましくは30~300秒である。
本発明において、調製仕立ての薬液組成物をポリイソシアネート組成物と組み合わせた空隙充填用組成物と、例えば、150~300日間貯蔵した薬液組成物をポリイソシアネート組成物と組み合わせた空隙充填用組成物とをゲルタイムで比較すると、若干の差はあるものの、貯蔵品の薬液組成物を含む空隙充填用組成物の反応時のゲルタイムが、調製仕立ての薬液組成物を含む空隙充填用組成物を用いたときの反応時のゲルタイムに比べて長すぎることはなく、本発明の薬液組成物は貯蔵安定性に優れるので、空隙に供給する空隙充填用組成物の利便性が高い。
【実施例0069】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。尚、下記の記載において、「部」及び「%」は、特に断らない限り、質量基準である。
【0070】
1.薬液組成物の製造原料
薬液組成物の製造原料を以下に示す。
【0071】
1-1.ポリオール
1-1-1.ポリエーテルポリオール
(1)AGC社製「エクセノール420」(商品名)
プロピレングリコールにプロピレンオキサイドを付加させて得られた官能基数2のポリエーテルポリオールであり、数平均分子量は400、水酸基価は280mgKOH/gである。
(2)AGC社製「エクセノール430」(商品名)
グリセリンにプロピレンオキサイドを付加させて得られた官能基数3のポリエーテルポリオールであり、数平均分子量は400、水酸基価は400mgKOH/gである。
(3)AGC社製「エクセノール500ED」(商品名)
エチレンジアミンにプロピレンオキサイドを付加させて得られた官能基数4のポリエーテルポリオールであり、数平均分子量は450、水酸基価は500mgKOH/gである。
(4)AGC社製「エクセノール450ED」(商品名)
エチレンジアミンに48%のエチレンオキサイドを付加させて得られた官能基数4のポリエーテルポリオールであり、数平均分子量は500、水酸基価は450mgKOH/gである。
(5)東京化成工業社製「PEG400」(商品名)
官能基数2のポリエチレングリコールであり、数平均分子量は400、水酸基価は280mgKOH/gである。
【0072】
1-1-2.ポリエステルポリオール
(1)エア・ウォーター・パフォーマンスケミカル社製「マキシモールRDK-133」(商品名)
フタル酸系ポリエステルポリオールであり、水酸基価は315mgKOH/gである。
【0073】
1-2.イミダゾール系触媒
(1)花王社製1-イソブチル-2-メチルイミダゾール「カオーライザーNo.120」(商品名)
(2)花王社製「カオーライザーNo.390」(商品名)
1,2-ジメチルイミダゾールを70%含むジプロピレングリコール溶液
【0074】
1-3.三量化触媒
(1)エボニック社製オクチル酸カリウム「Dabco K-15」(商品名)
(2)花王社製オクチル酸四級アンモニウム塩「カオーライザーNo.420」(商品名)
【0075】
1-4.樹脂化触媒
(1)花王社製「カオーライザーNo.31」(商品名)
トリエチレンジアミンを33%含むジプロピレングリコール溶液
【0076】
1-5.泡化触媒
(1)花王社製ジメチルアミノエトキシエタノール「カオーライザーNo.26」(商品名)
【0077】
1-6.整泡剤
(1)モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製変性シリコーン「NiaxTM Silicone L-6970」(商品名)
【0078】
1-7.発泡剤
(1)水
【0079】
1-8.難燃剤
(1)大八化学工業社製トリス(1-クロロ-2-プロピル)ホスフェート「TMCPP」(商品名)
(2)大八化学工業社製脂肪族縮合リン酸エステル「DAIGARD-880」(商品名)
(3)燐化学社製赤燐「ノーバエクセル140」(商品名)
純度93%、平均粒子径35μm
【0080】
1-9.減粘剤
(1)東邦化学工業社製トリプロピレングリコールジメチルエーテル「ハイソルブMTPOM」(商品名)
(2)東京化成社製「プロピレンカーボネート」
【0081】
