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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024065710
(43)【公開日】2024-05-15
(54)【発明の名称】耳覆い型の音響機器
(51)【国際特許分類】
   H04R 1/10 20060101AFI20240508BHJP
【FI】
H04R1/10 103
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022174710
(22)【出願日】2022-10-31
(71)【出願人】
【識別番号】000128566
【氏名又は名称】株式会社オーディオテクニカ
(74)【代理人】
【識別番号】100141173
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 啓一
(71)【出願人】
【識別番号】000124085
【氏名又は名称】加藤電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076831
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 捷雄
(74)【代理人】
【識別番号】100141173
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 啓一
(72)【発明者】
【氏名】坪根 広大
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 健
【テーマコード(参考)】
5D005
【Fターム(参考)】
5D005BD02
5D005BD08
5D005BD13
(57)【要約】      (修正有)
【課題】使用者の頭部に対する装着性が向上する耳覆い型の音響機器を提供する。
【解決手段】ヘッドホン1は、一対の放音ユニット10,20と、ヘッドバンド部30と、放音ユニットとヘッドバンドとを連結する連結機構40,50と、を有する。一対の放音ユニット10,20それぞれは、イヤパッド14,24と、ハウジング13a,23aと、を備える。連結機構40,50は、ヘッドバンド30の端部に取り付けられるヘッドバンド支持部材41,51と、ハウジング13a,23aを支持するハウジング支持部材42,52と、ヘッドバンド支持部材41,51に対してハウジング支持部材42,52を所定角度の範囲内で回転可能に連結する連結部材と、を備える。連結部材は、ハウジング支持部材42,52を介してハウジング13a,23aを頭部がある方向に付勢する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の頭部に装着されて、前記使用者の耳を覆う耳覆い型の音響機器であって、
前記使用者の前記耳を覆う一対の放音ユニットと、
長手方向において弧状に湾曲して、前記長手方向の一端と他端とで一対の前記放音ユニットを支持するヘッドバンドと、
前記放音ユニットと前記ヘッドバンドとを連結する連結機構と、
を有してなり、
一対の前記放音ユニットそれぞれは、
バッフル部材と、
前記バッフル部材の第1方向側に取り付けられるイヤパッドと、
前記バッフル部材の前記第1方向側と反対側の第2方向側に取り付けられるハウジングと、
を備え、
前記連結機構は、
前記ヘッドバンドの前記一端と前記他端それぞれに取り付けられて、前記ヘッドバンドに支持されるヘッドバンド支持部材と、
前記ハウジングの外周面のうち、前記ヘッドバンド側の外周面に取り付けられて、前記ハウジングを支持するハウジング支持部材と、
前記ヘッドバンド支持部材に対して、前記ハウジング支持部材を所定角度の範囲内で前記第1方向側および前記第2方向側に回転可能に連結する連結部材と、
を備え、
前記連結部材は、前記ハウジング支持部材を介して前記ハウジングを前記第1方向側に付勢する、
ことを特徴とする耳覆い型の音響機器。
【請求項2】
前記連結部材は、
前記ハウジング支持部材の回転軸として機能する軸部材と
前記軸部材が挿通されて、前記軸部材の軸方向に伸縮するばね部材と、
前記軸部材に取り付けられるヒンジ部材と、
前記軸部材と前記ヒンジ部材とに取り付けられて、前記ヒンジ部材の回転に応じて、前記ばね部材を前記軸方向に伸縮させるカム部材と、
を備え、
前記ヒンジ部材は、
前記軸部材の周方向に前記所定角度の範囲内で回転するベース部材と、
前記ベース部材に対して相対的に回転するブラケット部材と、
を備える、
請求項1記載の耳覆い型の音響機器。
【請求項3】
前記軸部材の軸心は、前記ヘッドバンドの前記長手方向における、前記ヘッドバンドの中心を通る仮想中心曲線よりも、前記使用者に装着されているときの前記使用者の前記頭部側とは反対側に位置する、
請求項2記載の耳覆い型の音響機器。
【請求項4】
前記ヘッドバンドに対して前記連結機構を回転可能に連結する回転軸部材、
を有してなり、
一対の前記放音ユニットそれぞれは、
前記連結機構を介して、前記回転軸部材を回転軸として使用位置と非使用位置との間で回転可能であり、
前記放音ユニットの動作に必要な電力を蓄える蓄電池と、
前記蓄電池に蓄えられる前記電力を供給する充電器の送電部から、前記電力を受け取る受電部、
を備え、
前記受電部は、前記ハウジングのうち、前記連結機構側の半部であって、かつ、前記放音ユニットが前記非使用位置に回転されたときに前記ヘッドバンド側となる位置に収容される、
請求項2記載の耳覆い型の音響機器。
【請求項5】
前記ハウジングは、前記ハウジング支持部材を介して、前記ばね部材の付勢力により前記第1方向側に付勢されて、
前記ヘッドバンド支持部材に対して前記ハウジング支持部材が前記第2方向側に回転するような外力が前記ハウジング支持部材に加えられたとき、前記カム部材は、前記ばね部材を前記軸方向に圧縮して、
前記外力が解除されたとき、前記ハウジングは、前記ばね部材の前記付勢力により、前記ハウジング支持部材を介して前記第1方向側に回転する、
請求項2記載の耳覆い型の音響機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耳覆い型の音響機器に関する。
【背景技術】
【0002】
音響機器のうち、使用者の頭部に装着されて、使用者の耳を覆う耳覆い型の音響機器には、例えば、ヘッドホンとイヤーマフとがある。ヘッドホンは、使用者が楽音再生機などの音源からの楽音を聞くために使用される。イヤーマフは、使用者の耳全体を覆う聴覚保護用防音具であり、例えば、工事現場や飛行場など騒音が大きい現場で使用される。
【0003】
従来、耳覆い型の音響機器は、左右の放音ユニットと、左右の各放音ユニットを連結するヘッドバンドと、左右の各放音ユニットとヘッドバンドとを連結する左右の各アーム部材と、を備える(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-169871号公報
【0005】
図11は、従来の耳覆い型の音響機器の一例である、ヘッドホンを示す外観図である。
【0006】
ヘッドホン100は、使用者の頭部に装着されて、例えば、携帯型音楽再生機などの音源(不図示)からの音声信号に応じた音波を出力する。ヘッドホン100は、左放音ユニット110と、右放音ユニット120と、左放音ユニット110と右放音ユニット120とを連結するヘッドバンド130と、を有してなる。
【0007】
左右の放音ユニット110,120は、ヘッドホン100が使用者の頭部に装着された状態(以下「装着状態」という。)において、頭部のうち、使用者の耳介(不図示)の周囲に押し当てられる。
【0008】
ヘッドバンド130は、長手方向の両端部で左右の放音ユニット110,120に連結されて、左右の放音ユニット110,120を支持する。ヘッドバンド130は、弾性を有して、弧状に湾曲している。装着状態において、ヘッドバンド130は、左右の放音ユニット110,120それぞれが互いに近接する方向(すなわち、頭部が有る方向:第1方向)に向けて左右の放音ユニット110,120を押し付ける力(側圧)を使用者の頭部に与える。ヘッドバンド130は、第1方向と、第1方向の反対側の第2方向とに変形可能である。ヘッドバンド130は、バンド本体131と、左アーム部材132と、右アーム部材133と、を備える。
【0009】
左右のアーム部材132,133は、左右の放音ユニット110,120を揺動可能に支持する軸部(不図示)を備えて、軸部の軸心PXを中心に使用者の頭部に対する左右の放音ユニット110,120の角度を調節する。
【0010】
使用者は、ヘッドホン100を頭部に装着するとき、左右の放音ユニット110,120それぞれに第2方向への外力を加えて、左右の放音ユニット110,120間の距離を広げる。装着後に外力が解除されると、左右の放音ユニット110,120は、ヘッドバンド130の弾性力により第1方向側(頭部側)に押し付けられる。頭部側に押し付けられた左右の放音ユニット110,120それぞれの頭部に対する角度は、左右のアーム部材132,133が軸部の軸心PXを中心に揺動することで、調節される。その結果、左右の放音ユニット110,120は、頭部に密着する。
