(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024065707
(43)【公開日】2024-05-15
(54)【発明の名称】弁装置及び温水装置
(51)【国際特許分類】
F16K 11/085 20060101AFI20240508BHJP
F16K 11/076 20060101ALI20240508BHJP
F16K 11/074 20060101ALI20240508BHJP
【FI】
F16K11/085 B
F16K11/076 B
F16K11/074 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022174703
(22)【出願日】2022-10-31
(71)【出願人】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大内 亮二
(72)【発明者】
【氏名】中山 賢一
(72)【発明者】
【氏名】森 政宏
【テーマコード(参考)】
3H067
【Fターム(参考)】
3H067AA12
3H067AA13
3H067AA23
3H067AA32
3H067BB02
3H067BB12
3H067CC04
3H067CC05
3H067CC13
3H067CC44
3H067DD03
3H067DD12
3H067DD32
3H067EA04
3H067FF02
3H067GG13
(57)【要約】
【課題】給湯される湯の温度調整が容易な弁装置を提供する。
【解決手段】弁装置は、ケースと、第1弁体及び第2弁体と、第1弁体に接続されている軸体とを備える。ケースは、弁室と、弁室に連通している第1通水口、第2通水口及び第3通水口を有する。第1弁体及び第2弁体は、弁室に配置されている。第1弁体は、軸体の中心軸回りに回転される。第2弁体は、第1弁体とともに中心軸回りに回転される。第1弁体が第1角度領域で中心軸回りに回転される際、第1通水口と第3通水口との間で流れる水の流量である第1流量及び第2通水口と第3通水口との間で流れる水の流量である第2流量は、第1弁体により変化される。第1弁体が第2角度領域で中心軸回りに回転される際、第2流量は、第2弁体により変化される。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースと、
第1弁体及び第2弁体と、
前記第1弁体に接続されている軸体とを備え、
前記ケースは、弁室と、前記弁室に連通している第1通水口、第2通水口及び第3通水口を有し、
前記第1弁体及び前記第2弁体は、前記弁室に配置されており、
前記第1弁体は、前記軸体の中心軸回りに回転され、
前記第2弁体は、前記第1弁体とともに前記中心軸回りに回転され、
前記第1弁体が第1角度領域で前記中心軸回りに回転される際、前記第1通水口と前記第3通水口との間で流れる水の流量である第1流量及び前記第2通水口と前記第3通水口との間で流れる水の流量である第2流量は、前記第1弁体により変化され、
前記第1弁体が第2角度領域で前記中心軸回りに回転される際、前記第2流量は、前記第2弁体により変化される、弁装置。
【請求項2】
前記第1流量は、前記第1弁体が前記第1角度領域で前記中心軸回りに回転される際に前記第2角度領域に近づくにつれて減少するとともに、前記第1弁体が前記第2角度領域で回転される際に最小値で維持され、
前記第2流量は、前記第1弁体が前記第1角度領域で前記中心軸回りに回転される際に前記第2角度領域に近づくにつれて増加するとともに、前記第1弁体が前記第2角度領域で前記中心軸回りに回転される際に前記第1角度領域から離れるにつれて減少する、請求項1に記載の弁装置。
【請求項3】
前記第1流量及び前記第2流量の合計に対する前記第1流量の割合は、前記第1弁体が前記第1角度領域で前記中心軸回りに回転される際に前記第2角度領域に近づくにつれて直線的に減少する、請求項2に記載の弁装置。
【請求項4】
前記第1弁体は、前記中心軸の方向に沿って延在している筒状であり、
前記第1弁体は、前記中心軸の方向において、第1端と、前記第1端の反対側の端である第2端とを有し、
前記第1弁体の内部空間は、前記第1端において閉塞されているとともに、前記第2端において前記第2弁体で部分的に閉塞されており、
前記第1弁体には、前記第1弁体の内部空間に連通している第1開口部及び第2開口部が形成されており、
前記第2弁体には、前記第1弁体の内部空間に連通している第3開口部が形成されており、
