(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024065674
(43)【公開日】2024-05-15
(54)【発明の名称】機器提案装置、機器提案方法、機器提案プログラム及び機器提案システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/015 20230101AFI20240508BHJP
【FI】
G06Q30/02 470
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022174664
(22)【出願日】2022-10-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山下 英暁
(72)【発明者】
【氏名】堀 祐一
【テーマコード(参考)】
5L030
5L049
【Fターム(参考)】
5L030BB08
5L049AA02
5L049BB08
(57)【要約】
【課題】機器選定の知識や経験が少ない顧客に対しても最適な機器の提案が行え、顧客の機器選定を容易にする。
【解決手段】情報取得部は、設置機器に関する仕様判定用情報を取得する。抽出部は、前記情報取得部により取得された前記仕様判定用情報から、前記設置機器の物理的制約条件、法的制約条件、前記設置機器の使用環境又は位置情報に基づく情報の少なくともいずれか一つもしくはそれらの組合せを含む前記設置機器に求められる仕様を表す要求仕様情報を抽出する。特定部は、前記抽出部により抽出された前記要求仕様情報を満たす一つ又は複数の候補機器を特定する。情報通知部は、前記特定部により特定された前記候補機器の情報を通知する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
設置機器に関する仕様判定用情報を取得する情報取得部と、
前記情報取得部により取得された前記仕様判定用情報から、前記設置機器の物理的制約条件、法的制約条件、前記設置機器の使用環境又は位置情報に基づく情報の少なくともいずれか一つを含む前記設置機器に求められる仕様を表す要求仕様情報を抽出する抽出部と、
前記抽出部により抽出された前記要求仕様情報を満たす一つ又は複数の候補機器を特定する特定部と、
前記特定部により特定された前記候補機器の情報を通知する情報通知部と
を備えたことを特徴とする機器提案装置。
【請求項2】
前記情報取得部は、前記設置機器の仕様に関する画像情報を前記仕様判定用情報として取得し、
前記抽出部は、前記画像情報に対して画像処理を行った結果を基に前記要求仕様情報を抽出する
ことを特徴とする請求項1に記載の機器提案装置。
【請求項3】
前記情報取得部は、前記設置機器が設置される場所を示す位置情報を前記仕様判定用情報として取得し、
前記抽出部は、前記位置情報を基に前記設置機器の設置先の情報を取得して、前記設置先の情報を基に前記要求仕様情報を抽出する
ことを特徴とする請求項1に記載の機器提案装置。
【請求項4】
前記情報取得部は、既に設置されている前記設置機器の仕様情報を前記仕様判定用情報として取得し、
前記抽出部は、前記既に設置されている前記設置機器の仕様情報を基に前記要求仕様情報を抽出する
ことを特徴とする請求項1に記載の機器提案装置。
【請求項5】
前記特定部は、前記要求仕様情報及び設置履歴を示す過去に設置した機器の情報を基に前記設置履歴の機器の情報から選択して前記候補機器を特定することを特徴とする請求項3に記載の機器提案装置。
【請求項6】
前記特定部は、前記要求仕様情報の仕様と予め定められた機器の所定の仕様との合致度を基に、前記所定の仕様を有する前記機器を前記候補機器として特定することを特徴とする請求項1に記載の機器提案装置。
【請求項7】
前記情報取得部は、前記特定部によって前記候補機器を特定できなかった場合、取得済みの仕様判定用情報以外の追加の仕様判定用情報を要求して取得し、
前記抽出部は、前記取得済みの仕様判定用情報及び前記追加の仕様判定用情報から、前記要求仕様情報を再抽出し
前記特定部は、前記抽出部により再抽出された前記要求仕様情報を満たす一つ又は複数の候補機器を再特定し、
前記情報通知部は、前記特定部により再選択された前記候補機器の情報を通知する
ことを特徴とする請求項1に記載の機器提案装置。
【請求項8】
機器提案装置が、
設置機器に関する仕様判定用情報を取得し、
取得した前記仕様判定用情報から、前記設置機器の物理的制約条件、法的制約条件、前記設置機器の使用環境又は位置情報に基づく情報の少なくともいずれか一つを含む前記設置機器に求められる仕様を表す要求仕様情報を抽出し、
抽出した前記要求仕様情報を満たす一つ又は複数の候補機器を特定し、
特定した前記候補機器の情報を通知する
ことを特徴とする機器提案方法。
【請求項9】
設置機器に関する仕様判定用情報を取得し、
取得した前記仕様判定用情報から、前記設置機器の物理的制約条件、法的制約条件、前記設置機器の使用環境又は位置情報に基づく情報の少なくともいずれか一つを含む前記設置機器に求められる仕様を表す要求仕様情報を抽出し、
抽出した前記要求仕様情報を満たす一つ又は複数の候補機器を特定し、
特定した前記候補機器の情報を通知する
処理をコンピュータに実行させることを特徴とする機器提案プログラム。
【請求項10】
機器提案装置及び該機器提案装置と通信可能な端末を有する機器提案システムであって、
前記端末は、設置機器に関する仕様判定用情報を前記機器提案装置へ送信し、
前記機器提案装置は、
前記仕様判定用情報を取得する情報取得部と、
前記情報取得部により取得された前記仕様判定用情報から、前記設置機器の物理的制約条件、法的制約条件、前記設置機器の使用環境又は位置情報に基づく情報の少なくともいずれか一つを含む前記設置機器に求められる仕様を表す要求仕様情報を抽出する抽出部と、
前記抽出部により抽出された前記要求仕様情報を満たす一つ又は複数の候補機器を特定する特定部と、
前記特定部により特定された前記候補機器の情報を前記端末へ送信する情報通知部とを備えた
ことを特徴とする機器提案システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機器提案装置、機器提案方法、機器提案プログラム及び機器提案システムに関する。
【背景技術】
【0002】
石油、石油化学、化学、ガスなどを用いた各種プラントにおいて、プロセスの各点で温度、圧力、流量などを自動制御して生産工程を自動化するプロセスオートメーションが行われている。プロセスオートメーションでは、流量計、圧力計及び温度計といった様々な測定機器が使用される。