【0011】
軸部の軸心PXは、上下方向において各放音ユニット110,120の中央付近、かつ、装着状態において使用者の耳の真横付近に位置する。すなわち、装着状態において、バンド本体131は、右のアーム部材132,133を介して、使用者の耳の真横付近で左右の放音ユニット110,120を支持している。つまり、装着状態において、左右のアーム部材132,133が軸部の軸心PXを中心に揺動して各放音ユニット110,120を第1方向側に押し付ける。その結果、アーム部材132と連結しているバンド本体131の一端側と、アーム部材133と連結しているバンド本体131の他端側とは、頭部から第2方向側に離れる。
【0012】
バンド本体131の一端部と他端部それぞれが使用者の頭部から離れた位置に位置するため、同一端部と同他端部それぞれは、使用者の頭部には接触しない。つまり、バンド本体131の中央部付近のみが使用者の頭部に触れる。すなわち、バンド本体131の全体に占める使用者の頭部との接触面積(接触長さ)は、小さい。そして、装着状態において、ヘッドホン100の重量の大半は、バンド本体131が使用者の頭部に接触している部分に加わる。このように、バンド本体131の全体に占める使用者の頭部との接触面積(接触長さ)が小さいと、単位面積当たりの荷重は増える。換言すれば、使用者の頭部には、部分的に負担が掛かる。その結果、ヘッドホン100の使用者の頭部に対する装着性は、悪化する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、耳覆い型の音響機器の使用者の頭部に対する装着性が向上する耳覆い型の音響機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係る耳覆い型の音響機器は、使用者の頭部に装着されて、使用者の耳を覆う耳覆い型の音響機器であって、使用者の耳を覆う一対の放音ユニットと、長手方向いおいて弧状に湾曲して、長手方向の一端と他端とで一対の放音ユニットを支持するヘッドバンドと、放音ユニットとヘッドバンドとを連結する連結機構と、を有してなり、一対の放音ユニットそれぞれは、バッフル部材と、バッフル部材の第1方向側に取り付けられるイヤパッドと、バッフル部材の第1方向側と反対側の第2方向側に取り付けられるハウジングと、を備え、連結機構は、ヘッドバンドの一端と他端それぞれに取り付けられて、ヘッドバンドに支持されるヘッドバンド支持部材と、ハウジングの外周面のうち、ヘッドバンド側の外周面に取り付けられて、ハウジングを支持するハウジング支持部材と、ヘッドバンド支持部材に対して、ハウジング支持部材を所定角度の範囲内で第1方向側および第2方向側に回転可能に連結する連結部材と、を備え、連結部材は、ハウジング支持部材を介してハウジングを第1方向側に付勢する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、使用者の頭部に対する装着性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係る耳覆い型の音響機器の実施の形態を示す斜視図である。
図2図1の耳覆い型の音響機器のA矢視図である。
図3図2の耳覆い型の音響機器のBB線における断面図である。
図4図3の耳覆い型の音響機器のCC線における断面図である。
図5図1の耳覆い型の音響機器が備える左連結機構の部分拡大模式図である。
図6図5の左連結機構が備える第1連結部材の分解斜視図である。
図7図1の耳覆い型の音響機器が備えるヘッドバンド部に対する、図1の耳覆い型の音響機器が備える左放音ユニットの回転の様子を示す模式図である。
図8図7の左放音ユニットが回転しているときの、図6の第1連結部材の回転の様子を示す模式図である。
図9図1の耳覆い型の音響機器が収納ケースに収納された状態を示す模式図である。
図10】耳覆い型の音響機器が使用者の頭部に装着された状態を示す模式図であり、(a)は図1の耳覆い型の音響機器が使用者の頭部に装着された状態を示す模式図であり、(b)は従来の耳覆い型の音響機器が使用者の頭部に装着された状態を示す模式図である。
図11】従来の耳覆い型の音響機器を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
●音響機器●
以下、図面を参照しながら、本発明に係る耳覆い型の音響機器(以下「本機器」という。)の実施の形態について、ヘッドホンを例に説明する。
【0018】
●ヘッドホンの構成
図1は、本機器の一例である、ヘッドホンの実施の形態を示す斜視図である。
【0019】
ヘッドホン1は、ヘッドホン1の使用者の頭部に装着されて、例えば、携帯型楽音再生機などの音源(不図示)からの音声信号に応じた音波を使用者の耳に向けて出力する。ヘッドホン1は、無線通信回線を介して、音源から音声信号を受信する無線式のヘッドホンである。ヘッドホン1は、左放音ユニット10と、右放音ユニット20と、ヘッドバンド部30と、左連結機構40と、右連結機構50と、左回転軸部材60(図5参照)と、右回転軸部材(不図示)と、信号線70(図2参照)と、を有してなる。左放音ユニット10は、右放音ユニット20と共に、一対の放音ユニットを構成する。
【0020】
なお、本発明におけるヘッドホンは、ケーブルを介して、音源から音声信号を受信する有線式のヘッドホンでもよい。
【0021】
以下の説明において、ヘッドホン1の上下左右前後の各方向は、使用者の頭部にヘッドホン1が装着された状態(以下「装着状態」という。)における使用者の上下左右前後の各方向と同じである。すなわち、例えば、使用者の頭部のうち、使用者の左耳の周囲には左放音ユニット10が装着されて、右耳の周囲には右放音ユニット20が装着される。
【0022】
また、以下の説明において、「第1方向」は、装着状態において、左放音ユニット10と右放音ユニット20それぞれに対して使用者の頭部が位置する方向である。すなわち、左放音ユニット10の第1方向は使用者の右方向であり、右放音ユニット20の第1方向は使用者の左方向である。
【0023】
さらに、以下の説明において、「第2方向」は、第1方向の反対側の方向である。すなわち、左放音ユニット10の第2方向は使用者の左方向であり、右放音ユニット20の第2方向は使用者の右方向である。
【0024】
さらにまた、以下の説明において、「第3方向」は、装着状態において、第1方向と第2方向とに直交する前後方向に沿う方向であり、使用者の前方向である。
【0025】
さらにまた、以下の説明において、「第4方向」は、第3方向の反対側の方向である。すなわち、左放音ユニット10と右放音ユニット20それぞれの第4方向は、使用者の後方向である。
【0026】
左放音ユニット10は、使用者の左耳を覆うように左耳の周囲に装着されて、音源からの音声信号に応じた音波を使用者の左耳に向けて出力する。左放音ユニット10は、左側面視(第2方向視)において、円形である。左放音ユニット10の具体的構成は、後述される。
【0027】
右放音ユニット20は、使用者の右耳を覆うように右耳の周囲に装着されて、音源からの音声信号に応じた音波を使用者の右耳に向けて出力する。右放音ユニット20は、右側面視(第1方向視)において、円形である。右放音ユニット20の具体的構成は、後述される。
【0028】
ヘッドバンド部30は、使用者の頭部の外形に沿うような曲率で弧状に湾曲する形状を有して、第1方向と第2方向とに変形する。ヘッドバンド部30は、長手方向の一端部(左端部)で、左連結機構40を介して左放音ユニット10と連結されて、左放音ユニット10を支持する。ヘッドバンド部30は、長手方向の他端部(右端部)で、右連結機構50を介して右放音ユニット20と連結されて、右放音ユニット20を支持する。すなわち、ヘッドバンド部30は、長手方向の両端部で左右の放音ユニット10,20を支持する。ヘッドバンド部30は、本発明におけるヘッドバンドの例である。装着状態において、ヘッドバンド部30は、左右の放音ユニット10,20それぞれが互いに近接する方向(すなわち、頭部が有る方向:第1方向)に向けて左右の放音ユニット10,20を押し付ける力(側圧)を使用者の頭部に与える。すなわち、ヘッドバンド部30は、装着状態において、左右の放音ユニット10,20を介して使用者の頭部に側圧を与えて、左右の各放音ユニット10,20を使用者の頭部に固定する。
【0029】
ヘッドバンド部30は、バンド本体31と、左スライダ機構32と、右スライダ機構33と、を備える。バンド本体31は、使用者の頭部の外形に沿うような曲率で弧状に湾曲する形状を有して、第1方向と第2方向とに変形する弾性を有する。左スライダ機構32は、バンド本体31の一端部(左端部)に配置されて、左放音ユニット10の位置(バンド本体31に対する左放音ユニット10の距離)を調節する。右スライダ機構33は、バンド本体31の他端部(右端部)に配置されて、右放音ユニット20の位置(バンド本体31に対する右放音ユニット20の距離)を調節する。
