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特開2024-65675騒音監視装置、騒音監視方法、騒音監視プログラム及び騒音監視システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024065675
(43)【公開日】2024-05-15
(54)【発明の名称】騒音監視装置、騒音監視方法、騒音監視プログラム及び騒音監視システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20240508BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022174665
(22)【出願日】2022-10-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヨハル ケフィン エカプトラ
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC11
5L050CC11
(57)【要約】
【課題】騒音の大きい環境下で働く作業員の作業の安全性を向上させる。
【解決手段】ノイズマップ生成部101は、作業領域中に設置された複数の設置型騒音計により測定された騒音量測定値に基づいて予め生成された前記作業領域中におけるノイズマップを取得する。騒音暴露量計算部102は、作業領域中における作業員の作業計画を取得して、作業計画で指定された各作業位置及び業位置毎での前記作業員の滞在時間、並びに、ノイズマップを基に騒音暴露量の見積もりを計算して、騒音暴露量の見積もりを通知する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業領域中に設置された複数の設置型騒音計により測定された騒音量測定値に基づいて予め生成された前記作業領域中におけるノイズマップを取得するノイズマップ生成部と、
前記作業領域中における作業員の作業計画を取得して、前記作業計画で指定された各作業位置及び前記作業位置毎での前記作業員の滞在時間、並びに、前記ノイズマップを基に騒音暴露量の見積もりを計算して、前記騒音暴露量の見積もりを通知する騒音暴露量計算部と
を備えたことを特徴とする騒音監視装置。
【請求項2】
前記騒音暴露量計算部は、前記作業計画で指定された前記作業位置間の動線を特定して、前記導線における騒音量測定値を基に、前記騒音暴露量の見積もりを算出することを特徴とする請求項1に記載の騒音監視装置。
【請求項3】
前記騒音暴露量計算部は、前記騒音暴露量の見積もりが所定の許容範囲を超えた場合に、警告を通知して作業計画の修正を要求することを特徴とする請求項1又は2に記載の騒音監視装置。
【請求項4】
前記ノイズマップ生成部は、前記作業計画にしたがった前記作業員の作業中に、前記設置型騒音計により測定された騒音量測定値を取得して、前記取得された騒音量測定値を基に前記作業領域中における作業中のノイズマップを生成し、
前記騒音暴露量計算部は、前記作業領域中における前記作業員の位置情報を取得して、前記ノイズマップ生成部により生成された前記作業中のノイズマップ及び前記取得した位置情報を基に、前記作業員の作業中の騒音暴露量を計算して、前記作業中の騒音暴露量を通知する
ことを特徴とする請求項1に記載の騒音監視装置。
【請求項5】
前記騒音暴露量計算部は、作業中に前記作業員が保持する携帯端末により測定された前記作業員の位置情報を取得することを特徴とする請求項4に記載の騒音監視装置。
【請求項6】
前記騒音暴露量計算部は、前記作業中の騒音暴露量が閾値を超えた場合に、作業の中断を通知することを特徴とする請求項4に記載の騒音監視装置。
【請求項7】
前記騒音暴露量計算部により計算された前記騒音暴露量の見積もりと前記作業中の騒音暴露量とを比較して前記騒音暴露量の見積もりの精度の検証を行う検証部をさらに備えた
ことを特徴とする請求項4に記載の騒音監視装置。
【請求項8】
騒音監視装置が、
作業領域中に設置された複数の設設置型騒音計により測定された騒音量測定値に基づいて予め生成された前記作業領域中におけるノイズマップを取得し、
前記作業領域中における作業員の作業計画を取得して、前記作業計画で指定された各作業位置及び前記作業位置毎での前記作業員の滞在時間、並びに、前記ノイズマップを基に騒音暴露量の見積もりを計算して、
前記騒音暴露量の見積もりを通知する
ことを特徴とする騒音監視方法。
【請求項9】
作業領域中に設置された複数の設置型騒音計により測定された騒音量測定値に基づいて予め生成された前記作業領域中におけるノイズマップを取得し、
前記作業領域中における作業員の作業計画を取得して、前記作業計画で指定された各作業位置及び前記作業位置毎での前記作業員の滞在時間、並びに、前記ノイズマップを基に騒音暴露量の見積もりを計算して、
前記騒音暴露量の見積もりを通知する
処理をコンピュータに実行させることを特徴とする騒音監視プログラム。
【請求項10】
作業領域中に設置された複数の設置型騒音計、端末装置及び騒音監視装置を有する騒音監視システムであって、
前記騒音監視装置は、
前記設置型騒音計により測定された騒音量測定値に基づいて予め生成された前記作業領域中におけるノイズマップを取得するノイズマップ生成部と、
前記端末装置を用いて入力された前記作業領域中における作業員の作業計画を取得して、前記作業計画で指定された各作業位置及び前記作業位置毎での前記作業員の滞在時間、並びに、前記ノイズマップを基に騒音暴露量の見積もりを計算して、前記騒音暴露量の見積もりを通知する騒音暴露量計算部と
を備えたことを特徴とする騒音監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、騒音監視装置、騒音監視方法、騒音監視プログラム及び騒音監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、各種の作業現場において、良好な作業環境の中で快適な作業を送ることの重要性が強く意識されるようになってきており、作業者の安全と健康を維持することは重要な課題として注目されている。例えば、石油、石油化学、化学、ガス等を用いた各種プラントでは、オペレータや作業員等により、プラントの安全操業が実行されており、このようなプラントにおいても作業員の安全と健康の確保が重要である。
【0003】
作業現場では作業員に対して影響を与える様々な要因が存在するが、その中でも作業環境における騒音は難聴の原因になる等、作業員の健康を損ねるおそれがある。そこで、作業員の健康を維持するために、作業環境における騒音被ばくに対して騒音規制等が定められている。従来、騒音対策として、作業現場の騒音を測定して騒音規制で規定された騒音被ばく量の上限を超えないような作業時間の決定が行われている。
【0004】
例えば、以下のような騒音対策が実施されている。騒音を測定する複数の設置型の騒音計が作業現場に設置される。そして、設置された騒音計は、タイムスタンプ及び騒音量測定値を無線または有線で上位通信システムを介して計器室やクラウドに置かれた計算システムへ送信する。計算システムは、騒音計が配置された位置以外の作業現場の騒音量を補完計算し、作業現場の任意の位置の騒音量を算出して、作業現場における騒音分布を示すノイズマップを生成する。作業員は、生成されたノイズマップを参照して、作業現場の騒音量の危険性を評価する。また、作業員は、騒音規制の表を用いて、作業現場の騒音量で最大何時間の作業が可能かを判断する。
【0005】
他にも、騒音対策技術として、作業者にポータブル騒音計を持たせ、ポータブル騒音計により計測された各位置での騒音レベルデータから、作業者の騒音暴露量を算出する技術が提案されている(例えば、特許文献1)。また、産業区域内に配置された無線音響センサーを用いて音響雑音データを収集し、収集した音響雑音データと産業区域内の音響雑音の伝番の数値モデルとを用いて、音響雑音マップを生成する技術が提案されている(例えば、特許文献2)。また、音声分析の技術として、音声信号を取得し、音響測定値に応じて音声信号に基づく時系列データの分析を行うための演算の実行又は不実行を切り替える技術が提案されている(例えば、特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2019-516152号公報