【0003】
プロセスオートメーションに代表されるように、食品や薬品等の多岐に渡る分野で、システムを構築する際に測定機器を含む各種機器の導入が行われる。従来、システムの導入にあたり、以下のような流れで測定機器等の選定が行われていた。例えば、プロセスオートメーションシステムの設計者が、使用される液種や使用時の圧力や温度といったフローストリームパラメータを含むプロセス情報等の流量計の仕様決定に用いるための情報の提供を顧客に要求する。そして、設計者は、顧客から得られた情報に応じて流量計の選定や決定を行い、決定した流量計の情報を顧客に提供する。顧客は、提供された情報に基づいて、流量計を発注する(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の機器決定及び提案の技術では、機器の選定及び発注を行う顧客に対して、例えば、フローストリームパラメータなどのプロセス情報や法規制などについての十分な理解及びそれらの情報全てをまとめて適切に考慮する能力が求められる。このように、従来の機器決定及び提案の技術では、顧客が専門的な知識や多くの経験を有する場合でなければ、適切に機器を選択することは困難であった。
【0006】
本発明の一側面は、機器選定の知識や経験が少ない顧客に対しても適切な機器の提案が行え、顧客の機器選定を容易にする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一側面に係る機器提案装置は、以下の各部を有する。情報取得部は、設置機器に関する仕様判定用情報を取得する。抽出部は、前記情報取得部により取得された前記仕様判定用情報から、前記設置機器の物理的制約条件、法的制約条件、前記設置機器の仕様環境又は位置情報に基づく情報の少なくともいずれか一つを含む前記設置機器に求められる仕様を表す要求仕様情報を抽出する。特定部は、前記抽出部により抽出された前記要求仕様情報を満たす一つ又は複数の候補機器を特定する。情報通知部は、前記特定部により特定された前記候補機器の情報を通知する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、機器選定の知識や経験が少ない顧客に対しても最適な機器の提案が行え、顧客の機器選定が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態に係る機器提案システム及び機器提案装置のブロック図である。
【
図2】実施の形態1に係るサーバによる機器提案処理のフローチャートである。
【
図3】銘板画像を用いた第1抽出処理のフローチャートである。
【
図4】既存機器の外観画像を用いた第1抽出処理のフローチャートである。
【
図5】既存機器及び周辺機器の画像を用いた第1抽出処理のフローチャートである。
【
図8】実施の形態2に係るサーバによる機器提案処理のフローチャートである。
【
図9】機器提案装置であるサーバのハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ機器提案装置、機器提案方法、機器提案プログラム及び機器提案システムの実施形態について説明する。なお、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。また、各実施形態は、矛盾のない範囲内で適宜組み合わせることができる。
【0011】
(実施の形態1)
(全体構成)
図1は、実施形態に係る機器提案システム及び機器提案装置のブロック図である。機器提案システム100は、機器提案装置であるサーバ1及び顧客が利用する顧客端末2を有する。サーバ1と顧客端末2とはネットワークで接続される。
【0012】
機器提案システム100は、例えば、プロセスオートメーションシステム導入時に、顧客から提供される仕様判定用情報を基にプロセスオートメーションにおいて用いられる設置機器の、顧客への提案を行う装置である。機器には、差圧伝送器や圧力伝送器などの圧力計、流量計、温度伝送器などの温度計などの測定機器が含まれる。仕様判定用情報とは、設置機器に求められる仕様の判定に用いることが可能な情報である。機器以下では、流量計を設置機器とする場合を例に説明する。
【0013】
例えば、サーバ1は、流量計に関する画像情報、設置される場所の位置情報、既設の流量計が存在する場合の既設機器情報、又は、顧客により指定された要求仕様情報のいずれかもしくはその中の全て又はいくつかを仕様判定用情報として顧客端末2から取得する。次に、サーバ1は、取得した仕様判定用情報を用いて、設置する流量計の大きさ、材質、接続部の形状等の物理的制約条件、設置する流量計に課される法規制などの法的制約条件、プロセス情報といった設置する流量計の使用時の条件、流量計が使用される使用環境、通信規格等の要求仕様情報を特定する。次に、サーバ1は、特定した要求仕様情報を満たす機器を、所定の製品群の中から候補機器として選択する。次に、サーバ1は、選択した候補機器の情報を顧客端末2へ送信して顧客に提供する。顧客は、顧客端末2に送信された候補機器の情報を確認して実際に設置する流量計を決定する。
【0014】
(機器提案装置)
以下に、
図1を参照して、サーバ1の機能の詳細について説明する。サーバ1は、
図1に示すように、情報管理部11、抽出部12、機械学習モデル13、情報通知部14、特定部15及びデータベース16を有する。
【0015】
情報管理部11は、流量計に関する仕様判定用情報を顧客端末2から受信する。仕様判定用情報には、画像情報、位置情報、既設機器情報及び要求仕様情報のいずれかもしくはそれらの組合せが含まれる。そして、情報管理部11は、顧客端末2から受信した仕様判定用情報を抽出部12へ出力する。
【0016】
画像情報は、設置する流量計に対する要件が特定可能な画像の情報である。画像情報には、例えば、銘板画像、既設機器の画像又は周辺機器の画像のいずれかもしくはその組み合わせが含まれる。銘板とは、流量計の筐体に取り付けられた仕様を示す情報が記載されたネームプレートである。銘板には、その流量計の各種の仕様を表す仕様コードが記載されてもよい。また、銘板には、流体の温度、圧力、流速などの使用時の条件が記載されていてもよい。銘板は、既設機器に設けられていることが一般的である。また、既設機器の画像は、既設機器のサイズなどを特定できる画像であればよく、例えば、外観画像やCAD(Computer Aided Design)等の情報であってもよい。また、周辺機器の画像は、流量計の周囲に存在し且つ流量計の仕様を特定可能とする物の情報であればよく、例えば、流量計が接続される設置予定配管の画像や、流量計を配管に接続するためのクランプやパッキングやガスケットの画像や、CADなどの配管設計情報や、流量計の周囲の温度を計測する温度計の画像である。