【0030】
左連結機構40は、ヘッドバンド部30の一端と、左放音ユニット10の上部と、に取り付けられて、ヘッドバンド部30と左放音ユニット10とを連結する。左連結機構40は、ヘッドバンド部30に対して左放音ユニット10を第1方向側と第2方向側とに回転させる。左連結機構40は、ヘッドバンド支持部材41と、ハウジング支持部材42と、連結部材43(図5参照)と、を備える。ヘッドバンド支持部材41と、ハウジング支持部材42と、連結部材43と、の具体的構成は、後述される。左連結機構40は、本発明における連結機構の例である。
【0031】
右連結機構50は、ヘッドバンド部30の他端と、右放音ユニット20の上部と、に取り付けられて、ヘッドバンド部30と右放音ユニット20とを連結する。右連結機構50は、ヘッドバンド部30に対して右放音ユニット20を第1方向側と第2方向側とに回転させる。右連結機構50は、ヘッドバンド支持部材51と、ハウジング支持部材52と、連結部材(不図示)と、を備える。ヘッドバンド支持部材51と、ハウジング支持部材52と、連結部材(不図示)と、の具体的構成は、後述される。右連結機構50は、本発明における連結機構の例である。
【0032】
左回転軸部材60(図5参照)は、ヘッドバンド部30(左スライダ機構32)に対して左放音ユニット10を回転可能に連結する。左回転軸部材60は、上下方向に貫通する貫通孔(不図示)を備える、中空の円筒状の軸体(軸部材)である。左回転軸部材60は、一端(上端)がヘッドバンド部30に回転可能に取り付けられて、他端(下端)が左連結機構40に取り付けられる。左放音ユニット10は、ヘッドバンド部30(左スライダ機構32)に対して、左回転軸部材60を回転軸として、時計回りに約90度回転可能である。左回転軸部材60の貫通孔の内部には、信号線70が配線される。左放音ユニット10が回転していない状態(後述されるイヤパッド14が第1方向に向けられた状態)は、左放音ユニット10が使用位置にある状態である。左放音ユニット10が時計回りに約90度回転している状態は、左放音ユニット10が非使用位置にある状態である。
【0033】
右回転軸部材(不図示)は、ヘッドバンド部30(右スライダ機構33)に対して右放音ユニット20を回転可能に連結する。右回転軸部材は、上下方向に貫通する貫通孔を備える、中空の円筒状の軸体(軸部材)である。右回転軸部材は、一端(上端)がヘッドバンド部30に回転可能に取り付けられて、他端(下端)が右連結機構50に取り付けられる。右放音ユニット20は、ヘッドバンド部30(右スライダ機構33)に対して、右回転軸部材を回転軸として、反時計回りに約90度回転可能である。右回転軸部材の貫通孔の内部には、信号線70が配線される。右放音ユニット20が回転していない状態(後述されるイヤパッド24が第1方向に向けられた状態)は、右放音ユニット20が使用位置にある状態である。右放音ユニット20が反時計回りに約90度回転している状態は、右放音ユニット20が非使用位置にある状態である。
【0034】
信号線70(図2参照)は、左放音ユニット10で生成される、後述される処理信号(電気信号)を右放音ユニット20の後述される右ドライバユニット(不図示)に伝送(送信)する。信号線70は、左放音ユニット10と右放音ユニット20との間に、左右の連結機構40,50の内部と、ヘッドバンド部30の内部と、を介して配線される。信号線70の一端は左放音ユニット10の後述される回路基板15(図4参照)に接続されて、信号線70の他端は右放音ユニット20の後述される回路基板(不図示)に接続される。
【0035】
●左放音ユニットの構成
図2は、ヘッドホン1のA矢視図である。
同図は、説明の便宜上、ヘッドバンド部30の一部の構成と、左連結機構40の一部の構成を省略して示す。同図は、説明の便宜上、左連結機構40の一部の構成を簡略化して示す。
図3は、図2のヘッドホン1のBB線における断面図である。
同図は、説明の便宜上、左放音ユニット10の断面図のみを示す。
図4は、図3のヘッドホン1のCC線における断面図である。
以下の説明では、図1も適宜参照される。
【0036】
左放音ユニット10は、ドライバユニット11と、バッフル部材12と、第1ハウジング13aと、第2ハウジング13bと、イヤパッド14と、回路基板15と、蓄電池16と、通気孔17hと、受電部18と、外部電源端子19と、マイクロホンMと、収音孔Mhと、を備える。
【0037】
ドライバユニット11は、音源(不図示)からの音声信号に基づいて、音波を生成する。ドライバユニット11は、例えば、ダイナミック型のドライバユニットである。ドライバユニット11は、第1ハウジング13aに収容されて、バッフル部材12に保持される。
【0038】
バッフル部材12は、ドライバユニット11と第1ハウジング13aとイヤパッド14とを保持する。バッフル部材12は、例えば、ABS(Acrylonitrile-Butadiene-Styrene)樹脂などの合成樹脂製である。バッフル部材12は、中央にドライバユニット11が配置されるユニット孔12hを備える略リング状である。ドライバユニット11は、ユニット孔12hに配置されて、バッフル部材12に保持される。
【0039】
第1ハウジング13aは、バッフル部材12の第2方向側に取り付けられて、ドライバユニット11を収容する。第1ハウジング13aは、例えば、ABS樹脂などの合成樹脂製である。第1ハウジング13aは、中央に空間形成孔13ahを備える略リング状である。第1ハウジング13aは、ドライバユニット11とバッフル部材12と第2ハウジング13bと共に、第1空間SP1を区画する。第1ハウジング13aは、バッフル部材12と共に、第2空間SP2を区画する。第1ハウジング13aは、本発明におけるハウジングの例である。
【0040】
「第1空間SP1」は、ドライバユニット11と、バッフル部材12と、第1ハウジング13aと、第2ハウジング13bと、で囲まれた音響空間である。第1空間SP1は、第2方向視において、左放音ユニット10の略中央に配置される。
【0041】
「第2空間SP2」は、バッフル部材12と第1ハウジング13aとで囲まれた、電気系の部品が収容される収容空間(以下「電気部品収容空間」という。)である。第2空間SP2は、第2方向視において、第1空間SP1をリング状に取り囲むように区画されているリング状の空間である。すなわち、第2空間SP2は、第1空間SP1の外周に配置される空間である。第2空間SP2には、回路基板15と、蓄電池16と、受電部18と、外部電源端子19と、マイクロホンMと、が収容される。回路基板15と、蓄電池16と、受電部18と、外部電源端子19と、マイクロホンMとは、電気系の部品の例である。
【0042】
第2ハウジング13bは、第1ハウジング13aの第2方向側に取り付けられる。第2ハウジング13bは、有底の皿状である。第2ハウジング13bは、例えば、木製である。
【0043】
イヤパッド14は、第1ハウジング13aと使用者の頭部との間の緩衝材である。イヤパッド14は、バッフル部材12の第1方向側に取り付けられる。イヤパッド14は、第1方向視において、略リング状である。
【0044】
回路基板15は、例えば、ドライバユニット11を駆動させるための処理信号の生成や、無線通信機能やノイズキャンセル機能などの各種機能を実現する電子回路が実装される基板である。回路基板15には、信号線70の一端が接続される。回路基板15は、C字状かつ板状である。回路基板15は、第2空間SP2に収容される。
【0045】
蓄電池16は、商用電源などの外部電源(不図示)や、後述される充電器として機能する収納ケースSC(図9参照)から受け取った電力を蓄えると共に、回路基板15に実装された電子回路に必要な電力を供給する。換言すれば、蓄電池16は、左放音ユニット10の動作に必要な電力を蓄える。蓄電池16は、第2空間SP2に収容される。
【0046】
通気孔17hは、第1空間SP1と、左放音ユニット10の外部の空間(以下「外部空間」という。)と、を連通させる。通気孔17hは、第1ハウジング13aと第2ハウジング13bとで形成される。通気孔17hは、左放音ユニット10(第1ハウジング13a,第2ハウジング13b)の後部の外周面に位置するように配置される。
【0047】
なお、本発明において、通気孔は、第1ハウジング単体で形成されてもよく、第2ハウジング単体で形成されてもよい。
【0048】
受電部18は、収納ケースSCの送電部SC1(図9参照)から電力を受け取る。受電部18は、受け取った電力を蓄電池16に供給する。受電部18は、送電部SC1との距離が所定範囲内に近づいたとき、送電部SC1から供給される電力を受け取る。受電部18は、第2空間SP2に収容されて、バッフル部材12に取り付けられると共に、回路基板15に電気的に接続される。受電部18は、左放音ユニット10の上半部、かつ、前部に配置される。受電部18は、左放音ユニット10から露出しない。
【0049】
