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特開2024-6567基板構造体、及び基板構造体の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024006567
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】基板構造体、及び基板構造体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/14 20060101AFI20240110BHJP
   H05K 3/36 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
H05K1/14 H
H05K3/36 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022107596
(22)【出願日】2022-07-04
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001025
【氏名又は名称】弁理士法人レクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北井 敦
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 久志
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 賢一
(72)【発明者】
【氏名】沖野 正裕
(72)【発明者】
【氏名】大久保 仁智
【テーマコード(参考)】
5E344
【Fターム(参考)】
5E344AA01
5E344AA16
5E344BB02
5E344CC09
5E344CD27
5E344DD03
5E344DD07
5E344EE30
(57)【要約】
【課題】基板上に導電性のポストが搭載された基板構造において、機構的な強度の高い基板構造を提供する。
【解決手段】
1の面に金属パッドが形成された第1の基板と、はんだを介して前記金属パッドの上面と1の底面が対向するように前記金属パッドと接合され、かつ側面に前記1の底面から他の底面に向かって伸長しかつ少なくとも部分的に前記はんだが充填されている複数の溝部を有する柱状の導電性のポストと、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1の面に金属パッドが形成された第1の基板と、
はんだを介して前記金属パッドの上面と1の底面が対向するように前記金属パッドと接合され、かつ側面に前記1の底面から他の底面に向かって伸長しかつ少なくとも部分的に前記はんだが充填されている複数の溝部を有する柱状の導電性のポストと、
を有することを特徴とする基板構造体。
【請求項2】
前記複数の溝部の各々は、前記1の底面に向かって広がる形状を有する第1形状部を含むことを特徴とする請求項1に記載の基板構造体。
【請求項3】
前記複数の溝部の各々は、第1形状部と連続して形成され且つ前記他の底面に向かって延伸する形状を有する第2形状部を含むことを特徴とする請求項2に記載の基板構造体。
【請求項4】
前記複数の溝部の各々は、前記他の底面から前記1の底面に向かう方向に対して、前記ポストの中心軸から外側に向かう方向に傾斜した形状を有することを特徴とする請求項2に記載の基板構造体。
【請求項5】
前記第1の基板は、前記1の面に開口部を有し、
前記金属パッドは、前記開口部の縁に沿って形成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1に記載の基板構造体。
【請求項6】
前記ポストは、
前記1の底面を含み、前記第1の基板の前記開口部よりも小さい径を有し且つ前記第1の基板への搭載時に前記開口部に挿入される第1の部分と、
前記第1の部分よりも前記他の底面側に位置し、前記溝部が形成された第2の部分と、
前記第2の部分よりも前記他の底面側に位置し、前記溝部が形成されていない第3の部分と、
を有することを特徴とする請求項5に記載の基板構造体。
【請求項7】
前記ポストは、中心軸周りにねじ穴が形成された筒状の形状を有することを特徴とする請求項5に記載の基板構造体。
【請求項8】
1の面に金属パッドが形成された第1の基板において、前記金属パッドの上面にはんだを形成する工程と、
1の底面から他の底面に向かって伸長する複数の溝部を側面に有する柱状の導電性のポストを、前記1の底面と前記金属パッドの上面とが前記はんだを介して対向するように前記第1の基板の前記1の面上に搭載する工程と、
