(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024065709
(43)【公開日】2024-05-15
(54)【発明の名称】旋盤
(51)【国際特許分類】
B23B 15/00 20060101AFI20240508BHJP
B23Q 7/04 20060101ALI20240508BHJP
B23Q 11/08 20060101ALI20240508BHJP
B23B 25/04 20060101ALI20240508BHJP
B25J 9/02 20060101ALI20240508BHJP
【FI】
B23B15/00 A
B23Q7/04 P
B23Q11/08 Z
B23B25/04
B25J9/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022174709
(22)【出願日】2022-10-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】522426663
【氏名又は名称】ホリベマシナリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107836
【弁理士】
【氏名又は名称】西 和哉
(72)【発明者】
【氏名】藤田 隼也
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 勉
【テーマコード(参考)】
3C011
3C033
3C045
3C707
【Fターム(参考)】
3C011DD02
3C033HH12
3C045FB03
3C045HA10
3C707AS05
3C707BS02
3C707DS01
3C707JS02
(57)【要約】
【課題】主軸に対するワークの受け渡しにおいてローダ装置(ローダヘッド)の移動距離を短くして、ワークの加工効率が低下するのを回避する。
【解決手段】ワークWの加工を行う加工領域Kを囲む本体カバー20と、本体カバー20の一部であって加工領域Kを開閉可能なシャッタ31と、を備え、シャッタ31は、加工領域Kの上方に配置される天井パネル51と、天井パネル51に接続され且つ下方に向けて延びる縦パネル50と、を有し、ローダ装置1は、ワークWを保持するローダヘッド4と、ローダヘッド4を支持するヘッド支持部(Y方向移動体3b)とを備え、主軸SPに対するワークWの受け渡しを行う為に、シャッタ31の開動作により縦パネル50が開いた位置をローダヘッド4が通過し、開動作により天井パネル51が開いた位置をヘッド支持部が通過することで加工領域Kに対するローダヘッド4の進入又は退出が行われる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ローダ装置と、前記ローダ装置によりワークが受け渡される主軸とを備え、前記主軸に保持されて回転するワークを加工する旋盤において、
ワークの加工を行う加工領域を囲む本体カバーと、
前記本体カバーの一部であって前記加工領域を開閉可能なシャッタと、を備え、
前記シャッタは、前記加工領域の上方に配置される天井パネルと、前記天井パネルに接続され且つ下方に向けて延びる縦パネルと、を有し、
前記ローダ装置は、前記ワークを保持するローダヘッドと、前記ローダヘッドを支持するヘッド支持部とを備え、
前記主軸に対する前記ワークの受け渡しを行う為に、前記シャッタの開動作により前記縦パネルが開いた位置を前記ローダヘッドが通過し、前記開動作により前記天井パネルが開いた位置を前記ヘッド支持部が通過することで前記加工領域に対する前記ローダヘッドの進入又は退出が行われる、旋盤。
【請求項2】
前記シャッタは、前記縦パネルと前記天井パネルとが一体で設けられる、請求項1に記載の旋盤。
【請求項3】
前記縦パネル及び前記天井パネルのうち少なくとも一方は、前記天井パネル及び前記縦パネルの面方向にスライドすることで前記加工領域を開閉する、請求項1に記載の旋盤。
【請求項4】
前記シャッタは、前記加工領域を挟むように対向して配置された2つの前記縦パネルを有する、請求項1に記載の旋盤。
【請求項5】
前記シャッタが閉状態の際、前記本体カバーのうち前記加工領域における前記シャッタの閉じ側に位置する固定パネルに前記シャッタの縁部が当接することで、前記加工領域を閉じる、請求項1に記載の旋盤。
【請求項6】
前記縦パネルの下端は、前記主軸より高い位置に設定される、請求項1に記載の旋盤。
【請求項7】
前記ローダ装置は、前記縦パネルの面と交差する方向に延びて設けられ且つ前記ローダヘッド及び前記ヘッド支持部を走行可能に案内する主レールを有しており、
前記主レールは、前記天井パネルよりも低い位置に配置される、請求項1に記載の旋盤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、旋盤に関する。
【背景技術】
【0002】
回転する主軸にワークを保持させ、ワークを切削加工する旋盤が知られている。この旋盤では、ワークの加工時に切削片、加工油などが外部に飛散するのを防止するため、ワークを加工する空間である加工領域を本体カバーで囲むようにしている。また、主軸に対するワークの受け渡しには、ローダ装置が用いられる。従って、ローダ装置のローダヘッドと主軸との間でワークを受け渡すため、本体カバーの天井部分に開閉可能なシャッタを備えることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1では、天井部分のシャッタを開くことにより、ローダヘッドと主軸との間でワークを受け渡すことを可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1で示すように、本体カバーの天井部分に設けられたシャッタを介してワークを受け渡す構成では、ローダヘッドと主軸との間でワークを受け渡す際に、ローダヘッドの移動距離が長くなってしまう。つまり、ローダヘッドは、本体カバーよりも上方まで上昇した後に、シャッタの上方まで左右方向に移動し、次いでシャッタを介して下降する必要があり、その移動距離が長くなる。特に、本体カバーが上下方向に大型化すると、ローダヘッドの上昇及び下降に要する距離が長くなる。その結果、主軸に対するワークの受け渡しに時間がかかり、ワークの加工効率を低下させる要因となる。