外部電源端子19は、蓄電池16に蓄えられる電力を供給する給電ケーブル(不図示)が接続される端子である。外部電源端子19は、給電ケーブルを介して、外部電源からの電力を蓄電池16に供給する。外部電源端子19は、例えば、USB(Universal Serial Bus)端子である。給電ケーブルは、例えば、USBケーブルである。外部電源端子19は、一部が外部空間に露出した状態で第2空間SPに収容される。外部電源端子19は、左放音ユニット10の下部に配置される。
【0050】
マイクロホンMは、使用者が発した音声を収音する。すなわち、マイクロホンMは、通話用マイクロホンである。マイクロホンMは、収音面が後述される収音孔Mhを介して外部空間に露出した状態で第2空間SP2に収容される。マイクロホンMは、左放音ユニット10の前部、かつ、受電部18の下部に配置される。
【0051】
収音孔Mhは、マイクロホンMの収音面を、外部空間に露出させる。収音孔Mhは、マイクロホンMの収音面と対向するように、第1ハウジング13aの外周面に配置される。
【0052】
●右放音ユニットの構成
右放音ユニット20の構成は、外部電源端子19と、マイクロホンMと、収音孔Mhと、を備えない点を除いて、左放音ユニット10の構成と略共通する。すなわち、右放音ユニット20は、ドライバユニット(不図示)と、バッフル部材(不図示)と、第1ハウジング23aと、第2ハウジング23bと、イヤパッド24と、回路基板(不図示)と、蓄電池(不図示)と、通気孔27hと、受電部28(図9参照)と、を備える。回路基板には、信号線70の他端が接続される。
【0053】
●左連結機構の構成
図5は、左連結機構40の部分拡大模式図である。
同図は、左連結機構40を第2方向側から見た状態を示す。同図は、説明の便宜上、ヘッドバンド支持部材41(図1参照)と、ハウジング支持部材42の一部と、を省略して示す。同図は、説明の便宜上、連結部材43の一部の構成を簡略化して示す。
【0054】
ヘッドバンド支持部材41は、ヘッドバンド部30の一端部(左スライダ機構32)に取り付けられて、ヘッドバンド部30に支持される。ヘッドバンド支持部材41は、連結部材43を介してハウジング支持部材42と連結される。ヘッドバンド支持部材41は、例えば、ABS樹脂などの合成樹脂製である。
【0055】
ハウジング支持部材42は、第1ハウジング13aにおける上部の外周面(ヘッドバンド部30側の外周面)に取り付けられて、第1ハウジング13aを支持する。ハウジング支持部材42は、例えば、ABS樹脂などの合成樹脂製である。
【0056】
連結部材43は、ヘッドバンド支持部材41に対して、第1方向側と第2方向側とに向けてハウジング支持部材42を所定角度(例えば、7度。以下同じ。)の範囲内で回転可能に、ヘッドバンド支持部材41とハウジング支持部材42とを連結する。連結部材43は、ヘッドバンド支持部材41とハウジング支持部材42との内部に収容される。連結部材43は、ハウジング支持部材42を介して、第1ハウジング13a(左放音ユニット10)を第1方向側に付勢する。連結部材43は、例えば、ステンレス製である。連結部材43は、第1連結部材44と、第2連結部材45と、ベース連結部材46と、を備える。
【0057】
●第1連結部材の構成
図6は、第1連結部材44の分解斜視図である。
同図は、第1連結部材44を第2方向側から見た分解斜視図である。同図の一点鎖線は、後述されるシャフト441の軸心(回転軸線AX1)を示す。以下の説明では、図5も参照される。
【0058】
第1連結部材44は、第2連結部材45よりも後方側(第4方向側)に、所定の間隔を空けて配置される。第1連結部材44は、第2連結部材45と共に、ヘッドバンド支持部材41に対してハウジング支持部材42を所定角度の範囲内で回転可能に連結する。第1連結部材44の上部はベース連結部材46を介してヘッドバンド支持部材41に連結されて、同下部はハウジング支持部材42に連結される。第1連結部材44は、シャフト(第1シャフト)441と、ストッパ442と、ベース部材(第1ベース部材)443と、ブラケット部材(第1ブラケット部材)444と、第1カム部材445と、第2カム部材446と、ばね部材447と、ワッシャ448と、を備える。
【0059】
シャフト441は、ヘッドバンド支持部材41に対してハウジング支持部材42が回転する際の回転軸として機能する軸状の部材である。シャフト441の軸心は、シャフト441の軸心を通る仮想直線は回転軸線AX1である。シャフト441は、シャフト441の軸方向(軸心方向)が前後方向(第3方向-第4方向)に沿う略円柱状の軸体である。シャフト441は、本発明における軸部材(第1軸部材)の例である。シャフト441は、軸部441aとフランジ部441bとを備える。軸部441aとフランジ部441bとは一体に構成されて、シャフト441が形成されている。
【0060】
軸部441aは、ストッパ442と、ベース部材443と、ブラケット部材444と、第1カム部材445と、第2カム部材446と、ばね部材447と、を支持する。軸部441aは、軸部441aの軸方向が前後方向に沿う、断面視において略楕円形状の部材である。
【0061】
フランジ部441bは、軸部441aの後端部寄りの一部が拡径されて形成されていて、ベース部材443とブラケット部材444との間の距離を所定間隔に空けるスペーサとして機能する。フランジ部441bは、軸部441aの後端寄りに配置される。
【0062】
ストッパ442は、ベース部材443の軸部441aに対する相対的な回転が所定角度の範囲内になるように規制する。ストッパ442は、フランジ部441bの前方にフランジ部441bに隣接して配置される。ストッパ442は、軸部441aと共に回転する。
【0063】
ベース部材443は、軸部441a(シャフト441)に軸支されて、軸部441aに対して軸部441aの周方向に所定角度の範囲内で、相対的に回転する。ベース部材443の軸部441aに対する相対的な回転は、ストッパ442により所定角度の範囲内に規制される。ベース部材443は、ベース本体443aと、連結部443bと、固定孔443hと、挿通孔(不図示)と、を備える。
【0064】
ベース本体443aは、軸部441aに対して軸部441aの周方向に所定角度の範囲内で、相対的に回転する。
【0065】
連結部443bは、ベース連結部材46を介して、ベース部材443(第1連結部材44)を第2連結部材45と連結させる。連結部443bは、ベース本体443aの右上端部から前方に向けて突出するように形成されている。
【0066】
固定孔443hは、連結部443bを上下方向に貫通する貫通孔である。固定孔443hには、ベース部材443をベース連結部材46に固定するための固定ねじ(不図示)が挿通される。
【0067】
挿通孔は、ベース本体443aを前後方向に貫通する貫通孔である。
【0068】
ベース部材443は、挿通孔に軸部441aが挿通されることにより、軸部441aに回転可能に軸支されて、ベース連結部材46を介してヘッドバンド支持部材41に取り付けられる。このとき、ベース部材443は、ストッパ442の前方にストッパ442に隣接して配置される。
【0069】
ブラケット部材444は、ハウジング支持部材42に取り付けられると共に、シャフト441(軸部441a)に取り付けられる。ブラケット部材444は、シャフト441の回転に伴い回転する。ブラケット部材444は、ブラケット本体444aと、連結部444bと、固定孔444hと、嵌込孔(不図示)と、を備える。
【0070】
ブラケット本体444aは、略上下方向に沿う板状の部材である。
【0071】
連結部444bは、ブラケット部材444(第1連結部材44)をハウジング支持部材42と連結させる。連結部444bは、ブラケット本体444aの下部から後方(第4方向)に突出するように形成されている。
【0072】
固定孔444hは、連結部444bを上下方向に貫通する貫通孔である。固定孔444hには、ブラケット部材444をハウジング支持部材42に固定するための固定ねじ(不図示)が挿通される。
【0073】
嵌込孔は、ブラケット本体444aを前後方向に貫通する孔である。嵌込孔に軸部441aの後端部が嵌め込まれることにより、ブラケット部材444はシャフト441に固定される。その結果、ブラケット部材444は、フランジ部441bの後方にフランジ部441bに隣接して配置されて、シャフト441と共に、ベース部材443に対して相対的に回転する。
【0074】
ブラケット部材444は、ベース部材443と共に、本発明におけるヒンジ部材(第1ヒンジ部材)を構成する。すなわち、ヒンジ部材の一部(ベース部材443)は、軸部441aに対して軸部441aの周方向に所定角度の範囲内で相対的に回転する。ヒンジ部材の他部(ブラケット部材444)は、軸部441aに取り付けられて、軸部441aと共に回転する。つまり、ベース部材443は、ブラケット部材444に対して相対的に回転する。
【0075】