【特許文献2】米国特許出願公開第2016/0238437号明細書
【特許文献3】特開2020-034636号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の騒音対策技術では、作業前にノイズマップを参照して、作業現場の騒音量の危険性を評価することが作業員等により行われている。そのため、作業計画に基づく正確な騒音暴露量の見積もりは困難であった。このように、正確な騒音暴露量の見積もりが、従来の騒音対策技術では難しく、騒音の大きい環境下で働く作業員の作業の安全性を向上させることは困難であった。
【0008】
本発明の一側面は、騒音の大きい環境下で働く作業員の作業の安全性を向上させる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一側面に係る溶解性評価装置は、以下の各部を有する。ノイズマップ生成部は、作業領域中に設置された複数の設置型騒音計により測定された騒音量測定値に基づいて予め生成された前記作業領域中におけるノイズマップを取得する。騒音暴露量計算部は、前記作業領域中における作業員の作業計画を取得して、前記作業計画で指定された各作業位置及び前記作業位置毎での前記作業員の滞在時間、並びに、前記ノイズマップを基に騒音暴露量の見積もりを計算して、前記騒音暴露量の見積もりを通知する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、騒音の大きい環境下で働く作業員の作業の安全性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施の形態に係る騒音監視システムのシステム構成図である。
図2】実施の形態に係る騒音監視装置のブロック図である。
図3】騒音暴露量制限の情報の一例を示す図である。
図4】作業情報の入力画面の一例を示す図である。
図5】騒音暴露情報表示画面の一例を示す図である。
図6】実施の形態に係る騒音監視装置による騒音監視処理の全体を示すフローチャートである。
図7】実施の形態に係る騒音監視装置による作業前見積もり処理のフローチャートである。
図8】実施の形態に係る騒音監視装置による騒音暴露量の見積もり処理のフローチャートである。
図9】実施の形態に係る騒音監視装置による騒音暴露監視処理のフローチャートである。
図10】変形例に係る騒音監視装置のブロック図である。
図11】変形例に係る騒音監視装置による騒音監視処理の全体を示すフローチャートである。
図12】変形例に係る騒音監視装置による作業後の検証処理のフローチャートである。
図13】騒音監視装置のハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ騒音監視装置、騒音監視方法、騒音監視プログラム及び騒音監視システムの実施形態について説明する。なお、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。また、各実施形態は、矛盾のない範囲内で適宜組み合わせることができる。
【0013】
(実施の形態)
(全体構成)
図1は、実施の形態に係る騒音監視システムのシステム構成図である。騒音監視システム100は、管理室10に配置された騒音監視装置1、作業員Pが所持する携帯端末2、上位通信システム3、並びに、作業現場20に配置された設置型騒音計21及び22を備える。騒音監視装置1は、管理室10以外にも、例えば、計器室やクラウド上に設置されてもよい。また、図1では、携帯端末2を所持した作業員Pが作業現場20に位置する場合を図示したが、作業員P及び携帯端末2は、作業開始前には作業現場20の外に存在する。作業現場20が、「作業領域」の一例にあたる。
【0014】
騒音監視装置1、設置型騒音計21及び22、並びに、携帯端末2は、上位通信システム3に接続される。騒音監視装置1と、設置型騒音計21及び22、並びに、携帯端末2とは、上位通信システム3を介してデータの送受信を行う。
【0015】
騒音監視装置1は、作業員Pが実際に作業現場20における作業を開始する前に、作業前の見積もり処理を実施する。例えば、騒音監視装置1は、過去のノイズマップを取得する。ノイズマップは、作業現場20のCAD(Computer Aided Design)図の上に、騒音規制の情報にしたがって、騒音の強弱分布を色分けして表示する画像である。騒音規制は、国や会社により定められた基準であり、作業員Pの一日のある騒音レベルにおける作業時間が定められている。ノイズマップは、作業員Pの安全衛生保護のために事前のリスクアセスメントに用いられる。
【0016】
次に、騒音監視装置1は、過去のノイズマップを携帯端末2に表示させ作業員Pから入力される作業情報を用いて作業員Pの作業後の騒音暴露量の見積もりを算出し、騒音暴露量が許容範囲となるように作業予定を作業員Pに決定させる。ここで、騒音暴露量とは、所定期間に受けた騒音暴露の積算値である。所定の期間とは、例えば、特定の作業位置における作業期間であってもよいし、作業全体の期間であっても良いし、24時間など特定期間などでもよい。また、騒音暴露量の許容範囲とは、騒音規制による騒音暴露量の制約であり、例えば、過去24時間に85-90dBAの騒音量測定値Lを8時間受けた場合が上限値となる。
【0017】
また、騒音監視装置1は、作業員Pによる作業現場20における作業中に、騒音暴露監視処理を実施する。例えば、騒音監視装置1は、実際の作業中に取得される騒音量測定値や位置情報等を基に、作業員Pの作業時点での実際の騒音量暴露量を算出する。そして、騒音暴露量が騒音規制の許容範囲内であれば、作業員Pに作業を継続させ、騒音暴露量が許容範囲を超えた場合、作業員Pに作業の中断の通知を携帯端末2へ送信して作業員Pの作業を中断させる。
【0018】
設置型騒音計21及び22は、作業現場20に固定されて配置された騒音計である。設置型騒音計21及び22は、騒音を測定する機能を有する。設置型騒音計21及び22は、作業現場20に複数設置される。ここでは、一例として設置型騒音計21及び22としたが、この数には特に制限はない。設置型騒音計21及び22は、作業現場20の騒音を測定し、タイムスタンプ116ととともに騒音量測定値を無線又は有線で上位通信システム3を介して騒音監視装置1へ送信する。
【0019】
携帯端末2は、スマートフォンやタブレット等の端末装置である。携帯端末2は、作業員Pにより身に付けられて、作業現場20に持ち込まれる。携帯端末2は、作業中も作業員Pに身に付けられる。携帯端末2は、GPS(Global Positioning System)等を用いて定期的に位置情報を取得して、上位通信システム3を介して騒音監視装置1に送信する。また、携帯端末2は、作業前の見積もり処理において、騒音監視装置1から送信されたノイズマップ等を用いて作業計画の入力画面を作業員Pに提供する。また、携帯端末2は、作業中に騒音監視装置1から送信された騒音暴露情報をブラウザーやアプリケーションを用いて画面に表示して、作業員Pに騒音暴露情報を通知する。さらに、携帯端末2は、光、音又は振動等で作業員Pにアラームを伝えることができる機能を有する。
【0020】
(騒音監視装置)
図2は、実施の形態に係る騒音監視装置のブロック図である。次に、図2を参照して、騒音監視装置1の詳細について説明する。騒音監視装置1は、図2に示すように、ノイズマップ生成部101、騒音暴露量計算部102、情報管理部103、通信制御部104及び記憶部110を有する。
【0021】
記憶部110は、ベースマップ111、騒音規制情報112、騒音暴露履歴情報113、ノイズマップ蓄積情報114、作業員ID(Identifier)115、タイムスタンプ116、騒音量測定値117、位置情報118及び作業情報119を格納する。
【0022】