【0005】
本発明は、主軸に対するワークの受け渡しにおいてローダ装置(ローダヘッド)の移動距離を短くして、ワークの加工効率を向上させることが可能な旋盤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様に係る旋盤は、ローダ装置と、前記ローダ装置によりワークが受け渡される主軸とを備え、前記主軸に保持されて回転するワークを加工する旋盤において、ワークの加工を行う加工領域を囲む本体カバーと、前記本体カバーの一部であって前記加工領域を開閉可能なシャッタと、を備え、前記シャッタは、前記加工領域の上方に配置される天井パネルと、前記天井パネルに接続され且つ下方に向けて延びる縦パネルと、を有し、
前記ローダ装置は、前記ワークを保持するローダヘッドと、前記ローダヘッドを支持するヘッド支持部とを備え、前記主軸に対する前記ワークの受け渡しを行う為に、前記シャッタの開動作により前記縦パネルが開いた位置を前記ローダヘッドが通過し、前記開動作により前記天井パネルが開いた位置を前記ヘッド支持部が通過することで前記加工領域に対する前記ローダヘッドの進入又は退出が行われる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の態様に係る旋盤によれば、シャッタを開くことで縦パネル及び天井パネルが開状態となり、縦パネルが開いた位置をローダヘッドが通過し、天井パネルが開いた位置をヘッド支持部が通過することで加工領域に対するローダヘッドの進入又は退出が行われる。すなわち、ローダヘッドは、本体カバーよりも上方まで大きく上昇する必要がなく、さらに、その上昇した位置から主軸まで大きく下降する必要がない。その結果、主軸との間でワークを受け渡す際に、ローダヘッドの移動距離が短くなり、主軸に対するワークの受け渡しが短時間となるので、ワークの加工効率を向上させることができる。
【0008】
また、上記した態様の旋盤において、シャッタは、縦パネルと天井パネルとが一体で設けられてもよい。この形態では、縦パネルと天井パネルとが一体であるため、シャッタを開閉するための駆動系を簡略化することができる。また、上記した態様の旋盤において、縦パネル及び天井パネルのうち少なくとも一方は、天井パネル及び縦パネルの面方向にスライドすることで加工領域を開閉してもよい。この形態では、縦パネル及び天井パネルの一方又は双方を面方向にスライドさせるので、シャッタの開閉をスムーズかつ適切に行うことができる。また、上記した態様の旋盤において、シャッタは、加工領域を挟むように対向して配置された2つの縦パネルを有してもよい。この形態では、加工領域の左側及び右側のそれぞれからローダヘッドを加工領域に対して進退させることができる。
【0009】
また、上記した態様の旋盤において、シャッタが閉状態の際、本体カバーのうち加工領域におけるシャッタの閉じ側に位置する固定パネルにシャッタの縁部が当接することで、加工領域を閉じてもよい。この形態では、シャッタの縁部が固定パネルに当接することで、容易に加工領域を閉じることができる。また、上記した態様の旋盤において、縦パネルの下端は、主軸より高い位置に設定されてもよい。この形態では、ローダヘッドの上昇量及び下降量を抑えつつ、シャッタが上下方向に大型化するのを回避できる。また、上記した態様の旋盤において、縦パネルの面と交差する方向に延びて設けられ且つローダヘッド及びヘッド支持部を走行可能に案内する主レールを有しており、主レールは、天井パネルよりも低い位置に配置されてもよい。この形態では、主レールが高い位置に設置されないので、ローダ装置を含めた旋盤の大型化を回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態に係る旋盤の一例を示す斜視図である。
【
図5】加工領域内の構成及びローダ装置を示す平面図である。
【
図7】シャッタの縦パネルの下端を拡大した斜視図である。
【
図8】シャッタの縦パネルの下端を拡大した断面図である。
【
図9】ローダヘッドが搬入部のワークを把持した状態を示す側面図である。
【
図10】ローダヘッドが搬入部のワークを把持した状態を示す正面図である。
【
図11】ローダヘッドが主軸の上方に配置された状態を示す側面図である。
【
図12】ローダヘッドが主軸の上方に配置された状態を示す正面図である。
【
図13】ローダヘッドがワークを主軸に渡した状態を示す側面図である。
【
図14】ローダヘッドがワークを主軸に渡した状態を示す正面図である。
【
図15】シャッタを閉じてワークを加工している状態を示す正面図である。
【
図16】ローダヘッドがワークを搬出部に載置した状態を示す正面図である。
【
図17】実施形態に係る旋盤の一例を示す斜視図である。
【
図18】実施形態に係る旋盤の一例を示す斜視図である。
【
図19】