第1カム部材445は、軸部441a(シャフト441)に軸支されて、軸部441aに対して軸部441aの周方向に所定角度の範囲内で、相対的に回転する。第1カム部材445はベース部材443の前方に配置されて、ベース部材443に固定される。第1カム部材445の前端面には、第2カム部材446に運動を伝える凹凸が形成されている。第1カム部材445は、後述されるカム部材における原動節として機能する。第1カム部材445は、挿通孔445hを備える。挿通孔445hは、第1カム部材445を前後方向に貫通する貫通孔である。
【0076】
第1カム部材445は、挿通孔445hに軸部441aが挿通されることにより、軸部441aに回転可能に軸支される。すなわち、第1カム部材445は、ベース部材443と共にシャフト441の周方向に回転運動をする。第1カム部材445は、円筒形の端面カムである。第1カム部材445は、回転運動することにより、第2カム部材446を軸方向(第3方向-第4方向)に往復運動させる。
【0077】
第2カム部材446は、第1カム部材445の回転運動を、軸部441aの軸方向への往復運動に変える。第2カム部材446は、往復運動することにより軸部441aを摺動軸として前後方向に摺動する。すなわち、第2カム部材446は、軸部441aを往復運動(摺動)することにより、ばね部材447を軸方向に伸縮させる。第2カム部材446は、カム部材における従動節として機能する。第2カム部材446の後端面には、第1カム部材445の凹凸と噛み合うような凹凸が形成されている。第1カム部材445と第2カム部材446それぞれの凹凸を介して、第1カム部材445の回転運動が第2カム部材446の往復運動に変換され、第2カム部材446の往復運動が第1カム部材445の回転運動に変換される。第2カム部材446は、挿通孔(不図示)を備える。
【0078】
挿通孔は、第2カム部材446を前後方向に貫通する貫通孔である。第2カム部材446は、挿通孔に軸部441aが挿通されることにより、軸部441aに支持される。その結果、第2カム部材446は、第1カム部材445の前方に第1カム部材445に隣接して配置されて、軸部441aと共に回転する。
【0079】
第2カム部材446は、第1カム部材445と共に、本発明におけるカム部材を構成する。カム部材は、ベース部材443(ヒンジ部材)の回転運動に応じて、回転運動と往復運動とをすることにより、ばね部材447を軸方向に伸縮させる。
【0080】
ばね部材447は、第2カム部材446(カム部材)の往復運動により軸部441aの軸方向に伸縮する。ばね部材447は、円筒状のコイルばねである。ばね部材447は、ばね部材447を前後方向に貫通する挿通孔447hを備える。ばね部材447は、挿通孔447hに軸部441aが挿通されることにより、軸部441aに軸支される。その結果、ばね部材447は第2カム部材446の前方に第2カム部材446に隣接して配置される。ばね部材447は、ヘッドホン1が使用者の頭部に装着されていない状態(以下「非装着状態」という。)のとき、伸びている状態にある。一方、ばね部材447は、装着状態のときなど、第2カム部材446が第1カム部材445により前方に押し込まれているとき、圧縮されている状態にある。いずれの状態においても、ばね部材447は、第2カム部材446を後方の第1カム部材445に向けて付勢している。
【0081】
ワッシャ448は、軸部441aの前端部に取り付けられて、ストッパ442と、ベース部材443と、第1カム部材445と、第2カム部材446と、ばね部材447と、の軸部441a(シャフト441)からの抜け落ちを防止する。ワッシャ448は、嵌込孔448hを備える。
【0082】
嵌込孔448hは、ワッシャ448を前後方向に貫通する貫通孔である。嵌込孔448hに軸部441aの前端部が嵌め込まれることにより、ワッシャ448は軸部441aに固定される。その結果、ワッシャ448は、ばね部材447の前方に配置されて、シャフト441に固定される。
【0083】
●第2連結部材の構成
図2図5とに戻る。
【0084】
第2連結部材45は、第1連結部材44よりも前方側(第3方向側)に、第1連結部材44に対して所定の間隔を空けて配置される。第2連結部材45は、第1連結部材44と共に、ヘッドバンド支持部材41に対してハウジング支持部材42を所定角度の範囲内で回転可能に連結する。第2連結部材45の上部はベース連結部材46を介してヘッドバンド支持部材41に連結されて、同下部はハウジング支持部材42に連結される。第2連結部材45は、シャフト(第2シャフト)451と、ベース部材(第2ベース部材)452と、ブラケット部材(第2ブラケット部材)453と、を備える。
【0085】
シャフト451は、ヘッドバンド支持部材41に対してハウジング支持部材42が回転する際の回転軸として機能する軸状の部材である。シャフト451の軸心は、シャフト451の軸心を通る仮想直線は回転軸線AX2(図8参照)である。シャフト451は、シャフト451の軸方向(軸心方向)が前後方向(第3方向-第4方向)に沿う略円筒状の軸体(中空の軸体)である。シャフト451の軸心を通る仮想直線(回転軸線AX2)は、シャフト441の軸心を通る仮想直線(回転軸線AX1)と共通する。シャフト451は、シャフト441の前方に、シャフト441に対して所定の間隔(隙間)を空けて配置される。シャフト451は、軸部(不図示)と、フランジ部451aと、挿通孔451hと、を備える。
【0086】
軸部は、ベース部材452とブラケット部材453とを支持する。軸部は、軸部の軸方向が前後方向に沿う略円筒状の部材である。
【0087】
フランジ部451aは、ベース部材452が軸部(シャフト451)から抜け落ちるのを防止する。フランジ部451aは、軸部の後端部に配置される。
【0088】
挿通孔451hは、軸部を前後方向に貫通する貫通孔である。挿通孔451hには、左放音ユニット10と右放音ユニット20との間に配線される信号線70が挿通される。挿通孔451hに挿通された信号線70は、シャフト451とシャフト441との間に配線されて(通されて)、左回転軸部材60の貫通孔と、左スライダ機構32と、に配線される。
【0089】
ベース部材(第2ベース部材)452は、軸部(シャフト451)に支持されて、軸部に対して軸部の周方向に所定角度の範囲内で、相対的に回転する。ベース部材452の軸部に対する相対的な回転は、所定角度の範囲内に規制される。ベース部材452は、ベース本体452aと、連結部452bと、挿通孔(不図示)と、固定孔(不図示)と、を備える。
【0090】
ベース本体452aは、軸部に対して軸部の周方向に所定角度の範囲内で、相対的に回転する。
【0091】
連結部452bは、ベース連結部材46を介して、ベース部材452(第2連結部材45)を第1連結部材44と連結させる。連結部452bは、ベース本体452aの右上部から後方に向けて突出するように形成されている。連結部452bは、連結部443bと同一仮想平面上に配置される。
【0092】
挿通孔は、ベース本体452aを前後方向に貫通する貫通孔である。
【0093】
固定孔は、連結部452bを上下方向に貫通する貫通孔である。固定孔には、ベース部材452をベース連結部材46に固定するための固定ねじ(不図示)が挿通される。
【0094】
ベース部材452は、挿通孔に軸部が挿通されることにより、軸部に回転可能に軸支されて、ベース連結部材46を介してヘッドバンド支持部材41に取り付けられる。すなわち、ベース部材452は、シャフト451(軸部)とヘッドバンド支持部材41とに取り付けられる。このとき、ベース部材452は、フランジ部451aの前方にフランジ部451aに隣接して配置される。ベース部材452は、ブラケット部材455と共に、ヒンジ部材(第2ヒンジ部材)を構成する。ヒンジ部材は、軸部に対して軸部の周方向に所定角度の範囲内で、相対的に回転する。
【0095】
ブラケット部材(第2ブラケット部材)453は、ハウジング支持部材42に取り付けられると共に、シャフト451(軸部)に取り付けられる。ブラケット部材453は、シャフト451の回転に伴い回転する。ブラケット部材453は、ブラケット本体453aと、連結部453bと、嵌込孔(不図示)と、固定孔(不図示)と、を備える。
【0096】
ベース部材452は、ブラケット部材453と共に、ヒンジ部材(第2ヒンジ部材)を構成する。すなわち、ヒンジ部材の一部(ベース部材452)は、軸部に対して軸部の周方向に相対的に回転する。ヒンジ部材の他部(ブラケット部材453)は、軸部に取り付けられて、軸部と共に回転する。つまり、ベース部材452は、ブラケット部材453に対して相対的に回転する。
【0097】
ブラケット本体455aは、略上下方向に沿う板状の部材である。
【0098】
連結部455bは、ブラケット部材455(第2連結部材45)をハウジング支持部材42と連結させる。連結部455bは、ブラケット本体455aの下端部から前方(第3方向)に突出するように形成されている。
【0099】
嵌込孔は、ブラケット本体455aを前後方向に貫通する貫通孔である。嵌込孔に軸部の前端部が嵌め込まれることにより、ブラケット部材453はシャフト451に固定される。その結果、ブラケット部材453は、シャフト451と共に、ベース部材452に対して相対的に回転する。