【0017】
位置情報は、設置される流量計の設置場所の位置を示す情報である。位置情報は、例えば、既設機器もしくは設置予定場所の住所、緯度及び経度、又は、GPS(Global Positioning System)情報のいずれかもしくはその組み合わせが含まれる。
【0018】
既設機器の仕様情報は、既設機器が満たす仕様を示す情報である。既設機器の仕様情報は、既設の流量計の各種の仕様を表す仕様コードであってもよい。他にも、既設機器の仕様情報は、既設機器における面間寸法などの物理的制約条件や、法的制約条件や、使用される液種、圧力及び温度を示すプロセス情報を含む使用時の条件、流量計が使用される使用環境や、ガスケットなどの部品情報が含まれてもよい。
【0019】
要求仕様情報は、顧客により指定された設置する流量計に対する仕様を示す情報である。要求仕様情報は、例えば、設置する流量計に実際に求められる物理的制約条件や、法的制約条件や、プロセス情報を含む使用時の条件や使用環境などである。
【0020】
機械学習モデル13は、画像認識の学習及び推論を実行するモデルである。機械学習モデル13は、学習用の画像情報を用いて予め訓練が行われた訓練済みのモデルである。ここで、機械学習モデル13に対する訓練は、一般的な機械学習により行われる。例えば、機械学習モデル13は、機器画像と法規制との関連性及び機器画像とその機器が用いられる分野であるアプリケーション毎に特有な製品形状の関連性を学習する。法規制には、例えば、食品衛生法による法規制などが存在する。また、アプリケーションは、食品、石油又は化学等の各プラントにおいて工程毎に分類される。例えば、アプリケーションには、排水のアプリケーションや上水のアプリケーションが存在する。他にも、機械習モデル13は、画像情報と文字との関連性を学習する。例えば、関連性には、流量計に接続されるクランプが、食品衛生法や食品製造における使用環境と関連する。このため、学習部(不図示)は、画像から認識されたクランプに関する情報と、食品衛生法や食品製造における使用環境に関する要求仕様情報とを学習して、画像から認識されたクランプに関する情報を入力して、要求仕様情報を出力する機械学習モデルを生成する。
【0021】
データベース16は、サーバ1を用いて顧客に対して流量計を提案する会社である自社が製造する流量計の製品群の仕様情報のデータ及び他社が製造する製品群の仕様情報のデータが格納される。例えば、データベース16は、自社製品の仕様情報のデータとして仕様コードを有してもよい。また、データベース16は、自社製品毎の仕様を表す自社製品仕様データベースを有する。自社製品仕様データベースには、仕様毎にそれぞれの製品が満たすか否かといった情報が登録される。また、データベース16には、様々な会社の情報が登録される。例えば、自社の顧客であれば、データベース16には、過去にその顧客や事業所に納入した製品情報、液種、圧力及び温度等のプロセス情報、求められる法規制情報が登録される。法規制情報には、例えば、安全、圧力、防爆、食品衛生、環境規制及び通信などによる規制の情報が含まれる。流量計が使用される使用環境には、使用環境に応じたアプリケーションがあり、例えば、食品製造のアプリケーションにおいて使用される衛生的な使用環境(サニタリー環境など)がある。
【0022】
抽出部12は、顧客端末2から送信された仕様判定用情報の入力を情報管理部11から受ける。以下では、画像情報から設置する流量計の要求仕様情報を抽出する処理を第1抽出処理と呼び、位置情報から設置する流量計の要求仕様情報を抽出する処理を第2抽出処理と呼び、既設機器の仕様情報から設置する流量計の要求仕様情報を抽出する処理を第3抽出処理と呼ぶ。以下では、第1~第3抽出処理のそれぞれについて、抽出部12の動作を説明する。
【0023】
抽出部12による第1抽出処理について説明する。抽出部12は、画像情報に既存機器の銘板情報が含まれていれば、その既設機器の銘板情報を取得する。そして、抽出部12は、銘板画像に対して画像処理を実施して銘板画像に含まれる文字情報を取得し、取得した文字情報から既設機器の仕様情報を取得する。ここで、抽出部12が行う画像処理による文字認識は、OCR(Optical Character Recognition)やAI(Artificial Intelligence)を用いたOCRなど文字認識技術であれば特に制限はない。本実施の形態では、抽出部12は、機械学習モデル13に対して銘板画像を入力し、機械学習モデル13から出力される仕様コード情報を既存機器の仕様情報として取得する。また、抽出部12は、文字と自社製品DB(Data Base)の記憶された仕様情報とを対比して、一致した仕様情報を取得する。そして、抽出部12は、取得した既存機器の仕様コードと、データベース16に格納された自社製品群又は他社製品群の仕様コードとを比較して、既存機器の仕様を特定する。次に、抽出部12は、特定した既存機器の仕様に対応する自社の仕様コードを特定して、特定した仕様コードから設置する流量計に対する要求仕様情報を抽出する。
【0024】
また、抽出部12は、画像情報に既存機器の外観画像が含まれていれば、その既設機器の外観画像を取得する。次に、抽出部12は、既設機器の外観画像に対して画像処理を施して既設機器の端部を抽出する。そして、抽出部12は、ピクセル換算での既設機器の面間寸法を算出する。次に、抽出部12は、既存機器の外観画像から寸法が既知の物体を特定する。例えば、抽出部12は、流量計の仕様に依らず大きさが一定である変換器や、顧客から情報が得られていれば配管口径などの寸法を既知の寸法として用いる。そして、抽出部12は、既存機器の外観画像内の既知の寸法との比較から既設機器の面間寸法を算出する。その後、抽出部12は、算出した面間寸法を設置する流量計に対する要求仕様情報として抽出する。
【0025】
また、抽出部12は、画像情報に既存機器の画像及び周辺機器の画像が含まれていれば、その既設機器の外観画像及び周辺機器の画像を取得する。次に、抽出部12は、その既設機器の外観画像及び周辺機器の画像に対して機械学習モデル13を用いて要求される制約条件を推定する。例えば、抽出部12は、隙間なく結合させてクランプで留めるサニタリクランプ接続が画像情報から検出された場合、衛生性が求められており、設置する流量計には食品衛生法による法的制約条件が課されると推定する。抽出部12は、衛生法のほか、食品製造において使用される使用環境条件が課されると推定する。また、抽出部12は、画像情報から防水グラウンドを検出した場合、設置する流量計には水が入らない物理的制約条件が課される推定する。そして、抽出部12は、推定した制約条件を満たす仕様を特定して要求仕様情報として抽出する。