図18に示すシャッタを開けた状態の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。ただし、本発明は以下に説明する内容に限定されない。また、図面においては実施形態を説明するため、一部分を大きく又は強調して記載するなど適宜縮尺を変更して表現しており、実際の製品とは形状、寸法が異なっている場合がある。図面の各図では、XYZ座標系を用いて図中の方向を説明する。このXYZ座標系は、水平面に平行な平面をXZ平面とする。また、XZ平面に垂直な上下方向はY方向と表記する。X方向、Y方向、及びZ方向のそれぞれは、図中の矢印の指す方向が+方向であり、矢印の指す方向とは反対の方向が-方向であるとして説明する。以下の説明では、旋盤の正面側又は前面が+Z側とする。ただし、これに限定されず、旋盤の正面側又は前面は、+X側であってもよい。
【0012】
以下に、本実施形態に係る旋盤LMの構成例について説明する。
図1は、実施形態に係る旋盤LMの一例を示す斜視図である。
図2及び
図3は、本実施形態に係る旋盤LMの一例を示す斜視図である。旋盤LMは、ローダ装置1と、加工装置10と、本体カバー20と、シャッタ装置30と、制御部40とを備える。なお、
図2は、シャッタ装置30のシャッタ31が閉まっている状態を示す。
図3は、シャッタ装置30のシャッタ31が開いている状態を示す。
【0013】
旋盤LMは、ローダ装置1によりワークWが受け渡される主軸SPを備え、主軸SPに保持されて回転するワークWを加工する。
【0014】
ローダ装置1は、搬入部HNからワークWを加工領域Kに移送する。加工領域Kは、ワークWを加工する空間であって、本体カバー20によって囲まれている。加工領域Kは、旋盤LMによってワークWが加工される領域を有する。また、ローダ装置1は、旋盤LMによって加工された後のワークWを加工領域Kから搬出部HSに移送する。一例として、ローダ装置1は、主レール2と、ローダ駆動部3と、ローダヘッド4とを備える。
【0015】
主レール2は、複数の支柱SLによって支持されており、第1方向、すなわち±X方向に延びている。主レール2は、ローダヘッド4を±X方向に案内する。ローダ駆動部3は、X方向移動体3aと、Y方向移動体3bとを備える。X方向移動体3aは、主レール2に沿って移動可能であって、ローダ装置1に設けられた駆動源(図示せず)によって±X方向に移動する。Y方向移動体3bは、X方向移動体3aに設けられている。Y方向移動体3bは、ローダ装置1に設けられた駆動源によって±Y方向に移動可能である。Y方向移動体3bの-Yの方向の下端には、ローダヘッド4が設けられている。Y方向移動体3bは、「ヘッド支持部」の一例である。
【0016】
ローダヘッド4は、ワークWを保持する。例えば、ローダヘッド4は、ローダチャック4aを有している。ローダチャック4aは、複数の把握爪によってワークWを把持する。ただし、これに限定されず、ローダヘッド4は、ワークWを吸着して保持可能な吸着機構を有してもよい。すなわち、ローダヘッド4は、ワークWを保持する機構を有していればよく、その保持の仕方については特に限定されない。ローダヘッド4は、X方向移動体3aが移動することで±X方向に移動し、Y方向移動体3bが±Y方向に移動することで±Y方向に移動する。なお、ローダヘッド4は、±X方向に移動することにより加工領域Kに進入する。また、加工領域K内のローダヘッド4は、±X方向に移動することにより加工領域Kから退出する。
【0017】
加工装置10は、加工領域K内に設けられている。加工装置10は、ローダ装置1によって加工領域K内に移送されたワークWを各種の工具Bにより加工する工作機械である。
図4は、本実施形態に係る加工装置10を示す斜視図である。
図5は、本実施形態に係る加工装置10及びローダ装置1を示す平面図である。
【0018】
図4及び
図5に示すように、加工装置10は、例えば、主軸SPと、ガイドレールGRと、ベースBAと、刃物台TBとを備える。
【0019】
主軸SPは、基台BS上に載置されている。主軸SPは、基台BSに設けられた不図示の軸受に、鉛直軸方向(Y方向)に沿った中心軸C1周りに回転可能に支持されている。主軸SPは、例えば、基台BSに設けられたモータ(不図示)によって、中心軸C1周りに回転駆動される。主軸SPの上端部には、ワークWを保持するための主軸チャックSCが設けられている。主軸チャックSCは、例えば、中心軸C1に対する放射方向に移動する3つの爪部により形成されている。
【0020】
ガイドレールGRは、基台BSの上面に設けられている。ガイドレールGRは互いに平行に延びる2本一対のレール部材11A、11Bを備えている。レール部材11A、11Bは、刃物台TBを基台BSの縁部2e近傍まで移動させるレールであり、基台BS上の限られたスペース内で、刃物台TBの移動ストロークを確保することができる。
【0021】
ベースBAは、ガイドレールGRを構成する2本一対のレール部材11A、11Bを跨がるように設けられている。ベースBAは、ガイドレールGRに沿って、レール延伸方向Rに移動可能に設けられている。ベースBAのスライド駆動部は、例えば、レール部材11A、11Bと平行に設けられてベースBAに連結された不図示のボールネジと、このボールネジを回転駆動させるモータ110とを備える。ベースBAは、モータ110でボールネジを回転させることで、レール部材11A、11Bに沿ってレール延伸方向Rに直線状に移動する。
【0022】
刃物台TBは、ベースBAに設けられている。ベースBAには、刃物台TBを鉛直軸に沿った方向に移動させる昇降駆動部15が設けられている。昇降駆動部15は、ガイド部材151と、支持板152と、昇降ユニット153とを備えている。
【0023】