前記はんだをリフローする工程と、
を含むことを特徴とする基板構造体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント基板等の基板の重ね合わせに用いるスペーサーを基板上に搭載した基板構造に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のプリント基板を、スペーサーを介して重ね合わせる基板重ね合わせ構造が知られている。例えば、基板上にポスト形状のスペーサー(以下、ポストと称する)を実装する際、金属パッドを基板の表面に形成してはんだを印刷し、リフロー工程の際の融解状態におけるはんだの表面張力を利用してポストの位置出しを行う実装方法が提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-332463号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような実装方法によって位置出しを行う場合、位置出しを精密に行うためには、ポストの外径とパッドの外径との寸法差を、例えば引用文献1に開示されている±0.2mm以内のような小さなものにするのが好ましい。しかしながら、このようにポストの外径とパッドの外径の寸法差を小さくすると、リフロー工程において溶融したはんだによりポストの側面とパッド上面とで形成されるはんだフィレットが小さくなってしまい、はんだフィレットによるポストとパッドとの接続強度の向上効果が小さくなってしまうという問題があった。また、上記はんだフィレットが小さくなることで、リフロー工程を経てポストをプリント基板に実装する際に、ポストの傾きを抑えることができないという問題があった。
【0005】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、基板上に導電性のポストが搭載された基板構造において、機構的な強度の高い基板構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る基板構造体は、1の面に金属パッドが形成された第1の基板と、はんだを介して前記金属パッドの上面と1の底面が対向するように前記金属パッドと接合され、かつ側面に前記1の底面から他の底面に向かって伸長しかつ少なくとも部分的に前記はんだが充填されている複数の溝部を有する柱状の導電性のポストと、を有することを特徴とする。
【0007】
本発明に係る基板構造体の製造方法は、1の面に金属パッドが形成された第1の基板において、前記金属パッドの上面にはんだを形成する工程と、1の底面から他の底面に向かって伸長する複数の溝部を側面に有する柱状の導電性のポストを、前記1の底面と前記金属パッドの上面とが前記はんだを介して対向するように前記第1の基板の前記1の面上に搭載する工程と、前記はんだをリフローする工程と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、基板上に導電性のポストが搭載された基板構造において、機構的な強度の高い基板構造を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係る基板構造体のリフロー工程前の状態を示す図である。
図2】本発明に係る基板構造体のリフロー工程前の状態を示す断面図である。
図3】本発明に係る基板構造体の製造工程を示すフローチャートである。
図4】本発明に係る基板構造体のリフロー工程後の状態を示す図である。
図5】本発明に係る基板構造体のリフロー工程後の状態を示す断面図である。
図6】比較例の基板構造体のリフロー工程前の状態を示す図である。
図7A】比較例の基板構造体のリフロー工程前の状態を示す断面図である。
図7B】比較例の基板構造体のリフロー工程後の状態を示す断面図である。
図8】本発明の変形例の基板構造体のリフロー工程前の状態を示す図である。
図9】本発明の変形例の基板構造体のリフロー工程前の状態を示す断面図である。
図10】本発明の変形例の基板構造体のリフロー工程後の状態を示す図である。
図11】本発明の変形例の基板構造体のリフロー工程後の状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施例について、図面を参照して説明する。なお、以下の実施例における説明及び添付図面においては、実質的に同一又は等価な部分には同一の参照符号を付している。
【0011】