【0100】
固定孔は、連結部453bを上下方向に貫通する貫通孔である。固定孔には、ブラケット部材453をハウジング支持部材42に固定するための固定ねじ(不図示)が挿通される。
【0101】
ベース連結部材46は、ベース部材443(第1連結部材44)とベース部材452(第2連結部材45)とを連結すると共に、ベース部材443(第1連結部材44)とベース部材452(第2連結部材45)それぞれをヘッドバンド支持部材41に連結する。ベース連結部材46は、上方視において、略U字状で、ヘッドバンド支持部材41に取り付けられる。
【0102】
図1に戻る。
●右連結機構の構成
右連結機構50の構成は、鏡像関係になることを除いて、左連結機構40の構成と略共通する。すなわち、前述のとおり、右連結機構50は、ヘッドバンド支持部材51と、連結部材(不図示)と、を備える。連結部材は、第1連結部材(不図示)と、第2連結部材(不図示)と、ベース連結部材(不図示)と、を備える。第1連結部材は、シャフト(不図示)と、ストッパ(不図示)と、ベース部材(不図示)と、ブラケット部材(不図示)と、第1カム部材(不図示)と、第2カム部材(不図示)と、ばね部材(不図示)と、ワッシャ(不図示)と、を備える。第2連結部材は、シャフト(不図示)と、ベース部材(不図示)と、ブラケット部材(不図示)と、を備える。
【0103】
●ヘッドバンド部と左連結機構と左放音ユニットと信号線との位置関係
次に、ヘッドバンド部30と、左連結機構40と、左放音ユニット10と、信号線70と、の位置関係について、図1,5,6を参照しながら説明する。
【0104】
左連結機構40は、ヘッドバンド部30と左放音ユニット10との間に配置される。ヘッドバンド支持部材41は、ヘッドバンド部30の一端部に取り付けられて、ヘッドバンド部30に支持される。ハウジング支持部材42は、第1ハウジング13a(左放音ユニット10)における上部の外周面に取り付けられて、第1ハウジング13aを支持する。連結部材43は、ヘッドバンド支持部材41とハウジング支持部材42とに収容される。連結部材43は、ヘッドバンド支持部材41に対して、ハウジング支持部材42を所定角度の範囲内で回転可能に連結する。
【0105】
ここで、第1連結部材44の上部はベース連結部材46を介してヘッドバンド支持部材41に連結されて、同下部はハウジング支持部材42に連結される。第1連結部材44は、シャフト441(回転軸線AX1:図7参照)を中心に回転する。
【0106】
第2連結部材45の上部はベース連結部材46を介してヘッドバンド支持部材41に連結されて、同下部はハウジング支持部材42に連結される。第2連結部材45は、シャフト451(回転軸線AX2:図7参照)を中心に回転する。シャフト451の軸心を通る仮想直線(回転軸線AX2)は、シャフト441の軸心を通る仮想直線(回転軸線AX1)と共通する。
【0107】
図5に示されるとおり、第1連結部材44は、ベース連結部材46を介して、第2連結部材45と連結される。
【0108】
このように、ヘッドバンド部30と、左連結機構40と、左放音ユニット10と、が配置されて、連結されているので、左放音ユニット10は、左連結機構40により、ヘッドバンド部30に対して第1方向側と第2方向側とに回転可能になる。
【0109】
また、左連結機構40は、左回転軸部材60を介して、ヘッドバンド部30(左スライダ機構32)に連結される。左放音ユニット10は、ヘッドバンド部30に対して、左回転軸部材60を回転軸として第4方向視において時計回りに約90度回転可能である。
【0110】
さらに、信号線70は、一端が回路基板15に接続されて、他端が右放音ユニット20の回路基板(不図示)に接続される。このとき、信号線70は、左放音ユニット10の内部と、左連結機構40の内部と、ヘッドバンド部30の内部と、右連結機構50の内部と、右放音ユニット20の内部と、を介して配線される。信号線70は、左連結機構40に配線されるとき、シャフト451の挿通孔の内部と、シャフト451とシャフト441との間の隙間と、左回転軸部材60の貫通孔の内部と、に通される。
【0111】
図7は、ヘッドバンド部30に対する左放音ユニット10の回転の様子を示す模式図である。
同図は、ヘッドホン1を第4方向側から見た状態を示す。同図は、左放音ユニット10が左連結機構40により、ヘッドバンド部30に対して回転している状態を示す。同図は左放音ユニット10がヘッドバンド部30に対して第1方向側に回転している状態を実線で示す。同図は、左放音ユニット10がヘッドバンド部30に対して第2方向側に回転している状態を二点鎖線で示す。同図は、ヘッドバンド部30の中心を通る仮想中心曲線Lを梨地状の太線で示す。
【0112】
図8は、図7に示す左放音ユニット10が回転しているときの、第1連結部材44の回転の様子を示す模式図である。
同図は、第1連結部材44を第4方向から見た状態を示す。同図は、ブラケット部材444がベース部材443に対して相対的に回転している状態を示す。同図はブラケット部材444がベース部材443に対して第1方向側に回転している状態を実線で示す。同図は、ブラケット部材444がベース部材443に対して第2方向側にα度(例えば、7度)回転している状態を二点鎖線で示す。
【0113】
図7に示されるように、前方視において、ヘッドバンド部30に対する左放音ユニット10の回転軸心、すなわち、シャフト441(図6参照)の軸心(シャフト441の軸心を通る回転軸線AX1)と、シャフト451(図5参照)の軸心(シャフト451の軸心を通る回転軸線AX2)とは、ヘッドバンド部30の中心を通る仮想中心曲線Lよりも第2方向側に位置する。
【0114】
●ヘッドホンの回転動作
次に、ヘッドホン1の回転動作について、左放音ユニット10と左連結機構40とを中心に説明する。
【0115】
非装着状態の左放音ユニット10では、ばね部材447が伸びている状態にあり、左放音ユニット10は、ばね部材447の付勢力によりハウジング支持部材42を介して第1方向側に付勢された状態にある。この状態において、例えば、使用者により、ばね部材447の付勢力に反して、左放音ユニット10が第2方向側に回転するような外力が加えられたとき、連結部材43は、ヘッドバンド部30に対してハウジング支持部材42と左放音ユニット10とを、シャフト441,451の軸心を中心に、第2方向側に回転させる。
【0116】
このとき、ブラケット部材444は、シャフト441と共に、ベース部材443に対して相対的に回転する。カム部材は、シャフト441の周方向の回転運動(第1カム部材445による回転運動)と、同回転運動に応じたシャフト441の軸方向の往運動(第2カム部材446による往運動)と、を行う。カム部材の往運動(往運動)によりばね部材447が前方(第3方向)に押圧されて、ばね部材447は圧縮される。このように、ヘッドバンド部30に対してハウジング支持部材42と左放音ユニット10とが、シャフト441の軸心と、シャフト451の軸心と、を中心に、第2方向側に回転されるとき、ブラケット部材444とシャフト441とストッパ442とがベース部材443に対して相対的に回転することにより、ばね部材447は圧縮される。このとき、左放音ユニット10は、図7に二点鎖線で示されるように、第2方向側に所定角度の範囲内で回転する。
【0117】
連結部材43は、使用者により左放音ユニット10に加えられている外力が解除(解消)されると、ばね部材447が伸張して、ばね部材447の付勢力により第2カム部材446を復運動させるように第1カム部材445側に押圧する。このとき、シャフト441,451を回転軸としてベース部材443,452が回転する。その結果、連結部材43は、ヘッドバンド部30に対してハウジング支持部材42と左放音ユニット10とを、シャフト441の軸心と、シャフト451の軸心と、を中心に、第1方向側に回転させる。
【0118】
また、前述のとおり、左連結機構40は、左回転軸部材60を介して、ヘッドバンド部30(左スライダ機構32)に連結される。左放音ユニット10は、ヘッドバンド部30に対して、左回転軸部材60を回転軸に第4方向視において時計回りに約90度回転可能である。同様に、右連結機構50は、右回転軸部材(不図示)を介して、ヘッドバンド部30(右スライダ機構33)に連結される。右放音ユニット20は、ヘッドバンド部30に対して、右回転軸部材を回転軸に第4方向視において反時計回りに約90度回転可能である。
【0119】
図9は、ヘッドホン1が収納ケースSCに収納された状態を示す模式図である。
同図は、左右の放音ユニット10,20が左回転軸部材60(図5参照)と右回転軸部材とにより非使用位置に回転した状態で収納ケースSCに収納されている状態を示す。
【0120】