【0026】
抽出部12は、以上のような第1抽出処理により、具体的には、流量計の口径、面間寸法、一体型か分離型かを示す構成情報、といった物理的制約条件、液種、圧力及び温度といったプロセス情報を含む使用時の条件、各種法的制約条件や使用環境の条件、無線又は有線などの通信規格等を要求仕様情報として抽出することができる。
【0027】
次に、抽出部12による第2抽出処理について説明する。抽出部12は、位置情報を取得する。そして、抽出部12は、取得した位置情報に基づいて、インターネット上の地図情報、地図アプリ及び住所情報等を用いて設置先の情報を取得する。本実施の形態では、抽出部12は、設置先の情報として、機器が設置される場所の所有者や使用者である会社名や事業所名称等の顧客情報を取得する。次に、抽出部12は、顧客情報がデータベース16に登録されているか否かを判定する。
【0028】
顧客情報がデータベース16に登録されていれば、抽出部12は、その顧客の過去の購入履歴や引合情報を基に使用が予測される流量計を特定して、特定した流量計の仕様を設置する流量計に対する要求仕様情報として抽出する。
【0029】
これに対して、顧客情報がデータベース16に登録されていない場合、抽出部12は、取得した顧客情報を基にインターネット上などに公開されている情報から顧客の製造製品の特定を実施する。顧客の製造製品の特定が困難な場合、抽出部12は、位置情報による要求仕様情報の抽出が困難と判定する。これに対して、顧客の製造製品の特定ができた場合、抽出部12は、類似製品を製造する他の顧客の情報をデータベース16から取得する。そして、抽出部12は、類似製品を製造する他の顧客の過去の購入履歴や引合情報を基に使用が予測される流量計を特定して、特定した流量計の仕様を設置する流量計に対する要求仕様情報として抽出する。
【0030】
他にも、抽出部12は、インターネットなどから得られた顧客の情報から法的制約条件が特定できた場合、その法的制約条件も設置する流量計に対する要求仕様情報として抽出してもよい。例えば、顧客が食品メーカーであることが確認できた場合、抽出部12は、食品衛生法の遵守が求められる可能性あり、又は食品製造のアプリケーションにおいて使用される衛生的な使用環境であるサニタリーのアプリケーションでの条件を求められる可能性ありとして、食品衛生法による法的制約条件又は食品製造用途のサニタリーアプリケーションの使用環境条件に設置する流量計に対する要求仕様情報として抽出してもよい。
【0031】
抽出部12は、以上のような第2抽出処理により、具体的には、流量計の口径、面間寸法などの物理的制約条件、アプリケーションにおける使用環境条件及びプロセス情報などの使用時の条件、並びに、各種法的制約条件等を要求仕様情報として抽出することができる。
【0032】
次に、抽出部12による第3抽出処理について説明する。抽出部12は、既設機器の仕様情報を取得する。そして、抽出部12は、データベース16に格納された自社製品群及び他社製品群と取得した仕様情報とを比較して、既設機器の仕様を特定する。次に、抽出部12は、特定した仕様に対応する自社製品群の仕様を特定して、特定した仕様から設置する流量計に対する要求仕様情報を抽出する。
【0033】
以上に説明した第1~3抽出処理の実行後、抽出部12は、抽出した設置する流量計に対する要求仕様情報を特定部15へ出力する。この際、顧客から設置する流量計に対する要求仕様情報が入力されている場合、その顧客から得た要求仕様情報もまとめて設置する流量計に対する要求仕様情報として特定部15へ出力する。
【0034】
以上では、第1~3抽出処理について説明したが、抽出部12は、第1~3抽出処理全てを行わなくても良く、第1~3抽出処理のいずれかもしくはその組み合わせを実行して要求仕様情報を抽出すればよい。
【0035】
特定部15は、設置する流量計に対する要求仕様情報の入力を抽出部12から受ける。次に、特定部15は、要求仕様情報を用いて、設置する流量計を決定するための仕様につての個々の項目毎の要否や値を登録した仕様テーブルを生成する。仕様テーブルには、変換器の情報、検出器の情報、流量計サイズ、接液部材質、プロセス接続口径、プロ説接続の種類、流体温度範囲、検出器ハウジング材質、質量流量及び密度の精度、形状、防爆認証の情報、アプリケーションの使用環境、ケーブル配線口の情報、通信の種類及び入出力インタフェース、表示器の情報などが含まれる。特定部15は、これらの情報のうち、要求仕様情報として得られた情報を仕様テーブルに登録する。
【0036】
そして、特定部15は、データベース16に格納された自社製品仕様データベースと仕様テーブルとを比較して、要求仕様情報に対する自社製品の流量計のそれぞれの合致度を算出する。ここで、合致度とは、自社製品の仕様と仕様テーブルに登録された情報との合致状況を示す情報である。例えば、特定部15は、合致した情報の数を合致度としても良いし、仕様テーブルの項目数の内の合致した割合を合致度としてもよい。そして、特定部15は、合致度が予め決められた閾値値以上の流量計を候補機器として特定する。すなわち、特定部15は、要求仕様情報により求められる仕様と予め定められた機器の所定の仕様(例えば、自社製品の仕様のデータベースに格納された情報)との合致度を基に、所定の仕様を有する機器を候補機器として特定する。
【0037】
また、特定部15は、顧客に過去に納品し設置した実績のある流量計の情報をデータベース16から取得して、その過去に設置した流量計うち合致度が閾値値以上の流量計を候補機器としてもよい。すなわち、特定部は、要求仕様情報及び設置履歴を示す過去に設置した機器の情報を基に、設置履歴の機器の情報から選択して候補機器を特定する。
【0038】
ここで、特定部15は、特定されていない仕様については各仕様を組み合わせた全パターンを候補機器として特定する。その後、特定部15は、選択した候補機器の情報を情報通知部14へ出力する。なお、特定部による候補機器の特定は、合致度が閾値値以上であり、且つ必要とされる仕様項目を有する機器を候補機器として特定してもよい。
【0039】