ガイド部材151は、ベースBAの側面に2本一対で設けられている。2本一対のガイド部材151は、ベースBAの側面に沿って鉛直軸方向に延びている。支持板152は、ガイド部材151に沿って鉛直軸方向に移動可能に設けられている。支持板152は、鉛直面内に沿って設けられている。昇降ユニット153は、支持板152をガイド部材151に沿って昇降させる。
【0024】
刃物台TBは、支持板152の側面に取り付けられて固定されている。刃物台TBは、第1刃物台12と、第2刃物台13とを備えている。第1刃物台12及び第2刃物台13は、それぞれ支持板152に固定されている。第1刃物台12及び第2刃物台13は、支持板152により一体となって昇降する。また、刃物台TBは、ベースBAをガイドレールGRに沿ってレール延伸方向Rに移動させることにより、主軸SPに対して進退可能となっている。
【0025】
第1刃物台12は、主軸SPに保持されたワークWに対して、ガイドレールGRが延びる方向と平行な方向(すなわちレール延伸方向R)に移動してワークWを加工する工具B1を保持する。第1刃物台12は、工具B1を保持するタレット14を備えている。タレット14は、例えば、平面視において多角形状に設けられており、鉛直軸方向に沿った中心軸C2周りに旋回可能に設けられている。タレット14は、モータ等の不図示のタレット駆動部により中心軸C2周りに旋回する。
【0026】
タレット14には、工具B1を装着可能な工具保持部14tが、中心軸C2周りの周方向に複数設けられている。すなわち、タレット14の周方向の面には、複数の工具B1が保持されている。第1刃物台12は、タレット14を中心軸C2周りに回転させることにより、複数の工具B1からワークWの加工に用いる工具B1を選択することが可能となっている。ワークWの加工に選択された工具B1は、平面視において、タレット14に保持されて、主軸SPの中心軸C1とレール延伸方向Rに平行な同一直線A上に配置されている
【0027】
第2刃物台13は、主軸SPに保持されたワークWに対して、鉛直軸方向に移動してワークWを加工する工具B2を保持する。第2刃物台13は、その下端に、工具B2を着脱可能に保持する不図示の工具保持部を備えている。第2刃物台13は、工具B2(工具保持部)を回転させるためのモータ等の不図示の回転駆動源を備える。第2刃物台13は、この回転駆動源を駆動することにより、工具B2を、鉛直軸方向に沿った中心軸C3周りに回転させることができる。なお、本実施形態では、刃物台TBが第1刃物台12と第2刃物台13とを備える形態を例に挙げて説明しているが、この形態に限定されない。例えば、刃物台TBが、第1刃物台12及び第2刃物台13のいずれか一方を備える形態であってもよい。
【0028】
以下に、本実施形態に係る本体カバー20の構成について説明する。
図6は、本実施形態に係る本体カバー20の側面図である。なお、
図6において、説明の便宜上、シャッタ装置30の記載は省略されている。本体カバー20は、ワークWの加工を行う加工領域Kを囲む。
図1~
図3及び
図6に示すように、本体カバー20は、例えば、第1パネル21と、第2パネル22と、2つの第3パネル23と、第4パネル24とを備える。第1パネル21、第2パネル22、2つの第3パネル23及び第4パネル24は、例えば一体で形成されている。なお、第1パネルは、固定パネルの一例である。
【0029】
第1パネル21は、加工領域Kの前面に配置されている。前面とは、+Z方向の面である。第1パネル21は、例えば、加工領域Kの前面の一部又は全体を覆うように配置されている。第1パネル21は、例えば、外側から加工領域K内を視認するためのドアが設けられている。なお、本実施形態では、第1パネル21は、加工領域Kの前面の全体ではなく、一部を覆っている。具体的には、第1パネル21の上端の直上に、主レール2が配置されており、第1パネル21の高さが制限されている。そのため、一例として、第1パネル21の高さは、第4パネル24の位置よりも低く設定されており、加工領域Kの前面の上方が開放されている。換言すれば、第1パネル21は、上方において、開口部21aが形成されている。なお、主レール2の形状や配置によって第1パネル21の上端の直上に主レール2が配置されない場合には、第1パネル21は、開口部21aを有しなくてもよい。この場合には、第1パネル21の高さは、第4パネル24の位置と同じ、又は第4パネル24の位置よりも高く設定されてもよい。
【0030】
第2パネル22は、加工領域Kの後面に配置されている。後面とは、-Z方向の面である。第2パネル22は、例えば、加工領域Kの後面全体を覆うように配置されている。
【0031】
第3パネル23は、加工領域Kの側面に配置されている。側面とは、±X方向の面である。第3パネル23には、開口部23aが形成されている。換言すれば、第3パネル23は、加工領域Kの両側面のそれぞれにおいて全体ではなく一部を覆うように配置されている。+X方向の第3パネル23-1には、開口部23a-1が形成され、-X方向の第3パネル23-2には、開口部23a-2が形成されている。開口部23a-1と開口部23a-2とは互いに対向している。なお、ハイフン以下の符号は、複数の同じ種類の構成要素を互いに区別するものである。複数の同じ種類の構成を互いに区別しない場合には、ハイフン以下の符号を省略する場合がある。
【0032】