2.薬液組成物の製造及び評価
上記の原料を用いて、薬液組成物を製造し、その後、該組成物の粘度を、JIS K7117-1に準拠する方法により、B型粘度計を用いて25℃で測定した(表1~表3参照)。
【0082】
実施例1-1
100部の「エクセノール420」(ポリエーテルポリオール)と、2部の「カオーライザーNo.120」(イミダゾール系触媒)と、1部の「Dabco K-15」(三量化触媒)と、0.8部の「カオーライザーNo.26」(泡化触媒)と、1部の「NiaxTM Silicone L-6970」(整泡剤)と、3部の水(発泡剤)と、40部の「TMCPP」(難燃剤)とを撹拌、混合し、薬液組成物(以下、「薬液組成物(V1)」という)を得た(表1参照)。
【0083】
実施例1-2~1-26
原料の種類及び使用量を表1、表2及び表3に示す通りとした以外は、実施例1-1と同様の操作を行い、薬液組成物(以下、それぞれ、「薬液組成物(V2)~(V26)」という)を得た(表1、表2及び表3参照)。
【0084】
比較例1-1~1-4
原料の種類及び使用量を表3に示す通りとした以外は、実施例1-1と同様の操作を行い、薬液組成物(以下、それぞれ、「薬液組成物(W1)~(W4)」という)を得た(表3参照)。
【0085】
【0086】
【0087】
【0088】
3.空隙充填用組成物の製造及び評価(1)
実施例2-1~2-19及び比較例2-1~2-4
上記で得られた薬液組成物(V1)~(V19)及び(W1)~(W4)、並びに、ポリイソシアネートとして、錦湖MITSUI化学社製ポリメリックMDI「M-100」(商品名)を、薬液組成物の合計量をS、ポリイソシアネートの使用量をTとして、T/Sが所定比となるように用いて、空隙充填用組成物を製造した。尚、B型粘度計を用いて測定したポリイソシアネートの粘度(25℃)は118mPa・sである。次いで、空隙充填用組成物を用いて下記項目の評価を行った。その結果を表4、表5及び表6に示す。
【0089】
(ア)貯蔵安定性(経時変化)
薬液組成物及びポリイソシアネートを20℃に調整し、表4、表5及び表6に示す割合で、且つ、全量が100mLとなるように、容積1LのPP製容器に入れた。そして、ミキサーを用いて、12000rpmで5秒間撹拌し、空隙充填用組成物を調製したところ、この容器内で発泡し始めた。発泡が開始してから、形成される発泡体の内部に串が刺さらなくなるまでの時間(固化時間=ゲルタイム)を計測した。以下、このゲルタイムを「R1」で表記する。
一方、薬液組成物を密閉可能なステンレス容器に封入し、恒温機を用いて、50℃で28日間貯蔵した。次いで、薬液組成物及びポリイソシアネートを20℃として、上記と同様の実験を行い、ゲルタイム(以下、「R2」という)を計測した。
その後、R1及びR2を用いて、ゲルタイムの変化率(R2/R1)を算出した。
【0090】
(イ)硬化物性(圧縮強度)
薬液組成物及びポリイソシアネートを20℃に調整し、これらを、表4、表5及び表6に示す割合で、容積2LのPP製容器に入れた。そして、ミキサーを用いて、12000rpmで5秒間撹拌し、空隙充填用組成物を調製した。次いで、直ちに、予め、50℃に調整した成形型(内寸:100mm×200mm×100mm)に、40倍発泡となる液量の空隙充填用組成物を注入し、型締めを行い、型内で反応、硬化させて、発泡体を形成させた。型開後、2時間以上常温(23℃)にて養生し、JIS K 7220に従い、圧縮強度を測定した。
【0091】
(ウ)流動性試験
薬液組成物及びポリイソシアネートを20℃に調整し、表4、表5及び表6に示す割合で、且つ、全量が100mLとなるように、容積1LのPP製容器に入れた。そして、ミキサーを用いて、12000rpmで5秒間撹拌し、空隙充填用組成物を調製した。次いで、この空隙充填用組成物を、20℃の平板の上に流し、円盤状に流動させながら発泡・固化させた。反応終了後に発泡体の直径を計測し、広がり直径の平均値を算出した。広がり直径(平均値)が20~40cmであると良好である。
【0092】
【0093】
【0094】
【0095】
表4、表5及び表6から以下のことが分かる。