図1は、本発明の実施例に係る基板構造体100のリフロー工程前の状態である前駆基板構造体100Pを示す斜視図である。前駆基板構造体100Pは、第1基板11及びポスト12を含む。第1基板11上にポスト12をリフロー工程を経てはんだ付けし、その後に図示せぬ第2基板がポスト12に、例えばねじ固定により搭載され、基板の重ね合わせが行われることにより、多層基板が構成される。
【0012】
第1基板11は、本発明に係る基板重ね合わせ構造を構成する第1の基板であり、プリント基板(PCB = Printed Circuit Board)から構成されている。第1基板11の1の表面(以下、単に表面と称する)には、ポスト12が搭載される位置に対応する開口部16が形成されている。
【0013】
ポスト12は、円筒の形状を有し、例えばCu(銅)やAl(アルミニウム)等から構成されている。ポスト12は、円筒の内壁上底面から下底面までを貫通する貫通孔からなるねじ穴14が設けられている。ポスト12は、基板の重ね合わせを行う際のスペーサーとして機能する。
【0014】
第1基板11の表面には、金属からなる金属パッド15が形成されている。金属パッド15は、第1基板11表面の開口部16の縁に沿って円を描く形状に形成されている。金属パッド15の上面には、はんだ13が形成されている。
【0015】
ポスト12の側面には、下底面(第1の底面)から上底面(第2の底面)に向かって伸長する溝部21が設けられている。溝部21は、ポスト12の下底面に向かって広がる形状を有する第1形状の部分21Aと、当該第1形状の部分と連続して形成され且つポスト12の上底面の方向に向かって伸長する第2形状の部分21Bと、を有する。第1形状の部分21Aは、ポスト12を第1基板11上に載置する際の載置方向を鉛直下向きとした場合の下側部分に位置している。
【0016】
図2は、図1の前駆基板構造体100Pの断面図である。第1基板11には、開口部16から第1基板11の内部に向かって孔部が形成されている。
【0017】
ポスト12は、下底面を含み且つ第1基板11への搭載時に第1基板11の開口部16に挿入される第1の部分31と、第1の部分31の上方、すなわち第1の部分31よりも上底面側に位置し且つ複数の溝部21が形成された第2の部分32と、第2の部分32の上方、すなわち第2の部分32よりも上底面側に位置し且つ溝部が形成されていない第3の部分33と、を含む。第1の部分31は、第1基板11への搭載時に第1基板11の孔部に挿入される部分であり、開口部16よりも小さい直径を有する。また、第1の部分31の直径は、ポスト12の上底面の直径、すなわち第3の部分33の直径よりも小さい。
【0018】
溝部21は、ポスト12の上底面から下底面に向かう方向に対して、中心軸CAから外側に向かって傾斜した形状(テーパ形状)を有する。また、溝部21の上部は円形に湾曲した切り欠き状の断面形状を有する。
【0019】
ねじ穴14は、ポスト12の中心軸CA周りに形成され、上底面から下底面までを貫通している。ねじ穴14の表面(すなわち、ポスト12の内壁部分)には、ねじを篏合するための螺旋状の溝からなる凹凸形状が形成されている。例えば、図示せぬ第2の基板に設けられたねじがねじ穴14に篏合することにより、ポスト12を介して第1基板11と当該第2の基板とが積層される。
【0020】
本実施例の基板構造体100は、第1基板11の表面にポスト12が搭載されて図1及び図2に示す前駆基板構造体100Pが形成され、はんだのリフロー工程を経ることにより製造される。かかる基板構造体100の製造方法について、図3のフローチャートを参照して説明する。
【0021】
まず、第1基板11の表面に形成された開口部16の縁を覆うように金属パッド15を形成する(STEP101)。
【0022】
次に、金属パッド15の上面にはんだペーストを印刷することにより、はんだ13を形成する(STEP102)。
【0023】
次に、第1基板11上の金属パッド15の上面にはんだ13を介してポスト12を搭載する(STEO103)。具体的には、ポスト12の第1の部分31が第1基板11の開口部16に挿入され、溝部21の第1形状の部分21Aがはんだ13上に位置するように、ポスト12を搭載する。
【0024】
次に、リフロー装置(図示せず)を用いて加熱を行い、はんだ13を溶融させる(STEP104)。その後、溶融したはんだが凝固することにより、ポスト12がはんだ13を介して第1基板11上に固着される。
【0025】
以上のような工程を経てポスト12が実装され、はんだ13を介して第1基板11上に固着される。
【0026】
図4は、リフロー工程を経た基板構造体100を示す斜視図である。リフローによって溶融したはんだ13が、溝部21全体の表面を覆うように付着している。
【0027】
図5は、図4の基板構造体100の断面図である。
【0028】