例えば、第3パネル23は、±Z方向において高さの異なる部位を有している。すなわち、ローダヘッド4が加工領域Kに進入できるように第3パネル23の一部分の高さが他の部分よりも低い。この場合において、第3パネル23の高さが低い部分の上部が、開口部23aに相当する。本実施形態では、第3パネル23において、+Z方向の縁部から-Z方向に所定距離PD1だけ進んだ位置までの範囲(以下、「第1面部」という。)23fの高さは、当該位置から-Z方向の縁部、すなわち所定距離PD2までの範囲(以下、「第2面部」という。)23bの高さよりも低い。すなわち、第1面部23fの上端H1は、第2面部23bの上端H2よりも低い位置に設定されている。第2面部23bの上端H2には、第4パネル24が接続されている。第1面部23fの上端H1の高さは、ローダヘッド4の±X方向の移動を阻害しない高さに設定されている。
【0033】
第4パネル24は、加工領域Kの上面に配置されている。上面とは、+Y方向の面である。第4パネル24には、開口部24aが形成されている。換言すれば、第4パネル24は、加工装置10(加工領域K)の上面の全体ではなく一部を覆うように配置されている。例えば、第4パネル24の+Z方向の縁部の位置が第2面部23bの+Z方向の縁部の位置になるように設定されている。すなわち、加工領域Kの上方のうち、第1パネル21から-Z方向に所定距離PD1だけ進んだ位置までの範囲の上方は、第4パネル24に覆われておらず、開口している。この開口が開口部24aに相当する。ここで、開口部21a、開口部23a-1、開口部23a-2、及び開口部24aは、連続した1つの開口部100とし、本体カバー20に形成されている。開口部100は、ローダヘッド4が加工領域Kを通過できるように形成されている。すなわち、開口部100は、ローダヘッド4が加工領域Kに進入し、且つ、加工領域Kから退出できるように形成されている。
【0034】
シャッタ装置30は、シャッタ31と、シャッタ駆動部32とを備える。
【0035】
シャッタ31は、本体カバー20の一部に設けられ、加工領域Kを開閉可能である。具体的には、シャッタ31は、開口部100を開閉することで加工領域Kを開閉する。本実施形態の一例として、シャッタ31は、±Z方向にスライド移動自在である。シャッタ31の位置が第1位置である場合には、開口部100を閉状態となる(
図2に示す状態)。なお、シャッタ31の位置が第1位置である状態を、シャッタ31が閉状態であると称する場合ある。一方、シャッタ31が第1位置にある状態から、-Z方向にスライド移動させてシャッタ31の位置が第2位置になった場合には、開口部100が開状態となる(
図3に示す状態)。なお、シャッタ31の位置が第2位置である状態を、シャッタ31が開状態であると称する場合ある。
【0036】
シャッタ31は、2つの縦パネル50と、天井パネル51と、補助パネル52とを有する。縦パネル50は、天井パネル51に接続され且つ下方に向けて延びる。縦パネル50は、加工領域Kの±X方向に配置される。すなわち、2つの縦パネル50は、加工領域Kを挟むように配置される。加工領域Kの+X方に配置された縦パネル50-1は、開口部23a-1を開閉可能である。加工領域Kの-X方に配置された縦パネル50-2は、開口部23a-2を開閉可能である。例えば、縦パネル50の一端辺部は、天井パネル51の一端辺部に接続されている。これにより、縦パネル50と天井パネル51とがL字型状に接続される。なお、縦パネル50と天井パネル51との接続態様は、一端辺部同士の接続に限定されない。例えば、天井パネル51の一端辺部ではなく、天井パネル51の面部と、縦パネル50の一端辺部とが接続されてもよい。また、例えば、縦パネル50の一端辺部ではなく、縦パネル50の面部と、天井パネル51の一端辺部とが接続されてもよい。また、縦パネル50と天井パネル51との接続箇所の一部に隙間があってもよい。
【0037】
天井パネル51は、加工領域Kの上方に配置される。天井パネル51が配置される高さは、主レール2の高さよりも高い位置に設けられてもよい。例えば、天井パネル51が配置される高さは、主レール2の高さよりもL1だけ高い位置に設けられる。天井パネル51は、開口部24aを開閉可能である。補助パネル52は、開口部21aを開閉可能である。シャッタ31が閉状態の際には、第1パネル21に補助パネル52が当接し、開口部21aが閉状態となる。2つの縦パネル50-1,50-2と、天井パネル51と、補助パネル52とは一体で形成され、これらが一体でスライド可能に設けられている。例えば、シャッタ31は、天井パネル51及び縦パネル50の面に平行な方向(以下、「面方向」という。)にスライド可能である。本実施形態では、面方向は、±Z方向である。これにより、シャッタ31の開閉をスムーズかつ適切に行うことができる。なお、開口部21aが形成されていない場合には、シャッタ31は、補助パネル52を有していなくてもよい。
【0038】
図7は、シャッタ31の縦パネル50の下端を拡大した斜視図である。
図8は、シャッタ31の縦パネル50の下端を拡大した断面図である。
図7及び
図8に示すように、縦パネル50の下端部には、例えば、複数のガイドローラ60が回転可能に取り付けられている。ガイドローラ60は、シャッタ31をスライド移動可能にガイドする。例えば、第3パネル23-1及び第3パネル23-2のそれぞれには、
図8に示すように、Z方向に延びたガイドレール23gが形成されている。このガイドレール23gにガイドローラ60が連結し、ガイドローラ60がガイドレール23gに対して摺動する。また、
図2及び
図3に例示するように、天井パネル51と第4パネル24との間には、ガイド部200が設けられている。具体的には、第4パネル24の上面に、Z方向に延びたガイド部200が設けられている。ガイド部200は、天井パネル51の下面に連結し、シャッタ31を±Z方向に案内する。
【0039】