情報通知部14は、候補機器の情報の入力を特定部15から受ける。そして、情報通知部14は、取得した候補機器の情報を顧客端末2へ送信して、顧客に候補機器の情報を提供する。ここで、情報通知部14は、各候補機器についての合致度の情報を特定部15から取得して、候補機器の情報とともに顧客に通知してもよい。また、情報通知部14は、各候補機器についての価格及び納期情報などの製品情報をデータベース16から取得して、候補機器の情報とともに顧客に通知してもよい。
【0040】
顧客は、提供された候補機器の中から設置する流量計を決定する。そして、顧客は、決定した流量計の情報をプロセスオートメーションの設計者や流量計メーカーに発注する。この際、顧客は、決定した流量計についての構成オプションの情報も加えてプロセスオートメーションの設計者や流量計メーカーに通知してもよい。プロセスオートメーションの設計者やメーカーは、顧客からの発注を受けて、発注された流量計及び構成オプションを顧客に提供する。
【0041】
(機器提案処理の流れ)
図2は、実施の形態1に係るサーバによる機器提案処理のフローチャートである。次に、
図2を参照して、本実施の形態に係るサーバ1による機器提案処理の全体的な流れを説明する。
【0042】
情報管理部11は、仕様判定用情報を顧客端末2から受信する(ステップS1)。
【0043】
抽出部12は、仕様判定用情報の入力を情報管理部11から受ける。そして、抽出部12は、仕様判定用情報に画像情報が存在するか否かを判定する(ステップS2)。画像情報が存在しない場合(ステップS2:否定(No))、機器提案処理は、ステップS4へ進む。
【0044】
これに対して、画像情報が存在する場合(ステップS2:肯定(Yes))、抽出部12は、画像情報から要求仕様情報を抽出する第1抽出処理を実施する(ステップS3)。
【0045】
次に、抽出部12は、仕様判定用情報に位置情報が存在するか否かを判定する(ステップS4)。位置情報が存在しない場合(ステップS4:否定)、機器提案処理は、ステップS6へ進む。
【0046】
これに対して、位置情報が存在する場合(ステップS4:肯定)、抽出部12は、位置情報から要求仕様情報を抽出する第2抽出処理を実施する(ステップS5)。
【0047】
次に、抽出部12は、仕様判定用情報に既設機器の仕様情報が存在するか否かを判定する(ステップS6)。既設機器の仕様情報が存在しない場合(ステップS6:否定)、機器提案処理は、ステップS8へ進む。
【0048】
これに対して、既設機器の仕様情報が存在する場合(ステップS6:肯定)、抽出部12は、既設機器の仕様情報から要求仕様情報を抽出する第3抽出処理を実施する(ステップS7)。
【0049】
特定部15は、抽出部12により抽出された要求仕様情報の入力を受ける。また、顧客からの要求仕様情報の入力があった場合、特定部15は、顧客から入力された要求仕様情報を抽出部12にから取得する。次に、特定部15は、要求仕様情報から仕様テーブルを生成する。そして、特定部15は、データベース16に格納された自社製品仕様データベースと仕様テーブルとを比較して、要求仕様情報に対する自社製品の流量計のそれぞれの合致度を算出する。そして、特定部15は、合致度が予め決められた値(閾値)以上の流量計を候補機器として選択する(ステップS8)。
【0050】
情報通知部14は、候補機器の情報の入力を特定部15から受ける。そして、情報通知部14は、取得した候補機器の情報を顧客端末2へ送信して、顧客に候補機器を通知する(ステップS9)。
【0051】
この後、顧客は、提案された候補機器の中から、設置する流量計を決定する。そして、プロセスオートメーションの設計者は、決定された設置する流量計の情報を顧客から取得する。
【0052】
図3は、銘板画像を用いた第1抽出処理のフローチャートである。次に、
図3を参照して、銘板画像を用いた第1抽出処理の流れを説明する。
図3のフローで示した各処理は、
図2のステップS3で実行される処理の一例にあたる。
【0053】
抽出部12は、画像情報に既存機器の銘板情報が含まれている場合、その既設機器の銘板情報を取得する(ステップS101)。
【0054】
次に、抽出部12は、銘板画像に対して画像処理を実施して銘板画像に含まれる文字情報を取得し、取得した文字情報から仕様コードを取得する(ステップS102)。
【0055】
そして、抽出部12は、取得した仕様コードと、データベース16に格納された自社製品群又は他社製品群の仕様コードとを比較して、仕様を特定する(ステップS103)。
【0056】
次に、抽出部12は、特定した仕様に対応する自社の仕様コードを特定して、特定した仕様コードから設置する流量計に対する要求仕様情報を抽出して特定部15へ出力する(ステップS104)。
【0057】
図4は、既存機器の外観画像を用いた第1抽出処理のフローチャートである。次に、
図4を参照して、既存機器の外観画像を用いた第1抽出処理の流れを説明する。
図4のフローで示した各処理は、
図2のステップS3で実行される処理の一例にあたる。
【0058】
抽出部12は、画像情報に既存機器の外観画像が含まれている場合、その既設機器の外観画像を取得する(ステップS111)。
【0059】
次に、抽出部12は、既設機器の外観画像に対して画像処理を施して既設機器の端部を抽出する。そして、抽出部12は、ピクセル換算での既設機器の面間寸法を算出する(ステップS112)。
【0060】
次に、抽出部12は、既存機器の外観画像内の既知の寸法との比較から既設機器の面間寸法を算出し、算出した面間寸法を設置する流量計に対する要求仕様情報として抽出して特定部15へ出力する(ステップS113)。
【0061】
図5は、既存機器及び周辺機器の画像を用いた第1抽出処理のフローチャートである。次に、
図5を参照して、既存機器及び周辺機器の画像を用いた第1抽出処理の流れを説明する。
図5のフローで示した各処理は、
図2のステップS3で実行される処理の一例にあたる。
【0062】
抽出部12は、画像情報に既存機器及び周辺機器の画像が含まれている場合、その既設機器及び周辺機器の画像を取得する(ステップS121)。
【0063】
次に、抽出部12は、既設機器及び周辺機器の画像に対して機械学習モデル13を用いて要求される制約条件を推定する(ステップS122)。
【0064】
そして、抽出部12は、推定した制約条件を満たす仕様を特定して要求仕様情報として抽出して特定部15へ出力する(ステップS123)。
【0065】
図6は、第2抽出処理のフローチャートである。次に、
図6を参照して、第2抽出処理の流れを説明する。
図6のフローで示した各処理は、
図2のステップS5で実行される処理の一例にあたる。