ベースマップ111は、作業現場20を例えば所定サイズの格子状に分割し、格子の各交点で測定した騒音量測定値を、作業現場20を表すマップの対応する交点上に配置したデータである。ベースマップ111は、騒音監視装置1の管理者等により作成されて予め記憶部110に格納される。
【0023】
騒音規制情報112は、騒音規制等により決定される騒音の許容範囲を示す情報である。騒音規制情報112には、瞬間での騒音量の上限値及び一定期間における騒音暴露量の許容範囲を示す騒音暴露量制限の情報が含まれる。図3は、騒音暴露量制限の情報の一例を示す図である。例えば、記憶部110は、騒音暴露量制限120として図3に示すテーブルを保持する。図3に示す騒音暴露量制限120では、例えば、過去24時間以内に90~95dBAの騒音量測定値を4時間受けた場合が上限値であり、また、過去24時間以内に85~90dBAの騒音量測定値を4時間受けた場合が上限値である。騒音量の上限値及び騒音暴露量制限120を含む騒音規制情報112は、騒音監視装置1の管理者等により入力された情報が予め記憶部110に格納される。
【0024】
騒音暴露履歴情報113は、過去24時間以内における作業員Pに対する騒音暴露量の情報である。騒音暴露履歴情報113は、騒音暴露量計算部102により算出された騒音暴露量にしたがって、情報管理部103により記憶部110に登録される。騒音暴露履歴情報113は、例えば、作業員Pの過去24時間の時間毎の騒音暴露量が登録されてもよい。作業員Pを含む作業者が複数いる場合には、各作業者のIDに対応付けて各人の騒音履歴が、記憶部110に格納される。
【0025】
ノイズマップ蓄積情報114は、過去に生成されたノイズマップが蓄積された情報である。ノイズマップ蓄積情報114には、ノイズマップ生成部101により生成されたノイズマップが記憶部110に蓄積される。例えば、ノイズマップ蓄積情報114は、各ノイズマップとそのノイズマップが作成された作成日時とを対応させて情報管理部103により登録される。
【0026】
作業員ID115は、作業員Pの識別情報である。作業員ID115は、騒音監視装置1の作業前の見積もり処理を利用する作業員Pにより携帯端末2等を用いて入力されて、情報管理部103により記憶部110に格納される。
【0027】
タイムスタンプ116、騒音量測定値117及び位置情報118は、作業員Pの作業現場20における作業中に得られる情報である。タイムスタンプ116は、騒音量測定値117及び位置情報118のそれぞれの取得時刻である。それぞれのタイムスタンプ116は、取得された騒音量測定値117及び位置情報118に対応付けられて格納される。
【0028】
騒音量測定値117は、作業中に設置型騒音計21及び22により測定された騒音量測定値である。騒音量測定値117は、タイムスタンプ116とともに設置型騒音計21及び22から上位通信システム3を介して騒音監視装置1へ送信され、情報管理部103により記憶部110に格納される。
【0029】
位置情報118は、作業中の作業現場20における作業員Pの位置である。位置情報118は、例えば、作業中に作業員Pが保持する携帯端末2によりGPS等を用いて計測される。そして、位置情報118は、タイムスタンプ116とともに携帯端末2から上位通信システム3を介して騒音監視装置1へ送信され、情報管理部103により記憶部110に格納される。
【0030】
作業情報119は、作業位置、各作業位置での滞在時間及び作業位置間の動線が含まれる。作業情報119のうち作業位置及び各作業位置での滞在時間は、作業前の見積もり処理において、作業員Pにより携帯端末2を用いて入力される情報である。作業情報119は、作業前に作業員Pが保持する携帯端末2から上位通信システム3を介して騒音監視装置1へ送信され、情報管理部103により記憶部110に格納される。また、作業情報119の作業位置間の騒音暴露量計算部102により算出される情報である。
【0031】
通信制御部104は、上位通信システム3に接続される。通信制御部104は、上位通信システム3を介して携帯端末2から受信した情報を情報管理部103へ出力する。また、通信制御部104は、上位通信システム3を介して設置型騒音計21及び22から受信した騒音量測定値を情報管理部103へ出力する。
【0032】
また、通信制御部104は、ノイズマップ生成部101から入力された情報を、上位通信システム3を介して携帯端末2へ送信する。また、通信制御部104は、騒音暴露量計算部102から入力された情報を、上位通信システム3を介して携帯端末2へ送信する。
【0033】
このように、実際には通信制御部104を介して、騒音監視装置1の各部と携帯端末2並びに設置型騒音計21及び22との間の通信が行われるが、以下の説明では、通信制御部104による中継を省略して説明する場合がある。
【0034】
情報管理部103は、設置型騒音計21及び22から定期的にタイムスタンプ116とともに入力される騒音量測定値117を取得する。そして、情報管理部103は、タイムスタンプ116とともに騒音量測定値117を記憶部110に格納する。
【0035】
また、情報管理部103は、作業前の見積もり処理において、作業員Pにより入力された作業員ID115を携帯端末2から受信する。そして、情報管理部103は、作業員ID115を記憶部110に格納する。また、情報管理部103は、作業位置及び各作業位置での滞在時間を携帯端末2から受信する。そして、情報管理部103は、受信した作業位置及び各作業位置での滞在時間の情報を作業情報119として記憶部110に格納する。
【0036】
また、情報管理部103は、作業員Pによる作業現場20での作業中における騒音暴露監視処理において、携帯端末2から送られてきた作業員Pの位置情報118を取得する。そして、情報管理部103は、作業員Pの位置情報118を記憶部110に格納する。また、情報管理部103は、ノイズマップ生成部101により生成されたノイズマップを取得する。そして、情報管理部103は、取得したノイズマップにタイムスタンプ116を付加してノイズマップ蓄積情報114として記憶部110に格納させる。
【0037】
ノイズマップ生成部101は、作業前の見積もり処理において、作業現場20で作業員Pが作業を行う作業環境に類似する過去のノイズマップの指定を管理者等から受ける。過去のノイズマップが、作業領域中に設置された複数の設置型騒音計21及び22により測定された騒音量測定値に基づいて予め生成された作業領域中におけるノイズマップにあたる。例えば、同じ曜日であれば作業現場20における作業環境が類似と考えられる場合、ノイズマップ生成部101は、作業員Pが作業を行う曜日と同じ曜日の作業現場20における過去のノイズマップの取得の指示を管理者から受ける。そして、ノイズマップ生成部101は、指定された過去のノイズマップを記憶部110に格納されたノイズマップ蓄積情報114から取得する。その後、ノイズマップ生成部101は、取得した過去のノイズマップを携帯端末2へ送信して画面に表示させる。
【0038】
図4は、作業情報の入力画面の一例を示す図である。例えば、ノイズマップ生成部101は、図4に示す携帯端末2の入力画面200に作業現場20のノイズマップ202を表示させる。設置型騒音計220は、設置型騒音計21及び22にあたる。ここで、設置型騒音計220は、ノイズマップ202において10個が配置されているが、作業現場20の大きさや騒音量に応じて適当な数が配置されることが好ましい。図4の騒音分布は5dBA刻みでバターン分けされている。また、点線で囲まれた領域は装置や建屋であって、作業員Pが移動できない領域である。
【0039】
また、作業員Pによる作業現場20での作業中における騒音暴露監視処理において、ノイズマップ生成部101は、ベースマップ111、騒音規制情報112及びタイムスタンプ116が付された騒音量測定値117を記憶部110から取得する。そして、ノイズマップ生成部101は、タイムスタンプ116に示される時刻毎に、ベースマップ111、騒音規制情報112及び騒音量測定値117を用いてノイズマップを生成する。例えば、ノイズマップ生成部101は、図3に示した騒音暴露量制限120にしたがってノイズマップを生成する。その後、ノイズマップ生成部101は、生成したノイズマップを騒音暴露量計算部102へ出力する。また、ノイズマップ生成部101は、生成したノイズマップを携帯端末2へ送信して画面に表示させる。