シャッタ駆動部32は、制御部40からの指令信号に基づいて、シャッタ31を±Z方向にスライドさせる。シャッタ駆動部32は、例えば、シャッタ31を移動させるためのアクチュエータを備える。このアクチュエータは、例えば、シリンダ装置である。この場合には、シリンダ装置のロッドが天井パネル51の下面に固定されており、ロッドの進退に伴ってシャッタ31がスライドする。なお、シャッタ駆動部32は、シリンダ装置に限定されず、アクチュエータとして、例えば、回転モータにより駆動される直動機構、又はリニアモータを備えてもよい。
【0040】
シャッタ駆動部32は、加工領域Kを閉じる場合には、シャッタ31を第1位置にスライド移動させる。すなわち、シャッタ駆動部32は、シャッタ31を+Z方向にスライド移動させることでシャッタ31を閉じる。その結果、開口部100が閉状態となる。シャッタ31が閉状態の際には、加工領域Kにおけるシャッタ31の閉じ側(+Z方向)に位置する第1パネル21にシャッタ31の縁部AMが当接する。これにより、開口部100がシャッタ31によって閉状態となり、加工領域Kが閉鎖された空間となる。一方、シャッタ駆動部32は、加工領域Kを開ける場合には、シャッタ31を第2位置にスライド移動させる。すなわち、シャッタ駆動部32は、シャッタ31を-Z方向にスライド移動させることでシャッタ31を開ける。その結果、開口部100が開状態となる。シャッタ31が開状態の際には、例えば、縁部AMが所定距離PD1だけ-Z方向にスライド移動した状態となる。これにより、開口部100がシャッタ31によって開状態となり、加工領域Kが開状態となる。
【0041】
制御部40は、シャッタ駆動部32の動作を制御する。制御部40は、例えば、シャッタ31を開状態に制御する場合には、シャッタ駆動部32に対して開状態を示す指令信号(以下、「開指令信号」という。)を送信する。一方、制御部40は、シャッタ31を閉状態に制御する場合には、シャッタ駆動部32に対して閉状態を示す指令信号(以下、「閉指令信号」という。)を送信する。制御部40は、シャッタ31の状態が閉状態と開状態との何れであるかを監視している。制御部40は、ローダ装置1と有線又は無線で接続されており、ローダ装置1と情報を送受する。制御部40は、ローダ装置1の動作を制御してもよい。制御部40は、ローダ装置1と通信し、ローダヘッド4における±X方向の移動の開始を制御してもよい。すなわち、制御部40は、ローダ装置1と通信し、ローダヘッド4が加工領域K内へ進入するタイミングを制御してもよい。
【0042】
次に、本実施形態に係る旋盤LMの動作の一例について説明する。制御部40は、旋盤LMによるワークWの加工を実行する場合には、シャッタ31が開状態であるかを確認し、開状態である場合には、ローダ装置1に第1搬送指令を送信する。制御部40は、シャッタ31が閉状態である場合には、シャッタ駆動部32に対してシャッタ31を開状態にさせた後にローダ装置1に第1搬送指令を送信する。例えば、制御部40は、シャッタ31が閉状態である場合には、シャッタ駆動部32に開指令信号を送信する。シャッタ駆動部32は、開指令信号を受信した場合には、シャッタ31を-Z方向にスライド移動させてシャッタ31を開状態にする。シャッタ31が開状態の場合には、加工領域K内に進入可能である。
【0043】
ローダ装置1は、第1搬送指令を受信すると、搬入部HNに載置されているワークWを把持する。例えば、ローダ装置1は、Y方向移動体3bを-Y方向に移動させ、搬入部HNに載置されているワークWをローダチャック4aで把持する(
図9参照)。ローダ装置1は、ワークWをローダチャック4aで把持すると、そのワークWを加工領域K内に移送する。具体的には、ローダ装置1は、ワークWをローダチャック4aで把持すると、Y方向移動体3bを+Y方向に移動させてローダヘッド4を規定位置まで上昇させる。そして、ローダ装置1は、ローダヘッド4が主軸SPの上方に位置するまで、X方向移動体3aを-X方向に移動させる(
図10参照)。
【0044】
図11は、ローダヘッド4が±X方向に移動する際のローダヘッド4のY方向の位置(規定位置)を示す図である。
図11に示すように、第1面部23fの上端H1の位置は、主軸SPよりも高い位置である。換言すれば、シャッタ31の縦パネル50の下端は、主軸SPより高い位置に設定される。また、第1面部23fの上端H1の位置(縦パネル50の下端)は、規定位置にあるローダヘッド4がローダチャック4aで把持しているワークWよりも低い位置に設定されている。例えば、第1面部23fの上端H1の位置は、主軸SPよりも距離L2だけ高い位置であり、且つ、ローダチャック4aよりも距離L3だけ低い位置に設定されている。距離L3は、ローダヘッド4が把持しているワークWが第1面部23fの上端H1に当たらないような距離に設定されている。
【0045】
図12に示すように、ワークWを把持したローダヘッド4が加工領域K内に進入し、そのローダヘッド4が主軸SPの上方に位置すると、ローダ装置1は、X方向移動体3aの-X方向の移動を停止する。そして、ローダ装置1は、Y方向移動体3bを-Y方向に移動させる。これにより、
図13及び
図14に示すように、ローダヘッド4は、ローダチャック4aでワークWを把持したまま下降し、ワークWを主軸SPの主軸チャックSCに渡す。
【0046】