【0066】
抽出部12は、仕様判定用情報から位置情報を取得する(ステップS201)。
【0067】
次に、抽出部12は、取得した位置情報に基づいて、インターネット上の地図情報、地図アプリ及び住所情報等を用いて、設置先情報としての会社名や事業所名称等の顧客情報を取得する(ステップS202)。
【0068】
次に、抽出部12は、顧客情報がデータベース16に存在するか否かを判定する(ステップS203)。
【0069】
顧客情報がデータベース16に存在する場合(ステップS203:肯定)、抽出部12は、その顧客の過去の購入履歴や引合情報を基に使用する流量計を特定する。そして、抽出部12は、特定した流量計の仕様を設置する流量計に対する要求仕様情報として抽出して特定部15へ出力する(ステップS204)。
【0070】
これに対して、顧客情報がデータベース16に存在しない場合(ステップS203:否定)、抽出部12は、取得した顧客情報を基にインターネット上などに公開されている情報から顧客の製造製品の特定を実施する(ステップS205)。
【0071】
そして、抽出部12は、顧客の製造製品の特定が可能か否かを判定する(ステップS206)。顧客の製造製品の特定が困難な場合(ステップS206:否定)、抽出部12は、位置情報による要求仕様情報の抽出が困難と判定して、第2抽出処理を終了する。
【0072】
これに対して、顧客の製造製品の特定が可能な場合(ステップS206:肯定)、抽出部12は、類似製品を製造する他の顧客の情報をデータベース16から取得する。そして、抽出部12は、類似製品を製造する他の顧客の過去の購入履歴や引合情報を基に使用する流量計を特定する。そして、抽出部12は、特定した流量計の仕様を設置する流量計に対する要求仕様情報として抽出して特定部15へ出力する(ステップS207)。
【0073】
図7は、第3抽出処理のフローチャートである。次に、
図7を参照して、第3抽出処理の流れを説明する。
図7のフローで示した各処理は、
図2のステップS7で実行される処理の一例にあたる。
【0074】
抽出部12は、仕様判定用情報から既設機器の仕様情報を取得する(ステップS301)。
【0075】
次に、抽出部12は、データベース16に格納された自社製品群及び他社製品群と取得した仕様情報とを比較して、既設機器の仕様を特定する(ステップS302)。
【0076】
次に、抽出部12は、特定した仕様に対応する自社製品群の仕様を特定する。そして、抽出部12は、特定した流量計の仕様を設置する流量計に対する要求仕様情報として抽出して特定部15へ出力する(ステップS303)。
【0077】
以上に説明したように、本実施の形態に係る機器提案システム及び機器提案装置は、画像情報、位置情報、既設機器の仕様情報などの仕様判定用情報の提供を受けて、設置する機器の要求仕様情報を抽出する。要求仕様情報には、物理的制約条件、法的制約条件、使用環境条件又は使用時の条件のいずれか一つもしくはそれらの組合せが含まれる。そして、本実施の形態に係る製品提案システム及び製品提案装置は、抽出した要求仕様情報に閾値以上の合致度を有する製品を候補機器として顧客にその候補機器の情報を提供する。これにより、法規則やプロセス情報といった機器選定に必用な知識や機器選定の経験が少なくても、顧客は、最適な候補機器の提案を受けることができ、且つ、設置する機器の選定が容易となる。
【0078】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について説明する。本実施の形態に係るサーバ1は、仕様判定用情報が十分ではなく、特定した候補機器が多すぎるもしくは候補機器の特定が困難など、特定部15が候補機器を十分に特定できなかった場合、要求仕様を絞り込むための情報を追加要求し、追加された情報を仕様判定用情報に加えて候補機器を絞り込むことが実施の形態1と異なる。本実施の形態に係る機器提案システム100及びサーバ1も
図1のブロック図で表される。以下の説明では、実施の形態1での各部の機能と同様の機能については説明を省略する。
【0079】
(機器提案装置)
特定部15による候補機器の特定がなされなかった場合、情報管理部11は、候補機器の絞り込み実行を特定部15に指示する。その後、情報管理部11は、仕様テーブルで未取得の要求仕様情報毎に、その要求仕様情報が得られた場合の候補機器の減らせる数である絞り込み可能個数の入力を特定部15から受ける。
【0080】
そして、情報管理部11は、候補機器の少ない順に未取得の要求仕様情報を並べて、いずれかの仕様判定用情報の再入力を要求する通知を顧客端末2に送信する。ここで、情報管理部11は、要求仕様情報と仕様判定用情報との対応関係を保持しておき、通知する未取得の要求仕様情報毎にその要求仕様情報が得られる使用可能な仕様判定用情報を通知してもよい。例えば、対応関係として、未取得の要求仕様情報が面間寸法の場合、情報管理部11は、使用可能な仕様判定用情報として既存機器の外観画像を通知する。
【0081】
その後、情報管理部11は、通知された仕様判定用情報の再入力の要求に対する応答を顧客端末2から受信する。例えば、情報管理部11は、既存機器の外観画像などを追加の仕様判定用情報として受信する。そして、情報管理部11は、既に取得した仕様判定用情報に新たに追加された仕様判定用情報を加えて抽出部12に出力して、要求仕様情報の抽出を行わせる。
【0082】
特定部15は、保有する仕様判定情報から候補機器を特定することが困難な場合、候補機器の絞り込み実行の指示を情報管理部11から受ける。そして、特定部15は、生成した仕様テーブルの中で未取得の要求仕様情報を抽出する。次に、特定部15は、抽出した未取得の要求仕様情報毎に、その要求仕様情報が得られた場合の候補機器の数を算出する。そして、特定部15は、現在の候補機器の数から要求仕様情報が得られた場合の候補機器の数を減算して、その要求仕様情報が得られた場合の候補機器の絞り込み可能個数を算出する。その後、特定部15は、未決定の要求仕様情報毎に、その要求仕様情報が得られた場合の絞り込み可能個数を情報管理部11に通知する。
【0083】
その後、特定部15は、新たに追加された情報を加えた仕様判定用情報を用いて抽出された要求仕様情報を用いて候補機器の選択を実行する。
【0084】
(機器提案処理の流れ)
図8は、実施の形態2に係るサーバによる機器提案処理のフローチャートである。次に、
図8を参照して、本実施の形態に係るサーバ1による機器提案処理の全体的な流れを説明する。
【0085】
情報管理部11は、仕様判定用情報を顧客端末2から受信する(ステップS11)。