【0040】
騒音暴露量計算部102は、作業前の見積もり処理において、作業員Pに入力を促す案内文を携帯端末2へ送信して画面に表示させる。例えば、騒音暴露量計算部102は、図4の入力画面200上に、案内文201を表示させる。さらに、騒音暴露量計算部102は、開始地点である点221は固定の点として入力画面200に表示させ、且つ、作業時間を0分、作業位置の番号を0とする。作業員Pは、入力画面200の案内文201にしたがって、次の予定の作業位置をノイズマップ202上で指定して、作業位置の情報を入力する。
【0041】
騒音暴露量計算部102は、作業員Pにより指定された作業位置を記憶部110に格納された作業情報119から取得する。例えば、騒音暴露量計算部102は、開始地点である点221の次の作業位置として点222の入力を受ける。この際、本実施の形態では、騒音暴露量計算部102は、指定された作業位置を白丸で表示し他の作業位置は黒丸で表示する。図4は、開始地点である点221が指定された状態を表す。また、騒音暴露量計算部102は、本実施の形態では作業位置について指定された順に連番で番号を振る。
【0042】
そして、騒音暴露量計算部102は、指定された作業位置における作業情報119を入力するためのポップアップメニューを携帯端末2へ送信して画面に表示させる。例えば、騒音暴露量計算部102は、図4の入力画面200上に、指定された作業位置に関するポップアップメニュー204を表示させる。例えば、ポップアップメニュー204に示すように、騒音暴露量計算部102は、指定された作業位置である点221の情報を表示して、点221での滞在時間である作業予定時間を入力させる。作業員Pは、ポップアップメニューを用いて作業予定時間を入力する。
【0043】
その後、騒音暴露量計算部102は、作業員Pによりポップアップメニューを用いて入力された指定された作業位置における滞在時間を記憶部110に格納された作業情報119から取得する。また、騒音暴露量計算部102は、指定された作業位置までの1つ前に指定された作業位置からの動線を決定する。騒音暴露量計算部102は、例えば、作業現場20のCAD図等により通路情報及び移動できない場所の情報を取得する。そして、騒音暴露量計算部102は、1つ前に指定された作業位置から指定された作業位置までの通路を通り且つ移動できない場所を迂回する道のりの中で最短距離となる道のりを特定する。この道のりの算出方法は他の方法でもよく、例えば、騒音暴露量計算部102は、通路の中央を通り且つ移動できない場所から所定距離離れた位置を通過する経路を道のりとして特定してもよい。そして、騒音暴露量計算部102は、特定した道のりを指定された作業位置までの1つ前に指定された作業位置からの動線とする。騒音暴露量計算部102は、作業位置として点221の後に点222が選択された場合、動線223を決定する。また、騒音暴露量計算部102は、複数回行き来が発生する動線については、印224のように往復を表す記号を付加する。
【0044】
そして、騒音暴露量計算部102は、指定された作業位置及びその作業位置への動線における暴露時間を算出する。次に、騒音暴露量計算部102は、指定された作業位置及びその作業場位置への動線における騒音レベルでの最大許容暴露時間を騒音規制情報112から取得する。そして、騒音暴露量計算部102は、指定された作業位置及びその作業位置への動線における暴露時間を最大許容暴露時間で除算して騒音暴露量を算出する。このように、騒音暴露量計算部102は、作業計画で指定された作業位置間の動線を特定して、動線における騒音量測定値を基に、騒音暴露量の見積もりを算出する。
【0045】
そして、騒音暴露量計算部102は、作業毎の騒音暴露量及び累計の騒音暴露量を示す騒音暴露量の見積もり表を携帯端末2へ送信して画面に表示させる。例えば、騒音暴露量計算部102は、図4の入力画面200上に、騒音暴露量の見積もり表203を表示させる。騒音暴露量の見積もり表203において、「作業毎の騒音暴露量(%)」は各作業位置における騒音暴露量(Dn)を示す。例えば、騒音暴露量計算部102は、点222の作業位置の騒音暴露量として、点221と点222とを結ぶ動線223での騒音暴露量と点222での騒音暴露量とを示す。そして、騒音暴露量計算部102は、最初の作業位置から最も新しく指定された作業位置までの各作業位置での騒音暴露量及び累積の騒音暴露量を騒音暴露量の見積もり表203に表示する。
【0046】
ここで、作業員Pの騒音暴露履歴情報113が記憶部110に格納されている場合、騒音暴露量計算部102は、作業員Pの騒音暴露履歴情報113を記憶部110から取得する。そして、騒音暴露量計算部102は、累積の騒音暴露量の算出において、騒音暴露履歴情報113から得た24時間以内の騒音暴露量に各作業位置での騒音暴露量を加算して累積の騒音暴露量を算出する。
【0047】
騒音暴露量計算部102は、作業位置毎に騒音暴露量の算出及び騒音暴露量の見積もり表の作成及び携帯端末2への送信を繰り返す。例えば、各作業位置での騒音暴露量をt1~tnとして、各作業位置での最大許容暴露時間をT1~Tnとすると、騒音暴露量計算部102は、以下の数式(1)により累積の騒音暴露量を算出する。
【0048】
【数1】
【0049】
累積の騒音暴露量が100%を超えた場合、作業員Pの騒音暴露量が許容範囲を超えたことを意味する。本実施の形態では、累積の騒音暴露量が100%を超えた場合、騒音暴露量計算部102は、許容範囲越えのアラームを携帯端末2へ送信して表示させ、作業員Pに対して作業計画の再設定を促す。
【0050】
累積の騒音暴露量が許容範囲内に収まるように作業計画の策定が完了すると、騒音暴露量計算部102は、作業計画策定完了の通知を携帯端末2から受信する。そして、騒音暴露量計算部102は、作業計画策定完了の通知を受けると、作業開始の指示を携帯端末2へ送信して、作業員Pに作業開始指示を通知する。
【0051】
作業員Pは、騒音暴露の見積もり表を参照することで、計画した作業予定での作業毎の騒音暴露量及び累計の騒音暴露量を把握することができる。そして、作業員Pは、騒音暴露量が許容範囲を超えないように作業計画の策定を行う。ここで、以上の説明では、作業員Pが作業計画を立案する場合で説明したが、これに限らず、プラントマネージャー等の管理者が作業計画の立案を行ってもよい。
【0052】
一方、作業員Pによる作業現場20での作業中における騒音暴露監視処理において、騒音暴露量計算部102は、タイムスタンプ116とともに、作業員Pの位置情報118を記憶部110から取得する。また、作業員Pの騒音暴露履歴情報113が記憶部110に格納されている場合、騒音暴露量計算部102は、作業員Pの騒音暴露履歴情報113を記憶部110から取得する。そして、騒音暴露量計算部102は、作業員Pの位置情報を携帯端末2に送信して画面に表示されたノイズマップ上に作業員Pの位置を表示させる。
【0053】
次に、騒音暴露量計算部102は、作業中の作業員Pの時刻毎の作業現場20における位置を基に、ノイズマップ生成部101により作成されたその時点でのノイズマップを用いて実際の作業中に被った騒音暴露量を算出する。そして、騒音暴露量計算部102は、騒音暴露履歴情報113及び算出した作業中の騒音暴露量を用いて、作業員Pの現在の騒音暴露量を算出する。
【0054】
そして、騒音暴露量計算部102は、作業員Pの現在の騒音暴露量が許容範囲内か否かを判定する。作業員Pの現在の騒音暴露量が閾値を超えた場合、騒音暴露量計算部102は、作業員Pの作業の中断を決定して、作業を中断する旨の通知を携帯端末2へ送信して、作業員Pに作業を中断させる。閾値は、騒音規制から決定される許容範囲でもよいし、許容範囲未満の値でもよい。さらに、騒音暴露量計算部102は、閾値を複数設けて、閾値毎に段階的に警告を発し、最終的な閾値を超えた時点で作業の中断を通知してもよい。