図9に示されるように、ヘッドホン1を収納ケースSCに収納するとき、使用者は、左右の放音ユニット10,20が非使用位置になるようにそれぞれを回転させて、左右の放音ユニット10,20を収納する収納部SC2に収納する。左右の放音ユニット10,20それぞれの受電部18,28は、左右の放音ユニット10,20が非使用位置に回転されたときに、ヘッドバンド部30側に向けられるように(互いが内側に向くように)配置される。左右の放音ユニット10,20が収納部SC2に収納されるとき、左右の放音ユニット10,20は、互いに内側に向けられた受電部18,28が離れる方向に外力が加えられて通常時よりも広がった状態(バンド本体31(ヘッドバンド部30)が通常時(左右の放音ユニット10,20に外力が加えられていないとき)よりも広げられた状態)で収納される。左右の放音ユニット10,20が収納部SC2に収納された状態において、受電部18,28は、ヘッドバンド部30の弾性力により内側に付勢される。収納ケースSCの送電部SC1は、ヘッドバンド部30の弾性力により内側に付勢される受電部18,28が配置される箇所の近傍に配置される。このため、受電部18,28は、収納ケースSCの送電部SC1に向けて付勢された状態で送電部SC1に近づくので、送電部SC1と電気的あるいは電磁的に結合されやすくなる。その結果、受電部18は、送電部SC1からの電力を受け取りやすくなる。
【0121】
図10は、ヘッドホン1が使用者の頭部に装着された状態を示す模式図であり、(a)は本機器の一例であるヘッドホン1が使用者の頭部に装着された状態を示す模式図であり、(b)は従来のヘッドホン100が使用者の頭部に装着された状態を示す模式図である。
同図は、ヘッドホン1におけるハウジング支持部材42,52の回転軸(回転軸線AX1,AX2)の上下方向の高さ位置が、ヘッドホン100における左右のアーム部材132,133の軸部の軸心PXの上下方向の高さ位置と異なることを示す。また、同図は、ヘッドホン1におけるバンド本体31(ヘッドバンド部30)全体に占める使用者の頭部に対する接触面積(接触長さ)が、ヘッドホン100におけるバンド本体131(ヘッドバンド130)全体に占める使用者の頭部に対する接触面積(接触長さ)と異なることを示す。同図(a)に示される網掛け部分は、ヘッドホン1におけるバンド本体31(ヘッドバンド部30)と、使用者の頭部と、の接触部分を示す。同図(b)に示される網掛け部分は、ヘッドホン100におけるバンド本体131(ヘッドバンド130)と、使用者の頭部と、の接触部分を示す。
【0122】
同図(b)に示されるように、従来のヘッドホン100において、軸部の軸心PXは、上下方向において各放音ユニット110,120の中央付近、かつ、装着状態において、第2方向側における使用者の耳の真横付近に位置する。すなわち、装着状態において、バンド本体131(ヘッドバンド130)は、左右のアーム部材132,133を介して使用者の耳の真横付近で左右の放音ユニット110,120を支持している。つまり、装着状態において、左右のアーム部材132,133が軸部の軸心PXを中心に揺動して各放音ユニット110,120を第1方向側に押し付ける。その結果、アーム部材132と連結しているバンド本体131の一端側と、アーム部材133と連結しているバンド本体131の他端側と、は、頭部から第2方向側に離れる。このように、バンド本体131の一端部と他端部それぞれが使用者の頭部から離れた位置に位置するため、同一端部と他端部それぞれに近い部分も、使用者の頭部には接触しない。このため、バンド本体131の中央部付近のみが使用者の頭部に触れることになる。
【0123】
これに対して、同図(a)に示されるように、ヘッドホン1において、ハウジング支持部材42,52の回転軸(回転軸線AX1,AX2)は、上下方向において各放音ユニット10,20の上方で、かつ、装着状態において、第2方向側における使用者の耳の上方に位置する。すなわち、装着状態において、バンド本体31(ヘッドバンド部30)は、使用者の耳の上部付近で左右の連結機構40,50を介して左右の放音ユニット10,20を支持している。このため、バンド本体31の一端部と他端部それぞれは、同図(b)に示されるバンド本体131の一端側と他端部それぞれよりも頭部に近い位置に位置する。また、図7に示されるように、ヘッドバンド部30に対するハウジング支持部材42の回転軸(回転軸線AX1)は、ヘッドバンド部30の中心を通る仮想中心曲線Lよりも第2方向側に位置する。すなわち、バンド本体31の一端部は、ハウジング支持部材42の回転軸(回転軸線AX1)よりも使用者の頭部に近い位置に位置する。このため、バンド本体31の中央部付近のみだけでなく、バンド本体31の中央部付近よりも両端に近い部分も、使用者の頭部に接触する。その結果、同図(b)に示されるヘッドホン1では、同図(b)に示される従来のヘッドホン100よりも、使用者の頭部に接触する接触面積(接触長さ)は大きくなる。
【0124】
このため、バンド本体31(ヘッドバンド部30)の全体に占める使用者の頭部とも接触面積(接触長さ)は、従来のヘッドホン100の場合と比べて大きくなり、単位面積当たりの荷重は減少する。換言すれば、使用者の頭部に部分的に掛かる負担は、従来のヘッドホン100の場合と比べて減少する。その結果、ヘッドホン1の使用者の頭部に対する装着性は、向上する。
【0125】
●まとめ
以上説明した実施の形態によれば、本機器の一例であるヘッドホン1は、左右一対の放音ユニット10,20と、ヘッドバンド部30と、連結機構(左連結機構40,右連結機構50)と、を有してなる。左放音ユニット10(左右一対の放音ユニット10,20)は、バッフル部材12と、イヤパッド14と、第1ハウジング13aと、を備える。左連結機構40(連結機構)は、ヘッドバンド部30の一端部に取り付けられて、ヘッドバンド部30に支持されるヘッドバンド支持部材41と、第1ハウジング13a(左放音ユニット10)の外周面のうち、ヘッドバンド部30側の外周面に取り付けられて、第1ハウジング13aを支持するハウジング支持部材42と、ヘッドバンド支持部材41に対して、ハウジング支持部材42を所定角度(例えば、7度)の範囲内で回転可能に連結する連結部材43と、を備える。連結部材43は、ハウジング支持部材42を介して第1ハウジング13aを第1方向側に付勢する。このように、ヘッドホン1は、従来のヘッドホン100におけるアーム部材(左アーム部材132,右アーム部材133)に代えて、連結機構(左連結機構40,右連結機構50)を備える。連結機構は、上下方向において各放音ユニット10,20の上方に配置されて、かつ、装着状態において、第2方向側における使用者の耳の上方に位置する。装着状態において、バンド本体31(ヘッドバンド部30)は、使用者の耳の上方付近で左右の連結機構40,50を介して左右の放音ユニット10,20を支持する。このため、バンド本体31の一端部と他端部それぞれは、頭部に近い位置に位置する。その結果、バンド本体31の一端部と他端部それぞれは使用者の頭部に接触する程度に近い位置に位置する。このため、従来のヘッドホン100の場合と比べて、バンド本体31(ヘッドバンド部30)の全体に占める使用者の頭部との接触面積(接触長さ)は、大きくなり、単位面積当たりの荷重は減少する。換言すれば、従来のヘッドホン100の場合と比べて、使用者の頭部に部分的に掛かる負担は、減少する。その結果、ヘッドホン1の使用者の頭部に対する装着性は、向上する。
【0126】
また、以上説明した実施の形態によれば、連結部材43は、第1連結部材44と第2連結部材45とを備える。第1連結部材44は、シャフト441(軸部材)と、ばね部材447と、ヒンジ部材(ベース部材443,ブラケット部材444)と、カム部材(第1カム部材445,第2カム部材446)と、を備える。ベース部材443は、シャフト441と第1カム部材445(カム部材)とに取り付けられる。ブラケット部材444は、シャフト441とハウジング支持部材42とに取り付けられる。カム部材は回転運動(第1カム部材445による回転運動)をすると共に、同回転運動をシャフト441の軸方向の往復運動(第2カム部材446による往復運動)に変える。ばね部材447は、第2カム部材446の往運動により圧縮されて、ブラケット部材444とシャフト441とストッパ442とを、ベース部材443に対して相対的に回転させる。このように、ばね部材447と、ヒンジ部材(ベース部材443,ブラケット部材444)と、カム部材(第1カム部材445,第2カム部材446)と、により、連結部材43は、ヘッドバンド部30に対してハウジング支持部材42と左放音ユニット10とを、第1方向側と第2方向側とに回転させることができる。
【0127】
さらに、以上説明した実施の形態によれば、第2連結部材45は、第1連結部材44と所定の間隔を空けて配置される。第2連結部材45は、シャフト451(第2軸部材)を備える。シャフト451は、第1連結部材44のシャフト441とは別体である。シャフト451の軸心(回転軸線AX2)は、シャフト441の軸心(回転軸線AX1)と共通する。第2連結部材45は、ヘッドバンド支持部材41に対して、ハウジング支持部材42が所定角度(例えば、7度。以下同じ。)の範囲内で回転可能になるように、ヘッドバンド支持部材41とハウジング支持部材42とを、第1連結部材44と協働して連結する。