このように、主軸SPに対してワークWを渡す場合において、シャッタ31を開くことで加工領域Kの±X方向側が開状態となり、縦パネル50が閉状態のときに位置していた領域をローダヘッド4が通過し、天井パネル51が閉状態のときに位置していた領域をヘッド支持部(Y方向移動体3b)が通過することが可能となる。すなわち、主軸SPに対するワークWの受け渡しを行う為に、シャッタ31の開動作により縦パネル50が開いた位置をローダヘッド4が通過し、開動作により天井パネル51が開いた位置をヘッド支持部が通過することで加工領域Kに対するローダヘッド4の進入が行われる。これにより、ローダヘッド4は、本体カバー20よりも上方まで大きく上昇する必要がなく、さらに、その上昇した位置から主軸まで大きく下降する必要がない。その結果、ワークWを主軸SPに渡す際に、ローダヘッド4の移動距離が短くなり、ワークWの加工効率を向上させることができる。
【0047】
ローダ装置1は、ワークWを主軸SPの主軸チャックSCに渡すと、ローダヘッド4を規定位置まで上昇させる。そして、ローダ装置1は、ローダヘッド4を+X方向に移動させてローダヘッド4を加工領域Kから退避させる。例えば、ローダ装置1は、ローダヘッド4が搬入部HNの上方に位置するまでX方向移動体3aを+X方向に移動させることで、ローダヘッド4を加工領域Kから退避させる。すなわち、縦パネル50が開いた位置をローダヘッド4が通過し、開動作により天井パネル51が開いた位置をヘッド支持部が通過することで加工領域Kに対するローダ装置1の退避が行われる。
【0048】
制御部40は、ローダ装置1と通信し、ローダヘッド4が加工領域Kから退避したことを検出すると、シャッタ駆動部32に閉指令信号を送信する。シャッタ駆動部32は、閉指令信号を受信すると、シャッタ31を+Z方向にスライド移動させてシャッタ31を閉状態にする。これにより、開口部100がシャッタ31によって覆われて、加工領域Kがシャッタ31及び本体カバー20によって閉鎖された空間となる。シャッタ31が閉状態になると、旋盤LMは、
図15に示すように、主軸SPに保持されたワークWを回転させて、その回転しているワークWを加工する。
【0049】
制御部40は、旋盤LMによるワークWの加工が完了すると、シャッタ駆動部32に開指令信号を送信する。シャッタ駆動部32は、開指令信号を受信すると、シャッタ31を-Z方向にスライド移動させてシャッタ31を開状態にする。これにより、開口部100が開状態となり、ローダヘッド4が加工領域K内に進入可能となる。制御部40は、シャッタ31が開状態になると、ローダ装置1に第2搬送指令を送信する。第2搬送指令とは、加工後のワークWを搬出部HSに搬送させるための信号である。
【0050】
ローダ装置1は、第2搬送指令を受信すると、ローダヘッド4を加工領域Kに進入させて、加工後のワークWを主軸SPから受け取る。具体的には、ローダ装置1は、第2搬送指令を受信すると、ローダヘッド4が主軸SPの上方に位置するまでX方向移動体3aを-X方向に移動させる。そして、ローダ装置1は、ローダヘッド4が主軸SPの上方に位置すると、そのローダヘッド4を下降させて、主軸チャックSCで保持されている加工後のワークWをローダチャック4aで受け取る。
【0051】
このように、主軸SPに対するワークWの受け渡しを行う為に、シャッタ31の開動作により縦パネル50が開いた位置をローダヘッド4が通過し、当該開動作により天井パネル51が開いた位置をヘッド支持部(Y方向移動体3b)が通過することで加工領域Kに対するローダヘッド4の進入又は退出が行われる。これにより、ローダヘッド4は、本体カバー20よりも上方まで大きく上昇する必要がなく、さらに、その上昇した位置から主軸まで大きく下降する必要がない。その結果、ワークWを主軸SPから受け取る際に、ローダヘッド4の移動距離が短くなり、ワークの加工効率を向上させることができる。
【0052】
ローダ装置1は、加工後のワークWを主軸SPから受け取ると、ローダヘッド4を規定位置まで上昇させる。そして、ローダ装置1は、ローダヘッド4を-X方向に移動させて加工領域Kから退避させる。具体的には、ローダ装置1は、ローダヘッド4が搬出部HSの上方に位置するまでX方向移動体3aを-X方向に移動させることで、ローダヘッド4を加工領域Kから退避させる。ローダ装置1は、ローダヘッド4が搬出部HSの上方に位置すると、ローダヘッド4を下降させて、加工後のワークWを搬出部HSに載置する(
図16参照)。
【0053】
なお、上述した例では、旋盤LMが、主軸SPの中心軸C1が鉛直方向である、いわゆる立型旋盤であるとして説明したが、これに限定されない。例えば、
図17に例示するように、旋盤LMは、立型旋盤ではなく、例えば、主軸SPの中心軸C1が水平方向である旋盤であってもよい。
【0054】
上述した例では、ローダヘッド4が+X方向から加工領域Kに進入し、ローダヘッド4が加工領域Kから-X方向へ退出する場合について説明したが、これに限定されない。例えば、ローダヘッド4は、+X方向と-X方向とのうちの一方側から進入し、且つ当該一方側へ退出してもよい。すなわち、ローダヘッド4は、+X方向から加工領域Kに進入し、且つ、加工領域Kから+X方向へ退出してもよい。同様に、ローダヘッド4は、-X方向から加工領域Kに進入し、且つ、加工領域Kから-X方向へ退出してもよい。
【0055】
図18は、実施形態に係る旋盤の他の例を示す斜視図である。
図18では、説明が煩雑になる事を避けるために、主レール2の記載は省略している。シャッタ31は、複数に分割した構成を備えてもよい。例えば、シャッタ31は、X方向に2分割した構成を備え、それぞれが個別にスライド可能であってもよい。
図18に示するように、シャッタ31は、例えば、2分割した構成として、第1シャッタ310と、第2シャッタ320とを備える。第1シャッタ310は、+X側に配置されており、±Z方向にスライド可能に設けられる。第2シャッタ320は、-X側に配置されており、±Z方向にスライド可能に設けられる。第1シャッタ310と第2シャッタ320とは、別体で構成されている。そのため、