【0055】
これに対して、作業員Pの現在の騒音暴露量が許容範囲内の場合、騒音暴露量計算部102は、そのまま作業員Pに作業を継続させる。この際、騒音暴露量計算部102は、その時点での作業員Pの位置の騒音レベルを用いて作業員Pの残りの暴露時間を算出する。そして、騒音暴露量計算部102は、作業員Pの騒音暴露量、残りの暴露時間及び騒音量測定値を携帯端末2へ送信して、図5に示すような騒音暴露情報表示画面を表示させる。図5は、騒音暴露情報表示画面の一例を示す図である。騒音暴露量計算部102は、作業が完了するまで、次の時刻の騒音暴露量の算出を繰り返す。
【0056】
(騒音監視処理の全体の流れ)
図6は、実施の形態に係る騒音監視装置による騒音監視処理の全体を示すフローチャートである。次に、図6を参照して、本実施の形態に係る騒音監視装置1による騒音監視処理の全体の流れを説明する。
【0057】
騒音監視装置1は、作業員Pの作業現場20における作業についての作業前の見積もり処理を実行する(ステップS1)。
【0058】
次に、騒音監視装置1は、作業員Pの作業現場20での作業開始後に、作業員Pの実際の騒音暴露量を算出する騒音暴露監視処理を実行する(ステップS2)。
【0059】
(作業前見積もり処理の流れ)
図7は、実施の形態に係る騒音監視装置による作業前見積もり処理のフローチャートである。次に、図7を参照して、本実施の形態に係る騒音監視装置1による作業前見積もり処理の流れを説明する。図7に示したフローにおける各処理は、図6のステップS1で実行される処理の一例にあたる。
【0060】
騒音暴露量計算部102は、その時点での騒音量測定値117を記憶部110から取得する(ステップS101)。
【0061】
次に、騒音暴露量計算部102は、設置型騒音計21及び22により測定された作業現場20におけるその時点での騒音規制情報112を記憶部110から取得する。そして、騒音暴露量計算部102は、その時点での騒音量測定値117が騒音量の上限値未満か否かを判定する(ステップS102)。
【0062】
その時点での騒音量測定値117が騒音量の上限値を超えている場合(ステップS102:否定)、騒音暴露量計算部102は、作業現場20での作業不可と判定して、作業不可の情報を携帯端末2へ送信して作業員Pに通知する(ステップS103)。この場合、騒音暴露量計算部102は、作業前の見積もり処理を終了する。
【0063】
これに対して、その時点での騒音量測定値117が騒音量の上限値未満の場合(ステップS102:肯定)、騒音暴露量計算部102は、作業員Pの作業員ID115を取得する。次に、騒音暴露量計算部102は、作業員Pの作業員ID115に対応する騒音暴露履歴情報113を記憶部110から取得する(ステップS104)。
【0064】
そして、騒音暴露量計算部102は、作業員Pのその時点での騒音暴露量が許容範囲内であるか否かを判定する(ステップS105)。
【0065】
作業員Pのその時点での騒音暴露量が許容範囲を超えている場合(ステップS105:否定)、騒音暴露量計算部102は、作業員Pの作業開始可能時刻を算出する。そして、騒音暴露量計算部102は、算出した作業開始可能時刻を携帯端末2へ送信して作業員Pに通知する(ステップS106)。この場合、騒音暴露量計算部102は、作業前の見積もり処理を終了する。
【0066】
これに対して、作業員Pのその時点での騒音暴露量が許容範囲内の場合(ステップS105:肯定)、ノイズマップ生成部101は、指定された過去のノイズマップを記憶部110に格納されたノイズマップ蓄積情報114から取得する(ステップS107)。
【0067】
ノイズマップ生成部101は、取得した過去のノイズマップを携帯端末2へ送信して画面に表示させる。騒音暴露量計算部102は、携帯端末2に表示されたノイズマップを用いて騒音暴露量の見積もりを実行する(ステップS108)。
【0068】
その後、騒音暴露量計算部102は、作業開始の指示を携帯端末2へ送信して、作業員Pに作業開始指示を通知する(ステップS109)。
【0069】
(騒音暴露量の見積もり処理の流れ)
図8は、実施の形態に係る騒音監視装置による騒音暴露量の見積もり処理のフローチャートである。次に、図8を参照して、本実施の形態に係る騒音監視装置1による騒音暴露量の見積もり処理の流れを説明する。図8に示したフローにおける各処理は、図7のステップS108で実行される処理の一例にあたる。
【0070】
ノイズマップ生成部101は、取得した過去のノイズマップを携帯端末2へ送信して画面に表示させる(ステップS201)。
【0071】
次に、騒音暴露量計算部102は、携帯端末2の画面に表示されたノイズマップ上で選択された作業位置の情報を記憶部110から取得する(ステップS202)。
【0072】
次に、騒音暴露量計算部102は、指定された作業位置における作業情報119を入力するためのポップアップメニューを携帯端末2へ送信して画面に表示させる。その後、騒音暴露量計算部102は、作業員Pによりポップアップメニューを用いて入力された指定された作業位置における滞在時間を記憶部110に格納された作業情報119から取得する(ステップS203)。
【0073】
騒音暴露量計算部102は、指定された作業位置と1つ前の作業位置との間の動線を決定する。次に、騒音暴露量計算部102は、指定された作業位置における指定された滞在時間での騒音暴露量及びその作業位置までの動線における騒音暴露量を含む指定された作業位置における騒音暴露量を算出する。そして、騒音暴露量計算部102は、指定された作業位置における騒音暴露量を携帯端末2へ送信して画面に表示させる(ステップS204)。
【0074】
次に、騒音暴露量計算部102は、作業員Pの騒音暴露履歴情報113が存在する場合は、その過去の騒音暴露量及び各作業位置での騒音暴露量を加算して累積の騒音暴露量を算出する。そして、騒音暴露量計算部102は、累積の騒音暴露量を携帯端末2へ送信して画面に表示させる(ステップS205)。
【0075】
次に、騒音暴露量計算部102は、累積の騒音暴露量が許容範囲を超過したか否かを判定する(ステップS206)。累積の騒音暴露量が許容範囲内の場合(ステップS206:否定)、騒音暴露量計算部102は、ステップS208へ進む。
【0076】
これに対して、累積の騒音暴露量が許容範囲を超過した場合(ステップS206:肯定)、騒音暴露量計算部102は、携帯端末2にアラームを表示させて、作業計画の修正を促す(ステップS207)。
【0077】
作業計画生成処理は具体的には以下のように進行する。騒音暴露量計算部102は、作業前の見積もり処理において、作業員Pに入力を促す案内文を携帯端末2へ送信して入力画面に表示させる。さらに、騒音暴露量計算部102は、ノイズマップを入力画面に表示させ、開始地点はノイズマップ上の固定の点として入力画面に表示させ、且つ、作業時間を0分、作業位置の番号を0とする。作業員Pは、入力画面の案内文にしたがって、次の予定の作業位置をノイズマップ上で指定して、作業位置の情報を入力する。
【0078】
次に、騒音暴露量計算部102は、作業員Pにより指定された作業位置を記憶部110に格納された作業情報119から取得する。そして、騒音暴露量計算部102は、指定された作業位置における作業情報119を入力するためのポップアップメニューを携帯端末2へ送信して画面に表示させる。また、騒音暴露量計算部102は、作業位置に対して作業位置の番号を連番で割り当てて表示させる。作業員Pは、ポップアップメニューを用いて作業予定時間を入力する。
【0079】
その後、騒音暴露量計算部102は、作業員Pによりポップアップメニューを用いて入力された指定された作業位置における滞在時間を記憶部110に格納された作業情報119から取得する。また、騒音暴露量計算部102は、指定された作業位置までの1つ前に指定された作業位置からの動線を決定する。次に、騒音暴露量計算部102は、指定された作業位置及びその作業位置への動線における暴露時間を算出する。次に、騒音暴露量計算部102は、指定された作業位置及びその作業場位置への動線における騒音レベルでの最大許容暴露時間を騒音規制情報112から取得する。次に、騒音暴露量計算部102は、指定された作業位置及びその作業位置への動線における暴露時間を最大許容暴露時間で除算して騒音暴露量を算出する。そして、騒音暴露量計算部102は、作業毎の騒音暴露量及び累計の騒音暴露量を示す騒音暴露量の見積もり表を携帯端末2へ送信して入力画面に表示させる。