前記第1通水口から見た前記第1開口部の開口面積である第1開口面積は、前記第1弁体が前記第1角度領域で前記中心軸回りに回転される際に前記第2角度領域に近づくにつれて減少していくとともに、前記第1弁体が前記第1角度領域で前記中心軸回りに回転される際に最小値で維持され、
前記第2通水口から見た前記第2開口部の開口面積である第2開口面積は、前記第1弁体が前記第1角度領域で前記中心軸回りに回転される際に前記第2角度領域に近づくにつれて増加するとともに、前記第1弁体が前記第2角度領域で前記中心軸回りに回転される際に最大値で維持され、
前記第3通水口から見た前記第3開口部の開口面積である第3開口面積は、前記第1弁体が前記第1角度領域で前記中心軸回りに回転される際に最大値で維持されるとともに、前記第1弁体が前記第2角度領域で前記中心軸回りに回転される際に前記第1角度領域から離れるにつれて減少する、請求項1に記載の弁装置。
【請求項5】
前記第2弁体は、前記中心軸回りに回転不能に前記第2端に係合されている、請求項4に記載の弁装置。
【請求項6】
第1配管、第2配管及び第3配管と、
熱交換器と、
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の前記弁装置とを備え、
前記第1通水口は、前記第1配管により上水道に接続され、
前記第2通水口は、前記第2配管により前記熱交換器に接続され、
前記第3通水口は、前記第3配管に接続され、
前記第3配管を経由して給湯が行われる、給湯装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弁装置及び温水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許第5004674号公報(特許文献1)には、混合弁が記載されている。特許文献1に記載の混合弁は、ケースと、弁体と、軸部とを有している。ケースは、弁室と、弁室に連通している水導入口、湯導入口及び導出口とを有している。弁体は、弁室に配置されている。弁体は、軸部の中心軸の方向に沿って延在している筒状である。軸部の中心軸の方向において、弁体は、第1端と、第1端の反対側の端である第2端とを有している。弁体の第1端は閉塞されており、弁体の第2端は閉塞されていない。弁体の第1端には、軸部が接続されている。弁体は、軸部の中心軸回りに回転される。弁体には、開口部が形成されている。
【0003】
弁体が第1角度領域で軸部の中心軸回りに回転される際、第2角度領域に近づくにつれて、水導入口から見た弁体の開口部の開口面積は、減少する。弁体が第1角度領域で軸部の中心軸回りに回転される際、湯導入口から見た弁体の開口部の開口面積は、増加する。そのため、特許文献1に記載の混合弁では、弁体が第1角度領域で軸部の中心軸回りに回転されることにより、水導入口から導出口へと流れる水の流量に対する湯導入口から導出口へとの流れる水(湯)の流量の割合が調整される。
【0004】
弁体が第2角度領域で軸部の中心軸回りに回転される際、水導入口から見た弁体の開口部の開口面積は、最小値で維持される(0が維持される)。弁体が第2角度領域で軸部の中心軸回りに回転される際、第1角度領域から離れるにつれて、湯導入口から見た弁体の開口部の開口面積は、減少する。そのため、特許文献1に記載の混合弁では、弁体が第2角度領域で軸部の中心軸回りに回転されることにより、湯導入口から導出口へとの流れる水(湯)の流量が調整される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の混合弁は、例えば給湯装置に用いられる。特許文献1に記載の混合弁を有する給湯装置では、水導入口には第1配管が接続され、湯導入口には第2配管が接続され、導出口には第3配管が接続される。水導入口は、第1配管を介して上水道に接続されている。湯導入口は、第2配管を介して熱交換器に接続されている。特許文献1に記載の混合弁を有する給湯装置は、第3配管を介して給湯を行う。
【0007】
特許文献1に記載の混合弁を有する給湯装置では、弁体が第1角度領域で軸部の中心軸回りに回転されることにより、給湯される湯の温度調整が行われる。弁体が第1角度領域で軸部の中心軸回りに最大まで回転されても、熱交換器の加熱能力の上限に起因して、湯の温度が不足することがある。この場合、弁体が第2角度領域で軸部の中心軸回りに回転されることにより、湯導入口から導出口へとの流れる水(湯)の流量が調整され、給湯される湯の温度が上昇される。