上記の通り、本実施例の基板構造体100では、ポスト12の側面(すなわち、円筒形状の外側表面)に形成された複数の溝部21の各々が、下底面に向かって広がる形状からなる第1形状の部分21Aを有する。このため、当該部分において、はんだの誘い込みが生じる。また、複数の溝部21の各々は、ポスト12の上底面の方向に伸長する細長い第2形状の部分21Bを有する。このため、リフロー工程においていわゆる毛細管現象が発生し、溶融したはんだ13が、溝部21の当該部分を上昇する。また、リフローに伴って空気が加熱され、熱対流が発生する。これにより、溶融したはんだ13が吸いあがり、溝部21の表面全体に付着する。
【0029】
したがって、図4及び図5に示すように、リフローによって溶融したはんだ13が溝部21のテーパ部分全体に付着し、少なくとも溝部21の第1形状の部分21A以上の高さを有するフィレットが形成される。
【0030】
図6は、本実施例の基板構造体100とは異なり、ポストの外側表面に溝部を有しない比較例の基板構造体200を示す斜視図である。ここでは、基板構造体200のリフロー工程前の状態、すなわち前駆基板構造体200Pを示している。
【0031】
比較例の前駆基板構造体200Pは、ポストの側面に複数の溝部が設けられていない点で本実施例の前駆基板構造体100Pと相違し、それ以外の点については同様の形状及び構成を有する。例えば、基板構造体200は、第1基板11A及びポスト12Aから構成されている。ポスト12Aは、中央部にねじ穴14Aが形成され、直径約5mmのドーナツ型の上底面を有する。ポスト12Aは、第1基板11A上に形成された金属パッド15Aの上面にはんだ13Aを介して搭載される。金属パッド15Aは、開口部16Aの縁に沿って形成されている。金属パッド15Aの外径は、上面視において、ポスト12Aの上底面との外径との差が小さい(例えば、±0.2mm)。
【0032】
図7A及び図7Bは、比較例の基板構造体200の構成を示す断面図である。図8Aはリフロー工程前の状態である前駆基板構造体200P、図8Bはリフロー工程後の状態である基板構造体200をそれぞれ示している。
【0033】
図7Aに示すように、第1基板11Aの表面には開口部16Aが設けられ、開口部16Aの入口部分の縁を覆うように金属パッド15Aが形成されている。はんだ13Aは、金属パッド15Aの上面に形成されている。
【0034】
図7Bに示すように、リフロー工程においてはんだ13Aが溶融することにより、ポスト12Aの下部の周囲に、フィレットが形成される。
【0035】
比較例の基板構造体200では、本実施例の基板構造体100とは異なり、ポスト12Aの外側表面に溝部が形成されていない。このため、リフロー工程において溶融したはんだ13Aは、ポスト12Aの下部を取り囲むように均等に形成される。したがって、本実施例の基板構造体100と比べて、形成されるフィレットが小さい。その結果、ポスト12がフィレットによって覆われる部分の表面積は小さく、基板搭載面(すなわち、第1基板11の表面)からの高さも低い。
【0036】
これに対し、図4及び図5に示すように、本実施例の基板構造体100では、溶融したはんだ13が複数の溝部21の表面全体に亘って付着するため、ポスト12のはんだ13に覆われた部分の表面積が大きい。また、溝部21の第1形状の部分21Aはポスト12の下底面に向かって広がる形状を有するため、当該部分においてはんだの誘い込みが生じる。したがって、付着するはんだの量が大きいため、形成されるフィレットも大きくなる。
【0037】
比較例の基板構造体200では、形成されるフィレットが小さく、ポスト12の外側表面を覆う面積が小さいため、ポストとパッドとの接続強度の向上に対する効果が小さい。これに対し、本実施例の基板構造体100では、はんだによって形成されるフィレットが大きく、ポスト12の外側表面のフィレットによって覆われる部分の表面積が大きい。また第1基板11の表面からの高さも高い。このため、ポスト12及び金属パッド15の接続強度を向上させることができる。
【0038】
例えば、本実施例の基板構造体100では、フィレットが高い位置まで形成されるため、ポスト12のねじ穴14におけるねじの締め付け強度を強くすることができる。また、ポスト12の傾きを抑えることができる。
【0039】
したがって、本実施例の基板構造体100によれば、機構的な強度の高い基板構造体を提供することが可能となる。
【0040】
次に、本実施例の基板構造体100の変形例について説明する。
【0041】