【0080】
ここで、作業員Pの騒音暴露履歴情報113が記憶部110に格納されている場合、騒音暴露量計算部102は、作業員Pの騒音暴露履歴情報113を記憶部110から取得する。そして、騒音暴露量計算部102は、累積の騒音暴露量の算出において、騒音暴露履歴情報113から得た24時間以内の騒音暴露量に各作業位置での騒音暴露量を加算して累積の騒音暴露量を算出する。
【0081】
騒音暴露量計算部102は、作業員Pから入力された作業位置毎に騒音暴露量の算出及び騒音暴露量の見積もり表の作成及び携帯端末2への送信を繰り返す。そして、累積の騒音暴露量が100%を超えた場合、騒音暴露量計算部102は、許容範囲越えのアラームを携帯端末2へ送信して表示させ、作業員Pに対して作業計画の再設定を促す。
【0082】
その後、騒音暴露量計算部102は、作業予定の策定完了の通知を携帯端末2から受けたか否かにより、作業予定の策定が完了したか否かを判定する(ステップS208)。作業予定の策定が完了していない場合(ステップS208:否定)、騒音暴露量計算部102は、ステップS202へ戻る。
【0083】
これに対して、作業予定の策定が完了した場合(ステップS208:肯定)、騒音暴露量計算部102は、騒音暴露量の見積もり処理を終了する。
【0084】
(騒音暴露監視処理の流れ)
図9は、実施の形態に係る騒音監視装置による騒音暴露監視処理のフローチャートである。次に、図9を参照して、本実施の形態に係る騒音監視装置1による騒音暴露監視処理の流れを説明する。図9に示したフローにおける各処理は、図6のステップS2で実行される処理の一例にあたる。
【0085】
騒音暴露量計算部102は、作業員Pからの作業開始の通知等を携帯端末2から受けて、作業開始を確認する(ステップS301)。
【0086】
次に、ノイズマップ生成部101は、ベースマップ111、騒音規制情報112、並びに、タイムスタンプ116とともに騒音量測定値117を記憶部110から取得する(ステップS302)。そして、ノイズマップ生成部101は、その時点でのノイズマップを作成して、携帯端末2へ送信して表示させる。また、ノイズマップ生成部101は、その時点でのノイズマップを騒音暴露量計算部102へ出力する。
【0087】
騒音暴露量計算部102は、タイムスタンプ116とともに作業員Pの位置情報118を記憶部110から取得する(ステップS303)。また、作業員Pの騒音暴露履歴情報113が記憶部110に格納されている場合、騒音暴露量計算部102は、作業員Pの騒音暴露履歴情報113を記憶部110から取得する。
【0088】
次に、騒音暴露量計算部102は、作業員Pの位置情報を送信して携帯端末2の画面に表示されたノイズマップ上に作業員Pの位置を表示させる(ステップS304)。
【0089】
次に、騒音暴露量計算部102は、その時点でのノイズマップ及び作業員Pの時刻毎の作業現場20における位置から実際の作業中に被った騒音暴露量を算出する。そして、騒音暴露量計算部102は、騒音暴露履歴情報113及び算出した作業中の騒音暴露量を用いて、作業員Pの現在の騒音暴露量を算出する。その後、騒音暴露量計算部102は、作業員Pの現在の騒音暴露量を携帯端末2へ送信して表示させる(ステップS305)。
【0090】
次に、騒音暴露量計算部102は、作業員Pの現在の騒音暴露量が許容範囲内か否かを判定する(ステップS306)。
【0091】
作業員Pの現在の騒音暴露量が許容範囲を超えた場合(ステップS306:否定)、騒音暴露量計算部102は、作業員Pの作業の中断を決定して、作業を中断する旨の通知を携帯端末2へ送信して、作業員Pに作業を中断させる(ステップS307)。この場合、騒音暴露量計算部102は、騒音暴露監視処理を終了する。
【0092】
これに対して、作業員Pの現在の騒音暴露量が許容範囲内の場合(ステップS306:肯定)、騒音暴露量計算部102は、作業員Pに作業継続を決定して、作業員Pにそのまま作業を継続させる(ステップS308)。
【0093】
その後、騒音暴露量計算部102は、作業員Pからの作業終了の通知を携帯端末2から受けたか否かにより、作業員Pの作業が完了したか否かを判定する(ステップS309)。作業が完了していない場合(ステップS309:否定)、騒音暴露量計算部102は、ステップS303へ戻る。
【0094】
これに対して、作業が完了した場合(ステップS309:肯定)、騒音暴露量計算部102は、騒音暴露監視処理を終了する。
【0095】
(効果)
以上に説明したように、本実施の形態に係る騒音監視装置は、過去のノイズマップ及び作業計画の入力を受けて、作業計画における累計の騒音暴露量を算出して作業員に通知する。これにより、作業員は、適切な作業計画を容易に策定することが可能となる。したがって、作業の安全性を向上させることが可能となる。
【0096】
また、従来の騒音対策技術では、作業計画にしたがって作業した場合に騒音暴露量が騒音規制等による許容範囲を超えるか否かの判断が難しく、適切な作業計画の立案が困難であった。このように、騒音規制に応じた適切な作業計画の立案が、従来の騒音対策技術では難しく、騒音の大きい環境下で働く作業員の作業の安全性を向上させることは困難であった。これに対して、本実施の形態に係る騒音監視装置は、累計の騒音暴露量が騒音規制等による許容範囲を超えた場合に、アラートなどを発して作業計画の修正を促す。これにより、作業員は、騒音規制等による許容範囲に騒音暴露量が収まるように作業計画を立案することができ、作業の安全性を向上させることが可能となる。
【0097】
また、従来の騒音対策技術では、作業時間中に騒音量測定値が変化しても、変化した騒音量測定値に基づいた騒音暴露量の計算は行われない。騒音変化としては、作業位置の近くの機器設備の運転状況や出力によるものが挙げられる。さらに、従来の騒音対策技術において、作業開始前に決めた作業時間は、作業前に確認した時点でのノイズマップに基づき算出される。そのため、作業中に騒音変化によるノイズマップの変化が発生しても、実体の騒音暴露量を正しく把握することは困難である。そのため、実際の騒音が作業前に確認した騒音より大きければ作業員への騒音暴露は騒音規制等が定めた基準を超える可能性がある。一方、実際の騒音が作業前に確認した騒音より小さければ、作業現場に滞在可能な時間が長くなり作業時間を増やすことが実際には可能であるが、従来の騒音対策技術では作業時間の延長は困難であり、生産性を向上させることは困難である。
【0098】
これに対して、本実施の形態に係る騒音監視装置は、設置型騒音計が測定した作業現場の騒音量測定値、タイムスタンプの情報、作業員の携帯端末が送信する位置情報、及び、定期更新による暴露時間の長さを基に、作業員が受ける騒音暴露情報を計算して、作業員に提供する。これにより、本実施の形態に係る騒音監視装置は、騒音の大きい環境下で働く作業員の騒音暴露量を作業経過にしたがって算出して提供することで、作業中の作業員に対する騒音暴露量を可視化することができ、作業の安全性を向上させることが可能となる。
【0099】
また、本実施の形態に係る騒音監視装置は、作業中の実際の騒音暴露量が許容範囲を超えた場合に、作業中断の通知を作業員に送ることで、健康被害が発生する前に作業の継続と中断を判断でき、安全性に加えて作業の計画性を高めることが可能となる。さらに、本実施の形態に係る騒音監視装置を使用した場合、作業員は騒音計を持ち歩かずに済むため、作業員の手間を軽減でき騒音監視による作業への負担を軽くすることが可能となる。
【0100】