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載の混合弁を用いた給湯装置では、弁体が第2角度領域で軸部の中心軸回りに回転される際、湯導入口から導出口へとの流れる水(湯)の回転角度あたりの流量の変化が大きく、給湯される湯の温度調整が困難である。本発明は、上記のような従来技術の問題点に鑑みてなされたものである。より具体的には、本発明は、給湯される湯の温度調整が容易な弁装置及び給湯装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の弁装置は、ケースと、第1弁体及び第2弁体と、第1弁体に接続されている軸体とを備える。ケースは、弁室と、弁室に連通している第1通水口、第2通水口及び第3通水口を有する。第1弁体及び第2弁体は、弁室に配置されている。第1弁体は、軸体の中心軸回りに回転される。第2弁体は、第1弁体とともに中心軸回りに回転される。第1弁体が第1角度領域で中心軸回りに回転される際、第1通水口と第3通水口との間で流れる水の流量である第1流量及び第2通水口と第3通水口との間で流れる水の流量である第2流量は、第1弁体により変化される。第1弁体が第2角度領域で中心軸回りに回転される際、第2流量は、第2弁体により変化される。
【0010】
上記の弁装置では、第1流量が、第1弁体が第1角度領域で中心軸回りに回転される際に第2角度領域に近づくにつれて減少するとともに、第1弁体が第2角度領域で回転される際に最小値が維持されてもよい。第2流量は、第1弁体が第1角度領域で中心軸回りに回転される際に第2角度領域に近づくにつれて増加するとともに、第1弁体が第2角度領域で中心軸回りに回転される際に第1角度領域から離れるにつれて減少してもよい。
【0011】
上記の弁装置では、第1流量及び第2流量の合計に対する第1流量の割合が、第1弁体が第1角度領域で中心軸回りに回転される際に第2角度領域に近づくにつれて直線的に減少してもよい。
【0012】
上記の弁装置では、第1弁体が、中心軸の方向に沿って延在している筒状であってもよい。第1弁体は、中心軸の方向において、第1端と、第1端の反対側の端である第2端とを有していてもよい。第1弁体の内部空間は、第1端において閉塞されているとともに第2端において第2弁体で部分的に閉塞されていてもよい。第1弁体には、第1弁体の内部空間に連通している第1開口部及び第2開口部が形成されていてもよい。第2弁体には、第1弁体の弁室に連通している第3開口部が形成されていてもよい。第1通水口から見た第1開口部の開口面積である第1開口面積は、第1弁体が第1角度領域で中心軸回りに回転される際に第2角度領域に近づくにつれて減少していくとともに、第1弁体が第1角度領域で中心軸回りに回転される際に最小値で維持されていてもよい。第2通水口から見た第2開口部の開口面積である第2開口面積は、第1弁体が第1角度領域で中心軸回りに回転される際に第2角度領域に近づくにつれて増加するとともに、第1弁体が第2角度領域で中心軸回りに回転される際に最大値で維持されていてもよい。第3通水口から見た第3開口部の開口面積である第3開口面積は、第1弁体が第1角度領域で中心軸回りに回転される際に最大値で維持されるとともに、第1弁体が第2角度領域で中心軸回りに回転される際に第1角度領域から離れるにつれて減少してもよい。
【0013】
上記の弁装置では、第2弁体が、中心軸回りに回転不能に第2端に係合されていてもよい。
【0014】
本発明の給湯装置は、第1配管、第2配管及び第3配管と、熱交換器と、上記の弁装置とを備える。第1通水口は、第1配管により上水道に接続される。第2通水口は、第2配管により熱交換器に接続される。第3通水口は、第3配管に接続される。給湯装置では、第3配管を経由して給湯が行われる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の弁装置及び給湯装置によると、給湯される湯の温度調整が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図2】
図1A中のII-IIにおける断面図である。
【
図3】
図1B中のIII-IIIにおける断面図である。
【
図6】
図5B中のVI-VIにおける断面図である。
【
図7】
図5B中のVII-VIIにおける断面図である。
【
図8】第1弁体20及び第2弁体30の分解斜視図である。
【
図10】第1弁体20及び第2弁体30の底面図である。
【
図11】軸体21の中心軸回りの第1弁体20の回転位置と第1通水口10bから見た第1開口部20eの開口面積、第2通水口10cから見た第2開口部20fの開口面積及び第3通水口10dから見た第3開口部32aの開口面積との関係を示しているグラフである。
【