図8は、変形例の基板構造体300のリフロー工程前の状態である前駆基板構造体300Pを示す斜視図である。前駆基板構造体300Pは、第1基板11B及びポスト12Bを含む。第1基板11B上にポスト12Bをリフロー工程を経てはんだ付けし、その後図示せぬ第2基板がポスト12Bに、例えばねじ固定により搭載され、基板の重ね合わせが行われることにより、多層基板が構成される。
【0042】
ポスト12Bは、CuやAl等からなる円筒形の形状を有し、図1に示すポスト12よりも低い高さ(例えば、1/2程度の高さ)を有する。ポスト12Bの側面には、切り欠き状の複数の溝部22が形成されている。
【0043】
溝部22の各々は、ポスト12の下底面に向かって広がる切り欠き状の形状を有する。換言すると、変形例の溝部22は、図1に示す本実施例の溝部21の第1形状の部分21Aと同様の形状の部分のみから構成されている。
【0044】
図9は、変形例の基板構造体300のリフロー工程前の状態を示す断面図である。ポスト12Bは、第1基板11の開口部16に挿入される第1の部分31B、第1の部分31Bの上方、すなわち第1の部分31Bよりも上底面側に位置し且つ溝部22が形成された第2の部分32B、第2の部分32Bの上方、すなわち第2の部分32Bよりも上底面側に位置し且つ溝部22が形成されていない第3の部分33Bから構成されている。
【0045】
溝部22は、ポスト12Bの上底面から下底面に向かう方向に対して、中心軸CAから外側に向かって傾斜した形状(テーパ形状)を有する。
【0046】
図10は、リフロー工程を経た変形例の基板構造体300を示す斜視図である。リフローによって溶融したはんだ13Bが、溝部22全体の表面を覆うように付着している。
【0047】
図11は、図10の基板構造体300の断面図である。変形例の基板構造体300では、溝部22がポスト12Bの下底面に向かって広がる形状を有するため、はんだの誘い込みが生じる。また、リフローに伴って空気が加熱され、熱対流が発生する。これにより、溶融したはんだ13Bが吸いあがり、溝部22の表面全体に付着する。これにより、溝部22と同程度の高さを有するフィレットが形成される。
【0048】
したがって、変形例の基板構造体300では、図7Bに示す比較例の基板構造体200と比べて、形成されるフィレットが大きいため、ポスト12Bのねじ穴14Bにおけるねじの締め付け強度を強くし、ポスト12Bの傾きを抑えることが可能となる。
【0049】
なお、溝部22には図1に示す実施例1の溝部21の第2形状の部分21Bに相当する部分が設けられていないため、溝部22に付着するはんだ13Bの高さは、上記実施例の基板構造体100で溝部21に付着するはんだ13と比べて低い。しかし、変形例の基板構造体300では、そもそもポスト12B自体の高さが上記実施例の基板構造体100のポスト12と比べて低い(例えば、1/2の高さである)ため、ねじの締め付け強度の強化やポスト12Bの傾きの抑制の効果を十分に得ることが可能である。
【0050】
なお、本発明の実施形態は、上記実施例に記載したものに限定されない。例えば、上記実施例では、ポストが円筒形状を有し、第2の基板を積層するためのねじ穴が中心軸周りに設けられている場合を例として説明した。しかし、ポストは、必ずしもねじ穴が設けられた形状のものに限られない。すなわち、ポストは、柱状の形状を有する導電性のポストであればよい。
【0051】
また、上記実施例では、第1基板の表面に開口部が設けられ、ポストの一部(第1の部分)が当該開口部に挿入されることにより、ポストが第1基板上に搭載される場合を例として説明した。しかし、第1基板には、このような開口部が必ずしも設けられていなくてもよい。例えば、第1基板の表面の所定位置に金属パッドが形成され、ポストの下底面全体がはんだを介して金属パッドに接合されるように構成されていてもよい。かかる構成では、ポストは上記実施例に記載した第1の部分を有していなくてもよく、少なくとも側面に溝部が形成された第2の部分を有していればよい。
【0052】
また、溝部の形状は、上記実施例及び変形例で示したものに限られない。例えば、上記実施例では、ポストの外側表面からみた溝部の深さ(すなわち、中心軸に向かう方向の溝の深さ)がねじ穴に達しない程度の深さに形成されている場合を例として説明した。しかし、これとは異なり、例えばポストの表面が櫛歯状を有し、溝部の少なくとも一部がねじ穴に達する深さまで形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0053】
100 基板構造体
11 第1基板
12 ポスト
13 はんだ
14 ねじ穴
15 金属パッド
16 開口部
21 溝部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11