【0128】
さらにまた、以上説明した実施の形態によれば、ヘッドバンド部30に対するハウジング支持部材42の回転軸(回転軸線AX1)は、ヘッドバンド部30の中心を通る仮想中心曲線Lよりも第2方向側に位置する。すなわち、バンド本体31の一端部は、ハウジング支持部材42の回転軸(回転軸線AX1)よりも使用者の頭部に近い位置に位置する。また、前述のとおり、ハウジング支持部材42,52の回転軸(回転軸線AX1,AX2)は、上下方向において各放音ユニット10,20の上方に位置し、かつ、装着状態において、第2方向側における使用者の耳の上方に位置する。装着状態において、バンド本体31(ヘッドバンド部30)は、使用者の耳の上方付近で左右の連結機構40,50を介して左右の放音ユニット10,20を支持する。このため、バンド本体31の一端部と他端部それぞれは、頭部に近い位置に位置する。その結果、バンド本体31の一端部と他端部それぞれが使用者の頭部に接触する程度に近い位置に位置する。また、連結部材43は、ばね部材447の付勢力をヒンジ部材に加える。連結部材43は、使用者により左放音ユニット10に加えられている外力が解除されると、ばね部材447が伸張する動き(ばね部材447の付勢力)により、ヘッドバンド部30に対してハウジング支持部材42と左放音ユニット10とを、シャフト441の軸心と、シャフト451の軸心と、を中心に、第1方向側に回転させる。このため、ハウジング支持部材42,52の回転軸(回転軸線AX1,AX2)は、上下方向において各放音ユニット10,20の上方に位置し、かつ、装着状態において、第2方向側における使用者の耳の上方に位置しても、各放音ユニット10,20の下側が浮くこと(使用者の頭部から第2方向側に移動すること)、がない。その結果、ヘッドホン1の使用者の頭部に対する装着性は、向上する。
【0129】
さらにまた、以上説明した実施の形態によれば、ヘッドホン1は、ヘッドバンド部30に対して左連結機構40を回転可能に連結する左回転軸部材60(回転軸部材)を有してなる。左放音ユニット10(左右一対の放音ユニット10,20)は、左連結機構40(連結機構)を介して、左回転軸部材60を回転軸として使用位置と非使用位置との間で回転可能である。左放音ユニット10は、左放音ユニット10の動作に必要な電力を蓄える蓄電池16と、蓄電池16に蓄えられる電力を供給する収納ケース(充電器)SCの送電部SC1から電力を受け取る受電部18と、を備える。受電部18は、第1ハウジング13aのうち、左連結機構40側の半部であって、かつ、左放音ユニット10が非使用位置に回転されたときにヘッドバンド部30側となる位置(第2空間SP2)に収容(配置)される。同様に、右放音ユニット20の受電部28は、第1ハウジング23aのうち、右連結機構50側の半部であって、かつ、右放音ユニット20が非使用位置に回転されたときにヘッドバンド部30側の端部となる位置に収容(配置)される。左右の放音ユニット10,20それぞれの受電部18,28は、左右の放音ユニット10,20が非使用位置に回転されたときに、ヘッドバンド部30側に向けられるように(互いが内側に向くように)配置される。左右の放音ユニット10,20が収納部SC2に収納されるとき、左右の放音ユニット10,20は、互いに内側に向けられた受電部18,28が離れる方向に外力が加えられて通常時よりも広がった状態(バンド本体31(ヘッドバンド部30)が通常時(左右の放音ユニット10,20に外力が加えられていないとき)よりも広げられた状態)で収納される。左右の放音ユニット10,20が収納部SC2に収納された状態において、受電部18,28は、ヘッドバンド部30の弾性力により内側に付勢される。収納ケースSCの送電部SC1は、収納部SC2内において、受電部18,28が配置される位置の近傍に配置される。受電部18,28は、ヘッドバンド部30の弾性力により内側に付勢され得る。このため、受電部18,28は、収納ケースSCの送電部SC1に対して付勢された状態で送電部SC1に近づけられるので、送電部SC1と電気的に結合されやすくなる。その結果、受電部18は、送電部SC1からの電力を受け取りやすくなる。
【0130】
さらにまた、以上説明した実施の形態によれば、ヘッドホン1は、信号線70を有してなる。第2連結部材45のシャフト451は、中空の円筒状の軸体である。左回転軸部材60は、中空の円筒状の軸体である。信号線70は、一端が回路基板15に接続されて、他端が右放音ユニット20の回路基板(不図示)に接続されるように配線される。信号線70は、左放音ユニット10の内部と、左連結機構40の内部と、ヘッドバンド部30の内部と、右連結機構50の内部と、右放音ユニット20の内部と、を介して配線される。信号線70が左連結機構40内に配線されるとき、信号線70は、シャフト451の軸体(軸部(挿通孔))の内部と、シャフト451とシャフト441との間(隙間)と、左回転軸部材60の軸体(貫通孔)の内部と、に通される。このように、信号線70は、シャフト451の軸体の内部と、シャフト451とシャフト441との間(隙間)と、左回転軸部材60の軸体の内部と、に通されるので、信号線70は配線の際に各部材を避けて配線されなくてもよい。すなわち、連結機構は、連結部材43を配置するスペースがあれば、信号線70の配線が可能になる。つまり、連結機構は、信号線70を配線するためのスペースを別途必要としない。そのため、連結機構の省スペース化が実現される。その結果、連結機構は、小型化される。
【0131】
さらにまた、以上説明した実施の形態によれば、第1連結部材44(ベース部材443)は、第2連結部材45(ベース部材452)にベース連結部材46を介して接続される。ベース連結部材46の形状は、略U字状である。このため、ベース連結部材46は、左回転軸部材60を避けた状態で第1連結部材44(ベース部材443)と第2連結部材45(ベース部材452)とを連結可能である。その結果、ベース連結部材46は、信号線70を配線する際の邪魔にならない。
【0132】
さらにまた、以上説明した実施の形態によれば、左放音ユニット10は、音響空間である第1空間SP1と、電気部品収容空間である第2空間SP2と、を備える。第2空間SP2は、第1空間SP1の周囲に配置される。音響空間は、電気部品収容空間と分離される。そのため、電気系部品がドライバユニットに与える音響的影響は抑制されると共に、音響空間内におけるドライバユニット11の音響特性は向上し得る。
【0133】
さらにまた、以上説明した実施の形態によれば、連結機構(左連結機構40,右連結機構50)は、ヘッドバンド部30と、左右の放音ユニット10,20と、を連結する。すなわち、ヘッドホン1は、従来のヘッドホン100のアーム部材(左アーム部材132,右アーム部材133)を備えない。従来のヘッドホン100では、左右のアーム部材132,133それぞれは、左右の放音ユニット10,20の外周方向の上半部を覆う。一方、左右のアーム部材132,133を備えないヘッドホン1では、連結機構は、左右の放音ユニット10,20の上部のみに配置されて、左右の放音ユニット10,20とヘッドバンド部30とに連結されているので、左右の放音ユニット10,20の外周面における各種のボタンや電気系部品の配置などの自由度が増加する。
【0134】
なお、以上説明した実施の形態では、本機器の一例は、ヘッドホン1であった。これに代えて、本機器の一例は、ドライバユニット、回路基板、蓄電池、受電部、外部電源端子、マイクロホンなどの電気系の部品を備えないイヤーマフでもよい。イヤーマフは、例えば、ハウジングと、ハウジングを保持するバッフル部材と、バッフル部材に取り付けられるイヤパッドと、を有してもよい。
【0135】
また、本発明において、ハウジング支持部材がヘッドバンド支持部材に対して回転する(ベース部材が軸部に対して相対的に回転する)所定角度は、使用者の頭部の大きさや形状などにより定まるので7度に限定されない。
【符号の説明】
【0136】
1 耳覆い型の音響機器(ヘッドホン)
10 左放音ユニット
11 ドライバユニット
12 バッフル部材
13a 第1ハウジング(ハウジング)
13b 第2ハウジング
14 イヤパッド
15 回路基板
16 蓄電池
17h 通気孔
18 受電部
19 外部電源端子
20 右放音ユニット
30 ヘッドバンド部(ヘッドバンド)
40 左連結機構(連結機構)
41 ヘッドバンド支持部材
42 ハウジング支持部材
43 連結部材
44 第1連結部材
441 シャフト(軸部材)
442 ストッパ
443 ベース部材(ヒンジ部材)
444 ブラケット部材(ヒンジ部材)
445 第1カム部材(カム部材)
446 第2カム部材(カム部材)
447 ばね部材
46 ベース連結部材
50 右連結機構(連結機構)
60 左回転軸部材(回転軸部材)
70 信号線
SC 充電器
SC1 送電部
L 仮想中心曲線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11