実施例2-1~2-19は、本発明の薬液組成物(V1)~(V19)及びポリイソシアネートを併用して得られた、本発明の空隙充填用組成物(Y1)~(Y19)の例であり、流動性に優れ、圧縮強度に優れた発泡体が形成されることが明らかである。また、薬液組成物(V1)~(V19)が、調製仕立てのものであっても、貯蔵品であっても、空隙充填用組成物の反応時のゲルタイムに大きな差がないため、これらの薬液組成物の貯蔵安定性に優れることが明らかである。
一方、比較例2-1~2-4は、本発明の構成を有さない薬液組成物を用いた例である。比較例2-1は、三量化触媒を含有しない薬液組成物(W1)を用いて空隙充填用組成物(YY1)とした例であり、流動距離が40cmを超えて長過ぎて作業性が劣ることとなり、得られた発泡体の圧縮強度が十分ではなかった。比較例2-2及び2-3は、イミダゾール系触媒を含有しない薬液組成物(W2)又は(W3)を用いて空隙充填用組成物(YY2)又は(YY3)とした例であり、空隙充填用組成物(YY2)では、流動距離が40cmを超えて長過ぎて作業性が劣る。また、薬液組成物(W2)及び(W3)の貯蔵安定性も劣っていた。比較例2-4は、泡化触媒を含有しない薬液組成物(W4)を用いて空隙充填用組成物(YY4)とした例であり、流動距離が40cmを超えて長過ぎて作業性が劣る。
【0096】
4.空隙充填用組成物の製造及び評価(2)
実施例2-20~2-23
上記で得られた薬液組成物(V8及びV20~V22)、及び、ポリイソシアネートとして、錦湖MITSUI化学社製ポリメリックMDI「M-100」(商品名)を、薬液組成物の合計量をS、ポリイソシアネートの使用量をTとして、T/S=2となるように用いて、空隙充填用組成物を製造した。次いで、これらの空隙充填用組成物を用いて下記方法により水中発泡性の評価を行った。その結果を表7に示す。
【0097】
(エ)水中発泡性
20℃に調整された薬液組成物及びポリイソシアネートを、表7に示す割合で、且つ、全量が100mLとなるように、容積1LのPP製容器に入れた。そして、撹拌棒を用いて、10秒間撹拌し、空隙充填用組成物を調製した。次いで、直ちに、予め、20℃の水500mLを入れた容積1Lの容器に入れて反応させ、発泡中又は発泡終了後の様子を目視観察し、異常発泡や破泡が認められるか否かを判定した。
【0098】
【0099】
5.空隙充填用組成物の製造及び評価(3)
実施例2-20及び2-24~2-27
上記で得られた薬液組成物(V8及びV23~V26)、及び、ポリイソシアネートとして、錦湖MITSUI化学社製ポリメリックMDI「M-100」(商品名)を、薬液組成物の合計量をS、ポリイソシアネートの使用量をTとして、T/S=2となるように用いて、空隙充填用組成物を製造した。次いで、これらの空隙充填用組成物を用いて下記方法により難燃性の評価を行った。その結果を表8に示す。
【0100】
(オ)難燃性
薬液組成物を20℃に調整し、他方、20℃に調整した上記ポリイソシアネートとともに、表8に示す割合で、且つ、全量の体積が1Lとなるように、容積2LのPP製容器に入れた。そして、撹拌棒を用いて、15秒間撹拌し、空隙充填用組成物を調製した。
その後、直ちに、この空隙充填用組成物を、50mm×150mm×100mm(高さ)の型に入れ、型締めし、常温(23℃)で2時間養生した。次いで、発泡体を脱型し、更に、48時間以上常温で養生した。そして、JIS A 9511に従い、燃焼時間及び燃焼距離を測定し、下記基準で難燃性を評価した。
◎:燃焼時間が90秒以内であり、燃焼距離が40mm以下であった
〇:燃焼時間が120秒以内であり、燃焼距離が60mm以下であった
【0101】
本発明は、土木分野に好適であり、例えば、土を含む地盤における、トンネル等の構造物を建設又は補修する工事において、コンクリート等からなる構造物と、その周りの地盤との間に空隙が形成されている場合、又は、地盤の内部に空隙が形成されている場合に、これらの空隙に、本発明の空隙充填用組成物を供給し、反応させて、発泡ポリウレタンで満たすことにより、構造物又は地盤を強化することができる。