図12】軸体21の中心軸回りの第1弁体20の回転位置と第1流量及び第2流量との関係を示しているグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
実施形態の詳細を、素面を参照しながら説明する。以下の図面では、同一又は相当する部分に同一の参照符号を付し、重複する説明は繰り返さないものとする。実施形態に係る弁装置を弁装置100とし、実施形態に係る給湯装置を給湯装置200とする。
【0018】
(弁装置100の構成)
以下に、弁装置100の構成を説明する。
【0019】
弁装置100は、例えば混合弁である。
図1Aは、弁装置100の第1側面図である。
図1Bは、弁装置100の第2側面図である。
図2は、
図1A中のII-IIにおける断面図である。
図3は、
図1B中のIII-IIIにおける断面図である。
図4Aは、ケース10の第1側面図である。
図4Bは、ケース10の第2側面図である。
図4Cは、ケース10の底面図である。
図5Aは、第1弁体20の第1側面図である。
図5Bは、第1弁体20の第2側面図である。
図5Cは、第1弁体20の第3側面図である。
図5Dは、第1弁体20の第4側面図である。
図6は、
図5B中のVI-VIにおける断面図である。
図7は、
図5B中のVII-VIIにおける断面図である。
図8は、第1弁体20及び第2弁体30の正面図である。
図9は、
図8中のIX-IXにおける断面図である。
図10は、第1弁体20及び第2弁体30の底面図である。
図1A~
図10に示されているように、弁装置100は、ケース10と、カラー11と、Oリング12と、第1弁体20と、軸体21と、Oリング22と、第2弁体30と、ステッピングモータ40と、サーミスタ50(図示を省略)と、コントローラ60(図示を省略)とを有している。
【0020】
ケース10は、弁室10aと、第1通水口10b、第2通水口10c及び第3通水口10dと、挿入穴10eを有している。弁室10aは、第1弁体20及び第2弁体30が配置されるケース10の内部空間である。第1通水口10b、第2通水口10c、第3通水口10d及び挿入穴10eは、弁室10aに連通している。
【0021】
ケース10は、さらに、第1流路10fと、第2流路10gと、第3流路10hとを有している。軸体21の延在方向を、第1方向DR1とする。第1流路10fは、第2方向DR2に沿って延在している。第2方向DR2は、第1方向DR1に直交している方向である。第1流路10fは、弁室10aと第1通水口10bとを接続している。第2流路10gは、第3方向DR3に沿って延在している。第3方向DR3は、第1方向DR1及び第2方向DR2に直交している方向である。第2流路10gは、弁室10aと第2通水口10cとを接続している。第3流路10hは、第1方向DR1に沿って延在している。第3流路10hは、弁室10aと第3通水口10dとを接続している。挿入穴10eは、第3通水口10dとは反対側から弁室10aに連通している。
【0022】
ケース10は、さらに、第1閉塞部10iと、第2閉塞部10jと、第3閉塞部10kとを有している。第1閉塞部10iは、第1流路10fの内壁面に配置されている。第1閉塞部10iは、第1流路10fの内壁面から第1方向DR1に沿って延在している。第2閉塞部10jは、第2流路10gの内壁面に配置されている。第2閉塞部10jは、第2流路10gの内壁面から第1方向DR1に沿って延在している。第3閉塞部10kは、第3流路10hの内壁面に配置されている。第3閉塞部10kは、第1方向DR1に直交する面内において第3流路10hの内壁面からの延在している。
【0023】
第1流路10fは、第1閉塞部10iにより部分的に閉塞されており、開口部10lを通じて弁室10aに接続されている。開口部10lは、第1通水口10bから見て、例えば半円形である。第2流路10gは、第2閉塞部10jにより部分的に閉塞されており、開口部10mを通じて弁室10aに接続されている。開口部10mは、第2通水口10cから見て、例えば半円形である。開口部10mは、例えば、開口部10lを上下反転させた形状になっている。第3流路10hは、第3閉塞部10kにより部分的に閉塞されており、開口部10nを通じて弁室10aに接続されている。開口部10nは、第3通水口10dから見て、例えば扇形である。
【0024】
カラー11は、挿入穴10eに挿入されている。カラー11の外周面は、挿入穴10eの内壁面に接触している。カラー11の内壁面には、環状溝11aが形成されている。環状溝11aは、周方向に沿って延在している。周方向は、第1方向DR1に沿って見た際に軸体21の中心軸を中心とする円周に沿う方向である。Oリング12は、環状溝11aに配置されている。これにより、カラー11の外周面と挿入穴10eの内壁面との間の水密性が確保されている。カラー11には、貫通穴11bが形成されている。貫通穴11bは、第1方向DR1に沿ってカラー11を貫通している。