【0086】
抽出部12は、仕様判定用情報を用いて第1~3抽出処理を実行する(ステップS12)。
【0087】
特定部15は、抽出部12により抽出された要求仕様情報の入力を受ける。また、顧客からの要求仕様情報の入力が有る場合、特定部15は、顧客から入力された要求仕様情報を抽出部12にから取得する。次に、特定部15は、要求仕様情報から仕様テーブルを生成する。そして、特定部15は、データベース16に格納された自社製品仕様データベースと仕様テーブルとを比較して、要求仕様情報に対する自社製品の流量計のそれぞれの合致度を算出する。そして、特定部15は、合致度が予め決められた値以上の流量計を候補機器として特定する処理を実行する(ステップS13)。
【0088】
情報通知部14は、候補機器の情報の入力を特定部15から受けたか否かにより、特定部15による候補機器の特定が成功したか否かを判定する(ステップS14)。
【0089】
候補機器の特定に失敗した場合(ステップS14:否定)、情報管理部11は、候補機器の絞り込みの実行を特定部15に指示する。特定部15は、生成した仕様テーブルの中で未取得の要求仕様情報を抽出する。次に、特定部15は、抽出した未取得の要求仕様情報毎に、その要求仕様情報が得られた場合の候補機器の数を算出する。そして、特定部15は、現在の候補機器の数から要求仕様情報が得られた場合の候補機器の数を減算して、その要求仕様情報が得られた場合の候補機器の絞り込み可能個数を算出する(ステップS15)。
【0090】
次に、特定部15は、未決定の要求仕様情報毎に、その要求仕様情報が得られた場合の絞り込み可能個数を情報管理部11に通知する。情報管理部11は、候補機器の少ない順に未取得の要求仕様情報を並べて顧客端末2に表示させて、仕様判定用情報の再入力を顧客に対して要求する(ステップS16)。
【0091】
その後、特定部15は、要求仕様情報の再入力要求に対する応答として、追加の仕様判定用情報を顧客端末2から受信する(ステップS17)。その後、機器提案処理は、ステップS12へ戻る。
【0092】
これに対して、候補機器の特定に成功した場合(ステップS14:肯定)、特定部15は、候補機器を顧客に通知する。そして、情報管理部11は、機器提案処理を終了する。顧客は、提案された候補機器の中から、設置する流量計を決定する。そして、プロセスオートメーションの設計者は、端末を用いて決定された設置する流量計の情報及び構成オプションの情報を顧客から受信する(ステップS18)。
【0093】
以上に説明したように、本実施の形態に係る機器提案システム及び機器提案装置は、提案した候補機器では顧客が使用する機器を決定できない場合に、追加の仕様判定用情報の再入力を要求する。そして、本実施の形態に係る機器提案システム及び機器提案装置は、追加された要求仕様情報を既存の要求仕様情報に加えて候補機器の絞り込みを行い、顧客に絞り込んだ候補機器を提供する。これにより、顧客は、候補機器を絞り込むためにどのような仕様判定用情報を提供すればいいかを容易に把握でき、設置する機器の選択をより容易に行うことが可能となる。
【0094】
例えば、フローストリームパラメータであれば、顧客は、材料についての化学的な認識なども要求される。また、法規制であれば、顧客は、法規制の要求される国や地域、さらには機器の設置先 がどれだけ危険な場所であるかなどの幅広い知識が要求される。本実施例に係る機器提案システム及び機器提案装置は、このような科学的な認識や法規制といった専門的な知識を顧客に要求せずに、科学的に適切且つ法規制に則った候補機器を提案するができ、顧客は専門的な知識を有さずとも適当な機器の選択を容易に行うことができる。
【0095】
(変形例)
ここで、候補機器の絞り込みについては、一方的にサーバ1から要求仕様情報の入力を要求するのではなく、情報管理部11が顧客端末2を利用した顧客との間で対話を行い、対話に基づいて候補機器を絞り込んで提案してもよい。例えば、情報管理部11は、AIチャットポットを用いて顧客との対話を行ってもよい。また、プロセスオートメーションの設計者が、サーバ1を介して顧客と対話してもよい。
【0096】
また、サーバ1は、顧客から提供される画像情報を用いて機器の設置のアドバイスや不適切設置のチェックを行ってもよい。例えば、情報通知部14は、画像情報からデータベース16に格納された配管及び設置条件の中で適合する情報を取得して、最適な配管や設置条件の情報を顧客端末2へ送信して、顧客へ提案してもよい。また、情報通知部14は、画像情報と設置のアドバイスや設置条件との関係を学習させて機械学習モデル13を用いて画像情報から推定される設置のアドバイスや設置条件を取得して顧客端末2へ送信して、顧客へ提案してもよい。
【0097】
さらに、サーバ1は、防爆又は非防爆仕様及びその他法規制仕様の判断補助を行ってもよい。例えば、情報通知部14は、過去の類似アプリケーションで用いられた機器の仕様をデータベース16から取得して、その機器が防爆か非防爆化を確認して、その確認した情報を顧客端末2へ送信して顧客に提供してもよい。また同様に、情報通知部14は、過去の類似アプリケーションで用いられた機器の仕様をデータベース16から取得して、その機器が遵守する法的制約条件を取得して、その法的制約条件による要求仕様の情報を顧客端末2へ送信して顧客に提供してもよい。
【0098】
(システム)
上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0099】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散や統合の具体的形態は図示のものに限られない。つまり、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
【0100】
さらに、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPU(Central Processing Unit)および当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【0101】
(ハードウェア)
次に、サーバ1のハードウェア構成例を説明する。
図9は、機器提案装置であるサーバのハードウェア構成図である。
図9に示すように、サーバ1は、プロセッサ91、メモリ92、HDD(Hard Disk Drive)93及び通信装置94を有する。また、プロセッサ91は、バスを介してメモリ92、HDD93及び通信装置94と接続される。