また、ポータブル騒音計を使用して騒音暴露量を算出する技術では、現場での騒音暴露を知るために、ポータブル騒音計を現場に持っていき測定しなければならない。そのため、作業員はポータブル騒音計を携帯する手間が生じ、本来の作業に少なからず支障を与えるおそれがあり、作業の安全性を十分に確保することは困難であった。これに対して、本実施の形態に係る騒音監視装置は、ポータブル騒音計の携行は不用であり、ポータブル騒音計を携帯する手間を削減することができ、作業の安全性を十分に確保することが可能となる。
【0101】
(変形例)
次に、実施の形態の変形例について説明する。以下では、変形例をいくつか挙げる。
【0102】
騒音監視装置1は、作業終了後に、作業後の検証を行ってもよい。例えば、騒音監視装置1は、作業前の見積もり処理及び実際の作業中の騒音暴露監視処理を実施した後に、騒音暴露監視処理により得られた作業員Pが受けた騒音暴露の情報を用いて検証を行う。これにより、騒音監視装置1は、今回の作業中に得られた作業員Pが受けた騒音暴露の情報を今後の類似作業の見積もりに活用することができる。
【0103】
図10は、変形例に係る騒音監視装置のブロック図である。本変形例に係る騒音監視装置1は、実施の形態で説明した各部に加えて、検証部105を有する。以下の説明では、実施の形態と同様の各部の処理については説明を省略する。
【0104】
記憶部110は、騒音暴露量情報150及び過去の騒音暴露情報151を格納する。騒音暴露量情報150は、作業前の騒音暴露量の見積もり及び作業中における実際の騒音暴露量を含む。過去の騒音暴露情報151は、騒音暴露量計算部102が以前に算出した作業中の作業員Pに対する実際の騒音暴露量が蓄積された情報である。
【0105】
騒音暴露量計算部102は、作業前の見積もり処理において、作業員Pから入力された作業計画を基に、過去の類似する作業環境における類似の作業において算出した騒音暴露量を過去の騒音暴露情報151から取得する。以下では、過去の類似する作業環境における類似の作業を、「過去の類似作業」と呼ぶ。次に、騒音暴露量計算部102は、過去の類似作業における騒音暴露量の平均を用いて騒音暴露量の見積もりを算出する。例えば、騒音暴露量計算部102は、作業計画を基に算出した騒音暴露量に、過去の類似作業における騒音暴露量の平均を用いて補正を加える等して騒音暴露量の見積もりを算出してもよい。また、騒音暴露量計算部102は、各作業位置での類似する作業毎の騒音暴露量の平均を用いて各作業位置での騒音暴露量を補正し、それらを用いて騒音暴露量の見積もりを算出してもよい。
【0106】
そして、騒音暴露量計算部102は、騒音暴露量の見積もりを作業員Pに提示するとともに記憶部110に騒音暴露量情報150として格納する。また、騒音暴露量計算部102は、作業中に算出した騒音暴露量を記憶部110に騒音暴露量情報150として格納する。また、騒音暴露量計算部102は、検証部105による検証終了後に、作業中に算出した騒音暴露量を過去の騒音暴露情報151に追加して記憶部110に格納する。
【0107】
検証部105は、騒音監視処理終了後に、騒音暴露量情報150を記憶部110から取得する。そして、検証部105は、騒音暴露量情報150に含まれる騒音暴露の見積もりと作業中に算出された騒音暴露量との比較を行う。そして、検証部105は、騒音暴露の見積もりと作業中に算出された騒音暴露量との乖離により、作業後に騒音暴露量の見積もりの精度が向上したかを評価して、評価結果を管理者に提供する。
【0108】
これにより、管理者は、騒音暴露量の見積もりの精度が向上しているか否かを確認することができる。したがって、作業の安全性を向上させることが可能となる。
【0109】
図11は、変形例に係る騒音監視装置による騒音監視処理の全体を示すフローチャートである。次に、図11を参照して、変形例に係る騒音監視装置1による騒音監視処理の全体の流れを説明する。
【0110】
騒音監視装置1は、作業員Pの作業現場20における作業についての作業前の見積もり処理を実行する(ステップS11)。
【0111】
次に、騒音監視装置1は、作業員Pの作業現場20での作業開始後に、作業員Pの実際の騒音暴露量を算出する騒音暴露監視処理を実行する(ステップS12)。
【0112】
次に、騒音監視装置1は、作業員Pの作業現場20での作業終了後に、作業後の検証処理を実行する(ステップS13)。
【0113】
図12は、変形例に係る騒音監視装置による作業後の検証処理のフローチャートである。次に、図12を参照して、変形例に係る騒音監視装置1による作業後の検証処理の流れの一例を説明する。
【0114】
検証部105は、作業終了を確認する(ステップS401)。ここで、検証部105は、作業終了の通知を携帯端末2から受信しても良いし、騒音暴露量計算部102から通知を受けてもよい。
【0115】
次に、検証部105は、騒音暴露量情報150を記憶部110から取得する(ステップS402)。
【0116】
次に、検証部105は、騒音暴露量情報150に含まれる騒音暴露の見積もりと作業中に算出された騒音暴露量とを比較して検証を実行する(ステップS403)。
【0117】
騒音暴露量計算部102は、作業中に算出した騒音暴露量を過去の騒音暴露情報151に追加して記憶部110に格納する(ステップS404)。
【0118】
また、騒音監視システム100では、作業時に作業員Pにハンドヘルド騒音計を持たせてもよい。そして、騒音監視装置1は、作業前の見積もり処理時と作業時の騒音暴露監視処理時とで騒音量測定値の優先度を騒音計間で異ならせてもよい。
【0119】
例えば、騒音暴露量計算部102は、作業前の見積もり処理では設置型騒音計21及び22で得られる騒音量測定値を優先して騒音暴露量を計算する。一方、作業時には、騒音暴露量計算部102は、ハンドヘルド騒音計で得られる騒音量測定値の情報を優先して騒音暴露量を計算する。
【0120】
これにより、騒音暴露量の計算に用いる騒音量測定値の測定精度を向上させることができる。したがって、騒音暴露量の計算精度を向上させることができ、作業の安全性を向上させることが可能となる。
【0121】
また、作業員Pが保持する携帯端末2は、騒音監視装置1から送信される騒音暴露量、残りの暴露時間及び騒音量測定値等の騒音暴露情報以外に、計器室等からメッセージを受け取ってもよい。この場合、携帯端末2は、一方的なメッセージを受信可能とすることができる。
【0122】
これにより、作業員Pは、携帯端末2を確認することで、機器や設備の運転状況や周囲温度等の計器室にいないと把握することが困難な情報を確認することができる。他にも、作業員Pは、携帯端末2により作業指示を受け取ることが可能となる。したがって、作業員Pは、作業の安全性に関わる情報をより細かく手に入れることができ、作業の安全性を向上させることが可能となる。
【0123】
また、作業員Pに保持させる携帯端末2の機能を限定してもよい。限定された機能を有する携帯端末2を作業員Pに使用させることで、携帯端末2を軽量かつ小型化できる。また、携帯端末2の消費電力が抑えることができ、携帯端末2の充電回数を減らすことができる。
【0124】
例えば、携帯端末2における騒音見積もりの表示を制限してもよい。この場合、例えば、騒音監視装置1を用いて管理者などが騒音見積もりを実施する。他にも、図5に示すように、ノイズマップの携帯端末2への表示を制限してもよい。このように、騒音見積もりの表示の制限やノイズマップの表示の制限により、携帯端末2の消費電力を抑えることができ、携帯端末2の充電回数を減らすことができる。
【0125】
また、実施の形態では位置情報の測定方法としてGPSを用いる例を説明したが、騒音監視システム100は、作業員Pの位置を特定する際に、作業現場20に設置されたカメラを用いてもよい。また、騒音監視システム100は、GPSとカメラとを組み合わせて作業員Pの位置を特定してもよい。例えば、騒音監視システム100において複数カメラにノイズマップを生成する作業現場20の全エリアをカバーさせることで、騒音監視装置1は、作業員Pの位置を高精度にトレース及び特定できる。他にも、カメラを用いることで、管理者は作業の長さの目安や活動範囲を確認することができ、騒音監視装置1は、管理者から入力されたそれらの情報を保持することで、他の類似作業に活用することが可能である。さらに、カメラにより撮影された画像は、災害が起きた際の行方確認にも利用可能である。