【0025】
第1弁体20は、第1方向DR1に沿って延在している筒状である。第1方向DR1において、第1弁体20は、第1端20aと、第2端20bとを有している。第2端20bは、第1端20aの反対側の端である。第1弁体20は、第1端20aにおいて閉塞されている。第1弁体20は、第2端20bにおいて閉塞されていない。
【0026】
第1弁体20は、第1部分20cと、第2部分20dとを有している。第1部分20c及び第2部分20dは、第1方向DR1において並んでいる。第1閉塞部10iは、第2部分20dと対向している。第2閉塞部10jは、第1部分20cと対向している。第1弁体20には、第1開口部20e及び第2開口部20fが形成されている。より具体的には、第1部分20cに第1開口部20eが形成されており、第2部分20dに第2開口部20fが形成されている。第1開口部20e及び第2開口部20fは、第1弁体20の内部空間に連通するように、第1弁体20を貫通している。
【0027】
第1開口部20eは、周方向に沿って延在している。第1開口部20eは、周方向において、第1端20eaと、第2端20ebとを有している。第2端20ebは、第1端20eaの反対側の端である。第1開口部20eの第1方向DR1における幅を、幅W1とする。幅W1は、第2端20ebに近づくにつれて小さくなっている。第1方向DR1に沿って見た際に、第1端20ea及び軸体21の中心軸を通る仮想直線と第2端20eb及び軸体21の中心軸を通る仮想直線とがなす角度を、第1角度θ1とする。
【0028】
第2開口部20fは、周方向に沿って延在している。第2開口部20fは、周方向において、第1端20faと、第2端20fbとを有している。第2端20fbは、第1端20faの反対側の端である。周方向において第1端20faと第2端20fbとの間にある位置を、中間位置Pとする。第2開口部20fの第1方向DR1における幅を、幅W2とする。幅W2は、中間位置Pに近づくにつれて大きくなり、中間位置Pにおいて最大値となる。幅W2は、中間位置Pと第2端20fbとの間において一定になっており、最大値で維持されている。
【0029】
第1方向DR1に沿って見た際に、第1端20fa及び軸体21の中心軸を通る仮想直線と第2端20fb及び軸体21の中心軸を通る仮想直線とがなす角度を、第2角度θ2とする。第2角度θ2は、第1角度θ1よりも大きくなっている。第1方向DR1に沿って見た際に、第1端20fa及び軸体21の中心軸を通る仮想直線と中間位置P及び軸体21の中心軸を通る仮想直線とがなす角度を、第3角度θ3とする。第3角度θ3は、第1角度θ1に等しくなっている。
【0030】
軸体21は、第1方向DR1に沿って延在している。軸体21は、第1端20aに接続されている。軸体21は、貫通穴11bに挿入されている。軸体21の外周面は、貫通穴11bの内壁面に接触されている。軸体21の外周面には、環状溝21aが形成されている。環状溝21aは、周方向に沿って延在している。環状溝21aは、貫通穴11bの内壁面に対向している軸体21の外周面の部分にある。Oリング22は、環状溝21aに配置されている。これにより、貫通穴11bの内壁面と軸体21の外周面との間の水密性が確保されている。
【0031】
軸体21は、インボリュートセレーション21bを有している。インボリュートセレーション21bは、貫通穴21内にある軸体21の部分よりも軸体21の先端側にある。インボリュートセレーションは、ケース10から突出した位置にある。
【0032】
第2弁体30は、筒部31と、底部32と、リブ33とを有している。筒部31は、第1方向DR1に沿って延在している筒状である。第2弁体30は、筒部31において、軸体21の中心軸回りに回転不能に第2端20bに係合されている。第2端20bにある第1弁体20の内周面には、複数の凸部20gが形成されている。筒部31の外周面には、複数の凹部31aが形成されている。複数の凸部20gの各々が複数の凹部31aの各々に係合されることにより、筒部31は、軸体21の中心軸回りに回転不能に第2端20bに係合されている。筒部31の外周面は、第2端20bにある第1弁体20の内周面に接触している。
【0033】