【0102】
通信装置94は、ネットワークインタフェースカードなどであり、他の情報処理装置との通信に使用される。例えば、通信装置94は、顧客端末2とプロセッサ91との間の通信を中継する。
【0103】
HDD93は、補助記憶装置である。HDD93は、データベース16の機能を実現する。また、HDD93は、機械学習モデル13を格納する。さらに、HDD93は、情報管理部11、抽出部12、情報通知部14及び特定部15の機能を実現するためのプログラムを含む各種プログラムを格納する。
【0104】
プロセッサ91は、HDD93に格納された各種プログラムを読み出してメモリ92に展開して実行する。これにより、プロセッサ91は、情報管理部11、抽出部12、情報通知部14及び特定部15の機能を実現する。
【0105】
このように、サーバ1は、プログラムを読み出して実行することで各種処理方法を実行する情報処理装置として動作する。また、サーバ1は、媒体読取装置によって記録媒体から上記プログラムを読み出し、読み出された上記プログラムを実行することで上記した実施形態と同様の機能を実現することもできる。なお、ここでいうプログラムは、サーバ1によって実行されることに限定されるものではない。例えば、他のコンピュータまたはサーバ1がプログラムを実行する場合や、これらが協働してプログラムを実行するような場合にも、本発明を同様に適用することができる。
【0106】
このプログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布することができる。また、このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD-ROM、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disc)などのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することができる。
【0107】
開示される技術的特徴の組合せのいくつかの例を以下に記載する。
【0108】
(1)
設置機器に関する仕様判定用情報を取得する情報取得部と、
前記情報取得部により取得された前記仕様判定用情報から、前記設置機器の物理的制約条件、法的制約条件、前記設置機器の仕様環境又は位置情報に基づく情報の少なくともいずれか一つを含む前記設置機器に求められる仕様を表す要求仕様情報を抽出する抽出部と、
前記抽出部により抽出された前記要求仕様情報を満たす一つ又は複数の候補機器を特定する特定部と、
前記特定部により特定された前記候補機器の情報を通知する情報通知部と
を備えたことを特徴とする機器提案装置。
(2)
前記情報取得部は、前記設置機器の仕様に関する画像情報を前記仕様判定用情報として取得し、
前記抽出部は、前記画像情報に対して画像処理を行った結果を基に前記要求仕様情報を抽出する
ことを特徴とする(1)に記載の機器提案装置。
(3)
前記情報取得部は、前記設置機器が設置される場所を示す位置情報を前記仕様判定用情報として取得し、
前記抽出部は、前記位置情報を基に前記設置機器の設置先の情報を取得して、前記設置先の情報を基に前記要求仕様情報を抽出する
ことを特徴とする(1)又は(2)に記載の機器提案装置。
(4)
前記情報取得部は、既に設置されている前記設置機器の仕様情報を前記仕様判定用情報として取得し、
前記抽出部は、前記既に設置されている前記設置機器の仕様情報を基に前記要求仕様情報を抽出する
ことを特徴とする(1)~(3)のいずれか一つに記載の機器提案装置。
(5)
前記特定部は、前記要求仕様情報及び設置履歴を示す過去に設置した機器の情報を基に前記設置履歴の機器の情報から選択して前記候補機器を特定することを特徴とする(3)に記載の機器提案装置。
(6)
前記特定部は、前記要求仕様情報の仕様と予め定められた機器の所定の仕様との合致度を基に、前記所定の仕様を有する前記機器を前記候補機器として特定することを特徴とする(1)~(5)に記載の機器提案装置。
(7)
前記情報取得部は、前記特定部によって前記候補機器を特定できなかった場合、取得済みの仕様判定用情報以外の追加の仕様判定用情報を要求して取得し、
前記抽出部は、前記取得済みの仕様判定用情報及び前記追加の仕様判定用情報から、前記要求仕様情報を再抽出し
前記特定部は、前記抽出部により再抽出された前記要求仕様情報を満たす一つ又は複数の候補機器を再特定し
前記情報通知部は、前記特定部により再選択された前記候補機器の情報を通知する
ことを特徴とする(1)~(6)のいずれか一つに記載の機器提案装置。
(8)
機器提案装置が、
設置機器に関する仕様判定用情報を取得し、
取得した前記仕様判定用情報から、前記設置機器の物理的制約条件、法的制約条件、前記設置機器の使用環境又は位置情報に基づく情報の少なくともいずれか一つを含む前記設置機器に求められる仕様を表す要求仕様情報を抽出し、
抽出した前記要求仕様情報を満たす一つ又は複数の候補機器を特定し、
特定した前記候補機器の情報を通知する
ことを特徴とする機器提案方法。
(9)
設置機器に関する仕様判定用情報を取得し、
取得した前記仕様判定用情報から、前記設置機器の物理的制約条件、法的制約条件、前記設置機器の使用環境又は位置情報に基づく情報の少なくともいずれか一つを含む前記設置機器に求められる仕様を表す要求仕様情報を抽出し、
抽出した前記要求仕様情報を満たす一つ又は複数の候補機器を特定し、
特定した前記候補機器の情報を通知する
処理をコンピュータに実行させることを特徴とする機器提案プログラム。
(10)
機器提案装置及び顧客端末を有する機器提案システムであって、
前記顧客端末は、設置機器に関する仕様判定用情報を前記提案装置へ送信し、
前記機器提案装置は、
前記仕様判定用情報を取得する情報取得部と、
前記情報取得部により取得された前記仕様判定用情報から、前記設置機器の物理的制約条件、法的制約条件、前記設置機器の使用環境又は位置情報に基づく情報の少なくともいずれか一つを含む前記設置機器に求められる仕様を表す要求仕様情報を抽出する抽出部と、
前記抽出部により抽出された前記要求仕様情報を満たす一つ又は複数の候補機器を特定する特定部と、
前記特定部により特定された前記候補機器の情報を前記顧客端末へ送信する情報通知部とを備えた
ことを特徴とする機器提案システム。
【符号の説明】
【0109】
1 サーバ
2 顧客端末
11 情報管理部
12 抽出部
13 機械学習モデル
14 情報通知部
15 特定部
16 データベース
100 機器提案システム