【0126】
(システム)
上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0127】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散や統合の具体的形態は図示のものに限られない。つまり、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
【0128】
さらに、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPU(Central Processing Unit)および当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【0129】
(ハードウェア)
次に、騒音監視装置1のハードウェア構成例を説明する。図13は、騒音監視装置のハードウェア構成図である。図13に示すように、騒音監視装置1は、プロセッサ91、メモリ92、HDD(Hard Disk Drive)93及び通信装置94を有する。また、プロセッサ91は、バスを介してメモリ92、HDD93及び通信装置94と接続される。
【0130】
通信装置94は、ネットワークインタフェースカード等であり、他の情報処理装置との通信に使用される。例えば、通信装置94は、設置型騒音計21及び22や携帯端末2と騒音監視装置1との間の通信を中継する。
【0131】
HDD93は、補助記憶装置である。HDD93は、記憶部110の機能を実現する。また、HDD93は、ノイズマップ生成部101、騒音暴露量計算部102、情報管理部103、通信制御部104及び検証部105の機能を実現するためのプログラムを含む各種プログラムを格納する。
【0132】
プロセッサ91は、HDD93に格納された各種プログラムを読み出してメモリ92に展開して実行する。これにより、プロセッサ91は、ノイズマップ生成部101、騒音暴露量計算部102、情報管理部103、通信制御部104及び検証部105の機能を実現する。
【0133】
このように、騒音監視装置1は、プログラムを読み出して実行することで各種処理方法を実行する情報処理装置として動作する。また、騒音監視装置1は、媒体読取装置によって記録媒体から上記プログラムを読み出し、読み出された上記プログラムを実行することで上記した実施形態と同様の機能を実現することもできる。なお、ここでいうプログラムは、騒音監視装置1によって実行されることに限定されるものではない。例えば、他のコンピュータまたはサーバがプログラムを実行する場合や、これらが協働してプログラムを実行するような場合にも、本発明を同様に適用することができる。
【0134】
このプログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布することができる。また、このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD-ROM、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disc)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することができる。
【0135】
開示される技術的特徴の組合せのいくつかの例を以下に記載する。
【0136】
(1)
作業領域中に設置された複数の設置型騒音計により測定された騒音量測定値に基づいて予め生成された前記作業領域中におけるノイズマップを取得するノイズマップ生成部と、
前記作業領域中における作業員の作業計画を取得して、前記作業計画で指定された各作業位置及び前記作業位置毎での前記作業員の滞在時間、並びに、前記ノイズマップを基に騒音暴露量の見積もりを計算して、前記騒音暴露量の見積もりを通知する騒音暴露量計算部と
を備えたことを特徴とする騒音監視装置。
(2)
前記騒音暴露量計算部は、前記作業計画で指定された前記作業位置間の動線を特定して、前記動線における騒音量測定値を基に、前記騒音暴露量の見積もりを算出することを特徴とする(1)に記載の騒音監視装置。
(3)
前記騒音暴露量計算部は、前記騒音暴露量の見積もりが所定の許容範囲を超えた場合に、警告を通知して作業計画の修正を要求することを特徴とする(1)又は(2)に記載の騒音監視装置。
(4)
前記ノイズマップ生成部は、前記作業計画にしたがった前記作業員の作業中に、前記設置型騒音計により測定された騒音量測定値を取得して、前記取得された騒音量測定値を基に前記作業領域中における作業中のノイズマップを生成し、
前記騒音暴露量計算部は、前記作業領域中における前記作業員の位置情報を取得して、前記ノイズマップ生成部により生成された前記作業中のノイズマップ及び前記取得した位置情報を基に、前記作業員の作業中の騒音暴露量を計算して、前記作業中の騒音暴露量を通知する
ことを特徴とする(1)~(3)のいずれか一つに記載の騒音監視装置。
(5)
前記騒音暴露量計算部は、作業中に前記作業員が保持する携帯端末により測定された前記作業員の位置情報を取得することを特徴とする(4)に記載の騒音監視装置。
(6)
前記騒音暴露量計算部は、前記作業中の騒音暴露量が閾値を超えた場合に、作業の中断を通知することを特徴とする(4)又は(5)に記載の騒音監視装置。
(7)
前記騒音暴露量計算部により計算された前記騒音暴露量の見積もりと前記作業中の騒音暴露量とを比較して前記騒音暴露量の見積もりの精度の検証を行う検証部をさらに備えた
ことを特徴とする(4)~(6)のいずれか一つに記載の騒音監視装置。
(8)
騒音監視装置が、
作業領域中に設置された複数の設設置型騒音計により測定された騒音量測定値に基づいて予め生成された前記作業領域中におけるノイズマップを取得し、
前記作業領域中における作業員の作業計画を取得して、前記作業計画で指定された各作業位置及び前記作業位置毎での前記作業員の滞在時間、並びに、前記ノイズマップを基に騒音暴露量の見積もりを計算して、
前記騒音暴露量の見積もりを通知する
ことを特徴とする騒音監視方法。
(9)
作業領域中に設置された複数の設置型騒音計により測定された騒音量測定値に基づいて予め生成された前記作業領域中におけるノイズマップを取得し、
前記作業領域中における作業員の作業計画を取得して、前記作業計画で指定された各作業位置及び前記作業位置毎での前記作業員の滞在時間、並びに、前記ノイズマップを基に騒音暴露量の見積もりを計算して、
前記騒音暴露量の見積もりを通知する
処理をコンピュータに実行させることを特徴とする騒音監視プログラム。
(10)
作業領域中に設置された複数の設置型騒音計、端末装置及び騒音監視装置を有する騒音監視システムであって、
前記騒音監視装置は、
前記設置型騒音計により測定された騒音量測定値に基づいて予め生成された前記作業領域中におけるノイズマップを取得するノイズマップ生成部と、
前記端末装置を用いて入力された前記作業領域中における作業員の作業計画を取得して、前記作業計画で指定された各作業位置及び前記作業位置毎での前記作業員の滞在時間、並びに、前記ノイズマップを基に騒音暴露量の見積もりを計算して、前記騒音暴露量の見積もりを通知する騒音暴露量計算部と
を備えたことを特徴とする騒音監視システム。
【符号の説明】
【0137】
1 騒音監視装置
2 携帯端末
3 上位通信システム
10 管理室
20 作業現場
21、22 設置型騒音計
100 騒音監視システム
101 ノイズマップ生成部
102 騒音暴露量計算部
103 情報管理部
104 通信制御部
105 検証部
110 記憶部
111 ベースマップ
112 騒音規制情報
113 騒音暴露履歴情報
114 ノイズマップ蓄積情報
150 騒音暴露量情報
151 過去の騒音暴露情報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13