複数の凹部31aは第1方向DR1に沿って見た際に軸体21の中心軸回りに1回の回転対称になるように配置されることが好ましく、複数の凸部20gは第1方向DR1に沿って見た際に軸体21の中心軸回りに1回の回転対称になるように配置されることが好ましい。このことを別の観点から言えば、複数の凹部31aは第1方向DR1に沿って見た際に軸体21の中心軸回りに360°回転しない限り回転前の位置に重ならないように配置されていることが好ましく、複数の凸部20gは第1方向DR1に沿って見た際に軸体21の中心軸回りに360°回転しない限り回転前の位置に重ならないように配置されていることが好ましい。これにより、第2弁体30が第1弁体20に対して誤った角度で取り付けられることが防止される。
【0034】
筒部31は、第1方向DR1において、第1端31bと第2端31cとを有している。第2端31cは、第1端31bの反対側の端である。底部32は、第2端31cに連なっている。底部32には、第3開口部32aが形成されている。第3開口部32aは、第1弁体20の内部空間と連通するように、底部32を貫通している。第3開口部32aは、周方向において、第1端32aaと第2端32abとを有している。第2端32abは、第1端32aaの反対側の端である。第1方向DR1に沿って見た際に、第1端32aa及び軸体21の中心軸を通る仮想直線と第2端32ab及び軸体21の中心軸を通る仮想直線とのなす角度を、第4角度θ4とする。360°から第4角度θ4を減じた値は、第2角度θ2から第1角度θ1を減じた値以上になっている。
【0035】
リブ33は、第1方向DR1に沿って見た際に、第3開口部32aと交差するように延在しており、一方端において筒部31の内壁面に接続されているとともに他方端において底部32に接続されている。これにより、底部32がリブ33により支持されている。
【0036】
ステッピングモータ40は、例えばモータ取り付け板41を用いて、ケース10に取り付けられている。インボリュートセレーション21bは、ステッピングモータ40の回転出力部に嵌め合わされている。これにより、ステッピングモータ40は、軸体21の中心軸回りに軸体21を回転させるとともに、軸体21の中心軸回りに第1弁体20を回転させる。第2弁体30は軸体21の中心軸回りに回転不能に第1弁体20に取り付けられているため、軸体21の中心軸回りの回転に伴って、第2弁体30も軸体21の中心軸回りに回転される。
【0037】
軸体21の中心軸回りの第1弁体20の回転位置が第1角度領域にある場合、第1開口部20eは、開口部10lと対向している。第2角度領域に近づくように第1弁体20を軸体21の中心軸回りに回転させると、第2端20ebにより近い第1開口部20eの部分が、開口部10lと対向するようになる。幅W1は第2端20ebに近づくにつれて小さくなっているため、第2角度領域に近づくように第1弁体20を第1角度領域で軸体21の中心軸回りに回転させると、第1通水口10bから見た第1開口部20eの開口面積は、小さくなっていく。
【0038】
軸体21の中心軸回りの第1弁体20の回転位置が第2角度領域にある場合、第1開口部20eは、開口部10lと対向していない。すなわち、軸体21の中心軸回りの第1弁体20の回転位置が第2角度領域にある場合、第1通水口10bから見た第1開口部20eの開口面積は、最小値で維持される。
【0039】
軸体21の中心軸回りの第1弁体20の回転位置が第1角度領域にある場合、第2開口部20fは、開口部10mと対向している。第2角度領域に近づくように第1弁体20を軸体21の中心軸回りに回転させると、第1端20faと中間位置Pとの間にある第2開口部20fの部分のうちの第2端20fbにより近い部分が、開口部10mと対向するようになる。幅W2は中間位置Pに近づくにつれて大きくなっているため、第2角度領域に近づくように第1弁体20を第1角度領域で軸体21の中心軸回りに回転させると、第2通水口10cから見た第2開口部20fの開口面積は、最大値となるまで大きくなっていく。
【0040】
軸体21の中心軸回りの第1弁体20の回転位置が第2角度領域にある場合、中間位置Pと第2端20fbとの間にある第2開口部20fの部分のみが、開口部10mと対向するようになる。幅W2は中間位置Pと第2端20fbとの間において最大値で維持されているため、軸体21の中心軸回りの第1弁体20の回転位置が第2角度領域にある場合、第2通水口10cから見た第2開口部20fの開口面積は、最大値で維持される。
【0041】
軸体21の中心軸回りの第1弁体20の回転位置が第1角度領域にある場合、第3通水口10dから見た第3開口部32aの開口面積は、最大値で維持されている。すなわち、軸体21の中心軸回りの第1弁体20の回転位置が第1角度領域にある場合、第3開口部32aは、開口部10nにのみ重なっている。第1角度領域から離れるように第1弁体20を軸体21の中心軸回りに回転させると、第3通水口10dから見た第3開口部32aの開口面積は小さくなっていく。すなわち、第1角度領域から離れるように第1弁体20を軸体21の中心軸回りに回転させると、底部32と開口部10nとの重なりが大きくなっていく。