図19に例示するように、制御部40によってそれぞれ個別にスライド可能である。
図19は、第1シャッタ310が開状態に制御され、第2シャッタ320が閉状態に制御されている様子を示す。
【0056】
図18に示す例では、ローダヘッド4は、-X方向から加工領域Kに進入し、且つ、加工領域Kから-X方向へ退出する。ローダヘッド4が一方側から入退出する場合には、第1シャッタ310と第2シャッタ320とのうち、一方側に配置されている方のみをスライド可能に設けてもよい。
図18に示す例では、第1シャッタ310がスライド可能に設けられていればよく、第2シャッタ320は、スライド可能であってもよいし、閉状態で固定されてもよい。すなわち、本発明の「シャッタ」は、分割されていないシャッタ31であってもよいし、複数に分割されたシャッタ31(第1シャッタ310と第2シャッタ320)であってもよいし、第1シャッタ310と第2シャッタ320のいずれかであってもよい。
【0057】
上述したように、実施形態の旋盤LMは、加工領域Kの第1方向(+X側と-X側との両方又は一方)に配置される縦パネル50と、加工領域Kの上方に配置される天井パネル51とを有するシャッタを備える。シャッタ31は、第1方向と直交する第2方向にスライド可能に設けらる。例えば、第1方向は、水平面(XZ平面)における一方向である。第2方向は、水平面において、第1方向と直交する方向である。上述した例では、±X方向は第1方向の一例である。±Z方向は、第2方向の一例である。なお、
図18では+X方向にコントローラ400が配置された場合を例示しており、旋盤LMの前面を+X側としてもよい。
【0058】
なお、縦パネル50及び天井パネル51のうち少なくとも一方は、天井パネル51及び縦パネル50の面方向にスライドすることで加工領域を開閉してもよい。例えば、縦パネル50が面方向(面に平行な方向)にスライド可能に設けられ、天井パネル51が回転可能に設けられてもよい。この場合には、縦パネル50が-Z方向(面方向)にスライド移動し、且つ、天井パネル51が上方側又は下方側に回転することで加工領域Kが開状態となる。
【0059】
なお、本実施形態は、下記の構成を開示する。
(構成1)
ローダ装置1と、ローダ装置1によりワークWが受け渡される主軸SPとを備え、主軸SPに保持されて回転するワークWを加工する旋盤LMにおいて、
ワークWの加工を行う加工領域Kを囲む本体カバー20と、
本体カバー20の一部に設けられて加工領域Kを開閉可能なシャッタ31と、を備え、
シャッタ31は、加工領域Kの上方に配置される天井パネル51と、天井パネル51に接続され且つ下方に向けて延びる縦パネル50と、を有し、
ローダ装置1は、ワークWを保持するローダヘッド4と、ローダヘッド4を支持するヘッド支持部(Y方向移動体3b)とを備え、
主軸SPに対するワークWの受け渡しを行う為に、シャッタ31の開動作により縦パネル50が開いた位置をローダヘッド4が通過し、当該開動作により天井パネル51が開いた位置をヘッド支持部が通過することで加工領域Kに対するローダヘッド4の進入又は退出が行われる、旋盤。
(構成2)
シャッタ31は、縦パネル50と天井パネル51とが一体で設けられる、構成1に記載の旋盤。
(構成3)
縦パネル50及び天井パネル51のうち少なくとも一方は、天井パネル51及び縦パネル50の面方向(±Z方向)にスライドすることで加工領域Kを開閉する、構成1又は構成2に記載の旋盤。
(構成4)
シャッタ31は、加工領域Kを挟むように対向して配置された2つの縦パネル50を有する、構成1から構成3のいずれかに記載の旋盤。
(構成5)
シャッタ31が閉状態の際、本体カバー20のうち加工領域Kにおけるシャッタ31の閉じ側(+Z方向)に位置する第1パネル21(固定パネル)にシャッタ31の縁部AMが当接することで、加工領域Kを閉じる、構成1から構成4のいずれかに記載の旋盤。
(構成6)
縦パネル50の下端は、主軸SPより高い位置に設定される、構成1から構成5のいずれかに記載の旋盤。
(構成7)
ローダ装置1は、縦パネル50の面と交差する方向に延びて設けられ且つローダヘッド4及びヘッド支持部を走行可能に案内する主レールを有しており、
主レール2は、天井パネル51よりも低い位置に配置される、構成1から構成6のいずれかに記載の旋盤。
【0060】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態に限定されない。上記した実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることは当業者において明らかである。また、そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。また、上記した実施形態などで説明した要件の1つ以上は、省略されることがある。また、上記した実施形態などで説明した要件は、適宜組み合わせることができる。また、本実施形態において示した各処理の実行順序は、前の処理の出力を後の処理で用いるものでない限り、任意の順序で実現可能である。また、上記した実施形態における動作に関して、便宜上「まず」、「次に」、「続いて」等を用いて説明したとしても、この順序で実施することが必須ではない。
【符号の説明】
【0061】
SP・・・主軸
LM・・・旋盤
W・・・ワーク
1・・・ローダ装置
2・・・主レール
4・・・ローダヘッド
20・・・本体カバー
31・・・シャッタ
50・・・縦パネル
51・・・天井パネル
21・・・第1パネル(固定パネル)