【0042】
第1角度領域の角度幅は第1角度θ1に等しくなっている。第1角度領域の角度幅は、例えば180°である。第2角度領域の角度幅は、第2角度θ2と第1角度θ1との差に等しくなっている。第2角度領域の角度幅は、例えば90°である。但し、第1角度領域の角度幅及び第2角度領域の角度幅は、これに限られるものではない。
【0043】
第1通水口10bから第3通水口10dへと流れる水の流量を第1流量とし、第2通水口10cから第3通水口10dへと流れる水の流量を第2流量とする。第1流量を第1流量及び第2流量の和で除した値を、混合比とする。混合比は、第2角度領域に近づくように第1弁体20を第1角度領域で軸体21の中心軸回りに回転させることにより、直線的に減少することが好ましい。なお、第1弁体20の回転角度の増加に伴う混合比の減少の傾きが大きく変動していなければ、混合比は直線的に減少していると見做される。
【0044】
ケース10には、貫通穴10p(図示を省略)がさらに形成されている。貫通穴10pは、第3流路10hに連通するように、ケース10を貫通している。貫通穴10pには、サーミスタ50が挿入されている。サーミスタ50は、コントローラ60に接続されている。サーミスタ50は、第3流路10hを流れる水(湯)の温度を検知して当該温度を示す信号をコントローラ60に出力する。コントローラ60は、サーミスタ50から出力された信号に基づいて軸体21の中心軸回りの第1弁体20の回転位置を変化させるようにステッピングモータ40を制御することにより、第3流路10hを流れる水(湯)の温度を調整する。
【0045】
上記においては、第2流路10gが第2方向DR2に沿って延在している例を説明したが、第2流路10gは、第2方向DR2以外に沿って延在していてもよい。例えば、第2流路10gは、第1方向DR1に沿って延在していてもよい。この場合、第2流路10gは、第1流路10fとは反対側から弁室10aに接続されることになる。
【0046】
上記においては、第1弁体20と第2弁体30とが別部材である場合の例を示したが、第1弁体20と第2弁体30とは、一体形成されていてもよい。
【0047】
(弁装置100の効果)
以下に、弁装置100の効果を説明する。
【0048】
図11は、軸体21の中心軸回りの第1弁体20の回転位置と第1通水口10bから見た第1開口部20eの開口面積、第2通水口10cから見た第2開口部20fの開口面積及び第3通水口10dから見た第3開口部32aの開口面積との関係を示しているグラフである。
図11に示されるように、第2角度領域に近づくように第1弁体20を第1角度領域で軸体21の中心軸回りに回転させると、第1通水口10bから見た第1開口部20eの開口面積は、小さくなっていく。第2角度領域に近づくように第1弁体20を第1角度領域で軸体21の中心軸回りに回転させると、第2通水口10cから見た第2開口部20fの開口面積は、最大値となるまで大きくなっていく。
【0049】
図12は、軸体21の中心軸回りの第1弁体20の回転位置と第1流量及び第2流量との関係を示しているグラフである。上記のようにして第1通水口10bから見た第1開口部20eの開口面積及び第2通水口10cから見た第2開口部20fの開口面積が変化する結果、
図12に示されるように、第2角度領域に近づくように第1弁体20を第1角度領域で軸体21の中心軸回りに回転させると、第1流量が減少していくとともに第2流量が増加していくことになる。このように、弁装置100では、軸体21の中心軸回りに第1弁体20を第1角度領域で回転させることにより混合比を調整することができるため、給湯される湯の温度調整を行うことができる。
【0050】
軸体21の中心軸回りの回転位置が第2角度領域にある際、第1通水口10bから見た第1開口部20eの開口面積は、最小値で維持される(0で維持される)。軸体21の中心軸回りの回転位置が第2角度領域にある際、第2通水口10cから見た第2開口部20fの開口面積は最大値で維持される。第1角度領域から離れるように第1弁体20を第1角度領域で軸体21の中心軸回りに回転させると、第3通水口10dから見た第3開口部32aの開口面積は小さくなっていく。このように、弁装置100では、軸体21の中心軸回りに第1弁体20を第2角度領域で回転させる際に、第2弁体30で第2流量が調整される。第1弁体20を第2角度領域で回転させる際に第2流量の調整を第1弁体20のみに担わせると、軸体21の中心軸回りの第1弁体20の回転角度あたりの第2流量の変化が大きくなる。このことは、高水圧条件で用いられる際にさらに顕著になる。弁装置100では、第1弁体20を第2角度領域で回転させる際に第2流量の調整に第2弁体30も用いられるため、軸体21の中心軸回りの第1弁体20の回転角度あたりの第2流量の変化を小さくすることができ、給湯される湯の温度の調整が容易となる。
【0051】
混合比が第2角度領域に近づくように第1弁体20を第1角度領域で軸体21の中心軸回りに回転させることにより直線的に減少する場合、軸体21の中心軸回りの第1弁体20の回転角度に対して第3流路10hを流れる水(湯)の温度が直線的に変化することになるため、コントローラ60により給湯される湯の温度調整がさらに容易となる。
【0052】
(給湯装置200の構成)
以下に、給湯装置200の構成を説明する。
【0053】
図13は、給湯装置200の模式図である。
図13に示されるように、給湯装置200は、弁装置100と、配管71、配管72、配管73及び配管74と、熱交換器80と、バーナ81とを有している。配管71は、一方端において上水道に接続されており、他方端において第1通水口10bに接続されている。配管72は、一方端において配管71に接続されており、他方端において熱交換器80に接続されている。配管73は、一方端において熱交換器80に接続されており、他方端において第2通水口10cに接続されている。配管74は、一方端において第3通水口10dに接続されている。
【0054】
第1通水口10bには、配管71を介して水が供給される。熱交換器80には、配管71及び配管72を介して水が供給される。熱交換器80に供給された水は、バーナ81において発生した燃焼ガスと熱交換を行うことで加熱される。第2通水口10cには、配管73を介して熱交換器80を通過して昇温された水(湯)が供給される。弁装置100では、軸体21の中心軸回りの第1弁体20の回転位置が第1角度領域で調整されることにより混合比が変化し、第3通水口10dから配管74へと流れる水(湯)の温度が調整される。
【0055】
熱交換器80における加熱能力の上限に起因して、混合比を最大にしても第3通水口10dから配管74へと流れる水(湯)の温度が所望の温度に至らないことがある。この場合、軸体21の中心軸回りの第1弁体20の回転位置が第2角度領域で調整されることにより、第3通水口10dから配管74へと流れる水(湯)の温度が調整される。
【0056】
上記においては、弁装置100を低温の水と高温の水とを混合するための混合弁として用いる例を示したが、弁装置100の用途はこれに限られるものではない。例えば、第1通水口10bにバイパス配管を接続し、第2通水口10cに熱交換器に接続される配管を接続し、第3通水口10dに上水道に接続される配管を接続してもよい。この場合、弁装置100は、分配弁及び入水側の流量調整弁として機能することになる。
【0057】
以上のように本発明の実施形態について説明を行ったが、上記の実施形態を様々に変形することも可能である。また、本発明の範囲は、上記の実施形態に限定されるものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含むことが意図される。
【符号の説明】
【0058】
10 ケース、10a 弁室、10b 第1通水口、10c 第2通水口、10d 第3通水口、10e 挿入穴、10f 第1流路、10g 第2流路、10h 第3流路、10i 第1閉塞部、10j 第2閉塞部、10k 第3閉塞部、10l,10m,10n 開口部、10p 貫通穴、11 カラー、11a 環状溝、11b 貫通穴、12 Oリング、20 第1弁体、20a 第1端、20b 第2端、20c 第1部分、20d 第2部分、20e 第1開口部、20ea 第1端、20eb 第2端、20f 第2開口部、20fa 第1端、20fb 第2端、20g 凸部、21 軸体、21a 環状溝、21b インボリュートセレーション、22 Oリング、30 第2弁体、31 筒部、31a 凹部、31b 第1端、31c 第2端、32 底部、32a 第3開口部、32aa 第1端、32ab 第2端、33 リブ、40 ステッピングモータ、41 モータ取り付け板、50 サーミスタ、60 コントローラ、71,72,73,74 配管、80 熱交換器、81 バーナ、100 弁装置、200 給湯装置、P 中間位置、W1,W2 幅、DR1 第1方向、DR2 第2方向、DR3 第3方向、θ1 第1角度、θ2 第2角度、θ3 第3角度、θ4 第4角度。